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若松孝二「天使の恍惚」横山リエ荒砂ゆき小野川公三郎足立正生秋山ミチヲ山下洋輔

 阿佐ヶ谷にて。「AVANTGARDE百花繚乱 挑発:ATGの時代」特集。72年、若松プロ=ATG。
 北野武「アウトレージ」の名コピーは「全員、悪党」。そのひそみに倣えば、本作は「全員、お花畑」。
 在日米軍基地から強奪したダイナマイトや、手製ピース缶爆弾で「世界(日本)を変えられる」という妄想に脳をやられた新左翼お花畑たちが、「革命」と称した爆弾テロを仕掛けて回るエロとテロの映画。
 大いに殺傷されるのは、一般市民のみ。単なる妄想革命の犠牲になった無辜の市民たちこそ、哀れである。
 現在の視点で見て、妄想に脳をやられたお花畑テロリスト集団には、なんの感情移入も、出来ない。まるで、化石の形状を、客観的に観察することしか、出来ない。

 しかし、そうはいっても、同様の恐怖テロは、日本では収まっているとはいえ、世界各地での恐怖テロは、現在でも頻発している。日本などでは化石みたいな映画であるが、世界各地での賞味期限は、切れていない
 しかし、一般論として言えば、右翼のテロは時の権力者を狙い、左翼のテロは一般人大量殺戮を目指す、この違いは、なんだろう。右翼は自らの生還を期さない一人一殺、左翼は、あわよくば生き延びて、革命成就後の革命政権の権力者になりたい、ということなのか。
 自分が権力者になりたいものだから、革命前とはいえ、現在の権力者は、殺害の対象にあらず、革命後も一般市民はバンバン殺戮するつもりだから、革命前の一般市民なんて殺戮するのは、当然、ということか。
 左翼は、革命前も革命後も、一般市民殺戮は、朝飯前、というのが、現実で。

若松孝二「天使の恍惚」横山リエ荒砂ゆき小野川公三郎足立正生秋山ミチヲ山下洋輔 _e0178641_19532920.jpg天使の恍惚 <ラピュタ阿佐ヶ谷HPより>
1972年(S47)/若松プロダクション、ATG/パートカラー/89分
■監督:若松孝二/脚本:出口出/撮影:伊東英男/音楽:山下洋輔トリオ
■出演:吉沢健、横山リエ、荒砂ゆき、小野川公三郎、本田竜彦、小山田昭一、大泉友雄、三枝博之、足立正生、岩淵進、秋山ミチヲ、山下洋輔
東京総攻撃を計画する革命軍のメンバーが、無差別爆破による都市ゲリラ戦を展開していく──。若松孝二がパレスチナから帰国後、ATGと初提携して制作。公開直前に新宿ツリー爆弾事件が発生し、さまざまな波紋を呼んだ大問題作。

 本作で、革命部隊「四季協会」の中部隊「秋」の、さらに小隊「十月」のメンバー「金曜日」を演じるのが、横山リエ。
 演技は素晴らしいが「世を忍ぶ仮の姿」のクラブ歌手の、歌唱力は、ご愛嬌。ただし秋山ミチヲ(道男)の手になる曲は、いい。伴奏も彼。
 聞く人によって淺川マキ(ぼくは森田童子を連想) の、バッタもののような歌を、女優歌唱。
Koji Wakamatsu - L'Extase des Anges (Ecstasy of the Angels, Tenshi


From "Ecstasy of The Angels"ここは静かな最前線

 上記動画はハイライトを再編集しているが、こちらはオリジナル冒頭そのまま。前者で歌唱シーンを着色(横山リエを赤、山下陽介トリオを青)しているのは、ぼくの見た版にはなく、おそらく後付の着色だろうか。
 中隊長「秋」荒砂ゆきもいい。このひとはピンクとATGでしか、見たことがない(笑)。小隊長「十月」の吉沢健もいい。
 メンバー「土曜日」小野川公三郎は、ひとつのシーンで、丸々、伸びた鼻毛のまま。見逃したのか、わざとなのか、キャメラマン。しかし仮にも大映の準主役を張ったこともある小野川も、俳優として革命的警戒心が、足りないのでは。

山下洋輔トリオと若松孝二 - 天使の恍惚


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by mukashinoeiga | 2014-05-02 11:45 | 旧作日本映画感想文 | Comments(2)

Commented by お邪魔便ラディン at 2014-05-03 11:41 x
この映画は昭和の終わりから平成のはじめ頃に、数年の間をおいて2回見て、2回とも山下洋輔のジャズや横山リエの歌以外は不毛きわまる退屈な作品という印象に終始したので、ラピュタには見に行きませんでした。若松孝二のもっともツマラナイ作品じゃないのかな?
小生など、公開直前に新宿ツリー爆弾事件が発生して、上映自粛要請があったのは、むしろ映画のよい宣伝になったのではなかろうか、と勘ぐっています。さらにトンデモな「陰謀説」に傾けば、この「上映自粛要請」は、前評判で小さい映画館にまで追いかけて行った連中が失望することを狙った「権力の陰謀」じゃないのか(笑)
サヨクにしても右翼にしても、革命成就後は、いちばん権力欲の強いヤツが仲間をどんどん粛清して行くだけですね。226事件なんか、青年将校をおだてた連中は誰が何大臣になるという青写真を描いていたぐらいなんでね。吉田喜重の映画にも出演した「ピース缶爆弾」の牧田吉明てぇ人は、某財閥の御曹司で、晩年は民族派に転じたというトリビアな話題もありますしねぇ。
Commented by mukashinoeiga at 2014-05-03 23:07
若松孝二「天使の恍惚」へのコメント、お邪魔ビンラディンさん、ども。
 ヤッパリ、つまりませんでしたか(笑)。まあ、手堅いといえば、手堅いが、やはり、感情移乗は、ムリ・・・か。

>226事件なんか、青年将校をおだてた連中は誰が何大臣になるという青写真を描いていたぐらい

 「黒幕」はそうかもしれませんが、少なくともテロ実行犯(226はテロではなくて、クーデターですね。そこは区別したい?)は、まあ、<純真>だったと、思いますよ。そこが、左翼テロとの、ある種?の違いですかね。   昔の映画
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