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木村恵吾「惜春」

 京橋にて。「よみがえる日本映画vol.3 新東宝篇-映画保存のための特別事業費による」特集。52年、新東宝。本特集で、あと1回上映。
 流行歌手・笠置シヅ子と、平凡なサラリーマン・上原謙の夫婦の物語。
 前半の、笠置主演パートは、いかにも笠置らしい、騒々しくも楽しいミュージカル・コメディー風。笠置のリハ風景で、歌って躍る彼女のエンターティナーぶりが楽しめる。夫の上原も、ドタバタ演技に付き合い、結構柄に合っている。コミカルな演技も外さない上原のスマートぶり。
 で、妻の笠置が大阪に長期公演、騒々しい妻の留守の間の一ヶ月間は、とたんに、上原お得意のメロドラマ風となる。
 妻がお手伝いまで連れて行ったために、上原の食事の世話など、臨時に雇われた、山根寿子が、通ってくる。ガチャガチャピンの笠置と違って、家庭的でおしとやかな山根に、上原、ぞっこん。
 上原謙、笠置と山根の二律背反、いかにせん。そういう、プログラム・ピクチャア。
 なに、前半と後半のティストが、まるで違う? 多少いい加減でも、そこが、プログラム・ピクチャアの醍醐味や。
 上原が朝の出勤風景の駅前は、リアルにロケ。夜、上原が山根を送っていく駅前は、セット。単に出勤するだけの朝と、しみじみ愁嘆場のある夜とでは、また、演出意図が違うということか。実景ロケと、セットで、同じ町の朝と夜を再現する。
 朝は実写だから、ちゃんと電車が写る。夜はセットだから、電車は、通過する光と音で表現。このあからさまな違いの描写も、二律背反で、なんとなく楽しい。
 上原、山根、斎藤達雄など、松竹戦前組の、なにげな活躍も楽しい、新東宝映画のよさ。

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by mukashinoeiga | 2012-01-29 23:16 | 旧作日本映画感想文 | Comments(0)

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