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若尾文子という女優

 神保町の若尾文子特集で、未見のものでは島耕二「瀧の白糸」をのぞいて、見ることが出来た。
 大映のこととて、しかも若尾だから、水準作でも、面白かった。今回特集された作品だけではなく、平均作に、若尾が出演することによって、実力以上の見ごたえになったものも多いと思う。
 ある意味、監督の存在以上に、映画の場を支配している女優なのだと思う。映画は監督のもの、俳優は素材を提供するだけ、という物言いが、あるが、若尾主演映画の場合は、映画は若尾文子のもの、という感想をもてる、稀有な女優なのだろう。
 その独特の声、しぐさ、妖しい笑顔、まさに<ご婦人は理不尽>そのものの、無茶ぶり。
 最近も、ソフトバンクのCMで、<お父さん犬>の母親として登場し、<息子>より若い、松田翔太と再婚宣言する、という無茶ぶりを、たおやかに演じている。
 こんな、無茶ぶりを、しれっとして演じられる女優は、そうそういないだろう。若尾文子が「卍」「不倫」「しとやかな獣」「清作の妻」「女系家族」で、絶妙に演じる<不思議な男女関係の契約>、そのいけしゃあしゃあとした提出ぶりをも思わせ、見ていて微苦笑が絶えない演技ぶりだ。
 CMでも<<お父さん犬>をのぞいては、上戸彩ほかの家族は、早くも若尾に洗脳されたか、賛成のようだし。例によって、若尾は、孫娘・上戸彩ほかに、それぞれ単独攻撃、一対一では、また別の顔と声付きを見せて、各個撃破、みんな自分になびかせたのだろうか(笑)。
 映画の場を支配する若尾文子にとって、白戸家の場を支配することなど、朝飯前なのだろう。
 増村保造「濡れた二人」で、北大路欣也青年をとりこにさせた若尾だから、いずれは<お父さん犬>(声が北大路)も、陥落は、近い、ということか。
 ちなみに、ソフトバンクCMは、日本人が見ても楽しいCMだが、韓国人が見ると、また別の面白さで、爆笑が絶えないという。
 日本人男性役には、韓国人がさげすみの対象とする、犬、黒人が当てられ、正々堂々と、日本人蔑視が楽しめるらしい。また、韓国人にとって長幼・上下関係が重要なので、<年下のおじいちゃん><年下の父>など、まさしく、やはり日本人は、犬畜生だ、と面白いだろう。しかもその若者が、韓国系日本人である痛快。韓国人青年が、上から目線で、日本人中年犬に、命令する愉快さ。
 閑話休題。
 若尾文子独特の無茶ぶり、「清作の妻」の、あんなことこんなことされても、おとなしく若尾に従う夫・田村高広の、洗脳されっぷりを見ると、詐欺師というより、宗教家、催眠術使いとも思える、若尾は、れっきとしたトリックスタアなのではないか。
 若いころ、永田雅一に、「若尾文子は、高嶺の花ではなくて、低嶺の花の魅力」と言われた若尾だが、年を経るにしたがって、みなが、かしこまって仰ぎ見る、真の高嶺の花になりおおせた女優ではないだろうか。
 もちろん、一人一人に相対した場合は、にこっと笑って、男にも女にも(精神的に)しなだれかかって、あのつややかな声で、とうとう自分の言いなりにさせてしまうわけだ。
 誰が名づけたのか、新藤兼人か川島雄三か、そう、まさしく「しとやかな獣」!


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by mukashinoeiga | 2010-10-31 08:10 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(0)

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