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加藤泰「風と女と旅鴉」中村錦之助三國連太郎丘さとみ長谷川裕見子

意欲作か失敗作か、たいへん「面白い」。
 京橋にて「京橋映画小劇場No.35 アンコール特集」。
 終映後、常連らしき老人がバカでかい声で「つまらん。話もしっくりしないし。監督がいかんのかな」
 知り合いが「でも監督は加藤泰ですよ」
 加藤泰だって失敗作はあるだろう? あるかしら。
 本作は見方によって、意欲作か失敗作か、意見が分かれるだろう。
 そもそもすべての加藤泰意欲的作品が、そうかもしれん(笑)。
 だって加藤泰、東映定食映画の関節を全部外しているんだもの。
 食材は全部、東映定番定食の食材だけ、それを全部使いきって、でも加藤泰、東映定食だけは作らないぞ、という(笑)。

e0178641_1125175.jpg2風と女と旅鴉(90分・35mm・白黒) (フィルムセンターHPより)
→「生誕100年 映画監督 加藤泰」より
1958(東映京都)(監)加藤泰(脚)成沢昌茂(撮)坪井誠(美)井川德道(音)木下忠司(出)中村錦之助、三國連太郎、丘さとみ、長谷川裕見子、進藤英太郎、薄田研二、加藤嘉、殿山泰司、上田吉二郎、河野秋武、星十郎
加藤泰が自らの作風を確立させた代表作。加藤が愛する「まともな世間から弾き出された奴。卑怯な奴。ずるい奴。そのくせ何処か底の抜けた気の良い奴。」が、化粧をせずに素顔をさらし、同時録音で周囲の音と混じりながら言葉を発しロー・ポジションのキャメラで活き活きと写し出される。物語の下敷きとなったのはニコラス・レイ監督の『追われる男』(1955)。
←この分割ポスターも東映定食番組にしては、モダンかな。

 同時録音で周囲の音と混じりながら言葉を発し だからしばしばセリフが聞き取れにくいのは、仕方がないのか
 ロー・ポジションのキャメラ 発情の錦ちゃんが地面に寝ころび、丘さとみのお尻を下から見るショット。必然性のあるヌードならぬ必然性のあるローボジを、このころはまだ模索していたのね(笑)。

 冒頭山道をひとり歩く旅人が、錦ちゃんじゃなくて連太郎、と最初から関節外し。そもそも連太郎、最初から最後まで妙なひょこひょこ歩き。これこそがリアル旅人の効率的歩行法だという発想なのだろう。
 錦ちゃんも、いわゆる清く正しく美しく強い東映時代劇ヒーローの真逆な小者(笑)。
 千両箱をセコくガメようとするし、好きでもない長谷川裕見子に気まぐれでキスし、丘さとみには発情しまくりだし、いろいろダダこねまくるし、拗ねまくるし、ほんとに小者(笑)。
 加藤泰も、チャンバラ映画なのに、クライマックスまでチャンバラほとんどなし。
 しかも連太郎、肝心のクライマックスで、いきなり銃撃され、ずーっと、座りっぱなし。まったく役に立っていない(笑)。アンチクライマックスの極み(笑)。これ、バディムーヴィーとしても変則か反則でしょう。
 なお冒頭でも錦ちゃんいきなり銃撃され大怪我。
 通俗娯楽映画の鉄則、ヒーローになぜか弾は当たらない、はずなのに、本作では主人公ふたりとも被弾で、大怪我と死亡。
 これでは東映おなじみ路線のミイちゃんハアちゃんファンの支持は、エラレマイ。

 なにやら連太郎といいフンイキだった長谷川裕見子が、いきなりのキス一発で、錦ちゃんにメロメロって。そうとう経験を積んでるはずなのに。で、これを見てしまった連太郎も、アマリに不自然に固まりすぎ(笑)。アツすぎる連太郎と、アツすぎる加藤泰のコラボの故か。
 錦ちゃんの丘さとみ目線も東映純愛路線から外れた、思春期発情少年のエロ丸出しだし。で長谷川裕見子とも丘さとみとも、ハッピーエンドならず、かといって一人旅立つ旅人との、別れの愁嘆場もなく。
 あらゆる東映定番を外しまくって、映画は終わるのでした。チャンチャン。

e0178641_11253240.jpg そしてモンダイなのは、やはり薄田研二か。
 ふだん憎々しい悪家老など、東映悪役陣のラスボスを演じることのおおい薄田が珍しく善人の町のまとめ役。とはいっても、錦ちゃんを息子同然に思い、見守りたい連太郎の弱みに付け込んで、町に甚大な被害を与えつつある進藤英太郎一味に、たった一人で立ち向かわせようという「真昼の決闘」状態の、理不尽さ。そんな過剰な義務などまったくないのに図々しく連太郎に押し付け、なおかつ連太郎には絶対の信頼を寄せつつ、錦ちゃんを悪しざまにいう。
 まさに分割して統治の典型か。ある意味進藤英太郎より冷酷な悪役で、薄田研二どんぴしゃりの適役だ。


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by mukashinoeiga | 2017-07-19 11:25 | 加藤泰突撃せよ炎のごとく | Trackback | Comments(4)

京橋の夏・加藤泰の夏

e0178641_0444914.jpg 7/12~9/4と、夏を通して、大特集されます。
「生誕100年 映画監督 加藤泰」
 暑苦しい夏に、狂騒する加藤泰映画を見るのも、また一興かと。
 大体は見ているのですが、未見作も多い。
 と、言うことで、当ブログで加藤泰に言及している本数自体は、いまだ少ないのですが、だんだん増やすことにして、加藤泰突入せよ炎のごとくを、カテゴリとして、新設しました。

 加藤泰映画には、いくつか、謎がありまして。
1 世間的?(映画評論家や映画史では)やたら評判の高い「真田風雲録」やら「皆殺しの霊歌」やら「明治侠客伝 三代目襲名」やら「炎のごとく」が、ぼくには一向に面白いようには見えないのは、なぜなのか、とか、

2 「車夫遊侠伝 喧嘩辰」とか「骨までしゃぶる」とか、なぜか主演作が少ない町弘子が主演すると、必ず傑作になるのは、なぜなのか、とか。

3 今回加藤泰のTVドラマが一本上映されるが、彼のTVドラマは、これ一本きり。
 加藤がTVを嫌がったのか、TVが加藤を嫌ったのか。
 映画会社を変わるたびに、監督から助監督身分に戻ること何度か。映画界には、マキノ正博など、山中貞雄にゆかりの映画人も数多くいたはずなのに、山中貞雄の甥という「七光り」を、なぜ生かせなかったのか(笑)とか。

 まあ、ぼちぼち、再見、初見などしていきます。
 
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by mukashinoeiga | 2016-07-04 00:44 | 加藤泰突撃せよ炎のごとく | Trackback | Comments(0)

河野寿一「新選組鬼隊長」

 京橋にて。「日本映画史横断⑥ 東映時代劇の世界Part 2」特集。54年、東映京都。
 この種の大人数モノは、オールスタア映画の格好の素材なのだが、近藤勇に千恵蔵、沖田総司に錦ちゃんくらいで、あとは、土方歳三に原健策、永倉新八に片岡栄二郎、山崎丞に清川荘司、藤堂平助に堀雄二、山南敬助に加賀邦男、ときわめて地味な脇役や旧スタアを配置。
 あとのスタアは、最初に斬られちゃう伊東甲子太郎に月形龍之介、ちょっと出の徳川慶喜に東千代之介程度だ。
 60年前では、新撰組に、興行ヴァリューが、なかったというところか。
 こういう集団モノにもかかわらず、片岡千恵蔵御大のみに(とは、言い過ぎだが)スポットを当てたつくりになっているのが、時代か。

e0178641_9462759.png新選組鬼隊長 (114分・35mm・白黒)<フィルムセンターHPより>
子母澤寛の「新選組始末記」の最初の映画化。新選組が池田屋襲撃事件で名を挙げてから戊辰戦争で敗れるまでを、隊長・近藤勇の人間的な苦悩を中心に描く。村上元三の小説を映画化した『新選組』3部作(1952、萩原遼監督)で架空の隊士・秋葉守之助を演じた千恵蔵が、本作で初めて近藤勇役を演じた。
1954(東映京都)(監)河野寿一(原)子母沢寛(脚)高岩肇、結束信二(撮)三木滋人(美)鈴木孝俊(音)深井史郎(出)片岡千惠藏、中村錦之助、月形龍之介、東千代之介、水戸光子、田代百合子、千原しのぶ、喜多川千鶴、千田是也、青山杉作、薄田研二

 いわゆる池田屋騒動のシークエンスが、面白かった。
 普通この手の屋内乱闘戦というのは、敵味方入り乱れ、相手もいれかわりたちかわり、白刃乱れ撃ち、というのがパターンだが、むろんその手の描写もあるのだが、比率的に少なく、御大をフィーチャーした静謐な個人戦描写。
 おい、そりゃ池田屋襲撃ちゃうやろ、別種のモンやろ、と突っ込みを入れつつ、しかし、まあ、面白い。
 無人無灯の和室(たたみ以外の何物もない、極度の簡素さ)に、静かに入り込み、辺りをうかがう千恵蔵。誰もいないか。いる。気配が、する。と、突如の斬り込み。次々討ち取る御大。
 その静謐さは、繰り返すが、とても乱兵戦モノとは思えないが、そして東映ちゃんばらセオリーとも微妙に違うが、まるで後年の大映・三隅研次ばりで、美しい

e0178641_947112.png この時期東映で、沖田総司を演じられるのは、錦ちゃんくらいだとは、思いつつ、なんか違う錦ちゃん沖田なのだが。
 病を得て、布団に寝て、養生されている錦ちゃん沖田。なんか違う(笑)。
 ぼくの沖田総司イメージは、新撰組一番隊?隊長という、係長?課長?クラスという、中間管理職でありながら、いや、それは、昔っから近藤勇や土方歳三に、くっついてきているから、ちょっと下駄をはかせてもらった感じ?
 そう、中間管理職でありながら、沖田イメージは、雨の中に捨てられた子犬?の、感じ。足も、車に引かれて、引きずっているような?
 自分でも、なんだか、岡田以蔵あたりと混同しているような気もするのだが(笑)。
 そういうマイ沖田総司イメージからすれば、ちょっと錦ちゃん沖田は、立派過ぎるというか、フツーすぎるというか(笑)。
 ま、ぼくのイメージが特殊なので、本作の錦ちゃん沖田への、まったくのないものねだりでしたな。妄言多謝。
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by mukashinoeiga | 2015-06-11 09:49 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(4)

沢島忠「お役者文七捕物暦 蜘蛛の巣屋敷」

 京橋にて。「日本映画史横断⑤ 東映時代劇の世界」特集。59年、東映京都。3月に神保町シアターで1週間の上映あり。
 うーん、案外と横溝正史趣味横溢の楽しさ。まだまだ軽快だった頃の、錦ちゃんの楽しさ。
 モト役者ゆえ、いろいろ変装しての捜査なのだが、特に顔に大きくあざのある素浪人の凄絶なる美よ。

 錦之助の父・時藏、兄弟の歌昇、芝雀、賀津雄など一門の歌舞伎俳優も多数出演。
 時藏、芝雀の「女暫」の舞台が、物語の効率適用性を超えて、長尺で登場し、楽しい。芝雀、錦之助をさらに美形にした面立ちで、これは人気あったろうなあ、と思ったら、人気が出すぎて過労のあまり、睡眠薬に頼って、若死にしたという。時蔵の自由闊達な役者ぶりも、素晴らしい。

お役者文七捕物暦 蜘蛛の巣屋敷 (98分・35mm・カラー) <フィルムセンターHPより>
名代役者の子に生まれながら勘当されて遊び人暮らしをしている文七が、変装を駆使して怪事件の真相を暴いてゆく。主人公の境遇をなぞるように錦之助の播磨屋一門が総出演した豪華な一篇で、この年に他界した父・三世中村時蔵が演じる「女暫(おんなしばらく)」も見所。
1959(東映京都)(監)沢島忠(原)横溝正史(脚)比佐芳武(撮)坪井誠(美)井川徳道(音)鈴木静一(出)中村錦之助、中村時藏、中村賀津雄、中村歌昇、中村米吉、中村芝雀、桜町弘子、雪代敬子、花園ひろみ、日髙澄子、喜多川千鶴、進藤英太郎、山形勲、薄田研二、片岡千惠藏

 大好きな薄田研二、出てきた瞬間に、単に歩いているだけなのに、悪役とわかる、わかりやすいマスク。錦ちゃん、出てきた瞬間にベビーフェイス(善玉)。こういうわかりやすさを、馬鹿にしては、いけないよ。確実に説明を省略でき、ランニングタイムを数分~十分は、省略できるエコ設定。ああ、快なるかな東映メソッド。
 しかし、これは映画にのみ通ずるシステムであり、どう見ても悪役である小沢一郎が、悪役なのに(笑)当選し続けるなど、現実は映画的とは参らないのは、残念だ(笑)。

 のちに、オキャンな姐御役を得意とする雪代敬子が、おとなしいおひい様役というのも、ちょっと(笑)。錦ちゃんのガールフレンド、桜町弘子は相変わらずグッド。

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by mukashinoeiga | 2015-02-24 02:46 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(0)

チョー気になる東映時代劇で・・・・

 フィルムセンターなどで東映時代劇特集を見ていて、チョー気になって、ドラマに集中できない事態が発生(笑)。
 それは、女優さんのつけるカツラの問題といいますか、彼女たちの耳とほほのあいだが気になって、気になって(笑)。
 たとえばの、画像。

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 画面が不鮮明で、よくわからないかもしれませんが、大スクリーンで見ると、耳とほほのあいだの髪が、明らかに、上の髪を伸ばして垂らした質感には、見えないのです(笑)。
 もちろん女だから、モミアゲでは、ないでしょう。
 どうみても、耳とほほのあいだに、生えている毛としか、見えないのです。
 つまり、横方向にクシですいた形が見えて、垂らしたのではなく、そこに髪が、生えている、ようにしか、見えない(笑)。
e0178641_22402766.jpg

 男の場合は、女優よりは、まだナチュラル。
 男の場合はモミアゲかもと思い、よくよく見ると、やはり髪の毛の延長にしか、みえない。
e0178641_2241175.jpg

 初期の頃には、わりとナチュラルなヅラを使用しているかと思われますが。ある時期から、そうなった、のでしょうか。
 おそらくヅラを安定的にかぶるには、耳とほほのあいだもぴったり固定したほうが、ずれにくいということで、粘着面を延長し、それを隠すために、ヘアスタイルもまた延長したということでしょうが。
 毛果、いや結果、現代女性より、より毛深くなった(笑)印象で、東映お姫様女優、その耳とほほのあいだが、気になって気になって、映画に集中できない(笑)。

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by mukashinoeiga | 2015-02-01 22:55 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(0)

佐々木康「曾我(曽我)兄弟 富士の夜襲」

 神保町にて。「絢爛豪華!東映美剣士列伝――東千代之介と大川橋蔵」特集。56年、東映京都。1月9日(金)まで上映中。
 神保町シアターでは、2015年1月3日(土)~30日(金)に上記特集を上映している。いっぽうフィルムセンターは、1月6日(火)~2月15日(日)に「東映時代劇の世界」特集。
 傾向的にも、作品的にも、モロにかぶっておる。
 そういえば、この前の京橋の千葉泰樹特集に、阿佐ヶ谷は、作品的にもかぶる加東大介特集を、ぶつけて?きた。
 フィルムセンターの年間計画はあらかじめ発表されているので避けようとすれば、避けられる。
 名画座人口は、きわめて少なく、名画座はニッチ産業の最たるものだ。普通、競合企画は避けないか? それとも「相乗効果」を狙っているのか。いや、あるのか「相乗効果」(笑)。
 そもそも名画座に通うファン自体が少なく、都内を移動して別劇場にはしごするような、マニアックなファンは、さらに、少ないはずだ。
 それとも他館の企画など考えに入れず、独自の企画で良しとしているのか。
 素人考えとしては、東映をA館がやるなら、B館は松竹なり東宝なり日活なり大映を、とりあえず、考えたほうが、「住み分け」が、出来るのだろうと、思うのだが?
 それとも、あるのか「相乗効果」(笑)。
◎追記◎ひとさまのブログ(しかもコメント欄★若さま侍捕物帖 ( 映画レビュー)-古狸奈の「思い出映画館★)を勝手に引用するのは気が引けるが、

1月3日から9日の週、神保町シアターで上映されますよ。
1月は神保町シアターとフィルムセンターの2ヵ所で、橋蔵さんの映画が上映されるので飛んで行きたいのですが、神戸住まいの私には1ヵ月間、家を空けるのは無理。残念ながら「若さま侍」は見られないのです。
でも1月後半は息子の家を拠点に、ばっちり通おうと思っています。お目にかかれるといいですね。(引用終わり)
 あるのかも「相乗効果」。一館ならともかく、二館でもとなると、ファンとしてはいかざるをえないでしょう、ということか。

 ディアドスティーニの分冊誌が高倉健追悼を同時進行するように、今、東映が脚光を浴びているシンクロニシティか。閑話休題。
 ということで、本作。

曾我兄弟 富士の夜襲 <神保町シアターHPより>
S31('56)/東映京都/カラー/スダンダード/1時間51分
■監督:佐々木康■原案:五都宮章人■脚本:八尋不二■撮影:三木滋人■音楽:万城目正■美術:鈴木孝俊■出演:中村錦之助、東千代之介、大友柳太朗、大川橋蔵、月形龍之介、片岡千恵蔵、高千穂ひづる
日本三大仇討ちのひとつとされる「曾我兄弟の仇討」を若手オールスターで映画化。曾我祐成(千代之介)、時致(錦之助)の兄弟が18年の歳月を費やし、亡き父の仇である工藤祐経(月形)を討つ。

 
 中村錦之助が美少年といっていいのか。いや、美少年だ(笑)。
 ちょっと、目を見張る。「稚児」呼ばわりされるのも納得。
 ただし、演技をすると、特にクライマックス、源頼朝(片岡千恵蔵)相手に声高らかに主張する際は、明らかにヨロキン調の萌芽。
 しかし当時、錦ちゃんが人気になるのもむべなるかな。
 千代之介、錦之助の曽我兄弟、幼少時は植木基晴・植木千恵兄妹が演じ、企画には植木照男の名がある。実質「御大」のプロデュース、というか、息のかかった作品か。
 これは、たぶん、高齢化して、主役の座を後輩に譲っていく過程での、「美しい禅譲」の演出か。
 幼い曽我兄弟の死罪を宣言する頼朝・片岡千恵蔵。しかし重臣・大友柳太朗の進言で思いとどまる。

 頼朝の子・頼家に北大路欣也少年。彼が登場すると、客席の誰かが「キンヤ」と、つぶやく。
 考えてみると彼が唯一の現役なんだなあ。くりくりっとした目に、おもかげがある。
 頼朝の富士山麗での狩りに同行する、うそつき韓国やうそつき朝日新聞風に言えば、従軍慰安婦というのか、遊女・高千穂ひづる、遊び女・三笠博子が、兄弟を心情的にサポートする。
 そつのない佐々木康演出により感銘は薄いが、橋蔵も顔を見せる豪華版。助監督に加藤泰。

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by mukashinoeiga | 2015-01-07 23:55 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(0)

今井正「仇討」

 京橋にて。「生誕百年 映画監督 今井正」特集。64年、東映京都。脚本・橋本忍。
 下級武士・中村錦之助が、些細な口論から、すこし上級侍・神山繁と対立し、果たし状をもらい、これを討ち果たす。
 さらに、神山の弟・丹波哲郎も、その仇討ちを挑んで、錦之助に返り討ち。
 なあなあで、丸く、かつ抑圧的に、納めようとした、家老・三津田健、その部下たち藩官僚、三島雅夫、田中春夫、は、これでは、顔が立たない。かくて、「正式な作法」に、のっとった「仇討ち」を「演出」する。
 討たれるのは、もちろん錦之助、「討つ」のは、兄ふたりを錦之助に殺された、三男・石立鉄男。後年のずうずうしい石立とは別人のように、錦之助は兄と慕う友達だし、陰惨な仇討ちにもメソメソと泣く、弱い、年少の男の子を好演。
 錦之助は、兄・河原崎長一郎の、家としての体面と、面目を保つため、石立鉄男に、討たれようとする。先祖伝来の名刀を、石でワル研ぎして、歯をぼろぼろにして、仇討ちで、殺されようとする。
 しかし、石立少年には、山本麟一ら、六人の助っ人(この一人に蜷川幸雄がいるらしいが、例によって役者としては、地味なヤツなので、判別できず)。卑怯なり、相手が石立鉄男少年のみなら、おとなしく討たれてやったものを。かくて、助っ人や石立、そして、藩重役に対する大立ち回り。体制派官僚の、ことを丸く納めて、穏便に治めよう、と言う思惑が、主人公を狂わせていく。
 「ことを丸く治めようとする」日本的政治配慮が、すべて裏目に廻り、陰惨な惨事へとなっていく。まるで、今の尖閣、竹島問題を見ているようではないか。
 ぼくは、若い頃の錦之助の、ナチュラルな魅力が好きだ。さわやかで、つつましくて、低温で、クールで、まるで、若い、子猫のような。
 年をとり、クサい芝居の、(名前改め)ヨロキンは、もうダメ。萬屋錦之助、変化ありすぎやで。
 本作では、後年の、クサくて、あざとい演技のヘンリンが、かな~り出ている。どす黒い顔のメイクからして、もう、錦之助ではない、ヨロキンの兆候。
 しかし今井正の、反体制映画の数々を見て、いつも思うのは、同じ共産党作家、山本薩夫が撮っていれば、いかに、映画的豊穣さに満ちた快作が、生まれていたか、ということ。
 明朗快活な青春讃歌「青い山脈」系をのぞいて、すべてを山本薩夫が、撮っていれば。どれほど豊饒な左翼娯楽映画になっていたか、と。
 やはり、正しいだけじゃ、ダメなのよ、

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by mukashinoeiga | 2012-08-29 00:06 | 今井正 青い左傾山脈 | Trackback | Comments(0)

松田定次「隠密七生記」

 池袋にて。「錦之助映画祭り2010」特集。58年、東映。
 面白い。かなりの快作。原作・吉川英治の面白さが、よく出ていた。美しい、ニュープリント。
 冒頭クレジットでは、一枚看板で、東千代之介がトップ。クレジットのラストには、トメというのかトリというのか、やはり一枚看板で、中村錦之助。
 ところが、新文芸坐のロビーに張り出してある当時のポスターには、
   中村錦之助 美空ひばり 東千代之介
と、東千代之介は三番目。
 これは、たぶん、世間的人気は錦ちゃんのほうが上、ただ東映社内的には、千代之介の方が先輩の格。
 この映画、錦之助・千代之介の、W主演。
 どちらが主演とは言いがたい、絶妙の構成。いわば、両雄並び立つシチュなのだ。で、人気の錦之助をポスターで一番にし、客がお金を払って映画館で見るクレジットでは、千代之介に花を持たせる、苦肉の策なのでは。
 東千代之介は、尾張藩の武士。家老・大河内伝次郎の娘・美空ひばりに、慕われている。
 今夜は、最近尾張藩に来た同輩・錦之助と、尾張城の、てっぺんで夜の見張り番。
 金のしゃちほこのある城のてっぺんに、二人の見張り番というのが、珍なる見もの。
 なぜ。侍が夜っぴて、城のてっぺんで見張りをしているかというと、近くで農地の野焼きがある。その火のもらい火を恐れて、監視しているのだ。
 これも本当にあった史実なのか、面白い。士農工商犬猫女、じゃなかった、士農工商制度のなかで、下位の農に思いやった士、よくある時代劇な武家社会なら、野焼きなど禁止すればいいことなのだから。
 尾張名古屋といえば、金のしゃちほこ。名物だ。
 今回の特集で見た沢島忠「殿様弥次喜多 怪談道中」でも、金のしゃちほこに、大工職人が人柱として、埋め込まれているとか、しゃちほこを盗もうとする山賊とか、名古屋には金シャチしか、話題がないのか、というくらい。
 酒好きの千代之介に、下に行って番屋のどぶろくを飲んでこいよ、と千代之介をしたにやり、錦之助は、金のしゃちほこの目玉をえぐり、隠されていたものを盗み出す。
 実は錦之助、幕府の隠密、盗んだものは前将軍の遺言状、「わしの次の次の将軍は尾張藩若殿・里見浩太郎にするぞよ」というもの。現将軍・吉宗は、自分の血筋の者を次の将軍にしたいものだから、隠密を使って、盗ませたのだ。
 って言うか、雨露をまともに受ける金シャチに、重要文書を隠すなよ(笑)。
 江戸へ逃げる錦之助を追う、千代之介、桜町弘子(千代之介の妹で、錦之助と恋仲)、家老・大河内伝次郎と娘・美空ひばり。
 一方江戸幕府側は、大老・月形龍之介(ああ、いつ見ても、いい)の指示の元、山形勲などが動き出す。
 そのあとの展開が、誠にグッド。
 尾張藩・大河内、江戸幕府側・山形のどちらにも、花を持たせる展開。
 錦之助・ひばり・千代之介、そして桜町にも、花を持たせ。
 松田定次のバランス感覚(笑)が、いい方に転がった、快作で。
 錦之助も、愁嘆場でも、後年のようには臭くなく、さわやか。
 唄も数曲披露するひばりも、相変わらずいい。
 例によって、ブスかわいい桜町弘子もいい。
 目鼻立ちくっきり、スクエアな古典的二枚目、の千代之介、このひと一人だけ、ベージュの口紅も毒々しいが、今見ると、若干違和感。その後伸び悩んだわけだ。
 それに比べると、錦ちゃんの、さわやかな、爽快感。何度も言うが、後年の臭みが、嘘のようだ。


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by mukashinoeiga | 2010-11-24 23:46 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(0)