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千葉泰樹「山のかなたに 總集版」

 京橋にて。「映画監督 千葉泰樹Yasuki Chiba Retrospective」特集。50年、新東宝=藤本プロ。
 地方に赴任した青年教師と、生徒と、そのPTA(当然若い美人もあり)をめぐるエトセトラ。
 藤本プロ最大ヒット作今井正「青い山脈」スクールの一本。
 普通なら今井正続投の流れだが、感想駄文済みの千葉泰樹「若い娘たち」も含め、なぜ千葉の代打なのか。
 共産党・今井正は、こんな腑抜けた、問題意識の希薄な、他愛のない、青春コメディなんて、一作だけでごかんべんと言うところか。そこで使い勝手のいい千葉ちゃんの出番と。
 のちの共産党は、この「青い山脈」石坂洋次郎スクールに影響を受けたのかどうか、ハード革命路線のテロル肯定から、歌って踊って恋をして、共産党に入りましょう運動に、舵を切るわけだが。

山のかなたに 第一部 林檎の頬 第二部 魚の接吻 總集版 <フィルムセンターHPより>
(119分・16mm・白黒)
1949年、藤本眞澄プロダクション=東宝合作の『青い山脈』前後篇が作られ、大ヒットする。本作はその姉妹篇として、同様に二部作の構成で製作公開された。『青い山脈』で原節子が演じた教師役の名前をとり、島崎雪子が映画デビューしている。現存プリントは後年の再公開時の総集版。
1950(新東宝=藤本プロ)(監)千葉泰樹(原)石坂洋次郎(脚)井手俊郎(撮)鈴木博(美)中古智(音)服部良一、原六朗(出)池部良、堀雄二、若山セツコ、角梨枝子、相馬千惠子、河村黎吉、田中春男、入村直一、千秋實、藤原釜足、飯田蝶子、清川玉枝、髙山スズ子、澤村貞子、瀧花久子、島崎雪子

 さすがに池部良は学生役では「持たない」ので、若い教師。若山セッちゃんは、生徒役でオーケーだし、かわいいし。
 池部の同僚教師に、田中春男、江見渉、千秋実(陰険版)って、こんな教師に学びたくないなあ(笑)。
 その田中春男が角梨枝子が落としていったアクセサリー?の香りを思いっきりクンクンかいでいるところに、後ろから誰かがちかづくとこで、ショットはぶつ切り、当然田中の変質行為に誰かがつっこむ段取りをカット。ほかにもセリフの途中をぶつ切り、など、あまりに粗雑な再編集版。
 「愛染かつら」をはじめとして、昔の日本映画は、シリーズものがヒットすると、再編集した「総集編」などで、一粒で二度おいしいを、狙いがち。ただ、原版は原版として残すことなく、その原版にハサミを入れた短縮版を再編集する過程で、原版断片をどんどんゴミ箱に。
 総集編のみ残り、オリジナル版は消失。かろうじて両方残っているのは「青い山脈」のみか。二次利用を急いて、安く上げようとして、三次四次利用の機会を永遠に逃した。つくづく残念。
 似た話で、ヒットした作品ほど、擦り切れるまでフィルムをこき使い、ヒットしなかったプリントのほうがかえって残っている、という話もある。閑話休題。

 感想駄文済みの千葉泰樹「妻と女記者 ―若い愛の危機―」同様、角梨枝子のみ、ほかの役者のせりふのテンポから遅れるので、ちょいとイラつく。やはりひとには、その役者の最適時期というのがあって、青春が似合う人、似合わない人というのが、あるのか。いわゆる中年増になってこそ輝くのが、角梨枝子か。
 逆に若い娘時代のみ輝いたのが、若山セツコ。いや、個人的には、このひとの中年増も、見てみたかったなあ。割りと、いや、かなりよかったと思いますが。
 島崎雪子は、中盤に唐突に出てきて(いかにも途中で差し込んだ感もあり)、角梨枝子洋装教室の生徒リーダー格。神社の石段を利用した段差を演壇(というのが、いかにも戦後民主主義的石坂洋次郎)として、角梨枝子先生の危機を救うべく、アジりにアジるが、いざとなると、通りかかった堀雄二を、みこしと担ぐ。
 若山セツコ、島崎雪子ら女性とグループが、頑固オヤジの大家・河村黎吉(角梨枝子に立ち退きを迫っている)と交渉するのに、男を神輿に担ぐ。この辺が、今見ていると、ナンダカ気持ちワルイ。
 女権拡張?と、まだまだ男に頼る心情が、気持ち悪いまま融合して、時代といえば時代なんだろうが。
 その堀雄二は、元祖?伊豆肇に比べれば、凡庸。見ていて、面白くない。案の定、のちの千葉泰樹「サラリーマン 目白三平」正・続 (感想駄文済み)では、笠智衆のさえない同僚を、さえなく演じる羽目に。
 女権軍団に押しかけられる河村黎吉は、その「量」にたじたじで、いつものレイキチ節は、不発。意外とだらしないな、レイキチ(笑)。一対一の説教でこそ雄弁なレイキチも、団体交渉は苦手か。
 もっとも、完負けしたあとの、角梨枝子への対応はお見事。
 いわゆる洋次郎流戦後民主主義とは、逆の位置にあると思われる、井上大介ら年少組と、中山豊ら年長組との乱闘という、描写が長くて、ちょっと違和感。
◎追記◎かの昔、浅草東宝オールナイトで、「青い山脈」がかかった折、ラストに「前篇 終」と出て、話は尻切れトンボ。やや呆然としつつ、ロビーに出たら、なにやら気難しそうな客が、スタッフに抗議していた。全部見せろ、ってか。無茶な。
 東宝に関しては、「青い山脈」に限り、「総集編」それの元になった「前篇」「後篇」と、3ヴァージョンあり、テキトーな浅草東宝が、テキトーな東宝フィルム管理部に、テキトーに総集編を頼んだら、なぜか前篇のみが来たというところ。それとも「なんでも取って置く東宝」には、実はほかの映画も「総集編」「前篇」「後篇」と、あるのだろうか(笑)。まあ無駄と知りつつ、聞いてみたいところだ。
◎追記◎いつも役名と芸名が同じの子役井上大助、そして彼と千葉泰樹「若い娘たち」でもカップリングされていた高山スズ子が、本作でも、こまっしゃくれた魅力を炸裂。高山スズ子も役名は「若い娘たち」と同じなので、子役に関しては、そういう配慮もあったのか(笑)。

 
★Movie Walker★に、タイトル検索で詳細な作品情報あり。簡単な作品解説、あらすじ紹介(企画書レヴェルの初期情報の孫引きゆえ、しばしば実際とは違うが)。
 今回は、1960年リメイク版しか、紹介されていない。
 なお★『稀有な映画俳優・伊豆肇と池部良』の時代★という面白そうなブログを見つけた。右柱のコンテンツのすべてを見たくなるほどだ。
 ただ、このひと、所蔵する映画スチール写真などを掲載、禁無断転載と強調するが、単にスチールを所有しているだけで、使用権はないはず。東宝などから使用権をクリアしている、とはとても思えず、そもそもこの管理者が各写真をネットに上げること自体が、厳密には、法に触れているのではないか。
 だが、まあ、面白いブログだ。

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by mukashinoeiga | 2014-12-28 18:17 | 千葉泰樹 ヤスキ節の愉しさ | Trackback | Comments(4)

千葉泰樹「サラリーマン 目白三平」正・続

 京橋にて。「映画監督 千葉泰樹Yasuki Chiba Retrospective」特集。55年、東映東京。
 同じ年の5月と9月に公開されたシリーズもの。続けて撮れば、こういうさいの日本映画の習慣として、ギャラは一本半だったのだろうか。
 こういうお気楽コメディ系だと、安心の千葉泰樹。にこにこ微苦笑コメディならお手の物。
 この時期の東映東京は、東映らしからぬサラリーマンもの、ホームドラマ頻発。
 事実、本作の主役夫婦は、松竹の笠智衆、望月優子を、そのまま呼んでいる。

サラリーマン 目白三平 (100分・35mm・白黒) <フィルムセンターHPより>
20数年にわたり国鉄本庁に務め、機関誌の編集に熱心なサラリーマン目白三平(笠)が、妻や子、仕事仲間や近所の人々と繰り広げるつつましやかな日々の出来事を戯画風に描く。ラジオドラマで人気を博した原作を藤本眞澄、金子正旦、斎藤安代が企画して映画化。武満徹が芥川也寸志の助手として、初めて映画音楽を手がけている。
1955(東映東京)(監)千葉泰樹(原)中村武志(脚)井手俊郎(撮)西川庄衛(美)田辺達(音)芥川也寸志(出)笠智衆、望月優子、杉本修、日吉としやす、小林桂樹、杉狂児、三笠博子、渡辺篤、沢村貞子、小川虎之助、東千代之介、北京子、山本緑

続 サラリーマン 目白三平 (96分・35mm・白黒) <フィルムセンターHPより>
前作の好評を受け製作された続篇。妻の文子(望月)がPTAの役員に推薦され、その外出着を買うために、三平は日々の飲み代のやりくりに四苦八苦。一方、旧友の村上(小林)の結婚が三平夫婦に思わぬ波紋を投げかける。同シリーズはその後東宝で3本が映画化(鈴木英夫監督)された。
1955(東映東京)(監)千葉泰樹(原)中村武志(脚)沢村勉(撮)西川庄衛(美)田辺達(音)芥川也寸志(出)笠智衆、望月優子、小林桂樹、堀雄二、中原ひとみ、深見恵子、春日とも子、須藤健、宮川玲子、清川玉枝、飯田蝶子、左卜全、杉狂児

 一作目、特別出演の東千代之介は、初期設定ではマツオカ洋品店若主人という役名だが、これではあまりに軽すぎということで、実際の映画では、笠智衆一家が見に行く日本舞踊ライヴの、歌舞伎風舞踊を、割と長く踊る。
 日本舞踊に関心のない子供たちも、望月優子が「千代之介も出るんだよ」というと、俄然喜ぶ。
 錦千代時代。別のシーンでも、子供たちは錦ちゃんの映画をせがんでいる。
 笠と望月夫婦の、特に弟クン(日吉としやす)のほうが演技がうまくて、可愛らしい。
 のち57~60年に東宝で三作、鈴木英夫監督版でリメイク。そのうちのいくつか?は、見ているのだが、印象にはない。千葉泰樹と逆で、鈴木英夫のコメディは、たいてい不発だからなあ。
 主役目白三平には、同じく松竹出身の佐野周二、東映から東宝に代わっても、望月優子、日吉としやすは、そのまま続投。いかに、日吉としやすが愛らしい子役か、わかる。
 Movie Walkerによれば、この子役は結構出ている。「野球狂の詩」が最後か。おお「浮雲」にも出ている。

 笠は、昼休み、社食でうどんを食った後、近場の東京駅地下名店街(このスケッチ風描写の楽しさ)を散策するのが慣わし。で、モンダイのマツオカ洋品店で、一万円の商品券を当てる。
 にこにこ大喜びの笠だが、当選者名を店頭に張り出されたため、社のみんなに知られる。
「おごれ」「おごれ」の大合唱。
 昼は数人にうな重をおごり、残りの数十名には、名店街のせんべいをおごる。せんべいだけで済むと思うか、と詰め寄る数人には、居酒屋をおごる。これですっからかん。
 思い余って、笠は宇佐美淳也(課長だか部長だか)に、お願い。一万円の商品券を、二割引で買い取ってはくれまいか。宇佐美はおうように、いいよ全額で買い取ってやるよ、と。イマドキ、こんな鷹揚な上司、いないよな(笑)。
 思い余ってパート2、笠はマツオカ洋品店主・小川虎之助に掛け合う。店頭表示をはずしてはもらえまいか。
 虎之助店主いわく「あなたのお話によれば、おもった以上に店頭広告は評判になっているようだ。店の名前が売れるように、逆に店頭表示は延長しましょう」
 がっくり来る笠。
 この当時のこととて、当選者氏名だけでなく、番地にいたる住所も明記。おおらかな時代といえばそれまでだが、むしろそんな詳細な番地まで、告知する必要性は?と、逆に聞きたくなるのは、窮屈な現代人的発想か。虎之助店主の延長発言も、今ならネットで大炎上か(笑)。

 時代の違いでも変わらないもの、今ではすっかり廃れたものごと、どちらも、とても面白い。
 戦前千葉映画で印象的な主人公をいくつか演じた杉狂児がちょい役。人はいいが仕事が下手すぎる靴職人、こんな役は、かつての盟友にしか頼めないよな。
 また、好青年に小林桂樹、いつ見てもニコニコの快役者、使い勝手の良さは日本一か。
 
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by mukashinoeiga | 2014-12-28 08:34 | 千葉泰樹 ヤスキ節の愉しさ | Trackback | Comments(0)

千葉泰樹「女の鬪ひ(闘い)」高峰三枝子木暮実千代

 京橋にて。「映画監督 千葉泰樹Yasuki Chiba Retrospective」特集。49年、新東宝=竹井諒プロ。
 冒頭カンパニーロゴは、配給・東宝、製作・新東宝、竹井諒プロの3枚看板、日本メジャー映画で、かくもカンパニーロゴが重複するのは、珍しい。特に東宝と新東宝のクレジットが並ぶのは、ぼくの記憶では、見たのは、初めて? 
 東宝日輪マーク(と、いうのか?)と、新東宝鐘マークが続く珍景。
 
 実際は独立プロの製作を買い取った新東宝が、自立配給が出来ず、モト会社の東宝に泣きついたといった所?
 で、東宝も、新東宝ができたせいで、作品不足、渡りに船、というところ? 一見、ウィンウィンに見えるも、実際は、三方一両損か知らん。
 さらに言えば、この新東宝=東宝映画の、ダブルヒロインは戦前松竹以来の高峰三枝子、木暮実千代、そしてふたりをホンロウする細川俊夫を含めれば、主なスタアは非東宝系。
 この頃の、安定していない東宝系では、よくあることだが。

e0178641_2215765.jpg女の鬪ひ (75分・16mm・白黒) <フィルムセンターHPより>
由美子(高峰)は結婚したばかりの夫(細川)に恋人がいたと知り、その相手である映子(木暮)に会いに行くが、追いかけた夫は交通事故死してしまう。だが夫と恋人を失った二人の女性は、その後、奇妙な縁で結ばれていくことになる。千葉はもつれ合う恋愛関係の果てに希望を見出す女性の強さを強調している。
1949(新東宝=竹井諒プロ)(監)千葉泰樹(脚)八住利雄(撮)小原讓治(美)河野鷹思(音)齋藤一郎(出)高峰三枝子、木暮實千代、山村聰、河津淸三郎、三村秀子、瀧花久子、久保春二、山室耕、若月輝夫、冬木京三、細川俊夫

 いい加減なチャラ男の夫・細川に、結婚前からの愛人・木暮がいることを知り、新婚初夜を拒絶する高峰。いきなり夫は交通事故死。千葉泰樹「羽織の大将」でも、ある主要人物が交通事故。ぶつかるシーンもそれなりに描写。
 ここら辺を間接描写で済ませるのが成瀬。
 冬の映画であり、主演女優ふたりは、コートで着膨れの、おでぶさん。終戦直後という事情なのか、たぶんアメリカ製の既製服コートで、サイズ微妙、というコートか。
 食糧難ということもあるのか、「ふくよか」なヒロインが珍重されて。特に高峰のバストもふくよか(笑)。
 というところしか、見所はないのは、お得意のユーモアもない凡庸メロドラマゆえか。
 「二人の女」の対立を得意とする成瀬に任せたほうがよかった素材。

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by mukashinoeiga | 2014-12-28 06:32 | 千葉泰樹 ヤスキ節の愉しさ | Trackback | Comments(0)

放送禁止CM集とか


【再調査】放送禁止とかになったCM集【1953~2014】


 わかりやすい、明らかにこれはダメだろ、というものと、何で?というものが混在している。
 差別連想、しゃれにならない系、下ネタ系は、わかりやすいが。
 2パターンあると、割とわかりやすい。
 わからないものは、なんとも、わからない(笑)。メディア・リテラシー系アタマの体操になるか。
 それにしても、はるか昔、CMだけを集めた番組があって、よく見ていたけれど、ああいうのが、今もないものか。

【閲覧注意】 知ったら後悔する雑学 4

 ええええーっ(笑)。

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by mukashinoeiga | 2014-12-26 11:05 | うわごと | Trackback | Comments(0)

千葉泰樹「バンコックの夜 NIGHT IN BANGKOK」

 京橋にて。「映画監督 千葉泰樹Yasuki Chiba Retrospective」特集。66年、東宝=台湾省電影製片廠=国泰機構有限公司。
 きわめて格調ある、端正とさえ言える、メロドラマの佳作。厚みあるゴージャスな映像。
 脚本グッド、撮影グッド、加山雄三はじめ出演陣もグッド。まるでメロドラマの教科書というべき。

 
バンコックの夜 NIGHT IN BANGKOK(105分・35mm・カラー) <フィルムセンターHPより>
「香港3部作」の成功を受け、東宝は台湾の女優・張美瑤(チャン・メイヤオ)を合作映画のヒロインとしてオファー。犯罪劇のからんだメロドラマ『香港の白い薔薇』(1965、福田純監督)に続き、張は本作でも富豪の令嬢として登場、異国情緒たっぷりのラブロマンス作品である。
1966(東宝=台湾省電影製片廠=国泰機構有限公司)(監)千葉泰樹(脚)笠原良三(撮)完倉泰一(美)育野重一(音)山本直純(出)加山雄三、張美瑤、星由里子、越路吹雪、藤木悠、馬驥、プリム・プラパポーン、志村喬、東郷晴子、上原謙、田崎潤

 メロドラマとは、常に、必ず「観光映画」でもある、というセオリーを、忠実になぞるように、東京、京都、奈良、台北、バンコックと、ケータイがない時代、恋人たちは偶然の出会いと別れを繰り返す。
 遠距離恋愛?というべきか、その地理的隔絶が心理的すれ違いを代行する。
 会いたい。恋する人に逢いたい。しかし、相手は、遠く遠隔の地の、いずこにか、いる。メロドラマとは、そのすれ違いと、偶然の出会いの、あわいの不連続に、ある。
 そう、心理的すれ違いを模倣するかのように、距離的すれ違いが必要なのであり、メロドラマとは、どうしても遠距離恋愛にならざるをえない?
 そして、この映画の映像的美しさ。
 カラー・シネスコ画面のニュープリの美しさ。ただごとではない。撮影監督はぼくには、まったく未詳の人だが、素晴らしい。
 後年の、同じ東宝の撮影監督・木村大作は、なんだか現代では自他共に認める巨匠を詐称しているようだが、常に観光絵葉書じみた凡庸な絵ヅラしか撮らない木村に比べ、なんという豊穣な絵をとるのか、このキャメラマンは。

 現代では、死滅した回転レストラン。
(しばらく前、かつて人気を誇った回転レストランが日本国内では死滅し、つまり設備劣化ゆえに回転できなくなり、ただの高層階展望食堂に成り果てたものを、また再び客席を回転させようという試みがある、という新聞記事を読んだ記憶がある。その後どうなったのかは知らない)
 その回転レストランでの、星由里子と張美瑤のテーブル。星が張に加山雄三を譲るという会話。
 そこにボーイが「時間です」。いっしゅん、観客であるぼくは「?」となるが、
 星は、可動部の客席から、中央の不動部分のピアノに向かい、現れた歌手越路吹雪のピアノ伴奏者となる。なんというセンス。
 この辺の呼吸、また回転レストランを生かした、ゆれる、ゆるやかな移動映像は、なんとも素晴らしい。ゆるゆるゆれ続けるデ・パルマというべきか。
 睡眠薬を飲んでふらふら車を運転する自殺行の張美瑤は、まるでヒッチコックそのもの。音楽もヒッチタッチで。

 加山雄三は、(映画の)かなり早い段階で張美瑤にプロポーズ&初キス。
 ああ、こんなに早くちゃ映画はハッピーエンドには、ならないな。それは、瞬時に、わかる。
 それは、日本とアジアの観光映画(でも、ある)微温的メロドラマの、お約束。
 クライマックスは「ローマの休日」を引用して、グッド。
 ヒロインのメイド、タイ人メイド少女に手をふる加山。ナイスな演出。

 そして加山雄三は、タイに蔓延する出血熱(イマドキ流行りのエボラかどうかは、わからない)の撲滅に邁進する青年医師でもある。この辺の趣向は、感想駄文済みの千葉泰樹「白い壁畫」の、マラリア撲滅を誓う青年医師・月形龍之介に、通じるものが、ある。この自作過去作へのつながりこそ、千葉の思い入れか。
 加山の亡父の旧友(星由里子の父)にワンシーンのみ登場の上原謙。「君の親父というのは、本当にいいヤツだった」と、加山の亡父をべた褒めするのにも、爆笑するが、上原の、亡父絶賛を聞く、加山の微妙な表情に、さらに爆笑。
 なんとやり過ごしていいのか、目はうつろに、泳いでいて、表情は、固まっているという(笑)。
 この加山演技と、千葉演出の楽しさ。

 その亡父の墓に、加山と張美瑤が墓参り。雑草がぼうぼうの墓。
 普通、久しぶりの墓参であっても、たいていの映画は、なぜかきれいな墓周り。というのが、ありがちだが、このリアル感は脚本のゆえか。
 タイ人ボクサーの試合描写も、キレがいいし、第二ヒロイン・星由里子の、加山拒絶もリアルだ。
 そしてスクリーンで見てこその、美映像。すばらしい。

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by mukashinoeiga | 2014-12-26 09:49 | 千葉泰樹 ヤスキ節の愉しさ | Trackback | Comments(2)

キネ旬歴史的大誤植(笑)

 フィルムセンターの合間に本屋に。そこで、トンでも誤植発見。
「オールタイム・ベスト映画遺産 日本映画男優・女優100 」(キネマ旬報ムック)の表紙に、そのタイトルとは正反対の、
「私の好きな外国映画男優・女優ランキング発表」の字が(笑)。
 表紙に。表紙の誤植ですぜダンナ(笑)。

★Amazon.co.jp: オールタイム・ベスト映画遺産 日本映画男優・女優100 (キネマ旬報ムック): 本★
(画像を確認できるはず)

 これは、たぶん、本誌の前に発売している外国篇の「オールタイム・ベスト映画遺産 外国映画男優・女優100」を、そのままコピペしたものを、キネ旬校正がスルーしてしまったものかと。
 いやあ(笑)。まあ、たかが映画雑誌ですから、歴史的というのは大げさかもしれませんが。

 そもそもキネ旬のこの手の企画は何度目か。この手の企画自体が、過去に映画会社からただでもらったスチールなどに、独自撮影を加味した、一枚で何度もおいしいコピペ企画ともいえる。
 コピペは便利だが、典型的なコピペのワナ。   うーん。ぼくたちも気を付けなくちゃ(笑)。

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by mukashinoeiga | 2014-12-25 22:08 | うわごと | Trackback | Comments(0)

イイネ機能を追加

 エキサイトブログにも、いいねボタン機能があることを、知りまして、当ブログにも導入してみました。
 まあ、無駄に長くてつまらない文をだらだら書いていますので、ほとんど意味はないものと承知しておりますが(笑)。
 まあ、よろしかったときには、どうぞ。
 ちなみに、最初一発目に、この記事に自己投票(笑)。
 記事自体はつまらなくても、対象となる映画が面白ければ、クリックするのも、ありだと思います(笑)。

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by mukashinoeiga | 2014-12-25 05:02 | 業務連絡 | Trackback | Comments(0)

カンパニーロゴ日活篇

 日活だけでない、シモケンさんの検証には、頭が下がります(笑)。

日活マーク 1954-1956

>検証のためにキャプチャした1954-1956年の日活マークの静止画63枚を、スライドショー動画にしてみた。
>1954-56年の日活マークの件、やはり気になったので手持ちの録画63本で検証してみた。結果はほぼ予想通りで、54-55年は被りが全く無い訳ではないが、撮りおろしと思われるのもが殆どを占め、56年の1月後半からは使い回しとなるようだ。(https://twitter.com/Shimo_x2)より

動く川島雄三監督と内縁の妻八重司さん

雄三伝説~サヨナラだけが人生だ~

11/19 川島 雄三を語る1 / 寺島 進


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by mukashinoeiga | 2014-12-22 22:37 | うわごと | Trackback | Comments(0)

千葉泰樹「妻と女記者 ―若い愛の危機―」

 京橋にて。「映画監督 千葉泰樹Yasuki Chiba Retrospective」特集。50年、新東宝=藤本プロ。
 登場人物たちの思惑が、いくつもすれ違う。オフビートともいえるコミカルさも頻出する、ホームドラマ佳作。
 コメディ寄りシリアス・メロドラマは、やはり、千葉ちゃんの真骨頂だ。ここら辺は同僚・成瀬と重なるが、成瀬と比べると、やや深みが欠ける恨みあり。軽量級成瀬。
 しかし楽しい。

妻と女記者 ―若い愛の危機―(91分・35mm・白黒) <フィルムセンターHPより>
復員して以来、妻や両親とそりが合わない男(伊豆)が、亡くなった戦友の妹(角)を自宅の二階に下宿させたことから、家族のすれ違いがますます拡大していく…。『妻と女秘書』(1936、クラレンス・ブラウン監督)を下敷きにした物語で、千葉と名プロデューサー・藤本眞澄が組んだ最初の作品。藤本プロの専属女優第1号・角梨枝子の映画デビュー作でもある。
1950(新東宝=藤本プロ)(監)千葉泰樹(脚)久坂榮二郎(撮)小原讓治(美)松山崇(音)早坂文雄(出)山根壽子、伊豆肇、角梨枝子、池部良、若山セツコ、菅井一郎、滝花久子、よねくらいずみ、田中春男、江川宇礼雄、冬木京三、杉寛、小島洋々

 角梨枝子の映画デビューであるだけに、この「日本人離れした」美貌を最大にフィーチャー。あの角度この角度からのさまざまなアップ。まさに角梨枝子PVの、趣き。
 たいへん、きれいだし、うまい。ただ、彼女のみ、セリフのテンポが、ゆっくり。ほかの俳優たちのテンポと違い、やや違和感。しかし、デヴュー作での、このカンロクは、立派。

 池部良は角に恋するのだが、伊豆に比べて分が悪い。フラレ役な脇役扱い。だが、この生き生きとした「青年役」の、池部、たいへん新鮮。当時のアイドル的役回り。素晴らしい。
 そしてこのふたりの、雑誌社同僚・若山セツコの愛らしさ。ナチュラルボーンのいもうとキャラ。
 そしてなぜか(笑)母親役専門・滝花久子が、本作に限って、本当になぜ(笑)妙に色っぽいのがふしぎ。

 復員後、妙にイラついて、妻子や両親につらく当たる、伊豆肇。妻・山根寿子も、両親(菅井一郎、滝花)も困惑するばかり。ヴェトナムや中東戦争後、復員したアメリカ兵が、その精神的後遺症に悩まされるのと、同じ構図と、今なら理解されよう。

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by mukashinoeiga | 2014-12-17 06:17 | 千葉泰樹 ヤスキ節の愉しさ | Trackback | Comments(0)

千葉泰樹「白い壁畫(壁画)」

 京橋にて。「映画監督 千葉泰樹Yasuki Chiba Retrospective」特集。42年、東宝(南旺映画)。
 沖縄「観光映画」の側面も持つ、またメロドラマの側面も持つ、医師の命をかけた使命感を描く、ごった煮のような映画。
 狙いは、かなりいいのだが、感銘は薄い。
 喜劇寄りのドラマを得意とする千葉も、感動系は不得意なことを再確認。
 月形龍之介つながりで言えば、たとえばマキノなどの演出で見たかった。マキノなら絶対添削するだろう、成瀬なら絶対削除するだろう不用意かつ不要なセリフが満載。
 月形龍之介の現代劇は貴重なだけに、つくづく惜しい。高田稔、月形龍之介、入江たか子、花井蘭子の俳優陣はとてもいいだけに、残念。
 なお、冒頭に、高田稔、入江たか子ユニット、とクレジットあり。

白い壁畫 (95分・35mm・白黒) <フィルムセンターHPより>
芥川賞作家・富澤有為男の小説を映画化。沖縄・西表島で黒水病(マラリア)に冒されながらも、その治療研究に身をささげる青年医師(月形)と、島にやってきた彼の元恋人(入江)とその夫(高田)との交流と葛藤を描く。沖縄本島での撮影中に映画界は臨戦体制になり、千葉ら南旺映画のスタッフは、会社統合先の東宝所属として本作を撮り続け、完成させた。
1942(東宝)(監)千葉泰樹(原)富澤有爲男(脚)吉田二三夫(撮)中井朝一(美)安倍輝明(音)鈴木靜一(特殊撮影)圓谷英二(出)高田稔、月形龍之介、入江たか子、花井蘭子、立花潤子、伊東薰、横山運平、清川莊司、光一、三木利夫、下田猛

 思わず臈長けたなどという古語を使いたくなるような、入江たか子の美しさ。
 彼女は医学部教授の娘であり、父の助手の、月形と、ほのかに思いあう。
 ところが月形は、当時はまだ日本ではだれも試していない頭蓋骨切開手術をおこなおうとしている。これに入江は、娘らしい純情さで反発。対象患者が若い女性ということもあり、
「若い娘が、(髪を剃られて)頭を切られ、頭蓋骨に穴を開けられるくらいなら、わたしなら(病)死を選びますわ」
 月形は手術を決行、しかし失敗して患者を死なす。
 二重の失敗から、月形は教授に拒否され、その娘の入江からも拒絶され、東京の医学界から、消えていく。

 のちに入江は、これまた当時超絶二枚目の高田稔(まさにナチュラルボーンのメロドラマ男優)の妻に。高田はマラリア研究の第一人者。
 講演のシーンで彼は言う。「日本ではマラリアは、ほとんど根絶している。然るに、なぜ研究するか。東南アジアではまだまだ猛威を振るい、苦しんでいる。日本は大東亜共栄圏の盟主の責任ゆえ、マラリアの脅威からアジアの人々を救わねばならない」(大意)。
 妻とその妹を連れて、高田は、沖縄本島に行く。本島では、マラリアはほとんど見られないが、沖縄諸島最西端の西表島では、今も猛威を振るっているという。
 そこでは、ある医師が孤軍奮闘でマラリアに対峙していると言う。
 そしてどうやらその医師は、妻のかつての思いびとだったらしいことに、高田は気づく。
 高田一行は連絡船で、西表に。

 華やかな中央医学界から都落ちした月形は、自らもマラリア類似の病に犯され、ほとんど寝たきり。簡単な治療は少年助手に任せ(まあ、医師法違反だがほかに西表には医師がいないゆえ)重篤なマラリア患者のみ、往診。少年に大八車を引かせ、気息エンエンでそれに乗って、患者を見に行く。
 老々介護ならぬ、病々医療。
 これはのちに、船舶遭難事故で、足元もおぼつかない高田稔が、危篤の月形を診るシーンに再現される。
 こんなシーンで、観客の紅涙も、男なみだも、誘う演出家は、確かに、複数存在する。しかし、千葉泰樹は、そうでは、ない。
 都会的な高田、入江の美男美女メロドラマ演出は出来ても、泥臭いお涙頂戴とは、無縁ゆえ。
 シティボーイ千葉ちゃん。
 台湾で映画を撮り、沖縄で映画を撮り、香港で映画を撮る。
 アジア圏限定ながら、「国際派」な千葉ちゃんも、泥臭い泣かせには、チカラ発揮できず。
 残念。
 絶世の美男美女コンビが、ユニットと名乗るからには、ある程度の主導、ないし資金提供もしたのだろうか。単純なメロドラマに飽き足らず、ある程度の社会派的意欲作を目指したのだろうが、いささか水と油の感。
 同時期東宝なら、成瀬やその弟子のヤマサツのほうがよかったか。もっとも屋久島ロケもしなかった成瀬なら、沖縄ロケもせず、だろうし。
 感想駄文済みの山本薩夫「お嬢さん」37年、東宝も、明らかに沖縄本島が舞台のはずなのに、沖縄のおの字もなく、おそらく沖縄ロケもしていない。
 戦前東宝が、沖縄に固執したのは、おそらく「国内で行けるアジア」、ということだろうか。いうまでもなく、「メロドラマ」とは、「観光映画」の「別名」なのだから。

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by mukashinoeiga | 2014-12-16 10:39 | 千葉泰樹 ヤスキ節の愉しさ | Trackback | Comments(0)