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今井正「由起子」

 京橋にて。「生誕百年 映画監督 今井正」特集。55年、中央映画。あと2回の上映。
 フィルムセンターのチラシによれば、中央映画作品となっているが、クレジットのいちばん最初に企画(プロデューサーという意味か)で、2名連記。右のプロデューサーには(聖林映画)、左のプロデューサーには(中央映画)と、それぞれクレジット。ちなみに、カンパニー・ロゴは、出ていない。
 正確には、聖林映画/中央映画ということになるはずなのだが、明らかにバッタモノのプロダクション聖林映画は、フィルムセンターによって、無視された形か。
 なお、クレジットといえば、出演者のその他大勢組の中に、大塚道子、吉行和子の名があり。大塚道子(なぜかあまり映画に出演していない大塚道子の代表作は鈴木英夫「その場所に女ありて」幹事長という役名のヴェテラン・タイピスト。なお、幹事長というあだ名は、今ならお局様か)は、ヒロイン津島恵子の伯母・村瀬幸子のふたりの娘、その姉が大塚道子。女学生で若い娘というには、いかにも不遜な面構えな、大塚道子(笑)。
 台詞の少ない、顔が思春期太りの、その妹が、吉行和子か。たぶん、かなりの確率でそうだとは思うが、確信までには至らず。99.9パーセント(笑)。同じ回を見ていたぴくちゃあ氏によれば、気付かなかったけれど、もしそうなら、正式デヴュー前の出演か、とのこと。

 そういうトリヴィアは、ともかく、映画自体は、やや、今井正が不得意なメロドラマ。
 メロドラマとは、不条理なまでの、情念の、反理性的カオス。そんなの、左巻きの共産党・今井正の受け入れざるところだろう。
 平均的左巻きの、辞書に、情という言葉は、まず、ないんだからねー。情なんていう<ローカル・ルール>は、左巻きにとっては、アウト・オブ・眼中な、封建主義の遺物に過ぎないわけで。
 津島恵子が、思いつめた表情で、十和田湖・奥入瀬の渓流に、足を入れ、ずんずん(ずぶずぶ)歩んでいく。居合わせた画家・宇野重吉に助けられるのだが、この彼女が冬服のセーラー服。てっきり回想シーンのみかと思ったら、実際は映画の7割ほどは、セーラー服で通す。ま、無理やり、あっておる。
 原田真人「わが母の記」(兄弟ブログ「新・今そこにある映画」で感想駄文)でも、既婚バツイチの宮崎あおいが、女子中学生役を、無理やりやっていて、有無を言わせなかったが(笑)本作の津島恵子も、無理やりオーケー(笑)。
 この津島恵子が、相手に、つよくつよく出られてしまうと、みずからの身を自然に引いてしまうタイプ。
 木村功の父・加藤嘉しかり、ウノジュウしかり。こんな程度の、気の弱さが、不幸なシチュを招く程度では、メロドラマとしても、力が弱い。微弱メロ。
 メロドラマって、所詮こんなもんだろ、と、メロドラマを半ばバカにしながら、アタマで作った、そんな感じ。はいはい、オンナが不幸になるには、親の無理解、社会の不条理、貧困、格差、差別、ま、そんなとこだろ、ようは社会を改革せねば、弱い女の不幸は、なくならないんだな、なんて左巻きな発想が透けて見える?、とは、言い過ぎか。
 津島恵子が想いを寄せる木村功。男のずるさと、好ましさの、融合という、いつもながらの木村功がグッド。でも、木村と津島、この気弱い同士が結ばれても、また、それはそれで不幸なのかなー、と。

 独立プロダクションにしては、妙に気を入れた、浅草繁華街オープンセットが見所。津島の元同級生の、浅草レヴューガール(木村の元カノ)関千恵子が、いいんだけど、出番少なすぎ。残念。

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by mukashinoeiga | 2012-05-19 20:32 | 今井正 青い左傾山脈 | Comments(0)

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