<   2016年 10月 ( 8 )   > この月の画像一覧

斎藤武市「白い悪魔」森雅之

面白い。58年、日活。神保町にて「吉屋信子と林芙美子 女流作家の時代」特集。
 某ツイッターで、映画の出来も悪いは、デジタル素材の上映が家庭用ヴィデオ以下の画質だと、散々だったのだが、モリマフォロワーとしては、この格好の題材に、見に行かないわけには、いかぬ(笑)。
 確かに画質は最低。ブラウン管テレビに必ずある、いわゆる「走査線」が画面を、上から下まで横に走っている。
 これは、どうしたことか。初期キネコ技術の素材を、そのまま使ったのか。いずれにしても、ひどさもひどし、の日活技術陣ではある。
 で、映画自体ではあるが。

e0178641_929536.jpg(以下、ネタバレあり)
14. 白い悪魔 (神保町シアターHPより)
S33('58)/日活/白黒/シネスコ/1時間38分
■監督:斎藤武市■原作:原田康子『夜の出帆』■脚本:植草圭之助■撮影:横山実■音楽:牧野由多可■美術:坂口武玄■出演:森雅之、野添ひとみ、小林旭、渡辺美佐子、清水将夫、稲垣美穂子
年頃を迎えた美しい娘(野添)は、いつしか義父(森)への恋心を抱き始め…。『挽歌』の原作者・原田康子の短篇を脚色し映画化。野添の穢れなき瞳が切なさを加速させる禁断のメロドラマ。*デジタル上映
*本作は原版の状態の関係で、画質が大変悪くなっておりますことを予めご了承ください。


 若きモリマは、優柔不断な性格ゆえ、相思相愛の恋人(従妹か)を、不幸な結婚に追いやった。その遺児・野添ひとみは、祖父(老け作りの新劇演技オーヴァーアクトの清水将夫)の元ですくすく育っていたが、その祖父も急死。
 祖父の遺言で、ひとみは、モリマの元へ。養女という形になるのか。
 かつて自分の優柔不断さから、恋人を不幸な結婚に追いやった。
 その恋人と瓜二つな(いかにも映画的な一人二役の親子)娘を、養女にして、心中穏やかならぬ義父モリマ。娘に、心乱れる。
 くるくる表情と感情が変わる、小悪魔的美少女に、野添ひとみも、絶品で。
 野添ひとみも、極度のファザコンゆえ、義父モリマにお熱。それも当たり前か。ザ・ダンディそのものの、モリマの美中年ぶりに、クラクラしない女子は、おるまい。
 つまりこの映画、ダンディな義父と、その娘という物語の少女漫画的要請に、絶対絶好のキャストなんだよなあ。
 これ、日活がちゃんとしたネガを持っているなら、ニュープリ焼いて、ある程度名画座で商売になりうる素材だと思うよ。女子の好きそうな、うれし恥ずかしお耽美映画として、いまでも通用すると、思う。
 やりようによっては、かつて渋谷で大ヒットしたレイト市川崑「黒い十人の女」の、四人分には、なるかもしれない。と、いうのも。

e0178641_9295153.jpg

 いろいろ曲折があって、最後はモリマが、泣きじゃくる野添ひとみを、お姫様抱っこで、互いに抱擁して、ハッピーエンド(笑)。
 義父が娘を。やや公序良俗に反する、ハッピーエンド。
 それが、本作が「残らなかった」理由か。
 考えてみれば、当時50年代は、ハリウッドでも、美少女オードリー・ヘップバーンと、渋親父ハンフリー・ボガードなんて組み合わせは、ざらで。今ほど、若さが幅を利かせていなかった時代ということもあった。
e0178641_9393438.jpg しかし、やはり、義父が娘を。
 禁断の恋の究極と申すべきで。それを堂々と、やっちまった。
 しかも、モリマの美中年ぶり。野添の美少女ぶり。禁断の恋という、完璧なメロドラマ

 義父への当てつけのように、急造のボーイフレンド小林旭を自慢する娘。
「ジェームス・ディーンにそっくりなの。(自分のおでこを指さし)こっから、上が」
 まるで小津映画の杉村春子みたいなセリフの、野添ひとみ。
 考えてみるまでもなく、日活に移籍する前の斎藤武市は、松竹で、小津組助監督。
 父娘の疑似恋愛めいた小津安「晩春」への、まああれは実の親子で、こっちは義理の親子だが、そんなに好きならやっちゃいなよ、という若い世代の武市から、小津への、からかいであった、とみるのは、まあ、完全にうがちすぎでしょうが。

 なお下記Movie Walkerの、キャストは間違いだらけ。特にモリマの友人たちは、リストにない下元勉などとっ散らかり。テキトーに予備キャスティングしているのが、まるわかり。
 当時の日活は、五者協定の絡みで、専属俳優が少なく、だから大映イメージの強い野添ひとみが日活へ出ている貴重版でもあり、野添をのぞいては、新劇俳優ばっかり。
 なお助監督は、当時斎藤武市の専属だった神代辰巳。のち、森雅之の遺児だった中島葵を、女優として演出した。

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by mukashinoeiga | 2016-10-30 09:37 | 傑作・快作の森 | Trackback | Comments(2)

ついに公開!!加藤泰「ざ・鬼太鼓座」

 ぼくも昔一度見たきりの、お蔵入りしていた加藤泰遺作が、ついにロードショーされる! しかもかつて特別上映されたユーロという奇縁。ラブホ街に移ってから、シマラないユーロ久々の話題作か。

e0178641_22513278.jpg加藤 泰監督作「ざ・鬼太鼓座」デジタルリマスターが渋谷ユーロスペースで公開(ネットニュースより)
 今年で生誕100周年を迎え、夏には東京国立近代美術館・フィルムセンターで上映企画〈生誕100年 映画監督 加藤泰 Tai Kato Retrospective at His Centenary〉が行なわれるなど、その功績や作品の持つ魅力が改めて高い評価を受けている加藤 泰。遺作となった『ざ・鬼太鼓座』(1981年製作)のデジタルリマスター版が、11月19日(土)から27日(日)まで開催される〈第17回東京フィルメックス〉でのジャパンプレミアに続き、2017年1月21日(土)より東京・渋谷 ユーロスペースで公開されます。
 なお『ざ・鬼太鼓座』は、松竹による旧作映画のリバイバル企画「あの頃映画 松竹DVD・ブルーレイコレクション」の一環として、Blu-ray&DVDが来年2月8日(水)に発売される予定です。(引用終わり)

加藤泰監督生誕100年/映画『ざ・鬼太鼓座』予告編


 なお池袋新文芸坐では、11月に「情念の奔流 ほとばしる映像美 生誕100年 加藤泰」特集あり。
 今年の冬は、加藤泰三昧か。しかし、つねに登場人物に、汗をかかせまくり、映画界のチューブといわれる(笑)夏男・加藤泰が、冬に全開とはこれいかに。

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by mukashinoeiga | 2016-10-27 22:52 | 加藤泰突入せよ炎のごとく | Trackback | Comments(2)

ペク「ビューティー・インサイド」

佳作では、あるが。15年、韓国。DVDにて。
 とにかく、いかにも面白そうなので、今年初めの公開時に、気になってはいたのだが、まあほかに見るべき映画もあって、見逃した。

(以下、完全ネタバレ)
ビューティー・インサイド (Movie Walker HPより) 
目覚めると、男、女、老人、子供と毎回違う外見に変わってしまう不思議な病気に冒された青年の恋を描く、ファンタジーテイストのラブストーリー。原案となったのは2013年のカンヌ国際広告祭でグランプリに輝いたソーシャル・フィルム「The Beauty Inside」。また、主人公ウジン役の1人として、上野樹里が韓国映画に初出演している。

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映画『ビューティー・インサイド』日本オリジナル予告編


 一人二役とかじゃなくて、その逆も逆、何十人一役という、トリッキーさ。
 これを一体どう収めるんだ、という。
 その点では、きれいに収めた、というか。きれいにおさめ過ぎ(笑)。
 今大ヒット中の新海誠「君の名は。」もそうだが、大林宣彦「転校生」の、大進化形。
 大林は、相当後世の若い映画人に、影響与えてるなあ、と。

 ただ、早い話が、ヒロインといい目を見るのは、常に、若くてイケメンだった日だけ!
 ハゲ散らかした不細工な中年男や、白髪のおばあちゃんの日は、ヒロインを、ただただ遠くから、見つめるだけって。
 さすが美醜での差別厳しく整形大国の韓国だけはある。
 なにがビューティー・インサイドだ(笑)。外見の美貌重視にも、ほどがある。
 インサイドは、ちっともビューティーじゃねえじゃないか。
 ハゲ散らかした不細工な中年男や、白髪のおばあちゃんと、ヒロインが堂々とキスしたり、イタシたりすることこそが、真の「ビューティー・インサイド」では、ないのか。
 そうであるならば、本作は、革新的な傑作として、映画史(笑)に残ったのに。
 いや、映画史どころか、世界的なカルチャーショックに、なっただろう。

 そうはならなかったが、映画は少女漫画的可憐さを選んで、見ている間は、それなりに、楽しい。
 現実のどろどろは巧みに回避して、あるいは捏造して、きれいごとに終始する、韓国お得意のラヴコメの快作でした。

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by mukashinoeiga | 2016-10-23 18:08 | 新・今そこにある映画2 | Trackback | Comments(0)

狐女VS狸女わかったぞ自民党民進党の違い(笑)

 次の動画をユーチューブで見ていて、とつぜん、ひらめいた(笑)。

山尾志桜里(民進党)が開始1分で出したグラフに国会炎上!安倍晋三にフルボッコ論破されファビョる!最新面白国会中継2016


e0178641_1372385.jpg 民進党の、山尾志桜里、レンホー、辻元清美は、いずれもキツネ顔。声も、割と耳障りなキイキイ声(個人の感想です)。
 一方、自民党の、高市早苗、稲田朋美、扇千景、小池百合子、舛添の元嫁は、そうじて狸顔。声ものほほん系(個人の感想です)。
 いやー、きれいに別れましたなあ(笑)(個人の感想です)。ま、マルタマという名前に反したキツネ顔の丸川珠代、ってのも、いますが(笑)。
 狐女と狸女、どっちが好みか、と言ったら、ぼくは、狸かなあ(個人の感想です)。
 ちなみに10/20付け夕刊フジの新潟知事選記事にあった、蓮舫写真はひどかった。顔面崩壊のひょっとこ顔。夕刊フジの悪意を感じるが、さすがにネット検索したら、この写真見つからず。
 おお、そうか、キツネ顔VSタヌキ顔は、ひょっとこVSおかめでも、あったか。
 女で、ひょっとこ顔は、さっつい(笑)(個人の感想です)。

↓こういう「うわさ」なども次々出てきますなあ。

蓮舫の母親は日本人ではなかった!両方とも中国人と判明キタ━(°∀°)━!

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by mukashinoeiga | 2016-10-21 01:39 | うわごと | Trackback | Comments(0)

瀬川昌治「瀬戸はよいとこ花嫁観光船」

 楽しい佳作。76年、松竹大船。阿佐ヶ谷にて「稀代のエンターティナー! フランキー太陽傳」特集。
 72年の大ヒット、小柳ルミ子「瀬戸の花嫁」のころに企画され、なぜかボツになり、数年後よみがえった感じかな?
 しかし、この映画、現在の視点(究極の上から目線)で、イロイロ問題あり。後述します。

e0178641_94026.jpg瀬戸はよいとこ花嫁観光船 (Movie Walker HPより)
1976年、松竹、93分
本州と四国を結ぶ、本四連絡架橋の建設再開をひかえた、明石・鳴門を舞台に、色と欲に踊る男女を描く旅行喜劇“よいとこシリーズ”第一作。脚本は監督の瀬川昌治と大川久男、監督は「正義だ!味方だ!全員集合!!」の瀬川昌治、撮影は「やさぐれ刑事」の丸山恵司がそれぞれ担当。
ここは本州四国連絡架橋の一つ、明石--鳴門ルートの起点、明石町。パチンコ屋の主人、青木大作は、架橋工事が再開されるという情報をキャッチして、何はさておき、頭を押えられている女房波江にご注進に及んだ。波江は、かねてより橋が出来た日に備えて、淡路島の岩屋に一大リゾートホテルの建設を考えていた。
 フランキー堺、財津一郎、山城新伍、朝丘雪路、日色ともゑ、田坂都、ミヤコ蝶々、春川ますみ、村地弘美

e0178641_9405299.jpg 当時のアイドル、村地弘美がフランキーの娘として出てくるが、エーこんなにブスだっけ、といささか唖然。ま、それは、さておき。
 ◎追記◎まあ、彼女の場合、黒髪の長髪で、三割は可愛く見えている、というところかしら。
 フランキー、財津、山城トリプル主演の軽コメディー、何かの併映作には、何にでも合いますなあ、の典型。
 しかし、上記ポスターに見る通り、山城が奥様連中や娘っ子にキャーキャー言われる、「貴公子」扱い。ま、やはりコメディーゆえ、ストリップ愛好家であることがバレて、総スカンな訳だが。
 で、なぜ、奥様連中や娘っ子が山城の元に集まっているかといえば、本四連絡架橋の建設が、瀬戸内海にもろもろの環境破壊をもたらす、と。経済発展で、環境を犠牲に、するな、と。
 当時大問題だった公害なども含め、きわめてタイムリーな素材と、言えますな。
 ただし、そのタイムリーさは、現在も反原発運動、反基地運動にも通じるものであり。いつの時代にもありうる現象で。いつの世にもある「新現象」なわけで。

 しかし、松竹、および瀬川昌治は、いわゆるオールドタイマーであるから、そういう「新現象」を、コメディーとして茶化す方向に、当然行っているので、いささか気色が悪いのも事実。
 とはいえ、いつの時代にも、それぞれの「新現象」は、あるわけですね。左翼リベラルの飯の種は尽きまじ。
 そして、公害だけではなく、「女性の権利の主張」という問題も、並行して、描かれる。
 彼女たちは「あたしたちもピンクのヘルメットかぶって、中ピ連になっちゃおうかしら」。おお、中ピ連(笑)。昔懐かし時代のあだ花。
 そういう女性の反乱も、コメディーであり、松竹であり、瀬川であるから、きわめて微温的で、一方ではフランキーべたべたの朝丘雪路であり、まあ、なんだか気色悪い。

 ただしクライマックスのラストミニッツレスキューのシークエンスは、失礼ながらこの手の作品としては、意外なほど本格的(笑)。おみそれしました。
 フランキー、山城はどうでもいいが、ごひいき財津一郎の、二枚目半ぶりが、好ましい。奥さん日色ともゑと夫婦喧嘩、妻に出ていかれて、「さみしぃー!」という決め台詞を言わない(言わせない)のも、ナイス。
 なお、主役三人の男どもが、一つ屋根の下雑居する様は、戦前小津の、カレッジボーイ・コメディーが想起され、これが伝統ってものかと(笑)。


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by mukashinoeiga | 2016-10-20 09:41 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(0)

石田民三「花つみ日記」高峰秀子

愛らしい佳作。39年、東宝京都。神保町にて「吉屋信子と林芙美子 女流作家の時代」特集。
e0178641_10585955.jpg 時代劇専門の、戦前東宝京撮(それ自体が、現代の名画座界隈では珍しいが)の、さらに珍しい現代劇、その味わい。京撮での石田民三の現代劇(明治、大正、昭和を含めての)の、絶対ヒット率。

 特に、冒頭の校庭集団清掃ミュージカル(笑)、中盤の、登山電車車中のデコちゃんと、ハイキング中の清水美佐子の別空間での同時唱和シーンの、甘美さよ。

 むろん戦前派の石田民三ゆえ、5本程度の残存作を見ているだけの、ぼくがいうのもおこがましいが、とにかく見た映画がすべて素晴らしい。
 本作も含め、上映されるたびに何度も何度も見ているが、けっして傑作を作ろうなどという野心さらさらなく、ただただ女の子の心情に寄り添っていく。
 戦前版大林宣彦というと、やや誤解を招くが(笑)、戦前日本映画唯一無二のガールズムーヴィー作家なのだ。
 ちなみに当ブログタイトル「昔の映画を見ています」は、小林旭「昔の名前で出ています」の丸パクリと、思われていよう(笑)、しかし「昔の映画」という部分は、石田民三「むかしの歌」(1939年東宝)が、意識されたうえでのネーミングでして(笑)
 なお製作に青柳信雄、進行主任?制作主任?に、市川崑。
 市川崑はのちに、高峰秀子の家に下宿することになる。とはいえ、下宿代は、取らなかったのでは、ないか。
 ちなみに青柳信雄も、戦前戦後ともに、監督やったり製作やったり、なかなか融通無碍、誰かこの人にインタヴューした人、いないのか。面白そうじゃん。

e0178641_1055298.jpg1. 花つみ日記 (神保町シアターHPより)
S14('39)/東宝京都/白黒/スタンダード/1時間13分
■監督:石田民三■原作:吉屋信子『天国と舞妓』■脚本:鈴木紀子■撮影:山崎一雄■音楽:鈴木静一■装置:河東安英■出演:高峰秀子、清水美佐子、葦原邦子、林喜美子、進藤英太郎、三條利喜枝
人気雑誌「少女の友」で連載された少女小説の映画化。大阪を舞台に、運命に翻弄される花街の娘を15歳の高峰秀子が鮮烈に演じる。思春期の揺れ動く少女たちの機微を描く、少女映画の金字塔。

 いかにも吉屋信子原作らしい、女学生の友情物語。
 当時の女学生言葉でいえば、エスがかった、いわば疑似恋愛めいた感情が、東京からの転校生・清水美佐子や、憧れの教師・葦原邦子に対して、高峰秀子には、ある。
 リアルハイティーン、デコちゃんの、繊細な演技のすばらしさ。
 延々と長回しで、デコちゃんのアップをとらえる。
 とくに自宅で葦原邦子がピアノ弾きつつ歌唱する中、葦原ではなくて、聞いている高峰の、アップの長回し、このアップの長回しに耐えきれないのは素人で、デコちゃんは少女俳優ながら、立派に、耐えている。
 そして、東宝制作側も、デコちゃんを、ちゃんとしたスタア女優として、認めている。その証の、長回し。
 たとえば、清水美佐子なら、この長回しのアップに、耐えきれるか。ここら辺がスタアと、ぽっと出の少女俳優の、差かしらん。

 ただし、デコちゃん演技には、ある種のゴージャスさがあり、石田民三が望んだ儚さは、彼女の分厚い演技に、阻まれた感が、強い(笑)。
 高峰秀子の個性は、ティーンであっても、ある種ふてぶてしいまでの存在感であり、儚さ絶対主義?の石田民三とは、やや水と油。
 むしろ吉屋信子(特に戦後の、ある種ふてぶてしくなった)とは、合うのかもしれないが、戦後は吉屋原作映画には、デコちゃん、あんまり出ていない印象。
 葦原邦子は、宝塚女優にして、かの中原淳一の妻。その彼女が、少女たち憧れの女教師。うーむ、絵に描いたようだ。
 清水美佐子、その儚さ。なんだか後年の清水美沙に、似ているかもしれないのは、たぶん、気のせいだろう。
e0178641_10555639.jpg 京撮だから言うわけじゃないが、なんだか三流時代劇女優みたいな、御舟京子という芸名で、本作がデヴューの加藤治子、高峰、清水のフォロワーめいた四人組の、ひとり。今回初めて、確認、このスチールの右からふたり目か。
 のちに根拠不明の超絶お色気で鳴らした彼女も、ティーンの脇とあって、個性は、ない。

 そして戦災で焼失した大阪の情景(な、割には、大阪弁は少ないが)。
 大阪の方らしい、あるブログから無断引用するが、

映画の後にトークショーがあって、ゲストの評論家さんが「この作品の舞台になった場所を知ってたら教えてほしい」と客席に問うたところ、挙手多数でどんどん場所が判明しておもしろかった。中にはこのロケを見学したというご夫人もいて、さすが地元と思わせる。
例えばそのご夫人がロケに使われた学校は「ウィルミナ女学院(現:大阪女学院)」というところだとおっしゃったのを受けて、別のおじさんが「ロケはウィルミナだが、設定は帝塚山女学院(バス通学でちょっと田舎の方という絵だったので)で、いわゆるええしのお嬢さんが通う学校だ」とおっしゃる。
高峰秀子の家はどこそこのお茶屋で、でも踊りやらお稽古しているシーンはどこそこの店で撮ってる、など細かい指摘も。 他にもあの橋は何で、あそこは何でと大方判明して、評論家の先生もご満足。高齢の人が多いのでみんな口々にしゃべってて、おもしろかった。
場所の解読は、風景が変わってしまった今となっては、当時の人が生きているうちにしかできないことなので、作品について論じるより重要な研究だと、その先生はおっしゃった。落語と一緒やね。
こういう地元を舞台にした映画は単にそのストーリーを追うだけでなく、知っている場所を見てはあれはあそこだと思う楽しみ方もある。現代の我々には知らない世界だけど、知ってる世界でもある、そんなちょっと既視感も楽しかった。(以上引用終わり)

 デコちゃんは、のちの成瀬「流れる」で、やはり芸者置屋の娘、いっぺん芸者に出たが、水商売の水には合わず、素人に直った役。
 その成瀬の盟友・石田は、映画監督を引退した後は、茶屋の亭主で、悠々自適。本人としては、女性に囲まれてご満悦だろうが、戦後も成瀬並みに活躍してほしかった。

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by mukashinoeiga | 2016-10-09 10:59 | 傑作・快作の森 | Trackback | Comments(4)

おおガメラよ、お前も新作か

 いや、これも面白そうだが、情報を隠しているのは、シン・ゴジラのせいか。
Gamera 2016 Trailer (HD)

 「シン・ゴジラ」が、一作目回帰で、お子様映画でないのだが、ガメラは伝統的にお子様重視、それを受け継いだ予告になっている。しかも迫力満点。楽しみ。
 喰われる父はクドカンで、監督は石井克也とのこと。
e0178641_741242.jpg


GODZILLA RESURGENCE Malaysian Trailer (2016) Shin Godzilla


GODZILLA RESURGENCE US Trailer (2016) Shin Godzilla

 アメリカでは「シン・ゴジラ」は一週間限定のイヴェント扱い。
 でも前半の長々した会議の連続には、アメリカ人も退屈だろう。「議論するまでもない自明の理」をめぐる堂々巡りは、理解できまい。

Godzilla Resurgence(Fan Made Trailer)Music by Akira Ifukube 「シン・ゴジラ」予告篇

シンゴジラ予告を初代ゴジラで再現_1954 Godzilla Reproduce Shin Godzilla


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by mukashinoeiga | 2016-10-05 07:05 | 新・今そこにある映画2 | Trackback(1) | Comments(0)

加藤泰「江戸川乱歩の 陰獣」

うーん、微妙。77年、松竹大船。京橋にて「生誕100年 映画監督 加藤泰」特集。
 そもそも熱血派の加藤泰に、もそもそ隠微な変態世界が理解できるのか、というそもそも問題がある。
 そもそも本格探偵小説の作家を自称するあおい輝彦が、変格探偵小説作家・大江春泥を、邪道呼ばわりする資格があるのか。両者の大ファンを自称するマダム・香山美子が「先生も大江春泥並みの変格小説をお書きになって、素晴らしい」(大意)と、揶揄する始末。
 つまり、乱歩VS乱歩の、変格合戦、なの、どうでもいいわ(笑)。 

e0178641_1363885.jpg(以下、ネタバレあり)
41 江戸川乱歩の 陰獣(117分・35mm・カラー) (フィルムセンターHPより)
1977(松竹)(監・脚)加藤泰(原)江戸川乱歩(脚)仲倉重郎(撮)丸山恵司(美)梅田千代夫(音)鏑木創(出)あおい輝彦、香山美子、若山富三郎、大友柳太朗、川津祐介、中山仁、仲谷昇、野際陽子、田口久美、倍賞美津子、加賀まりこ、藤岡琢也
謎の小説家大江春泥から届く一連の脅迫状が、奇怪な連続殺人事件を呼び起こす。大胆でモダンな構図と、香山美子演じるファム・ファタルの妖しい輝き、江戸川乱歩世界の倒錯と退廃の美を表現する美術と音楽が強い印象を残す。長台詞によるクライマックスの謎解きシークエンスの演出は必見。

 おそらく加藤泰的には、今回一番の目玉は、美人女優・香山美子が、わけあって、醜女に変装するシーンだろう。
 その醜女変装する際に参照されたのが、なんと、香山美子付き女中頭の任田順好!
 美人の香山美子が、任田順好並みに変装して、美青年俳優・川津祐介と、イタす。
 しかし、この醜女版香山の役を実際に演じていたのは、おそらく任田順好だろう。
 かくて加藤泰常連・任田順好と、美人女優・香山美子とのとりかえばや物語が、成立と。
 うーん、加藤泰本人としては、あるいはダイコーフンかもしれんが、それに付き合わされる観客の身としては(笑)。

 いかに当時人気のジャニーズとしても、あおい輝彦の陽性さは、この淫靡さを目指したはずの映画に、全くミスマッチでもあり。
 香山美子の元同級生として証言する、加賀まりこの、脇役出演がいかにも、もったいない。
 地方の映画館(主?)として証言する設定は、弟子?の山田洋次がかかわる野村芳太郎「砂の器」を思わせるが、おそらく加藤泰でなければ、あるいは任田順好の代わりに、加賀を女中頭に起用して、W美人女優の、W醜女メイクとして、話題を取ることも可能だったろう。
 いや、美人女優を醜女扱いにするって、特殊すぎ?(笑)。

 なお。東映のなじみの俳優二人。
 大友柳太郎が、ある意味老醜をさらけ出したすっぽんぽんで、二階から落下って。
 晩年の大友は、確か飛び降り自殺のはず。それを思い起こしてシャレにならないが、生真面目な大友では、余計陰惨か。
 そしてコミカルリリーフ的に、女性カメラマンに、町弘子。下記ムーヴィーウォーカーでは、別の無名女優が記されているので、後からあてはめたのか。
 あるいは加藤泰的には、香山美子主演ではなく、桜町主演の企画だったのか。それが、営業的に松竹から拒否されて、香山になったと。
 桜町と大友の夫婦なら、いかにも既視感ありなのだが。

 お坊ちゃま、お子様の松竹生え抜き監督には、撮れないアダルトな映画は、社外監督に任せよ、ということでの加藤泰召喚なのだろうが、変態監督は、東映には、掃いて捨てるほどおるやろが(笑)。日活にも、おるがな。
 そこを、ほどほどの加藤泰で折り合いをつけるところが、いかにも松竹でんなー(笑)。

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by mukashinoeiga | 2016-10-02 13:06 | 加藤泰突入せよ炎のごとく | Trackback | Comments(4)