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鈴木清順「暗黒の旅券」葉山良二筑波久子岡田真澄E・H・エリック兄弟二人一役!

 神保町にて。「祝 卒寿鈴木清順90歳 日活撮影所「鈴木組」のゴヒイキ20本」特集。59年、日活。
 ややや、ひょっとして、未見の清順か、いやいや、見ているはずだ、と葛藤しながら(笑)見に行ったら、おお、これは見たことないシーンの連続やでー、やったー、と思っていたら、ラスト近く(笑)E・H・エリックが、出てくるに及んで、思い出した(笑)。
 見ていたのね(笑)。いまさらながら、ぼくの記憶力は欠陥品だ(泣)。
 そうすると、冒頭の鮮烈なショット、ショー司会者が瞬時に梅野泰靖マネージャーにチェンジするとこ(編集の初歩的マジックが、すごく効果的かつ鮮烈)も、思い出しました。既視感ありありじゃないか。
 新妻・沢たまき(冒頭に歌うショーガール)に、新婚旅行中に失踪された(実は殺された)葉山良二が、真相を追う。
鈴木清順「暗黒の旅券」葉山良二筑波久子岡田真澄E・H・エリック兄弟二人一役!_e0178641_196914.jpg 親身になって葉山に協力する同僚バンドマン・岡田真澄が、なんとなく、怪しい。この岡田が、病気降板なのか、クライマックスの銃撃戦では、突如、実兄E・H・エリックが、堂々の代役。
 しかし、この兄弟は、あまり似ていない。しかも、誰もが顔を知っている有名人どおし。代役としてもバレバレだし、しかも清順は、正々堂々、逃げも隠れもせず、二人の差異をそのままに、撮っている。似せようなどと、はなから思ってもみない。
 いやあ、清順としては、うれしかったろうね(笑)。岡田真澄の病気降板を奇貨として、堂々の二人一役なんて、変則技が出来るんだから。しかし戦術も戦略ももちろんないまま、必然性のない二人一役なんて荒業をやっても、つまらないだけの結果となった。
 また、ケニー青木などいわゆるオカマ、シスターボーイを多用。カブいた新風俗の積極的採用も、しかし新(真)の映画的効用、あるいは映画的異化効果には、結びつかない。中途半端な試行錯誤が、凡庸な結果に終始したといったところか。
 サスペンス・ミステリとしてもイマイチ。前回見たところ(後半)と同じところで、意識が遠くなり、寝てしまいました。
 助演の筑波久子、小悪魔的な彼女の顔が、目くるめく映像として使われ、こちらは効果的。彼女もちゃんと使われれば、もっと大成していたのに、と可能性を感じるショットに。
 凡庸なストーリー(説明過多とならざるを得ない非映画的プロット)、演出的仕掛けなり異化効果が、戦略も戦術も欠いたまま、ことごとく外して、通常作品としても清順映画としても、残念な結果に。
 初期清順映画が、すべて駄目なわけではなく、目を見張る作品も多々あるのだが、これじゃ見たことを忘れるわけだよ(責任転嫁)。

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by mukashinoeiga | 2013-10-29 00:59 | 清順の光と影すべって狂ってる | Comments(0)

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