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野村浩将「舞台姿」

 京橋にて。「生誕百年 映画女優 田中絹代」大特集。40年、松竹大船。
 しがないどさ周りの一座、座長が河村黎吉で、その娘が絹代で。座員には、坂本武、吉川満子などおなじみの面々で。ただ、一座の中に、磯野秋雄、三井弘次、阿部正三郎という、戦前松竹の若手コメディー・トリオが出ているが、あまり出番がない。後年の「浮草」同様、ドロンする三井弘次、さては小津、パクったな。
 不入り、流れ旅、脱落者、ついには一座の解散、とこの種のどさ周りモノのルーティン。あまりにも気のない演出に、気を失うこと数度。浩将、下手や。
 絹代が恋する一座の二枚目は、見たことのない人で、華がない。島崎溌、という人か。1940年代(敗戦までの)デヴュー松竹若手男女優は、おおむね華がない。時代のせいなのか。
 ただし、愚痴をこぼす黎吉、ぼやく黎吉、とうとうとしゃべりまくる黎吉、の魅力で、何とか見られるものに。ルーティンを、きっちりと、高水準でこなす、黎吉。黎吉独演会として、戦前松竹の命脈を保つ。絹代は、影が薄い。

by mukashinoeiga | 2009-11-09 23:46 | 旧作日本映画感想文 | Comments(0)

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