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隠れ大快作「豚と金魚」で爆笑せよ!

こんなに面白いのにこの6年再映されなかった、あのウワサの快作が再びラピュタ阿佐ヶ谷にて上映される!
 わたくしメだけでなくなご壱さんもお邪魔ビンラディンさんも絶賛する、この隠れた大快作にゼヒゼヒ駆けつけてちょーだいっ!

e0178641_08249.jpg豚と金魚 (ラピュタ阿佐ヶ谷HPより)5月14日(日) ~20日(土)
1962年(S37)/東宝/カラー/92分
■監督:川崎徹広/原作:梅崎春生/脚本:松木ひろし/撮影:小泉福造/美術:河東安英/音楽:中村八大
■出演:藤木孝、若林映子、上原謙、飯田蝶子、草笛光子、沢村貞子、北あけみ、若水ヤエ子、トニー谷
売れない小説家とその奥さん、画家志望の青年、子だくさん夫婦が住む東京近郊の下宿屋を舞台に、立ち退き問題でゆれる市井風俗をスケッチしたコメディ篇。溌剌とした魅力あふれる若いふたり、藤木孝&若林映子の恋の行方も見逃せない。

e0178641_794228.jpg 過日選んだベスト・オブ傑作・快作の森ほんとうの傑作はなんだ(本選)では、なんちゃってで暫定ベストワン
 過去の感想駄文でも(以下抜粋)、

 傑作というわけではないが、見ていて、とても楽しい、明るくて、ほのぼのとする映画。絶対の映画ではないが、ぼく的には、絶対のオススメ(笑)
e0178641_2116205.jpg お楽しみその1。ヒロイン・若林映子が、大半のシーンで、バスト上部を露出している(笑)。明るく健康的なお色気の楽しさ(笑)。いや、これ、バカにしちゃ、いけませんぞ(笑)。
 この当時の、1960年代初期の、東宝メジャー映画で、当時の日本(および世界でも)の一般映画で、東宝専属女優が、こんなに胸チラを、しかも、1シーンのみならず、かなりエンエンと胸の谷間を見せるのは、異例中の異例なんだから。

 お楽しみその2。脚本が松木ひろし。松木ひろしといえば、のちの「おひかえあそばせ」「雑居時代」「気になる嫁さん」「水もれ甲介」など、日本テレビでの<石立鉄男コメディ・シリーズ>で、絶対のコメディドラマを主導したシナリオ・ライター。本作でも、のちのクドカン、三谷幸喜など及びもつかぬ、コメディ・センスを披露。いや、監督の演出がナニなので、若干損しているが、細かいギャグの台詞とか、トニー谷のラーメン屋で、いつもはラーメン50円なのに、意地を張って150円のスペシャル・ラーメンを注文する飯田蝶子、その<150円のスペシャル・ラーメン>にも、大爆笑。これが、スペシャルって(笑)。
 お楽しみその4。その梅崎春生自身が、モデルだろう、三流小説家に、上原謙。実は、本作は、この当時としては、珍しい、実質・上原謙の主演作。この上原の、コミカル演技が、またまた、いいんだよね。

 お楽しみその5。上原謙の隣家・飯田蝶子おばあちゃんの家に下宿する、画家の卵にして、歌も歌うノーテンキなんでも屋に、好青年・藤木孝。もちろん、当時の人気歌手なのだが、そのC調青年ぶりが、ああ、いいなあ。明るい、軽い、いい加減、楽しい。

 お楽しみその6。ひっじょーに、味わい深い、悪役に、ニヒルでコミカルな、絶品気持ち悪さの、絶品おかしい、トニー谷。全盛期より素晴らしい、楽しい<やなヤツ>。ああ、素晴らしい。
なお、多摩川ベリでのオールロケ。その、いまでは失われた風景の数々を、ていねいにロケ。好ましい。
 そして、川べりで、自転車の若林映子、ふいの大風に、スカートまるめくり、白いパンツ丸見え、このアクシデントの素晴らしさ(笑)。奇跡のワンショット(笑)。(以上引用終わり)

 かつての阿佐ヶ谷上映でも場内大爆笑でした。なお恐らく家で一人で見たと思しい某おにぎり系ブログの方は「ちっとも笑えない」とヌカシテいますが、こんなノリノリ映画を家で一人で見ちゃダメダメ(笑)。
 なおこの特集他にも傑作快作佳作もありますので、通うべし(笑)。

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by mukashinoeiga | 2017-04-16 17:40 | 傑作・快作の森 | Trackback | Comments(0)

佐伯清「色事は俺にまかせろ」上原謙高峰三枝子風見章子田崎潤

いいなあ快作ラヴコメ。50年、新東宝。
e0178641_3281521.jpg 渋谷にて「玉石混淆!? 秘宝発掘! 新東宝のディープな世界」特集。
 コミカルな色事師を快演する、絶対的快演の上原謙。素晴らしい。
 いかにもアメリカナイズの、ハリウッド・コメディ型を柄に合って演じている。
 企画者・下村健さんのツイッターによれば、

シネマヴェーラ渋谷「玉石混淆!? 秘宝発掘! 新東宝のディープな世界」で上映の『色事は俺にまかせろ』はオリジナルの『いつの日君帰る』から30分以上カットされてるのでどうしようかと思ったんだけど、現存はこれしかないし、こう云う機会でもないと観ることが出来ないと思い入れました。

 とのこと。おかげで貴重な快作を見ることができました。サンキュー。
 上原謙ベストテン映画を選ぶなら、絶対入るはずの、超貴重作で。ありがとうシモケンさん。

e0178641_330129.jpg『色事は俺にまかせろ(デジタル)』公開:1950年 (渋谷シネマヴェーラHPより)
監督:佐伯清
出演:上原謙、高峰三枝子、風見章子、田崎潤、清川荘司、伊藤雄之助、菅井一郎、藤原釜足
昭和十九年、外国の租界。プレイボーイ・佐竹の「貴女は夢の人に似ている」にコロッと騙されたウブな女流作家。それから五年、東京で再会した二人は…。手当たり次第に女を口説きながら、簡単に落ちる女を軽蔑する最低男・佐竹に下された鉄槌とは!? 乱れた前髪、眉間にしわ寄せ、「僕は運命の女性に出会えるでしょうか?」と性懲りもなく繰り返す上原謙がハマり過ぎ。©国際放映

 戦前松竹絶対のカップル、上原謙と高峰三枝子の、戦前より年を経たうえで、戦前の作ではありえなかった、恋の駆け引き。大人になったといえば大人になったし、汚れちまった、といえば汚れちまったし、最初はうぶなお嬢様の高峰が、後半むしろ女たらしの上原を圧倒するまでの、海千山千?に変貌?するナイスな展開。

 「クリスマスイヴは、女たらしにとっては、書き入れ時だからね」など、とナイスなセリフ満載の、オリジナル脚本・小国英雄がグッド。
 小国って、こんなナンパ(笑)な話も、やるんだ、とちょっと意外で。

 誰かのツイッターを覗いていたら、「上原謙の真の思い人?は、田崎潤」というコメントがあって、そういえば小国も参加していたはずの、黒沢明「悪い奴ほどよく眠る」にも、三船に異常なまでに思い入れしている加藤武なんてのも。
 加藤武と田崎潤、ティスト似てるし。さては、そういう趣味か。

 戦前の某都市(上海か、上海に雪は降るのか)と、戦後の東京に全く同じキャバレー?セットの、河野鷹思美術。なぜ美術の河野鷹思は、活動期間が短かったのか。

 長期にわたって地味な脇役女優だった、風見章子が準主役として華やかな歌手役というのも意外、これほどフィーチャーされた役を見たのは初めて。しかも準ヒロインといっていいが、この短縮版では、高峰と風見が知り合いであった、そのおおもとのシーンがカットされている。
 また居酒屋店主・藤原釜足も、セリフがカットされて、口パク状態、絶対見れないが、オリジナル版を見たかった。

 出版社社長・伊藤雄之助の経理社員。上原謙にお熱の役の江戸川蘭子。ウィキペディアによれば、1913年(大正2年)生まれって、この映画の時30代後半って、異様に若すぎないか(笑)。
江戸川蘭子 タンゴ・ローザ
2016/01/06 に公開
江戸川蘭子 タンゴ・ローザ 松竹少女歌劇団レヴュー『タンゴ・ローザ』主題歌。彼女のSPレコードはたまに見かけます。水の江滝子とコンビだったようですが短髪で話題の水の江が特出していたようです


南の花嫁さん(高峰三枝子)

「色事は俺にまかせろ」に比べると、明らかに目が大きい(笑)。
MBRZ01 南の花嫁さん 水樹奈々 150303 vL HD

 しかし現代の歌手が何でこんな歌うたうのか。しかも原曲を演歌チックに改変してまで??
劉依純 - 南の花嫁さん/ 幾度花落時

2011/11/20 にアップロード
民視歌唱綜藝節目「樂來樂動聽」(2007)
主持: 江淑娜 來賓: 劉依純
 これも、なんで(笑)。
 ただ、「お土産は、なあに」というフレーズには、強烈に聞き覚えがある。こどものころ、TVで、まだ高峰三枝子を識別しないまま、聞いたのだろうか。

国鉄 CM 1982年 フルムーン夫婦グリーンパス 上原謙 高峰三枝子.mp4


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by mukashinoeiga | 2017-03-15 03:30 | 傑作・快作の森 | Trackback | Comments(0)

阿部豊「青春怪談」宇津井健安西郷子上原謙高峰三枝子

なかなか面白いラヴコメだが。55年、新東宝。
 渋谷にて「玉石混淆!? 秘宝発掘! 新東宝のディープな世界」特集。
 おばさんになっても可愛い、おばキュート(笑)な高峰三枝子と、軽いコメディ演技も何のそのの美中年・上原謙の、美中年カップル。
 戦前松竹メロの花形同志であり、のちのフルムーンコンビ。
 ただ上原が宇津井を評して「あんまり美青年すぎる。美貌の男なんてろくなもんじゃない」(大意)というのは、小笑いしたが、楽屋落ち演出としては、ちょっと芸がなさすぎかな。
 こちらは通常のラヴコメというか、日本的スクリューボールコメディとして、割かしサクサク流れていくが、問題は、その息子娘世代の宇津井健と安西郷子カップルだ。
 こちらは、ラヴコメとしてひたすら「停滞」していく。

e0178641_2272768.jpg『青春怪談(デジタル)』公開:1955年 (渋谷シネマヴェーラHPより)
監督:阿部豊
出演:上原謙、高峰三枝子、宇津井健、安西郷子、越路吹雪、丹波哲郎、三原葉子
母と暮らす合理主義者の慎一と父と暮らすバレリーナの千春。二人は親同士を再婚させようと…。獅子文六の原作を日活と新東宝が映画化競作。轟夕起子の怪演が凄い市川崑版に比べ、ポップなテイストの阿部豊版では、上原謙・高峰三枝子のシニア・カップルをよりフィーチャー。おかまのバーテン・丹波哲郎、メタボなバレリーナ・三原葉子ら脇役陣にも注目。c国際放映

 戦後新風俗としての男女逆転劇。その風俗コメディぶりは、戦後昭和というより、いささか平成の現代を先取りしすぎているきらいもあるが。獅子文六フライングのし過ぎという。
 男の方の宇津井健は、当時のベンチャービジネス?パチンコ屋を経営する傍ら、母子家庭で、料理一切、家政万端を賄う、スーパー男子。女子力も男子力もともに兼ね備えたスーパージャイアンツ(笑)。
 このレヴェルなら、通いのお手伝いさんも必要かと思うが、まあそこは省略。
 問題は、短髪も可憐な安西郷子だ。
 男っぽい豪快さ、「お姉さま」と慕うガールフレンドもあり、実は自分は男なんじゃないか、と自分のアイデンティティーに違和感を持つ。
 本来なら、宇津井健と結婚すべきなんだろうが、年下の女の子も大好き。そこで、いろいろもやもや。ちゃんと、ラヴコメとして着地できない。
 これは、相当新しい展開なのでは、ないか。
 それを、現代に相当先行して、1950年代に、やってしまった、先取り感覚。
 現代であったら「性同一性障害」で一発回答、解決済みな案件なのだが、いかんせんその一発回答ワードがないことの、悲劇。
 やはり同じくストーカーという一発回答ワードがない時代は、ストーカー行為に対する対応も何も出来なかった、その言葉が出来た途端、当事者の苦しみが、ある程度ではあろうが、理解されるようになったのだ。

 「性同一性障害」という一発回答ワードがないばかりに、タイトルにいうように、「怪談」と言わざるを得ない。当時これが、通常感覚レヴェルで、通常のラヴコメに落とし込めなかったがために、こちらは通常の「上原謙・高峰三枝子のシニア・カップルをよりフィーチャー」ということではないのかな。
 そういう視点で見れば、年上とはいえ、年下の宇津井健にぐいぐい迫る、爬虫類顔の越路吹雪とか、おかま風のバーテン丹波哲郎とか、さらにおかまっぽい建築デザイナーとか、これは先駆的な映画として、ゲイ&レズビアン映画祭で参考上映してしかるべきかとも思う。

 なお安西郷子が、父にそもそも「あたしに千春なんて男みたいな名前を付けるから」なんてセリフがあるが。確かに松山千春なんてのもあるけれど、現代のぼくたちの感覚では、充分に女性的な名前かと思う。この時代感覚の違いも面白い。
 ということは、最初「千春」は男性的な名前として認知されていたが、使用漢字や語感から女性的な名前になっていったということだろうか。
 「貴様」や「お前(御前)」が、使われていくうちに敬称から蔑称に変化したようなものか。「貴様」という敬称的漢字が使われているのに、蔑称になったのは、語感ゆえか。

 なお日活市川崑版同題作は、はるかかなたに見たので、もはや記憶のかなただが、

青春怪談


 成瀬巳喜男「山の音」で父子役だった、山村總&上原謙が同じ役というのも何かの因縁だが、山村にはやはり上原の若々しさが決定的にないなあ。
 もっとも、この時代にあっては、上原&高峰の年に似合わない若々しさのほうが、異常だったのか。現代から見れば、上原&高峰のほうが違和感がないのかもしれない。

     日活版   新東宝版
奥村千春・北原三枝  安西郷子
父鉄也・・山村聡   上原謙
宇都宮慎一三橋達也  宇津井健
母蝶子・・轟夕起子  高峰三枝子 (松竹)
船越トミ・山根寿子  越路吹雪 (東宝)
筆駒・・・瑳峨三智子 筑紫あけみ
藤谷新子・芦川いづみ 江畑絢子
芦野良子・三戸部スエ 千明みゆき
奥村敬也・千田是也
阿久沢・・滝沢修
小鎌田・・宇野重吉
奥村家の婆や北林谷栄 浦辺粂子 (大映)
品川ミエ子玉松ワカナ 三原葉子
バーテン・宮原徳平  丹波哲郎
刑事   高品格
記念館受付小田切みき 冬木京三
パチンコ屋の職人三島謙

e0178641_2284485.jpg 総じて日活版のほうが豪華だが、父子、母子は、新東宝版のほうがナイスキャストか。
 ちょっと日活版の父子には、若さがない感じ?
 いや、日活版のほうが記憶のかなただから、無茶な判定だが、父子は軽快度、母は若さ、娘はヘンタイ度(この当時は怪談度、今の視点で見れば現代度ですか)で新東宝の勝ちか。
 こうなると各社競作、リメイク比較の特集を期待したいが、まああまりにマニアックすぎて客は来ないか。
 例えば神保町シアターでA版、阿佐ヶ谷ラピュタでB版を同時開催、という夢のコラボ企画はどうか。この場合2本立ての渋谷は、逆にやや不利で。

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by mukashinoeiga | 2017-03-07 02:41 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(6)

瑞穂春海「明日の幸福」

 阿佐ヶ谷にて。「昭和家庭日乗 わたしのかぞく」特集。55年、東京映画=東宝。
 この特集も、ほとんど見ているので、数少ない作を落穂ひろい。
 頑固親父がいて、息子夫婦がいて、孫夫婦がいる。
 頑固親父が中心となる、三世代同居の大家族モノ、絶対の安定感。
 こういうホームドラマ・コメディは、日本映画の絶対的安定感や。ナイス。

e0178641_2318464.jpg明日の幸福 1955年(S30)/東京映画/白黒/87分 <ラピュタ阿佐ヶ谷HPより>
■監督:瑞穂春海/原作:中野実/脚本:長瀬喜伴/撮影:三村明/美術:小島基司/音楽:斎藤一郎
■出演:上原謙、木暮実千代、小泉博、久我美子、小堀誠、水谷八重子、天津敏、三宅邦子、賀原夏子
三世代が住む大物政治家の邸宅で、家宝のハニワが欠けているのを発見。壊したのはまさか…ワタシ!?自分の不始末と思い込んだ女たちが、ばれないようにこっそり修理しようとするが…。コント風な物語を巧くまとめあげたハートウォーミングな一篇。

 祖母・水谷八重子は、祖父・小堀誠に、絶対服従。
 母・木暮実千代は、父・上原謙に、愚痴を言いつつ、従う。
 新婚の若妻・久我美子は、夫・小泉博に甘えつつ、でも、姑・大舅・大姑に遠慮がある。
 そこから、展開するドタバタ。ああ、楽しい(笑)。
 思うに、日本的コメディは、親和的ホームドラマで、最高の微温的(笑)コメディを、獲得する。そのひとつか。
 老壮青、男と女の、各カップルの、食い違いの、楽しさ。
 原作中野実といえば、木下恵介「女の園」の原作「人工楽園」?は、あまりにド下手な/生硬な実験小説、しかしなぜか映画の原作ものも多い。生硬かつ俗情との結託、なのか。うーん。この映画の原作も、読んでみたい興味は、あるが。果たして。
◎追記◎上記記述には、事実の誤りがあります。下記コメント欄で、お邪魔ビンラディンさんからご指摘がありました。ご指摘に多謝。

 祖父・小堀誠、例によって、頑固親実父ぷりが絶品。
 祖母・水谷八重子の、ドタバタも、愛らしい。
 上原・木暮の安定感。久我の実家の母に、三宅邦子。松竹出身の、この、安定感。グッド。
 若いカップル・小泉博、久我美子の、不安定さも、それはそれで、好ましい。グッド。

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「兄さんの愛情」に次ぐ東京映画の作品で、中野実の舞台劇から「チャッカリ夫人」の長瀬喜伴が脚色、 「新婚たくあん夫婦」の瑞穂春海が監督する。撮影は「消えた中隊」の三村明、音楽は「川のある下町の話」の斎藤一郎の担当。出演者は「恋風街道」の小堀誠、「伊津子とその母」の水谷八重子、「女の一生(1955)」の上原謙、「伊太郎獅子」の木暮実千代、「恋化粧」の小泉博、「兄さんの愛情」の久我美子、三宅邦子などである。

 なんなんだ、 「新婚たくあん夫婦」 (笑)。見てみたいぞ(笑)。
 と、Movie Walkerで検索したら、大びっくり!

瑞穂春海「新婚たくあん夫婦」1954年
 間借り生活一年の末、目白三平と妻光子は、光子の女学校先輩竹内マリ子の好意で借家ながらも二人だけの新居を持つ事が出来た。ところが三平は・・・・(以下略)
 ナナなんと、笠智衆、佐野周二&望月優子の「目白三平」シリーズの、前段に、佐田啓二&桂木洋子の「目白三平」ものが、あったとは! 見てみたいぞ、佐田の目白三平モノ!
 (たとえば)阿佐ヶ谷のモーニングで、「目白三平」シリーズ、見てみたいぞ(笑)。
 しかし、なんだって、桂木洋子が望月優子?(笑)。

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by mukashinoeiga | 2015-11-17 23:19 | 傑作・快作の森 | Trackback | Comments(4)

本多猪四郎「妖星ゴラス」円谷英二特撮

 阿佐ヶ谷にて。「風のように 映画俳優・池部良」特集。62年、東宝。
 こちらは、迷うことなき初見作。ああ、うれしい(笑)。
 冒頭、月明かりの湖畔沿い。トンネルから出てきた車が、急停止。
 乗っていたのが白川由美&水野久美。
久美「ね、ここで、泳いでみない?」と、脱ぎだす。
由美「えー、水着なんか持ってないわ」
「大丈夫よ、誰も見てないもの」
「それもそうね」
 東宝が誇る美形ふたりが、すっぽんぽんで、月明かりの湖畔で(笑)。
 期待が高まるなか(笑)、いきなりドカーンと、衝撃音。
由美「あ、お父さんの宇宙船。とうとう発射ね」
 と、真夜中の水泳は、置き去りに(笑)。
 脱ぎ終わって、泳いでから、発射しろよ、と(笑)。
 天空には月、湖水に裸の美女ふたり、そこへ宇宙船の軌跡。絵になるじゃあ、あーりませんか(笑)。

e0178641_19427.jpg妖星ゴラス 1962年(S37)/東宝/カラー/88分 <ラピュタ阿佐ヶ谷HPより>
■監督:本多猪四郎/特技監督:円谷英二/原作:丘美丈二郎/脚本:木村武/撮影:小泉一/美術:北猛夫、安倍輝明/音楽:石井歓■出演:上原謙、志村喬、白川由美、水野久美、平田昭彦
近未来の世界で、地球の約六千倍の引力を持つ妖星・ゴラスが地球に接近。激突まであと二年。人類の危機を救うべく、いざ立ち向かう──。池部良は宇宙物理学会の博士役。壮大なミニチュアセットによる特撮シーンが圧巻のスペクタクルSFムービー。

 その白川由美の父・田崎潤艇長の宇宙船が、地球に近づきつつある巨大彗星を発見、全地球を挙げて、その衝突防止に取り組む。その、日本代表科学者が、上原謙&池部良の師弟コンビ。
 この、新旧の美男子コンビの、クールさというか、抜群の安定感の見事さよ。
 一コ前で感想駄文済みの久松静児「裸の町」では、優柔不断のダメンズを演じて、ま、それもそこそこ魅せる池部だが、上原共々の、何事にも動じないクールさは、池部ならではの良さ。

 さて、ここで、巨大彗星回避の二面作戦は、彗星爆破と、なんと驚きの禁じ手(笑)「南極大陸に原子力ジェットパイプを並べ66億メガトンの推力機関が計画され」地球の軌道を変えて、の対応。
 地球温暖化も、地球環境激変も、何のそのの、暴挙(笑)。の割には、環境激化の描写は、水没した東京とか、庭に南洋植物程度の、お粗末。現代なら、さまざまな環境破壊だの、環境激変の描写の数々になると思うが、そこまで意識がいっていないころの作品とあって、軽くスルーされているところが、時代か。
 巨大彗星回避の二面作戦のうち、彗星爆破は、軽く触れられるのみで、地球自体が逃げちゃう作戦(これを池部らが推進)がメインになるところが、いかにも専守防衛優先の日本らしい発想。

 これが、アメリカ映画なら、マイケル・ベイ「アルマゲドン」。とにかく彗星爆破のみを王道として推進。あの映画と比較しちゃうと、日本的発想の専守防衛策が、弱々しく感じてしまうのは、やむをえない。

 余談1 非怪獣系特撮映画として、いやあこういう怪獣抜きの円谷特撮も楽しいなあ、と思っていたら、やはりこらえきれなくなったらしく(笑)巨大トドめいた怪獣が、おざなりで登場。やはり、お子様観客には、怪獣は必須と見たか。
 南極への原子力過剰投入ゆえに、巨大化、って言う理屈か。といいつつ、本題ではないので、池部らが軽く怪獣処理。
 円谷ならではの、大人の特撮が、もっと見たかった。

 余談2 しかし「一九八〇年。富士山麓宇宙港から、園田艇長の第一回土星探検宇宙船隼号が離陸した」という時代設定には、ちょっとぴっくり。いかにも上登り、行け行けどんどんの60年代映画らしい。ここらへん、ちょっと韓国っぽい(笑)妄想設定。
 そのため、日本宇宙隊?に、東宝若手男優総動員。この陽性の(夏木陽介もいるし)、若さパワー炸裂の盛り上がりが、楽しい。ここらへんがいかにも東宝のよさ。

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by mukashinoeiga | 2015-07-09 01:10 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(0)

千葉泰樹「バンコックの夜 NIGHT IN BANGKOK」

 京橋にて。「映画監督 千葉泰樹Yasuki Chiba Retrospective」特集。66年、東宝=台湾省電影製片廠=国泰機構有限公司。
 きわめて格調ある、端正とさえ言える、メロドラマの佳作。厚みあるゴージャスな映像。
 脚本グッド、撮影グッド、加山雄三はじめ出演陣もグッド。まるでメロドラマの教科書というべき。

 
バンコックの夜 NIGHT IN BANGKOK(105分・35mm・カラー) <フィルムセンターHPより>
「香港3部作」の成功を受け、東宝は台湾の女優・張美瑤(チャン・メイヤオ)を合作映画のヒロインとしてオファー。犯罪劇のからんだメロドラマ『香港の白い薔薇』(1965、福田純監督)に続き、張は本作でも富豪の令嬢として登場、異国情緒たっぷりのラブロマンス作品である。
1966(東宝=台湾省電影製片廠=国泰機構有限公司)(監)千葉泰樹(脚)笠原良三(撮)完倉泰一(美)育野重一(音)山本直純(出)加山雄三、張美瑤、星由里子、越路吹雪、藤木悠、馬驥、プリム・プラパポーン、志村喬、東郷晴子、上原謙、田崎潤

 メロドラマとは、常に、必ず「観光映画」でもある、というセオリーを、忠実になぞるように、東京、京都、奈良、台北、バンコックと、ケータイがない時代、恋人たちは偶然の出会いと別れを繰り返す。
 遠距離恋愛?というべきか、その地理的隔絶が心理的すれ違いを代行する。
 会いたい。恋する人に逢いたい。しかし、相手は、遠く遠隔の地の、いずこにか、いる。メロドラマとは、そのすれ違いと、偶然の出会いの、あわいの不連続に、ある。
 そう、心理的すれ違いを模倣するかのように、距離的すれ違いが必要なのであり、メロドラマとは、どうしても遠距離恋愛にならざるをえない?
 そして、この映画の映像的美しさ。
 カラー・シネスコ画面のニュープリの美しさ。ただごとではない。撮影監督はぼくには、まったく未詳の人だが、素晴らしい。
 後年の、同じ東宝の撮影監督・木村大作は、なんだか現代では自他共に認める巨匠を詐称しているようだが、常に観光絵葉書じみた凡庸な絵ヅラしか撮らない木村に比べ、なんという豊穣な絵をとるのか、このキャメラマンは。

 現代では、死滅した回転レストラン。
(しばらく前、かつて人気を誇った回転レストランが日本国内では死滅し、つまり設備劣化ゆえに回転できなくなり、ただの高層階展望食堂に成り果てたものを、また再び客席を回転させようという試みがある、という新聞記事を読んだ記憶がある。その後どうなったのかは知らない)
 その回転レストランでの、星由里子と張美瑤のテーブル。星が張に加山雄三を譲るという会話。
 そこにボーイが「時間です」。いっしゅん、観客であるぼくは「?」となるが、
 星は、可動部の客席から、中央の不動部分のピアノに向かい、現れた歌手越路吹雪のピアノ伴奏者となる。なんというセンス。
 この辺の呼吸、また回転レストランを生かした、ゆれる、ゆるやかな移動映像は、なんとも素晴らしい。ゆるゆるゆれ続けるデ・パルマというべきか。
 睡眠薬を飲んでふらふら車を運転する自殺行の張美瑤は、まるでヒッチコックそのもの。音楽もヒッチタッチで。

 加山雄三は、(映画の)かなり早い段階で張美瑤にプロポーズ&初キス。
 ああ、こんなに早くちゃ映画はハッピーエンドには、ならないな。それは、瞬時に、わかる。
 それは、日本とアジアの観光映画(でも、ある)微温的メロドラマの、お約束。
 クライマックスは「ローマの休日」を引用して、グッド。
 ヒロインのメイド、タイ人メイド少女に手をふる加山。ナイスな演出。

 そして加山雄三は、タイに蔓延する出血熱(イマドキ流行りのエボラかどうかは、わからない)の撲滅に邁進する青年医師でもある。この辺の趣向は、感想駄文済みの千葉泰樹「白い壁畫」の、マラリア撲滅を誓う青年医師・月形龍之介に、通じるものが、ある。この自作過去作へのつながりこそ、千葉の思い入れか。
 加山の亡父の旧友(星由里子の父)にワンシーンのみ登場の上原謙。「君の親父というのは、本当にいいヤツだった」と、加山の亡父をべた褒めするのにも、爆笑するが、上原の、亡父絶賛を聞く、加山の微妙な表情に、さらに爆笑。
 なんとやり過ごしていいのか、目はうつろに、泳いでいて、表情は、固まっているという(笑)。
 この加山演技と、千葉演出の楽しさ。

 その亡父の墓に、加山と張美瑤が墓参り。雑草がぼうぼうの墓。
 普通、久しぶりの墓参であっても、たいていの映画は、なぜかきれいな墓周り。というのが、ありがちだが、このリアル感は脚本のゆえか。
 タイ人ボクサーの試合描写も、キレがいいし、第二ヒロイン・星由里子の、加山拒絶もリアルだ。
 そしてスクリーンで見てこその、美映像。すばらしい。

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by mukashinoeiga | 2014-12-26 09:49 | 千葉泰樹 ヤスキ節の愉しさ | Trackback | Comments(2)

千葉泰樹「若い恋人たち」

 京橋にて。「映画監督 千葉泰樹Yasuki Chiba Retrospective」特集。59年、東宝。あと1回の上映。
 この手のラヴコメ系ホームドラマは、はずれなしの千葉泰樹、本作も、と期待して見に行ったら、さすが、ハズさんなァ、の快作。
 楽しいセリフ満載のオリジナル脚本を得ての、快演出。
 主人公・宝田明も、意外な好演で、叔父の会長・加東大介、快紳士・上原謙も相変わらず楽しい。
 55年の鈴木英夫「不滅の熱球」で、ほんの軽いキスシーンを恥ずかしがって嫌がり「そういうことは、好きな人としかいたしません」と言っていた純情娘・司葉子も、本作では、大胆に宝田明と、連続濃厚キス。ああ、歳月は人を待たないなあ(笑)。
 なお、勤め先のバーからかえって来て、母・滝花久子に、お茶漬けでいいかい、タラコがあるから、あんた好きでしょタラコ。
 と言うことで、司葉子、太いタラコにかぶりつくのだが、これは明らかに狙ってるだろ千葉泰樹(笑)。
 本作の翌年の小津安「秋日和」で、ハラセツ・司葉子の母娘は、なぜか恥ずかしがって、タラコを「たの字」とか言う符丁で呼ぶのだが。
 おそらく小津安は本作を見ていたに違いない(断定)。そして、
オレの葉子ちゃんは、ブッといタラコにかぶりつくような娘じゃあないっ」と、ばかりに「秋日和」を作ったのでは、ないか(笑)。

若い恋人たち (94分・35mm・カラー) <フィルムセンターHPより>
光学会社の青年技師・修一(宝田)は、社長である叔父の推薦する令嬢との良縁を拒否し、銀座の酒場で働く和代(司)と結婚してしまう。親の命令で修一を偵察することになる妹(団)だが、彼女にも愛する男性ができる。笠原良三のオリジナル脚本による青春恋愛映画。
1959(東宝)(監)千葉泰樹(脚)笠原良三(撮)西垣六郎(美)河東安英(音)黛敏郎(出)宝田明、司葉子、団令子、夏木陽介、加東大介、有島一郎、上原謙、北あけみ、久慈あさみ、若水ヤエ子、滝花久子、沢村貞子、久保賢、宮田羊容、布地由起江

なお当ブログの過去記事★小津漬の味10<小津家の兄妹>あるいはまとめに走らない、まとめ★に、よれば(笑)、

 謎めいた小津映画の中でも、生涯独身の小津がなぜ、かくも結婚問題にこだわるのか、というのも疑問のひとつ。そこで思い返してみると、小津映画の結婚とは、普通の、いわゆる「結婚」とは、違うのではないかと。
 つまり、どういう結婚かというと、その結果、狭義的には家族が増える結婚ではないということだ。必ず家族から人が減る結婚なのだ。必ず人が減ることが、その家族にとって、残される家族構成員にとって、慶事であるかどうか、かなり微妙な問題である。時によって、ヒロインの結婚相手の男をまったく映さないのも、そうしたことではないのか(『晩春』『秋刀魚の味』)。
 ミッキーナルセが一瞬の交通事故で済ませるようなことを、小津安は丸まる一本の映画分の時間を使って描写している、ということではないか。
 みんなが寄ってたかって、酒と食事を楽しみつつ、家族を減らすべく相談しあっている。
 特に『晩春』の笠や『秋日和』の原節は、一人取り残されることにより、家族という括りそのものすら消滅してしまう。この笠や原節が再婚しないのは、そんなことをしたら<家族が増えてしまう>からなのだ。『秋刀魚の味』の長男夫婦が子供が出来ないようにしているのも、『麦秋』の、現状なら近所の二本柳寛家に原節が嫁げば、擬似家族としてのこの二家族に家族がそれぞれ増えてしまう、だから二本柳家ははるか遠くの秋田に行くのである。たらこ、が、たの字、としてタヴー視されるのは(『秋日和』)、その圧倒的な卵の量によるのではないか。
 小津の家族たちは執拗に加算を禁じられている。それは、たとえば、小津安映画のうなぎ屋に昼飯時にほとんど客がいなかったり、『東京暮色』の藤原釜足のラーメン屋にはいつ行っても、ほとんど客がいなかったりすることと関係があるのだろうか。で、あるならば、それは、(一般的な)世の無常とは、たぶん、関係ないのだろう。(引用終わり)

 小津の家族たちは執拗に加算を禁じられているその最大の例証は、ホームドラマでありながら、小津映画では、一貫して、一人の赤ん坊も生まれたためしがない、この異様さで
 と言うわけで、司葉子がブッといタラコにかぶりつく問題(笑)は、いがいと奥が深い?のでした。閑話休題。

 本作に話を戻せば、昔からのおなじみの俳優たちを遊び倒す、千葉泰樹の楽しさ。加東大介しかり、上原謙しかり、特に上原の二枚目半ぶりは、楽しくて仕方がない。
 二枚目紳士なのに、けんかすると強い、というのは、千葉泰樹「丘は花ざかり」同様。藤本プロ仲間成瀬巳喜男と、正反対の上原扱いが、面白い。

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by mukashinoeiga | 2014-12-04 09:42 | 千葉泰樹 ヤスキ節の愉しさ | Trackback | Comments(2)

千葉泰樹「丘は花ざかり」

 京橋にて。「映画監督 千葉泰樹Yasuki Chiba Retrospective」特集。52年、東宝。あと1回の上映。
 映画のデキはともかくとして(笑)OLD映画ファンにとっての見所満載、絶対のオススメ(笑)。
 まずOLD映画ファンに訴えたいのは(笑)、季節は夏とて、好青年・池部良が川で泳ぐ。信じがたいことに、よし俺も、と、なんと志村喬も付き合い、遠泳す! 志村喬の遠泳なんて珍景、さらに楽しいのは、あお向けに体を丸め、ニコニコしながら、くるくる回って泳ぐさまは、まるでラッコ状態。
 ラッコ泳法、しかもにこにこ、志村喬が(笑)。チョーかわいい(笑)。志村ッコ。
 つぎに、上原謙史上最高の超キザ紳士ぶりが、最高におかしい楽しい(笑)。
 色眼鏡、コールマンひげでばっちり決めたキザ紳士ぶりの、美中年ぶりは、おそらく史上最強。
 この上原が、戦前松竹以来のなじみの、木暮実千代、高杉早苗と、丁々発止の恋愛ゲームとは、文字通り二十年越しの(笑)ワインのような芳醇の味わい(笑)。
 なお、コールマンひげとは、本特集のチラシ表紙で、千葉泰樹がしているような口ひげの一種。こだわりの口ひげだが、当然そのひげがあることによって、顔に間抜け感が漂う千葉とは違い、上原のそれはビューテホー。
 さらに杉葉子、池部良の先輩社員のオールドミス嬢に、中北千枝子
 仕事が終わり、杉葉子に「うちに来ない?」。その中北の「うち」とは、なんと、岡村文子の定食屋。なじみの定食屋で、おかずをつまみつつ、女一人でコップ酒。ぐいっ。
「仕事が終わったら、これに限るわ」
 杉葉子があからさまに顔をしかめる(笑)。こんな女には、なりたくないわ!
 しかし、ぼくは、杉葉子よりは、だんぜん中北千枝子寄りなので(笑)。
 しょぼい定食屋でひとりコップ酒のオールドミス、これを演じて中北千枝子以上の適任がいるか(笑)。あまりの的確なキャスティングに、涙さえ出てくる(笑)。
 千葉泰樹、やっぱり楽しいなあ。傑作の類ではないが、許す(笑)。
◎追記◎木暮実千代が湯船に入り、その横で杉葉子がバスタオルを巻いて、立って、会話している。このシーンが、この時代にしては、かなりエロい。
 明らかに、狙った演出。
 ただ、木暮が湯船から出ると、どう見ても水着姿(笑)。これは、おそらく、湯気と、すばやく閉じられる半透明のガラス戸で、隠しとおせると思ったのか(笑)。現像しなければ、わからないフィルム撮影の欠点が出た形か。
 にしても、杉葉子のバスタオル姿はグッド(笑)。

丘は花ざかり (119分・35mm・白黒) <フィルムセンターHPより>
雑誌社の入社試験に合格した美和子(杉)の新たな社会人生活と、同居する姉夫婦(木暮、清水)に勃発する浮気騒動を絡め、結婚を意識し始めた美和子の心の揺れを描く。石坂洋次郎の朝日新聞連載小説を映画化。
1952(東宝)(監)千葉泰樹(原)石坂洋次郎(脚)井手俊郎、水木洋子(撮)中井朝一(美)松山崇(音)服部良一(出)木暮実千代、杉葉子、高杉早苗、池部良、山村聰、上原謙、志村喬、三津田健、汐見洋、淸水将夫、沢村貞子、浦辺粂子、滝花久子

 とはいえ、本作は、もちろんコメデイではない、まじめな、杉葉子、木暮実千代ダブルヒロインのメロドラマ。
 単に時期がジャストフィットしているゆえか、千葉は杉を多用する。今井正「青い山脈」のみで語られ、ほかの映画は一向に語られない杉葉子の「不遇」を、千葉は、一人救っているかのようだ。千葉と杉のコラボは、どの千葉映画でも、きわめて印象的。
 本作は、その「青い山脈」以来の、石坂洋次郎/藤本真澄路線。当然、明るく楽しい東宝映画か、と見始めたら、なんだか石坂原作らしからぬドロドロ。
 夫・淸水将夫がいながら、木暮は上原に惹かれよろめき、杉も好青年・池部良には物足らず、山村聰編集長にご執心。いろいろうろちょろする高杉早苗の、妖艶ぶりも、なんだか、大人ビターなフンイキ。
 ビターな石坂モノは、意外と、いける。石坂なのに、明るく楽しい東宝なのに、このビターさは、いい。
 なお、のちのリメイク堀池清「丘は花ざかり」は、本作に比べれば、穏健な浅丘ルリ子主演モノ。
 また、こぶつきの森雅之編集長に恋するヒロインの映画も、記憶に残っているが、あれも同じ石坂原作か?
 杉の役名・香月美和子は、のちの日活女優にそっくり。「青い山脈」のハラセツの役名・島崎雪子を、のちに踏襲した女優がいたり、石坂の人気ぶりが知れる。

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by mukashinoeiga | 2014-11-30 14:20 | 千葉泰樹 ヤスキ節の愉しさ | Trackback | Comments(2)

島津保次郎「朱と緑 朱の巻/緑の巻」

 渋谷にて。「日本のオジサマⅡ 佐分利信の世界」特集。37年、松竹大船。
 戦前島津保次郎にしては、いささか鈍なメロドラマ。その総集編か。
 サブリンは、重要なちょい役。
 主演は上原謙で、彼をめぐる三人の女の葛藤メロ。

朱と緑 朱の巻/緑の巻(16mm)公開:1937年 <渋谷シネマヴェーラHPより>
監督:島津保次郎
主演:高杉早苗、上原謙、高峰三枝子、佐分利信、岡村文子、奈良真養、東日出子、河村黎吉、水島亮太郎、武田秀雄、藤野秀夫
松沢家に侵入者があり、令嬢の千晶が襲われたのではと噂が広がる。ウンザリした千晶は、かねてから好意を持っていた戸山を大阪に訪ねるが、そこには戸山を愛する雪江がいて…。朱色と緑色のように決して混ざり合わない男女の仲を、東京と大阪を舞台に描く辛口のメロドラマ。佐分利は、侵入犯の清三を演じている。

 戦後は、すっかり蓮っ葉な女専門となったが、高杉早苗、愛らしい令嬢はお手の物。
 で、モンダイは残りのふたり。
 ちょっと面白いキャラだ。東日出子、声はちょいと栗島すみ子似の、しわがれ声。小太りのオバサン。年下の上原謙に色目を使う、実は高杉早苗の父・奈良真養の愛人。
 上原に脈がないと悟ると、愛人の娘・高杉と上原の結婚を画策。奈良の財産の漁夫の利狙いか。
 戦前松竹メロ、ふだんは河村黎吉当たりの悪い男がヒロインを不幸に陥れるのだが、本作ではその女ヴァージョンを狙ったのか。面白い狙いだ。

 なお東日出子を検索すると、

1927年 宝塚少女歌劇レビュー初演(『モン・パリ』) 9月9日 - 秋収起義起こる 9月13日 - 日本ビクター設立 9月21日 - 三越で日本初のファッションショー開催(水谷八重子・東日出子らがモデル)

 本作出演10年前は、モデルもする、しかも日本初の。モダンガアルだったのね。

湯浅憲明 1933年9月28日 - 2004年6月14日)は、映画監督。 東京世田谷区赤堤に生まれる。 祖母は初期の新派劇女優で、映画にも出演した東日出子、父は松竹蒲田、日活、大映と移り、戦後は東横映画、大映で活躍した俳優の星ひかるという演劇一家に育った。

 祖母は東日出子、その息子は星ひかる、駄洒落みたいなネーミングは、宍戸、宍戸親子に匹敵か。で孫・憲明には、二人の日・星に共通する「明」をネーミング、と。うーん。

 そしてモンダイのもう一人は、ざっくばらんの大阪令嬢・高峰三枝子、松竹伝統?の、ナンチャって大阪弁で、お嬢様(高杉の洋装お嬢様に対して)和装派令嬢なのに、上原謙に相手にされない欲求不満からか、なんと競馬狂い。競馬場に通いつめ、いと怪しげな河村黎吉の指導の下、馬券買いにいそしむ。うーむ、これぞ時代の先端を行く超モダンガアルか。
 料亭に連れ込まれて(というより、連れ込んだは三枝子のほうか)さしつさされつしながら、
河村黎吉「俺がもートウも若けりゃ、お前さんを口説くんだがな」
三枝子「あら、あたし、五十のおじさん、好きよ」
黎吉「おお、そうかいそうかい。なら、ここはひとつ・・・・」
三枝子「あら、ダメよ。あんた、五十に、ふたつ間があるじゃないの。それに、ちゃんとした職にもついてないし」
 などといいようにあしらい、あんた、ちゃんと職について、五十になる前までは、あたしの子分になりなさい、なんて、とても令嬢とは思えない、やんちゃぶり。
 これがラスト、上原謙へ失恋したばっかりに自殺を企てる純情娘とは思えず(笑)。
幕を引くための、無理やりの幕引きだろう。
 なお、高杉早苗の父・奈良真養が三枝子をモノにしようとするも、幕引きでは後悔。幕引きではいろいろな人が身の始末を付け、映画の後味をよくしようといそしむ。通俗メロドラマのお約束で。
 通俗戦前松竹メロすべての手口を繰り出すが、いかんせん「教科書の凡庸」の退屈からは、抜け出せない。

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by mukashinoeiga | 2014-11-12 00:43 | 佐分利信 サブリン人生劇場 | Trackback | Comments(2)

谷口千吉「裸足の青春」

 京橋にて。「日本の初期カラー映画」特集。56年、東宝。
 初期カラー映画だから、風光明媚な離れ小島で長期ロケだ、昼日中の野っ原で男女が愛を語り合い、男と男は、殴り合いの大喧嘩だ、という、いかにもボンクラな凡匠タニセンらしい、曲もない、ストレート凡作
 ええい、ついでに東京帰りのストリッパー(谷洋子)も出しちゃえ(笑)。って、モチロン、あの映画のパクリか(笑)。
 タニセン、ボンクラまっしぐら。
 ただし、神父役・上原謙のみ、素晴らしい。

裸足の青春 (98分・35mm・カラー)<フィルムセンターHPより>
火野葦平の短篇「銀三十枚」を映画化。仏教徒とクリスチャンが互いに対立する長崎・九十九島の2つの村の男女を主人公とする恋愛劇。恋敵同士が村民たちの見守る中、殴り合いをする場面は、『静かなる男』(1952、ジョン・フォード監督)を想起させる。
'56(東宝)(監)谷口千吉(原)火野葦平(脚)井手雅人(撮)山田一夫(美)小川一男(音)渡辺浦人(出)靑山京子、仲代達矢、宝田明、上原謙、尾上九朗右衛門、東野英治郎、ローラル・ルザッフル、谷洋子、河内桃子、小杉義男、髙堂国典
◆イーストマンカラー
米イーストマン・コダック社は、1935年に世界初の多層式カラーフィルム「コダクローム」(外型反転)を発表。主に8mmや16mm映画で用いられた。1950年には35mm映画用で内型ネガ・ポジ方式の「イーストマンカラー」を発表し、以後テクニカラーに取って代わりカラー映画市場の中心を占めていく。日本では大映が意欲的に研究・採用し、これに合わせて東洋現像所(現IMAGICA)が1953年、イーストマンカラーの現像処理工場を完成させる。

 俳優序列としては、その他大勢組のせいぜい筆頭という、かなり低位置、東宝の外様扱いの悪意を感じるが、実質主演クラスの露出
 二枚目なんだけど、そして戦前は二の線で大車輪の主役を張った彼だが、実はコミカルな演技もバツグンにうまい。本作では、その美質を余すところなく展開して、二の線も三の線も良しの上原謙なのである。
 こういう上原謙を大根役者と決め付け、真性大根?山崎努、仲代を名優と持ち上げることの不思議。
 まあ、山崎努なんかは、どうでもよい。
 とにかくグッド、上原謙。コンビ役の修道尼・一の宮あつ子も、ナイス・アシスト。
 なお、先に名前を出した仲代も本作に出演。粗暴かつ快男子な漁師を、柄に合わず(笑)無理やり快?演。ここは、後年の黒沢年男、先年の三船あたりの役どころで、粗暴な男は、爬虫類系仲代はミスキャストか。
 可愛いのに、なぜか、いつも小さい役なのが、河内桃子。タニセン、靑山京子ともども「狙って」たんじゃないか(笑)。映画はボンクラだが、二番手新進女優をコマすのがうまいからなあ(笑)タニセン。
 なお、仮にも漁師の端くれの宝田明、いかにクライマックスを盛り上げるためとはいえ、あんな台風大荒れの海に、小船で駆け落ちは、ないだろ(笑)。逃げ出すにも、逃げ出す切羽詰った理由を考えないボンクラタニセンが、悪いのだが。

★裸足の青春|Movie Walker★
 ローラル・ルザッフル、谷洋子は、国際結婚の実の夫婦とか。司教役ストリッパー役のコラボとは、楽しい(笑)。

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by mukashinoeiga | 2014-05-25 11:21 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(0)