ラング「怪人マブセ博士」

 渋谷にて。「歴史上の名作4」特集。32年、ドイツ。
 シネマヴェーラのチラシの国名は、西ドイツになっているが。1932年だぜ。
 もっとも、大映映画を、買い取ったから、角川映画、と表記するようなものか。
 映画の怪人フリッツ・ラングとしては、あまりスーパーではない、快作というには、少し、はばかれる作品。スリラーとして、その場限りの、思いつきの物語展開。ちょっと、古びたのは、残念。古びても、面白ければ、いいんだけどね。
 精神病院、妄想患者、それを支配する精神科医が、ミイラ取りがミイラになる展開。なんか、このパターンが多い気がするなあ、戦前ドイツ。さすが、精神医学の本拠地。
 と、同時に、ナチ・ドイツの支配下にあったゆえの、<病理>か。
 本作はナチにより、上映禁止処分を受けたとのことだが、いまの視点で見ると、まったくたいしたことはない映画なのだが。
 国ぐるみでどんどん悪いことをしている、軍事独裁国ほど、表現はお清潔になり、下卑た社会暗黒面は、描かれなくなる。
 「高潔」な表現、「高潔」な主張しかしない国には、気をつけたほうが、いい。自分だけが正義、なんてことを声高に主張する国は、ホントに、怪しい国ばかりなんだよね(笑)。ナチとか、北朝鮮とか中国とか(笑)。
 精神病院を根城にする、犯罪王「怪人マブセ博士」と、警察の捜査。
 冒頭の、老朽工場の、怪しい機械音のなか、トーキーとはいえ、せりふなし、アクションのみの、サイレント調描写が、面白い。やはりトーキー初期だけに、手馴れたサイレント描写の素晴らしさ。
 もっとも老朽工場といっても、当時としては最新の工場なのか。いま見ると、機械がクラシックで、老朽に見えるのかも。
 演技も演出も、サイレント調とトーキー調との、混合。マブセ博士の怪人ぶりも、おどろおどろしい。
 そして、元刑事の目撃者も、恐怖のあまり、発狂する。
 その彼と、マブセ博士の治療に当たる、精神科医も、また、発狂する。そして、実は、この精神科医こそが、真のマブセ博士、なのだという。
 みんな、発狂する、ところが、ナチの忌避に触れたのかな。
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by mukashinoeiga | 2010-10-02 22:07 | 旧作外国映画感想文 | Trackback | Comments(1)

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Commented by Buy cialis online at 2018-04-18 23:31 x

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