小杉勇「地獄の波止場」「狂った脱獄」三橋達也安部徹岡田真澄香月美奈子赤木圭一郎 

小杉勇「地獄の波止場」
e0178641_21492283.png 京橋にて。「よみがえる日本映画-映画保存のための特別事業費によるvol.5日活篇」特集。56年、日活。
 俳優クレジットでは、三橋達也 小杉勇の順だが、実質は、戦前からのスタア・小杉の主演。演技としても、演出としても、安定した力量を示す小杉の、快作なり。
 小杉勇、役者としては、例によって、クドいクサい、酒癖の悪い、おじさんで(笑)。
 監督としては、何よりも、全編製鉄所のロケが、利いている。鈴木清順「悪魔の街」56年、日活(感想駄文済み)と同様、夜の製鉄所工場萌えの映像が圧倒的(撮影・山崎安一郎)。また、貨物専用蒸気汽車の映像も見事で、てっちゃんなら感涙ものの素晴らしい映像と、思うが(笑)。
 以下、ネタバレあり。
 巨大鋼鉄所。従業員の厚生費300万円が、金庫から盗まれ、人も殺される。うたがわれるのは、鋼鉄所専用蒸気汽車・運転士助手の三橋。
 しかし、実は、タナボタで、大金を拾ったのは、定年間近の運転手・小杉。ここに、本当の犯人・安部徹も絡み、サスペンスは、じわじわ醸成されていく。その雰囲気、小杉勇の演技も演出も、映像も、グッド。
 どちらかというと、若いころから、クサイ(笑)小杉の(いや、意識してクサクしなくても、自然に(笑)クサくなるのが、小杉の演技の持ち味で、しかもクサくても、なんだかさわやかなのが(笑)小杉勇の持ち味なんだよなあ)挙動不審気味の老人演技もナイス。クサいのに、さわやか。
 安部徹も、いつも、弱そうな子犬をだかえた、悪党を快演。子犬がらみの映像がナイス。なんか、ここら辺の犬がらみのショットも、鈴木清順との、親近性をかんじるんだよなあ。
 なお、助監督は、裕次郎以前の日活で、しぶいドキュメンタリー調のサスペンスで、真価を発揮した、井田探。

e0178641_21501827.png小杉勇「狂った脱獄」
 神保町にて。「日活映画100年の青春」特集。59年、日活。
 俳優クレジットでは、(この1月に見たので、記憶はあいまいだが)岡田真澄 小杉勇の順だが、実質は、戦前からのスタア・小杉の主演。演技としても、演出としても、安定した力量を示す小杉の、快作なり。
 どこかの、うらびれた小さな川の橋沿いにある交番。定年間近の交番詰めの警官・小杉。この辺では見かけない都会的な青年・岡田を問い詰めたら、実は脱獄してきました、と。
 脱獄なんかするワリには、意外な好青年に、老警官・小杉は、目をぱちぱち。得意の、浪花節説教。
 岡田も、また、イロイロ事情があって、逃げにまわったり。52分の中篇ながら、濃密で。
 ただ、岡田の妻・香月美奈子、あれだけ車で引きずり回され、身重の腹に刺激を受けて、無事出産しましたは、ないだろ(笑)。ほとんどコメディ・レヴェルで、爆笑しました。
 なお、看守役の、ほとんどちょい役に、新人・赤木圭一郎。少ないせりふ・演技にも、ちょい役ながら、主役の風格あり。

 両作とも、すべてに目配りの利いた、渋いプログラム・ピクチャアの快感に、満ち溢れとる。クサい人情譚と、小杉勇のすわりのよさ。ナイス。
◎追記◎しかも、同時に、それは後の日活無国籍アクションにいたる、クール&スタイリッシュな、非・日本的な映画空間を、内包しているだろう。

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by mukashinoeiga | 2013-03-16 01:33 | 傑作・快作の森 | Trackback | Comments(0)

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