中川信夫「エノケンのとび助冒険旅行」

 神保町にて。「夏休み特別企画・昭和の子供たち」特集。49年・新東宝=エノケンプロ。
 新東宝は、コマ不足、専属俳優不足、資金不足で、ごらんのような提携作品が多いようだ。本作もエノケン一座のユニット出演とおぼしく、ナレーションの徳川夢声以外は、ホントに無名の役者たち。なかでも、一座のヒロイン女優・旭輝子の美貌を確認した。
 戦乱きわまり、廃墟の街と化した京の都、お定まりの強盗と、追いかけっこする紙芝居屋のおっちゃん・エノケン。そう、紙芝居屋なのだ、京の都は、軽演劇の舞台の書割そのままのセット。美術費も浮くし、童話ファンタジー感も増す。何より、エノケン一座美術部には、お手の物だろう。
 しかし、この追いかけっこで、エノケンの体技に、まったく冴えがない。伝え聞く、戦前の体技の片鱗もないどころか、動きのキレすら、ない、普通人の動き。
 あー、つらいなあ。
 この騒動で出会った少女の、母を求めて駿河の国までのン千里冒険行に、エノケンは付き合うハメに。以後、妖怪化け物と出会いつつ、母の元へ。
 年をとって、全盛期を過ぎたコメディアンの、ルーティン・ワーク。しかし、それはそれとして、エノケンのスタア体質は、隠しようもなく、繊細低体温な中川信夫には、やはり、水と油か。
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by mukashinoeiga | 2010-08-30 00:02 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(0)

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