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増村保造「氾濫」佐分利信若尾文子沢村貞子左幸子叶順子中村伸郎船越英二伊藤雄之助

強度の強い絶品群像劇。ついで見の再見だが、何度見ても楽しめる大傑作。
 京橋にて「特集・逝ける映画人を偲んで 2015-2016」。59年、大映東京。
e0178641_5272317.jpg この濃密な傑作が100分以内に収まるという奇跡の職人技! 
 マスマスムラムラや脚本白坂依志夫や音楽塚原晢ほか大映スタッフの、奇跡かつ平常運転の絶品!
 これが70年代~現在の邦画だったら、一本立て指向もあり、二時間越えは必然であり、このシマリはなくなっていただろう。

 登場する男ども、ほぼ全員ゲスの極み。
 それに対応して、女たちも、ほぼほぼゲスい。あるいはそれなりに誠実な若尾文子も叶順子も沢村貞子も、ゲスな男に対応して、穢れていく。
 その中で、主人公サブリンの、昔から変わらぬ茫洋たる朴訥たるたたずまいが屹立している。とはいえ佐分利も、妻子に隠れて左幸子と不倫、ゲスさからは、逃れてはいない。このゲスさが、人間の本質なのだ、とマスマスムラムラは、グイグイえぐり出していくのが小気味いい。
  しかしこの熱気ある映画、ぼくはてっきり夏の映画と認識していたのだが川崎などコートを着ている。季節は秋冬なのか。
 秋冬でも夏の熱気の映画、さすがマスマスムラムラ、素晴らしい!

8氾濫(98分・35mm・カラー) (フィルムセンターHPより)
1959(大映東京)(脚)白坂依志夫(出)川崎敬三(種村恭助)、三角八郎(荒田助手)、目黒幸子(邦子)(監)増村保造(原)伊藤整(撮)村井博(美)渡辺竹三郎(音)塚原晢夫(出)佐分利信、若尾文子、沢村貞子、左幸子、叶順子、中村伸郎、金田一敦子、船越英二、伊藤雄之助、多々良純、倉田マユミ
新製品を開発して重役となった技術者一家が崩壊していくさまが、日本の化学工業界の現状を背景に描かれる。出世欲のために女を食い物にする貧しい化学者の役を演じた川崎敬三は、1954年大映ニューフェイス合格から二枚目として売り出されたが、次第に人間の弱さや卑劣さを巧みに表現する性格俳優へと変貌し、大映映画に不可欠な名バイプレーヤーとなった。(文字変色が追悼対象の方)

e0178641_527532.jpg やはり絶品のサブリンの重厚でありつつの軽妙さのすばらしさ。最後、重役を退き、ボロい研究棟で、多々良純研究員に向ける微妙かつ快活な笑顔が素晴らしい。
 さわやかでありつつ絶品卑劣な川崎敬三。
 絶品気持ち悪い笑顔がそれだけで気持ち悪い倉田マユミ(中村伸郎の妻)はその笑顔がすでにホラーだ。左幸子の、ぬめっとした顏も絶の品。三角八郎は、いつもながらの、愛嬌が、ゲスさを救っている。
 という、濃ゆいメンバーの中で、幸薄い目黒幸子が、どこに出ていたのが、思い出せない(笑)。
 幸子の幸はどこにある(笑)。

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by mukashinoeiga | 2017-08-13 05:28 | マスマス増村保造ムラムラ | Trackback | Comments(4)

三隅研次「女系家族」京マチ若尾田宮雁治郎

 京橋にて。「映画監督 三隅研次」特集。63年、大映京都。
 もう何度目かの鑑賞か、相変わらず、グッド。
 充実した撮影・宮川、大映美術陣、演出三隅の、圧倒的素晴らしさ。
 そして、京マチ子、若尾文子、田宮二郎、中村鴈治郎の絶品。
 田宮も含めた、その美貌、その人間的ないやらしい面、欲望と小細工、圧倒的な演技合戦、素晴らしい。

e0178641_1814517.jpg17女系家族(111分・35mm・カラー) <フィルムセンターHPより>
1963(大映京都)(監)三隅研次(原)山崎豊子(脚)依田義賢(撮)宮川一夫(美)内藤昭(音)斎藤一郎(出)京マチ子、若尾文子、田宮二郎、中村鴈治郎、高田美和、鳳八千代、浪花千栄子、北林谷栄、高桐真、遠藤辰雄、深見泰三、浅野進治郎
原作小説は山崎豊子の得意とする「(大阪)船場もの」の1つで、急死した商店主の莫大な遺産をめぐり、3人の娘と親族、番頭そして愛人が私利私欲をさらけ出しながら相争う。京、若尾、田宮ら華のある俳優陣に芸達者なベテランを配した、撮影所スター映画の醍醐味が堪能できる一篇。


e0178641_18184744.jpg 脚本・依田義賢、撮影・宮川一夫とのカラミでいえば、アイソもコソもないミゾケン映画と比べて、何たる愛嬌フクフクな作りか。
 新人・若尾文子を、ミゾケンの依頼で、浪花千栄子宅に住み込ませて、所作を習わせた、かつての師弟関係、このふたりの「本宅伺い」対決に、わくわく(笑)。
 年齢設定は32才だが、それより若そうな若尾の、おさない顔立ちの妖艶さ。童顔で、妖艶なんて、若尾にしか、出来ない。
 ただ、まあ、全員悪党欲の塊の割には、次女・鳳八千代の婿だけが、なんだか誠実そうで、まあ、演じている無名役者が、そういう雰囲気をかもし出しているせいか、彼までが嫁を裏切っては尺が伸びるという判断か。
 ただ、こうまで人間の色と欲を描いて、ひとりだけ無傷というのは、画竜点睛を欠くといいますか。
 このメンツで、三隅で「細雪」なんてのも、見たかったなあ。さしずめ市川版で石坂浩二の役が、田宮か。

若尾文子 つえ姿で半世紀ぶりに映画館舞台あいさつ

いや、これヤバい(笑)。当ブログに載ったからには、速攻消される可能性も(笑)。
女系家族 昭和38年

 1時間04分あたり、田宮と京の高まりとともに、急に窓の外が明るくなる(夜が明けたというところか)、その急変ぶりに、清順との近親性が。
◎追記◎↑やはり、消されましたな(笑)。

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by mukashinoeiga | 2016-03-06 18:19 | 三隅剣児女なみだ川と大魔剣 | Trackback | Comments(7)

田中重雄「新婚日記 恥しい夢」「新婚日記 嬉しい朝」

 新宿3丁目にて。「若尾文子映画祭 青春 アンコール上映」特集。56年、大映東京。
 感想駄文済みの木村恵吾「花嫁のため息」「新妻の寝ごと」が、遅いお正月気分のために、さながらTVドラマのノリで、公開されたように、下記Movie Walkerによれば、本シリーズは、ゴールデンウィーク狙いの、40分と45分の、添え物中篇シリーズ。添え物だから、尺を短くして回転を高めようというわけで、おそらく俳優のギャラなども、2本で1本分の計算なのだろう。
 木村恵吾「花嫁のため息」「新妻の寝ごと」との違いは、二点。
 あややの相手役が根上淳から、品川隆二に替わり、監督も変わった。
 これ、結構重要なこと。
 同じ大映の二枚目ながら、根上淳は、基本明るい。ちゃんと、ぼけることが出来る。
 一方、品川は陰性。ぼけれない。
 しかも演出のキムケイ木村恵吾は、代表作が「狸御殿」シリーズの、明るい御仁。田中重雄は、その名のとおり?重厚なドラマがお得意?
 ということで、ドラマはしゃきしゃき進まず、前シリーズから、さらに尺は縮んだのに、ゆったりとした展開となった。ただまあ、あややの愛らしさは、変わらず。
 なお、陰性一点張りの、絵に描いた「古典的」二枚目の品川隆二は、後年ナニをとち狂ったか、TVシリーズ「素浪人月影兵庫」「花山大吉」で、突き抜けた三枚目役を、近衛十四郎との名コンビで、人気を博す。
 ぼくの子供の頃は、このシリーズが大好きでした。この180度の大方向転換、人間、何がどうなるか、わからない(笑)。

e0178641_10573225.png新婚日記 恥しい夢 1956年4月28日公開 <Movie WalkerHPより>
高橋二三の原案から「頑張れゴンさん」の笠原良三と「東京犯罪地図」の池上金男が共同で脚本を書き、「浅草の灯」の田中重雄が監督した。新婚生活を描く明朗篇で、撮影は「しゃぼん玉親爺」の村井博が担当した。主な出演者は「赤線地帯」の若尾文子、「裁かれる十代」の品川隆二、「のり平の三等亭主」の藤間紫、「人情馬鹿」の潮万太郎、「しゃぼん玉親爺」の清川玉枝など。
三郎は電々公社の職員で今度、東京へ転勤するのを機会に恋人の千枝子と結婚、式後直ちに熊本から上京した。東京は住宅難だが、三郎の恩師白木博士が渡米するので、その留守番を仰せつかり心配はなかった。しかも電化設備の整った文化住宅。三郎は商売柄、電話を遊ばせておくのは勿体ないから近所の人に利用させようと到着の日に「電話ご利用下さい」の貼紙を玄関に出した。新婚第一夜があけ、二人が起きようとした時、表の戸を激しく叩く音がした。驚いて玄関に出ると、そこには近所の人が電話を借りようと大勢並んでいた。(以下略)

 渡米中の大家の博士の写真を、裏返して、キスをしようという新婚。その写真は、明らかに漱石のものだという、軽いギャグをかまして、ここに不足するものが二つ、という世情。
 ひとつは、住宅。
 今なら、何十階もの高層ビルが建てられ、坪当たりの収容人数は飛躍的に増大しているが、当時は技術不足、資材不足で、平地中心だったゆえだろうか。戦後の日本映画では、住宅不足が、一番の問題だったりする。
 あるいは、土地の所有権の流通が、旧態依然だったのだろうか。
 そこをうまくするりと利用していたのが、朝鮮人たちで、戸主の男性が、戦死したか、まだ帰還していないことをいいことに、焼け野原の駅前一等地を、戦争未亡人や銃後の妻から奪い取り、一時期、全国の駅前は、パチンコ屋ばかり、という事態に。まあ、日本人の一般庶民は、その点の抜け目なさ?が欠けていたので、住宅地探しに、うろうろする羽目になっていたわけですね。

 二つめは、情報ツールとしての電話。
 いくら電電公社に勤めているからといって、無料電話を提供するのは、いかがなものか。
まあ、かけさせるのはいいとして、かかってきた電話の取次ぎなど。若尾、その取次ぎを近所に伝えるだけで疲労困憊。せめて、一件当たりいくらと、料金を取ればいいのに。
 金を取るとなると、電電公社としては、違法アルバイトになるのかもしれないが。
 当時の風俗映画としては面白いが、新婚夫婦の、いかにイチャイチャが阻害されるかというところでは、前シリーズより、はるかに、劣る。

e0178641_10583131.png新婚日記 嬉しい朝 1956年5月11日公開 <Movie WalkerHPより>
一四四号掲載「新婚日記 恥しい夢」の続篇。スタッフ・キャストは大体前篇と同様であるが、脚本は笠原良三と高橋二三の共同担当。配役に「夕やけ雲」の東野英治郎、「残菊物語(1956)」の見明凡太朗などの追加がある。
新婚当時は、外遊している恩師白木先生邸の留守番をしていた三郎と千枝子も、今は隣家の二宮雪江の二階で間借り生活。しかし千枝子は最近、新婚当時居候に来た女学生ユリ子の寄宿舎で調理士をやり家計を補っていた。だが、その日、舎監の矢部先生にPTA推せんの調理士が決まったから辞めてくれと言われガッカリした。エリ子も半ベソになって抗議したがどうにもならず、事情を聞いた三郎は翌日、課長に残業を頼みこんだ。三郎は或る日、近所に住む月賦販売屋の北島から洋服箪笥を買ってしまったが、喜ぶと思った千枝子は、無駄使いをするなと三郎をきめつけた。(以下略)
(上記スチールだが、実際の映画でダブルストローでジュースを飲むのは、若尾と市川。スチールは完全にイメージ)

 当シリーズの俳優ビリングは、「若尾文子 市川和子 品川隆二」の、三枚看板。
 新婚家庭に居候する女学生・市川和子をプッシュするために、根上より格落ち感のある品川起用というところか。
 市川は、前シリーズの脇役女学生から、抜擢。可愛いが、オーラは、ない。典型的可愛いだけじゃダメなのよ女優。
 やはり、若尾文子クラスの女優は、そうそう生まれるわけではないということだ。
 新大屋・藤間紫も、やや、いいひと過ぎ、ドラマは、はじけない。まあ、それなりには、面白いんだけども。

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『若尾文子映画祭 青春』予告編 Ayako Wakao Film Festival Trailer

素浪人花山大吉

1965 「素浪人月影兵庫」近衛十四郎・品川隆二


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by mukashinoeiga | 2016-01-10 11:00 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(0)

木村恵吾「花嫁のため息」「新妻の寝ごと」

 新宿3丁目にて。「若尾文子映画祭 青春 アンコール上映」特集。56年、大映東京。
 53分と43分の、添え物中篇シリーズ。下記Movie Walkerによれば、遅いお正月気分のために、さながらTVドラマのノリで、公開されたようだ。添え物だから、尺を短くして回転を高めようというわけで、おそらく俳優のギャラなども、2本で1本分の計算なのだろう。

 今年のシネ初めは、若尾文子中篇4本立て。この上映は初見参だが、初デジタル化などと、なんだかデジタル化がえらいかのような、角川の態度には、ややむかついて、今まで来なかった。今回も、あややデヴュー作、小石栄一「死の街を逃れて」は、見れない。残念。
 なお、いきなり行ったので当日券1600円を払うつもりだったのに、受付のお兄さんが、今すぐ作れる角川シネマ、テアトル系列の会員カードで、入会金千円、ただし招待券1枚付きで、なんやかんやで1番組あたり千円強で見れることになった。閑話休題。

『若尾文子映画祭 青春』予告編 Ayako Wakao Film Festival Trailer


e0178641_1015971.png花嫁のため息 1956年1月9日公開 <Movie WalkerHPより>
「娘の縁談」の木村恵吾が脚本と監督を兼ね、「ブルーバ」の共同撮影者の一人、高橋通夫が撮影を担当した。主なる出演者は「七人の兄いもうと」の根上淳、若尾文子、船橋英二、市川和子、「生きものの記録」の藤原釜足、「浅草の鬼」の伏見和子、「市川馬五郎一座顛末記 浮草日記」の東野英治郎など。
六畳と四畳半だけの船山家では今しも敬太の結婚式というので、世話好きな隣家の女房おらくが先に立ち、近所のおかみさん連中や高校生お美代ちゃんまでが応援に駈けつけての大騒動だ。やがて式も終り、やっと二人きりになった悦びに新郎の敬太が花嫁芳子の手をとったとき、表戸を叩いたのは久しく音信不通の悪友大山である。(以下略)

 現代では、およそありえないだろう自宅での結婚式。宴席用の料理は、すべて狭い庭で、近所の主婦総出で煮炊き。突然の雨で、煮物の鍋も、焼き魚も、お銚子もすべて雨びたし。
 花嫁も、花嫁衣裳のすそをからげて、料理を雨から守る(ただし、顔は、映さない)。後日、貸衣装の花嫁衣装がずぶぬれだったので、割増料金を請求され、大赤字、という落ち。
 なお、尾頭付きの鯛を、出前してきたのは、若き魚屋・中条静夫。一尾30円の最低ランクの鯛なので、小魚のごとく小さい(笑)。「こんなんでも、せめて35円じゃなきゃ割が合わない」と中条。「ダメダメ。30円」と、岡村文子オバサン。「ついでに、あんた、その鯛、焼いていって」と、七輪を指差す。
「かなわねエな」と、七輪で鯛を焼く中条。
 ああ、ザ昭和だなあ(笑)。なんだか楽しそう。
e0178641_10155589.png なお、ここまでと、その後しばらく、中篇なのに最初の10分くらいは、ヒロインの花嫁の顔を、出さない。じらしにじらしたあと、新進女優・若尾文子が、暖簾をくぐって、顔を、やっと出す。
 冒頭の出番のなさに、かえって、この新進女優への愛を感じる。
 で、いったん出てきたら、若尾の愛らしさ全開で。
 うれしはずかし新婚初夜に、新郎・根上淳の悪友・船越英二がいきなり、上京して来て、今夜は、泊めてくれ、と自分勝手に。
 翌夜も、根上の故郷の老人連が、無神経に宿代節約のため、泊り込む大騒動。
 この「意図」は、明白。うれしはずかし新婚初夜の、あれもこれをも、描きたい。いや、描くのが本作の主テーマだ。しかし、時代の制約ゆえ、新婚夫婦のキスシーンでさえ、直接描写は、ダメ。そこで、映画は、その、うれしはずかしが、いかに、ミッションインポッシブルなのか、という描写に精勤する。
 「本来の主テーマ」を、いかに、映さないか、に特化した、それゆえのコメディ性を追求する、せざるをえない? いや、それが、かえって職人の楽しみ(笑)。
 本末転倒か苦肉の策か、マゾヒズムか隠微な?細部の工夫が、かくて倒錯的な?快作コメディを生む。
 冒頭、ヒロインの顔を隠し続けたように、ついに53分間、うれしはずかしを、先延ばしにする。
 ラスト、新郎新婦は、はれて二人きりになり、初?キス。
 しかし、そのキスも、鴨居にかけた額縁の絵がずれて、見えない。
 この新築ながら安普請の、家は、近くに鉄道があり、列車が通るたびに大振動大音響で、そのたびに絵が、ずれる、というルーティン・ギャグを何度か繰り返し、その繰り返しで、最後の落ち。
 これだけでなく、短い中篇に凝縮された、濃密な脚本・演出の妙が、随所で味わえる。プログラムピクチャアとして、グッド。

e0178641_10161645.jpg新妻の寝ごと 1956年1月15日公開 <Movie WalkerHPより>
前号「花嫁のため息」につぐ同スタッフ、キャストによるものにつき省略。
新婚の敬太、芳子夫婦の家に芳子の友人ふみ子が夫婦喧嘩のあげく家出をして来た。困った二人はふみ子に里心を起させるために芝居をした。ふみ子は当てられて帰って行ったが、敬太も芳子をつれて熱海に行くことになってしまった。車中で敬太は芳子の父の儀左衛門に会った。儀左衛門は組合の寄合だといって女房の牧江をだまし、芸者の千代菊をつれて熱海に遊びに行くところであった。(以下略)

 前作とはまったく真逆に、冒頭会社から帰って来た根上と、若尾は、キスキスキスと、キス連発(笑)。タイトルも「花嫁」から「新妻」へ。
 この落差こそ、長編一本から、中篇二本に分けたのは、実は、営業上の理由からではない、ということを思わせる。
 このヒロインの、恥じらいから、羞恥心ゼロ?で、キス三昧では、あまりに、ヒロインが変わり過ぎて、一本の映画としては、持たない、という、純粋に、作劇上の判断だったのだ(笑)。
 なんとなんと(笑)。商売上、安く上げて、一本で二本分をでっち上げちゃおう、というのが、日本映画のお作法であったろうに、本シリーズに関しては、この配慮(笑)。うーん。
 なお、夫の浮気から、若尾家に居候して、ふたりの新婚気分を著しく阻害する、若尾の旧友に、岸田今日子。
 のちに増村保造「卍」で、まんじりねっちりと若尾と絡む岸田、因縁の出演か。
 なお、このふたり、夫婦そろって熱海にいくと、どちらも夫の希望で丸髷を結う。まあ、明らかにカツラだが。
 昭和戦前までは、普通に見られた、新妻の必須ヘアスタイルとして知られる丸髷が、1956年時点でも、生きているとは。
 夫たちも普通に自分の新妻が丸髷を結うことを望み、新妻たちも、それにうれしそうに、応える。
 演じるのがあややだけならともかく、かの岸田今日子まで。新劇女優だよ新劇女優。新派じゃないんだからさあ。

 なお、義父・藤原釜足の愛人芸者の後始末を押し付けられ、根上の愛人扱いに、若尾激おこ。ところが、さすがに良心がとがめて、釜足告白。「いや、実は、わしの愛人じゃ」。
 これを聞いた妻・市川春代、わが夫をののしるどころか、「いや、お父さんに愛人を作る勇気があるなんて、かえって見直しましたよ」と、微笑む。それに一家で、大笑いで幕。
 いや、これ、女性蔑視じゃあ、ありませんよ。ここで、脇役の市川が怒り爆発で夫を責めたら、43分で、映画は、ハッピーエンドには、ならない。
 何から何まで聡明に、しゃきしゃき展開する。グッド。

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 Movie Walker的にはまったく意味不明な「前号」というワードが、キネ旬のバックナンバーの丸写しであることを、堂々露呈する(笑)。 

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by mukashinoeiga | 2016-01-09 10:17 | 傑作・快作の森 | Trackback | Comments(0)

三隅研次大特集!上映(狂喜)

e0178641_23444789.jpg フィルムセンターで来年2016.1.5-3.13に、大レトロスペクティヴが、開かれる。
 (ほぼ)全作品必見の傑作快作と、言っていいと思う。
 まあ、なかには、凡作駄作の類もあることは、否定しないが(笑)。特に初期作品は、後年の三隅レヴェルとは違う、諸作もあるにはあるが(笑)。
 まあ、その話は、追い追い(笑)。 

★映画監督 三隅研次 | 東京国立近代美術館フィルムセンター★
三隅研次(1921-1975)は、時代劇に大胆な表現を導入し、極限的な状況における愛と死を描き続けることによって戦後の日本映画に新風を送りこんだ監督です。1921年に京都に生まれ、子供の頃から映画が好きだった三隅は、1941年、日活京都撮影所に助監督として入社します。しかし翌年に召集されてそのまま大陸で敗戦を迎え、シベリアで3年間の抑留生活を送ったのち、1948年にようやく帰国、大映京都に復職します。衣笠貞之助、伊藤大輔ら名匠の助監督に就き、1954年に『丹下左膳 こけ猿の壷』で監督デビュー、以後大映が1971年に倒産するまでの17年間で60本の映画を撮りました。その後は翌72年に西岡善信ら旧大映スタッフと共に製作プロダクション・映像京都の設立に加わり、監督としては勝プロダクションや松竹で7本の映画を撮ると同時に、テレビドラマの演出を数多く手がけました。しかし1975年、撮影中に倒れ、54歳の若さで急逝しました。その研ぎ澄まされた画面設計やスピーディーな語り口は、衰退を見せ始めた撮影所体制下において時代劇の新たな可能性を示し、現在もなお新鮮な驚きを我々に与え続けています。
 本企画は、三隅の手がけた劇場公開映画51本と、テレビドラマ「必殺」シリーズ19本を60プログラムに組んで上映する大回顧特集です。珠玉の作品の数々を、ぜひフィルムセンターの大スクリーンでお楽しみください。(引用終わり)

 映画作品は、ほぼ見ているが、落穂ひろい的な未見作が楽しみ。既見作も、なるべく見たい。中には、何度も何度見ているものもあるが(笑)。TVドラマは、ほぼ未見なので、こちらも楽しみ。
 なお、僕が三隅エピソードで一番好きなのは、復員後、大映幹部?社長?に挨拶にいった際、「これからは、役者になりたい」と(笑)。「アホか」と、たちまち、助監督に戻されました、という(笑)。まあ、脇役役者(クレイジータイプか)の、三隅も、見てみたかったが。見果てぬ夢のひとつ。

〈映画〉 座頭市物語 〈予告編〉 Zatoichi

三隅研次監督『婦系図』 お蔦と主税の別れ

市川雷蔵「新撰組始末記」opening

町山智浩の映画塾!「没後40年 三隅研次の剣三部作」<予習編> 【WOWOW】#171

町山智浩の映画塾!「没後40年 三隅研次の剣三部作」<復習編> 【WOWOW】#171

★市川雷蔵と大映スターたち 01★
 以下エンエンとアップされた、貴重なドキュメンタリー。大映ファン必見。
 以前当ブロクにも、全部貼り付けましたが、直接ユーチューブに飛べば、まだ、見ることが出来る模様。

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by mukashinoeiga | 2015-12-18 23:50 | 三隅剣児女なみだ川と大魔剣 | Trackback | Comments(3)

初めて聞く女優ゴシップが満載

 濃い掲示板だなあ。
★聞きしに勝る美貌。~60年代 1960年代画像掲示板 明和水産★

★1960年代 画像掲示板 明和水産★

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by mukashinoeiga | 2015-01-22 22:54 | 業務連絡 | Trackback | Comments(0)

増村保造「音楽」

 京橋にて。「映画監督 増村保造」特集。72年、行動社=ATG。あと1回の上映。
 再見だが、例によってぼんくらなぼくの記憶力は、ほとんど機能していない初見状態(笑)。
 しかし、うーん、こ、コレは・・・・(笑)。
 これは、ある意味、感想駄文済みの増村保造「千羽鶴」の、真逆にある映画か。
 「千羽鶴」若尾文子は、絶えず発情欲情していて、すべてのシーンにおいて、悶えまくりハアハアしている。
 いっぽう本作の黒沢のり子は、不感症である。
 おそらく「千羽鶴」と「音楽」は一対の、好対照の映画として語られるべきものかもしれない。

音楽 (103分・35mm・カラー)<フィルムセンターHPより>
大映の倒産後、増村が長年のパートナーである藤井浩明(製作)、白坂依志夫(脚本)と設立した行動社の第1回作品。音楽だけが聞こえないという女の意外な過去が精神分析治療によって明かされる。原作は、増村が大映時代にも映画化を企画した三島由紀夫の小説。自由連想を描くシュールな映像が注目を集めた。
'72(行動社=ATG)(監)(脚)増村保造(原)三島由紀夫(撮)小林節雄(美)間野重雄(音)林光(出)黒沢のり子、細川俊之、高橋長英、森次浩司、藤田みどり、森秋子、三谷昇、松川勉、夏木章、松村若代、千月のり子、伊藤千明

 なお、本作のストーリー、及び原作の三島と増村の関係性をきわめてヴィヴィッドに捉えた★フツーに生きてるGAYの日常 増村保造「音楽」●MOVIEレビュー(ATG)★は、当ブログ以上に必読、的確明晰、ぜひお読みいただきたい。と、他ブログに頼りきりの当ブログなのであります(笑)。

 黒沢のり子は、不感症と告白できない。羞恥心と自尊心による。その代わり、「音楽が聞こえない」と、当初、表現していた。
 本作は、患者の彼女と、精神科医・細川俊之の二人の、精神分析バトルを描いた、いかにもマスマスムラムラな、ストーリー。おおむね、二人の言葉のやり取り、対決を描く、増村保造ならではの、ストロングスタイル。黒沢のり子も、細川俊之も、増村的責めのせりふで相手にぶつかっていくのだ。

 ただ、問題は(笑)。いかにもマスマスムラムラらしく、「色情狂」を責めのスタイルで描くのはともかくとして、「不感症」もまた、責めのスタイルで描く。
 黒沢のり子は、姿勢としても絶えず前のめりになり、マスマスムラムラ的としか言いようのない、攻めのスタイルで、ガンガンぶつかって行く。
 精神的(かつ肉体的?)ポジティヴ?の「色情狂」と、精神的(かつ肉体的?)ネガティヴ?の「不感症」の、それぞれの描写が、ベクトルは正反対?なのに、同じ「強度」で描いていいのか?
 どうなんだ、増村。という違和感は、否定できない(笑)。

 そして、後期増村でいつも思うのは、またしても、
 黒沢のり子が若尾文子であれば、ついでに細川俊之が田宮二郎であれば、という喪失感である。
 鈴木清順が、「あなたの映画はつじつまが合わない」といわれて、
「つじつまが合わない(と、感じる)のは、(主演)俳優のせい」と、開き直った(笑)迷言ないし名言を、想起させる。
 ぼくたちは、増村と若尾のベスト・マッチングを見すぎてしまった。三船と別離した黒沢映画がまったく失速したように、若尾と身二つになった増村映画の、コクとキレの喪失。冗談ではなく、福島第一の電源喪失に匹敵する悲劇だ。後期増村を見るたびに、ああ、若尾文子がいさえすれば、とないものねだり。
 若尾文子なら、「色情狂」も「不感症」も、エブリシングオーケーなのだ!
 死んだ子の年を数えるのが、増村ファンの、かなしいサガ。

 なお、鈴木清順といえば、彼と増村の映画的「親近性」にたびたび言及せざるを得ないが、京橋HPが言及する「自由連想を描くシュールな映像が注目を集め」、そのシュールな映像は、鈴木清順を、改めて連想させる。冒頭のはさみの開閉は、鈴木清順「ツィゴイネルワイゼン」冒頭のカニさんに近似。着物を繰り広げるシーンもどうよう。
 ただし、超合理主義・増村の「シュール」さは、鈴木清順のシュールパワーとは、比較にならない。「音楽」の「シュール」描写は、「ツィゴイネルワイゼン」の、制作時期は逆だが、下手な模倣、出来損ないである。

三島由紀夫 音楽

 画質は、悪い。

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by mukashinoeiga | 2014-08-27 05:11 | マスマス増村保造ムラムラ | Trackback | Comments(2)

増村保造「千羽鶴」

 京橋にて。「映画監督 増村保造」特集。69年、大映東京。あと1回の上映。
 やはり奇ッ怪な傑作/怪作でありますね。
 ある意味デヴィッド・リンチであり鈴木清順。
 再見だが、その細部はほとんど忘れているのには、自分でも驚く(笑)。ナンセ、京マチの、アノでかい胸のあざ?まで、忘れているとは(笑)。
e0178641_2543772.jpg 覚えていたのは、大怪獣・若尾文子の演技のみ(笑)とは。
 それだけ、本作の彼女の演技のすばらしさと、特異さ(笑)。

 なんてったって、登場シーンすべての演技とせりふで、若尾は、ハアハアもだえて、あえいで、くねくねして、よろめいているのだから。そのせりふのすべてが、あえいでいる。
 この映画の若尾の演技の特異な点は、濡れ場だけではなく、ふつうのシーンでも、ハアハアあえいでいる点だ。それでギャグにならず、絶えずぬめぬめ、くねくね。
 こんな剛速球演技を全編にわたって、いや、超変化球演技か、やってのける女優は、世界広しといえども、若尾文子以外だれがいるだろう。
 おそらく、増村保造の要求する水準を軽く超えて、鬼気迫る演技。この映画を見たら、世界中の女優が嫉妬するか。まああまりにレヴェルが違うので、嫉妬しようもないだろうか。
 女は情動、妄執のまま、生きる。男は迷走する。まさしく、マスマスムラムラな映画だ。
 そして「ご婦人は理不尽」そのものを体現する若尾文子。あまりに素晴らしすぎる。

e0178641_256434.jpg千羽鶴 (96分・35mm・カラー) <フィルムセンターHPより>
川端康成のノーベル文学賞受賞記念映画。元々市川雷蔵による企画だが、雷蔵の体調不良により平幹二朗が起用された。増村と若尾文子の最後のコンビ作であり、若尾は終始、荒い息づかいと熱に浮かされたようなたたずまいで、かつて愛した男の息子を同様に愛してしまう女性を演じている。
'69(大映東京)(監)増村保造(原)川端康成(脚)新藤兼人(撮)小林節雄(美)渡辺竹三郎(音)林光(出)京マチ子、若尾文子、平幹二朗、梓英子、南美川洋子、船越英二、新宮信子、北林谷栄、目黒幸子、松村若代、福原真理子、三笠すみれ

 完璧なストーリー紹介は★【映画】千羽鶴 - いくらおにぎりブログ★を参照されたい。テキトーな駄文しかかけないぼくには、このブログの「苦行」はムリ(笑)。

 さて、若尾の演技は神がかっているが、京マチもまた、凄い。若尾があまりに凄いので、見劣りのするハナからの負け戦だが、「中婆」役に徹して、負け戦は負け戦なりに善戦している。
 考えてみれば、若尾を筆頭に、大映のスタア男女優は、かなりの演技巧者だ。ガラだけの日活、タイプキャストの東映、アイドル演技の東宝、何の冒険もしない松竹などにあって、チャレンジャーな大映・若尾・増村。

 市川雷蔵の代役が、平幹二朗ということだが、このヒラミキの演技から逆算して、雷蔵の演技を思い浮かべることが、ぼくにはできない。
 メロドラマ役者としてヒラミキは、ある意味完璧。しかしかくも完璧なメロドラマ「相手役」演技が、雷蔵に、出来るのか。雷蔵は「相手役」に徹することが出来るのか。
 逆に言えば、相手役が雷蔵だったら、若尾文子は、これほど振り切った、フルスロットルの演技が、出来たのだろうか。ある意味「格下」のヒラミキだから、かくも吹っ切れたのでは、ないかな。
 大映京都の大御所プリンス雷蔵に、あんな卑怯(笑)な演技をエンエンしかけられるのか。
 いや、仮に仕掛けられたとしても、雷蔵の演技は?(笑) ヒラミキは、無表情?に徹して、「やり過ごした」が?
 やはり雷蔵としても、無表情?に徹して、「やり過ごす」だろうが、なんとなくヒラミキより、「雑味」?が、あるような気がする(笑)。
 それとも「卑怯」な演技の若尾に、これまた「卑怯」な演技で対抗しただろうか、雷蔵は(笑)。いや、雷蔵は、そもそも「卑怯」な演技の引き出しは、もっていはいまい。
「ちょっと、卑怯すぎるよ若尾ちゃん。マスさん、とめてぇな」とか、弱音を吐きそう(笑)。
 いっぽう、まだ若手のヒラミキは、むっつり、つっころばしに徹して、卑怯な若尾攻撃に、ただただ耐える、と。結果、それが幸いしてか、若尾の卑怯攻撃に、ヨレることのないヒラミキなのであった(笑)。
 ヒラミキもまた、負け戦に「ほとんど勝っている」あるいは「ほとんど、負けていない」のでは、ないか。いや、負け戦は負け戦なのだが。ここまでやれば、勝ったも同然、といういいわけも成り立つレヴェルだ。

 そして、もうひとり「負け戦」を意外に「善戦」したのが若尾の娘役・梓英子。たいていは、ガチャガチャしたチンピラ姉ちゃんを得意とした彼女が、打って変わって和服姿のメロドラマに参戦。
 もともと若尾に勝てるわけがなく、特に本作の若尾にはなおさらだが、その範囲で「意外な善戦」だと思う。梓英子、その風情がケナゲで、はかなげで(巨人・若尾との対比で)、ちょっと惚れた(笑)。
 うーン、いつになく上から目線だなあ(笑)。
 あまりに破壊神か若尾と、それに耐え切った競演陣、といったところか。
 実は、破壊神・若尾に、唯一「勝った」女優がいる。ヒラミキの老女中・北林谷榮。猫背で超ウロン顔の老女。出たとたん爆笑を誘う。まあ「勝った」というより「独自の戦い」と申すべきか。

 しかしぼくなら(笑)本作の若尾や京マチは、ウザ過ぎる(笑)。最終的にヒラミキが選んだように、梓英子かな(笑)。
◎追記◎いや、こういうどろどろを危うくのところで回避した、ヒラミキの見合い相手、かわいい南美川洋子という手もある(笑)。
 ところで、若尾は父(船越)子(ヒラミキ)を、ともに愛と欲の対象にする親子丼。
 ヒラミキは母(若尾)娘(梓)ともに愛と欲の対象にする親子丼。
 ダブル親子丼という、川端の妄執も、またご立派(笑)。

 感想駄文済みの増村保造「赤い天使」で、鈴木清順との近質性を感じたが、本作でも、鈴木清順「ツィゴイネルワイゼン」との「近質性」を感じるのは、これも妄想の類だろうか。
 切通しを通って鎌倉の自宅に帰るヒラミキ・・・・同じく原田芳雄
 貸した茶碗を返してください、と迫る梓英子・・・・同じく大谷直子
 二人の男を同一視する若尾・・・・一人二役の大谷直子
 なんだか下世話な京マチ・・・・同じく大楠道代
 清順、さては、パクったな(笑)。

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by mukashinoeiga | 2014-08-25 05:42 | マスマス増村保造ムラムラ | Trackback | Comments(0)

島耕二「誘惑からの脱出」

 神保町にて。「にっぽん男優列伝~大映篇 キラリと光る優男たち」特集。57年、大映東京。
 神保町シアターが、珍しく、柄にもなく?レアモノを4本も、しかも同じ週に上映。とうとう1本は、見逃した。

お兄哥さんとお姐さん<神保町シアターHPより>  ←見逃した
S36('61)/大映京都/白黒/シネスコ/1時間24分
■監督:黒田義之■原作:川口松太郎■脚本:辻久一■撮影:本多平三■音楽:小川寛興■美術:内藤昭■出演:勝新太郎、万里昌代、田宮二郎、小林勝彦、小桜純子、志村喬、稲葉義男、毛利郁子
上州で謀略を巡らす熊の沢一家と争う、昔気質の玉村一家のために、渡世人・三次郎(勝)が立ちあがる。『悪名』でブレイク直後、絶好調の勝新の威勢の良さに胸がすく股旅時代劇。大映時代の田宮には珍しい時代物出演で、勝との息の合った共演は貴重。

 で、本作。

誘惑からの脱出 <神保町シアターHPより>
S32('57)/大映東京/カラー/ヴィスタ/1時間31分
■監督:島耕二■原案:原田光夫■脚本:須崎勝弥、島耕ニ■撮影:高橋通夫■音楽:大森盛太郎■美術:高橋康一■出演:根上淳、川口浩、若尾文子、角梨枝子、高松英郎、月田昌也、苅田とよみ、花布辰男
拳銃の名手の兄(根上)が刑期を終え出所し、弟(川口)と共に暮らすうち、弟が悪の道に誘い込まれていく…。知的でクールな二枚目として人気を博した根上淳が、命を賭して弟を守る兄を熱演する。弟の恋人役の若尾文子が健気な愛らしさで花を添える。

 で、50年代の大映の(別に大映に限らないのだが)文芸モノ寄り(ないしメロドラマ寄り)犯罪モノの、しまりのなさ、ゆるさから、本作も、逃れられていない。
 しまりのないモト犯罪者・根上淳は、ホントにトーシローと区別がつかない描写だし、悪の親分の、これまたしまりのない、チカラ弱い高松英郎。まるで宝塚みたいな、お子様感があふれている。歌劇の宝塚なら、何の問題もないのだが。
 愛らしい若尾文子も、何のしどころもない役で。かわいそう。
 ただ前半は、夜はキャバレーづとめの同僚に忠告していた彼女が、生活苦からその同僚の紹介で、キャバレーに。清純派と妖艶派と、二つの顔を持つあややの、変遷を一本の映画に凝縮して、その将来を予告するかのよう。
 も、相変わらずのやんちゃ感(若いときの彼にしか出せないアジ)川口浩の、楽しさではあるが、これまた、何のしどころもない役。
 ぬるい、いい加減な脚本、しまりのない演出。
 なんだけど、例によって、大映美術陣の、しまりも緩みもない、セット、情景が絶美(笑)。

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◎おまけ◎Anchin to Kiyohime 1960 [retro-trailer]

 最後に、ちょこっとだけ島耕二監督の後姿が。ホントの少し。

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by mukashinoeiga | 2014-08-15 06:22 | 島耕二と行くメロドラ航路 | Trackback | Comments(4)

増村保造「赤い天使」

 京橋にて。「映画監督 増村保造」特集。66年、大映東京。
 阿佐ヶ谷の小百合モーニングと、夜のロッテ西武戦の間に小時間が空く。再見だが、本作を見ることによって、マリンフィールド球場には、ちょうどよい時間に着けるであろう、というのが再見した理由であるが、やはり正解であった。あらためて、傑作である。
 感想駄文済みの増村保造「爛(ただれ)」の、文言を、また、繰り返さざるを得まい。

 
 再見だが、何度見ても素晴らしい。若尾文子のいちいちの表情、いちいちの演技、まさに絶品。

 このフレーズは、マスマスムラムラな若尾文子主演作に、何度も、繰り返さざるをえない(笑)。

赤い天使(95分・35mm・白黒) <フィルムセンターHPより>
『兵隊やくざ』に続き有馬頼義の小説を映画化。日中戦争で大陸の野戦病院に配属された従軍看護婦が、絶望と向き合う最前線で、一人の軍医への愛を貫く。戦争の残酷さをリアルに追求した描写とともに、ヒロインの壮絶な美しさが観る者を圧倒する。フランスで高い評価を受けた作品としても知られる。
'66(大映東京)(監)増村保造(原)有馬賴義(脚)笠原良三(撮)小林節雄(美)下河原友雄(音)池野成(出)若尾文子、芦田伸介、川津祐介、千波丈太郎、赤木欄子、小山内淳、井上大吾、仲村隆、谷謙一、飛田喜佐夫、河島尚真、池上綾子

 この映画は、いちおう反戦映画、というくくりになるだろうか。現に京橋8/9上映の翌日は、池袋の毎夏恒例反戦企画特集の一発目に、これまた傑作鈴木清順「春婦伝」'65と2本立て上映される。
 いや、この2本立ても、へヴィーやな(笑)。暗い静かな女の情念の「青い」炎の若尾文子と、高らかにより情動的な女の情念の「赤い」炎の野川由美子と。

 しかしこの2本は、左翼お花畑連中がくくりたがる「反戦映画」の枠組みを越えている、というのが、クールなマスマスムラムラと、クールな鈴木清順の、「ホンネ」ではあるまいか。
 とにかく極限の非常事態、「戦場の軍隊」という、「個人の情念」よりも「大状況の危機」が優先される中で、さらに当時「完璧に男祭り」「究極のマッチョ主義」の時代に、「ちっぽけな女の情念」なんて余地のない時代精神の中で、「個人の思い」は、いかに叩き潰されていったか、という時代に、
 時代反動的な女の情念を、いかに際立たせていくか、戦場という極限状況は、あくまで「女の情動」を、より、際立たせるための、体のいいシチュエーション設定だ、とは、いささか、いいすぎだろうか。

 「女の情動」をフルスロットルで演じうる稀有な女優・若尾文子を得て、では、彼女を最大限に生かすシチュは、と考えて、マスマスムラムラは、戦場という究極の「女性性抑圧シチュ」を設定する。
 「女の情動」をフルスロットルで演じうる稀有な女優・野川由美子を得て、では、彼女を最大限に生かすシチュは、と考えて、鈴木清順は、戦場という究極の「女性性抑圧シチュ」を設定する。
 もちろんともにプログラム・ピクチャア監督であるふたりは、会社からコレをやれ、アレをやれ、と命令されて、映画を作るわけだ。
 その社命とは、まさに「扇情的な戦場映画を作れ」ということだろうが、その結果、戦争映画では例外的な「女の情念」映画を作り上げた。一年違いの共時性とは、ちとオーヴァーか。
 成瀬・川島の共同監督作があるなら、このふたりのコラボも、見てみたかった。まあ、贅沢すぎる夢か(笑)。

 看護婦姿のあややは最強だし、軍服姿のコスプレもあり~の、若尾文子最強の一本。
 赤木欄子絶品の看護婦長、まるでロボットみたい、現状を露とも疑わない官僚ロボットのごとき、無表情ぶりは、助演女優賞モノ。
 また、なぜか増村の「理想的セルフイメージ」(笑)に近づきつつあるインテリ医・芦田伸介など、語りたいことはいっぱいあるので(増村の妻は歯科医、らしい。歯科医よりは、外科医、というマスマスムラムラの「妻より強い自分」願望の現れか(笑))、感想駄文パート2が、ある予定(笑)。

Akai tenshi 1966 - Trailer

 しかしこの予告では、マスマスムラムラの、若尾あややの、情念は、まったく伝わらない!

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by mukashinoeiga | 2014-08-10 11:31 | マスマス増村保造ムラムラ | Trackback | Comments(2)