<   2014年 06月 ( 21 )   > この月の画像一覧

増村保造「親不孝通り」

 京橋にて。「映画監督 増村保造」特集。58年、大映東京。あと1回の上映。
 素晴らしい傑作、いかにもマスマスムラムラな最高度。世間的にはほぼ無名作にして、このマスマスムラムラ的達成度。素晴らしい。
 実は映画と映画の間が開き、ここに何かもう1本見れるかな、と探したら、これが、既見作ながら、最適かと。
 その思惑はぴたりと当たり、ご機嫌な80分であった。
 何より、川口浩が最高に、イカシている!

親不孝通り(80分・35mm・白黒) <フィルムセンターHPより>
銀座の飲み屋を根城に、遊興にふける大学生たちのリーダー・勝也(川口)は、姉を捨てた修一(船越)への復讐を誓い、計画的に修一の妹・加根子(野添)を誘惑して棄てるが、加根子は勝也の子供を産むと宣言する…。7本の増村作品に出演した野添ひとみは、純粋さと逞しさを合わせ持つ娘の役を溌剌と演じ、初期増村映画を支えた。
'58(大映東京)(監)増村保造(原)川口松太郎(脚)須崎勝彌(撮)村井博(美)間野重雄(音)池野成(出)川口浩、野添ひとみ、桂木洋子、船越英二、小林勝彦、三角八郎、市川和子、潮万太郎、市田ひろみ、渡辺鉄彌、橘喜久子、春本冨士夫

 姉を妊娠させて、捨てた船越英二への復讐と、船越の妹・野添ひとみに接近して、いきなり青姦レイプ、しかもその後の付き合いで妊娠させ、「兄さんに会わせてくれ、君をもらいたいと申し込む」。
 激怒する船越に、「ああ、殴りたいなら殴れ。俺も殴りたかった。加根子、別れてやるよ」。
 しかし、意外や、いや、ここがマスマスムラムラらしいところで、フツウなら大打撃な野添ひとみが、開き直るのだ!
 どんなに不良でナンパなC調大学生を演じても、川口浩、そのさわやかさに、一点の曇りなし!
 天性のチャーム。実父の原作を、最高度に、魅力的に、表現す。

 そしてマスマスムラムラ的演出。
 この濃密なドラマが、たったの80分! 驚嘆すべき凝縮度。しかし、それで欠けてる感がまるでない。
 現代の凡庸な演出家なら、軽く2時間越えだろう、濃密なドラマが、たったの80分!
 いかにもマスマスムラムラな絶好調演出のほかにも、一大特徴あり。
 登場人物全員が、悩まない(笑)。
 どんな人生の一大岐路に立たされようと、川口も野添も船越も桂木洋子も、悩まず、答えいっぱつカシオミニ。
 くよくよに1秒の時間すら消費せず、あらゆる人生の難題を即断即決!即実行!
 この超合理主義者・増村保造の、マスマスムラムラな絶好調演出の、基であり、それがひたすらエネルギッシュな映画的快感に。
◎追記◎とはいえ、さすがに、クライマックスでは、川口浩が潮万太郎(例によって絶品で)のすし屋の2階で、電気もつけずにごろ寝して、悩む(笑)。銀座のすし屋の二階座敷が、まるきりがら空きなのは謎だが(笑)、ここでちらりと悶々とする川口を見せて、すべてをチャラにするのは、見え透いてるぞ(笑)増村。

 川口も野添も船越も。もちろん最高にスバラシいが、川口の姉・桂木洋子にも、目を見張る。この松竹女優時代は、何かいつもメソメソしていて、小動物のようにふるふるしていて、あんまりいいとは思わなかったのを、珍しく大映で、しかもちっともメソメソしていない、堂々振り。この彼女が、なんともいいのだ。
 自信にあふれ、しかも、色っぽい! ずうっと大映だったら、しかも、もっと増村保造の映画に出ていたら、と、残念だ。
◎再追記◎桂木洋子が、恋人・船越に、妊娠したと告げる。フツウの日本映画の、凡庸な演出なら、うれしハズカシもじもじ告白となるのだが、もちろん増村演出は、いたってクール。
 告白されて、船越は、即堕ろすように強く求め、桂木も即応じて、一人で町の産婦人科へ。即堕ろし、即退院する。
 看護婦が「もう一時間ほど安静にして、お帰りになったら」とススメルのも聞かず、そのまま夜のチマタへ。
 この情緒もためらいも逡巡もない、ソク即ぶりこそマスムラ。

★Movie Walker★および★所蔵映画フィルム検索システム★のタイトル検索でに、詳細な作品情報あり。ただし、簡単な作品解説、あらすじ紹介(初期情報ゆえ、しばしば実際とは違うが)は、前者のみ。後者はスタッフ・キャストが超詳細。

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by mukashinoeiga | 2014-06-29 10:55 | マスマス増村保造ムラムラ | Trackback | Comments(0)

野村芳太郎「女たちの庭」

 渋谷にて。「野村芳太郎監督特集」。67年、松竹。
 日本橋で老舗織物店を構える、小沢栄太郎・高峰三枝子夫妻、その三人姉妹を描く。
 三人姉妹に、小畠絹子、香山美子、生田悦子。
 長女は園井啓介を婿にもらって、店のあとを継ぎつつある。あとの二人は独身。
 典型的な3・4姉妹ものホームドラマ。
 松竹当時の大御所・大庭秀雄か中村登が撮りそうな定番ホームドラマを、中堅というべき野村にも、お鉢が回ってきたか、というところ。
 生田の友人に倍賞千恵子、生田の異母姉妹に尾崎奈々、尾崎の叔母に岡田茉莉子と、豪華な婦人、もとい布陣。
 どうやら三女・ 生田悦子が実質主演か。
 生田悦子は、ぼく的には、なんだか、イマイチで。どの映画を見ても、確かに、そこそこ美人で、そこそこかわいいが、演技的に引っかかるフックが、ない。
 たとえば戦前の槙芙佐子のような、典型的可愛いだけじゃ駄目なのよ女優。その生田にして、本作ではなかなかの善戦と、見たが、ほかの高峰、香山、倍賞、岡田、尾崎各嬢ほどには、突出したチャームを感じない。
 これは、ぼくの趣味ゆえなのか、しかし、いずれにしろ、生田悦子がヒロイン女優として「残らなかった」のは、紛れもない事実であろう。倍賞、尾崎は、どちらかというと、ブス寄り(笑)なのに、「残っている」ことを思い合わせると、やはり、可愛いだけじゃ駄目なのよ。
 いや、まあ、尾崎奈々が、今、残っているか、といったら、はなはだ疑問ではありますが、まあ、ぼくの好みですからね(笑)。斎藤耕一GS映画のミューズ。

 この時期、戦前松竹ヒロイン女優で、多少の色香を漂わせていたのは、高峰三枝子のみ。田中絹代は、とっくにおばあさん女優に。まあ、いつもの愚痴ながら、桑野通子の不在が惜しまれるわけだが、通子・みゆきの共演を見てみたかった、という、かなわぬ夢ですな。
 生田と香山美子(いや、若いころは好みでした(笑)が、姉妹で争う男に、TV俳優・山口崇。さわやかだが、それだけ(笑)。
 いったんは、姉妹にそろってふられた山口崇に、姉妹の義兄・園井啓介が「(うちの草野球チームの)5番に、よかったんだけどな。惜しいことした」というのが、笑わせる。

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by mukashinoeiga | 2014-06-29 00:53 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(0)

坪島孝「鬼輪番」

 渋谷にて。「岸田森」特集。74年、東宝。
 原作は小池一雄・作の劇画。低迷期東宝のスプラッタ気味ハード時代劇。
 森山周一郎ら親鬼が、究極の兵士忍者(お庭番のハードヴァージョン)を、子供の頃から、猛特訓。 近藤正臣、荒牧啓子、峰岸徹、水谷豊(Movie Walkerでは吹豆 水豆豊と、役名からくる誤記が笑える)が、おとなになった姿。
 なお、若い彼ら若鬼たちが一本立ちになった際は、「はなむけだっ」と、老いた親鬼たちが「俺たちを倒してから、行け」と乗り越えられ役として、若鬼達に立ち向かい、殺されていく。
 これじゃあ、若鬼たち、モチベーション、ドン引きだろ。
 たとえ鬼輪番として成功し、生き延びたとしても、後進の指導役になると、最後には命をもっての噛ませ犬。
 若鬼たちは、ある藩に潜入し、そこでセンパイ鬼輪番(僧に偽装)に、出会い・・・・。
 ま、特に書くことも(笑)。
 いまは、すっかり老成した水谷豊が、ハードかつキレキレの若者だった、というところか。
 そして70年代の女優は、必ず、脱ぐ、と。現代の女優にも、見習わせたいもの(笑)。

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by mukashinoeiga | 2014-06-28 23:31 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(0)

斎藤武市「波浮の港」

 阿佐ヶ谷にて。「昭和の銀幕に輝くヒロイン 第73弾 吉永小百合」モーニング特集。63年、日活。6月28日(土)まで上映中。
 プログラム・ピクチャアの枠内で言うのだが、純愛メロドラマの傑作だ。
 斎藤武市とししても、ベストな一本。
 目力のある主演女優と、さわやか一本気な主演男優と、いまは失われた素朴な風景(ロケ地は大島)と、慎ましやかな演出があれば、一本の傑作が出来うるという、奇跡。もちろん、あくまでも、プログラム・ピクチャアの枠内での話だ。
 純愛メロドラマ? 自分で言ったのに、笑っちゃうが、本来純愛とメロドラマは水と油なハズだ(たぶん)。
 その水と油がひとつになって、これは、ちょっとした、奇跡の一本。
 つねづね、斎藤武市の映画を見ていて、イマイチ、どこが、メロドラマの松竹出身なんだか、ピンと来なかったのだが、本作を見て納得。やはり、斎藤もまた、松竹の「遺産」を、引き受けていたのだと。

波浮の港 1963年(S38)/日活/カラー/96分 <ラピュタ阿佐ヶ谷HPより>
■監督:斎藤武市/脚本:才賀明/原作:小沢不二夫/撮影:横山実/美術:坂口武玄/音楽:小杉太一郎
■出演:浜田光夫、宇野重吉、奈良岡朋子、大坂志郎、沢本忠雄、松尾嘉代、高野由美
休暇で故郷に帰ってきた大学生が、許婚のある旅館の娘に一目ぼれ。家業のために恋人と結ばれなかった父に励まされ、恋に真っ直ぐ突き進む──。風光明媚な伊豆大島を舞台にした若い男女の純愛物語。

 商船大学の、真っ白な船員服(旧帝国海軍以来の伝統の)に身を包んだ、浜田光夫が故郷大島に夏季休暇で帰ってくる。早速地元の、知り合いのアンコ姿の娘さんたち(注1)に、「カッコイイ」とほめられるなか、なぜか幼馴染の吉永小百合には「いい気になって、そんな服。まるで猿回しのサルみたい」と、罵倒される。当時最強のツンデレ女優(ルリ子と並ぶ)(注2)吉永小百合の魅力。
  (注1)見事にものにならなかった新人女優さんたちの、顔見世。うち一人は森みどりか。
  (注2)ルリ子に罵倒されたらへこむばかりだが、小百合に罵倒されたら、なんだかうれしい(笑)。
 この小百合は、網元・宮城千賀子(絶品のデレなしツンデレの美貌)の息子・沢本忠雄の婚約者。
 本来は主役コンビなのに、小百合に婚約者がいるという設定が物語に緊張を生む、メロドラマ仕様。
 以後の展開が素晴らしく、まさにザ日活、ザ青春純愛ドラマ。

 そうして、浜田も、沢本も、父・大坂志郎も、男は、まったく頼りにならないとして、吉永小百合も、女として自立しなければならないという、展開の見事さ。
 君を、沢本から奪うぞ、と堂々宣言する浜田だが、あたしをホントウに奪いたいなら、からだも奪って、と迫る小百合に、い、いや、ぼ、ぼくは、き、きみの心を奪いたかっただけなんだ、と、ビビリ(文字通り)腰が引ける(笑)浜田。
 この、迫る小百合と、腰抜けな(つまり、これは、あくまで、日活青春映画だから、腰を使うわけにもいかない)浜田、この対比の素晴らしさ(あるいは隔靴掻痒か)。まさに名シーンや(笑)。
 この、「日活青春・アクション映画」の、十数年にもわたる(笑)「心とからだの分離」の「矛盾」が、たまりたまって、ついには、いきなりの、真逆の、「日活ロマンポルノ」への転換を生んだ、その大本と見ると、いささか感慨も深い(笑)。
 若さゆえの特権、清純でありつつ、生一本でありつつ、その一途な目力の吉永小百合が、すべての説得力で、もっていく。浜田も、そのさわやかさで、それに応える。すばらしい。(注3)

★波浮の港|Movie Walker★
  (注3)しかし、一途な若さが、生一本な目力が、それゆえの切迫感が、なくなったとき、吉永小百合は、「単なる美人女優」として、あるいは、企業CMの、左翼リベラルの、「キャンペーン・ガール」として、ふわふわした、凡庸な、いち「美人女優」として、何の映画的果実も生まないまま、凡庸なフィルモグラフィーを重ねていくことになるのだろう。
 この1コ前駄文で、こう、描いた。

 現在阿佐ヶ谷では、モーニングに、日活清純派吉永小百合特集で、レイトでは、日活ロマンポルノの最強異端児(にして、名花)芹明香を特集と、正統日活アイドルと、非正統(笑)ロマンポルのアイドルの、正反対とも言うべき二頭立てで、特集上映中。
 百合と芹、二大?名花のコラボ。
 さらに、モーニングとレイトに挟まる、昼のメイン番組では、日活初期から日活ロマンポルノを経て、現在に至る日活スプリクター・白鳥あかねの特集。
 この、朝・昼・夜の一大コラボは、まさに名画座名企画として語り継がれるべきセンスだ(笑)。スパシーボ。

 そう、その伝で言えば、吉永小百合の一途の純愛さ、学級委員長的目力こそが、日活ニューアクションを経て、日活青春映画から、日活ロマンポルノへの、逆説的な、道を、選んだのかも、と思う。

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by mukashinoeiga | 2014-06-28 02:32 | 傑作・快作の森 | Trackback | Comments(5)

滝沢英輔「さようならの季節」

 阿佐ヶ谷にて。「昭和の銀幕に輝くヒロイン 第73弾 吉永小百合」モーニング特集。62年、日活。
 現在阿佐ヶ谷では、モーニングに、日活清純派吉永小百合特集で、レイトでは、日活ロマンポルノの最強異端児(にして、名花)芹明香を特集と、正統日活アイドルと、非正統(笑)ロマンポルのアイドルの、正反対とも言うべき二頭立てで、特集上映中。
 百合と芹、二大?名花のコラボ。
 さらに、モーニングとレイトに挟まる、昼のメイン番組では、日活初期から日活ロマンポルノを経て、現在に至る日活スプリクター・白鳥あかねの特集。
 この、朝・昼・夜の一大コラボは、まさに名画座名企画として語り継がれるべきセンスだ(笑)。スパシーボ。

 で、やっと本作の話に(笑)。

さようならの季節 <ラピュタ阿佐ヶ谷HPより>
1962年(S37)/日活/カラー/72分
■監督:滝沢英輔/脚本:三木克巳、才賀明/撮影:横山実/美術:松山崇/音楽:斎藤高順
■出演:浜田光夫、殿山泰司、三戸部スエ、香月美奈子、謝春国、武藤章生、松尾嘉代、東野英治郎、浜村純、初井言栄
ブラジル移住を数日後に控えた幸子(吉永)は幼馴染の高志(浜田)に再会。次第に心を通わせる二人だが、家族の事情で立ちはだかる壁は厚く…。海外移住をモチーフに、別離までの短い日々に託した青春を描く。

 浦山桐郎「キューポラのある街」62年日活で、北朝鮮帰還事業の一環として、在日朝鮮人たちを、北に見送った吉永小百合が、同じ年公開の本作では、自ら移民のためにブラジルへ旅立つ。
 北鮮へは新潟から、ブラジルへは横浜から。
 たしかに「キューポラ」は浦山の力作であり、本作は滝沢英輔の平凡作だが、同じ趣向?の映画が作られ、同じヒロインの同年作でありながら、片方は超有名作になりおおせ、片方は凡作の谷に消えていった。
 当時の日本人たち、および左翼が支配したメディアが、帰還事業の朝鮮人を「フレームアップ」し、同じ同胞が未知の地に旅立っていくのを、黙殺した。日本人差別の側面もあることを感じるのは、ぼくの見かたがおかしいのだろうか(笑)。
 貧しい東北、関西以西の農民たちが、日本では喰えないので、新天地を、もとめていく。考えようによっては、食い扶持を減らす棄民政策で。
 その落差が、同じ日本人として、悲しい。
◎追記◎新天地を求める、というと体はいいが、要は国内の食い扶持を減らすために渡航させる国民の、一時宿泊施設として、横浜にあった厚生省施設(宿泊だけでなく、ブラジル語を教える教室や、渡航送別会を開く食堂もある)に、小百合一家は仮の宿。
 その数日間に小百合と浜田は、短い逢瀬を楽しみ、そして小百合の行方不明の姉・香月美奈子を探したりする。
 人口が増えれば<間引き>し、少子化となれば、むなしい対策を講じる。うーん、美しくないな(笑)。
しかし、それが人間のサガ、国家の悪あがきか。

 吉永小百合は、その美少女ぶりと、誠実な演技が、グッド。
 浜田光夫も、青春アイドルとして、グッド。
 のちの日活アクションのチンピラ役などでおなじみの武藤章生、因数合わせ(笑)のため、吉永小百合の「仮」の夫となる。武藤章生史上、かなり、おいしい役で、彼の代表作か。
 映画も、誠実な男女の数日間の邂逅と別れを過不足なく描き、グッド。

 ブラジル行きの殿山泰司、三戸部スエ、香月美奈子、謝春国、武藤章生、浜村純、初井言栄らが、同時に北朝鮮帰還船に乗っていてもおかしくないメンツなのが、事実であり、ほのかに笑えるところか。

★さようならの季節|Movie Walker★

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by mukashinoeiga | 2014-06-27 23:33 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(2)

番匠義彰「浮気のすすめ 女の裏窓」超珍作!

 神保町にて。《エロスのある風景》特集。60年、松竹大船。6/27(金)まで上映中。
 なんとも、アッと驚くア然呆然の珍作で。
 通常B級プログラム・ピクチャアながら、次の展開が、次々の展開が、まったく読めない、あれよあれよの逸脱振り(笑)。
「幻の湖」同然の珍作ぶりは、プロデュースの手腕によっては、場内大爆笑のカルト珍作に「成長」する可能性も(笑)。

e0178641_9155276.jpg「浮気のすすめ 女の裏窓」 <神保町シアターHPより>
S35('60)/松竹大船/カラー/スタンダード/1時間28分
■監督:番匠義彰■原作:吉行淳之介■脚本:椎名利夫■撮影:太田喜晴■音楽:牧野由多可■美術:川村芳久■出演:伴淳三郎、瑳峨三智子、山下洵一郎、岩下志麻、高峰三枝子、大泉滉、トニー谷
吉行淳之介の随筆を原作に、人々の性行動の可笑しみを描く。社長から逆恨みされ職を追われた男(伴淳)が、詐欺紛いの結婚相談所で働く羽目に。売春斡旋を生業とする女(高峰)と、そこに集う人々の色と欲とが絡み合う、皮肉とユーモアたっぷりの群像喜劇。

 なんと、主人公・伴淳三郎が、しどけないネグリジェの高峰三枝子にセマられ、同じくしどけないネグリジェの清川玉枝(笑)にセマられ、喪服姿も色っぽい瑳峨三智子に押し倒され、ダンゼン色っぽい人妻・杉田弘子に(金ゆえとはいえ)セマられ、さらに、当時清純派アイドル女優というべき岩下志麻に、年の差倍以上の結婚さえ、迫られる!
 これを不条理といわずして、何が不条理か!という、艶笑コメディだ。
 原作は吉行淳之介、おそらく「男女の機微」をテーマにした、週刊誌連載のエッセイと推察される。その、吉行がさまざまに見聞したり体験したりした事実が、伴淳三郎・山下洵一郎父子のドラマに集約されたため、あまりに濃密なエピソードつるべ打ちが、次々の展開が読めない珍ドラマに、発展してしまったのだと、推察するが(笑)。
 詳細は、あとでゆるゆると追記することにして(笑)傑作でも快作でもないが、まずは絶対のオススメ(笑)。
 個人的には、日本映画史を横断する奇作だとも、思う(笑)。
◎追記◎この伴淳三郎が、超カタブツで、次々襲い掛かる(笑)「女難」をすべて拒否。これは、どうなの。
 東宝喜劇などで、スケベ好色オヤジを演じているときは、あんまりもてず、今回の超カタブツではモテモテ。なかなか、うまいこといかしまへんなあ、というところだが、主人公がすべからく、女性からのアタックを拒否という構造は、いわゆる艶笑コメディとしては、いかがなものか、という。
 コメディとしてはともかく、艶笑コメディとしては、袋小路というか、隘路に陥りすぎてはいないか。
 なお、きわめて年若い岩下志麻が、初老・伴淳に、果敢にアタックの件。
 つい最近見た井田探「天使が俺を追い駈ける」(感想駄文済み)も、吉永小百合が三木のり平に恋して、アタック。
 つまり、これは、あるアイドルが「好きな男性のタイプは?」という、ありがちな質問をされて「笠智衆」と答えるようなもの(笠智衆存命時のエピソード)。
 同年代の男子アイドルの名を上げたら、生々しすぎて、しゃれにならない。さらには、その男子アイドルの女性ファンから、逆恨みも受けよう。さらに、当アイドルの、男の子ファンも、ドン引きか。
 50才の差の笠智衆、という、現実にはありえない、ファンタジー性ある回答こそ、アイドルとして浮世離れした、ふわふわ感あふれる無難な受け答えというものであろう。
 同様なことが、吉永小百合が三木のり平を、岩下志麻が伴淳を、という、非現実的であるがゆえのコメディ感というところなのだろう。
 しかし「天使が俺を追い駈ける」のような軽コメディでは、それはゆるされるとして、本作のような艶笑コメディとしては、どうなのか。やはり、「やばい感じ」があるべきであろう艶笑コメディとしては、それは場違いなのではなかろうか。
どうでもいいが、上記神保町シアターHPではスタンダードとなっているが、正しくはシネスコサイズ。
◎再追記◎ああ、大事なことを書き漏らしていた(笑)。
 最近、女性都議塩村文夏への都議会でのセクハラ発言が話題になっているが、本作の清川玉枝は「全国初の、そして現在ただひとりの女性市長」という設定。その彼女が、首都出張のお楽しみ、男性を買春するという設定は、いかがなものか(笑)。「全国初の、女性市長」なんて、ネット検索すれば、一発でわかる実在人物だろう。まあ、そんなヒマなネット検索なんてしないけどさ(笑)。
 まあ、この映画の制作当時は、セクハラなんて言葉も「実在」も、なかったということですからね。いい時代でした(笑)。いや、これは、反語的皮肉表現ですからね(笑)。
◎再々追記◎オヤジ・伴淳が、エロフィルムに「出演」したことに激怒した山下洵一郎、後年に自身、ピンク映画に出演したことを思い合わせ、大爆笑。ああ、人生は、すべからくブーメランだなあ、と。

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by mukashinoeiga | 2014-06-23 21:43 | 珍品・怪作の谷 | Trackback | Comments(4)

小津安二郎物語1~4ナイスセンス

OZU Yasujiro Story / 小津安二郎物語 #2 2014年

なんと #1(傑作)の2年後の今年に#2(凡作)発表とは。何があったんだ(笑)。サイズも違っているし(まあ、それはそれなりにおしゃれだが)。
OZU Yasujiro Story / 小津安二郎物語 #1 2012年

 これはやはり傑作。
OZU Yasujiro Story / 小津安二郎物語 #3 2013年
 
OZU Yasujiro Story / 小津安二郎物語 #4 (w/ OZU's real voice) 2013年

 1~4の制作時制表記がおかしいが。1・4が素晴らしく傑作、2・3が凡作ぎみ。いったいこの落差は。
◎追記◎小津の生涯という「同じ話」を繰り返し繰り返し変奏するのは、いかにも小津ファンらしい(笑)。

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by mukashinoeiga | 2014-06-20 21:24 | 小津安二郎映画の正体小津漬の味 | Trackback | Comments(0)

小津安二郎脚本「青春放課後」

 ユーチューブにて。63年、NHK。
 まるで冗談みたいな「自己模倣」の、あるいは完全使い回しの、斎藤高順音楽で。
 宮口精二と北竜二がエロ話をしても、なんだか、「不潔」な感じがして、「真性」小津映画とは、違うような・・・・。
 やはり、演出の「格」の圧倒的な違いか。

青春放課後

 当ブログに載ったら、速攻削除されるかも(笑)。削除するならするで、DVDくらい出すべきだろう。
 さらに言えば、たった1回しか放映されず、歴史にうずもれたTYドラマは、数多いはず。名画座でのTVドラマ特集の充実も望む。
 ただただ、ユーチューブ映像の削除だけをしていたら、おまえら、死刑執行人もまた死す、だぞNHK(笑)。
 しかし、これだけ「小津組」で固めて、肝心の主役が、何で宮口なんだ。ヒロインの母も、何気に地味。
 まあ、そこまで凝ったら、もろ松竹のパクリになるということか。でも、もう十分にパクってるよな。
 さらに言えば、たとえば宮口が、真性?笠智衆や佐分利信だったら、尺内に収められそうもないというところか(笑)。
 ちょっと、佐田啓二、老けた顔だな、なぜ。
 ヒロイン小林千登勢は、あきらかに小津調女優イントネーションを「独学」した様子。
 小津じしんの傑作「淑女は何を忘れたか」の、実に30年ぶりのリメイクといっていい。これに「彼岸花」「秋刀魚の味」を足して、作ったような。脚本の里見弴は名ばかりだろう。おそらく「彼岸花」原作者として、そのパート再利用のために、仁義を通しただけと、思われる。 

青春放課後 <テレビドラマデータベースHPより>
 適齢期を過ぎようとするひとりの娘の結婚に対する心情の変化を描く。夫を早く失い京都で小料理屋を開いているせいのひとり娘・千鶴は、すでに年ごろを過ぎようとしている。せいは何とか娘をとつがせようと縁談をもちかけるが千鶴はなかなか承知しない。そんなある日、すでに結婚している同級生・三枝子の家をたずねた千鶴は、彼女の楽しそうな生活をみて、何か空虚な気持に襲われ、父の友人の秘書・長谷川をバーによび出した…。【以上、毎日新聞1963/03/21付夕刊より引用】【役名(演技者)】佐々木千鶴(小林千登勢)、山口信吉(宮口精二)、妻・ふみ(三宅邦子)、長谷川一郎(佐田啓二)、緒方省三(北竜二)、妻・あや子(杉村春子)、千鶴の友人夫婦(高橋幸治、環三千世)、千鶴の母・せい(西口紀代子)、ローガン(マイク・ダニーン)、赤坂の女将(藤代佳子)、バーのマダム(南美江)、宿の女中(宮内順子)、京子(稲野和子)。
キー局 NHK 放送曜日 木 放送期間 1963/03/21
放送時間 20:00-21:30 放送回数 1 回 連続/単発 単発
番組名 テレビドラマ
主な出演 小林千登勢、宮口 精二、佐田 啓二、杉村 春子、北  竜二、三宅 邦子(三宅くにこ)、環 三千世、高橋 幸治、西口紀代子、マイク・ダニーン、藤代 佳子、南  美江、宮内 順子、稲野 和子、文学座、新鋭、西岡プロ、やまもとグループ
主な脚本 里見  弴、小津安二郎
主な演出 畑中 庸生
局系列 NHK 制作会社 NHK 
音楽 斎藤 高順、(効果:富田 純孝)
撮影技術 (技術:中藤 宗二)
美術 (装置:小川 和夫)

モトネタは★小津脚本『青春放課後』の「鳥」|小津安二郎『東京物語』の謎解き ★から。

◎追記◎「小津調」を担保するものとは・・・・
 しかし、よくよく考えてみると、このドラマを「小津調」と感じる要素とは・・・・。
1 過去自作の総ざらい・自己模倣とも言うべき、小津脚本のせりふ・シチュ・登場人物配置の数々
2 過去自作の総ざらい・自己模倣とも言うべき、斎藤高順の音楽
3 小林千登勢の「独習」というべき、小津調台詞回し
 「だけ」なので、ある、たぶん。
 つまり、NHKディレクターらによる各映像ショット、宮口はじめ、非「小津組」による演技、北竜二、杉村春子、佐田啓二の旧「小津組」演技も、必ずしも小津調では、ない。
 そりゃあ、そうだろう。旧「小津組」の俳優たちも、小津に「強制」されて、いわゆる「小津調」を「演じた」のであろうし、いくら小津脚本とはいえ、小津ならぬTV演出家のドラマで、いわゆる小津調を再現する理由もあるまい。
 というわけで、「独学」の過剰な小津調の小林千登勢をのぞけば、実はダレも「小津調」の演技では、ない。
 
 しかも、いかに小津脚本だからといって、そのドラマが「小津調」である必然性は、何もない。かえって、下手に「小津調」を取り入れたがゆえに、ドラマは、凡庸になったと、言うべきだろう。

 なぜ主演が宮口精なのか、ということは、北竜、佐田啓、と小津安郎映画では、「」なる芸名が多発することと、関連があろう。
  女優にしても、宅邦子、環世、小林登勢と、ナンヴァー?ネーム女優起用は、あてがき脚本家・小津の、何らかの駄洒落か。
 この辺の事情に関しては★小津漬の味1 淑女はナニを忘れても「二」は忘れない:昔の映画を見ています★を参照されたい(笑)。

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by mukashinoeiga | 2014-06-19 09:38 | 小津安二郎映画の正体小津漬の味 | Trackback | Comments(0)

小沢茂弘「博奕打ち 一匹竜」

 阿佐ヶ谷にて。「鉄腕脚本家高田宏治」特集。67年、東映京都。
 鶴田浩二が刺青の彫り師。待田京介ボディが鶴田の「作品」。
待田兄貴分が天津敏。天津の実兄が、やはり彫り師の遠藤辰雄。関西では新米の鶴田と、業界を牛耳る遠藤との争いに、鶴田を快く思わない天津の悪事が、絡む。

博奕打ち 一匹竜 <ラピュタ阿佐ヶ谷HPより>
1967年(S42)/東映京都/カラー/89分
■監督・脚本:小沢茂弘/脚本:高田宏治/撮影:わし尾元也/美術:大門恒夫/音楽:津島利章
■出演:鶴田浩二、待田京介、山城新伍、松尾嘉代、木村俊恵、天津敏、小松方正、遠藤辰雄、藤山寛美(刺青評論家>笑)、丹波哲郎
小沢さんが刺青にのめり込んでしもて「高田、一緒に入れよう!」と追い回されて往生したわ。あと、ラストでずらり並んだ刺青の男らに、ホンモンの指名手配犯が混じっとって撮影所に警察が来よった。殺人犯はどの男か、当ててや。

 高田が言う「ラストでずらり並んだ刺青の男ら」は、イギリス貴族が来日して、刺青を入れたいという。ついては、外国の貴人に彫り物をする、栄えある彫り師を選ぼうという、ナマ「作品」コンテスト。
 しかし、それより珍なのが、冒頭の銭湯シーン。
 師匠・河野秋武にホられた鶴田ボディ、鶴田にホられた待田ボディ、遠藤辰雄にホられた天津ボディ、それから天津の子分・小松方正(これは誰にホられたかは不明、たぶん名のない安物の彫り師か)と、ホられた男4人の裸体が、せまい湯船にすし詰めという珍景(笑)。
 撫で肩、ヤセ、デブ、ガタイのいいの、とタイプ別にひしめき、その手の趣味の方には・・・・(笑)。
 ぼくは、その手の趣味には、ないが、その渋い声、甘さなど一切ない顔、相変わらずの天津敏に、惚れ惚れ。
いや、あくまで、役者として、ですね(笑)。
 「抱かれてもいい男優」ベストテンなんぞ選んだら、この頃の天津敏、そのちょい前の高倉健は、確実にランクインしますか、って、あくまでも、役者として、ですね(笑)。
 ラストの延々と、一対一の立ちまわりは、天津鶴田。日ごろは「野郎ども、やっちまえ」と子分らをけしかけることの多い天津が、事情ゆえ、一対一とは、珍しい。

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by mukashinoeiga | 2014-06-19 08:46 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(0)

五社英雄「出所祝い」

 池袋にて。「第二回 仲代達矢映画祭」特集。71年、フジテレビジョン=東宝。
 東宝初のヤクザ映画とのことだが、ひどい(笑)あまりにひどい(笑)。
 脚本も演出もスカスカ、あまりに「間合い」が悪すぎる(笑)。
 こんなに全編にわたって間合いが悪い映画も、かえって珍しい。
 まあ、もっとも五社英雄の映画で、間合いのいい映画に、出会ったためしはないんだけども。
以下、ネタバレあり。


 明治~昭和期任侠ヤクザモノというば、マキノ雅弘だが、もしマキノがこの脚本を任されたら、全行朱が入り、原型をとどめないくらい「号外」が発行されたろう。それくらい、ひどさもひどしの、脚本。
 数ある欠点のなかで特にひどいのが、肝心のクライマックス、子分・黒沢年男が殺され、敵方盟友・安藤昇が殺されるその間、主人公・仲代達矢は、のんべんだらりと高橋竹山の路上ライヴを鑑賞中。しかも、この夜、先代親分の遺児・栗原小巻が、無理やり政略結婚の儀、これを阻止しなければならない仲代、なにをぐずぐずしているのだ。
 クライマックスにただよう、お間抜け感。
 その栗原も、恋人・黒沢年男に、「お前、ここで待ってろ。ここを動くな」といわれて、何時間も何時間も、暗くなった浜辺に隠れているという間抜け、かつ非ドラマチックな、曲のなさぶり。
 ひどさもひどし。こんな脚本をマキノが受け取ったら、おそらく一行も使わないのは、火を見るよりも明らか。
 もちろん五社が、マキノの才能とは比べ物にならないのはわかりつつ、あまりにひどい(笑)。

 仲代が、江波杏子に言う。「生まれてこの方三十五年、馬鹿笑いの三十五年か」
 深作「仁義の墓場」のパクリか。いや、実際は深作のほうが4年後。
 仲代、通り一遍のハードボイルド調が、あまりに曲なし。栗原小巻、超可愛い美形のお顔だが、それだけ、味も素っ気もなし。このふたり、何年かマキノの元に預けていれば、もうちっとはニュアンスが、出ただろうに。残念な。
 黒沢年男も、マキノの長門裕之、津川雅彦に遠く及ばず。
悪の二代目・夏八木勲も、天津敏の「深み」に到底及ばず。なにから何までコクがない。上滑りの物まね。
 五社演出も、出来損ないの「津軽じょんがら節」の、映像派気取りのパクリ。もっとも「津軽じょんがら節」は、この2年後だが。
 クライマックスの仲代・夏八木勲の立ち回りは、高橋竹山三味線パフォーマンスとのコラボ、凝った映像を目指したものの、スカスカ、しかもやたらと長く、目もあてられず。
 ほのかに鈴木清順調アヴァンギャルドなテイストも感じられるが(江波杏子とのヌレバや、女殺し屋ふたり組、ラストの立ち回りなど)これまた無駄な努力。マキノなどは、言わずもがな。
 いや、そもそも、冒頭に、おなつかしや、松田春翠の活弁姿。その、無声映画のスクリーンの裏手に、ヤクザの組事務所があり、そこでひと悶着ある、という物語スタートからして、鈴木清順「野獣の青春」のもろパクリで。

 うーん、ただただ、パクリ三昧(未来の諸作も含めての>笑)な、残念なお方としか。
 そういえば、夫人?の追悼本のタイトルも、「サヨナラだけが人生だ」と、超有名決め台詞の、堂々のパクリだった記憶も。
 なんだかなあ。
 フジテレビジョン=東宝共同制作の本作自体も、東映のパクリだしなあ。

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by mukashinoeiga | 2014-06-19 02:13 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(8)