<   2013年 03月 ( 17 )   > この月の画像一覧

新藤兼人「流離の岸」西河克巳「永遠に応えず」

新藤兼人「流離の岸」
 京橋にて。「よみがえる日本映画-映画保存のための特別事業費によるvol.5日活篇」特集。56年、日活。
 母・乙羽信子と、娘・北原三枝(少女時代は、仁木てるみ)の、母子二代にわたる<女の苦悩>を、描くメロドラマ。
 ただし、メロドラマがまったく似合わない映画会社・日活で、メロドラマがまったく似合わない映画監督・新藤兼人が、メロドラマがまったく似合わない映画女優・北原三枝を主演に撮ったために、いかにもおざなりでぐだぐだの結果に。
 特に、明朗明晰な娘を演じたら、最高の魅力を発する北原が、くずぐず悩む女性を、それが彼女の資質にまったくないので、おそらくどう演じたらよいのかわからず、あやふやな演技のままで。
 乙羽の再婚相手・金子信雄が、顔をゆがませた、陰険そうな男なのに、意外といいやつだったり。しかし、妻や義理の娘の、女の機微までは、理解しない。
 北原三枝が、同級生の兄・三国と恋愛結婚、甘い新婚生活のはずが・・・・。同級生(三国の妹)の「鬼畜」ぶりを、スルーするのは、納得いかないぞ。

西河克巳「永遠に応えず 完結篇」
 京橋にて。「よみがえる日本映画-映画保存のための特別事業費によるvol.5日活篇」特集。58年、日活。
 日活のメロドラマが、似合わない、つまらない、ことは新藤兼人「流離の岸」 、本特集でも上映された森永健次郎「花のゆくえ」 (感想駄文済み)でもわかっていたので、本作の前編「永遠に応えず 青春篇」は、見れなかったこともあり、スルー。
 後編だけ見たら、これは意外なことに、なんとも、佳作であった。前篇も、見たくなった。
 なぜかというと、日活らしく、登場人物たちが、ずるずるぐずぐずに、ならない。邪恋、我欲に執着しない。
 ヒロイン・月丘夢路(全盛期の美しさ)に、恋する男たち、葉山良二、安井昌二、水島道太郎たちも、「流離の岸」の三国連太郎のように、男女の仲を、ぐずぐずどろどろの人間関係に、持ち込まない。むしろ、さっぱりと、身を引くタイプ。
 長年、親身になっている大坂志郎も、月丘が幸せになれるなら、わてなんかどうなっても、かましませんタイプ。安井の元カノ・浅丘ルリ子も、大坂の妻・稲垣美穂子も、自分の男・夫が、月丘に傾倒するのを、さっぱり認め、嫉妬などしない。
 通常のメロドラマなら、月丘をよこしまな目で見てものにしようとするだろう、著名画家・小杉勇(ルリ子の父)も、どちらかというと、慈父の目に近い目線。
 例外は、夫と月丘の仲を疑う、嫉妬に狂う小杉の妻・村瀬幸子。この人くらいで、後は、水島の別れた妻・利根はる恵くらいか。でも、利根も、翌日は、すっぱり「改心」するし。
 ヒロイン・月丘も、身を引いて、身を引くあまり、日本各地を放浪するし。しかし、すれ違い、すれ違いの連続で、ラストも壮絶な悲劇が、突然月丘を襲う。ただ、あまりに壮絶すぎて、いささか、メロドラマのためのメロドラマの感あり。複雑に絡み合う人間関係も同様。
 前記「花のゆくえ」同様、原作のラジオドラマが、森永製菓、月星製靴がスポンサーだったためか、その看板、のぼり、宣伝入りベンチが、あちこちのイベント会場、観光地に、配置されている。菓子屋がメロドラマ? ターゲットが家庭婦人で、その子供目当てという深謀遠慮か。
 あまい恋愛ドラマで母親を釣って、そんなメロドラマにうつつを抜かしていて、あたしったら、母親失格ね。罪滅ぼしに、そうだわ、子供に森永の甘いお菓子を買ったげようかしら、というような(笑)。すごい宣伝戦略だ(笑)。これこそサブリミナル?(笑)。
 浅丘ルリ子は、子供から大人になる淡いの、最高の美貌を発揮して、主演でないのが、惜しいくらいだ。森永のお菓子なんて、問題にならない(笑)。

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by mukashinoeiga | 2013-03-31 20:05 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(0)

田中徳三「鯉名の銀平」「剣に賭ける」

田中徳三「鯉名の銀平」
 神保町にて。「時代劇の粋と美学 大映京都の二枚看板 田中徳三と三隅研次」特集。61年、大映京都。
 伊豆下田の元ヤクザ、今はかたぎの船大工・市川雷蔵と、成田純一郎(例によって、雷蔵と、オーラのない二枚目新人との、ダブル主演)。
 おそらく雷蔵が忙しすぎて、出演の数を稼ぐには、ダブル主演の新人を使い、雷蔵の出演シーンを減らして、なおかつ、主演というスタンスを保つためなのだろうか。しかし、作ってみれば、雷蔵の出演シーンは。それなりに多い。これぞスタアの実力。
 よそ者の、悪徳ヤクザ(「中国化された」実力=暴力的な、経済ヤクザの)安部徹・名和宏の組に、散々痛めつけられ、ついには、剣を振るう。おなじみ長谷川伸原作の、流浪の股旅ロマン。
 でも、田中徳三演出、いまひとつふたつみっつ、こくがなくて、そこそこのおもしろさなんだよなあ。
 ヒロイン・中村玉緒が、一人二役。メインのかたぎの生娘を演じるときは、例によって、あまりにセクシーすぎて、ミスキャスト。雷蔵を誘う、なぜか雷蔵の思い人と、激似・うりふたつの夜鷹のときは、柄に合ってグッド。ホントにセクシー。いろっぽい。

田中徳三「剣に賭ける」
 神保町にて。「時代劇の粋と美学 大映京都の二枚看板 田中徳三と三隅研次」特集。62年、大映京都。
 雷蔵が、剣の奥義を極めんとする青年剣士・千葉周作。禁欲的な青年剣士を演じて、雷蔵の右に出るものなし。
 以上。
 まあ、平準的で、凡庸かつ、そこそこ面白いプログラム・ピクチャア。それ以上でも、それ以下でもない。
 しかし、見れば、必ず、楽しめる。そこが、大映プログラム・ピクチャアの奥深さ。
 この感想駄文を見て、ああ、この映画は、見る「必要」はないな、と判断されたら、そういう方には「映画好き」を名乗ってほしくないと、と思う。

◎おまけ◎いやあ、マニアックだなあ(笑)。ナレーションも、暑すぎ(笑)。字幕をクリックすると、日本語字幕が現れます。

Japanese Katana VS European Longsword - Samurai sword VS Knight Broadsword
弾丸 VS 日本刀 こっちは、短いので、字幕はいらんか。日本刀の実力、恐るべし。


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by mukashinoeiga | 2013-03-29 00:30 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(0)

三隅研次「千羽鶴秘帖」「二匹の用心棒」

三隅研次「千羽鶴秘帖」
 神保町にて。「時代劇の粋と美学 大映京都の二枚看板 田中徳三と三隅研次」特集。59年、大映京都。
 市川雷蔵と、新人・鶴見丈二の、ダブル主演作。
 美剣士を演じる、鶴見、その後の活躍は、今に伝わってきてはいないが、やはり「美男子だけじゃ、ダメなのよ」の結果か。お顔がつるつる美しいが、しかし何の特徴もオーラも引っかかり(魅力的なフック)もない、単なる美貌(水準的平準的な、整った顔だち)では、人の印象には、残らない。
 そういう、星の数ほど、あまたあった、一発屋の美男美女俳優 の一人で。
 一方、雷蔵は、いや、ぼくは昔から、そう思っているのだが(雷蔵ファンの皆様、ご寛恕を)それほど、美貌とも、いい顔だとも、思っていない。しかし、その平凡な顔だちにもかかわらず、なぜか、スタア・オーラが、ある。
 本作でも、市井の義賊(というのも、おかしいのだが。通俗時代ドラマの、お約束のヒーローの一人)として、父の敵を狙う海賊集団の若きリーダー・鶴見(こちらも、通俗時代ドラマの、お約束のヒーローの一人)を、影に日なたにアシストしていく。
 雷蔵と敵対しつつ、時には色仕掛けで雷蔵にハニー・トラップを仕掛ける、まるで「中国化した」「峰フジ子」みたいな、女盗賊を左幸子が、快演。
 スーパーではないが、見ているあいだは、クイクイ楽しめる娯楽映画の一篇。

三隅研次「二匹の用心棒」
 神保町にて。「時代劇の粋と美学 大映京都の二枚看板 田中徳三と三隅研次」特集。68年、大映京都。
 本来は、主演の雷蔵が病気降板、代わりに本郷功次郎で撮影、って、つい最近本郷が亡くなったこととあわせると、二重の意味での、追悼上映か。
 雷蔵から、本郷に主役交代があったせいか、本郷のキャラに合わせて、長谷川伸「関の弥太っぺ」戦後五度目の映画化という本作は、コメディ方向に大幅シフト。
 もっとも、ダブル主演・長門勇(当時TV「三匹の用心棒」で大人気。本作のタイトルも、それに、あやかる)の、明朗さにひきづられていたのか。そういう意味では、TV人気便乗の映画に、雷蔵が出てこれなかったのは、雷蔵の晩節を「汚さなかった」モッケの幸いか。
 コズルイけど、憎めない、メタボ体質のワリにアクション、立ち回りの切れは、バツグン、長門勇ならではの快演が、本来の主役・本郷を食いまくる。
 では、もともとの主役・雷蔵は、当時最人気のTVスタア長門勇に、食われたのか、食われなかったのか。ああ、このコラボ、見てみたかったぞ。
 「関の弥太っぺ」映画で、もっとも名高い63年、山下耕作版で、弥太っぺヨロキン、お小夜十朱幸代が演じた二人を、本郷、高田美和。
 しかし、泣かせの話にも、陽性・長門と、明朗・本郷が絡むと、それほどには、泣かせには、行き着かない。
 高田の祖母・長岡輝子、ヤクザの親分・安倍徹、その情婦・赤座美代子が、いい味。
 スーパーではないが、見ているあいだは、クイクイ楽しめる娯楽映画の一篇。
◎追記◎なお、冒頭、赤座美代子の駆け落ちの相手として、なんと田武謙三が出てくるが、こりゃあ田武謙三史上、一世一代の持て男かと思ったら、案の定、駆け落ちを装った、赤座美代子売り飛ばしの偽装駆け落ち、実は女衒であることが判明。安心した(笑)。

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by mukashinoeiga | 2013-03-28 00:48 | 三隅剣児女なみだ川と大魔剣 | Trackback | Comments(0)

うーん、すさまじい

 なんという人間関係だろう。今村昌平が存命なら、絶対映画化していたろう
★下村大介★
本当に不謹慎ながら、まるで映画みたいな、濃密さ。
 イマヘイの息子の天願大介、大介つながりで、どうだ。
 大変不謹慎ではあるが、並みの物語作家の考え付かないところから、飛び道具みたいに、「現実」は、やってくる。

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by mukashinoeiga | 2013-03-27 21:18 | うわごと | Trackback | Comments(0)

大島渚「マックス、モン・アムール」

 渋谷にて。「追悼! 大島渚」特集。87年、フランス。
 鑑賞後、二、三のぞいて見たネットでの感想は、あまり芳しからぬようだが、おそらく大島渚の(ある意味での)最高傑作では、ないか。
 つまり、遺作にいたるまで、はったりに満ちたアヴァンギャルドな映画を作り続けた大島が、おそらくデヴュー作「愛と希望の街」をのぞいて(第2作「青春残酷物語」を未見のままに)ただ一作撮ったウェルメイド・ドラマとして、傑作なのだ。
 渋谷のほぼ満員の場内も、私も含めて、その艶笑ギャグに、爆笑しておりました。
 そもそも、これまた「愛と希望の街」をのぞいては、大島が撮った、唯一の「ホームドラマ」「コメディ」なのではないか。
 「唯一の完全外国映画」で、ほぼ「唯一のウェルメイド・コメディ」を作ったとは、なんと、屈折した(笑)。
 本作の売りというか、内容を一行で表すとすれば、
「妻の不倫相手は、サルだった」
 ということになると思う。そうして、人々の目には、そういう珍奇なキャッチーな「異種間セックス映画」という風に興味本位でとらわれてしまうだろうが、ぼくの見るかぎり、本作のキモは「大島渚が生涯でほぼ一作だけ撮った、ホームドラマ」ということに、尽きる。
 あるいは、フランス(というか、ヨーロッパ)映画お得意の艶笑コメディと、大島の(不本意ながらの出自)松竹メロドラマ/ホームドラマとの、ハイブリットな合体。そういう意味で、大島にとっては、このホームドラマ、助監督時代に昔取った杵柄として、きわめて滑らかに、ウェルメイドに進行していく松竹ホームドラマの、延長上にあるものだろう。
 ホームドラマでは、最終的に家族の崩壊は、ありえない。崩壊したら、それは社会派ドラマに、なって、しまう。あるいは「不条理ドラマ」に。
 そこをぎりぎりの段階で踏みとどまって、なおかつ大島の教養の範囲内にあるかどうかわからないが、共同脚本ジャン・クロード・カリエールの教養のなかには、確実にあるだろうルビッチをはじめとする艶笑不倫コメディの数々への目配せ。
 たとえば、ルビッチお得意のドア描写の多用。ドアの向こうでの、いかなるみだらな行為がドアに隠されているのか、妻の隠れ家的アパートのドア、チンパンジーの檻の格子ドアに、それはあからさまに援用されているだろう。
 そして、渋谷の場内をたびたび沸かせるコメディタッチの数々。ウェルメイド・コメディを撮ろうと思えばらくらくと撮れる大島渚の、「松竹ホームドラマ回帰」。それが、ほぼ唯一の外国映画でしか、実現しないという悲喜劇。結局、大島は、国内映画では、虚勢を張って、甘えていただけということですか。
 あるいは、「妻の不倫相手がチンパンジー」ということだけで、所定のはったりを使い果たし、後は、正攻法に「走った」ということか。
 しかも、クライマックスの<4WDの凱旋走行>描写(文字通りに凱旋門の通りを凱旋する!)は、さながらハリウッド映画のような、<街中が祝福する恋>そのもので。ここで終われば、まるで絵に描いたハリウッド映画みたいだし、最後に、ヒロインのシャーロット・ランプリングを、間に挟んで、チンパンジーのマックスと、夫のアンソニー・ヒギンズとキスしあい、抱擁し合えば、そのままルビッチだった。
 しかし、ここで終わっては、オレ様大島渚映画じゃない、フランス文芸映画じゃない、ということで、苦い結末(ランプリングの見た夢の話)を、くっつける。でも、それは、蛇足、面白くもなんともない。
 主演シャーロット・ランプリングは、夫には「反抗的」だが、マックスに対しては、120パーセント献身的。メイドの女の子は、これ以上ないくらい、主人夫婦思い。本作でも、大島渚映画の女性は、素直な子ばかりということで、つまり反逆は男の専売特許という大島映画の<反動性>が、またしても証明された形か。
 なお、最初は敵対していたような三者が、性的な「何か」で結びつきあうのは「夏の妹」「戦場のメリークリスマス」「御法度」でも同様な、大島セオリーか。

 蛇足だが、今回ネットをあさってみて、本作のあらすじを200パーセント誤読したブログを発見。
★■日本映画の感想文■マックス モン アムール★
 これがぼくのテキトー弱小ブロクと違って、OLD映画ブログとしては、一目も二目もおかれているらしいブログなのに、この、おそらく一行たりとも、本作のストーリーと合っていないものを書くとは、よほど本作に恨みがあるものか(笑)。わざと誤読しているにせよ、仮にも、ぼくなどのブログと違って「信用と実績のあるブログ」としては、どうなのか。ギャグとしても、つまらないし。



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by mukashinoeiga | 2013-03-25 01:14 | 大島の渚に寄せる新波かな | Trackback | Comments(0)

原田治夫「黒い樹海」

 神保町にて「松本清張と美しき女優たち」特集。60年、大映東京。
 原田治夫という、あまり聞かない監督さんと、数少ない叶順子主演作ということで、見てみたが、これは、なかなか繊細なB級サスペンスの佳作ではないか。
 調べてみたら、原田は本作の同年作「明日から大人だ」 (感想駄文済み)を、最近阿佐ヶ谷で見ている。あれは、平凡な出来であったが、本作のシャープさは、特筆すべきものがある。 
 下手な監督さんが作ると、ちゃちになりがちなサスペンス・シーンを、これでもかと、押していて、映画なれしているぼくが見ても、出色の出来のシークエンスが、いくつもある。特に叶順子が、車の中で襲われるシークエンスと、アパートの廊下の物音に聞き耳を立てる叶順子のシークエンス、いきなり麻酔をかがされる叶順子のショットは、出色。すばらしい。
 で、また、叶順子が、いいのよ(笑)。
 ホームドラマやコメディなどで、<若尾文子の妹分格>で助演すると、なんだか若尾の引き立て役みたいなもっさり感がある叶だが、サスペンス映画のなかで、緊張感あふれるショットの、この叶は、素晴らしい。
 もし、映画がつながらない、つじつまが合わないと観客が感じるとしたら、それは俳優のせいだ、俳優のオーラ不足のゆえだ、と嘯いた鈴木清順の言に習えば、どんなサスペンスも、叶の表情、演技で、冴え冴えと、「つじつま」が、合ってしまう。演出だけではなく、叶順子の表情一つ一つが、サスペンスを、さらに生み出していくのだ。すばらしい。
 容疑者たちに、北原義郎、根上淳、浜村純、伊藤光一、村田知栄子など。北原の読めない表情、根上お得意のオカマ言葉も、いいが、白髪文化人・浜村純が、金にあかせてのモテモテ男だけは、納得がいかないぞ(笑)。浜村純史上最高のモテモテ振り。緊張感あふれるサスペンスのなかで、藤巻潤のつっころばし振りとともに、箸やすめであった。グッド(笑)。

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by mukashinoeiga | 2013-03-24 08:16 | 傑作・快作の森 | Trackback | Comments(0)

佐々木康「そよかぜ」

 阿佐ヶ谷にて。「素晴らしき哉、SHOWBIS人生!」特集。45年、松竹大船。3/26(火)まで上映中。
e0178641_0394172.jpg そのあまりに有名な主題歌並木路子「リンゴの唄」に比べても、めったに上映されない本作で。しかし、これは、なかなか、いい。
 1945年10月に公開された本作の、主題歌「リンゴの唄」は、戦後初の大ヒット曲となり、以後、終戦直後を舞台にした映画・ドラマの、戦後闇市風景に、必ず流れる流行歌として援用され、日本の敗戦直後を表徴する曲として、永遠に刻まれている。
 金美齢だったか、戦後日本から切り離され、暗い時代であった台湾にあって、「台湾を捨てた日本」で、「リンゴの唄」という「底抜けに明るい曲」がヒットしているのを知って、「日本を恨んだ」(大意)というエッセイを読んだ記憶があるが、それくらい時代を象徴する曲に「昇華」していた。

 しかし、そのモトとなった映画は、なかなか上映されない。ぼくも今回、やっと、見れました(笑)。
 45年10月の公開。ということは、終戦直後から制作されたと思しい。
 戦前からの大スタア、上原謙、佐野周二、松竹三羽烏のうち、佐分利信をのぞく二人を使うという贅沢さ。
 なのに上映時間は、60分という中篇である。やっと戦争が終わりました。でも、封切る新作映画は、足りません、というところで、いかにも急造で一本撮りましょう、という感じだろうか。佐野と高倉彰は、まだ戦時中の坊主頭で。
 上原、佐野、斎藤達雄、高倉彰(この人だけ、ぼくは印象がない)ら、戦前松竹おなじみの人たちが、ある楽団に所属している。このメンツだけで、すでにうれしい。で、彼らが目をつけている将来有望な歌手になりそうな娘が、並木路子。この並木が、コーラスガールですらなく、劇場の照明係というのが、王道の趣向ながら、うれしい。本作の上原、斎藤、伊藤光一も出演している島津保次郎「浅草の灯」37年、松竹大船などからの、おなじみのお話なのだ。
  そういえば、本作の上原、斎藤、奈良真養も出演の島津保次郎「男性対女性」36年、松竹大船も、桑野「通子」が劇場照明係でした。そういう安定感。
 照明係の並木と、その母は劇場の売店担当、この母子と、上原、佐野、斉藤が、共同生活を送る。隣家は、新婚ほやほやの三浦光子、高倉彰。この交流のほのぼのさ。
 並木路子は、ちょっと個性の強い顔だが(鬼娘ラムちゃんっぽい)慣れれば、笑顔がかわいい。主演アイドルとしても、いい。

 なお、ウィキペディアによれば、
このような時世において映画業者もどのような映画を作ったら良いのか思案に暮れていたが、楽しい映画を作るしかないと考えた松竹は、1945年の8月上旬に企画していた「連日の空襲で意気阻喪している日本人に、せめて映画を観ている間ぐらいは連夜の恐怖を忘れさせるような明るい映画」[1]を改めて企画に持ち込んだ。その脚本は、岩沢庸徳が戦時中に書いていた戦意高揚映画「百万人の合唱」の脚本を作り変えたものであった[2]。

音楽はサトウハチローと万城目正に依頼したが、監督の佐々木が早撮りで有名なこともあって、映画の撮影に主題歌が間に合わなかった。そのため、並木はリンゴ畑で歌うシーンの撮影時は「丘を越えて」を歌い、アフレコ時に「リンゴの唄」を吹き込んだ[2]。このような過程を経て制作された末にCIEの検閲をパスし、映画の公開に至った。

 というような、出たとこ勝負の急造ぶりだが、その証拠がこれ。

 歌う並木のアップを避け、ロングショット多用、リップ・シンクロもはなから無視、しかし、当時の感度の低いフィルム、破れかぶれの荒い(かつ、同時に繊細な)編集の、荒業で、もともと並木が「丘を越えて」を歌っていることが、誰にも、わからない。急造の勝利。
 戦後のどさくさの荒業のなかでの、やったモン勝ち、そのさわやかな一例というべきか。

 もっとも、このさわやかさも、ウィキペディアによれば、
時代を越えて有名な映画だが、上映された当初は酷評が寄せられた。朝日新聞は戦後初めての映画評を行うにあたって、1945年10月12日付でこの映画を取り上げたが、「ムシヅを走らせたいと思ふ人はこの映画の最初の十分間を経験しても十分である」と評した[3]。またキネマ旬報でも再建2号で、音楽映画であるにも関わらず「音楽的な感動がない」と評した[4]。

 「肯定すべきこと」を「常に否定する」朝日新聞の本性は、あいも変わらずか。なお、ウィキペディアの言う「時代を越えて有名な映画」は、間違い。繰り返すが、超有名になったのは、主題歌のみである。
 映画は、今現在も、「楽しい、愛すべき小品佳作」で、あり続けている。

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by mukashinoeiga | 2013-03-24 06:54 | 傑作・快作の森 | Trackback | Comments(3)

稲田朋美と民主党に関するエトセトラ

2011 10 25 【稲田朋美】平岡秀夫法相「私は北朝鮮支援の立場」
 この平岡さん、4月の山口県参院補選に、立候補。民主党政権で法相まで勤めたのに無所属で出馬。まるで、絵に描いたような「気をつけろ その無所属は 民主党」ではないですか。

【民主党暗黒史】 反日活動家・岡崎トミ子VS国士・稲田朋美1
 この岡崎さんも7月の参院選に出ます。無所属かしら民主党かしら。

【民主党暗黒史】 反日活動家・岡崎トミ子VS国士・稲田朋美2

稲田朋美「国歌斉唱拒否?!菅総理に物申す!」2010.6.10

H23/04/13 衆議院経産委・稲田朋美(自民)【2番じゃダメなんですよ!】

【国会】 稲田朋美が朝鮮工作機関と結託した民主党の内情を暴く


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by mukashinoeiga | 2013-03-23 00:56 | うわごと | Trackback | Comments(0)

一度はまると、抜け出せない(笑)

 ★美少女対決:和泉雅子・吉永小百合そして安達明★などでも、紹介した、
★philip8823 青春アーカイヴス~Time Travel~ - YouTube★
 一度、アクセスすると、はまりすぎて、抜け出せない(笑)。おじさんにとっては「魔窟」や(笑)。
 ここに、抜き出したのは、ほんのほんの一例で。しかし、8823さんという人、OLD映画、TV番組の映像素材をどれほど、持っているのか。うーん。

ハニー・ナイツ「ふりむかないで」ナイス編集。ここに出てくる女優さんが、全部当てられるのが、基本で(笑)。

小柳ルミ子「わたしの城下町」

懐かしのヒーロー「まぼろし探偵」TV時代の、吉永小百合も、出ています。すでに、完成された美少女で。
 
懐かしのヒーロー「風小僧 ~山城信伍さん解説」なんと、主題歌は、美空ひばりらしい。

「御三家・青春メドレー」橋幸夫 舟木一夫 西郷輝彦

山内賢さん・和泉雅子「二人の銀座」

本間千代子「愛しき雲よ」


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by mukashinoeiga | 2013-03-17 20:58 | 業務連絡 | Trackback | Comments(0)

小杉勇「地獄の波止場」「狂った脱獄」 

小杉勇「地獄の波止場」
 京橋にて。「よみがえる日本映画-映画保存のための特別事業費によるvol.5日活篇」特集。56年、日活。
 俳優クレジットでは、三橋達也 小杉勇の順だが、実質は、戦前からのスタア・小杉の主演。演技としても、演出としても、安定した力量を示す小杉の、快作なり。
 小杉勇、役者としては、例によって、クドいクサい、酒癖の悪い、おじさんで(笑)。
 監督としては、何よりも、全編製鉄所のロケが、利いている。鈴木清順「悪魔の街」56年、日活(感想駄文済み)と同様、夜の製鉄所工場萌えの映像が圧倒的(撮影・山崎安一郎)。また、貨物専用蒸気汽車の映像も見事で、てっちゃんなら感涙ものの素晴らしい映像と、思うが(笑)。
 以下、ネタバレあり。
 巨大鋼鉄所。従業員の厚生費300万円が、金庫から盗まれ、人も殺される。うたがわれるのは、鋼鉄所専用蒸気汽車・運転士助手の三橋。
 しかし、実は、タナボタで、大金を拾ったのは、定年間近の運転手・小杉。ここに、本当の犯人・安部徹も絡み、サスペンスは、じわじわ醸成されていく。その雰囲気、小杉勇の演技も演出も、映像も、グッド。
 どちらかというと、若いころから、クサイ(笑)小杉の(いや、意識してクサクしなくても、自然に(笑)クサくなるのが、小杉の演技の持ち味で、しかもクサくても、なんだかさわやかなのが(笑)小杉勇の持ち味なんだよなあ)挙動不審気味の老人演技もナイス。クサいのに、さわやか。
 安部徹も、いつも、弱そうな子犬をだかえた、悪党を快演。子犬がらみの映像がナイス。なんか、ここら辺の犬がらみのショットも、鈴木清順との、親近性をかんじるんだよなあ。
 なお、助監督は、裕次郎以前の日活で、しぶいドキュメンタリー調のサスペンスで、真価を発揮した、井田探。

小杉勇「狂った脱獄」
 神保町にて。「日活映画100年の青春」特集。59年、日活。
 俳優クレジットでは、(この1月に見たので、記憶はあいまいだが)岡田真澄 小杉勇の順だが、実質は、戦前からのスタア・小杉の主演。演技としても、演出としても、安定した力量を示す小杉の、快作なり。
 どこかの、うらびれた小さな川の橋沿いにある交番。定年間近の交番詰めの警官・小杉。この辺では見かけない都会的な青年・岡田を問い詰めたら、実は脱獄してきました、と。
 脱獄なんかするワリには、意外な好青年に、老警官・小杉は、目をぱちぱち。得意の、浪花節説教。
 岡田も、また、イロイロ事情があって、逃げにまわったり。52分の中篇ながら、濃密で。
 ただ、岡田の妻・香月美奈子、あれだけ車で引きずり回され、身重の腹に刺激を受けて、無事出産しましたは、ないだろ(笑)。ほとんどコメディ・レヴェルで、爆笑しました。
 なお、看守役の、ほとんどちょい役に、新人・赤木圭一郎。少ないせりふ・演技にも、ちょい役ながら、主役の風格あり。

 両作とも、すべてに目配りの利いた、渋いプログラム・ピクチャアの快感に、満ち溢れとる。クサい人情譚と、小杉勇のすわりのよさ。ナイス。
◎追記◎しかも、同時に、それは後の日活無国籍アクションにいたる、クール&スタイリッシュな、非・日本的な映画空間を、内包しているだろう。

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by mukashinoeiga | 2013-03-16 01:33 | 傑作・快作の森 | Trackback | Comments(0)