田中重雄「犯罪者は誰か」

 京橋にて。「よみがえる日本映画vol.4 大映篇-映画保存のための特別事業費による」特集。45年、大映東京。あと2回の上映。
 タイトルから連想される、いわゆる犯罪ミステリーではなく、阪東妻三郎が戦時中から、軍国主義に反対した良心派代議士を、演じる。
 そのため、戦後、無事解放されたものの、戦時中は、拷問も受け、ずうっーと、留置されていた。家族とも一切面会出来ず、妻が空襲で亡くなっても、ただその戒名を記したメモのみを、渡されるだけ。

 戦後、いきなり良心派を映画化。はやっ。「日本映画情報システム」HPで調べてみると、45年12月27日、公開とのこと。変わり身、早すぎだろ、大映、田中重雄。しかもお正月映画か。
 ちなみに、「日本映画情報システム」HPでは、本作も含めて、「よみがえる日本映画vol.1~4」特集のすべての作品が、<フィルムセンター所蔵有無:無>と、表示されている。民間の変わり身の早さに比べるまでもなく(笑)、まったく更新しない役人仕事の遅さときたら(笑)。どうせ、ホームページの更新の予算は、ついてません、とかいうんだろ、バカ文化庁。

 変わり身は、早いが、映画自体は、あまり、面白くない。田中重雄は、山本薩夫でも今井正でも、なかったということか。そもそもGHQの時代劇禁止を受けて、バンツマを現代劇に出さねばならん、しかもGHQのOKを取りやすい企画を、というきわめて現実的かつ浅ましい?出自によるものか。
 バンツマ主演作としても、前半は、それなりの反戦演説で快調だが、後半、留置され、発言の機会を奪われると、あの独特のバンツマ節の快感をも封じられるので、盛り下がることおびただしい。やはり、声涙震わせて、ガンガン心情吐露する、バンツマ節がないと、バンツマ映画を見た気になりませぬ。ほんと、<男気演説>させたら、日本一、いやさ世界一だからさバンツマ。
 急造、有り合わせ料理の、しかも<主人持ち>のテーマだからなあ。まあ、その変わり身の速さを確認、賞味するには、最適かもしれん。

 まったく余談だが、バカ高い価格の割りに、まったく有り難味のないのが戒名というヤツで。最近はナシで済ませる例も多いと聞くが、戒名がちっとも重宝されていないのは、物故者、歴史上の人物の人名辞典で、その紹介があまり見られないというのでも、明らか。本作でも、刑務所役人の傲慢さ、小役人ぶりの冷淡さを表わす描写として、戒名メモのみのお下げ渡し、というのが効果的であることからも、故人の写真や遺品などと比べ物にならない、何の感情も誘発しないものの象徴として、登場している。
 それでも号泣するバンツマ。しかし、それは、戒名だから、というわけでは、まったくない。

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by mukashinoeiga | 2012-04-19 08:04 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(0)

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