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川崎徹広「陽のあたる椅子」

 阿佐ヶ谷にて。「現代文学栄華館 昭和の流行作家たち2」特集。65年、東宝。
 これは、隠れた小傑作ではないか。素晴らしい。1/15(火)まで、上映中。
 川崎徹広監督といえば、昨年の年末年始に、同じ阿佐ヶ谷で上映された★川崎徹広「豚と金魚」★が、大変面白くて、印象にのこっている。「ブタキン」は、ノー天気おばか映画コメディーとして面白かったのだが、本作はスリリングなサスペンス人間ドラマとして、面白い。なかなか、やるではないか。川崎徹広、注目したい。
 名物脇役役者・加東大介が主役を張った数少ない作は、みんな面白い、というのは、もはや、定説か。本作も、主演男優賞モノだよね。
 「ブタキン」の監督であり、タイトルといい、よくある源氏鶏太系C調サラリーマンモノ人情コメディかと思ったら、さにあらず。映像のいちいちに、サスペンスみなぎらせた、スリリングな一作であるとは。にくいぜ。
 むしろ鶏太というより、清張か。
 加東大介、まじめ一方のカタブツ庶務係長。それが、ある事件を契機に経理課長に。
 経理部員が横領を働き、田島義文課長が降格、清水元部長は、加東大介の昇格に強行反対、ところが加東新課長が挨拶に見えるや、「昇格おめでとう。君を推薦した甲斐があったよ」と、手のひら返し。
 誰もが、心を偽り、ひとが人に、一物腹に持つ。面白い、面白い人間ドラマ、この厚み。
 オープニング・クレジットからして、東宝らしからぬ、むしろ大映ティスト。傑作鈴木英雄「その場所に女ありて」を、さえ思わせるタッチでスタート。やるなあ、と思っていたら、本当にやっているのだ。うーむ。
 横領経理部員の妻・白川由美も、いいなあ。究極のサゲマン妻かと思ったら。
 誰もがだれも、思惑違いを胸に、秘めている。ちょっとずつ、思いがずれている。極上心理サスペンス。
 地味な脇役の充実。さりげなく、並行描写される、ヤリマンBG北あけみカップルの、伏線回収。すばらしい。

 カタブツなサラリーマン・加東大介の変遷が、とても素晴らしい。一種の凄みを感じさせなければならない、有島一郎が、彼特有の軽さなのが、カキンか。山茶花究では、どうだったか。

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by mukashinoeiga | 2013-01-12 01:33 | 傑作・快作の森 | Comments(0)

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