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木村荘十二「純情の都」

 京橋にて。「よみがえる日本映画-映画保存のための特別事業費によるvol.6東宝篇」特集。33年、P・C・L。
 P・C・L(写真科学研究所時代のP・C・Lとして)自主製作開始第2作、という、まさに、うぶな、初期初期な東宝映画。
 同じ監督の同年のP・C・L第1作木村荘十二「ほろよひ人生」に、比べると、だいぶ複雑?な物語と、なった。
 朝のアパートの一室から、映画は始まる。
 モダンガアル竹久千恵子は、ベッドの中でパジャマ姿。タバコをスバスバのんだり、新聞を読んだり、のんびり。
 いっぽう、割烹着姿でかいがいしく朝食を作る千葉早智子。
 特に性的関係ではないようだが、女性二人のルームメイト。かっきりと、擬似性的役割は出来ているようだ。
 なんだか、気分は新婚夫婦。
 世慣れた、経験豊富なモガの竹久、純情なチバサチ。竹久は、チバサチを「ぼくの奥さん」?と、呼ぶ。
 この時代ですでに、自分を「ぼく」と呼ぶ女性がいるのも、面白い。
 ここに、ふたりの友人たち、いわゆる愉快な仲間たちの、藤原釜足(まだまだやんちゃ青年期の釜足なのが、新鮮!)、戦前東宝アンパンマンこと堤真佐子、おなじみデブのコメディアン岸井明が朝食に乱入。
 快調なコメディーの始まり始まり・・・・というのには、全体に演出が、もっさり。
 以下、チバサチは会社に出勤、ルームメイトであるだけでなく、会社の同僚タイピストでもある竹久は、会社をサボり、釜足、堤、岸井のお気楽トリオと、遊びまくる、並行描写が、きわめて、もっさりしているのが、残念。
 しかし、彼らモダンガアルたちが遊びほうける「スポーツランド」(浅草松屋の屋上遊園地)が、シンプルかつ面白そうな電動遊戯の数々で、いかにも昭和初期の、都市型屋内レジャーランドの好趣を伝えていて、楽しい。
 さて、純情チバサチは、同僚の色悪・島耕二、社長のスケベオヤジ・徳川無声の毒牙に、迫られ、散々。セクハラ、パワハラが、あまりに全開過ぎて、逆に、可笑しすぎる。
 以下、後半は、チバサチを、ひそかに思う好青年・大川平八郎(明治製菓専属?の広告図案家)や、振付師・釜足、ダンサーのアンパン真佐子が、携わる明治製菓の、ショー喫茶?のオープンショーと、チバサチが、色悪・島耕二にロウラクされる描写が、これまた並行描写されるが、またまたもっさりしているのが、ちょっとつらい。
 しかも、いやいや車に、半強制的に乗せられたチバサチ、車を降りたとたん、なぜか多幸感にみちた笑顔全開の郊外散策デート、相思相愛のカップルのような描写が、まったく違和感、つながっていないぞ。
 そして、アパートに戻り、これまた仲のよいカップルのように、嬉々として部屋に島耕二を迎い入れるチバサチ。
 その結果、島に、無理やり犯され?涙にくれるメソメソ振り。
 この二転、三転する描写が、不可解。下手なだけか。しかも、犯し犯される描写が、戦前映画ゆえ、まったく、ないので、余計、不思議な気分となる。
 まあ、映画作品としては、まったく力不足だが、当時の時代風俗、気分、風景の楽しさは、やはり、面白い。
 しかし、純情可憐なヒロインが、あっさり色悪に陵辱される、身もフタもない結末が、娯楽映画としては、異色。原作の「恋愛都市東京」が、ムーランルージュ新宿座の演劇(いわば、当時としては、今で言う小劇場的な異色作といった理解でいいのか?)だったゆえの、「東宝映画」としては、大暴走か。
 「明るく楽しい」「娯楽映画」東宝の、まだ、慣れない?ゆえの初期不良?

 竹久千恵子は、当時時代の最先端モダンガアルを柄に合って、演じているのだが、主役オーラは、ない。最先端であるがゆえに?、あるいは、柄だけで演じているがゆえに、逆に古びてしまったような。なんだか、華が、ない。
 チバサチは、いつの時代でも愛される純情可憐娘ぶりが、かわいい。
 青年・釜足も、楽しい。ショートヘアの堤真佐子も、一見お気楽なダンサー役だが、島耕二と、かつていろいろあったらしく、という陰影を一瞬の演技であらわしていて、ナイスでキュート。
 そして、特筆すべきは、まだ若かろうに、ヒヒオヤジを嬉々として演じた無声、後に映画監督となる島耕二の俳優振りが、たっぷり見られる点か。
 監督作島耕二「麗春花」(感想駄文済み)でも、中年の父親役を好演した島が、まだ若く精力ギンギンの、容赦ない色魔を、演じる。なかなか俳優としても、素晴らしい。その、いかにも酷薄そうなマスクも、いい。
 その彼がなぜ俳優をやめ?監督業に専念するようになったのか。もっと、俳優兼業で活躍してもよかったはずなのに。
 推測するに、戦前としては、あまりにリアルで酷薄な悪役専門にならざるを得ないマスク・演技だったために、しゃれにならず、需要?がなかったというところだろうか。他に理由があったのかもしれないが。
 細面で、あまり贅肉がない顔つきは、実子・片山明彦の面影もあるが、父はワイルド肉食系、片山は草食系という。親子でも、キャラは違うのね。

★東京昭和八年。丸の内の海上ビルの明治製菓売店と東和商事。 - 日 用 帳★
 本作、本作ロケ地、その他本作回りについての、楽しい記事。なお、このブログ掲載の場面写真は、かなり暗いが、実際に映写された映像は、もっとクリア。しかし、このブログのほか記事も、楽しそう。

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by mukashinoeiga | 2013-11-30 01:37 | 島耕二と行くメロドラ航路 | Trackback | Comments(2)

桜田淳子は、常に変貌するのだ

 先日、一夜限りのファンイヴェントでの「変貌」が、やはり話題のようだが、当ブログが何回か書いているように、メタモルフォーゼ淳子としては、ごくごく当たり前のことで。

★桜田淳子が昔の面影を取り戻したと話題に - NAVER まとめ★

復活!桜田淳子さん?

祝40周年 桜田淳子様パートⅢBOX編


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by mukashinoeiga | 2013-11-28 06:07 | 桜田淳子:変貌するアイドル | Trackback | Comments(0)

恐怖!今も民主党政権だったら

↓ まったく注目されなかった小さな記事だが、よく読んでみると、ホントウにぞっとする。
◎民主政権下の修学旅行先調査 台湾渡航「中国」に合算 文科省訂正
 文部科学省が平成23年度に実施した高校の海外への修学旅行実態調査で、渡航先の「台湾」を「中国」と合算していたことが13日、わかった。同省は今年4月、合算により中国への渡航者数は2万2千人に達し、米国の2万6千人に次ぐ2位とする結果を公表。ところが、自民党国会議員の指摘を受けて台湾を別に算出したところ、台湾は1万2千人、中国は9千人と逆転していたことが判明した。

 文科省は昭和61年度から2年に1回、「高校等における国際交流等の状況について」として海外修学旅行の渡航先をまとめている。従来は台湾と中国を分けて集計、公表していた。過去の渡航者数をみると、平成16年度は中国が1万4千人に対し、台湾が1千人で中国が上回っていた。

 その後、中国における反日運動の高まりや、悪化する大気汚染などを背景に、渡航先を台湾に選ぶ学校が相次いだ。20年度は中国1万1千人、台湾8千人と差が縮まった。

 ところが、東日本大震災で1年延期し、民主党政権下の23年度に実施した調査では、中国が2万2千人に倍増し、台湾は渡航先リストから姿を消した。

 調査結果に疑問を抱いた自民党の木原稔衆院議員が同省側に指摘すると、台湾の集計を中国に合算していたことが判明。同省は今年10月、台湾と中国を分けた正しいデータをホームページ上で公表した。同省国際教育課の担当者は「単純な処理ミス。通知上のミスで合算したようだ」と説明している。(2013.11.14 08:12産経新聞より)

 大は中国船船長無罪釈放から、小は、こんな統計詐欺まで(笑)。
 こんな、細かい、セコい、書き換えをして、何が楽しいのか民主党政権は。
いったいヤツらは、どこまで中国様に媚びまくっていたのか。
 いま現在も民主党政権だったら、どこまで中韓に土下座していたのか。ゾッとする。
 まさに、冬の怪談。
 まずは、韓国の女の浅知恵大統領と、ニコニコ首脳会談は、確実に、していただろう。戦時徴用企業への賠償も、前向きに検討、なんて言っていたかもしれない。
 尖閣への不法上陸も、確実にあっただろう。

◎ついでの、おまけ◎
1/3【女性大討論】安倍否定はもういい!じゃあどうする日本

2/3【女性大討論】安倍否定はもういい!じゃあどうする日本


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by mukashinoeiga | 2013-11-26 07:40 | うわごと | Trackback | Comments(0)

豊田四郎「麦笛」

 京橋にて。「よみがえる日本映画-映画保存のための特別事業費によるvol.6東宝篇」特集。55年、東宝。タイトル「麦」は旧字体。
e0178641_20292695.jpg 思春期の悩める、悶える、インテリ/エリート予備軍の久保明セイショーネンの、青春期苦悶篇。
 かつては、青春の悩みは、センサイな(笑)インテリセーネンの、なんだか上等な精神行動のように見られていた。いまは、中二病の一言で、身もフタもなく見切られて、「青春の悩み」は、地に落ちた(笑)。
 まあ、それは別の話。(これについては感想駄文済みの村山知義「初恋」参照のこと)
 
 堅く殻に閉じ懲り、他人に自分をさらけ出すまいとする、青春の自意識過剰・久保明。
 青山京子の茶屋で、ビールを飲みつつ、青山京子をからかう、「一見」開けっ広げな太刀川洋一。
 ダブル主演というべき、久保と太刀川、このふたりの対比が、面白い。
 性については禁欲的な環境の久保、その友人で、茶屋の娘・青山京子と気軽に交際し、他のお姉ちゃんたちにもコナをかける、ナンパ道まっしぐらの太刀川洋一。
 坊主(志村喬)の息子であり、当然謹厳なる寺に起居している久保明、いっぽう太刀川は、万事が俗なる浪花千栄子(例によって絶品なる通俗のきわみ)が経営する髪結い床の、二階に下宿。若い、今で言う美容師のおねえちゃんたちや、そのお客の女たちに囲まれた、ナンパオトコの天国(笑)。
 寺と美容室(髪結い床)。性欲過多のセーショーネンたちにとっては、絵に描いたような天国と地獄や、おまへんか(笑)。 
 
 しかも、ああ、なんてさわやかな青春もの、と思っていたら、さすが、ヘンタイフェチのトヨシロ、外さんなあ(笑)。
 清純な(しかし、それゆえに絶品ドンくさい)青山京子だけではなく、極エロな出戻り娘・越路吹雪を投入。越路吹雪史上最強のエロティックさだ。
 普通、越路吹雪に、エロい演技は、あまり求めないだろう。ちょっと異貌ともいうべき硬さが、彼女のマスクにはあるし。ちょっとお高いイメージもある。
 しかし、トヨシロは、彼女には最適なエロさがある、と見抜き、演技させる。さすが、ヘンタイの名に恥じない(笑)トヨシロのフェチぶりで。世が世であり、彼が日活ロマンポルノの時代の監督だったら、クマシロと並んでロマンポルノを撮っていたであろう、と思わせるものがある。

 この越路が、エロいだけではなく、ヘン。
 経済的に困っている風には見えないが、久保の寺に訪れては、お参りする風を装い、賽銭泥棒。あまりにたびたびなので、どうもあの女が参る日は、必ず「売り上げ」が落ちるようだ、と寺の職員・藤原釜足も、不審顔。
 賽銭泥棒とは、性欲過多の代償行為なのか。盗癖フェチ。
 久保明は、越路の賽銭泥棒の現場を、目視、後を追う。
 寺の息子として、「売り上げ」泥棒の彼女を糾弾するかと思いきや、彼女の足やら下半身やらに、ご執心、なんと久保明は、女の脚フェチだったのだ(笑)。
 そんな久保の性欲過多を察した越路、若いぼんぼんの久保を誘惑ゲーム。
 原作は室生犀生「性に目覚める頃」。久保は越路の犯罪を追及するというより、ストーカーしているといった状態に。

 つまり、片意地・久保、ナンパ太刀川、ドンくさい清純・青山の、三人に、「補助線」として、エロい越路を投入、って、なんか既視感ありありだぞ(笑)。
 そう、鈴木清順「悪太郎」シリーズだ。
 久保明の実弟・山内賢主演。原作は、坊主の今東光。これまた青春の苦悩と性欲を描く。極め付きの清純派・和泉雅子と、妖艶・久里千春やら野川由美子に挟まれて、悶々する。鈴木清順は、トヨシロほどヘンタイではないので、さわやかさは上だが。
  
 なお、それまで悶々とした久保明の青春記かと思われていた本作だが、クライマックスで一気に、太刀川の存在感が増していく。
 青山京子は、それまでは映画では久保明に惹かれていたかの描写に感じられたが、実は太刀川洋一のことを思っていたことが判明する。久保明もショックだろうが、観客のほうもショックだ。やはり、ご婦人は理不尽。
 この、ある種の、どんでん返しに、ひとりニヤついているトヨシロの顔が思い浮かぶ(笑)。そのクライマックスの異様な海岸の撮影(三浦光雄)も絶美。

★日本映画データベース/麦笛★
★麦笛倉敷ロケの思い出 | 映画裏方思い出話★
本作スタッフの思い出話ブログ。 一切改行のない、ヴィジュアル的に読みにくい構成だが、美術スタッフなのに、文章ヴィジュアルは考えないのね(笑)。
 なお、岡田茉莉子など諸俳優のスナップや、内田吐夢、中古智などの実名を出しながら、自分の名前が、とりあえず探しても、ブログトップに表記されていないのは、いかがなものか(笑)。ま、それにしても貴重な証言であり、面白い。
 すでに更新はしていないようだが、その他数多くの東宝映画の思い出話もありそうで、暇なときに、読んでみたい。

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by mukashinoeiga | 2013-11-26 06:47 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(4)

豊田四郎「檜舞台」

 京橋にて。「よみがえる日本映画-映画保存のための特別事業費によるvol.6東宝篇」特集。46年、東宝。
 なかなかの快作。
 現代劇もやり、幕間に、鏡獅子を本格的に踊るという新旧混合の劇団を舞台にしながら、テイストは、まさにアメリカン・コメディーという。
 長谷川一夫と、山田五十鈴の、当時名コンビ。五十鈴のツンデレ振りが最強で、楽しい。
 長谷川一夫が、半ば誤解からキレて、「もう、キミとは、芝居以外では、口も利かない!」と、絶交して、芝居ではなかのよい夫婦を演じつつ、稽古が終わると、互いにつんつんしあうのが、可笑しくて。
 まさにハリウッドのスクリューボール・コメディの日本的消化に他ならない。
 長谷川としては珍しい現代劇。
 なので、時代劇のような激しいドーラン化粧ではないナチュラルメイクゆえ、左ほほの切られた傷がかすかに、見える。キャメラが隠さず、堂々と撮るのが、潔い。
 長谷川は、復員兵という設定であり、現代劇は、片足をとられた長谷川と、五十鈴の夫婦の苦悩、という反戦劇。それと、幕間の歌舞伎舞踏とが、地続きで、長谷川によって、演じられていくのに、何の不思議もないのが、珍と言えば珍だし、見ているこちらも、あまり違和感がない。
 この鏡獅子を、長谷川が黙々と稽古しているシーンが、面白い。最初は、すっぴんで、次に小道具の獅子面をもって、最後は本格歌舞伎メイクをして。長々かつ黙々の稽古シーンが、やはり魅せる。
 長谷川が、自分の演技に悩んでいると、三味線の伴奏が聞こえだす。振り返ると、稽古場奥に、五十鈴が端座して、三味線。
 私生活はツンツン絶交中だけど、稽古はアシスト。この辺の呼吸が、やはりいい。

 長谷川の「瞼の父」に、志村喬。突然素っ頓狂に笑い出したり、しんみりしたりと、戦前以来のメリハリの利いた演技。若々しいパワーみなぎる中年男を、例によって快演。パワーみなぎる志村が、渋さみなぎる志村に変貌するのは、まだまだ先の話。
 座員に、河野秋武、進藤英太郎、 田中春男、清川玉枝ら。菅井一郎は、演出家。こんな感じで、淡々と穏やかに、映画も監督していたのだろうか?
 トヨシロも、日ごろのヘンタイ路線?は捨てて、二大スタアの映画を、堅実に支えていて、堂々の演出。

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by mukashinoeiga | 2013-11-24 07:34 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(0)

阿部豊「歌へ!太陽」

 京橋にて。「よみがえる日本映画-映画保存のための特別事業費によるvol.6東宝篇」特集。45年、東宝。
 ここ数日、当ブログの「謎の月刊トドロキユキコ」記事へのアクセスが急増している。
 ナンだろと思ったら、こういうことか。逆探知したら、なんと、当ブログのボケナス駄文が、まるで関連記事?のようにして、載っている(笑)サイトがあった。おかしいやろ(笑)。
★没後46年後も研究者が恋する美人女優 - 動画 - Yahoo!映像トピックス★
 上記サイトに掲載の動画を、以下に貼り付けておく。
愛しの轟夕起子 熱烈ファン、資料収集・研究誌も


 というわけで、本作「歌へ!太陽」は、その轟夕起子主演のお気楽ヴァラエティー篇。まあ、見ている分には、楽しい。
 敗戦後、東宝がはじめて公開した作品だという。ということは、戦時中の企画で。
 その戦時中の企画から「戦時色」を抜いて、だから51分の中篇に圧縮されたのか、もともと戦時中のフィルム不足時の企画だから、短いのか。そこらへんは、わからない。
 当時のもっとも流行った繁華街である、浅草あたりの、レヴュー劇場。レヴューの数々と、そのバックステージでどたばたする、タレントたち、スタッフの人間模様あれこれ。
 その主力歌手が、轟夕起子・灰田勝彦・川田義雄(のち晴久=初期美空ひばりの守護神)のトリオ。これに、轟の兄・エノケンが、強烈に、からむ。川田の父に「おっさん、わしゃかなわんよ」で戦前大ブレイクの高瀬実乗。
 轟夕起子は、初期映画内田吐夢「限りなき前進」の、超細っこい美少女より、本作の、ややふくよかな美人のほうが、好ましい。美しく、愛らしい顔立ちで、歌を歌う、楽しさ。素晴らしい。
 ぼくの知る限り、轟夕起子史上ベストビューティー
 この後彼女は急速に膨らんでいき、豪快オバサン女優と化すのだが(それは、それで魅力的なパフォーマンス)、しかし若々しい美貌の頂点が、本作だろう。
 川田は、例の独特のエロキューションで持ち歌ベスト「地球の上に朝が来る」を、歌う。可笑しいのは、轟・灰田・エノケンと一緒に、他人の、普通の、曲を歌うときも、その独特な川田節で、歌うのが、すごすぎる(笑)。他のメンバーとの歌唱整合性ゼロ(笑)。

 本特集でも上映の木村荘十二「純情の都」、村山知義「恋愛の責任」 (感想駄文済み)の、モダンガアル竹久千恵子が、約10年後の本作で、劇場掃除婦の嘘吐きオバサンを演じる衝撃(笑)。遊び歩いた享楽のモダンガアルの、哀れ末路、というような女大学的?イヤミが、感じられて、キョーレツ(笑)。ま、本人はもともと舞台女優ゆえ、楽しんで演じているものか、と。
 キョーレツといえば、翌々年黒沢明「素晴らしき日曜日」で、柄に合わない純情娘を演じる中北千枝子が、轟の髪飾りが気に入り、
「あんたの髪飾り、頂戴。くれないなら、盗んでやる」
と、他人の目を気にせず、堂々と宣言する、しかもその後実際に盗んじゃう、まるで韓国人みたいな、ビミョーなキャラを爆演。もちろん、黒沢版純情乙女より、こちらのほうが柄にあっている。
 なお、髪飾りを盗まれた轟、「そんなに欲しいなら、あんたに上げる」と、亡母の形見の髪飾りすら、ポンと与える。
 まるで、お人よしそのものの日本人対応。
 なお、お人よしの轟は、いない息子を「あたしには親孝行の息子がいる」という、息を吐くように嘘をつく嘘つき竹久千恵子に、兄エノケンを、竹久の息子として貸与する。この展開は、ちょいとしたフランク・キャプラ「一日だけの淑女」(もしくはそのリメイクの「野郎どもと女たち」)の、アメリカン・ティストだ。

★歌へ!太陽(1945) | Movie Walker★
川田晴久「地球の上に朝がくる」

東京キッド / 美空ひばり・川田晴久


 なお、本作は中篇ゆえ、
千葉泰樹「鬼火」
 京橋にて。「よみがえる日本映画-映画保存のための特別事業費によるvol.6東宝篇」特集。56年、東宝。46分。
が、同時上映。こちらの原作は吉屋信子、ナンちゅー幅広さか吉屋信子(笑)。
 たいへん面白い佳作だが、ぼくも何度も再見しているので、見ずに途中退場。
 同様な映画狂が約10名いて、一緒にエレヴェータ(笑)。

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by mukashinoeiga | 2013-11-23 23:49 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(4)

成瀬巳喜男「浦島太郎の後裔」

 京橋にて。「よみがえる日本映画-映画保存のための特別事業費によるvol.6東宝篇」特集。46年、東宝。
 確かに、あまりにフランク・キャプラ・ライクな(しかもロバート・リスキン抜きで)、
 GHQの戦後民主主義推進路線に、もろ手を挙げて、もろ足?も上げて、大また開いて、進駐軍サマに出血大サーヴィスな媚びように、見える。
 アメリカ流デモクラシー(らしきもの)にコビコビな、あまりに、ブザマな、媚びように、見える。
 ヤンキー・ゴーホームならぬ、ゴー・ヤンキーホームな、珍品?であろう。たしかに。
 つい最近まで「敵」であった、アメリカン・デモクシラーへの、あからさまな土下座エンターティンメント?(笑)

↓み~んな、この映画には、悩んでいる(笑)という一例。
★浦島太郎の後裔 : 映画収集狂★

 しっかし、考えても見たまえ(笑)。日本映画は、戦前から、アメリカはハリウッド映画の明朗喜劇をお手本に映画を作ってきたのではないか。
 決して戦争に負けたから、急造で、アメリカ映画風に、なったわけではないのだ。
 戦前日本映画のほうが、むしろ戦後日本映画より、アメリカ映画に近かったくらいのものだ。もちろん、それは、単なる片思いの面も、あったりするわけだが。
 小津も、マキノも、清水も、阿部ジャッキーも、山中も、いかに、アメリカ映画の快を日本的に表現しうるか、考えていたのではなかろうか。
 そして私見によれば、戦前日本映画で、一番「アメリカン感覚」の映画を作っていたのが、意外と思われるかもしれないが、実はミッキーナルセなのだ(笑)。一番アメリカン感覚がサマになっていたのが、ミッキーナルセ映画なのだという、意外性。
 いや、実は、ぼくは、ぜんぜん、意外とは、思わないのだが。
 もともと戦前松竹系監督の、欧米ティストは、きわめて特徴的だったが、それを極めたのが、かの成瀬であるという(笑)。
 本作が成瀬巳喜男の黒歴史とされることも、わからないではない。確かに、上っ調子、うわっすべりな映画だ。
 しかし、当ブログが、前々から書いたように、
1 成瀬映画は、常に、ふたりの女がひとりの男を争う映画である。
 本作でも、山根寿子と高峰秀子が、藤田進をめぐって、争う。
2 成瀬映画は、女同士の争いとは真逆に、徹底して、男同士の争いを回避する。 本作は、いわば一種の(笑)政治映画なのに、結局争いは、なあなあに収束されていく。
 きわめてめずらしい「政治映画」。少しは、成瀬の弟子・山本薩夫の、骨太政治映画を見習っては、と思うが、しかし、それこそが成瀬なんだよね。 
 というところで、眠くなったので、成瀬巳喜男「浦島太郎の後裔」感想駄文は、また後日(笑)。 

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by mukashinoeiga | 2013-11-22 23:42 | 成瀬巳喜男映画の正体成瀬る | Trackback | Comments(0)

山本薩夫「お嬢さん」

 京橋にて。「よみがえる日本映画-映画保存のための特別事業費によるvol.6東宝篇」特集。37年、P・C・L。
 ぐぬぬぬぬ、ナンじゃこりゃあ。
 凡作。というか、不出来な珍品。
 東京の山の手のハイカラ金持ちお嬢さん(霧立のぼる)が、母親(清川玉枝)から、やいのやいのとの、見合い結婚の催促、これはたまらんと、「女の自立」を目指して、叔父さん(嵯峨善兵)の紹介もあり、九州の南端のど田舎の離れ小島の、実科(実業高校という意味か)女学校の英語教師として、赴任する。
 といっても、戦前の離れ小島に、小学校ならともかく、高等教育に相当する女学校がありえたのか、というところがそもそもの疑問の、ファンタジーなのだが。九州南端の離れ小島って、まさか沖縄のことか(笑)。
 とうとう映画では、その地名が語られることはないのだが。謎の九州南端なのである(おそらく九州ロケなんかしていないだろう)。
 という本作の、プログラム・ピクチャアとしての、目指す地点は、ナンなのかすら、意味不明なのだ(笑)。
 通常なら「坊ちゃん」女性版の、学園モノか、都会のインテリ女性の地方探訪(赴任)モノか、はたまた「女の自立」モノか。
 本作は、そのいずれとも違う、きわめて変則版で。なんとも珍しい。プログラム・ピクチャアの癖に(笑)いかなるジャンル映画の、規範からも、逸脱している、というか、いかなる要素も中途半端というか。
 学園モノとしても、「女の自立」モノとしても、中途半端。謎の女の子(笑)として、画面をうろちょろする高峰秀子がらみの、人間ドラマ?も、中途半端。
 72分の尺に、いろいろな要素を詰め込みすぎた構成の失敗かもしれぬ。おそらく山本薩夫の師匠である、成瀬巳喜男が作ったら、スラスラ流れるように、流麗に処理したのだろうが、骨太な社会派は得意でも、こういうナンパなジャンルは、トコトン苦手そうな山本薩夫なのだろう。
 まあ、完璧に苦手そうなジャンル、かつ監督デヴュー作ですからね。不出来なのも当然か。
 松竹メロも苦手ゆえか、師匠の成瀬のお供をして、松竹からP・C・Lについてきた山本だが、一体成瀬とは相性がよかったのか悪かったのか、不思議(笑)。
 そして、本作をさらに混乱させ、完全にジャンル分けすら不能に追いやったのは、隣り合わせの部屋に下宿する先輩女教師との、奇妙な同棲?生活を、長々と描写したサイド・ストーリーが、あまりに奇妙かつ微妙過ぎる。
 学園モノとも、女の自立モノとも、まったく相性の悪い描写が、学園モノ、女の自立モノのジャンルである(べき?)メイン・ストーリー?を、津波のように押し流しているのが、本作の出来をさらに「悪化」しているとしか、思われぬ。
 しかし、本作の原作が吉屋信子と知れるや、氷解。
 (精神的)女子同性愛の本家本元、吉屋信子なら、むしろこの女性同士の同棲こそ、サイドじゃない、メイン・ストーリーでは、ないか(笑)。
 心ならず、ならぬ、自ら望んで(笑)本来の自分とはまったく異質な環境に流れてきた霧立のぼるという貴種流離譚と、貧しく苦しい恋に悩む沢蘭子との、異種組み合わせの、女の友情密着ライフ。
 妙に下でに出るセンパイ女教師、コウハイなのに妙にタカビー(死語失礼)で、タバコすぱすぱな、霧立。このふたりの、女の友情メロという、究極の軟派な話を、無骨政治ドラマメロに才を発揮するヤマサツが、到底処理しきれるとは、思えない(笑)。師匠の成瀬でも、当時としては、ムリだったのではないか。
 思春期の女学生同士のエス関係なら、まだ世間も納得できよう。同時代東宝の最強ガールズ・ムーヴィー石田民三映画がそれを証明している。
 しかし、れっきとした大人、女学校の女教師たちの(精神的)女子同性愛など、当時としては受け入れられるはずもなく、また、こんなセンサイな感性など、たとえ成瀬の助監督だったにしろ、ヤマサツには、到底無理難題だった。
 うーん、当時としては、石田民三なら、かろうじて可能だったか。
 ヤマサツ、男勝りの山崎豊子原作映画ならお手の物だが、吉屋信子は、ちと、きつすぎたなあ(笑)。
 なお、本作のモンダイは、もうひとつあるのだが(出演者クレジットのミスプリ問題)長くなったので、また後日。 

◎おまけ◎ 本作のストーリーを、例によって、完璧に、流麗に紹介する以下のブログの素晴らしさ。ストーリーを紹介しつつ、同時に批評する、流麗なユーモアも最高な名人芸の素晴らしさ。かないません。
 その批評には、まったく同意いたします。
★【映画】お嬢さん - いくらおにぎりブログ★
 なお、ぼくもいくらおぎにりさんも、まったく無視しているのは、偶然か必然か。
 嵯峨善兵の友人にして、とっても愛らしい霧立に思いを寄せるのが、スマートな「青年実業家」北沢彪。
 かっこよく、「ぼくたち、たまたま金のある家に生まれたものは、もっとスマートに、お金で事態を解決しませんか?」が、おそらくヤマサツとしては、ブルジョア批判の嫌がらせとして出したのだろうが、北沢彪、あまりに天然過ぎて、こっちが勝って、かっこよすぎるぞ(笑)。ヤマサツ、ブルジョワに負けてるぞ(笑)。
 北沢彪、かっこいいぞ(笑)。

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by mukashinoeiga | 2013-11-20 00:01 | 山本薩夫傷だらけの左傾山河 | Trackback | Comments(4)

森永健次郎「美しき別れの歌」

 阿佐ヶ谷にて。「蔵出し!日活レアもの祭」特集。60年、日活。11/19(火)まで、上映中。
 いやあ、これは、間然するところがない、快作ですな。楽しい素晴らしい。
 たった47分の中篇ながら、ぎっしり詰まった、大お得映画。
 (新人)とクレジットされる笹森礼子の魅力満点。かわいらしくハツラツとして、何よりも、微妙な表情の演技力が最高。
 以後、日活娯楽アクションのルーティンワークとして、さほど演技力を必要とされない、お飾りのヒロイン役に多用されていくだろう彼女の、本来の美質が、垣間見れる。
 その父、宇野重吉の過剰とも思える顔芸、くさい芝居、小芝居も連発するが、臭みをまったく感じさせない好印象。元祖草食系のさっぱりさが、過剰な小芝居のクサミを、相殺したのか。とにかく、クサい演技なのに、さわやか(笑)。なんだ、そりゃ。
 笹森の「第二の」お見合い相手・波多野憲(碁会所における宇野重吉の碁仇でもある「囚人心理学」研究者)も秀逸で。
 何より、脚本、演出の素晴らしさ。TVドラマ並みの上映時間ながら、過不足もない。下手な演出・脚本の映画が、しばしば90分の上映時間に膨らませるために、いかに、メタボな演出・脚本を繰り返すかが、よくわかる(笑)。
 笹森礼子が、長年の夢、高校生のときから立てた人生プランを、あっさり放棄するのも、これが90分の映画なら、なんだそりゃ、と違和感を感じるところ、万事スピーディーな47分の中篇なら、納得、かと(笑)。
 最後、娘を嫁がせた夜の宇野ジュウのひとり芝居、小津映画の笠智衆に勝るとも劣らない(笑)。軽味が、いい。
 しばしば才能のない映画監督たちが、だらだらと90分、時間を引き延ばし引き伸ばし、苦慮しているさまが、本作のランニングタイムの短さから、逆にわかるような気がする。
 まったく関係ないが、80分90分のオトコ・三隅研次の、短編なり中篇なりを、逆に見てみたかった(笑)。見果てぬ夢やね。

 なお、中篇ゆえ、本作には同時上映あり。
堀池清「お嬢さんの散歩道」
 阿佐ヶ谷にて。「蔵出し!日活レアもの祭」特集。60年、日活。11/19(火)まで、上映中。
 同時上映ゆえの再見作。こちらも、楽しい。ただし、「美しき別れの歌」はどでは(笑)。50分。
 笹森礼子が田園調布のお屋敷の女中さんに、なる、明朗篇。
 「美しき別れの歌」ほどは演技力が要求されないアイドル映画のため、笹森礼子はアイドル女優としてのみ、輝く。演技者としての潜在能力は、封印されて、いる。
 勤務先の父親に、清水将夫。びっくりしたときに、絵に描いたような団栗眼。おいおい(笑)。
 前々から、重厚な割には、ワンパタな清水将夫、いつもいつもあいも変わらぬ演技に、その声その顔その演技、快だと思っていたが・・・・うーん、宇野ジュウと比べると・・・・いやいや、宇野ジュウも、決してうまい役者とは思えんが(笑)。いや、意外とうまいのか(笑)。
 しかし、ひとつだけいえるのは、この時期の日活好青年・沢本忠雄は、ホントにさわやか(笑)。何で、すぐ消えちゃったのか。
 ラストショット、田園調布の坂道で、信じられないくらい遠いところにいる、笹森&沢本。ナイスショット。映画的(笑)。
 なお、日活おなじみの脇役・土方弘が、かなりいい役(色悪な雑誌編集長)で、キュート。
ホントのお嬢さんに松尾嘉代、というのがミスキャスト気味(彼女も、また、(新人)とクレジット)。

★美しき別れの歌 | Movie Walker★
★お嬢さんの散歩道 | Movie Walker★
 この「お嬢さんの散歩道」の英語タイトルって(笑)。盗むも何も、キスシーンなんてなかったはずでは(笑)。

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by mukashinoeiga | 2013-11-18 21:58 | 傑作・快作の森 | Trackback | Comments(0)

中川信夫「虞美人草」

 京橋にて。「よみがえる日本映画-映画保存のための特別事業費によるvol.6東宝篇」特集。41年、東宝東京。
 素晴らしい。
 夏目漱石原作を、品のいい青春恋愛映画の佳作に仕立てた中川信夫らしい端正さが、見事に現れている。
 鑑賞後、ネットで二三のブログを見たが、意外と評価は低い。ぼくの映画の見方は、やはり、おかしいのか(笑)。
 なかには、B級怪談映画の中川には、文豪原作の文芸映画は、荷が重すぎた、というような意見があったが、いやいや、初期中川信夫文芸映画のなかでも、本作は、突出して、すばらしいと感じたは、やはりぼくの映画を見る目のなさかしらん(笑)。
 しかし、感想駄文済みの野村芳太郎「素敵な今晩わ」、森一生「ほんだら捕物帖」も、ぼくは楽しかったが、ネットであたった感想は、否定的なほうだった。お邪魔ビンラディンさんの高評価が、ぼくにはうれしかった(泣)。
 おそらく、品のいい、低刺激な、端正な映画は、今の人たちの好みに合わないのだろう。そう思うことにした。

 さて、本作を見始めたら、初見なのに、なんとストーリーや登場人物に既視感ありまくり。
 それもそのはず、今年5月の渋谷シネマヴェーラでの溝口特集で、見たばかりの溝口健二「虞美人草」(35年、第一映画)の6年後のリメイク。 当然同じ原作、同じ話。
 そして、この溝口版に対しては、当ブログの感想を、一切書いていない。自分の見た映画は、なるべく百パー目指して感想駄文するつもりではいるのだが、溝口版は、なんとも、感想を書く気にならなかった。何のフックも、感じなかったからだ。
◎注◎自分の見た映画は、なるべく百パー目指して感想駄文するつもりではいるのだが・・・・とは、言うものの、新作の邦画・洋画に関しては、それ専門の「新・今、そこにある映画」というブログを作っておきながら、見た映画の十本中一本くらいしか、感想を書いていない(笑)。駄目ですねー。

 ぼくにとっての溝口映画は、尊敬すれど、愛せない。どの映画を見ても、端正であり、長まわし・クレーン撮影など、素晴らしいし、 「雨月物語」の霧の湖水描写もすばらしいのだが、愛せない。
 溝口映画は、ぼくの心に何の情動も、喚起しない。ぼくは、溝口映画に関しては、不感症なのだ
 溝口の名作とされるどの映画を見ても見ても、いや不感症なのは、ぼくのほうじゃない。溝口こそ、冷感症なのだ、という映画ばかりなのだ(もちろん少数の例外はありますが)。やはりぼくの映画を見る目のなさかしらん(笑)。

 本作中川版は、映画版自体も素晴らしいし、キャストも充実。言うまでもないことだが、溝口版に、圧勝。
 哲学者・高田稔(その妹に霧立のぼる=霧立ち登る、宝塚女優らしい駄洒落芸名、大地真央=抱いちまお、黒木瞳=黒き瞳、有馬稲子=有馬のいい猫=有馬猫騒動の猫は怖い猫だったけど、こっちは、いい猫よ)、
 外交官試験浪人・江川宇禮雄(その妹に、超絶キュートな花柳小菊)、
 銀時計の秀才にして、博士論文執筆中の北沢彪(その許婚に花井蘭子)。皆々素晴らしい適役ぶり。ナイス。
 そして、博覧会の圧倒的大セット。大群衆。ああ、いいなあ。
 実際に「明治」を、身をもって体験しているスタッフたちが、昭和の御世に再現した、映画的明治の楽しさ。
 博覧会(いかにも開国期明治らしい西洋「風」イヴェント)、なぜか人の口の端に上るのが「台湾館」一番人気だ。
 大学卒業後、二年しても何の職業にもつかない書斎人・高田稔、その友人で外交官試験に落ちて一浪中のお気楽江川、成績一番で大学を卒業して、その記念品の銀時計をもらって博士論文執筆中の北沢、
それらに感化された妹たち、霧立のぼる、花柳小菊らの、インテリ男女による恋愛・結婚談義、人生談義を、品よく清潔に描いていく中川信夫版を見た後で、溝口版を回顧すると、職人・溝口が、これらの青年男女の知的会話に、まるきり乗れなかった、興味も理解もなかったのが、よくわかる。
 だから、一向に興味が湧かなかったろう知的会話は考慮せず、ひたすらそのメロドラマ展開を性急に追っていたのも、あるいは、やむをえない。インテリ同士の知的会話なんて、そうでない溝口には、何の感興もないことだったろう。
 中川版ストーリーのキモが、メロドラマ展開にあるわけではなく、その知的会話の応酬にあることは、明らか。そういう意味で、溝口版が、よくわからない、味も素っ気もないメロドラマに堕していたのに比べ、中川版の知的明朗さ、その映画的楽しさに満ちていることは、見ていて明らか。ホントに、楽しい。
 原作と違って、主役男性の中でもっともいい加減な「外交官浪人生」を主役に、主役女性の中でもっとも古風な日本女性(昔の教養はあるが西洋的近代知は、ほとんどない)を主役に、「改変」した溝口健二の、わかり安すぎるホンネ。原作とは真逆な、インテリ忌避。
 ミゾケン、わかりやす過ぎるぞ(笑)。
 しかし、そういうインテリ談義とは別に、本作の花柳小菊愛らしすぎ、花井蘭子可憐過ぎ、ちょい悪役な霧立も、西洋のお人形さんみたい、女優は、全員絶美。高田、江川、北沢、彼ら共通の友人・嵯峨善兵も、みなグッド。
 オトナシメの箱入り娘と思われた、花柳小菊が、ラスト、高田・霧立兄妹の母・伊藤智子に、大逆転の自己主張、ちょっとキャラが違う気もしたが、かわいいので許す
 花井蘭子の父・勝見庸太郎が、いつものガハハ系と違う静かな演技。この端正さも中川ならではか。
 中川信夫の代表作、その一本だ。

★日本映画データベース/溝口版虞美人草★

★日本映画データベース/中川版虞美人草★

溝口健二 - 虞美人草/Kenji Mizoguchi - Poppy(1935)

 参考までに。なお、記憶によれば渋谷上映版は、こんなに雨が大降りの、薄汚い映像ではなかったような?

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by mukashinoeiga | 2013-11-15 02:05 | 傑作・快作の森 | Trackback | Comments(2)