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若松孝二「聖母観音大菩薩」浅野温子鹿沼えり

 渋谷にて。「追悼を超えて 若松孝二IN池袋」特集。77年、ATG=東宝。
若松孝二「聖母観音大菩薩」浅野温子鹿沼えり_e0178641_0135756.jpg 本作の一番の目玉は、まだまだ十代太りしている、声もときに甲高い、美少女・浅野温子だろうか。さすが、70年代の新人女優だから、すっぽんぽんのヌードを、平然と披露。今のふにゃふにゃしている女優たちとは、明らかに、覚悟が、違うのだ。
 今の時代でいえば、綾瀬はるかとか武井咲が、バンバン脱いでいるようなもの。
 浅野、上、純白真っ白、下、真っ赤なはかまという、巫女さんスタイルが、いい。神社で、巫女さんアルバイトという役柄だが、ちょっと十代太りしていても、きりりとした美少女。

 若狭湾、原発銀座。
 敦賀、美浜、大飯、高浜、もんじゅが軒を連ねるが、映画に映し出されているのは、どこだろうか。
 その原発建屋が見下ろす、若狭湾で、近代的な原発の足元の、貧しい寒村で繰り広げられるドラマ。
 人魚の肉を食べたために、千年死ねない八百比丘尼の、自称生まれ変わり・松田英子が、永遠の命を与えられて、でも隣の芝生は青い、死ねないのは、とってもつらいと、殺してくれ殺してくれ、と呪詛のように言いつつ、醜い老人・殿山泰司、アイヌ青年犯罪者・蟹江敬三、過激派爆弾魔・石橋蓮司、キツネ付きの女ゴゼ・鹿沼えり、中学男子、変態レイプ魔・北上弥太郎と、次々関係を持つ。
 実際、この映画の主要登場人物、浅野温子を除いて、みんな、松田英子と、同衾する。
 歴史と性と政治、原発と地域と、男と女。なかなか、面白い。現代政治に硬直した若松は、ぼんくらだが、歴史にスパンを伸ばした本作は、なかなかグッド。

 なお、昨日の産経新聞のコラム、安本寿久「人間ドラマを描く古事記」によれば、最近「古事記」を題材にした、一人がたり芝居を続けている浅野温子は、
 「古事記を題材にした浅野さんの脚本は現在、17本ある。10年前から舞台を始め、公演は95カ所を数える。多くは神社に奉納する形を取っているので、全国の64社を回ったことになる。」ということだ。
 してみれば、デヴュー作の本作の巫女さん役、結構、結果として、彼女的には、本気の役だったのか。

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by mukashinoeiga | 2012-12-24 01:24 | 旧作日本映画感想文 | Comments(0)

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