<   2014年 03月 ( 25 )   > この月の画像一覧

高嶋達之助「お嬢お吉」溝口健二補導

 京橋にて。「よみがえる日本映画-映画保存のための特別事業費によるvol.7松竹篇」特集。35年、第一映画。
 冒頭、松竹株式会社、日本映画配給株式会社、映音(音映?)トーキー、第一映画と、4枚のカンパニー・ロゴが出る。昔日の日本映画としては、珍しい。
 胴元(黒幕)、差配師、トーキー・サポートの叔父貴、下請け、といった、按配、だろうか。
 さらに、新人監督の「補導」とクレジットされるのが、溝口健二って。クレジットが、多すぎる(笑)。
 なお、録音にマキノ正博とクレジット。トーキー技師時代。「おしゃべり」なマキノが、現場にいながら、録音のみに徹していたとは、思えないが(笑)。

お孃お吉 (64分・35mm・白黒)<フィルムセンターHPより>
第一映画社で溝口健二作品の脚本を担当していた高島達之助の監督デビュー作。溝口は応援監督として参加している。船宿の女将・お吉(山田)は、「お嬢お吉」の異名を持つ、強請の常習犯である。足を洗おうと決心したお吉は、見合い相手の材木問屋の若旦那(林)にすべてを告白するが…。1934年に第一映画社が創設されてすぐ、松竹は「日本映画配給株式会社」を興して同社作品の配給を開始した。
'35(第一映画)(監)高嶋達之助(原)(脚)川口松太郎(撮)内炭吉四郎(美)久光五郎、斉藤權次郎、花谷数雄(音)福田蘭童(出)山田五十鈴、原駒子、梅村蓉子、林敏夫、小泉嘉輔、雲井竜之介、芝田新

 まだ可愛い頃の山田五十鈴が、ぶりっ子お嬢様のフリをして、大店の若旦那とのお見合い、結納金を騙し取り、さらに結婚式当日は、年増の似ても似つかない花嫁が現れ、破談、始末料をもらって逃げきる、二重取りとはいい条、なんだかコスト・パフォーマンスが悪そうな、美人局。
 ブリっ子の五十鈴もいいし、アバズレな五十鈴もいい。
 ただし、モンダイは、若旦那役の林敏夫。下加茂からの特別出演とクレジット。当時の人気スタアらしい。 
これが、なよなよした男のなよなよ演技で、つまり、演技に感情が、こもっていない「旧劇」調。
 感情の表現としての演技、という現代の演技ではなく、まるで舞踏のように、演技の型を墨守した、今の目で見て、それは、出来損ないの人形芝居だろう、というギクシャクブリ。
 イヤー、醜態(あくまで、現代の視点で見て)な、なよなよ演技、無感情な木偶人形演技。

 ミゾケンが「監督補導」、果たして名義貸しだけに過ぎなかったのか、かなりフォローしてたのか、いざ知らず、この林敏夫の、演技のひどさは、ないだろ。厳密厳格な演出者(と、される)ミゾケンが、「補導」作品とはいえ、林敏夫のダボハゼ演技をフィルムに定着させた事実は、大きい(笑)。
 女優の演技にはきつく当たるが、男の役者の演技は、ダボハゼでも、いいのかミゾケン。
 あるいは、逆に「忖度」すると、林敏夫を出演させる企画が起こったとき、自身はからくも逃げ切り、その代わり子飼いの脚本家(助監督ではなく)に「押し付けた」のかも、しれない。
 まあ、考え過ぎか。

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by mukashinoeiga | 2014-03-30 22:40 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(2)

大森一樹「トットチャンネル」

 京橋にて。「自選シリーズ 現代日本の映画監督2 大森一樹」特集。87年、東宝。
 初上映時、TV放映時に見たものの、再再見。

トットチャンネル(97分・35mm・カラー)<フィルムセンターHPより>
いずれも高評価を得た斉藤由貴3部作。その2作目で、「窓ぎわのトットちゃん」の青春篇とも言える黒柳徹子の同名エッセイの映画化である。テレビ草創期のNHK放送劇団に採用された若者達の青春群像の中で、斉藤の個性豊かなコメディエンヌぶりが弾ける。
'87(東宝映画)(監)(脚)大森一樹(原)黒柳徹子(撮)五十畑幸勇(美)薩谷和夫(音)かしぶち哲郎(出)斉藤由貴、渡辺典子、高嶋政宏、村上里佳子、網浜直子、堀広道、寺田農、高橋長英、久野綾希子、内田朝雄、三浦洋一、植木等

 東宝の、いわゆる斉藤由貴=大森一樹3部作のなかでは、やや、弱いのに、なぜ、大森一樹は、他の2作を差し置いて「自選」したのか。
 上映後のトークで斉藤由貴も不思議がっていた。なお、このトークでの斉藤由貴は、胸の谷間を見せる黒のドレス姿。顔も、往時のアイドル時代と違い、ほっそりしていて、軽妙なトークも楽しい。もっとフィーチャーされるべき<大人の女優>を期待させるものだった。
 意外なことに、トーク能力はTVのヴァラエティ(ただし大人向き)にも、立派に通用するくらい。びっくりした。
 なお、トーク会場には「十朱幸代」役の林優枝(むしろ大林映画で印象的)も、顔を見せていた。

 主演女優にさえ不振がられる自選に、大森は、この3部作の中で一番評価が低く、まあ、出来の悪い子ほど可愛い、という心理か、出来のいい2作を差し置いて、自選したのだという。
 さらに、おそらく、TVドラマで描いた映画女優の大森一樹「女優時代」(主演はもちろん斉藤由貴、感想駄文済み)が今回の目玉(久しぶりのレアもの上映という意味で)、これに映画で描いたTVタレントの話を、好一対のものとして、対比させたかったのだろう。
 映画もTVも、本当に「他人の芝生は青い」を実践しているのね。

 さて、監督本人が、主演女優に不思議がられつつ、出来の悪い子を溺愛?しているというのも、ナットクの不出来(笑)。特に前半、TV創世記の、面白いエピソードてんこ盛りの展開、のはずなのに、演出、編集が、もっさり。
 各ショット、各シーン、各シークエンスが、確実に数秒ずつ、ないし数十秒ずつ、つまめるのではないか、というダルダルぶり。まあほのぼの映画が身上の大森としては、このゆるさが、トレードマークなのかもしれないが、それぞれのショット、シーン、シークエンスの、ことごとくのユルサが、見ている当方を、軽くイラッとさせるのは、否めない事実だ。
 これに「80年代青春映画特有」のぬるさが加味され(仲間の別荘に繰り出すシーン)、これでは主演女優の斉藤由貴が可愛そうだ、とさえ、思う。
 斉藤由貴らを教える、まじめなNHK講師の役に植木等。しかし、自然なおかしみが前面に出てしまう植木は、完全なミスキャスト。もっと慇懃無礼な感じが、出たほうがよかった。たとえば、先ごろ亡くなった、宇津井健とか。
 出来売れば、オーディション審査員に、大林宣彦など(笑)。あ、大林では、NHK的にちゃら過ぎるか(笑)。

★トットチャンネル|Movie Walker★

★大森一樹監督、斉藤由貴は「幸運を運んでくれた女神様」(映画.com)Yahoo!ニュース★

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by mukashinoeiga | 2014-03-30 01:51 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(6)

大森一樹「女優時代」

 京橋にて。「自選シリーズ 現代日本の映画監督2 大森一樹」特集。88年、近代映画協会=よみうりテレビ。16ミリ版。あと1回の上映。
 初放映時(にして、唯一。再放送もなし)に、見た覚えはあるが、内容はぜんぜん記憶になし。
 今回の特集では、大森一樹「前立腺の病気と予防」(17分・16mm・カラー)、「尿路結石と微小発破」(17分・16mm・カラー)なる医学映画も見たかったのだが、見られず(あと1回の上映) 残念。医学映画なのに、広瀬昌助、真喜志きさ子、大門正明などが出演しているという。
 しかし今回のフィルムセンターのチラシ、映っている大森一樹が、小堺一機に瓜二つ(笑)。
 大映社長・永田雅一役の大地康雄が、絶品のピン。出てくるたびに、場内から笑いが起こる。ナイス。
永田を知るヴェテラン・スタッフからは、そっくりだ、と絶賛されたという。

女優時代 (93分・16mm・カラー)<フィルムセンターHPより>
3部作の後、テレビドラマで4たび斉藤と組んだ作品。乙羽信子の自伝「どろんこ半生記」を原作に、宝塚音楽学校~大映入社~新藤兼人との愛という女優・乙羽の半生を21歳の斉藤が演じきる異色作。小林一三、永田雅一、川口松太郎、宇野重吉らに扮した俳優の熱演も見どころ。
'88(近代映画協会=よみうりテレビ)(監)大森一樹(原)(出)乙羽信子(脚)新藤兼人(撮)水野尾信正(美)大谷和正(音)かしぶち哲郎(出)斉藤由貴、根津甚八、森本レオ、相楽晴子、川谷拓三、峰岸徹、上田耕一、浜田光夫、真実一路、室井滋、山本陽子、大地康雄、小林桂樹

 主演は、斉藤由貴(乙羽信子役)と根津甚八(新藤兼人役)。原作は乙羽信子自伝。脚本は、新藤兼人。
 つまり自分たちの過去の恋愛がメインテーマであり、ふたりの出会いとなった新藤兼人「愛妻物語」撮影が主要エピソードとなる。
 それを、脚本職人として、「客観的」に描写した脚本の新藤兼人。しかもプロデューサーは、新藤兼人の息子(もちろん乙羽信子が母親ではない、おそらく乙羽信子に、「夫を寝取られ続けた」母親の子だろうか)。
 うーん。できたドラマは、たいへん静かに、展開するのだが、それはいささか、不満である。どうせ「カミングアウト」するくらいなら、もっとどろどろの内臓をさらけだしてもいいのではないか、というのは、ないものねだりか(笑)。
 マ、もっとも、当時バリバリのアイドルだった斉藤由貴と、アイドル映画体質?の大森一樹に、しかもゴールデンのTVドラマに、ドロドロを期待しても、せん無いことか。
 バリバリのアイドルと、当時バリバリの渋い二枚目・根津甚八の組み合わせ。乙羽=斉藤は、ともかく、根津=新藤は、明らかに、盛り過ぎだろ(笑)。そこに羞恥心はないのか、新藤兼人(笑)。
 職人として受けました、受けて立ちました、ということなのか(笑)。にしては、根津甚八、二枚目過ぎるだろ、渋すぎだろ(笑)。
 本作上映のイッコ前、大森一樹「トットチャンネル」(感想駄文済み)のトークショーでは、本作「女優時代」撮影時に、大森は斉藤に特に「せりふをしっかり覚えてくるように」と指示したという。というのも「生涯唯一の新藤兼人脚本だから」と、笑いを取っていた。
 なお「愛妻物語」宇野重吉役は森本レオ。ぜんぜんキャラは違うが、何とか合格点。いや、かなりの健闘だと思う。
 大森トークによれば、当初重吉役は、寺尾聡(笑)に話をもっていったら、「勘弁してくれ」と断られたという(笑)。マ、努力して演技しても、どうしたって出落ちな、コント扱いにしかならないだろうから、それは正しいが、見てみたかった気もする(笑)。

 乙羽信子の、大映デヴュー作は、木村恵吾「處女峰」(脚本・新藤兼人、原作・富田常雄)だが、本作の列車内シーン撮影の描写の監督は木村恵吾なのか。この扇子をばたばた、コミカルな暴君が木村か。
 当の出演者が原作で、当の脚本家が書いた脚本だから、たぶん、きわめて正確なカリカチュアなのだろう。「處女峰」見てみたいぞ。
 
なお、ぼくが見た上映では、開始後しばらく、数十分ほど、せりふとくちびるの動きが、コンマ秒単位で微妙にずれていて、リップシンクロしていなかった。ナンナンダ、この気持ち悪さは、今回ニュープリを焼いた際に絵とサントラのタイミングがずれていたのか、それとも映写機のカラミ(ftpがらみ?)か(同時にピントがぼけ気味)。
 気がついたら、知らない間に直っていて、普通にリップシンクロして、絵も鮮明になっていた。なぜなんだろう。

 斉藤由貴はがんばって、宝塚女優役として歌も歌っているが、実在(しかも現役の先輩として、本作でも斉藤と対談も)のモデルがいるゆえに、窮屈な演技でもあったろう。快演とまでは、行かなかった。
  乙羽信子と宝塚同期・越路吹雪役に大森一樹「恋する女たち」で斉藤同期の相楽晴子とは、ちょっとムリスジ。まるで逆方向でしょ。越路と似た女優なんていないことはあるにしても。 
◎追記◎言ってもせん無いことながら、この手の話は、吉村公三郎か、溝口か、せいぜい成瀬か三隅かで見たかった。大森一樹じゃ、はっきり言ってムリ(笑)。 マ、しょせんアイドルドラマで。

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by mukashinoeiga | 2014-03-26 23:46 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(4)

蛭川伊勢夫「涙の責任」「君よ共に歌はん」

蛭川伊勢夫「涙の責任(前篇 紅ばらの巻・後篇 白ばらの巻)」
 京橋にて。「よみがえる日本映画-映画保存のための特別事業費によるvol.7松竹篇」特集。40年、松竹大船。
 総集編というわけではなく、中篇の前後篇一挙上映ということらしい。
 女学校の同級生が、時をずらして、一人の男と愛し合った結果、というメロドラマ。

淚の責任(前篇 紅ばらの巻・後篇 白ばらの巻)(101分・35mm・白黒)<フィルムセンターHPより>
椎名隆子(三宅)は、未婚の母となった学生時代の親友・清川艶子(川崎)から、病気の子供の治療費を貸してほしいと頼まれ、快く引き受ける。自分の夫(三原)が、艶子のかつての恋人で、その子供の父親であることも知らずに…。前篇は、隆子の苦悩に、そして後篇は艶子の自己犠牲に焦点が当てられる。
'40(松竹大船)(監)蛭川伊勢夫(原)竹田敏彦(脚)斎藤良輔(撮)杉本正二郎(美)植田種康(音)篠田謹治(出)川崎弘子、三宅邦子、三原純、斎藤達雄、日守新一、藤原か祢子、西村青兒、吉川満子、宮島健二、東山光子、忍節子、小櫻昌子、大築周子、出雲八重子

 まあ、なんてことはない、戦前松竹メロドラマの、通常作。
 日守新一が珍しく、川崎弘子にまとわりつき、食い物にするヤクザを演じている。せまいアパートの一室で、子分と並んで寝ているのが、笑えるが、あくまで、陰湿なヤツ、という役柄。その陰湿さにおいて、ヒモリン、グッド。
 そのヒモリンにころっとだまされ、悲劇の原因となるもちっとも自覚しない、川崎の親友になる、藤原か祢子も、グッド。
 もっと大物女優になるべき逸材とは思うが、歴史には、残らなかった。大柄なせいか(三原純より高い)、湿度に欠けるせいか。

蛭川伊勢夫「君よ共に歌はん」
 京橋にて。「よみがえる日本映画-映画保存のための特別事業費によるvol.7松竹篇」特集。41年、松竹大船。
 三宅邦子が吹き替えで歌うのも、うそ臭い歌謡映画。
 ほぼほぼ主演の、霧島昇も歌多数。演技も堅くて、ゆっくりだが、かろうじて合格点。もっと演技続けてなれれば、これまた、演技の逸材に、なれたかも。霧島の妹に、この特集によく顔を出す、朝霧鏡子グッド。霧島の実の妻・松原操が歌のみなのは、演技不適だったのか。
 まあ、特に云々すべきこともない歌謡娯楽映画。

君よ共に歌はん (85分・35mm・白黒)<フィルムセンターHPより>
霧島昇と彼の妻の松原操(旧芸名はミス・コロムビア)、松竹少女歌劇団などが出演する歌謡・音楽映画。また、ヒロイン・三宅邦子の自己犠牲を描いたメロドラマ映画でもある。霧島の歌う本作と同名の主題歌はもちろん、劇中で松原がソロで歌う「一杯のコーヒーから」(霧島・松原の代表曲のひとつである)も印象的。
'41(松竹大船)(監)蛭川伊勢夫(脚)平山清郎、津路嘉郎(撮)厚田雄治(美)脇田世根一(音)(出)古関裕而(出)三宅邦子、三原純、朝霧鏡子、霧島昇、槇芙佐子、森川まさみ、三村秀子、草香田鶴子、池上鶴代、水島亮太郎、葛城文子、松原操、菊地章子

 槇芙佐子、森川まさみは、どこに? もはや、記憶のかなた。
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by mukashinoeiga | 2014-03-24 19:50 | 旧作外国映画感想文 | Trackback | Comments(2)

佐々木啓祐「半処女(處女)」

 京橋にて。「よみがえる日本映画-映画保存のための特別事業費によるvol.7松竹篇」特集。38年、松竹大船。
 小じゃれた洋画配給会社社長・佐分利信が、活発なお嬢さん・三宅邦子を見初めるが、三宅には、売れない小説家の夏川大二郎というボーイフレンドがいて・・・・。

半處女 (73分・35mm・白黒)<フィルムセンターHPより>
佐々木啓祐(恒次郎)監督による、小島政二郎の新聞連載小説の映画化。映画会社の社長・前田壮吉(佐分利)。彼の妻は、心を病んで入院してしまった。そんな中、彼は三鈴という若い女(三宅)に出会い、次第に惹かれてゆく。だが彼女は、作家志望の春太郎(夏川)に思いを寄せていた。
'38(松竹大船)(監)佐々木啓祐(原)小島政二郎(脚)齋藤良輔(撮)長岡博之(美)浜田辰雄(音)早乙女光(出)佐分利信、三宅邦子、夏川大二郎、川崎弘子、若水絹子、小島和子、高松栄子、平野鮎子、岡村文子、西村靑兒、高橋佳代子、松川朝子

 あたしがオンナだったら、ボーイフレンド夏川大二郎がいても、断然サブリンに、乗り換えちゃうけどなー。
 オレがオトコだったら、そもそも三宅邦子になんか、惹かれないけどなー。

と、たった二行で、本作の感想は終わってしまうのであった。
 イロイロ迷い道くねくねの、三宅邦子は、あちこちの温泉、商売宿を、さまようのであるが、川崎弘子ならいざ知らず、聡明そうな三宅邦子には、迷い道くねくねは、似合わない。
 夏川の妻に納まるお糸の川崎弘子と、逆キャラでは。もっとも川崎の前身、芸者が三宅には、決定的に似合わないか。
 なお、まったく関係ないが、迷い道くねくねといえば、★パク・クネ韓国大統領にささげる歌/昔の映画を見ています★がオススメ(笑)

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by mukashinoeiga | 2014-03-24 11:49 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(0)

佐々木啓祐(恒次郎)「銀色夜叉」

 京橋にて。「よみがえる日本映画-映画保存のための特別事業費によるvol.7松竹篇」特集。34年、松竹蒲田。
 聡明なお邪魔ビンラディンさんは、本作があまりに面白くて、二回も見られた由。
 愚鈍なぼくは、思わず寝てしまいまして、その真価不明。
 もっともぼくは、昔連れて行かれたコンサート(ムーンライダーズ他)でも、大音量のなか、思わずこっくりしてしまいましたので、ある種の音の連なりの刺激(本作はサウンド版)には、異常に弱い体質なのかもしれません。

銀色夜叉 (43分・35mm・サウンド版・白黒)<フィルムセンターHPより>
尾崎紅葉「金色夜叉」(1897-1902)を下敷きにした、サウンド版のナンセンス・コメディ。間寛一を演じる阿部正三郎は、磯野秋雄、三井秀男(のち弘次)と併せて「与太者」トリオで知られた。監督の佐々木恒次郎は、この翌年、啓祐に改名。『荒城の月』(1937)、『鐘の鳴る丘』3部作(1948-49)などで知られ、松竹で約30年にわたってメロドラマや喜劇を撮った。
'34(松竹蒲田)(監)佐々木恒次郎(原)藤井稔(脚)荒田正男(撮)青木勇(音楽指揮)高階哲夫(出)阿部正三郎、滝川玲子、富士竜子、山田長正、谷麗光、出雲八重子、関口小太郎、宮嶋健一、仲英之助、三井秀男

 とはいうものの、起きている時間に見た、というより、聞いた「音」は、面白かった
 サウンド版といいながら、いやその前にそもそもサウンド版とは、完全サイレント(無声映画)と、完全トーキー(発声映画)の、あいだにつかの間存在した鬼っ子というか、ミッシング・リンクというか。
 樹系図で途中で途切れたような、迷路で行き止まりにぶち当たったような、中途半端なシステムであったため、さまざまなジェネレーションが存在する。
 フィルム自体にサウンドトラックがなく、蓄音機でレコードを同時演奏させるもの。
 フィルム自体にサウンドトラックがあるもの(本作)。
 純粋に音楽だけがついているもの。
 音楽と効果音(自動車のクラクションなど)がついているもの。
 音楽と効果音と簡単な合唱・ガヤの声がついているもの。
 音楽と効果音と簡単な合唱・ガヤの声、簡単な一言二言のせりふがついているもの(本作)。

 本作は、音楽、いくつもの効果音、簡単なせりふも録音されていて、もうほとんどトーキー感性直前という感じで、「半処女」ならぬ「半トーキー」そものだ。
 現に下記フィルムセンターの本作仕様には<サウンド トーキー(エリア2本)>と記載。
 もうシステム的には、ほとんどトーキーそのものなのだ。あとは、現場の問題(スタジオでの録音のみ可能なので、本作のような、ほとんど野外のドタバタ劇には、不適)で、おそらく屋外ロケの同時録音が不可能だったゆえの、そして大作でも問題作でもないドタバタ中篇では、そこまで金をかけてらんないよ、という純粋に低予算ゆえの問題であり、何よりも、金をかけていたとしても、野外であちこち延々と駆けずり回るドタバタ・アクションの音を、完全に拾いきるのは、当時不可能だったゆえの、サウンド版「後退」と、いうことだろう。

 そして、トーキー(エリア2本)というのは、サウンド版風情(笑)には、すごいことなのよ。
 戦後50・60年代に至っても、なんと、エリア1本のサウンドトラックは生き延びていて、伊藤大輔「王将」黒沢明「羅生門」のプリントは、ぼくは実際に、そのサウンドトラックを見ている。
 それらはまさに、density‐type talkie濃度式トーキーというヤツで、いわゆるエリア2本(2本のギザギザで表わされ、一本はサウンド、一本はせりふ)の前段階の、一本のサウンドトラックの濃淡を光学式サントラ専用レンズで読み取り、再生するもので、はなはだ音質は、悪い。
 ぶかぶかするサウンドなのだ。
 ★所蔵映画フィルム検索システム★で、「羅生門」を検索すると、6パターンのプリントが併記されているのがわかる。
 エリア1本の濃度式トーキーから、エリア2本になり、さらにはドルビーデジタル / DTSに、なる過程だ。
 えっ! ということは、フィルムセンター、ヴァージョン違いの6本の「羅生門」プリントを所蔵しているのか! 贅沢な(笑)。国民からの血税に、なんという乱費を(笑)。

◎追記◎1930年代の松竹蒲田ですでに導入されていたエリア2本のトーキー。その前段階であるエリア1本の濃度式トーキーが、1950・60年代の大映や東映の京都撮影所では使われていた、という事実。時代劇メインの京撮が、古式?豊かな技術を使っていたのは、取り残されていたのか、頑固な職人気質なのか。うーむ。

★銀色夜叉/フィルムセンター所蔵映画フィルム検索システム★
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by mukashinoeiga | 2014-03-24 11:45 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(0)

佐々木啓祐「春雷」川崎弘子夏川大二郎木暮実千代田中絹代

 京橋にて。「よみがえる日本映画-映画保存のための特別事業費によるvol.7松竹篇」特集。43年、松竹大船。
e0178641_18271697.jpg 夏川大二郎は、上野駅で東北から尋ねてくる許嫁・川崎弘子を待っている。
 その川崎は、電車内で、近衛敏明からの一方的な求愛に大迷惑、逃げ出すように汽車を降りる。
 川崎が一本汽車を遅らせたために、待ちぼうけの夏川、代わりに旧知の令嬢・木暮実千代が駅のホームで、男に言い寄られているのを、助け、川崎の代わり?に、積極的アプローチ(図々しいともいう)令嬢を、アパートに連れ帰る。
 やっとの思いで夏川のアパートを訪ねた川崎は、彼の部屋のベッドに寝そべる木暮を発見、愕然となる。夏川は、再度駅に川崎を迎えに行って留守。
 バチバチ火花を散らす女ふたり、といっても、一方的に木暮がだけど。川崎に取って代わろうとする小暮は、意地悪く夏川のカノジョのふり。
 ビビった川崎は、夜の町をうろうろ。あとをつけてきた近衛は、すばやく川崎にスリより、「夏川ってひどい男ですねー。とりあえず、今夜泊まるとこ、ないんじゃないですか」と、無理やりピックアップ。
 かくて嫌い抜いた近衛の、女に、川崎は、なってしまう。
 いっぽう、気のいい夏川に使い込みまでさせて、小暮は贅沢三昧。
 二つのセクハラが同時発生して、女と男の運命が、行き違う。
 気の弱い女と男が、気の強い男と女に、いいようにホンロウされ、食いものにされる。
 一方的な振る舞いの近衛と木暮も悪いが、例によって超気弱の川崎弘子と、いい加減で典型的松竹ダメ男の夏川も、また、弱すぎる、というところで。
 偶然と必然が交差するメロドラマ。
 携帯のない時代のこととて、「一度すれ違ったら、再会するのは、困難」な典型的松竹メロ。
 そして、再会する時は、それぞれ別のパートナーを連れていて、その再会は必ず悲劇。
本作にはメロドラマの快がたっぷり詰まっている。

 しかしながら、本作の最大の特徴(笑)は、色悪の近衛がデブなのはともかく、二枚目の夏川もデブ。恋敵どおしがともにデブ、ってインド映画か。

古き花園  松竹大船映画「春雷」主題歌


e0178641_18292585.jpg春雷 (73分・35mm・白黒) <フィルムセンターHPより>
佐々木啓祐監督が、大衆小説家・加藤武雄の同名小説を映画化。東京で働く井出慎之助(夏川)の元に、故郷の許嫁・志津子(川崎)が訪ねてきた。だが、父親が事業に失敗して自殺し、音楽の道を絶たれた英子(木暮)もまた上京しており、井出は彼女を支えることを選んでしまう。本作でも出演時間は僅かながら、笠智衆が悪役に扮している。
'39(松竹大船)(監)佐々木啓祐(原)加藤武雄(脚)柳井隆雄(撮)渡辺建次(美)浜田辰夫(音)早乙女光(出)夏川大二郎、三井秀男、川崎弘子、木暮実千代、田中絹代、藤野秀夫、葛城文子、近衛敏明、廣瀨徹、笠智衆、松井潤子、黒田達夫、奈良真養

 前に、佐々木康「風の女王」感想駄文にて、以下のように書きました。

 なお、終盤近く、道行く高杉早苗を呼び止め、説教する役に、ワンシーンのみ出演の田中絹代。
 大物女優の、ノンクレジットのカメオ出演とは、珍しく、絹代が出ると、軽くどよめく場内。
 出番の脇役女優が何らかの事情で駄目になり、たまたま撮影所にいた絹代が、「あら、ワタシでよければ」と、いうことだろうか。珍しい。

 この田中絹代登場は、「風の女王」ではなくて、本作「春雷」の、間違い。しかも、カメオではなくて、特別出演のクレジットあり。たぶん、当時たまたまからだが空いてた絹代が、小さい役でもあたしを出してよ、といったのではないかしらん。まったく似たようなストーリー、登場人物だから、ついつい混同してしまいました。妄言多謝。
しかしよくよく考えてみるとおそらく、当時木暮のような反社会的?あばずれ(笑)を、主人公にすることは、そのような風潮を助長することで、風紀上よろしくない、と。で、こんなあばずれが「勝ち逃げ」する脚本をエクスキューズすべく、急きょ「釘を刺す」役を追加。「風紀係」みたいな役には生真面目な絹代が最適、しかも大物女優をわざわざ特別出演させることで、より「風紀係」の重みも増す。てなことかしらん。
 松竹は決して、こんなアバズレ認めてないんですよ、絹代ちゃんもぷんぷん怒ってますよ、と言い訳しながら、当時は抑圧されていた女性観客たちに、女の「可能性」を示して、魅せる。当初は、大物女優気まぐれの代役かと思ったが、これはこれで松竹のかなりの深謀遠慮なのかも(笑)。
 典型的二枚舌外交というべきか。

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by mukashinoeiga | 2014-03-23 10:24 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(6)

原研吉「水兵さん」

 京橋にて。「よみがえる日本映画-映画保存のための特別事業費によるvol.7松竹篇」特集。44年、松竹大船。
 前半は、ホームドラマ。河村黎吉、飯田蝶子夫妻の子・星野和正が、海軍学校に入学・入隊したがるが、頑固親父が許可しない。
 例によって河村の頑固オヤジ振りが、通常運転の楽しさ。素晴らしい。
 老け役の斎藤達雄によるご隠居さんと、絡んだ河村、飯田の掛け合いの、いつもながらの楽しさ。
 後半は、河村の小ドタバタをはさみつつ、無事入学した息子の海軍学校での生活がメイン。
 戦前松竹ホームコメディが、時局に侵食されていくわかりやすい例。
 小沢栄太郎の人情教官、水練担当教官・坂本武のふんどし一丁姿、など見所(笑)。
 基本的に男優メインの構成になるが、東宝以上に強力に、ゲスト的女優陣が花を添えるのは、さすが松竹。
 この頃美貌、演技とも充実期を迎えた、水戸、花柳らが「花を添える」だけに終わってしまうのは、いささか悲劇で。
 なかでも、近所の子で、河村の息子とも親しい女学生に、朝霧鏡子。眼鏡っ子。上が黒のセーラー服で、下はもんぺというのが時代で。もんぺは花柄で精一杯のおしゃれ。
 黒のセーラー服が、白のセーラー服の水兵さんを応援する。

水兵さん(87分・35mm・白黒)<フィルムセンターHPより>
海軍への志願を奨励する国策映画。経師屋(河村)が息子・新八(星野)の志願を許すところから始まり、続けて、海軍学校の訓練の様子や、指導する下士官たちと学生たちとの温かな人間関係が描かれる。笠智衆が、途中から登場する分隊長の役を飄々と演じている。
'44(松竹大船)(監)原研吉(原)津村敏行(脚)柳川眞一(撮)武富善雄(音)古関裕而、名古屋宏(出)河村黎吉、小沢栄太郎、笠智衆、原保美、星野和正、飯田蝶子、水戸光子、花柳小菊、朝霧鏡子、坂本武

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by mukashinoeiga | 2014-03-23 09:05 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(0)

原研吉「ことぶき座」

 京橋にて。「よみがえる日本映画-映画保存のための特別事業費によるvol.7松竹篇」特集。45年、松竹京都。
 東京で成功した浪曲師・高田浩吉が、北海道巡業中、釧路に立ち寄る。釧路は、浪曲師として苦悩した青春の地。
 釧路の劇場ことぶき座の花形スタアだった彼は、その興行主・小杉勇の娘・高峰三枝子への「身分違いの恋」に苦悩して、自滅した土地だった。
 かつて愛したお嬢さん・高峰は、どうなっているのか、気になって仕様がない浩吉なのだった。
 浩吉の「根岸の」師匠・廣澤虎造に、廣澤虎造本人。若き虎造、意外と二枚目。
 座員に朝霧鏡子、坂本武。坂本が三味線を弾くと、場内が、小さくどよめく(ないし、失笑)。やはり無骨な坂本には、芸人は、似合わないなー(笑)。

ことぶき座(65分・35mm・白黒)<フィルムセンターHPより>
無声映画期から1950年代まで松竹時代劇で活躍した高田浩吉が、浪曲師に扮する。梅中軒鶴丸(高田)は、北海道・釧路のことぶき座の所有者鈴村(小杉)の娘・千代(高峰)に思いを寄せていた。しかし鈴村に、才能をくすぶらせてはならないと諭され、東京でやり直すことに。8年後、成功した鶴丸が慰問のため釧路を訪れると…。鶴丸が東京で弟子入りする師匠に、浪曲師・広沢虎造が本人役で出演。
'45(松竹京都)(監)原研吉(原)野崎正郎(脚)岩沢庸徳、岩間鶴夫(撮)布戸章(出)高田浩吉、小杉勇、高峰三枝子、桑野通子、小堀誠、廣澤虎造、朝霧鏡子、坂本武

ことぶき座(1945)/原研吉


 戦争末期の映画ゆえ、物資不足、フィルム不足のゆえか、冒頭クレジットがない時期の映画。ゆえに、クレジット再現を旨とする★所蔵映画フィルム検索システム★には、監督以外一切のクレジットなし。いかにも、お役所仕事だな。
 なお、高峰三枝子が、ナンパな不良見合い相手から、誘われて猟銃撃ちを見学するシーン。見合い相手の男が銃を撃つと、かなり離れた石河原にいる浩吉が、うっとひざまづく。まるで撃たれたかのようだが、距離が遠すぎる。
 憧れの高峰三枝子が、他の男に取られつつある、という心理的「被弾」を表現した幻想的シーンだ。
 しかし、こんな「抽象的」ショットの非連続編集とも言うべき連なりは、戦前松竹では、ついぞ見たことないな、と疑問に思っていたら、あっさり氷解。脚本にクレジットされた岩間鶴夫
 おめーだな(笑)。イワツル、この時期、松竹助監督であり、だから、この映画の助監督も兼ねていよう。
 石河原でうっとうずまくる(だけ)なんてショットは、おそらく別班撮影として、原研吉は帯同せず、イワツル助監督が撮影したものと、勝手に推測。
 
 岩間鶴夫。戦後松竹で数々のB・C級映画を監督。 
★日本映画データベース/岩間鶴夫★
 
 まあ、たいした映画はまったくないのだが、それ以上に、トリッキーな映像、つながらないギクシャクした編集に固執したところに彼の特色がある。
 不安をあおるサスペンス映画で、画面に渦巻きをぐるぐるぐる。こんなの、無声映画時代の、古いトリッキー映像だろ、と。子供時代の美空ひばり主演映画で、ひばりが歌えば歌うほど、周りがどんよりするという、通常娯楽映画とはマ逆な「意欲的」な演出。
 唯一感心したのは、メロドラマでヒロインが銀座でお見合い写真を、おばさんに見せられるショット。戦後すぐの夜の銀座は真っ暗で、その真っ暗な中、おばさんがライターを点火すると、一瞬だけ、お見合い相手の写真が、ヒロインに見える。いやあ、映画的や。
◎追記◎いや、ライターでなく、マッチだったか。当然、マッチだったと思う(笑)。ヒロインは、たぶん、津島恵子だったか。
 しかし、モンダイは、その映画的表現がまったく、生かされないこと。無駄なトリッキー。意味のない過剰さ。
 鈴木清順が松竹助監督の鈴木清太郎時代、岩間鶴夫の専属助監督であったことは有名だが、岩間鶴夫は、いわば<失敗した鈴木清順><鈴木清順になれなかった男>ということができる。
 不肖の弟子、という言葉があるが、岩間鶴夫は、いわば鈴木清順の不肖の師匠なのだ。イワツルの過剰トリッキー映像を支持しつつ、しかし、それがなぜ何の効果もエモーションも呼び起こさないか、鈴木清太郎は、考えていたはずだ。
 その岩間鶴夫が、戦後だけでなく、45年時点で、すでに、この、つながらない編集を試みていたとは、意外だ。
 しかし、この異質ショットが、この映画でここだけであり、かつ何の意味ももたらしていないのは、明らかであり、残念。
 映画自体は、浩吉の芸道モノとして水準。
 また、ヒロイン高峰の叔母役で、桑野通子がワンシーンのみの出演。三枝子に、見合いを勧めるオバサン、て、戦後なら沢村貞子あたりの役どころだろ。さすがに失礼だろ。でも、そんな役でも、にこやかに演じるクワミチ。
 その和服も家庭婦人らしいのが、いじらしい。
 戦時中は、急速に出番が減った<モダンガアルの末路>。うーん。

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by mukashinoeiga | 2014-03-21 00:09 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(3)

佐々木康「母の記念日」

 京橋にて。「よみがえる日本映画-映画保存のための特別事業費によるvol.7松竹篇」特集。43年、松竹大船。
 父・志村喬をジャワ殖民事業に残して、子女教育を日本でするため帰国した女医・信千代。成長した子供たちに、NHKラジオ海外語アナ・佐分利信、家出していた松竹駄目男・徳大寺伸、三浦光子、戦闘機乗りの卵・三井秀男、満州入植農の卵・千代重信。

母の記念日(86分・35mm・白黒)<フィルムセンターHPより>
佐々木康監督による国策映画。碧川その(信)は、子供たちの教育のため、夫の芳之助(志村)だけをジャワに残していったん日本に帰ってきた。彼女は、医師の資格をとって日本の病院で働くが、いずれは夫の元に戻り、ジャワで医療に携わるつもりであった。だが、夫の消息は途絶えてしまった。東宝から志村喬が夫役で出演。
'43(松竹大船)(監)佐々木康(原)佐々木孝丸(脚)野田髙梧、柳井隆雄、柳川眞一(撮)猪飼助太郎(美)小島基司(音)萬城目正(出)志村喬、信千代、佐分利信、徳大寺伸、三浦光子、三井秀男、千代重信、山路義人、飯田蝶子、髙倉彰、岡村文子

 戦時色は濃厚であっても、いつもの戦前松竹ホームドラマの結構。
 わからずやの父親が、わからずやの母親に代わっただけとも言える。戸主代わりの、頑固ものの長男にサブリンは、適役。妹・三浦光子の、思いびとに、例によって特徴のない、草食系・髙倉彰。爆弾製造の際怪我をした科学系技術者というところに、時代がある。
 見慣れない信千代が、女医には見えても、とても「母親役」に見えない、なんだかへんなホームドラマというところか。面白くもなんともないお話だ。
 原作佐々木孝丸とは、戦後東映時代劇などで悪役として活躍、というより国際労働者のテーマソング「インターナショナル」の歌詞日本語訳で知られる、左翼演劇人と、同じか。

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by mukashinoeiga | 2014-03-20 16:20 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(0)