人気ブログランキング |

三隅研次「かげろう笠」香川京子長谷川一夫新珠三千代中村鴈治郎香川良介荒木忍清水元

 神保町にて。「娯楽の王様・時代劇黄金週間」特集。59年・大映京都。
 わぁい、未見の三隅だあ、と喜んだのもつかの間、最初から既視感あり(泣)。でも、既見ながら、楽しい楽しい。後期三隅のかっとんだショットはないながら、娯楽のつぼを押さえた、プログラム・ピクチャアの、さりげないゴージャスが、幾度も現われ、安定したエンターティンメントを堪能す。
 安い流れ者・長谷川一夫、しかしながら、腐っても鯛の、一本芯を通したオトコギ、ふとしたことで、江戸へ向かう途中の、盲目の姫・香川京子を助ける羽目に。オトコギの長谷川、助けるといったら、とことん助ける。
 このヒーローが長谷川ではなく、もっと若い男なら、香川と恋仲になるだろう、しかし長谷川は当時かなりのおっさん。ということで盲目の香川との関係は、かのチャップリンのそれを模倣していく。ひょうきんな、かるみのある長谷川も、また楽しい。
 劇中、唐突に髪結い・新珠三千代が<出現>し、二人に親切。これだけ、かくも濃密な映画なのに、上映時間は88分、サブ・キャラの<いきなり唐突出現>もやむをえないか。長時間大作には許される<贅沢な時間>は、プログラム・ピクチャアの大映、そして三隅には、許されざるもの。
 そして、中盤、これまた唐突に、夢見る香川の妄想ショー。妄想の中での香川は目が見え、夢のような美しいシチュで<恋人>長谷川に、にっこり。ただし香川は、実際の長谷川は見たことがないので、シーンごとに長谷川のシチュエーション・コスプレが変化する。ああ、夢見るお姫様。
 というエクスキューズで、長谷川の早変わりコスプレ。地味で薄汚い三度笠ものの映画で、これじゃあ長谷川先生、あまりに地味すぎる、と取り巻きから文句でも出たか。やっぱり長谷川ファンは、こういう華麗な、ショーアップされた長谷川先生が見たいのよ、とか。
 そういう無茶なリクエストも難なくクリアして、水準的な娯楽映画の一丁上がり。そもそも、初々しいアイドル・香川京子と、御大・長谷川一夫の無茶な組み合わせすら、難なくこなしてしまうのだ。
 平常運転の三隅も、また素晴らしい。それを支える、大映美術陣も相変わらずの職人芸。

e0178641_20464016.png◎追記◎
かげろう笠(87分・35mm・カラー) <フィルムセンターHPより>
1959(大映京都)(監)三隅研次(脚)犬塚稔(撮)今井ひろし(美)太田誠一(音)斎藤一郎(出)長谷川一夫、香川京子、新珠三千代、中村鴈治郎、香川良介、荒木忍、清水元、杉山昌三九、田崎潤、舟木洋一、光岡竜三郎、伊達三郎、上田寛、羅門光三郎
盲目の菊姫(香川)を奸臣の襲撃から救った風来坊の弥太郎(長谷川)。2人は互いの身分を知らないまま江戸へと向かい、弥太郎は菊姫の眼の治療代を稼ぐため博打をやめ、心を入れ替えて働き始める。『街の灯』や『ローマの休日』を思わせる、身分差のある男女が織りなす股旅ロマンス。

★Movie Walker★に、タイトル検索で詳細な作品情報あり。簡単な作品解説、あらすじ紹介(企画書レヴェルの初期情報の孫引きゆえ、しばしば実際とは違うが)。

★新・今、そこにある映画★日本映画・外国映画の、新作感想兄弟ブログ。
★映画流れ者★当ブログへの感想・質問・指導・いちゃ問はこちらへ

★人気ブログランキング・日本映画★
にほんブログ村 映画ブログ 名作・なつかし映画へ
★にほんブログ村・名作なつかし映画★

★にほんブログ村日本映画(邦画)★

by mukashinoeiga | 2010-04-30 23:41 | 三隅剣児女なみだ川と大魔剣 | Trackback | Comments(0)

トラックバックURL : https://mukasieiga.exblog.jp/tb/12566898
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
名前
URL
削除用パスワード