大林宣彦「恋人よ われに帰れ 」沢田研二小川真由美大竹しのぶ泉谷しげるトロイ・ドナヒュー

抒情と社会派は同居できるのか。
 池袋にて「新作『花筐/HANAGATAMI』完成記念! ワンダーランドの映画作家 大林宣彦映画祭2017」特集。83年、テレパック、フジテレビ。なおサブタイトルはLOVER COMEBACK TO ME
e0178641_0274820.jpg 新文芸坐では(1983/106分/BD/TV作品)と予告していたが、当日のアナウンスによると、実際は10分ほど短いとのこと。
 大画面にブローアップしたため、画質は荒いデジタル素材だが、そう割り切れば、鑑賞には耐えうる。
 また案内では、<*『恋人よ〜』は上映を目的とした素材ではないため、途中CM該当部分に黒味(無音の黒い画面)が入ります。また、途中で上映素材(ディスク)の入替時間をいただきますことをご了承ください。>とあったが、さして気にならない。当時の技術では、約百分のドラマをディスク一枚にまとめられなかったのか。

 冒頭に広島のピカドン、戦後、日系アメリカ人通信兵の沢田研二が姉を、アメリカ人将校のトロイ・ドナヒューが恋人を、それぞれ、廃墟と化した広島で、訪ね歩く。この二人がその安否を探す、その女性は同一人物である。
 探しあぐねた二人は、東京に。
 沢田は、闇市マーケットを差配する女親分・小川真由美に会い、姉と瓜二つなのに驚く。小川真由美の一人二役。ベタなメロドラマ定番。トロイ・ドナヒューも、沢田姉の面影ゆえか、小川にプロポーズ。
 しかし大人なメロドラマは、受け付けない大林の少年志向ゆえ、このメロドラマには何の説得力もない。
 大人の恋には、何の適性もない大林宣彦の、堂々の空疎。
 沢田と大竹との思慕にも、何の説得力もない。
 大林の資質にない、大人のメロドラマと、なんちゃって一見社会派風に挑戦したが、どちらも討ち死にという。

 なお東京編の冒頭、闇市マーケットを三国人暴徒たちが襲撃し、反撃する財津一郎(小川真由美の夫)を銃殺。その後もしばしばマーケットに無茶な攻撃。
 三国人といえば聞こえ?は、いいが、実態は不法入国した朝鮮人たち。ガンガン日本人を攻撃していく、日本のエンタメでいわゆる朝鮮進駐軍の日本人虐殺を描くのは珍しい。それをお花畑の大林映画で見ることができるとは(笑)。
 トータルでいえば、朝鮮人による日本人虐殺が圧倒的に多いのに、プロ被害者の朝鮮人が、日本人虐殺に目をつぶり、捏造した日本人による朝鮮人虐殺を、主張してきた。

恋人よ、われに帰れ (テレビドラマデータベースHPより)
キー局 CX 放送曜日・時間 金 20:02-21:48
放送期間 1983/09/23 ~ 1983/09/23 
演出 大林 宣彦
プロデューサ 中山 和記 脚本 早坂  曉(早坂  暁)
音楽 前田 憲男 主題歌 沢田 研二
出演 沢田 研二、小川真由美、大竹しのぶ、泉谷しげる、トロイ・ドナヒュー、風吹ジュン 
解説 大林宣彦監督が、早坂曉の脚本を得て演出したビデオドラマ。全体として迫力があり余韻の残る佳編。群衆のシーンなどの処理にやや残念な部分…

 上記「群衆のシーンなどの処理にやや残念な部分…」というのが、ヨクワカラナイ。まさかいわゆる朝鮮進駐軍の日本人虐殺を意味しているのか。だとしたら、パヨク=中韓反日左翼史観の、捏造でっち上げなのでは、ないか。
 黒沢明と同じく、政治や正義の描写にかかわると、黒沢も大林も、小学生の優等生作文に、なる。小学校では、よく出来ました、の花丸マークは貰えるかもしれないが、現実のリアルポリテックスでは、落第点だろう。
 なお敗戦直後の街の描写を、きわめて稚拙な書割特撮で、ここはいかにも大林的。リアルは目指さない描写の、お花畑。それを積極的に良しとするのは、大林独特の奇妙な価値観なのかもしれない。

 日系アメリカ人通信兵の沢田研二、アメリカ人将校のトロイ・ドナヒューの、アマさ。いかにもお花畑な大林らしい。
 そして朝鮮戦争が起こり、沢田が朝鮮に出兵するというときに、大竹しのぶが沢田に、あたしの親は朝鮮人で、日本に出稼ぎにきた、朝鮮に戦争に行ってほしくない、朝鮮で戦争したら、あたしみたいな不幸な人たちがどんどん出てくる、と泣き落とし。 
 えー。朝鮮戦争って、てめえたち民族の内戦だろう。てめえ達の勝手な内紛なのに、なんで被害者ぶっているんだ、と。まさにプロ被害者民族の面目躍如だ。日頃の行いが悪いから、同情は、難しい。

 沢田と大竹の教会での結婚式に、結婚行進曲のサビ(ぱぱぱぱぁーんぱぱぱぱぁーん)が何度も何度も繰り返し執拗に流れる。これはグッド。この直後に花嫁の大竹は倒れるのだが、大林映画の通例で、どんなシーンにも低く劇伴が流れる。最後のキメのシーンは無音だが、さして意味がないように感じたが。

★新・今、そこにある映画★日本映画・外国映画の、新作感想兄弟ブログ。なお、現在は当ブログに吸収合併。過去ログは残してあります。
★映画流れ者★当ブログへのメモ帳、その他諸々

★人気ブログランキング・日本映画★
にほんブログ村 映画ブログ 名作・なつかし映画へ
★にほんブログ村・名作なつかし映画★

★にほんブログ村日本映画(邦画)★
[PR]

# by mukashinoeiga | 2017-09-12 00:32 | いつか見た時をかける大林宣彦 | Trackback | Comments(0)

大林宣彦「可愛い悪魔」秋吉久美子渡辺裕之川村ティナ赤座美代子佐藤允岸田森みなみらんぼう峰岸徹秋川リサ

超珍作?天才少女シリアルキラーVS変態ロリコン探偵しかも超ヘタレの対決やいかに(笑)。
e0178641_1275649.jpg しかし大林は変態ロリコンを描いても、お品がよろしい(笑)。
 池袋にて「新作『花筐/HANAGATAMI』完成記念! ワンダーランドの映画作家 大林宣彦映画祭2017」特集。82年、円谷プロダクション、NTV。

(以下、ネタバレあり)
 当日のトークショーでは、大林監督のコメントは、
 「「異人たちとの夏」では当初は、久美子ちゃんは、名取裕子さんの役にキャスティングされていた。それをぼくがこれはちがう、と風間杜夫のおかあさんの役に変更した。
 「可愛い悪魔」でも「当初久美子ちゃんが犯人役に想定されていたが、被害者役に変更した」
 これはその前の秋吉の発言、
「最初「可愛い悪魔」という台本を見たら、この「可愛い悪魔」があたしの役なんだと、思ったら、違った」を、受けたもの。

e0178641_129171.jpg可愛い悪魔 (テレビドラマデータベースHPより)
大林宣彦監督初のテレビムービー作品。美しい花嫁・フユ子が結婚式のパーティの最中に転落死した。花婿コウジの姪アリスの「死んだら、私にベールをくれる?」という不気味な言葉の直後だった。同じ頃、ウィーンでピアノの勉強をしていたフユ子の妹ヨウ子は、恋人に目の前で事故死され、そのショックから自殺を図った。日本へ連れ戻されたヨウ子は、ショックから立ち直れないまま精神病院へいれられる。
キー局 NTV 放送曜日 火 放送期間1982/08/10~1982/08/10 放送時間21:02-22:54 放送回数1 回 単発
番組名 火曜サスペンス劇場
主な出演 秋吉久美子、渡辺 裕之、ティナ・ジャクソン、赤座美代子、佐藤  允、岸田  森、みなみらんぼう、小林 亜星(特別出演)、峰岸  徹、中島  葵、秋川 リサ、明日香いづみ(明日香和泉、明日香 尚、明日香七穂)、梅津  栄
主な脚本 那須真知子 主なプロデューサ 山口  剛、宍倉 徳子
主な演出(監督・大林 宣彦)局系列 NNN 制作会社 円谷プロダクション、NTV
企画 小坂  敬、山本 時雄 音楽 木森 敏之(音楽協力・日本テレビ音楽)
主題歌(テーマ曲・岩崎 宏美「聖母たちのララバイ(マドンナたちのララバイ)」(作詞・山川 啓介、作曲・木森 敏之)

 しかし実際の「可愛い悪魔」は、秋吉ではなく、8歳の小悪魔な少女にして、大悪魔(笑)。母親・赤座美代子をはじめとして、大の大人たちを、バンバン殺していく。しかも幼女にしては、スーパーテクを駆使して。まさしく天才犯罪少女というべきだろう。
 演じるティナ・ジャクソンは、なかなかの名演。のちに川村ティナというタレントになったというが、ぼくはよく知らない。
 秋吉トークでは、実際のティナも、しばしば秋吉を、きつい目で睨みつけていたという。嫉妬か対抗心か。
 映画.com「大林宣彦映画祭2017」9月3日開幕!秋吉久美子、最初はイヤだった「異人たちとの夏」の秋吉インタヴューによれば、

「可愛い悪魔」は日本テレビ「火曜サスペンス劇場」枠で製作された初のテレビ映画。結婚パーティー中の転落事故で姉を失ったヒロイン(秋吉)が洋館で暮らす義兄の姪アリス(ティナ・ジャクソン、現・川村ティナ)のピアノ教師になるが、惨劇が続いて起こり……というホラーテイストのサスペンスだ。“小悪魔的な妹”キャラで売り出してきた秋吉が一転、8歳の少女に狙われるヒロインを演じた。未DVD化で、スクリーンで見られる貴重な機会となる。
「最初、『可愛い悪魔』って、自分のことかなと思ったんですよ。でも本を読んだら、私じゃないんだ。私がやられてしまうんだ、と思って、唖然としました。常に、少女というフォルムを通した社会的な加害者を演じてきたのに、被害者を演じたという意味で違った役でしたね。女の子は自分に邪魔なものを殺してしていくんです。私の場合は、自分が大好きなお兄ちゃんが、私のことを大好きだから、『こいつもやっちゃえ』と。私を精神的におかしくするためにいろんな罠を仕掛けるんですが、面白かったのは、吊るされたことですかね。初めての経験だったので」
2時間ドラマだったが、撮影には劇映画並の1カ月を要した。「スタッフも途中で交代して、予算的にも2、3倍かかったんじゃないですか。なぜかというと、その先には映画館でかけようという思いがあったから。全部に凝っちゃったんですね。こんなこともありました。お母さんが誰かに突き落とされて、2階から落ちていくシーンがあったんです。目を開けたまま落ちないといけなかったのですが、どうしても目をつぶってしまう。そうしたら、大林さんはまぶたの上に目を書いちゃった。えー、こんなことをするんだ、とビックリしました。でも、作品を見ると、不自然ではないんですよ。動いているから」(以上引用終わり)

 ただ「お母さんが誰かに突き落とされて、2階から落ちていくシーン」は記憶にない。ぼくの記憶力は全くあてにはならないがあるいはカットされたのだろうか。

 そしてみなみらんぼう演じるロリコン変質者がテレビドラマとしては史上最強の変態ぶりであり、なおかつ八歳の少女に燃え殺されるという史上最弱のヘタレぶり(笑)。
 映画史上の「探偵」(素人探偵だけど)としては、おそらく極北のキャラだろう。
 八歳の少女に「ぼくとキスしてよ」というという、今のテレビドラマではおそらくNGなセリフ。昔は今より表現の自由がありました(笑)。
 しかしそういうロリコン趣味、変態趣味の描写であっても、大林の場合、いかにもおおらかで、さわやかで、暗い影がないんだよなあ(笑)。
 天才少女シリアルキラーVS変態ロリコン探偵しかも超ヘタレの対決、ミステリとしては、きわめて珍品でした(笑)。

 そして本来はヒーロー格の渡辺裕之の演技とも言えない演技で、演技も役柄も、本当に役に立たないつっころぱしで。
 秋吉久美子は、渡辺とは比べ物にならない演技のうまさだが、いつも軽くイラッとさせるキャラだから、最後悲劇的なのも、あまり同情できない。
 母・赤座美代子の虐待が娘の暴走を生むという、たぶんデ・パルマ「キャリー」の変奏曲、ないしパクリかとも思えるが、本来善人の大林が、娯楽映画を求められると、なぜかまったく資質に合わないホラーを作り、ビミョーなので気にさわるという典型かと。
 商業映画デヴュー「HOUSE ハウス」も、その前の自主映画「EMOTION 伝説の午後 いつか見たドラキュラ」も、お子様ランチ的ホラーなので、ホラーが得意と自他ともに誤解されたのかもしれないが、お子様ランチ的ホラーはあくまでも、ファンタジーであって、ホラーじゃないから。結局大林的善人ホラーが「異人たちの夏」の中途半端で水と油な怪談ホラーを生むことになる。

 なお本作についてネット検索していたら、音楽 木森敏之についてのきわめて興味深い記事を発見。そもそも木森という名前は、あからさまに大林の変名くさいなという興味から検索したのだが、[メトロ]というブログ名曲の影にこの人あり 今明かされるエピソードという記事によれば、自在した作曲家のようだ。

[今日命日!聖母たちのララバイ 木森敏之(1947~1988)40歳で逝く]
木森敏之【きもり・としゆき】は 昭和22年(1947)7月24日 北海道で 生まれました 日本大学卒業後 ロサンゼルスの専門学校 で 三年間 映像音楽の構成 作曲 編曲を 学びます 帰国してから 七年間 CMソングの作曲をしたり 編曲家として 活躍を始めます
編曲の代表曲 は ツイストの【燃えろいい女】印象深いアレンジを 加え大ヒットします
昭和54年からは テレビドラマの世界に進出テーマソングを 作り始めます そんな 木森敏之 初のヒット曲が 昭和56年(1981)に 出ます 【サンセットメモリー】木森敏之はこの一曲で作曲家として 認められました

昭和57年 爆発的な売り上げの【聖母たちのララバイ】早くも レコード大賞の 呼び声も あがってきた そんなある日 一人の作曲家が 来日します 男の名は ジョンスコット スコットは 日本で 流行っている 【聖母たちのララバイ】を 聴いて スコットが作曲した 映画【ファイナルカウントダウン】と 似ている さらに オープニングロール の メロディ さらに CM直前のメロディ まで 似ている と 詳細を 聞きに 来日したのです
木森敏之のもとに 殺到する 取材人 木森敏之は あっさりと 盗作を 認めたのです
木森は 映画【ファイナルカウントダウン】の 音楽の スコアから 一部 盗用し テーマに 使っていたのです
さらに主題歌【聖母たちのララバイ】の 歌い出しの部分も 【ファイナルカウントダウン】を 参考に 作られていたのです
しかし さびの 【この街は 戦場だから 男は みんな 傷を負った戦士…】の フレーズは 木森敏之の オリジナルでした
しかし この盗作騒ぎの波紋は 広がり レコ大の基準では 外国曲は 大賞候補曲に 選曲しないのが 決まりな ため この歌は この年最大のヒット曲で ありながら ノミネートされなかったのです 幻の レコ大の 大賞曲と 呼ばれています
木森敏之は そんな世間の厳しい言葉を 払拭するかのように 【火曜サスペンス劇場】では 同じ山川啓介作詞 岩崎宏美唄で
第二期エンディング 【家路】
第三期エンディング【橋】を 作曲
さらに アニメでは 【ダ ティベア】【伊賀のカバ丸】【キャプテン】映画では【時代屋の女房】【スーパーマリオブラザーズ ピーチ姫救出大作戦】等を 手掛けました

しかし 死は突然でした 昭和63年(1988)4月11日 木森敏之は、急性肺炎のため 40歳の 若さで この世を去りました 木森敏之の死後 【聖母たちのララバイ】の 楽曲性の高さが 評価され 映画で使われていた メロディ と 自分の創作した メロディを 併せて これだけの 大曲にした と 木森敏之が 改めて 評価されるようになり それまで 【聖母たちのララバイ】は 作曲 ジョンスコット 木森敏之 と 書かれていたのが いつしか 作曲 木森敏之 のみ の クレジット に なりました 木森敏之は 忘れては いけません 彼は 名編曲家でも ありました すなわち 盗作では なく 人の作曲を編曲をして さらに 自作曲を つけ加えて 別の歌に 生まれ変 2008/04/12(土)00:27(以上抜粋引用終わり、文字変色は引用者)

 しかし、以下のユーチューブで聞くとあからさまな盗作だが、なかったことにされたのか。権利関係に厳しいだろうアメリカ人の作曲家が、裁判をしなかったのもおかしい。レコード会社がなあなあの和解金を払ったのだろうか。

『ファイナル・カウントダウン』(The Final Countdown)岩崎宏美

ファイナルカウントダウンの1シーンのBGMが・・・


 本作でも大林映画の例にもれず、全編を通じてメロウなBGMが流れ、それはホラーシーンでも変わらない。それがホラー効果を弱めるにせよ、音楽は流れ続ける。誰か善人系ホラー好き(笑)大林に、西洋肉食系(笑)スプラッタ、ゾンビ映画の感想を、聞いたのは、いないのか(笑)。

★新・今、そこにある映画★日本映画・外国映画の、新作感想兄弟ブログ。なお、現在は当ブログに吸収合併。過去ログは残してあります。
★映画流れ者★当ブログへのメモ帳、その他諸々

★人気ブログランキング・日本映画★
にほんブログ村 映画ブログ 名作・なつかし映画へ
★にほんブログ村・名作なつかし映画★

★にほんブログ村日本映画(邦画)★
[PR]

# by mukashinoeiga | 2017-09-10 01:32 | いつか見た時をかける大林宣彦 | Trackback | Comments(0)

大林宣彦「異人たちとの夏」風間杜夫秋吉久美子片岡鶴太郎名取裕子永島敏行

郷愁絶品、強襲オノミチ、もといイマイチ。そもそもやさしさファンタジーの善人大林が、鶴太郎・秋吉パートは絶品ながら、悪意満載のホラーを撮れる体質ではまるでなく、まあ幼児向けお花畑ホラー「HOUSE」は成功させても、本作のアダルトホラーの名取裕子パートの失速はやむを得まいて。
 水と油映画祭てなものがあったら、本作は真っ先に選ばれよう。
e0178641_945516.jpg 池袋にて「新作『花筐/HANAGATAMI』完成記念! ワンダーランドの映画作家 大林宣彦映画祭2017」特集。88年、松竹配給。

 ロードショー時には、地元映画館の映写だったので、場内見回りと称して、何十回となく、特に鶴太郎・秋吉パートを、立ち寄り観察しておりました。でも名取パートには、一回も入らなかったな(笑)。
 なとりの珍味は、大好きだけど、当時のぼくには、名取裕子は珍味過ぎて良さがわからなかった。ジジイになった今見ると、結構セクシーでいい女じゃん、とも思う。でも、まあ、やはり、顔が好みではない(笑)。演技は認める。て、完全に上から目線やね。

e0178641_94645100.jpg異人たちとの夏 監督:大林宣彦 (Movie Walker HPより)
1988年 松竹 108分
原作:山田太一 脚色:市川森一 出演:風間杜夫 秋吉久美子 片岡鶴太郎 名取裕子 永島敏行 ベンガル 笹野高史
原田英雄(風間杜夫)は40歳のシナリオ・ライター。妻子と別れ、今はマンションに一人暮らしをしていた。ある日、原田は幼い頃に住んでいた浅草に出かけ、偶然、死んだはずの両親に会ってしまう。二人は原田が12歳の時に交通事故で死亡したが、なぜかその時の年齢のまま、浅草に住んでいた。原田は懐かしさのあまり、浅草の両親の家へたびたび通うようになる。一方で、原田は同じマンションに住む桂(名取裕子)という女性と、愛し合うようになっていた。

 映画初出演の、柄にあった鶴太郎の絶品。
 ヤンキーな下町のお母ちゃんを、これまた絶品の品の良さで演じる、離れ業の秋吉久美子。
 大林監督トークによれば、
「当初は、久美子ちゃんは、名取裕子さんの役にキャスティングされていた。それをぼくがこれはちがう、と風間杜夫のおかあさんの役に変更した」
 というが大正解。
 そして年下の両親と「再会」して、驚きつつ甘える風間杜夫も、素晴らしい。

 ただ本作の瑕疵は、やはり名取パート。しかしその原因は名取裕子では、ない。いつも演技が不安定かつ、なんでこんなに風間を助けるんだ、と意味不明な存在の、永島敏行だ(笑)。これぞご都合主義の最たるキャラだ。まあ、そういっちゃうと、両親との再会もご都合主義なんだけども(笑)。
 無いものねだりでいえば、浅草パートは大林でも、名取パートは、他の監督にしてもらいたかった。清順?中川?テリー石井?池田敏春?石井隆?

異人たちとの夏-予告編-

 ユーチューブのコメント欄にもあったが、ほんとに下手な予告。二つもネタバレと、いう(笑)。松竹が本当に映画を理解していなかったのが、バレバレ。
水野晴郎 解説 "異人たちとの夏"

 地上波TVでの映画放映最後の輝きか。とはいいながらヴィデオ勃興の影響避けられず、あまり意味なさそうな番宣パンフの配布という。
「異人たちとの夏」ー回想

「異人たちとの夏」ー不思議なひと夏のすべての始まり

異人たちとの夏


★新・今、そこにある映画★日本映画・外国映画の、新作感想兄弟ブログ。なお、現在は当ブログに吸収合併。過去ログは残してあります。
★映画流れ者★当ブログへのメモ帳、その他諸々

★人気ブログランキング・日本映画★
にほんブログ村 映画ブログ 名作・なつかし映画へ
★にほんブログ村・名作なつかし映画★

★にほんブログ村日本映画(邦画)★
[PR]

# by mukashinoeiga | 2017-09-07 09:47 | いつか見た時をかける大林宣彦 | Trackback | Comments(2)

大林宣彦&秋吉久美子@池袋新文芸坐トークショー大林宣彦映画祭2017

闘病中でも饒舌な大林宣彦(笑)。
e0178641_514454.jpg 池袋にて「新作『花筐/HANAGATAMI』完成記念! ワンダーランドの映画作家 大林宣彦映画祭2017」特集。
 本特集の大林映画は、最近作は敬遠して(笑)ほぼほぼ見ているのだが、その初日に、未見のTVドラマ「可愛い悪魔」(1982/112分/16mm/TV作品)を見に行く。同時上映は「異人たちとの夏」(1988/108分/35mm)。
 で、この両方に出ている秋吉久美子のトークショーもあり、「安倍さんに頼んで、ノアの方舟に乗せてもらいたい」など元祖不思議ちゃんらしい?トーク。
 で、司会の樋口尚文が「実は大林監督がおいでになって最後列に座っておられます。現在がんなどの闘病中で、本来ならこのステージに上がってトークに参加していただきたかったのですが、この(ステージへの)階段を昇ることも危険な状態なので、席に座ってご挨拶してもらいます」
 ということで着席しながら、しゃべる大林監督。観客はいっせいに後ろを向き、監督の姿を探す(笑)。
 声はかすれ、衰えているが、とにかく、例によって延々としゃべるしゃべる。秋吉久美子が「あたしは話が長い」といっていたのを受けて「僕は久美子ちゃん以上に話が長いので」と、病を押して延々しゃべりまくり、秋吉久美子トークのはずなのに、後半ほとんど久美子トークなく時間切れ(笑)。
 二三の心ない観客が「ステージに上がればいいのに」「立ってしゃべればいいのに」とつぶやく声が意外と大きく聞こえる。

 大林監督のコメントは、
 「異人たちとの夏」では「当初は、久美子ちゃんは、名取裕子さんの役にキャスティングされていた。それをぼくがこれはちがう、と風間杜夫のおかあさんの役に変更した」
 「可愛い悪魔」でも「当初久美子ちゃんが犯人役に想定されていたが、被害者役に変更した」
 これはその前の秋吉の発言、
「最初「可愛い悪魔」という台本を見たら、この「可愛い悪魔」があたしの役なんだと、思ったら、違った」
「(「異人たちとの夏」で)なんで、あたしが下町のお母ちゃんなのか疑問だったが、初日にあのセットに入ったら、すっと溶け込めた」
を、受けたものか。
「これからぼくも30本は映画を撮りたい」といい、秋吉久美子は手で顔を覆って涙ぐむのだが、女優の演技と疑われるので、これは個人的にやめてほしいと、思いました(笑)。
 最後に、マイクを返された大林が、席から立ち上がり、秋吉へのエールの想いで地声で「はい、よーい、スタート!」

(なお、各発言はぼくのあいまいな記憶力によるうろ覚えで、全く正確性を欠いた記述であることをご理解いただきたい)
 「可愛い悪魔」「異人たちとの夏」については、後日感想を駄文します。

e0178641_5143759.jpg なお映画.com「大林宣彦映画祭2017」9月3日開幕!秋吉久美子、最初はイヤだった「異人たちとの夏」で検索していただけると、別取材の秋吉久美子発言が読め、こちらも面白い。
[映画.com ニュース] 末期がんを宣告されながら、第43作となる最新作「花筐」(12月16日公開)を完成させた“映像の魔術師”大林宣彦監督。そんな大林監督にエールを送ろうと企画された「~ワンダーランドの映画作家~ 大林宣彦映画祭2017」が9月3日から同17日まで東京・池袋の名画座「新文芸坐」で開催される。DVD化されていない貴重な作品を含め全29作品を上映。大林作品ゆかりの俳優によるトークショー(聞き手は、すべて映画監督、映画評論家の樋口尚文氏)もある。9月3日に登壇する女優の秋吉久美子に、大林作品の舞台裏や魅力を聞いた。(取材・文・写真/平辻哲也)(以上前文引用終わり)

 そういえば、はるか昔、旧文芸坐の寺山修司オールナイトに行ったら、想定外?の寺山修司トークがあり、聞けば入院中の病院から抜け出して文芸坐に来たという。文芸坐、病人に無茶しすぎ(笑)。

★新・今、そこにある映画★日本映画・外国映画の、新作感想兄弟ブログ。なお、現在は当ブログに吸収合併。過去ログは残してあります。
★映画流れ者★当ブログへのメモ帳、その他諸々

★人気ブログランキング・日本映画★
にほんブログ村 映画ブログ 名作・なつかし映画へ
★にほんブログ村・名作なつかし映画★

★にほんブログ村日本映画(邦画)★
[PR]

# by mukashinoeiga | 2017-09-06 05:16 | いつか見た時をかける大林宣彦 | Trackback | Comments(0)

山本弘之「第五列の恐怖」轟夕起子中田弘二永田靖見明凡太郎伊澤一郎潮萬太郎水島道太郎北龍二

超レア物だが、内容は、うーん。
 阿佐ヶ谷にて。「昭和の銀幕に輝くヒロイン 第86弾 轟夕起子」モーニング特集。42年、日活多摩川。
e0178641_6495140.jpg 通常は一週間上映の阿佐ヶ谷だが、フィルムセンターから借りたプリントは、三日しかできない縛りがある。平日最終日に行ったら、上映一時間前に、すでに長蛇の列(阿佐ヶ谷レヴェルではね)。
 案内の人から「補助席になりますが」、とりあえず並ぶ。その後もどんどん客が来て、返されていく。お詫びの轟夕起子しおりをもらって。
 おそらく三日間で、延べ百人近くは、見れなかったのではないか。
 場内に入ってみれば、なぜか普通席が一つ空いていたので、そこに座った。おそらくぼくの前にいた人が一人列から離脱しているので、そのせいか。「第五列の恐怖」を見に行って、列に並ぶ。

e0178641_6502621.jpg第五列の恐怖 (ラピュタ阿佐ヶ谷HPより)
1942年(S17)/日活多摩川/白黒/64分 ○東京国立近代美術館フィルムセンター所蔵作品
■監督:山本弘之/原作・脚本:北村勉/撮影:内納滸/美術:仲美喜雄/音楽:飯田景應
■出演:中田弘二、永田靖、見明凡太郎、伊沢一郎
第五列(=スパイ)への警戒を国民に呼びかけるため製作された戦争映画。日本で新開発された無音発動機をめぐり、轟夕起子扮する女スパイ・YZ七号が破壊活動を計画。それを阻止するため憲兵隊は必死の捜査に乗り出すのだった…。轟が初の悪役に挑戦した異色サスペンス。めったに上映されない映画で、今回の特集上映の超目玉作品。

 なお相変わらずこの映画解説はヒドイ。本作はスパイ映画であっても、戦争映画では、ない。偏見で勝手に映画をカテゴライズするな! 007を戦争映画というか。言わないだろう。

 始まって十数分は、実に大勢の人物が同時に登場して右往左往。誰が誰だかわからず混乱するが、これは演出家の無能だ。ヤマサツやミッキー成瀬程度(笑)の交通整理能力を欠いている。
 時間経過とともに、落ち着くが。
 驚くべきは、轟夕起子の演技。通常の愛らしい、アイドル女優演技で「悪役スパイ」を演じる。まあいかにも悪役悪役していたら、スパイは務まらないか(笑)。
 ターゲットの航空機社長・見明凡太郎の娘に取り入り、そのホームパーティーに何食わぬ顔で「潜入」した轟が最新情報を得て、即興でピアノを弾く。そのピアノ曲を盗聴している外国人スパイ、ジェームス・ペインタース=高田弘(いかにもバタ臭い外人顔)が音符暗号を解読する。って、まんまヒッチコックやないかーい(笑)。
 ピアノが弾けて、なおかつ反日スパイらしい?適度なバタ臭さ?というところで轟が選ばれたのか。和風の花柳小菊では、イメージに合わないということかしらん。

e0178641_651158.jpg なお検索で見つけた映画収集狂というブログでは、

この轟夕起子演ずる女スパイのコードネームを「Y-27号」といいますが、「Y-27号」とは、どこがで聞いたような番号だな、と考えていたら、思い出しました。
ジョセフ・フォン・スタンバーグ監督「間諜X27」でディートリッヒ演ずる女スパイのコードネームが、まさにX-27号でしたよね。なるほど、なるほど。
僕は、はたして当時の日本映画に「分野としてのスパイ映画」を娯楽として成り立たせ得るような欧米に匹敵する成熟した大衆的な土壌があったのかと疑問に思い続けていたので、この命名といい、シュチエイションといい、欧米作品を全面的に拝借した手掛かりを得て、なんとなく納得した気になりました。
また、この映画が憲兵隊司令部から特別な表彰を受けたということからも察せられるように、あるいは、作られた1942年の戦局が厳しく切迫した状況にあったことを加味しても、軍部が苛立ちをつのらせて大衆に大きな影響力を持つ防諜映画に眼をつけ、「肝いり」したと考えたほうが、あるいは自然かもしれません。
この作品、当時はあからさまな酷評もありましたが、国民の防諜観念を向上させたとして憲兵司令官より感謝状も授与されたということと、映画統制によって新会社大映に統合される前の、日活多摩川撮影所名義の最終作としても記憶されるべき貴重な作品と言えます。(以上引用終わり)

 正確に轟のコードネームは、YZ7號。映画収集狂さんはZを2と「誤読」したように思うが、いずれにしても誤読させるように「間諜X27」をパクったのは、間違いなかろう。ディートリッヒのような大スタアもスパイ役を演じている、という一言は、当時の清純スタアに、本作出演を後押しする格好の口説き文句だったろうし。

 なお本作のデータについて検索したが、文化庁の日本映画情報システムHPは、他の映画を検索したときもそうだが、全くの役立たず。典型的お役所仕事の税金泥棒。ひどさもひどし。みたら笑っちゃうレヴェル。
 日活作品データベースは、さすがに詳しい。

撮影所稟議書によれば撮影=糸田頼一となっている。2003年6月6日フィルムセンターで上映(ロシアからの返還フィルムの1本として)。現存フィルムはカット入れ替り、シーンダブリ等あり、1/3位欠落した不完全版であるが、ストーリー理解は可能"(現代劇)
監督山本弘之 キャスト野口少佐(憲兵隊長)=中田弘二 森本光雄=伊沢一郎 小柳二郎=北龍二 YZ7号=轟夕起子 平田淑子=国分みさを 寺田中尉=永田靖(特別出演) 昭和航空機社長・平田兵衛=見明凡太郎 航空会社専務=村田宏寿 水田=水島道太郎 門衛=小宮一晃 渡辺伍長=笠原恒彦 森本の母=三井智恵 スコット牧師=吉井莞象 金山鉱三=斎藤紫香 江川運転手=潮万太郎 ジェームス・ペインタース=高田弘 長野軍曹=菊地良一 車掌=井上敏正 ボーズ=富士木弘 渥美君子 若原初子 町田博子 文野朋子 小林桂樹 
脚本北村勉 音楽飯田景應 その他スタッフ原作/北村勉 撮影/内納滸 糸田頼一 美術/仲美喜雄 編集/辻井正則
<ご注意>戦前の製作作品(1942年以前)は、資料の不足などの事情により、当HPのデータの内容が必ずしも正確なものとは限りません。
製作国:多摩川 製作年:1942公開年月日:1942/4/16 上映時間ほか:モノクロ/94分現存分数66分/スタンダード・サイズ/9巻/2580m(以上引用終わり)

 製作国:多摩川は、ご愛敬だが、驚くべきは、ランニングタイムの三分の一が失われた不完全フィルムとのこと。
 同時上映の島耕二「暢気眼鏡」は[不完全]と明記している阿佐ヶ谷も、フィルムセンターとずぶずぶの文化庁も明記なし(わかる人にはわかる9巻という表示で手がかりつかめって>1巻は約10分)。

現存フィルムはカット入れ替り、シーンダブリ等あり 確かにおかしい繋ぎは散見しましたが、これってなんのせい? 当時の映写技師が、フィルム切れの際、いい加減につないだってこと? 確かにそれはありそうだが。

 なお戦前戦後を通じて数多くの脇役陣が多数出演の豪華さ。OLD映画ファンにとっては、うれしき限り。ただし最後尾の小林桂樹については確認できず。電車内で新製品の噂をする職工風の男の一人だろうか。
 なお令嬢役の国分みさをには、別データベースでは、國分ミサヲという表記もあり。ここら辺があまりプリントもデータも残っていない戦前映画の難しい/面白いところ。

★新・今、そこにある映画★日本映画・外国映画の、新作感想兄弟ブログ。なお、現在は当ブログに吸収合併。過去ログは残してあります。
★映画流れ者★当ブログへのメモ帳、その他諸々

★人気ブログランキング・日本映画★
にほんブログ村 映画ブログ 名作・なつかし映画へ
★にほんブログ村・名作なつかし映画★

★にほんブログ村日本映画(邦画)★
[PR]

# by mukashinoeiga | 2017-09-03 06:51 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(2)