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五所平之助「新雪」水島道太郎月丘夢路

 京橋にて。「フィルム・コレクションに見るNFCの40年」特集。42年、大映。
五所平之助「新雪」水島道太郎月丘夢路_e0178641_2102360.jpg 六甲山のふもとの小学校の話。といっても、戦時体制化の「小学校」は、小国民を育てる「国民学校」に、名前が変わっている。名前だけでなく、内実も変わらなければ、と「訓導」(当時の小学校教師に対する呼称)水島道太郎は、考える。
 そう戦後日活アクションなどで、ふてぶてしい中年男になって、悪役を主に演じた、水島道太郎が、好青年をさわやかに演じる。いがぐり頭の青年教師、見ているだけで、素朴で、直情で、理想に燃えていて、でも悩みもひそかにあって、ああ、これこそ、ザ・青年、いいなあ。
 当時は、隣組という、一種の町内親睦会があって、「常会」と称してたびたび隣近所が集まっていた。そういえば温泉地でも、常会やりましょう、というのが、清水宏「簪」にあったなあ。
 そういう、小学校を介したつながりと、隣組を介したつながりの、地域の、「好ましい、しがらみ」のなかで、映画はつづられていく。
 恩師の娘・美鳩まりも、女医・月丘夢路も、そういう隣組の関係だし、なおかつ彼女らの弟たちが水島の生徒だし、そういう中で、教育に悩む青年訓導や、彼を慕う娘たちの青春メロドラマが、転がっていく。
 言いわすれたが、このプリントは<ゴスフィルモフォンドで発見された日本映画のひとつ>で、オリジナル124分中84分のみ現存している、短縮版。ほぼ2/3だが、エピソードは飛びつつ、ほぼ全容はわかる仕組みになっている。
 五所平之助も、松竹をやめて(一説には、清水宏の讒言により、松竹を追われて?)大映入社の第一回ということだが、手堅くまとめている。
 水島道太郎の、明朗さが、いい。


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by mukashinoeiga | 2010-09-13 22:21 | 旧作日本映画感想文 | Comments(0)

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