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清水宏「大佛さまと子供たち」「奈良には古き佛たち」

 京橋にて。「生誕110年 映画監督 清水宏」特集。52年、蜂の巣。これは、傑作だ。オススメ。あと2回の上映。
 なお、NFCのチラシでは、蜂の巣映画部とあるが、実際のクレジットでは、映画部の文字は、ない。
e0178641_15551494.jpg 清水宏「蜂の巣の子供たち」「その後の蜂の巣の子供たち」に続く、「蜂の巣」三部作の第三作だが、これだけ未見作だったもの。
 実は、ぼくは、清水宏大好きだが、いわゆる集団寮生活孤児学園物?が、あまり好きではない。ノンシャラン清水モノのファンとしても、集団生活の(どんなにのびのびした学園生活でも、一定程度ある)規律性や、戦災孤児は犠牲者、それに同情しなきゃ、という「正義の政治的正しさ」が、清水映画のノンシャランさを相殺しているように感じて、その心理的狭隘感?が、苦手で。
 本作は、蜂の巣の子供たちを大フィーチャーしつつ主演させ、しかし、いわゆる集団寮生活の、息苦しさなんて、微塵もない。なんせ彼らは、前2作と違って、基本的にホームレス中学生だから。
 前2作から、だいぶ成長して、セミドキュメント調は少しもなく、ちゃんとドラマを演じている。楽しい、楽しい、のほほん清水宏ドラマ。
 前2作でも印象的な岩本豊少年(鼻の穴の大きさが不均衡な、愛すべき関西弁で)が主演。この子供たち、熱海の蜂の巣学園から、奈良にワープ、なんと、奈良の寺院を訪れる観光客たちに、寺院内施設、仏像をガイドして、日銭を稼ぐ観光ガイド少年団。
 この少年たちの演技のすばらしさ。
 大の大人の観光客相手に、したり顔で、故事来歴を説明するのが、たまらなく、可笑しい。しかも、少年たちは、それぞれの事情から、ガイド役を抜け出し、あとのガイドは仲間の少年に引き継ぎ、いろいろなところに出かける。その自由闊達さが、いかにも少年、いかにも清水映画で、ああ、楽しい(笑)。
 その一方で、学校には行っているのかいないのか、毎晩どこで寝ているのか、一切映画は説明しない。この辺の思いっきりのよさが、きわめて映画的で、それまでの蜂の巣もの、「しいのみ学園」にも欠けていた、清水映画ののびのびさだろう。
 そののびのびさのあまり、おそらく今では貴重な大仏ゆえ、絶対に出来ない撮影さえラストシーンで敢行(笑)。ああ、「政治的正しさ」さえ、さりげなく、乗り切る清水宏。
 バスガイドさんのお姉さんとの交流やら、アメリカ日系二世のお姉さんとのトヨペットでのドライヴ、子供たちの付き合い、のんびり滞在画家ののほほんさ、みんな楽しくて。
 子供たちは蜂の巣三部作目で、もはやセミプロ化?して、下手な子役なんかより何倍もすばらしい。
 大人たちも素人らしいが、演技はプロ並み。それとも無名の役者を使ったのか。清水演出は、確かだ。
 ★日本映画データベース/大仏さまと子供たち★によれば、寺に滞在する、のほほんな画家の役の宮内義治という方もナイス。これが松竹映画の清水なら、佐分利信が演ずるべき役だ。
 また、バスガイド「節子」役、日守由禧子も、なかなかの好演。 日守という姓は珍しいが、清水宏映画の常連快優・日守新一の娘か何かなのだろうか。 「その後の蜂の巣の子供たち」で「蜂の巣学園に、会社の休日を利用してボランティアに来た若い女性」の、目立つほうをこれまた好演した、日守「節子」と、同一人物なのかどうか。いずれにしても、清水映画常連ヒモリンの縁辺者である、可能性は、高い。★日本映画データベース/その後の蜂の巣の子供達★ ご参照。
 なお、日守由禧子は本映画の「同人」(制作賛同者の意味か)にも、名を連ねている。松竹関係者?の「節子」モンダイは、尾を引くなあ(笑)(参考★小津漬の味1淑女はナニを忘れても「二」は忘れない★)。

 本上映の同時上映中篇清水宏「奈良には古き佛たち」53年、蜂の巣は、「大佛さまと子供たち」の一部映像ももぐりこませた、奈良仏像紹介の、文化映画。おそらく「大佛さまと子供たち」が劇映画として面白いのと同時に、奈良仏像紹介映画としても秀逸なため、紹介映画を新たに依頼されたものだと思う。基本的には地味な文化映画だが、腹ばいで階段横の傾斜を滑り降りる遊びの少女たち、子犬と戯れる?アメリカ人少女など、仏像とは関係ないショットに、清水映画の幸福を感じる。
 なお、両作とも、流麗な横移動撮影に、いつもながらの清水宏の快が、たっぷり。

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by mukashinoeiga | 2013-06-21 09:39 | しぃみず学園清水宏おぼえ書 | Trackback | Comments(2)

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Commented by PineWood at 2016-04-28 07:22 x
記録映画(奈良には古き仏たち)を見て来ました。地味でしたが、興福寺のシーンに今では余りにも有名な阿修羅像が出て来ないのは、未だこの像が蔵に放置されていた時代だったからなのか…。そう言う事を別にして少年少女、親子連れなどにホットな視線が注がれて清水宏監督らしさが、佳かったです♪併映の(小原庄助さん)では、ラストの道のシーンに放浪紳士チャーリーの姿が過った…。大河内伝次郎主演の千葉泰樹監督の(生きている画像)とも重なって…。
Commented by mukashinoeiga at 2016-04-29 02:31
清水宏「奈良には古き佛たち」へのコメント、PineWoodさん、ども。

>興福寺のシーンに今では余りにも有名な阿修羅像が出て来ないのは、未だこの像が蔵に放置されていた時代だったからなのか…。

 おお、そういうこともありましたか。ドキュメントに、写されなかったものがアル、というのもその事情を考えると、スリリングですな。
 ドキュメントなのに、清水宏らしいのほほんさが感じられるというのも、すごい・面白いことですなあ。
 酒飲みとしては、大河内「小原庄助さん」は、いつの日にか、千葉泰樹=大河内「生きている画像」との2本立てを夢想しているのです(笑)。どこかやらないかなあ、駆けつけるのに(笑)。  昔の映画
 酒飲みの、永遠のベスト(笑)。


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