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新藤兼人「讃歌」乙羽信子渡辺督子河原崎次郎新藤兼人原田大二郎

 渋谷にて。「武智映画100年 孤高の表現者とそのむすめ」特集。72年、近代映画協会=配給・ATG。
 谷崎潤一郎「春琴抄」の映画化。武智鉄二は、ヒロインの父親として、脇役出演。なかなか重厚演技でいいが、いささか素人くささも。まあ、素人の余技レヴェルで。
新藤兼人「讃歌」乙羽信子渡辺督子河原崎次郎新藤兼人原田大二郎_e0178641_058451.jpg 京都の大店のいとはん・春琴は、目が見えない。しかし、琴にその才能を見出し、家元師匠となる。もともとは、生家の大店の丁稚だった河原崎次郎を「専属奴隷」とし、自らの欲望を、種々満たす。春琴をあがめるあまりか、自らのM志向にはまったためか、河原崎次郎は、「奴隷」としての喜びに、そして苦悩に、満ちている。SMな主従関係に同定された、男女の愛欲の日々。
 当時は、その大店の女中であり、今は近代的な老人ホームで余生を送る乙羽信子(老け作り、しかし、シワひとつない、ぷっくら丸顔なので、とても老女には、見えない)が、取材に訪れた、ノンフィクション作家(新藤兼人本人)に、その、垣間見た主家の娘と、丁稚の愛欲生活を語る、回想をするという構成。
 いとはんと丁稚の「不正常な関係」の真相を語ることを、迫る新藤、それにイヤイヤ、あるいは内心?楽しそうに?応える乙羽老女。
 で、この映画の一番のモンダイは(笑)たいへん美人な春琴で、そのあまりプレイボーイの原田大二郎などに懸想される、そういう美人に、渡辺督子。この女優さん、はっきり言って、かなりのブス。
 日活ロマンポルノでも、脱げる女優として、多々出てきたが(芸名は渡辺とく子に改名)、はっきり、いいわけエクスキューズなしのブス。しかも、マグロ。さらに、女優オーラ皆無。見たら、必ず、どんより。
 神代辰巳「壇の浦夜枕合戦記」で、高貴な皇室女性で出てきたときは、なんていう冗談かと。おそらく、クマシロ、「高貴な女性」にブスな女優、「庶民的」な渡辺とく子に、高貴な女性の役あてがうことに、いろいろな意味で、快感、だろ(笑)クマシロ。ウーン、カイカンなのか。ヘンタイだなあー。よくわからん。
 本作の新藤兼人も、ブスな渡辺督子に、美人の役回り。超ブスなのに、男たちがあこがれるおんな、そういう「プレイ」を楽しまれる方たちなのかと、新藤、クマシロ。 
 こんなマゾ女優?に、それぞれ、ドSな役を振る、新藤、クマシロ。鬼畜や(笑)。あるいは、プレイやろ。ちなみに、金持ちとはいえ、戦前一般女性なのに、脱いで見たら、わきの下が、すっきりきれい、腋毛絶無、って、おかしいやろ、新藤兼人。
 レポーター役の新藤兼人は、声の濃淡は多彩だが、顔は、一本調子。出演者としては、どん臭い。ということで、顔技の不足を、唐突に、顔に血のりを塗って、笑いを取ろうとするが、全く不発。新藤兼人、笑い、全くとれず。
◎追記◎あるいは、この、いささか鈴木清順的でないでもない、唐突な挿入ショットは、新藤脚本を、徹底的に「レイプ」しまくって、異形な傑作となった鈴木清順「けんかえれじい」からの、新藤なりの触発なのか。

 なお、渡辺督子の「美しさ」に目がくらんだ、金持ちのボンボン・原田大二郎がひらく、自宅のプール開きのシーンに、谷崎潤一郎製作関与の無声映画の、感触を見る。素晴らしい。
◎追記◎こちとらは、水着すがたのモダンガアル女優たちを、スチール写真でしか見たことがないが、同時代人の新藤は、当然、谷崎潤一郎製作の映画を見て、その再現的演出なのだろう。うらやましい

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by mukashinoeiga | 2012-08-21 00:09 | 旧作日本映画感想文 | Comments(0)

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