人気ブログランキング | 話題のタグを見る

吉村廉「白雪先生と子供たち」

 阿佐ヶ谷にて。「教室群像 映画のなかの「学び」の風景」特集。50年、大映東京。11/10(土)まで上映中。16ミリ・プリント。
 「学び」とか「気づき」とかの、変態的体言止めの怪しげ、かつ気色悪い日本語を使いたがるのは、たいてい左翼であるので。案の定、本作は「協力・日本教職員組合」。出たな、妖怪(笑)、輿石モンキー、てなもんである。
 もっとも、さすが阿佐ヶ谷ラピュタ、こういう左翼調の特集タイトルにもかかわらず、やる映画は、まじめな映画だけではなく「十代の性典」「学園祭の夜 甘い経験」「われら劣等生」「バツグン女子高校生 16才は感じちゃう」なんて硬軟混ぜ合わせ。ここが、ラピュタの、いいところ(笑)。

 田舎の小学校が舞台。生徒たちは、学校内(モチロン当時だから、フローリング(笑)板敷きの床)に、室内は、なんと全員はだし。登下校だって、突っかけの下駄やわらじ、サンダルみたいなもの。敗戦から五年後のこととて、親もいない浮浪児が廃屋に住み着き、学校にもいけない状況。
 そこの若き教師が原節子。白雪先生というから、てっきり白雪姫が由来かと思ったら、山の頂の白雪みたいに清楚な先生という意味だったとは。

 この原節子が絶美。若き生真面目な女教師を、まじめに演じれば演じるほど、その美しさは際立つ。
 で、ハラセツ、いきなり風邪で寝込むのですが。あるいは、生徒のことを思って、眠り浅いシチュもあり。
 で、若くてセクシーなハラセツが、寝ているシーンが、なぜか、多い、と。
 この女優さん、あんまり、仰向けに寝ているシーンが、少ない女優さんなので、まぢめな教師ドラマなのに、いやそれゆえかえってか、その寝顔がセクシー。ほんとに、ハラセツの映画を何十本も見ているぼくでも、はっとする。
 寝顔がサマになるのだ、ハラセツ。
 風邪で熟睡のハラセツに、添い寝する、孤児の男の子。この男の子が、意外と、二枚目大人顔(この映画、子役男子の顔と演技が、みな、素晴らしすぎる!)なので、小学生男子と女教師の添い寝の、その顔の「近づき」(左翼語を、まねしてみました)が、きわめてセクシーな禁断映像に見えてしまう。本当に、この顔の「近づき」は、やばい。やばすぎる。映像のマジック。
 ハラセツ、小津安「晩春」での老父・笠智衆との、ひとつ部屋での、並んでの睡眠シーンも妖しかったが、それ以上に、本作の小学生男子による添い寝ショットも、妖しすぎる。何なの、この、予期しない、禁忌キッズな、タヴー・ショットとは、と思えてしまう。

 さて、この小学校のPTA会長が、人はよいのだが資本家で、学校近隣で染料工場を稼動する。ここから出た工場排水が、学校敷地の広大な池に流れ込み、生徒が大事に育てていた鯉が、ほぼ全滅。公害という言葉は一言も出てこないのは、時代だが、しかしそれ以上に、この公害被害を是正するよう訴えるハラセツを、歯牙にもかけない、この態度が、今から見ると、とてもおかしい。不思議だ。公害出しておいて、何の反省もない。時代といえば時代だが。
 資本家の工場が工業排水を川に垂れ流していても、そんな小さな問題と、問題視されなかった時代のリアル。
 それに抗議したゆえに学校を辞めざるを得なくなったハラセツを強調するがごとく、資本家=PTA会長を、なんら責めない校長、教員たち。まるで、今の東電の罪をほっかむりする民主党政権みたいで。ああ、左翼は、日教組丸抱えや。民主党、60年たっても、変わらんなー。
 いや、あだしごとはさておき。
◎追記◎ネットを見ていたら、某ブログの本作記事に、(以下引用)

名作「二十四の瞳」に先行する、教育テーマの秀作。
とにかく、この世のものとも思えない、原節子のオーラが立ち上るような美貌がすごい!
病気で、床に付いている雨宮先生の顔をアップするシーン等、まさしく童話の眠れる「白雪姫」そのものです。
余談ですが、本作に出演していた子役の中に、今は落語家となっている、林家木久蔵師匠がいたらしい。

 ほんとうかい。本作の男子子役はみんな、それぞれいい表情をしているのだが、木久蔵師匠(って、いつのブログだ>笑)なら、あの、ひょうきんな顔の子か?


★新・今、そこにある映画★日本映画・外国映画の、新作感想兄弟ブログ。
★映画流れ者★当ブログへの感想・質問・指導・いちゃ問はこちらへ

★人気ブログランキング・日本映画★
↑↓クリックしていただければ、ランクが上がります(笑)。
にほんブログ村 映画ブログ 名作・なつかし映画へ
★にほんブログ村・名作なつかし映画★

by mukashinoeiga | 2012-11-05 03:34 | 旧作日本映画感想文 | Comments(0)

名前
URL
削除用パスワード