伊藤大輔「この首一万石」大川橋蔵水原弘江利チエミ香川良介

 池袋にて。「時代劇浪漫 東映60周年 東映時代劇の華/大川橋蔵・東千代之介・大友柳太郎」特集。63年、東映京都。
e0178641_19275368.jpg 見始めて数十秒で、ムム、これはっ!! この春見て、ここにも感想書いた森一生「槍おどり五十三次」46年、大映京都と同じ話。
 さては、森一生作品の出来に不満を感じた?脚本・伊藤大輔が、大川橋蔵のアイドル脱皮作品を東映に求められたときに、この、昔のシナリオが適当、と思ったのか。
 それくらい、ほぼ同じ話なのに、森一生作品と違って、コクがあってキレがある。ラストの歌舞伎由来の一瞬のアクションも、決った。いやいや、それ以外のアクション演出も、森一生演出の比ではないかと。
 そして、この時代としては、精一杯のスプラッタ描写(いや、今から見れば、ほとんど血のりでごまかした程度のちゃらいスプラッタなのだが)が、その演出センスは、時代を超えて、ほんとうに、素晴らしい。
 橋蔵も、脱アイドルの(軽い)汚れ役で、可能性を感じる役だが、しかし、まだ、本人も東映もアイドルとしての、未練を残しつつだから、中途半端。TV「銭形平次」まで、とうとう橋蔵は、アイドル路線を捨て去ることはなかった。本人の資質を考えるとそれは正解なのだが。
 特筆すべきは、水原弘の素晴らしさ。橋蔵に同情しつつ、最後は、武士の体面により、橋蔵を裏切る役。日活映画などで、現代劇に出るときは、へらへらちゃらちゃらした、所詮は人気歌手の、お付き合い演技でしかないのだが、伊藤の演出よろしきなのか、かっきりした端正な武士の所作作法が意外とはまったのか、なかなかの好演。へらへらした歌手演技の水原弘が、これほどサムライ演技にハマるとは。本作一番のオドロキ。素晴らしや水原弘。
 香川良介は、確か「槍おどり」では弱小藩メンバー、今回は強大藩幹部では。ゆいいつの二作出演か。いや、藤原釜足もそうではなかったか。例によって記憶違いか。
 「槍おどり」で、信じがたい二重あごヒロイン・喜多川千鶴、その役は、江利チエミに引き継がれた。東映お姫様女優あまたいる中で、なぜ江利チエミ。
 おそらく、この役は、一応主人公の恋人役なのだが、実質の出番は、あまりに少ない。それゆえ、橋蔵が旅に出ると、完全にお役ごめん、それではあまりにナニなので、たまたま旅先で出会う宿場女郎が、瓜二つ、という一人二役。しかし、それでも、撮影は、一応ヒロイン役なのに、ほんの数日で済んでしまうだろう役。それゆえ、忙しい人気歌手には、最適だったのか。
 伊藤大輔の、平常運転の底力。


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by mukashinoeiga | 2011-08-06 21:53 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(0)

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