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石井輝男「黒線地帯」天知茂三原葉子細川俊夫三ツ矢歌子

快作スタイリッシュ!
 渋谷にて「甦る映画魂 The Legend of石井輝男 十三回忌追悼」特集。58年、新東宝。
 石井が東映にてエログロが花開く以前、新東宝時代のおしゃれで軽快小粋なサスペンス・ミステリ快作。
 悪役たちの面構えが皆々素晴らしい。男の悪役がいいのは石井の趣味からして当然だが、女の悪役もなかなか。
 とても高校生には見えない三ツ矢歌子もかわいらしい。もっともアメリカ映画の女子高生もこんな感じだから、ハリウッド映画を大いに参照している石井にとってもオーケーだろう。

e0178641_2225453.jpg黒線地帯(デジタル)(81分)公開:1958年 (渋谷シネマヴェーラHPより)
監督:石井輝男
出演:天知茂、三原葉子、細川俊夫、三ツ矢歌子、大友純、吉田昌代、魚住純子、守山竜次、鳴門洋二、宗方祐二、瀬戸麗子、南原洋子、菊川大二郎、矢代京子、鮎川浩、城実穂、浅見比呂志
麻薬で女を縛り売春させている秘密組織を追うトップ屋の町田は、敵の罠にはまり売春婦殺しの容疑者として警察から追われることに。町田は無実を証明するため街を彷徨うが…。天知茂演じる町田のクールさと全編を貫くスピード感がかっこいいシリーズ!c国際放映

 ただ踊り子エキストラたちのプロポーションは、ずんぐりむっくり(笑)。彼女らをカットして、海外の映画祭に出せば、それなりに受けるのでは。
 これまた快演の三原葉子がラスト「これから網走ホテルにしばらく止まってくるわ」、石井暉男の網走愛は東映以前からあったのね(笑)。もっとも三原が網走から帰ってきたら、天知茂はちゃっかり三ツ矢歌子といい感じになっていたりして(笑)。

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by mukashinoeiga | 2017-06-26 22:03 | テリー石井 恐怖奇形番外地帯 | Trackback | Comments(0)

特集に石井暉男を追加しました

テリー石井 恐怖奇形番外地帯というタイトルで当ブログのカテゴリ(特集)に追加しました。
e0178641_93821100.jpg 今日も午後から渋谷シネマヴェーラの上映に行くつもり(笑)。


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by mukashinoeiga | 2017-06-04 09:39 | テリー石井 恐怖奇形番外地帯 | Trackback | Comments(0)

日本メジャー映画初レズビアン映画&初二次創作野村浩将「野戦看護婦」1953がなぜか注目!?

昔の記事が閲読数アップなぜだ、というのはたまにありますが、今回は、これ。
 ちょっと注目されたので画像を張り付け、記事タイトルも魔改造しました。詳しくは、元記事
★野村浩将「野戦看護婦」日本メジャー映画初のレズビアン映画!?折原啓子鶴田浩二宮城千賀子★
で。
e0178641_1915494.jpg 野村浩将のような戦前からの大ヴェテランが、このような革新的な、早すぎる傑作に起用されたのは、おそらく彼自身の代表作、戦前の大ヒット「愛染かつら」上原謙と田中絹代の演じたラヴシーンを、看護婦たちの演芸会で、女性同士で演じさせるという点にあったのだろう。
 日本映画では、実在の映画をなぞるという、今でいえば二次創作に当たる描写は、なかなかない。そういう意味で元ネタの監督に仁義を通したのだろうか。
 えっ、てことは、本作は、日本メジャー映画初のレズビアン映画であるだけではなく、男女間の思慕を、女女間のそれに変えた、日本初の二次創作ってこと?(笑)。
 スゴスギない?(笑)
 シネマヴェーラには、新東宝第2弾特集で強く本作をプッシュしたい(笑)。 

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by mukashinoeiga | 2017-05-26 19:17 | 業務連絡 | Trackback | Comments(0)

ベスト・オブ傑作・快作の森ほんとうの傑作はなんだ(本選)

さらに、減らしていく。

佐伯清「色事は俺にまかせろ」上原謙高峰三枝子風見章子田崎潤
深作欣二「資金源強奪」欣也梅辰室田川谷喜和子明香松方山城名和今井天津敏
江崎実生「七人の野獣 血の宣言」
石田民三「花つみ日記」高峰秀子
鈴木英夫「その場所に女ありて」司葉子
中平康「あした晴れるか」いづみ裕次郎
田坂具隆「陽のあたる坂道」
山内鉄也「忍者狩り」
野村浩将「野戦看護婦」
野村芳太郎「張込み」
曽根中生「㊙極楽紅弁天」
福田純「血とダイヤモンド」宝田明水野久美石立鉄男はデヴュー作
島津保次郎 「隣りの八重ちゃん」
牛原虚彦「進軍」
三池崇史「藁の楯」+「極道戦国史 不動」
古川卓巳「逆光線」
川島雄三「女は二度生まれる」
鷹森立一「君たちがいて僕がいた」
長谷川安人「集団奉行所破り」
川崎徹広「豚と金魚」
島津保次郎「兄とその妹」
村山三男「続・鉄砲犬」
衣笠貞之助「十字路」
島津保次郎「男性対女性」
柳瀬観「北国の街」
山中貞雄《パラパラ漫画アニメ》
石田民三「花ちりぬ」花井蘭子
石田民三「むかしの歌」
山村總「鹿島灘の女」

 これでも28作。
 こうなったら、もはやベストテンは早々にあきらめて、ベスト20と参ろう。
 たった8本抜けば、いいだけだ(笑)。
 抜いたのは、

野村浩将「野戦看護婦」
 おそらく日本メジャー映画初のレズビアン映画。出来で選んだわけではない。
川島雄三「女は二度生まれる」
 川島のベストでは、ない。
三池崇史「藁の楯」+「極道戦国史 不動」
 おまけの「極道戦国史 不動」は傑作だが、メインの「藁の楯」は、三池のベストでは、ない。

 同一監督の複数作は一本にまとめる(泣)。
島津保次郎「兄とその妹」
島津保次郎「男性対女性」
石田民三「花つみ日記」高峰秀子
石田民三「むかしの歌」

 あと1作が抜けぬ(笑)。ええい、こうなったら、ベスト21だっ。21世紀だもの(笑)。
 で、

佐伯清「色事は俺にまかせろ」上原謙高峰三枝子風見章子田崎潤
深作欣二「資金源強奪」欣也梅辰室田川谷喜和子明香松方山城名和今井天津敏
江崎実生「七人の野獣 血の宣言」
鈴木英夫「その場所に女ありて」司葉子
中平康「あした晴れるか」いづみ裕次郎
田坂具隆「陽のあたる坂道」
山内鉄也「忍者狩り」
野村芳太郎「張込み」
曽根中生「㊙極楽紅弁天」
福田純「血とダイヤモンド」宝田明水野久美石立鉄男はデヴュー作
島津保次郎 「隣りの八重ちゃん」
牛原虚彦「進軍」
古川卓巳「逆光線」
鷹森立一「君たちがいて僕がいた」
長谷川安人「集団奉行所破り」
川崎徹広「豚と金魚」
村山三男「続・鉄砲犬」
衣笠貞之助「十字路」
柳瀬観「北国の街」
山中貞雄《パラパラ漫画アニメ》
石田民三「花ちりぬ」花井蘭子
山村總「鹿島灘の女」

e0178641_16243438.jpg これは、わたくしメの、2009年~2017年3月までの、ごくごく個人的な、傑作快作21で、ございます。逆鑑賞順。
 この中で、あえて一本おススメを選べば、数年前にラピュタで見た後、一度も東京でかかっていない、楽しい楽しい川崎徹広「豚と金魚」であろうか。

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by mukashinoeiga | 2017-03-28 16:26 | 傑作・快作の森 | Trackback | Comments(5)

山本嘉次郎「春の戯れ」高峰秀子宇野重吉徳川夢声三島雅夫江川宇礼雄飯田蝶子

いやアこれは凄いっ! 49年、映画芸術協会=新東宝、配給・東宝。
e0178641_22503649.jpg 阿佐ヶ谷にて「松山善三・高峰秀子?夫婦で歩んだ映画人生」特集。
 いや、映画はとうの昔にフィルムセンターで見たのだけれど、ネットに挙がっているポスターがすごい。
 このイラスト、なんとも、いまでも通用するようなレヴェル。約70年前とは、信じられない。
 新東宝映画としても、東宝映画としても、珍しい
 わたせせいぞうのバッタものといっても、可笑しくない。イラストレーターは誰だ。
 ただしタイトルの「戯」のロゴが、なんだかすかすかしていて、気持ちよくないな。

春の戯れ (ラピュタ阿佐ヶ谷HPより)
1949年(S24)/映画芸術協会、新東宝/白黒/108分 ○東京国立近代美術館フィルムセンター所蔵作品c国際放映
■監督・脚本:山本嘉次郎/撮影:山崎一雄/美術:松山崇/音楽:早坂文雄
■出演:高峰秀子、宇野重吉、徳川夢声、三島雅夫、江川宇礼雄、飯田蝶子、鳥羽陽之助、一の宮あつ子
海の彼方に憧れて恋をふりきり船出する若者と、彼との想い出を胸にしまい商家の旦那に嫁ぐ娘──。マルセル・パニョルの名作『マリウス』を翻案した港町ロマン。ファニー役お花を高峰秀子が好演し、大人の女優として太鼓判を押された。

e0178641_2254167.jpg このポスターのモデル?となった、いつもは痩せているウノジュウだが、このスチールでは、ほほぷっくりのウノジュウ(笑)。

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by mukashinoeiga | 2017-03-26 22:54 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(4)

松林宗恵「天國(天国)はどこだ」津島恵子沼田曜一木村功原知佐子金田正一

なんじゃあこりゃあ。56年、新東宝。
 渋谷にて「玉石混淆!? 秘宝発掘! 新東宝のディープな世界」特集。
 ひどさもひどし。
 例えば某ツイッターでは、

####@#### 5時間5時間前
松林宗恵『天國はどこだ』。泥酔した木村功が、沼田曜一に悪態をついた後、左隣の津島恵子にしなだれかかり、甘ったれた口調で弱音を吐いて膝に顔をうずめる、さりげないパンによる長回しは演出・撮影が一体化した名人芸。お化け煙突が見える干潟ロケが見事な傑作。

と、絶賛だが、映画弱者のぼくなど、ついぞ名人芸、見事さを感知できなかった。改めて、我が身の無知ぶりを知らされる羽目になった。

e0178641_5205717.jpg『天國はどこだ(デジタル)』1956年 (渋谷シネマヴェーラHPより)
監督:松林宗恵
出演:津島恵子、沼田曜一、木村功、原知佐子、阿蘇孝子、加藤嘉、金田正一(国鉄スワローズ)、町田行彦(国鉄スワローズ)、西村晃
暴力団に支配される東京湾の部落。医師の古沢は、保育園の昌子先生と共に変革に立ち上がる。そんな時、昌子の恋人の健が出所して…。無気力な大人、懐にナイフを忍ばせる小学生、馬券売りに駆り出される保育園児と、貧乏部落の殺伐描写に背筋も凍る。「俺にはこんなことしか…!」暴力しか知らずに育った健の叫びが心に痛い社会派ドラマ。c国際放映

 ちなみに今更ながら気づいたが、シネマヴェーラのHPには、チラシに乗っている、製作会社、上映時間、白黒かカラーか、脚本撮影等のスタッフ表記が、ない。
 そのままコピペすれば済むのに、ネットを馬鹿にしているのか
 限定された紙面のチラシより、情報量は膨大であることが可能なネットで、手を抜くって、どういうこと。
 さらに言えば、過去上映作品のページには、タイトルのみで、その他の情報が一切ない。終わった上映だから、労力は使いません、って朝日新聞か(笑)。
 他の名画座とは違い、無気力かつ根暗な声で、上映前案内をして、観客の意欲をそぐアナウンスといい、異様な映画館といってもいいだろう(笑)。

 で、本作だが。
 まず茫然自失なのは、ダブル主演の一人、木村功が、並み居るやくざたちをぼんぼん打ちのめす怪力男だということ。
 ひごろ、ひ弱な文系ダメ男を演じることの多い木村が、やくざ役というのが、すでに可笑しいのだが、だれ一人かなわない怪力のケンカ上等男というのが、もうダメなのよ(笑)。
 しかもクローズアップされれば、瞳に星(まあ、照明なんだけど)の、美青年仕様。いったいどうして、この木村功を、ケンカ上等男に設定しえたのか。
 もっとも、対立するやくざたちも、組長・加藤嘉、代貸・織本順吉、兄貴分・西村晃と、どう見てもやくざに見えない面々。
 ほぼ全員新劇VS新劇の、いかにも非力そうな(笑)やくざたち。これでは、木村功に毎度毎度叩きのめされるのも無理ない面々。
 ことに織本順吉など、何回も何回も、出会うたびごとに、木村に叩きのめされ、これでどうやって、組幹部としての体面、保てるのか。保てないだろう。
 兄貴分の西村晃も、毎度木村にいいようにボコられて、下っ端への示しもつかない状態。
 
 で、やくざとしての木村功も、????状態。
 どこの組にも属さない、一匹狼。何の後ろ盾も子分も親分もいない。これに、一応組織化している、加藤嘉組長のやくざ組織は、手も足も出せない。
 これが組長が、加藤嘉ではなく、天津敏か遠藤辰郎だったら、集団による闇討ち、恋人・津島恵子の略奪人質化など、木村をぎゃふんといわせる手はいっぱいあったろう。手ぬるすぎるぞ加藤嘉。
 というか、一匹狼の、流れ者でもない地域密着型の木村功が、厳密な意味で「やくざ」とカテゴライズできるのか(笑)という問題もある。
 ばくち、ケンカ、商店からのみかじめ料取得など、堅気ではないが、地域の子供らの面倒を見、住民への差別をとがめる、たぶん在日系のお兄ちゃん。
 現代ならば、シバキ隊などにかかわるようなハンチク野郎。

 東映仁侠/ヤクザ映画を見慣れたぼくたちからすれば、それ以前の、左翼リベラルな、いかにもお花畑映画で。これを見事、傑作という神経が、まるで理解できまへん。

 ただ、一点、誤解しないでいただきたいのは、名画座の使命とは、傑作も駄作も、ひとしく等価に上映すること。こんな駄作凡作を上映してくれてありがとう、という感謝の気持ちしか、ないことは、強調しても強調しすぎることはないだろう。
 それが歴史的価値というものだ。
 ただし、新作ロードショーなら、駄作は、許さないよ(笑)。作ったヤツは、馬鹿、とののしるよ(笑)。木村功みたいに、のしちゃうぞ(笑)。
 なお、原知佐子が、田原知佐子という本名でデヴュー作。大変愛らしいが、デヴュー作が売春婦というのも、新人女優としてはちょっと、優遇されていないかな、と。
 なお、男の子の名前はみんなパトリックだそうだが、本作での木村功は、ケンさん。ヒーローやくざの名前はみんな健さんなんだね(笑)。ちなみに本特集の企画者はシモケンさん(笑)。

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by mukashinoeiga | 2017-03-19 05:26 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(2)

中川信夫「地獄」天知茂沼田曜一三ツ矢歌子

前半快作、後半大凡作。60年、新東宝。
 渋谷にて「玉石混淆!? 秘宝発掘! 新東宝のディープな世界」特集。
 未見作の同時上映として、何度目かの再見。世評に反して、うーん、あんまり評価できないなあ。

e0178641_231335.jpg『地獄(デジタル)』公開:1960年 (渋谷シネマヴェーラHPより)
監督:中川信夫
出演:天知茂、沼田曜一、中村虎彦、宮田文子、三ツ矢歌子、林寛、徳大寺君枝、山下明子、大友純、三ツ矢歌子、大谷友彦、宮浩一、新宮寺寛、泉田洋志、津路清子、小野彰子、石川冷、山川朔太郎、嵐寛寿郎
不幸続きの大学生・四郎と周りの因果な人たちが死んで地獄行きとなる前半から、後半の地獄巡りへと物語は続く。特に父・剛造の皮剥ぎの刑は骨や内臓が剥き出しになるエグさで、そんな阿鼻叫喚の中を「許して下さい」と彷徨う四郎が哀れにも可笑しい。中川信夫が意図した和製『ファウスト』とエログロ路線がないまぜになった本作は、新東宝の解散寸前に咲いた仇花的傑作カルト映画だ!

 まず前半。
 中川信夫「東海道四谷怪談」は、鈴木清順映画の祖型だと思った。
 本作には、寺山修司映画の祖型を感じる。田舎の描写、田舎の老人ホーム、これには、明らかな、寺山ライクなティストを強烈に感じる。
 大の大人の天知、沼田の学生服姿、沼田のカットんだ演技にも、寺山の影響を感じる。
 中川信夫を通じて、鈴木清順、寺山修司にいたる、アヴァンギャルド日本映画の脈絡。

 なお、後半だが、某ツイッターに共感(以下引用)。

シネマヴェーラの新東宝特集、中川信夫の地獄を観るのは4度目ですから、結構細部を覚えていて、既に知っているという安心感からか、ちと油断すると睡魔に襲われ、何度か寝落ちしましたが、目覚める度にアングルの凝った画面や意表をつく編集が出てきて、中川の構図感覚・編集感覚に感心させられます。(以上引用終わり。文字変色は引用者たる当ブログによる)

 いやー、ぼくも何度見ても、後半の地獄シーン見て、寝ちゃうんですよ(笑)。
 つまり、ぼくにとって、後半の地獄シーンは、退屈な描写で。
 それとも、この地獄描写は、ぼくにとって、あまりに心地よすぎて、寝ちゃうのかな。地獄こそ、ぼくの本性か(笑)。
 おそらく超マジメな中川信夫が、どう見てもクレイジーな地獄描写をすることの齟齬。真面目な中川が、クレイジーな地獄描写をするから、みんな寝落ちしちゃうんだよ(笑)。
 たぶん石井輝男か鈴木清順なら、あるいは鈴木則文なら、面白く見られただろう。
 寺山修司でも、ダメだったかな。いや、ダメながら、見てみたいな寺山版地獄(笑)。

e0178641_326842.jpg なお中川の構図感覚・編集感覚ということであれば、吊り橋を上から見下ろすショットは、CG全盛の今なら簡単にパソコン上で「偽造」できるが、当時は、本当に吊り橋以上の撮影位置を確保しなければならず、これは相当苦労したのではないかと、推察。
 執念の素晴らしいショットだった。

 一人二役の三ツ矢歌子、大変愛らしいが、まじめな中川ゆえ、一人二役の意味がない。ここはやはり、石井、清順、寺山で見たかった。
 沼田曜一の、特異な演技はもっと注目されてしかるべきだろう。

【語り】屁たれ嫁こ 梅津幸三氏
2012/05/24 に公開 演題:屁たれ嫁こ 作:沼田曜一
語り:梅津幸三(劇団やまなみ)動画製作:ハロー山梨 YaYaYa TV
http://www.yayaya.co.jp/

 
【語り】山んば 梅津幸三氏
2012/05/24 に公開 演題:山んば 作:沼田曜一
語り:梅津幸三(劇団やまなみ)動画製作:ハロー山梨 YaYaYa TV

 
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by mukashinoeiga | 2017-03-16 23:02 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(2)

佐伯清「色事は俺にまかせろ」上原謙高峰三枝子風見章子田崎潤

いいなあ快作ラヴコメ。50年、新東宝。
e0178641_3281521.jpg 渋谷にて「玉石混淆!? 秘宝発掘! 新東宝のディープな世界」特集。
 コミカルな色事師を快演する、絶対的快演の上原謙。素晴らしい。
 いかにもアメリカナイズの、ハリウッド・コメディ型を柄に合って演じている。
 企画者・下村健さんのツイッターによれば、

シネマヴェーラ渋谷「玉石混淆!? 秘宝発掘! 新東宝のディープな世界」で上映の『色事は俺にまかせろ』はオリジナルの『いつの日君帰る』から30分以上カットされてるのでどうしようかと思ったんだけど、現存はこれしかないし、こう云う機会でもないと観ることが出来ないと思い入れました。

 とのこと。おかげで貴重な快作を見ることができました。サンキュー。
 上原謙ベストテン映画を選ぶなら、絶対入るはずの、超貴重作で。ありがとうシモケンさん。

e0178641_330129.jpg『色事は俺にまかせろ(デジタル)』公開:1950年 (渋谷シネマヴェーラHPより)
監督:佐伯清
出演:上原謙、高峰三枝子、風見章子、田崎潤、清川荘司、伊藤雄之助、菅井一郎、藤原釜足
昭和十九年、外国の租界。プレイボーイ・佐竹の「貴女は夢の人に似ている」にコロッと騙されたウブな女流作家。それから五年、東京で再会した二人は…。手当たり次第に女を口説きながら、簡単に落ちる女を軽蔑する最低男・佐竹に下された鉄槌とは!? 乱れた前髪、眉間にしわ寄せ、「僕は運命の女性に出会えるでしょうか?」と性懲りもなく繰り返す上原謙がハマり過ぎ。©国際放映

 戦前松竹絶対のカップル、上原謙と高峰三枝子の、戦前より年を経たうえで、戦前の作ではありえなかった、恋の駆け引き。大人になったといえば大人になったし、汚れちまった、といえば汚れちまったし、最初はうぶなお嬢様の高峰が、後半むしろ女たらしの上原を圧倒するまでの、海千山千?に変貌?するナイスな展開。

 「クリスマスイヴは、女たらしにとっては、書き入れ時だからね」など、とナイスなセリフ満載の、オリジナル脚本・小国英雄がグッド。
 小国って、こんなナンパ(笑)な話も、やるんだ、とちょっと意外で。

 誰かのツイッターを覗いていたら、「上原謙の真の思い人?は、田崎潤」というコメントがあって、そういえば小国も参加していたはずの、黒沢明「悪い奴ほどよく眠る」にも、三船に異常なまでに思い入れしている加藤武なんてのも。
 加藤武と田崎潤、ティスト似てるし。さては、そういう趣味か。

 戦前の某都市(上海か、上海に雪は降るのか)と、戦後の東京に全く同じキャバレー?セットの、河野鷹思美術。なぜ美術の河野鷹思は、活動期間が短かったのか。

 長期にわたって地味な脇役女優だった、風見章子が準主役として華やかな歌手役というのも意外、これほどフィーチャーされた役を見たのは初めて。しかも準ヒロインといっていいが、この短縮版では、高峰と風見が知り合いであった、そのおおもとのシーンがカットされている。
 また居酒屋店主・藤原釜足も、セリフがカットされて、口パク状態、絶対見れないが、オリジナル版を見たかった。

 出版社社長・伊藤雄之助の経理社員。上原謙にお熱の役の江戸川蘭子。ウィキペディアによれば、1913年(大正2年)生まれって、この映画の時30代後半って、異様に若すぎないか(笑)。
江戸川蘭子 タンゴ・ローザ
2016/01/06 に公開
江戸川蘭子 タンゴ・ローザ 松竹少女歌劇団レヴュー『タンゴ・ローザ』主題歌。彼女のSPレコードはたまに見かけます。水の江滝子とコンビだったようですが短髪で話題の水の江が特出していたようです


南の花嫁さん(高峰三枝子)

「色事は俺にまかせろ」に比べると、明らかに目が大きい(笑)。
MBRZ01 南の花嫁さん 水樹奈々 150303 vL HD

 しかし現代の歌手が何でこんな歌うたうのか。しかも原曲を演歌チックに改変してまで??
劉依純 - 南の花嫁さん/ 幾度花落時

2011/11/20 にアップロード
民視歌唱綜藝節目「樂來樂動聽」(2007)
主持: 江淑娜 來賓: 劉依純
 これも、なんで(笑)。
 ただ、「お土産は、なあに」というフレーズには、強烈に聞き覚えがある。こどものころ、TVで、まだ高峰三枝子を識別しないまま、聞いたのだろうか。

国鉄 CM 1982年 フルムーン夫婦グリーンパス 上原謙 高峰三枝子.mp4


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by mukashinoeiga | 2017-03-15 03:30 | 傑作・快作の森 | Trackback | Comments(0)

阿部豊「青春怪談」宇津井健安西郷子上原謙高峰三枝子

なかなか面白いラヴコメだが。55年、新東宝。
 渋谷にて「玉石混淆!? 秘宝発掘! 新東宝のディープな世界」特集。
 おばさんになっても可愛い、おばキュート(笑)な高峰三枝子と、軽いコメディ演技も何のそのの美中年・上原謙の、美中年カップル。
 戦前松竹メロの花形同志であり、のちのフルムーンコンビ。
 ただ上原が宇津井を評して「あんまり美青年すぎる。美貌の男なんてろくなもんじゃない」(大意)というのは、小笑いしたが、楽屋落ち演出としては、ちょっと芸がなさすぎかな。
 こちらは通常のラヴコメというか、日本的スクリューボールコメディとして、割かしサクサク流れていくが、問題は、その息子娘世代の宇津井健と安西郷子カップルだ。
 こちらは、ラヴコメとしてひたすら「停滞」していく。

e0178641_2272768.jpg『青春怪談(デジタル)』公開:1955年 (渋谷シネマヴェーラHPより)
監督:阿部豊
出演:上原謙、高峰三枝子、宇津井健、安西郷子、越路吹雪、丹波哲郎、三原葉子
母と暮らす合理主義者の慎一と父と暮らすバレリーナの千春。二人は親同士を再婚させようと…。獅子文六の原作を日活と新東宝が映画化競作。轟夕起子の怪演が凄い市川崑版に比べ、ポップなテイストの阿部豊版では、上原謙・高峰三枝子のシニア・カップルをよりフィーチャー。おかまのバーテン・丹波哲郎、メタボなバレリーナ・三原葉子ら脇役陣にも注目。c国際放映

 戦後新風俗としての男女逆転劇。その風俗コメディぶりは、戦後昭和というより、いささか平成の現代を先取りしすぎているきらいもあるが。獅子文六フライングのし過ぎという。
 男の方の宇津井健は、当時のベンチャービジネス?パチンコ屋を経営する傍ら、母子家庭で、料理一切、家政万端を賄う、スーパー男子。女子力も男子力もともに兼ね備えたスーパージャイアンツ(笑)。
 このレヴェルなら、通いのお手伝いさんも必要かと思うが、まあそこは省略。
 問題は、短髪も可憐な安西郷子だ。
 男っぽい豪快さ、「お姉さま」と慕うガールフレンドもあり、実は自分は男なんじゃないか、と自分のアイデンティティーに違和感を持つ。
 本来なら、宇津井健と結婚すべきなんだろうが、年下の女の子も大好き。そこで、いろいろもやもや。ちゃんと、ラヴコメとして着地できない。
 これは、相当新しい展開なのでは、ないか。
 それを、現代に相当先行して、1950年代に、やってしまった、先取り感覚。
 現代であったら「性同一性障害」で一発回答、解決済みな案件なのだが、いかんせんその一発回答ワードがないことの、悲劇。
 やはり同じくストーカーという一発回答ワードがない時代は、ストーカー行為に対する対応も何も出来なかった、その言葉が出来た途端、当事者の苦しみが、ある程度ではあろうが、理解されるようになったのだ。

 「性同一性障害」という一発回答ワードがないばかりに、タイトルにいうように、「怪談」と言わざるを得ない。当時これが、通常感覚レヴェルで、通常のラヴコメに落とし込めなかったがために、こちらは通常の「上原謙・高峰三枝子のシニア・カップルをよりフィーチャー」ということではないのかな。
 そういう視点で見れば、年上とはいえ、年下の宇津井健にぐいぐい迫る、爬虫類顔の越路吹雪とか、おかま風のバーテン丹波哲郎とか、さらにおかまっぽい建築デザイナーとか、これは先駆的な映画として、ゲイ&レズビアン映画祭で参考上映してしかるべきかとも思う。

 なお安西郷子が、父にそもそも「あたしに千春なんて男みたいな名前を付けるから」なんてセリフがあるが。確かに松山千春なんてのもあるけれど、現代のぼくたちの感覚では、充分に女性的な名前かと思う。この時代感覚の違いも面白い。
 ということは、最初「千春」は男性的な名前として認知されていたが、使用漢字や語感から女性的な名前になっていったということだろうか。
 「貴様」や「お前(御前)」が、使われていくうちに敬称から蔑称に変化したようなものか。「貴様」という敬称的漢字が使われているのに、蔑称になったのは、語感ゆえか。

 なお日活市川崑版同題作は、はるかかなたに見たので、もはや記憶のかなただが、

青春怪談


 成瀬巳喜男「山の音」で父子役だった、山村總&上原謙が同じ役というのも何かの因縁だが、山村にはやはり上原の若々しさが決定的にないなあ。
 もっとも、この時代にあっては、上原&高峰の年に似合わない若々しさのほうが、異常だったのか。現代から見れば、上原&高峰のほうが違和感がないのかもしれない。

     日活版   新東宝版
奥村千春・北原三枝  安西郷子
父鉄也・・山村聡   上原謙
宇都宮慎一三橋達也  宇津井健
母蝶子・・轟夕起子  高峰三枝子 (松竹)
船越トミ・山根寿子  越路吹雪 (東宝)
筆駒・・・瑳峨三智子 筑紫あけみ
藤谷新子・芦川いづみ 江畑絢子
芦野良子・三戸部スエ 千明みゆき
奥村敬也・千田是也
阿久沢・・滝沢修
小鎌田・・宇野重吉
奥村家の婆や北林谷栄 浦辺粂子 (大映)
品川ミエ子玉松ワカナ 三原葉子
バーテン・宮原徳平  丹波哲郎
刑事   高品格
記念館受付小田切みき 冬木京三
パチンコ屋の職人三島謙

e0178641_2284485.jpg 総じて日活版のほうが豪華だが、父子、母子は、新東宝版のほうがナイスキャストか。
 ちょっと日活版の父子には、若さがない感じ?
 いや、日活版のほうが記憶のかなただから、無茶な判定だが、父子は軽快度、母は若さ、娘はヘンタイ度(この当時は怪談度、今の視点で見れば現代度ですか)で新東宝の勝ちか。
 こうなると各社競作、リメイク比較の特集を期待したいが、まああまりにマニアックすぎて客は来ないか。
 例えば神保町シアターでA版、阿佐ヶ谷ラピュタでB版を同時開催、という夢のコラボ企画はどうか。この場合2本立ての渋谷は、逆にやや不利で。

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by mukashinoeiga | 2017-03-07 02:41 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(6)

青柳信雄「愛の砂丘」島崎雪子高島忠夫滝沢修田村秋子

楽しいほのぼの大快作家庭劇。53年、新東宝。
 渋谷にて「玉石混淆!? 秘宝発掘! 新東宝のディープな世界」特集。
 ごく近い近所の二家庭の、家族ぐるみの交流、そして、それぞれの家族の、息子と娘の恋を、ほのぼの、つつましやかに、描く。
 あやしげな大蔵貢新東宝になる前の、つつましやか?新東宝の、佳作良編。ああ、いいなあ。

e0178641_8362978.jpg『愛の砂丘(デジタル)』公開:1953年 (渋谷シネマヴェーラHPより)
監督:青柳信雄
出演:滝沢修、田村秋子、島崎雪子、高島忠夫、三津田健、和田孝
病を抱えた父聴一と共に辻堂に越してきた歩は近所に住む田島家の娘薫と知り合うが、彼女の母秋子はかつて聴一と結婚の寸前まで行った間柄であった。木下惠介のオリジナル脚本を青柳信雄が意外にも好演出。名優滝沢修の静な演技も光る。後に木下の妹楠田芳子(本作では作詞)が脚本を書き川頭義郎が監督した『涙』は本作の姉妹編ともいうべき作品で主題歌もそのまま転用されている。©国際放映

 誰一人、悪人が、嫌な奴が出てこない、ささやかホームドラマ、ああいいなあ。
 脚本木下恵介。島津保次郎「隣の八重ちゃん」の撮影助手だった。
 感想駄文済みの「隣の八重ちゃん」は、隣同士の二家族の交流と、それぞれの家族の息子と娘のほのかな想いを描いた。
 それの発展形が本作で。いや、パクリなどといういやらしいものではなく、まさに発展系としか言いようがない、つつましくも、のびやかな快作だ。
 ただ、まあ、松竹で作ったら、島津御大のパクリだよねえ、と言われちゃうかもしれないから、お気楽な他社でアルバイト的に脚本提供と(笑)。
 その結果が、かくも快作なのだから、言うことなし。青柳信雄演出も、いつになく快調で。

 いつになくおだやかで、病弱(精悍すぎて、そうは見えないが(笑))な滝沢修、毎度たおやかな田村秋子(役名も秋子なので、木下の当て書きか)の絶品。
 この時期どんな映画でも絶対キュートな島崎雪子の愛らしさ。
 島崎雪子で画像検索すると、原節子のオンパレード。今井正「青い山脈」で、原節子の役名が確か、島崎雪子、それにあやかって芸名にしたので、今はすっかり忘れられた島崎雪子で検索すると、ハラセツ画像ばっかし。
 かわいそうや島崎雪子(泣)。
 阿佐ヶ谷の女優モーニングで、島崎雪子やるべきだ。客来ないかなあ。
 島崎の父役(ということは田村秋子の夫役)の、三津田健も、この時期各社映画に出まくっているのに、平凡人ばかり演じるキャラゆえ、いまいち話題にならず。
 しかし凡人ゆえの快は、いつ見ても、楽しい。個性豊かすぎる脇役だけが、名脇役にあらず、の典型だ。
 OLD映画モノにとっては、全員顔見知り(笑)の役者たちによる、全員善人の、ほのぼのホームドラマの親和性の快は、これまた応えられず、の快感なのですね。
 なおヴェーラの解説にもあるが、脚本木下恵介、音楽木下忠司の、本作主題歌は、作曲木下八郎とあるが、やはり木下兄弟の弟なのだろうか。
 なお、滝沢・高島父子の大家に、坂本武・清川虹子の、団子屋夫婦。その娘夫婦に、特別出演格で水島道太郎・相馬千恵子という、なかなかの豪華版。って、この設定そのものが、まんま寅さんやないかい(笑)。
 注目すべきは、中空の満月(合成か)を含む白黒撮影の見事さ。
 映画は白黒のままでよかったんじゃないか、とすら思わせる見事さ。いちいちのスタジオセットの見事さ。撮影・小原譲治、美術・松山崇 、照明・矢口明の完璧。
 夜の海岸撮影も見事。ただ、辻堂当たりの海岸の砂浜を、砂丘と称するタイトルは、明らかに、盛り過ぎだろう(笑)新東宝。
 
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by mukashinoeiga | 2017-03-03 01:41 | 傑作・快作の森 | Trackback | Comments(0)