井上梅次「五人の突撃隊」藤巻潤本郷功次郎川口浩川崎敬三大辻司郎大坂志郎山村總田宮二郎

 阿佐ヶ谷にて。「娯楽の達人 監督井上梅次の職人芸」特集。61年、大映東京。
 対英軍戦を戦う、ビルマ戦線の、インパール攻撃戦は、糧食も弾薬も、切れかけている、大坂志郎率いる大隊を描く。
 撤退を主張する大坂大隊長に対し、英軍殲滅という、不可能な厳命を受けて、山村聡旅団長が、最前線に出張ってくる。
 通常の大映プログラム・ピクチャアの範囲内で(多少の予算増はあるだろう)大作戦争映画にも引けをとらない?規模を目指す、日本軍と同様負け戦かというと、最終的には、いわゆる<小隊モノ>に、収斂させたのは、お見事。
 大平原と、境界上の河、森のロケ地が見事。国内だろうが、よくこんなロケ撮影が出来たものだ。今では、まったく不可能だろう。そして5台程度の戦車(模擬車だろうが、素人目には、よく出来ていて、感心す)を使いまわして、雰囲気を出す。
 まさに最小限の効果で、最大を期す、大映プログラム・ピクチャアならではの荒業。ランニングタイムは119分と、大映にしては「大作」感をかもし出す。ナイス。
e0178641_5535995.jpg(以下、ネタバレ)
 結局、大隊は撤退をするわけだが、その最後衛、しんがりの役目を務めるのは、藤巻潤、本郷功次郎、川口浩、川崎敬三の、大映生え抜きナイスガイの四人と、大映にもたびたび助演の大辻司郎。
 しんがりは、部隊の撤退を、最前線に残って、援護射撃して、舞台撤退を確認して後、初めて自らも戦線離脱できる、出来るとは言うが、味方を助けて、しかし、自分の生存確率は低いという、きわめて過酷、かつ不公平な役回りである。命令で最後衛につくべき運命を「甘受」して、つぎつぎに、撃たれて、死んでいく若者たち。
 だからタイトルの「突撃隊」は、正しくは、ない。正確には「五人の非突撃隊」だ。
 川口浩自ら大破させた、敵軍戦車を修理して、動かない砲塔として使用する工夫、ないない尽くしの日本軍の無茶振り(短期決戦を目指して、長期戦の泥沼にハマってしまい、進むも地獄、引くも地獄の、ロジスティクス戦略皆無)そのものだ。

 大英帝国軍が、本国から遠くはなれて、この戦争を遂行するのは、もちろん既得権益たる植民地ビルマを守るため。単純だ。帝国主義そのもので、白人どもの欲望に忠実で、迷いは、そこには、ない。
 しかし、大日本帝国軍の目的は? 白人たちが支配するアジア各国を、白人たちから開放し(「戦前レジーム」からの脱却)自らの影響下に組み込み(大東亜共栄圏)日本およびアジアの繁栄を願うものだったが、その意図はあまりに壮大でありながら、惜しむらくは戦略と能力と、糧食と弾薬に、欠けていた。だから、最後は、本当にぼろぼろになってしまう。
 精神力だけでは、戦争にも、外交にも、勝てない。
 余裕がなさ過ぎて負けた日本、負けた川口浩ら、その突然の雨に身を濡れるに任せる、死屍累々のさまを見て、「やあ、雨が降ってきた、雨季だ、当分戦争はおあずけだな」と嘯く、余裕ぶっこいた英兵たち。その「差」を、映画は、静かに伝えている。

 なお、藤巻の兄に、まだチョイ役時代の田宮二郎。弟・藤巻に言いようにあしらわれる兄を、ちらりとした出番ではあるが、快演。ほんとに、いいように扱われるだけなのに、ひときわ、かっこいいんだわ、これが。さすが、田宮二郎。
 チョイ役なのに。はずさんなー。

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by mukashinoeiga | 2012-10-16 01:31 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(0)

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