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古川緑波「百万ドルの明星 陽気な天国」

 京橋にて。「よみがえる日本映画~映画保存のための特別事業費による」特集。55年、近江プロ。
 ちゃらい、いい加減な二級映画なのに、妙にクレジットが、厳格。
  指揮・製作・原案 近江俊郎
  監督・脚本・台詞 古川緑波
 おふざけで、ハリウッド式に遊んでみました、というところか。実際のところ、いい加減な映画なので、脚本と台詞を区別するような、レヴェルを感じさせるものでもない(笑)。もちろん(製作総)指揮と、製作の区別も、いささか、怪しい。当時の人気歌手近江俊郎が、実務としての製作をしたとは、とうてい思えない。 
 なお、この近江、ロッパは、出演も兼ねている。美術・東郷青児、音楽・古賀政男も、出演。当時はマスコミをにぎわせた、人気歌手たち、人気画家やら、文化人も、パーティー・シーンなどに登場。つまり、そういう、ゆるいヴァラエティー・ドラマ。
 大勢の当時の歌手たちが歌を歌う。当時の人気歌手は、流し出身が多いらしい。しかも、近江もそうだが、妙に二枚目を気取った、陰気なクルーナー・タイプ多し。主演としての近江俊郎は、陰気で、華がない。
 そのなかで、演技も歌も「パンチの利いた」たぶん暁<ミネソタの卵売り>テル子という歌手の「日本人離れした」火病的狂騒演技が、むしろ快。彼女とロッパと森繁と、当時の政商にして、のちの三悪追放協会会長、後期小津安映画の常連出演者、菅原通済の演技ともガラともつかない、例によっての快演こそが、文字通り「陽気な天国」。
 熱海に遊ぶ、森繁。古賀政男の内弟子の森繁は、古賀政男のフリして、「あの曲も、このヒット曲も、みんなオレが作ったんだ」と大物気取り。森繁の、軽い詐欺師演技は、絶好調のアドリブで。台詞ロッパといいながら、近江も森繁も、ビミョーにアドリブっぽいぞ。
 森繁を人気作曲家と思い込んだ、街の流し、近江俊郎・三木のり平コンビ。森繁の「紹介」で、レコード会社の社長・ロッパへの紹介名刺。レコード歌手になれる、と喜び勇んでいくと、たまたま古賀政男本人がいて、嘘がばれて、夢はご破算。
 理由が振るっている。
「キミ、近江俊郎の物まねだね、物まねはイカンよ」!
 最後は、夢敗れて地元に戻った、近江俊郎似の近江俊郎が、近江俊郎のヒット曲「湯の町エレジー」を海辺で歌って、海に落ちて、エンド。 
 まだ、若くて、エネルギー満載の、森繁の生きの良さ。いっぽう古賀政男の、シロウト臭い、でも妙に場慣れした、演技ともいえぬ演技が、ミョーに、おかしく、盛大に森繁を怒鳴りつける場面が珍味。まだ、生きが良く、半生タイプの森繁を、これまた半生タイプの演技の古賀政男がしかりつける。珍味そのものの演技のコラボが、見所といえば、見所か。

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by mukashinoeiga | 2011-03-21 23:37 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(0)

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