山田洋次「喜劇 一発大必勝」

 京橋にて。「映画監督 山田洋次」特集。69年、松竹。
 イッコ前駄文の山田洋次「九ちゃんのでっかい夢」67年が、山田洋次らしからぬ、しゃれたソフィスティケーテッド・コメディの「異色作」とするなら、本作は、もっとも山田洋次的コメディ?
 ?付きなのは、共同脚本・森崎東に、だいぶ「レイプ」されたと思しい、凶暴さで、かなりブラックユーモア寄りになっており、そういう意味では「国民的喜劇作家」に脱皮する以前のティスト。あるいは共同脚本というより、ほとんど森崎東オリジナルの脚本かも。または、この二人が掛け合わされると、かなりブラック度が増す、という化学作用か。

 ボルネオ帰り(ダム建設従業だったか)の超粗暴男・ハナ肇が、ポン友の住む長屋に立ち寄ったら、たちまち大騒動の巻。
 ポン友の馬さん(遺影写真のみの出演いかりや長介、場内爆笑)は、直前にフグの毒にあたり急死しており、お前ら殺しただろ、とハナに八つ当たりされるのが、田武謙三、桑山正一、佐山俊二のオジサントリオの面々(まだまだヤングな佐藤蛾次郎がアシスト)。特にタムケンこと田武謙三の、フィーチャーぶりが楽しい。
 タムケンといえば、たまたまニコ前駄文瑞穂春海「森繁の 僕は美容師」57年でも、薄らハゲの大工の棟梁を好助演していたが、「喜劇 一発大必勝」は、名物薄らハゲ脇役のタムケンが本当に長く映っている、ということで、記憶されよう。楽しい楽しい。
 山田洋次「九ちゃんのでっかい夢」でも大活躍の佐山俊二も、いいんだよね。佐山俊二の「世間的な格」が、もうちょっと高かったら(笑)森川信亡き後のおいちゃん役者は、凡庸な新劇出身の<面白くもなんともないおいちゃん役者>たちを軽く凌駕していたかもしれない。残念。
 森川信亡き後の、山田洋次および松竹の、おいちゃん役者選択は、常に、失敗の連続であったのは、紛れもない事実である。山田の左翼新劇役者偏重が、確実に「男はつらいよ」シリーズの喜劇性を損なっていた。

 本作のヒロインは、当然のことながら倍賞千恵子。愛らしい、かわいいのは、言うまでもない。
 タムケンの娘のバス車掌。ただし、その薄幸顔ゆえか、乳飲み子をかかえ、駄目父タムケンもかかえ、夫は拘置所にいるというケナゲさ。
 ここで唐突に思うのは、小津安二郎とも共通する?一種の「未亡人」願望?か。まだまた「若い娘」で、いける倍賞千恵子を、一種の擬似未亡人状態へ。
 と、思い返せば山田洋次「遥かなる山の呼び声」でも倍賞千恵子は未亡人を演じていたはずだし、「男はつらいよ」シリーズにも、多そうだ。まあ、ムリスジの共通項探しですかね。

 ハナ肇路線は、あまりに粗暴すぎて続かず、山田とハナのコラボは、これが最後とか。「寅さん」以前の興行力の悪さ。あまり受けなかったのは、むべなるかな。フィルムセンターの場内には、笑いが絶えず、でも、そのグロさに、またドン引きも感じられたが。ぼくは、どちらも共有した。

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by mukashinoeiga | 2014-01-12 09:00 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(0)

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