谷口千吉「赤線基地」根岸明美三国連太郎金子信雄中北千枝子

 京橋にて。「逝ける映画人を偲んで 2007-2008」特集。53年・東宝。
e0178641_1858312.jpg 監督・谷口千吉と、主演・根岸明美の追悼。これまで見た谷口映画のなかでは抜群に面白い快作。代表作と言われる「銀嶺の果て」をはじめとする凡作群のなかで、快作「カモとネギ」よりも面白い。
 NFC解説によれば「反米的なテーマのため一時は上映見送りとなった」というが、実際に今現在の視点から見てみると、反米色はゼロである、と断言してよい。かといって、反日色もあるとは思えない。政治的にも映画的にもこの映画、非常にバランスよくて、主人公・三国連太郎の弟・金子信雄のように、家族の誰にもいい顔して、いいこと言う八方美人。ホント、堂に入った八方美人な金子信雄そのままの映画なんですね。誰も映画を見ずに、その<テーマ>で映画を抹殺ないし称揚する、そういう無理無体に翻弄されてきたのが<テーマ映画>なんだけど、そういう映画ですらないこんな映画までその影響を受けるのは、やはりおかしいだろう。
 富士山の裾野の村で、十年ぶりに満州から復員してきた三国には、戸惑うことばかり。自分の部屋だった実家の離れは、ガールさん、ことその実態はオンリーさんに貸間している。このガールさん、根岸明美が彼女最高のパフォーマンス。アメリカンなパワーの裏にある浪花節。
e0178641_18584838.jpg 離れと言いながら、母屋と一体になった離れで、この二つ家に家族のさまざまな出し入れがあって、それが面白い。いささか演劇的だけれども、なかなか効果的だ。
 三国の元カノに、衝撃の登場は、中北千枝子。アルバム写真の17才清純乙女もビミョーだが、戦後のパンパン姿のケバさも凄い。その化粧自体が、すでにオカルト(笑)。元清純派の面影すらない、かなり残酷なキャスティングじゃないか。

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by mukashinoeiga | 2009-09-04 08:57 | 傑作・快作の森 | Trackback | Comments(2)

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Commented by サセレシア at 2018-07-02 08:10 x
バスに乗り合わせた二人がなんとも
仄かにハッピーエンドを感じさせる
エンディングが素晴らしい。
「ハッピーエンド」を描くより遥かに効果的
だと思います。


チンピラがヒロポンの隠し場所である
主人公たちの家に乗り込んできた時に
殴り合いながらも撤退させた長男(三国)に対して
家に入れるくらい良いじゃないかという家人。
『家とはそういうものじゃない』と言う三国に戦前
の漢をみたような気がしました。

タイトルからは想像も出来ない爽やかな作品でした。

日生のおばちゃんにも座布団三枚!
(あれじゃ勧誘出来まへんけど)。
Commented by mukashinoeiga at 2018-07-03 03:48
谷口千吉「赤線基地」へのコメント、サセレシアさん、ども。

>仄かにハッピーエンドを感じさせるエンディングが素晴らしい。

 いかにも往年の日本映画らしい淡さですよね。

>(あれじゃ勧誘出来まへんけど)。


 いかにもパンパンに対する悪意ありありでしたね(笑)。 昔の映画


 
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