<   2014年 09月 ( 15 )   > この月の画像一覧

田中徳三「誘拐」宇津井健万里昌代川崎敬三大瀬康一高松英郎小沢栄太郎中田康子渋沢詩子根上淳

 阿佐ヶ谷にて。「ミステリ劇場へ、ようこそ。2014」特集。62年、大映東京。
 プログラム・ピクチャアの範囲内で、これは傑作だ! 9月27日(土) まで上映中。
 現役弁護士にして、探偵小説作家・高木彬光の原作(未読)を最大限に生かしきった、素晴らしいサスペンス傑作で。
 大映職人スタッフ集団と、大映スーパーキャストの最高のコラボによる、プログラム・ピクチャアの最高度の達成(の、ひとつ)。
 高利貸し会社の社長夫妻・小沢栄太郎&中田康子の、小学生の一人息子が営利誘拐されるが・・・・。
 ある意味、営利誘拐ミステリの白眉といっていいだろう。
 以下、ネタバレあり。

e0178641_20144846.jpg誘拐 1962年(S37)<ラピュタ阿佐ヶ谷HPより>
大映東京/白黒/93分 ※16mm
■監督:田中徳三/原作:高木彬光/脚本:高岩肇/撮影:小林節雄/美術:仲美喜雄/音楽:塚原晢夫
■出演:宇津井健、万里昌代、川崎敬三、大瀬康一、高松英郎、小沢栄太郎、中田康子、渋沢詩子、根上淳
ある金融会社社長の一人息子が誘拐された。心憎いばかりに巧妙な手口を駆使する犯人の完全犯罪計画。熱血弁護士・宇津井健は突破口をみいだせるのか──。高木彬光原作の持ち味をいかした犯罪ミステリの佳作。
(注)35の気がするが、もと映写技師の勘違いか?

 まず、誘拐された児童の家庭が、金持ちならではの、フクザツな人間関係が、どろどろ。この誘拐に、この人間関係が関連しており、単なる第三者による誘拐ではないことがうかがわせる。
 これは、この家庭に出入り(中田康子夫人の実妹・渋沢<可愛い眼鏡っ子>詩子の婚約者)している大瀬康一が、学生時代の先輩・宇津井健に、個人的捜査を依頼することも関係する。
 もし、不特定第三者による誘拐犯罪だったら、組織もない一弁護士に、解決の糸口は、とうてい見つからないからねー。
 弁護士でもある原作者高木、美人妻・万里昌代とともに捜査に協力する弁護士宇津井健を、きわめてかっこよく描く(笑)映画の元になる、いいなあ。

 このミステリは、実はミステリ好きのぼくも、大満足、あっと驚く趣向が満載なので、すばらしい。おそらくかなり緊密な原作を、怪しげな登場人物が多数登場する物語を、通常の映画製作者なら、登場人物を整理して、よりシンプルな構成にするはずだ。たかだか93分のプログラム・ピクチャアだからねー。
 しかし、このサスペンスは、多数多彩な登場人物があってこそ、その輝きが増す体の、ミステリだ。
 それを大映は、田中徳三は、よくわかっている。
 じっくりねとねと、重厚に、サスペンスを、盛り上げる。
 大映プログラム・ピクチャアとしても、このじっくりねとねとの、サスペンス盛り上げは、きわめて、すばらしい。
 9月末日締め切りの、サスペンスミステリ映画の投票を、新文芸坐がしているが、この映画が選ばれなければ、新文芸坐の作品選択基準は、はっきりいって、疑わしいものとなるだろう(笑)。

 熱血弁護士に宇津井健、検事に根上淳、グッド。
 誘拐される子供の家族、悪徳高利貸し兄弟に小沢栄太郎&川崎敬三、グッド。
 主任刑事に高松英郎、グッド。似合いすぎやろ。
 最初の誘拐事件犯人・杉田康、怪しげなヤツ・村上不二夫、怪しげなヤツパート2・片山明彦、グッド。
 その他、多くの大映脇役陣のスバラシさ!
 特に存在するだけで不穏な雰囲気をかもし出す>「謎の同居人」(笑)倉田マユミのスバラシさは、どの大映映画を見ても、顕著(笑)。
 ああ、素晴らしい(笑)。
 こんなパーフェクトなサスペンス映画が、何度でも、いいますよ。
 9月末日締め切りの、サスペンスミステリ映画の投票を、新文芸坐がしているが、この映画が選ばれなければ、新文芸坐の作品選択基準は、はっきりいって、疑わしいものとなるだろう(笑)。

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by mukashinoeiga | 2014-09-26 01:46 | 傑作・快作の森 | Trackback | Comments(2)

北村龍平「ルパン三世」

 どうしてもOLD映画の感想駄文に時間を取られて、新作もそこそこ見ているのだが、なかなか感想を書くに至らず。
 そもそものTVアニメの第一シーズンの第1話からリアルタイムで見ていた、ねっからのアニメ版ファンとしては(まさに第一シーズンは、ことごとくが面白かったし、コドモにはショーゲキであった)一回目の実写もひどかったが、今回もどうなの、という上から目線で。

 本作を見たのは、ただ一点、黒木メイサの確認だぜぇ(笑)。
 ワタクシめは、沖縄出身女優に、偏見を、もっておる(笑)。
 詳しくは過去の駄文★仲間由紀恵モンダイ-今、そこにある映画-Yahoo!ブログ★を、参照いただきたい(笑)。

小栗旬主演 映画「ルパン三世」実写版の最新予告動画(ロングバージョン)と次元の映画予告

黒木メイサ、実写版“峰不二子”スタイルで登場 『ドゥカティ スペシャルバイク&ポップアップ・ストア』発表会


 そこで書いたのは、

なぜ仲間由紀恵は、あんなに美人なのに、<オンナを感じない>のか。
 いわゆるフェロモンがないのだろうか、みんなが言うように。
 TV「トリック」シリーズの、コミカル演技をのぞいて、あまり、いい女優さんだなあ、と思わないのも事実だ。なんか妙につるつるっしていて、のど越しはいいのだが、パンチ(ふるっ)がない。(中略)
 あるサイトによると、

新垣結衣:那覇市
国仲涼子:那覇市
黒木メイサ:名護市
仲間由紀恵:浦添市
満島ひかり(元Folder・元Folder5):鹿児島生まれ、沖縄育ち
山田優:沖縄市
安室奈美恵:那覇市
南沙織:嘉手納町
Kiroro:中頭郡読谷村
知花くらら:那覇市

 これくらいが、ぼくがかろうじて知っている沖縄出身女性タレントだろう。
 アイドル系かわいい系が多いのかな。
 でも、かわいいし、きれいだけれど、これ、見事に、フェロモン無縁系じゃない?
 本来、お色気ありそう?系なはずの、黒木メイサも、満島ひかりも、見事に、フェロモンゼロ系?じゃあありませんか。国仲涼子なんて、はかなげ系?なのに、色気ゼロ。知花くららも、ミス・ワールド・コンテスト出身らしく?大雑把で、ニュアンス少なし。(中略)

 沖縄アクターズスクールは、確かマキノ雅弘の息子が経営していたはずなのに、マキノの<ニュアンス>は、引き継がなかったのか。
 もっとも、母が轟夕起子という、ガハハ系?元祖ダンシング・ガール(戦前は宝塚)だからなあ。父マキノより、母トドロキのDNAを、濃く受け継いだのか。いや、轟夕起子は、好きな女優なんですけどね。
 沖縄は、セクシーゼロ系地帯なのか。オンナのカロリーゼロ系か。
 南国のせいか。それとも、沖縄にめったやたらと多いときく、左翼性?のせいか?(笑)
 左翼は、セクシーさとか、ニュアンスとか、微妙な感情の間合いを否定しますからね(笑)。
 あるいは、あらゆる意味(歴史的・地理的)で中国に近いせいか。中国もまた、ニュアンスとか、微妙な感情の間合いを否定しますからね(笑)。これらの複合技で、沖縄出身タレントには、フェロモンがないのか(笑)。
 いや、偏見ではなくて、素朴な疑問で。(引用終わり)

★長谷川安人「集団奉行所破り」 : 昔の映画を見ています★でも、

 南国風土が、女の、かそけき色気を、阻害する。これにあわせ技で、沖縄の左翼的精神風土、中国への親近性が、これまた、女の色気を封じる、というバカ理論は、とりあえず、安泰か(笑)。

 と、ますます確信を深めたマイ理論だ(笑)。

 で、本作を見た結果は(笑)。
 アニメ史上最強?セクシー美女・峰不二子を、演じる黒木メイサには、やっぱり、お色気のおの字もない(笑)。
 やはり、ワタクシめのバカ理論<沖縄は、セクシーゼロ系地帯>は、再度確認されたしだいだ(笑)。

 なお、ほかのメンバーについては、ルパン小栗旬、銭型のとっつあん浅野忠信は大健闘、次元のタマテツ絶美、五右衛門と不二子のみ残念、といったところか。黒木メイサの対戦相手の女優(女闘アクション担当のほう)のほうがよっぽど、セクシーだぜぇ。
 映画自体も、これが「ルパン三世」だとは思わなければ、そこそこは楽しい。

 感想駄文済みの周防正行「舞妓はレディ」が、鈴木清順を参照したように、本作も鈴木清順(一時はアニメ版「ルパン三世」監修者、脚本家たちに清順の弟子たちが何人か)を参考にすれば、もっと面白くなったのに。
 鈴木清順という濃縮液を希釈すれば、娯楽映画には、きわめて有効なのだ。

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by mukashinoeiga | 2014-09-24 10:26 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(0)

周防正行「舞妓はレディ」

 どうしてもOLD映画の感想駄文に時間を取られて、新作もそこそこ見ているのだが、なかなか感想を書くに至らず。
 本作についても、★『舞妓はレディ』は『マイ・フェア・レディ』と全然違う!:映画のブログ★など、優れた感想はたくさんあるのであり、ぼくごときの出る幕ではない。特に田畑智子さんのことなど、そうだったのか、と目からウロコで。

 ただ、いくつか、感じたことを。

「舞妓はレディ」予告


 まず、このコメディ(おおむね、そうだろう)での、草刈民代のきまじめさが、気になった。
 むろん、ヒロインのセンパイとして、厳しい助言を与える先輩芸者なのだから、生真面目さは、必要。
 しかし、基本コメディなのだから、時に柔らか味が、あってもよかった。
 彼女の美点はいくつかあれど、おそらく華と柔らか味に欠ける恨みがある。
 監督の妻であるという「アドバンテージ」(by 濱田岳)がなければ、本作には「絶対に」起用されなかったろう。
 監督が師匠と仰ぐ?伊丹十三における、宮本信子と、同じ愚で、ある、というのは、いささかシニカルに過ぎるだろうか(笑)。
 伊丹十三映画も、宮本信子連続起用がなければ、もっと面白くなったはずで。宮本信子は、悪い女優ではないが、残念ながら主役の華がない。ワキでこそ光るタイプ。それは伊丹十三も同様か。
 何もこんなところまで師匠を真似することもあるまい。

 濱田岳の名前が出たので、ついでに言うと、彼が演じた長谷川博己の助手役。
 見ていて、ああ、いかにも濱田岳的キャラだなあ、なら、どうして、こんな「地味な新人」使うより、濱田岳にやらせなかったんだろう、と思って見ていたら、なんと濱田岳本人であることに途中で気がつきました(笑)。
 顔も体型もちょっと小太りになっていて、かつジミな風体だったので、気がつかなかった(笑)。
 しかし、この地味さは、この役にあっていて、さすが体型調節も、デ・ニーロ・アプローチであったか、と感服したしだい(笑)。

 さて、次に気になったのは、本作がミュージカル「マイフェア・レディ」の本歌取りであり、オペレッタ仕立てであるという点。
 主要登場人物は、ほぼ全員歌い踊る。ただ、もとサリー(これも体型激変)岸部一徳のみが歌わないのは、納得が行かないが(笑)。
 さて、オペレッタ仕立てということで気になるのは、この監督が周防正行「変態家族・兄貴の嫁さん」のデヴュー作で、小津安二郎完コピであることは有名だが、周防正行「シコふんじゃった。」は、鈴木清順「けんかえれじい」を意識して作った、という監督自身の発言である。
 自身を、小津と清順の、風合いが異なる映画的天才が同時に好きであることに、いささか違和感を抱きつつ、言及しているが、ナニ、それほど変わった趣味ではござらん
 現にぼく自身も、そうだからで(笑)。いや、ぼくごときを周防正行と、同趣味ということは、はなはだセンエツではアルのだが。
 なお、鈴木清順と小津との共通点に関しては、★小津漬の味10 <小津家の兄妹>あるいはまとめに走らない、まとめ:昔の映画を見ています★を、参照されたい(笑)。

 つまり、何がいいたいかというと、「シコふんじゃった。」が「けんかえれじい」を参照しつつ作ったように、本作も鈴木清順「オペレッタ狸御殿」「河内カルメン」をはじめとする鈴木清順流ミュージカル(もどき風)への、近親性を感じる、ということだ。

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by mukashinoeiga | 2014-09-24 08:42 | 旧作日本映画感想文 | Trackback(1) | Comments(5)

成瀬巳喜男「禍福」前・後篇

 ユーチューブにて。37年、製作・P.C.L.映画製作所、配給・東宝映画株式會社
 2005年のフィルムセンター「生誕百年特集 映画監督 成瀬巳喜男」特集で見逃したもの。
 新文芸坐の今回の成瀬特集でも、せっかくフィルムセンターの所蔵プリントを借りられるのだから、せめて一番組でも、こういった戦前のものをやってほしかった。
 いわゆる三角関係メロドラマを、相変わらずさくさくと、流れるように流麗に描く。
 ただし、後年のスーパー成瀬では、ない。いわゆる若書きゆえの幼さ?はあるが、それでもクイクイと魅せる(笑)。

禍福 前篇(78分・35mm・白黒) <フィルムセンターHPより>
「真珠夫人」のテレビドラマ化で再び注目を集めている菊池寛。本作は彼のメロドラマ小説の映画化である。外交官に採用され前途有望な皆川(高田)は、豊美(入江)と結婚の約束を交わしていた。しかし皆川は帰郷した時に出会った幼な馴染みの百合恵に心惹かれる。
’37(東宝東京)(原)菊池寛(脚)岩崎文隆(撮)三浦光雄(美)北猛夫(音)仁木他喜雄(出)高田稔、入江たか子、竹久千恵子、丸山定夫、英百合子、堀越節子、生方明、伊東薫、御橋公、伊藤智子、逢初夢子、大川平八郎、神田千鶴子

禍福 後篇(79分・35mm・白黒) <フィルムセンターHPより>
皆川の子を産んだ豊美は、皆川の妻となった百合恵(竹久)と図らずも親しくなり、皆川家に居候することに。長期出張先のフランスから帰ってきた皆川は豊美と衝撃の再会を果たす。女性同士の友情と連帯によって豊美の復讐劇は大きく転換してゆく。
’37(東宝東京)(原)菊池寛(脚)岩崎文隆(撮)三浦光雄(美)北猛夫(音)伊藤昇(出)高田稔、入江たか子、竹久千恵子、丸山定夫、英百合子、堀越節子、生方明、伊東薫、御橋公、伊藤智子、逢初夢子、大川平八郎、神田千鶴子

 なお、上記では東宝東京とのみ記されているが、正しくはこちら。字数省略で仕方がないとはいえ、同じフィルムセンターのHPの、別ページで、表記が違うというのも。正規版は、以下にあり。
★所蔵映画フィルム検索システム★のタイトル検索で、詳細なスタッフ・キャスト一覧あり。

 以下、完全ネタバレあり。
black and white. Directed by Naruse Mikio
Learn from Experience, Part 1 / 禍福 前篇 (1937)

Learn from Experience, Part II / 禍福 後篇 (1937)


 戦後の成瀬は、エンエンと駄目男を描いたが、本作の主人公は、ズル男。
 入江たか子は、親友・逢初夢子の紹介で、高田稔と知り合い、両親公認の仲となる。
 高田稔は、故郷・桐生の父親から、実家の織物工場の大負債を手紙で打ち明けられ、帰郷。
 二万円の持参金つきで、同業者の娘をもらってくれ、と矢の催促だ。
 そんな政略結婚、家の犠牲になるのは、いやだい、ぼくはあくまで入江たか子を、妻にするんだと、拒否。

(注)「東北でダンスホールがあるのは、ここと新潟だけ」(竹久千恵子)。群馬県桐生も、北陸新潟も、当時は東北の一言なのか。

 と・こ・ろ・が(笑)。
 偶然、その持参金付娘・竹久千恵子に、会ったら、なんと彼女に一目惚れ(笑)。入江たか子なんか、もうどうでもよくなっちゃうんである(ここら辺帳場の山下さんパクリ風)。
 以後、入江を見捨てて、竹久千恵子に、ミノル、まっしぐら。
 と・こ・ろ・が(笑)。
 実は、楚々とした入江たか子は、おとなしい振りして、やることはちゃんとやっていて(前篇20分30秒頃(笑)の、アイマイな水の流れで超間接描写)、なんと妊娠していた、と。
 戦前ゆえの、超間接描写だが、下世話なことを言えば、布団は敷いたのだろうか(笑)。まさか、そのまま(笑)。
 ここからシングルマザー悲恋モノへと移行する。
 しかし、ミノル、竹久千恵子に一目惚れなのに、実は家庭の事情で、父親に強制されて、と言い訳一方。づるい(笑)。づるすぎる(笑)。

 前半はまだしも、娘らしくきゃぴきゃぴしている入江たか子だが、ほぼ全篇で和服で通す入江の、めそめそじとじとっぷりより、モダンガアル竹久千恵子に、イっちゃうのも、わからぬではない。
 女学生時代、柔道部!(笑)。
 でも、ぼくなら、ダンゼン、逢初夢子一択だな(笑)。
★島津保次郎「隣りの八重ちゃん」:昔の映画を見ています★34年の、そのままの闊達さ、愛らしさ。アイドル的演技。
 成瀬も師匠・島津の、この演技そのままを、逢初夢子に要求したことだろう。
 いちおう、大川平八郎の妻になったら、大人の女の演技にチェンジする聡明さ。

 主題歌のひとつが「女の味方は女だけ」と言うあからさまさ(笑)からわかるとおり、本作もまた、成瀬的シスターフッドの物語
 親友・逢初夢子が、そしてなんと、元カレの現カノ・竹久千恵子すら、入江たか子と連帯する。
 この女性性賛歌は、成瀬ならでは。女性的関係性のなかでこそ、成瀬映画は真価を発揮する。いつもの成瀬だ。
 そして、この映画は、いかにも、いつもの成瀬で、「ふたりの女が一人の男を争う」映画。
 戦前松竹メロドラマを、一言で表すと「一人の女を複数の男が争う」パターンがやたら多く主流で。
 こういう戦前松竹で真価を発揮できず、逃げるようにP.C.L.(東宝)に行った成瀬は、心底松竹メロがいやだったのだろう。
 戦前松竹としては例外的?に「ふたりの女が一人の男を争う」島津保次郎「隣りの八重ちゃん」を、おそらく成瀬は、好きだったと思う。 
 ここら辺の事情は、★成瀬る3 二人の娘、成瀬の女性性:昔の映画を見ています★を、参照されたい(笑)。
 また元カノと、現カノのシスターフッドについては、★成瀬る4 成瀬は対立をいかに回避するのか:昔の映画を見ています★を、参照されたい(笑)。宣伝ばっかやな(笑)。

(注)「女の味方は女だけ」を、フィルムセンターHPは、「友の味方は女だけ」と、意味不明の誤記。ネット情報は、当ブログも含めて、信用してはならないという一例で。

 約80年も昔の映画なのに、主要登場人物は、みんなおなじみの役者ばかり、というのも、恐るべしだが。まあ、ぼくたちみたいな極端なOLD者ゆえの特殊傾向かも知れぬが(笑)。
 その中でも特筆すべきは、後篇のみの出演の北林谷栄!
 この、若いときからおばあさん役一筋、主役を食う生涯シワ役女優、特殊女優・北林谷栄の、なんと、珍しき<若い娘>役。
 清川玉枝の洋装店で入江の同僚の女店員、入江と学生野球を見に行ったりする。精一杯の若いむすめっぷり、しぐさ、シワのない輝く笑顔が新鮮で。しみじみ見返したりしちゃいます(笑)。
 でも、ぼく的には、逢初夢子一択だけれども(笑)。

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by mukashinoeiga | 2014-09-21 10:09 | 成瀬巳喜男映画の正体成瀬る | Trackback | Comments(4)

山田洋次「二階の他人」

 阿佐ヶ谷にて。「庶民の笑いと日常と 松竹大船撮影所」特集。61年、松竹大船。
 感想駄文済みの生駒千里「赤ちゃん颱風(台風)」同時上映ゆえの再見。中篇同士の2本立ては、ちょっとお得感あり。
 56分の中篇ながら、というより、それゆえに、なかなかシマったハートフル・コメディの快作・・・・と、いいたいところだが、なかなかの「雑味」があって、あまり楽しめない。
 というのも、コメディーならコメディー100パーセントでいくもよし、人生の悲哀を織り込むのなら、まあ隠しアジ程度にとどめておけばいいものを、コメディーも充実、人生の裏側の悲哀的現実描写も充実させたいと、いいとこ取りを狙った結果、そもそもいいとこ取りはたいてい失敗に終わるので、なんともビミョーな出来となった。
 新人監督の第一回作品ゆえに、短い中篇を、充実させようとして、充実させ過ぎがゆえの失敗か。

二階の他人 1961年(S36)/松竹大船/白黒/56分 <ラピュタ阿佐ヶ谷HPより>
■監督・脚本:山田洋次/原作:多岐川恭/脚本:野村芳太郎/撮影:森田俊保/美術:宇野耕司/音楽:池田正義
■出演:小坂一也、葵京子、高橋とよ、野々浩介、穂積隆信、峰久子、平尾昌晃、瞳麗子、永井達郎
新婚夫婦が一念発起して家を新築。借金返済のため、二階に下宿人を置くことにするのだが…。山田洋次のデビュー作。新米大家の戸惑いと住人たちとのやりとりをコミカルに描き、小品ながら才を発揮したコメディ&サスペンス。

 新人監督としては破格の扱いといっていいのか。自分の助監督だった山田の昇進一作目ということで、野村芳太郎との共同脚本。ただし野村と山田の共通項、松本清張的プロットを、必要「以上」に「忍び込ませた」結果、いわゆる「笑えないコメディー」の域に。
 原作が多岐川恭ということで、ミステリ作家の原作にひきづられすぎた、というところかもしれない。むしろ、時間はずれるだろうが、この内容であれば森崎東助監督との共同脚本あたりが、適任だったか。
 常習詐欺犯夫婦(平尾と関千恵子)、そもそも夫婦で詐欺というところが陰湿だが、川島雄三におけるフランキー堺の飛翔感もなく、これまた松本清張的というべき永井達郎・瞳麗子エピソードの、しゃれにならない哀しみ。
 一時期の松竹メロでの色悪専門の永井達郎の、代表作ともいうべき演技の、しかしコメディーとは水と油の残念感。

二階の他人(予告)

 ここでのナレーションでは、ヤマダヨージと発音されている。この件に関しては、★山田洋次が隠蔽し続けたショーゲキの出自(笑)★を参照のこと(笑)。
 しかし、この予告を見るかぎりでも、この新人監督に対する期待の大きさがわかるというもの。

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by mukashinoeiga | 2014-09-19 14:26 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(0)

生駒千里「赤ちゃん颱風(台風)」

 阿佐ヶ谷にて。「庶民の笑いと日常と 松竹大船撮影所」特集。58年、松竹大船。
 55分の中篇ながら、というより、それゆえに、なかなかシマったハートフル・コメディの快作。
 東京の個人医院に、看護婦見習いになるべく、東北からやってきた桑野みゆきがヒロイン。
 彼女は語尾に「~っす」と、つけるのだが、東北弁なら「~す」でわ??? 「~っす」では、ヤンキーっぽくないか。

赤ちゃん颱風 1958年(S33)/松竹大船/白黒/55分 <ラピュタ阿佐ヶ谷HPより>
■監督:生駒千里/脚本:光畑硯郎/撮影:森田俊保/美術:熊谷正雄/音楽:鏑木創
■出演:桑野みゆき、益田喜頓、轟夕起子、桂小金治、小田切みき、岡村文子、田村保、若水ヤエ子、谷崎純、山鳩くるみ
汽車で乗客の手から手へと可愛がられていた赤ん坊。ふと気づくと親がおらず、見習い看護婦・桑野みゆきが預かることになるが…。豪傑女医・轟夕起子に頭のあがらない夫・益田喜頓という顔ぶれ。爽やかな感動を呼ぶホームコメディ。

 さわやかな桑野みゆきも、よいのだが、それに輪をかけての絶品、轟夕起子のスバラシさ
 若者には、お小言ばかりの目の上のたんこぶ的存在。少々、苦手かも。しかし、その実は、気のいいオバサン。その明朗快活さは、若い女性にはない華やかさ、さえある。
 そういう明朗知的な中年女性を演じて、轟夕起子は、右に出るものも左に出るものもない。当時日活専属ゆえ、轟夕起子(日活)とクレジットされる彼女の、松竹出向は、まったくの大正解。
 生駒千里の同期・鈴木清順などが日活に大量引き抜きのあとだけに、フツウなら日活に遺恨がある?かとも考えるのは、他人の浅知恵で。轟夕起子、まさに適材適所。
 轟夕起子が家付き娘ゆえか、この医院の院長。副院長は夫の益田喜頓。やり手の妻と頼りない夫の組み合わせで、看護婦たちも「副院長先生、また院長先生にやり込められちゃうわ」。益田喜頓の個性も、最高に、生きる。
 この医院に出入りする交番巡査・桂小金治も、もともとは落語家ゆえ、どこの専属でもないが、川島について日活にも行った口。フリーゆえの特権だが、役者としては、かえってナイスな立ち位置。
 この小金治が桑野みゆきに、プレゼント。近づいてくる若い男には注意しなさい、との母親の教えを守って、みゆきは受け取り拒否。
 あの顔、あの声から、生まれついてのおじさんと思っている当方としては、小金治の「青年扱い」に、びっくり(笑)。
 プログラム・ピクチャアなりの、ほのぼの快作。ああ、にこにこ。

 なお、劇場ロビーに張り出された当時のプレスシートには、看護婦・若水ヤエ子。しかし実際には若水ヤエ子は、赤ちゃんコンクールに参加する赤ちゃんの母親。メイン看護婦には、見知った顔の女優で、ダレだろうと思い出せなかったが、すっかり大人になって、オーラのなくなった小田切みきで、あったか。
 なお、この当時の映画で結構出てくる赤ちゃんコンクール。
 いま、これをやったら、負けた赤ちゃんの親は、モンスターペアレンツ化しそう(笑)。はいはい競争なんて、赤ちゃんは競馬馬じゃない、なんて人権派の朝日などが、トラヴル化しそう(笑)。
 自称人権派の朝日や福島みずほは、犯罪被害者や拉致被害者の人権は無視するくせに、こういうところは、目ざといからなあ。

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by mukashinoeiga | 2014-09-17 10:07 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(4)

渋谷実、原研吉「をぢさん」

 阿佐ヶ谷にて。「庶民の笑いと日常と 松竹大船撮影所」特集。43年、松竹大船。
 十数年前にフィルムセンターで見たときは、体調ゆえか爆睡して、半分は見逃した状態。
 いつもの、おなじみの、たのしい戦前松竹ご近所コメディ。ただし、スーパーでは、ない。
 明らかに映画的リズム感を欠き、戦前松竹における新人監督二人の共同作業ゆえか、連携感が希薄であり、こりゃあ、体調が悪けりゃ寝るかぁ、という(居眠りの自己弁護)。
 ラピュタ阿佐ヶ谷HPがコピペできないので、

★をぢさん(60分・35mm・白黒)<フィルムセンターHPより>
世話好きで好人物のおじさんを演じるのは河村黎吉。町内の人気者のおじさんにとって気がかりなのは、近くに住む未亡人の幼い子供。亡くなった主人に世話になった関係で、なにくれとなく世話を焼くのだが、ある日、おじさんが持ちかえった土産の饅頭を食べた子供が病気になってしまった。おじさんは責任を感じて必死に祈りはじめるのだが……。飯田蝶子、坂本武、藤野秀夫、岡村文子など馴染みの面々が、戦時体制下の庶民をいつものように演じている。桑野通子は女児(桑野みゆき)出産後の復帰作でもある。渋谷実監督はこのあとの作品「激流」の途中で召集された。
'43(松竹)(監)澁谷実、原研吉(製)磯野利七郎(脚)池田忠雄(撮)長岡博之、武富善男(編)杉原芳子(美)江坂実(録)大村三郎、熊谷宏(音)仁木他喜男(出)河村黎吉、飯田蝶子、伊藤進介、大塚正義、桑野通子、山路義人、若水絹子、河野敏子、文谷千代子、藤野秀夫、岡村文子、坂本武、角秀夫、西村青兒、仲英之助、岩田龍子、縣秀介、長尾寛、遠山文雄、砂田光夫、水原弘志、青山万里子、山名佳津子、朝見英子、三笠朱実、中村実、安岡京子、森知美、村木幸子、倉内文子、中道操、加藤美枝子、井上喜美子

 今回、阿佐ヶ谷では、渋谷実・原研吉「をぢさん」山田洋次「二階の他人」生駒千里「赤ちゃん台風」を続けて見た。
 43年「をぢさん」には桑野通子が出演、58年「赤ちゃん台風」には桑野みゆきが出演。
 この幸薄い母娘が、同じ日同じスクリーンに続けて映されるのは、珍しいし、なんだか、好ましい。
 あいだに文字通りの赤の他人の?「二階の他人」が、挟まるのは、ご愛嬌?

  タイトルロールの河村黎吉は、なんだか、自身のスーパー素晴らしいレイキチ節を自己模倣しているかのような、「間の悪さ」を、感じた。
 主役での出ずっぱりのせいか、やはり脇役でこそ光り輝くレイキチか。戦時下もだいぶ押し詰まって、美男美女の恋愛メロも、自粛気味、ここはおじさんメインの一本も、というところで、フィーチャーされたのだろうが。

 未亡人役の桑野通子の、やわらかな柔らかな話し方のすばらしさ。数年後に亡くなってしまう彼女の「晩年」の、輝き。
 桑野通子が仲人になって、飯田蝶子・レイキチ夫妻の弟が婚約。この婚約カップルの新人たちが、まったくオーラなし。クワミチの和裁教室の生徒・河野敏子のほうが、よっぽど目立っている。
 なお河野敏子は、のちの井川邦子。井川邦子時代が、あまりに地味なので、河野敏子って、なんて名前に改名したんだっけ、といつも迷って、思い出せない。まあ、どちらの名前とも極めて地味なのも、珍しい。

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◎追記◎をぢさん 1943年(S18)/松竹大船/白黒/60分 <ラピュタ阿佐ヶ谷HPより>
■監督:渋谷実、原研吉/脚本:池田忠雄/撮影:武富善男、長岡博之
■出演:河村黎吉、飯田蝶子、伊藤進介、桑野通子、大塚正義、山路義人、若水絹子、河野敏子、岡村文子、坂本武、文谷千代子
工場で指導する世話好きおじさん・河村黎吉が未亡人の子どもにお饅頭をあげるが、それが原因で子どもが寝込んでしまい…。妻役の飯田蝶子とのユーモラスなやりとりが秀逸。戦時中の作品ながら、あたたかい人情にあふれた一篇。国立近代美術館フィルムセンター所蔵作品

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by mukashinoeiga | 2014-09-16 23:53 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(2)

増村保造「大地の子守歌」原田美枝子岡田英次佐藤佑介梶芽衣子田中絹代

 京橋にて。「映画監督 増村保造」特集。76年、行動社=木村プロ。
 うーん、この手があったか(笑)。
 つまり、いままで、一貫して、「アグレッシブでパッショネート」な女性像を描いてきた増村保造が、あまりに一本調子に一本調子であったため、いささかマンネリ気味であった。
 で、本作では、山育ちの天然野生児、まったくアウト・オブ・コントロールな、豪速球少女を繰り出しての、新機軸。
 原田美枝子のフルスロットル演技もあって、後期の最傑作になった。
 原田美枝子は、成人後オトナシメの女性を演じることの多い印象なので、まるで別人のはじけっぷりが、新鮮だ。

e0178641_22251988.jpg大地の子守歌 (111分・35mm・カラー) <フィルムセンターHPより>
行動社の第2回作品。13歳で瀬戸内海の小島の売春宿に売られ盲目となった少女りん(原田)の、苦難に満ちた人生を力強く描いた傑作。デビュー3年目の原田美枝子が主役に抜擢されて見事に期待に応え、この年の主演女優賞を総なめした。西欧型の自主独立の「個人」を追求し続けた増村が、西日本に住む女性たちのたくましさを発見したという意味でも重要作である。
'76(行動社=木村プロ)(監)(脚)増村保造(原)素九鬼子(脚)白坂依志夫(撮)中川芳久(美)間野重雄(音)竹村次郎(出)原田美枝子、岡田英次、佐藤佑介、梶芽衣子、田中絹代、賀原夏子、灰地順、堀井永子、中川三穂子、千葉裕子、渡部真美子

 少女で、野生児で、自らの欲望と衝動のみに忠実。確かに、マスマスムラムラとしても、この手があったのだ、というくらいの、手ごたえだったろう。
 そういう意味では、いかにもな、増村的傑作には「なりおおせた」、が。
 これが、一般的な意味での傑作か、というと。うーん。

 この映画は、やや成長したヒロインが、四国でお遍路をしているシーンから始まり、そこから過去に飛ぶ。
 より若い時代の爆走人生(ただし人買いに売られて、小さな港町の売笑宿の住み込みであるから、土地には縛られている)が描かれるのだが、時々アクセント代わりとでもいうのか、お遍路姿も、インサートされる。
 で、このとって付けたようなお遍路シーンの、意味がわからない。わからないというよりか、意味があるとは思えない。
 ホントウに映画のアクセント代わりなのか、それとも、あの野生児も、こうして、おとなしく成長しています、という後日談的エピソードなのか。
 むしろ、都会派の増村がガラにもなく、原作・素九鬼子( 「旅の重さ」 )の、(仮に)「四国的情念」に侵食された結果なのでは、なかろうか?
 四国八十八箇所巡りのお遍路という「解決方法」、一心に祈り巡る祈りの旅、という「戸惑いの人生一発解決」?の「掟ヤブり」こそ、おそらく、増村的合理主義から、一番遠い「手」なのではなかろうか。

 間違いなのかもしれないが、ぼくの理解するところの増村像を、一言で言うと「理詰めの情念派」というところだろうか。ちんぷんかんぷんなまとめ方で申し訳ない(笑)。
 そして、これまた間違いかもしれないが、ぼくの理解するところのお遍路めぐりとは、その「理詰め」も「情念」も、一切合財「放擲」する行為なのではなかろうか。
 そういう意味でも、この映画のお遍路シーンは、まるきり説得力が感じられないと思う。
 そして、原田は、村人から、売春宿を差配するヤクザモノたちから、「凄惨なリンチ」を受け、たびたび血まみれとなる。
 この血まみれの血が、もろに安っぽい赤ペンキだから、しらけること、おびただしい。
 体が売り物の女郎を、からだじゅう血まみれにするのは、コスト・パフォーマンス上、よろしくないのではないか(笑)。この辺の安手のスプラッタ志向は、イタリア譲りの血なのか?三流っぽい増村のプログラム・ピクチャア体質で。

 原田美枝子は、この映画のなかで、山家育ちの野生児から、娼婦に、そしてお遍路へと、転生していく。
 金など要らない、山からの恵みですべてまかなう自給自足から、資本の論理のみによって動く「あいまい宿」の、金をもらうことに嬉々となる娼婦に、そしてすべてを「放棄」したお遍路へ、転生していく。
 この辺の「変化」が、なんとなくあいまいで、なんとなく居心地が悪いのは、気のせいだろうか。
 というのも増村映画にあっては、こういう成長するキャラは、珍しいせいだろう。少なくとも大映時代の増村は、一本調子なまでに、最初から「強い」キャラばかり、描写していたのだから。

 彼女を娼婦の苦境から救い出す牧師・岡田英次のあいまいさが、気にかかる。
 彼は、失明した彼女の夢見た「白馬の王子様」、幻影だったのか。この時点で失明したはずの彼女は、お遍路時代には、目が見えるようだが、それも、また、幻影なのだろうか。お遍路の野宿の夜、過去を夢に見る彼女は、本当は過去の彼女が見た夢ではないのか。
 もちろんそうした「幻想」部分(の可能性)は、「理詰めの情念派」増村にとっては「迷走」「失走」以外の何者でもない可能性はあり、なんだかあいまいで。

★Movie Walker★に、詳細な作品情報あり。簡単な作品解説、あらすじ紹介(企画書レヴェルの初期情報の孫引きゆえ、しばしば実際とは違うが)。

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by mukashinoeiga | 2014-09-14 03:31 | マスマス増村保造ムラムラ | Trackback | Comments(4)

山田洋次が隠蔽し続けたショーゲキの出自(笑)

 長年、山田洋次の映画を見続けていたが、初めて知ったショーゲキの事実!?
 えっ、こんなこと、今まで聞いたことないよ(笑)。本でも読んだことないし、かつて存在した「にこにこ山田村」などの山田フリークからも、聞いたことないし。
 ショーゲキの事実(笑)。それとも、しらなんだのは、オイラだけ?(笑)

 そもそもは、ラピュタ阿佐ヶ谷に行き、渋谷実・原研吉「をじさん」山田洋次「二階の他人」生駒千里「赤ちゃん台風」を続けて見た(すべて感想駄文済み)。
 43年「をじさん」には桑野通子が出演、58年「赤ちゃん台風」には桑野みゆきが出演。
 この幸薄い母娘が、同じ日同じスクリーンに続けて映されるのは、珍しいし、なんだか、好ましい。
 あいだに文字通りの赤の他人の?★「二階の他人」★が、挟まるのは、ご愛嬌?

 ラピュタのロビーに公開当時の「二階の他人」プレスシート(もちろんコピー)その片隅に、その意外な事実?は、さりげなく載っていた。
 片隅に、新人監督と新人女優だから?だろうか。山田洋次と、葵京子の顔写真付で、二人の履歴が書かれている。
 プレスシートにおける顔写真付の監督紹介は、ここ数十年では、当たり前だが、「二階の他人」当時としては、珍しい。少なくとも、ぼくは、見たことがない。たしか?
 いつどこで生まれたとか、何年松竹入社とか、どの監督についたとかが、短くかかれている。
 当時の住所も、書かれている。
 世田谷区祖師ケ谷 祖師ケ谷住宅、A1010、2-160
 主演女優葵京子も、その横に経歴とともに、本名 西村公恵と、
 京都市伏見区深草直偉橋4の349

 いやあ、例によって個人情報駄々漏れの時代。新人映画監督はともかく、若手美人女優さんの住所さらしちゃ駄目だろう。というのは、現代の感覚で、当時のすべての俳優さんは、俳優辞典にも、ファン向け雑誌にも、住所は完全公開。
 平和な時代でした。
 というところで、「山田洋次」という漢字に振られているルビに、目が釘付け?

 ヤマダ ヒロツグ
 
 えっヤマダヨージじゃなかったのか(笑)。聞いてないよ(笑)。
 さすがヤマダヨージ、さすが共産党、さすが左翼。革命的警戒心で本名、隠し続けていたか(笑)。
 いやいや。単に誰もヨージとしか読んでくれないので、あきらめた、といったところか。
 それにコメディ監督としても、ヤマダヒロツグより、ヤマダヨージのほうが、すわりがよいか。

 というところで、「山田洋次 ヒロツグ 本名」で検索したら、ウィキペディアには、もちろん本名載っておらず、次の二つのブログが、興味を引いた。

 ひとつは、2009年1月|寅さんブログ:フーテン便り|松竹株式会社。

  祝・寅さん記念館300万人達成
1月17日(土)は寅さん記念館で、入館者300万人達成の記念式典が行なわれました。
300万人目のお客様は、柴又在住の小学校3年生の内藤大嗣(ひろつぐ)君でした。
内藤君は、小学校のお芝居で寅さん役を演じたことがあるといういことで...内藤君による寅さん物マネ。
 「わたくし生まれも育ちも葛飾柴又・・・・・と発します」
と、寅さん啖呵売を披露。堂堂としていて、かっこよかったですよ本当に。将来は役者さんになれるかも!
受賞の感想もまたすごい。
 司会:受賞してどんな気持ち?
  「(受賞して)すんごくうれしかった!」
 司会:寅さん記念館には何回か来たことあるの?
  「これまでに2回来たことがある」
 司会:寅さん映画は見たことある?
  「リリー出演作を2作見たことがある」
 司会:寅さん記念館のどこが好き?
  「記念館では、寅さんが乗っている人車鉄道模型が好き」 
内藤君が"寅さん好き"であることが発覚、意外な寅通ぶりに司会もびっくり。(引用終わり)

 うーん、因果はめぐる糸車(バカ)。隠しても、隠せない真実が、歴史のかなたから、立ち上がる(笑)か。
 それとも山田洋次もゆかりがある松本清張風にいえば、柴又ロケのついでに作った、隠し子(笑)が、寅さん記念館を介して、邂逅するといった構図か(笑)。
 それにしても2作見ただけで、"寅さん好き"てのはともかく、「寅通」って(笑)。
そもそも「わたくし生まれも育ちも・・・・・」は、「啖呵売」か(笑)。
 いろいろズサンだな松竹。

 もうひとつ検索で引っかかったのは、醤油の一升瓶じゃあ戦えない。という意味不明(しかし、なんだか、左翼っぽい(笑)ネーミングの、ブログの2007年「これでも本人大マジメ。」というタイトルの記事。

買い物ついでにマジアカやってきた
なんかもう自分で自分に呆れた

結納
○ゆいのう
×けつのう

ちなみに間違えたの一人だけ_| ̄|○

山田洋次
○やまだようじ
×やまだひろつぐ

なんでわざわざ難しく読むんだろうか…
ちなみに答えた人は全員正解

普段なら笑い飛ばせるけど結果が結果なだけに笑えない
やっぱり一回人生やり直したほうがいいかな? (引用終わり)

 ぼくには、よくわからないが、なんだか、なんかのクイズ?をやって、ひとりだけ、間違えたらしい。
 なぜか、わざわざ難しく読み解いて、しかし不正解ということらしいが?
 しかし、実は、松竹のプレスリリースによれば、正解だった、という落ち? ただし、その正解は、誰にも知られていない、と。
 不正解は、実は正解だった、という。うーん、深い(笑)。

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by mukashinoeiga | 2014-09-12 23:38 | うわごと | Trackback | Comments(5)

10月は佐分利信で忙しい

 来月の神保町は宇野重吉特集。これは大体見ているのでいいとして、問題は渋谷の佐分利信特集だ。
 出演映画はまあ見ているが、監督作品に、忙しくなりそうだ。
 既見作は佐分利信「愛情の決算」「慟哭」「叛乱」のみ。
 しかしシネマヴェーラも代表作にあげる「執行猶予」も、もっともキャッチーなタイトル「乙女の祈り」もない、片手落ちの特集だが、それは他日に期したい。とりあえず、これだけの佐分利信大特集を組んだことで、シネマヴェーラの企画は了としたい。
 「愛情の決算」「慟哭」は、佳作といえる。「叛乱」は、撮影中に病気降板、阿部豊に引き継がれた、監督としては無念のハンパ作だが、それ以上に史実を大人数で描く「叙事」より、愛情とか祈りとか孤独とかを「叙情」するタイプの作品に、佐分利信は向いている人だと思う。

★佐分利信〜得難い風格と貫禄〜 花の絵★
 サブリン愛に満ちていて、なおかつ佐分利信をバランスよく紹介している。なお、この文章の一番下の関連サイトをクリックすると、日本映画データベース佐分利信に、飛べる。

★Kiki's random thoughts kiki的徒然草)「愛情の決算」★

華麗なる一族 1974年 -Japanese Cinema "The Grand Family"-

 ここに、多々出てくる役者たちの名前が瞬時に出てくるかどうか、にOLD映画者の、ボケ防止策があり(笑)。
 願わくは、いろいろな映画でのこの手の俳優ショット集が出たら、ぼくたちのボケ防止につなかるかも(笑)。
 名前、代表作を瞬時に、答えられるか、と(笑)。

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by mukashinoeiga | 2014-09-11 23:41 | 佐分利信 サブリン人生劇場 | Trackback | Comments(0)