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森一生「関東おんな悪名」他

 神保町での飯田蝶子特集は、既見作ばかりで、一度も行かず。阿佐ヶ谷での西村晃特集は、既見作は、傑作快作ぞろい。で、未見作をひろっていったら、これが、とほほな映画ばかりで。

◎春原政久「月は地球を廻ってる」
 阿佐ヶ谷にて。「世紀の大怪優2 西村晃MAGIC」特集。59年、日活。
 商店街の二階にある、木造弱小広告会社。会社の一角に、放送ブースが仕切られていて、そこで中村万寿子が、商店街の案内放送。時代だなあ。で、若い彼女の恋人は、この会社の営業マン・岡田真澄。彼が主役の46分の添え物中編。
 この岡田の無茶ぶりの営業活動が笑いをサソウ・・・・はずなのだが、不発。西村は、その上司、かるみのある演技も、演出・脚本の不発により、中編なのに、長すぎる。
 デパートの宣伝部長・小沢昭一が、卑怯な笑いを取る。

◎渡辺祐介「喜劇 爬虫類」
 阿佐ヶ谷にて。「世紀の大怪優2 西村晃MAGIC」特集。68年、松竹。
 渥美清、大坂志郎、西村らが、アメリカの金髪おねえちゃんを、にわかストリッパーに仕立てて、ドサ周り旅。
 しけた話に、しけたギャグ。喜劇と銘打ちながら、笑えないほうへ、笑えないほうへと、自虐していく、松竹ダメコメディ。天才・渥美を使いながら、これほどにも笑えない。
 ゆいいつ、笑いを取っていたのは、アチャラカに徹した、<芸に恋しているインテリ役者>小沢昭一。<なぜか、睡眠薬が効かない男>を珍演。この人が、アチャラカに徹すると、川島雄三映画(「貸間あり」「しとやかな獣」「雁の寺」「州崎パラダイス 赤信号」などなど)だけではなく、ホントに、笑える。卑怯な笑いの天才か。おいしいとこで、でてきて、渥美を尻目に、かっさらう。渥美より、笑える。というか、この映画の唯一の笑いどころ提供者。

◎深作欣二「脅迫(おどし)」
 阿佐ヶ谷にて。「世紀の大怪優2 西村晃MAGIC」特集。66年、東映東京。
 すでに、単独で感想駄文あり。

◎松林宗恵「太平洋の翼」
 阿佐ヶ谷にて。「世紀の大怪優2 西村晃MAGIC」特集。63年、東宝。
 大戦末期、もはや、片道燃料のみの神風アタックしかないという時期に、世界中の戦場から、精鋭パイロットを集めて、日本本土防衛に活路を見出す作戦を、海軍中佐・三船敏郎は立てる。かくして、加山雄三隊、夏木陽介隊、佐藤允隊が、参集される。
 明日、特攻する神風特攻隊のパイロットに罵倒されつつ、兵力を温存するために、待機待機待機の毎日。
 しかし、いかに精鋭を集めようと、膨大な戦闘機のアメリカ空軍を前にしては、もう、一戦闘の勝敗は、全体の勝利には、関係しない。
 今、よく言われる、「部分最適は、全体最適には、繋がらない」、ちんけな局地戦の動向は、全体の国の勝敗とは、全く、関係が、ない。
 明朗な東宝スタアたち、負け戦なのに、やたら、明るい。いや、それは、それでありなのだろうが、そんな映画を作る、戦略的な意味は?(笑) 
 西村は、夏木隊の軍曹格。

◎森一生「関東おんな悪名」
 阿佐ヶ谷にて。「世紀の大怪優2 西村晃MAGIC」特集。69年、大映京都。
 安田道代が、しっとり清楚な和服姿。でも、やるときゃやるよの、おんな任侠アクション。
 安田の当時の愛人・勝新はともかく、いつもはニヒルでクールな露口茂が、ちょい間抜け感は、偏見か。西村は親分役だが、どうでもいい映画なので、ホントにどうでもいい存在感。

◎小林恒夫「怪談 片目の男」
 阿佐ヶ谷にて。「世紀の大怪優2 西村晃MAGIC」特集。65年、東映東京。
 最初に、いきなり、一枚看板の主演・西村晃の水死体が上がる。実は、生きている、というのが、丸わかりな展開。
しかも、トリックは、実は西村には、双子の兄弟がいた、という安易なもの。まじめなだけに残念な、バカ・ミステリ。
 とは言いつつ、丸い黒めがねの、牧師さんスタイルの西村のスタイリッシュぶりは、いい。
 大きな西洋風のお屋敷、庭の一部に海辺あり崖あり、霊廟あり、その霊廟のなかを探査する怪奇趣味。

◎中島貞夫「くノ一化粧」
 阿佐ヶ谷にて。「世紀の大怪優2 西村晃MAGIC」特集。64年、東映京都。
 徳川方男忍者グループ(西村、小沢昭一ら、リーダーはクールさがなんとなくお間抜けな露口茂)VS豊臣側女忍者軍団の戦い。
 セットをこったり、シンプルかつ抽象的な、セットなんだけど、安作り、時代劇なんだけどレヴューふう、なんとなく、鈴木清順の、できそこないという感じ
 才能のない監督が、かっとんだ映画を作ると、どうなるか。
 詰まんない映画に、なるんです。才能のない監督が作ると、小沢昭一でさえ、はじけない。
 スパイシーを身上とするアート映画を、お子様が作ってみました、のお子様カレーか。

 なお、ぼく的既見作で、今回見なかった、吉村「越前竹人形」今村「果てしなき欲望」野村「東京湾」家代「雲ながるる果てに」工藤「十三人の刺客」」「十一人の侍」鈴木英夫「悪の階段」今村「赤い殺意」蔵原「ある脅迫」は、みんな、いいのだが。
 いずれにしても、見れば駄作凡作であっても、こういうレアものを多く公開してくれる、阿佐ヶ谷、グッド。 

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by mukashinoeiga | 2012-07-30 00:18 | 大映京都学校 森一生佐 | Trackback | Comments(0)

根岸吉太郎「濡れた週末」

 渋谷にて。「はぐれ者の美学 追悼 神波史男」特集。79年、にっかつ。
 小さな個人会社で事務をとる、アラサーの宮下順子。社長夫人(中島葵)とも仲がよく、お見合いを世話されたり、小学生の一人娘とも仲がよく、よくお守りをしたり、遊んだりする。
 しかし、この母と子に隠していることがある。社長(山下洵一郎)との不倫。
 会社建屋と隣接する部屋で、社長と愛欲の日々。ある夜、不審な物音。会社建屋に行くと、ドアのガラスが割れている。その「空き巣」の青年を部屋に連れ込み、いちゃいちゃ。ところが社長が尋ねてきて、宮下順子の浮気がばれてしまう。
 かくて、会社から、社長の浮気相手から、宮下は「家出」。空き巣青年の部屋に転がり込む。ところが、転がり込んでいるのは、宮下だけではない。若い亜湖も、青年のセフレなのだ。かくて、世代間の思いの違いやら、同化やらが、描かれるのだが。
 根岸は、どうやら、宮下より、亜湖の世代に近いようで、イマイチ、ドラマは、はずまない。まあ、「しらけの世代」のドラマが、弾みようはないのだが。「時代と寝ている」亜湖も、まあ、今見ると、のんびりしているなあ。まあ、それが彼女の個性だし、時代だったわけだろうが、もはや、ウザい、とすらの感想もない。
 セックス・ドラマの天才である、宮下順子を、若い根岸は、活かせない。まあ、無理もないことで。
 そこそこのドラマを、そこそこに。セックス・シーンについては、これも、そこそこで。
 そもそも、いかに、草食系好青年といえど、深夜の空き巣青年を、ころっと部屋に上げて、酒や食べ物を与え、お金も貸し、いちゃいちゃするとは、まだまだ70年代は「体感治安」が、よかったのだなあ。
 あるいは、純朴な左翼意識としての、犯罪者性善説か(笑)。

 なお、時間がなかったのだろうが、亜湖と山下のセックス・シーンは、言葉で語られるだけ。ポルノとしては、いんちきだなあ。森雅之の娘・中島葵は、やはり地味。地味だけでなく、苦みばしったモリマのおもかげがあるのは、女としては、まずいだろ。
◎追記◎あとづけで、かんがえて見れば、東映で、殺伐ヤロー系な実録ヤクザ映画の脚本を、さんざん書いてきた神波史男が、ロマンポルノという条件さえ満足させれば、自由に書けるというとき、いつもとは真逆の、女性的・非暴力的、日常的・ほのぼの描写を、目指したというのも、わかるような気がする。空き巣に入ったのほほん青年も、どこの馬の骨ともわからない彼を家に上げて、一緒に酒を呑む宮下順子も、東映的ドラマツゥルギーとは無縁の、やさしさ共同体だ。
 ただ、神波の誤算?は、70/80年代の「退屈な日常のリアル」を描く根岸の凡庸な演出が、そのメルヘン感を消してしまったことか?
 
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by mukashinoeiga | 2012-07-24 23:40 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(0)

割り箸削減は、本当に「エコ」だったのか?

 以下に、当ブログの開設期に書いた駄文(2009年7月)を、わけあって、引用する。

 環境に負荷を与えないため、および資源保護のため、無駄遣いをなくそうという運動があって、そこで標的にされているのが、割り箸とレジ袋の使い捨てである。
 しかしこの二つ以上に無駄な使い捨てがあることに気づいてしまった。
 ストローである。
 たとえば、マイはし持参でないものが飲食店の割り箸を断る結果には、著しい困難が伴うであろう。マイバックを持たないものが、レジ袋を断りつつ大量の食品をスーパーで購入することも、きわめて危険な行為だ。
 しかしマイストローを持たなくても・…コップからじか飲みすればいいのだ。現に、アルコール系飲料や、同じソフトドリンクでもホット系飲料には、誰もストローなど使わない。使おうという発想すらわかないだろう。
 なら、ひとりアイス系飲料でストローを使わねばならない積極的理由はあるだろうか。じか飲みでは氷が鼻の下などに当たる? アルコール飲料でそれが問題とされることがあるか。じかに口をつけることにより、コップをより丁寧に洗う必要がある? それはアルコール飲料やホット飲料ですでにしていることだろう。
 ファストフードなどで使われる、使い捨て容器は、洗浄なしで出荷・入荷しているから、じか飲みはどうも? じゃ、その容器に入った飲料を飲むことは無問題なの。いずれも十分クリアできる問題ではないか。現にアルコールやホットでは・・・・以下同文。
 多分、一番ネックになるのは、比較的無駄遣いに厳しい目を光らせるご婦人方が、「やはり人前でコップからじか飲みは、お下品ですわ」と思っていることだろう。そういう方たちが、オサレなカフェなどでストロー吸いつつ、環境問題を論じても、こっけいだと思うのは、ぼくだけなのかしらん。 ぼくだけなんでしょうね。すいません。
 しかし、割り箸やレジ袋の削減よりは、はるかにしきいが低く、可能性が高いのが、ストローだと思うんだがなあ。環境負荷に意識の高いみなさまも、この夏はカフェなどでストローを遠慮してみては。って、えらそうなこと言って・・・・すいません。

 引用終わり。
 この駄文を書いて、はや3年。気がつけば、牛丼系全国チェーン、ラーメン系全国チェーンでは、みな、リターナルはしを採用、洗浄後も時々異物が着いていたりして(笑)、で、かなり割り箸は削減されているようだが。でも、これ、エコ意識の高まりなの?
 全国系チェーンが割り箸をやめたのは、コスト削減、輸送量削減が原因だろう。チェーン店と違い、スケール・メリットを追及できない個人商店の店では、まだまだ、割り箸が、多い。だが、割り箸削減はエコのブームは、見る影も泣く胡散霧消しました(笑)。日本では、ブームの寿命は、いたって、短い(笑)。
 そうそう、マイはし持参運動なんて、今は、聞くことすらないぞ。女性の意識ブームは、さらに、短い(笑)。
 エコ意識が高くなっているはず?の現代では、コンビニで紙パックの飲み物を買うと、なんだか、もれなくストローがついてくる、逆エコ?化。ストローなんて、頼んでもいないのに、ついてくる。昔は、付いてこなかったよね。
 はしがなきゃ、弁当は食えないが、ストローがなくても、飲み物は、飲めるだろう。昔のぼくが書いているように?、アルコール、ホット・ドリンクでは、ストロー、つかうまい。チューハイ、ハイボール、で出来ることが、なぜ、アイス・コーヒー、オレンジ・ジュースで、できないのか。
 割り箸がエコに反するなら、それ以上にストローは、エコに反するのに、なぜ反ストロー運動の声さえ、上がらないのか。割り箸は、そのままでは捨てられてしまう材木の端材で作られていて、割り箸にならなければ、そのまま捨てられてしまうという。それに対して、ストローは、リッパに石油系材料を消費して、作られているではないか。

 その理由を推測するに、エコ意識運動の主な推進者である女性の皆さんが、だって、コップからの直飲みは、おしゃれじゃないもん、と、思ってるからじゃあ、ありませんか。だったら、アルコールも、ホット・ドリンクも直飲みやめろい、といいたいですね。そうしたらー「えー、アルコールは、直飲みがフツーでしょー。ストローでなんて、ダサーい」なんだろ。もー(笑)。

 しかし、そういう作られたエコ・ブームの真相を探るためには、やはり、割り箸と同じ時期に、悪玉視された、レジ袋という「補助線」を引かねば、ならぬ。
 げんざい、イオンなど大手全国スーパーでは、レジ袋不要の際は、2円引きされる。ぼくが映画を見るためによく行く阿佐ヶ谷、某西友スーパーに久しぶりに寄ったら(すいません、歩行中の暑さ対策で冷房に当たるためです、ごめんなさい)前は2円引きだったのが、廃止、レジ袋の有料制になっていた。
 イオンでは、2円引きに耐えられた(今、現在)が、西友では、耐えられなかった、ということだろうか。
つまり、スケール・メリットの追求が社是とも言うべき全国系チェーン・スーパーでは、まあ、いろいろ種類はあるが、一応レジ袋削減の取り組みを、している。
 しかし、中小スーパー、コンビニ、では、そのような取り組みは、あまり、されていないようだ。中小ではスケール・メリットの追求は、微妙、コンビニでは、「地域の常連さん率」がスーパーほど、高くない点が不利なのか。

 そう、そこで「補助線」としてのレジ袋だった。実は「スーパー」で、「レジ袋」以上に、「こりゃ、レジ袋以上に、、エコ的に、ムダだろう」というものがあるのを、ご存知か。
 エコ問題として、レジ袋は誰もが話題にしたけれど、だれにも話題にされない、そう、「雨の日の傘入れ用の細長い袋」。雨の日、店内にいる数十分だけ使用されて、そのまま捨てられてしまう、かさ袋。
 まだレジ袋は、ごみ袋にしたり、簡単なもの入れにできるが、傘袋は、そのまま、捨てるだけ。雨が降るのは、月に数回だから、見逃されているが、数分程度使って、そのまま廃棄だから、これは、エコ的にかなり問題なのでは。
 「問題にならない」のは、一時期、数件の訴訟が続いたせいだ。店内の水溜りで、滑って、老人が怪我。その損害賠償裁判での、敗訴。これを避けるためには、広大な大規模スーパーでは、床の清掃コストが、増大する。お客様の安全、訴訟リスク、清掃コスト、それらを考えたら、エコなんて、かまってられるかい。なんですね。
 コンビニで傘袋がないのは、狭いスペースなので、清掃コストは、そんなに違いはない。さらに、わざわざ傘袋を用意しても、ささっと買って帰る人は、使わない、という点でしょうか。
 つまり、エコが優先される問題というのは、エコを追求しても、とりあえず、問題はない、というところで、エコが追求されるわけですね。

 ぼくには、エコ的に割り箸が悪玉視されるなら、それ以上に、ストローが悪玉視されないのが、とうてい納得、いかないのです。
 理由は、いくらか、考えられますよ。
1 女性にとって、アルコール以外の直飲みは、抵抗がある。
2 子供にとって、直飲みは、チョー危険。ストローなら、安心。(親目線か)
3 店にとって、ストローが安心。だって、ソフト・ドリンク、実際は半分以上が、氷でしょ。
 でも、これ、エコより、優先されること? より、罪が軽い?割り箸を悪玉にしても?(笑)
 エコ運動って、結局、いつもエゴ運動なんだ、ということ。

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by mukashinoeiga | 2012-07-24 21:09 | うわごと | Trackback | Comments(0)

大島渚「私のペレット」

 池袋にて。「愛と自由へ 大島渚、永遠の映画/今を生きる映画たち」特集。特集タイトルなげーよ。3/18(月)まで上映。
 64年、企画:いすゞ自動車株式会社、製作:株式会社日本映画監督協会プロダクション。このプクロダクション、監督協会が作った株式会社だが、ほかでは聞かないので、短命に終わったものか。
 なお、クレジットに居並ぶ面子が、すごい。
 脚本監修:小津安二郎 
 企画監修委員:山本嘉次郎・千葉泰樹・五所平之助・小石栄一・松林宗恵・中平康・野村芳太郎・関川秀雄・滝沢英輔・牛原虚彦田中重雄
 脚本・監督:大島渚
 なお、以上のコピペ、ウィキペディアから引っ張ってきたものだが、末席の田中重雄だけが、名前の色が違い、ウィキペディア上で記事がなく、リンクしていない模様。いかに、凡作を連発しているとはいえ、かわいそうだ田中重雄。誰か、リンクさせてあげて(笑)。
 大島が事実上松竹を首になったあと、監督協会が会員の大島に連帯を表明すべく、なおかつ首になった大島にアルバイトさせようという腹積もりか。企業PR映画は、ギャラが、よさそうだし。小津は当時の監督協会会長。企画監修は、当時の監督協会の幹部連中が、箔付け?のための、名前貸しか。
 たかが30分弱の企業コマーシャルに、この面子の、おどろおどろしい(笑)看板が必要か。おそらく監督協会としても、本作などを契機として、会員監督にアルバイトで儲けてもらおうという腹積もりだろう。
 その目論見は、たぶん、分相応に(笑)失敗したわけだ。

  28分の企業PR映画短編。16ミリ版シネスコ。退色かなりあり。当時はカラーだったのだろうが、現在のプリントは、赤味がかった、赤白映画。おそらく劇場公開はしていないだろうから、モトから16ミリなのだろう。
 こんな短編なのに、オムニバス。
以下、ネタバレあり。
 第1話は、マイカーを手に入れた若者が、女の子を乗せて、ドライヴ。海辺のホテルに、一泊しようしようという算段。
 第2話は、売れない若手役者(柳生博)が、所属芸能プロの、やり手の女社長(小山明子)の「車くらい、持ったら」のアドヴァイスに、一念発起、なけなしの金で車を買い、あこがれの女社長を乗せて、車を走らせる。
 第3話は、サラリーマン菅原謙二が、社内不倫の女性社員との、お茶、映画代を割り勘にしてでも、足の悪い妻のために車を買う。
 買った車が、全部いすゞペレットで、ああ、これは車を買ったら、楽しいカーライフが送れるよう、という企業PR映画なんだろう。
 なのになのに(笑)。
第1話 女の子が車内でタバコを足でもみ消したのに激怒。「おい、お前、降りろ」と、ハンディ掃除機で掃除した挙句、大喧嘩。「あたし、ここで降りるわ」と、長い橋の真ん中(当然、周りには何もない)で、別れ別れ。男の車は冷酷に去って行き(それは、女の子も望んだこと?)これから女の子は何時間歩けば、駅などに着くのか。それとも、ヒッチハイクか。
第2話 送迎中、ハードワークからの疲れか、熟睡した女社長を、やさしく寝かせておいたら、予定したアポを、二つも逃した。「もう、いい。あたし、タクシーを拾うわ」と、柳生博のもくろみは、パー。車を買うために、ホームレスになっていた柳生は、むなしく、車中で眠るのであった。
第3話 妻を連れて、保養地の社所有の福利施設である、温泉宿泊所に、ドライヴしてきた菅原、社内不倫の女性社員も追いかけてきて、「あたし、あなたの奥さんにお目にかかりたい」「迷惑だ。帰ってくれ」とうとう女の子は、菅原の車を盗んで、断崖沿いの道を疾走、自殺を図る。
 イッコも、楽しいカーライフ、おくれない(笑)。むしろ、車を主とした原因の、トラヴルばかり。
 車を走らせるより、嫌がらせに走る大島渚。 
 いすゞも、大島渚に、企業PR映画を、頼んだばかりに(笑)。これじゃ一台分すら売れないPRに、大金つんだことになる(笑)。
 この、64年「公開」映画の、不始末?に、いちばん責任がある責任者・小津は、63年12月12日に、亡くなっておる。一方、確信犯・大島は、PRにもならないPR映画で、高額ギャラをもらって、逃げ切りか(笑)。
 ま、そんな映画でも、面白ければ、ぼくとしても文句はないが。
これが、また、つまらない。
センスの欠片もない、映画的才能の片鱗もない、「プログラム・ピクチャア」の凡作で。
 小山明子を除く、新人女優たちも、華も演技もなく。売れないセーネン役者の柳生も、しわしわの顔で、声もおじさんくさく、ミスキャスト。第1話の坊屋三郎(カメオ)の、ギャグも、空回り。同じくカメオの池部良(第2話の、芸能事務所のソファでニコニコしてるだけの、せりふなし)のみが、唯一の救い?か。
 ただし、まあ。自動車と映画の「相性」という「大問題」も、ある。
 ゴダールは「男と女と自動車」さえあれば、一本の映画が出来る、と嘯いた。それがヌーヴェルヴァーグ。
 しかし、自動車というものは、列車や自転車などと違って、なぜか、普通に走っているだけでは、ドラマに、ならない。
 何かにぶつかって、クラッシュして、とか、停車して、誰かをおろして、とか、エンコしてとか、車中でのけんかとか、異常な暴走をしてとか、そういう<非正常運転>のときにこそ、その真価を発揮する、非映画的存在。
 カー・アクションしかり、トリッキーなカー・スタントしかり、映画は、常に車に対して、<非正常運転>の魅力を仕掛けてきた。
 なお、脚本監修の小津だが、「まあ、若い大島君が、好きにやってくれればいいよ」の一言で、終わった役割か。
 しかし、考えてみれば、このボンクラ映画が、小津生前最後の関連作品になろうとは(笑)。うーん。

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by mukashinoeiga | 2012-07-23 01:20 | Trackback | Comments(0)

今井正「望樓の決死隊」

 京橋にて。「生誕百年 映画監督 今井正」特集。43年、東宝。
 最初に、戦時中の映画らしく「撃ちてし止まむ」と、戦時標語が出る。
 当時の、満州との国境を警備する、朝鮮国境警備隊の活躍を描く。高田稔(絶品)を隊長とする、日本人警察官たち、それに数人の朝鮮人警官も入り、国境を守る。とはいっても、当時の朝鮮人は、「日本人同様の扱い」という「立場」だった。
 国境を侵犯して、押し寄せてくるのは、映画では「野盗・馬賊の類い」、しかしして、その「歴史的実態」は、中国・朝鮮混合のパルチザンの類いなのかもしれない、というのが左翼諸君の「見解」なのだろう。しかし、パルチザンといえども、食料、必需品、時には女も「現地調達」するわけだから、野盗・馬賊の類いとの、差別化は、難しかろう。
 クライマックスは、わらわらと押し寄せる騎馬軍団を迎え撃つ、砦の警察官たち。そう、まるで、西部劇のインディアン軍団VS白人軍団の、戦いを、大いに参照して、描かれた今井正版西部劇だ。
 こういう娯楽映画を作らせると、東宝も、今井正も、うまい。今井正は、何より、きわめてまっとうな、娯楽映画の名人なのだ。一般的には、男騒ぎの映画のヒト、と思われている黒沢明が、戦時中は、銃後の女の子集団のなんチャラかんチャラでお茶を濁していた(「いちばん美しく」)実は、きわめて「女の子」体質であることは、当ブログ「黒沢明映画の正体」を、お読みあれ。もし、黒沢が、こういう西部劇を撮っていたら、というかなわぬ夢を、想起させる出来なのだ。

 閑話休題。しかし、敵馬賊の圧倒的人数は、砦を守る警察官の比ではない。高田稔は、妻・原節子に、いざというときのために、銃を渡す。「覚悟は、できております」と原節子。本隊に出張中の若い警察官の妻は、乳飲み子を負ぶいながら、出張前の夫から、銃を渡されていることを、原節に伝える。殉職した朝鮮人警官の、若い妹は、朝鮮人青年に「いざとなったら、先に私を撃ってくださいね」と、言う。彼女は亡兄や青年の援助で、医大を卒業、将来は医者を志す身だが、今は砦で負傷した警官・国境の村の朝鮮人たちの、傷の手当てを、原節とともに、している。
 原節も、凛とした若妻役で、光る。不幸にも、戦時中にヒロイン女優としての、若さの頂点を迎えた女優のなかで、原節子のみが、輝いていたのではなかろうか。
 ラストは、本隊出張中の若き警官が援軍をひき連れて、ラスト・ミニッツ・レスキュー。お約束。ただし、騎兵隊ならぬ、トラックの荷台に警官を満載して。
 戦い終わって、殉職した(というより、もはや、戦死だろう)5・6名の警官たちの葬儀。白布の台の上に並べられた、白木の箱。そのうしろに遺影写真があるのは、数名。ないのも数名。こちらは、朝鮮人警官なのかもしれない。その、一瞬の、リアル。
 とにかく、国境「警備」といいながら、警察の職務の範囲を超えている、軍人の仕事だろう。手榴弾や、ライフルの仕事なんだから。高田稔という、ナンパな?お父さんの役しか、見てないような気がする人だが、その険しい顔の表情も素晴らしい、凛とした男。原節も、いい。
 
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by mukashinoeiga | 2012-07-22 05:36 | 今井正 青い左傾山脈 | Trackback | Comments(0)

今井正「民衆の敵」

 京橋にて。「生誕百年 映画監督 今井正」特集。46年、東宝。
 イマセイ、戦後第一作とのことだが。凡作。
 戦時中、軍人や「戦争を食い物にしている」軍需産業経営者を対象にした、高級秘密クラブ。都内の空襲もあるというご時世にもかかわらず、高級食材、高級洋酒、高級ホステスで、酒食やら酒色なぞを、高級洋館にて提供している。そんなの、あったのか。うーむ。
 その、雇われマダム(主役には、ちょっと地味な花柳小菊)、いわば悪の組織の側にいるのだが、誠実な男(藤田進)に、感化されて、「正しい側」に、目覚めるという。しかも、花柳は、母ひとり子ひとりで育ち、母とともに自分を捨てた男(志村喬)が、この高級クラブの実質的権力者の財閥の長である、という。
 「占領軍の民間情報教育局から撮るように会社が命じられていた民主主義映画の一本」とのこと。そういう教条主義(藤田進は、身分の低い徴用工から、戦後軍閥が逃走して、軍需工場は壊滅、組合を立ち上げ、工員一体となった農業肥料工場に生まれ変わり、その会社代表みたいな立場に、みんなから、推される)の、組合賛歌みたいなヒーロー物語に、花柳のメロドラマが、からむ。

 前に感想を書いた今井正「由起子」もそうだが、たぶん、イマセイ、「メロドラマ」が苦手。メロメロ、メソメソしたドラマは、体質に合わないに違いない。
「青い山脈」みたいな「明朗ドラマ」こそ、イマセイで。だから、純朴朴訥藤田部分は、ともかく、メロメロ花柳部分は、どうも、ノれない。
 たぶん、本作は、イマセイより、山本薩夫が撮ったら、もっと面白かったに違いない。同じ左翼作家でも、山本薩夫なら、メロメロはおろか、ドロドロ、ぐちゃぐちゃも、大得意なんだからね。ドロドロを描いてすら、爽快な映画を作る人だから。
 しかし「民主主義映画」、命じられて、撮るべきものか(笑)。まあ、GHQも、左翼お花畑の組だからねー。
 第一回毎日映画コンクール監督賞、キネ旬6位、って、いかに当時映画の絶対数が少なく、まあ、それなりにしっかりした作りとはいえ。毎度おなじみの、左翼の下駄をはかせたか。
 なお、東京大空襲シーン(GHQに遠慮した、遠望のみ)の、円谷英二特撮は、やはりグッド。今ほどクリアではない映像の、白黒での特撮は、リアルに見えて、いい。

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by mukashinoeiga | 2012-07-22 05:33 | 今井正 青い左傾山脈 | Trackback | Comments(0)

「乳首」の謎

 久しぶりに会って、呑んだ、H氏に「(あんたのブログは)民主党の悪口ばっかりじゃない」と笑われ、今夜も「民主党の悪口」を書く予定だったが(笑)、それ以外のものも、書かなあかんか(?)と言うことで、これからは、「民主党の悪口」以外のことも、書いていきます(笑)。
 素朴な疑問。

「首」は、「頭」と「胴体」をつなぐ、中間部分。
「手首」は、「手」と「腕」をつなぐ、中間部分。
「足首」は、「足」と「脚」をつなぐ、中間部分。
 では、「乳首」は?
「乳首」は、「乳房」と「ナニ」をつなぐのか????
 でも、「乳首」の先には、何も、ないよね。ただの空間。
 つまり、こういうことか。赤ちゃん(などが)乳首をくわえる。つまり、「乳首」は、「乳房」と「乳房を吸う者」をつなぐ、中間部分? 誰かにくわえられてこそ、初めて、完成する?パーツなの?
 ウーン、なんか、違う気がするなあ。そんなこと、ダジャレみたいなことを考えて、ふつう、ネーミングは、しない気がする。「乳頭」なら、ぴったりするんだけど。
 「乳首」が「乳頭」で、「乳輪」が「乳首」なら、ピッタ・・・・これも、ちょと、違うかなあ。
 ウーン、まあ、どうでもいいことですね(笑)。 

 と言うことで、本日の「民主党の悪口」だあ(笑)。
 毎週金曜日恒例となった、首相官邸前の、反原発デモに、かの鳩山由紀夫が参加して、一席ぶったという。
バカだなあ(笑)。
 「治にいて乱を忘れず」ならぬ「与党にいて野党を忘れず」か。根っからの野党体質。こういう人が、与党になるのは、絶対に絶対に、あってはならないことだった、ということを、問うに落ちず、語るに落ちる、とは、このことだろう。
 とうとう、「反原発」主義者のみなさんも、鳩山クルクルパーのお仲間か。
 ふつう、こういうカンペキな?超ド級な、とんちんかんがデモに参加したら、帰れコールすべきだろう。
でも、「反原発」の皆さん方と、くるくる鳩山は、左翼脳内お花畑のとんちんかんという点で、共通しているので、何の違和感もなく、受け入れられたのだろう。
 ああ、鳩山を「お仲間」として、受け入れられる感性。原発はダメだけど、くるくる鳩山は、オーケー。
 ウーン、理解しがたいぞ(笑)。
 「日本の国会議員」でありながら、駐韓日本大使館前で「毎週水曜恒例の従軍慰安婦謝罪要求」反日デモに参加した、民主党元国家公安委員長・岡崎トミ子、ああ、あいつは、「民主党の例外」では、なかったのだなあ。「民主党の本道」だったのだ(笑)。

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by mukashinoeiga | 2012-07-21 00:27 | うわごと | Trackback | Comments(0)

斎藤武市「大空に乾杯」

 阿佐ヶ谷にて。「輝け!にっぽんのお仕事ガール」特集。66年、日活。7/21まで上映中。
 いかにも日活らしい明朗青春映画の水準作。
 はたちを超えた吉永小百合映画の中では、ぼくが見たなかでは、もっとも楽しい映画。ちなみに、日活専属離脱後の現在に至る吉永小百合映画は、ぼく的には、失敗作、凡作の連続で。わざと駄作ばかり選んで主演し続けるかの印象だ。例外は山本薩夫「皇帝のいない八月」くらいか。
 たいへん愛らしい吉永小百合、小悪魔めいた十朱幸代、おてんば和泉雅子、それに、あまり見かけない広瀬みさが、しいて言えば吉瀬美智子を思わせる明朗なイロっぽさで、実に新鮮。この映画、女優の楽しさで、魅せるのだ。

 吉永は新米スチュワーデス。十朱は、その、ちょと先輩。広瀬は大先輩。広瀬の恋人が葉山良二、広瀬の妹が和泉。とにかく、この三人の女優さんを見ているだけで、幸せな気分になれるのだから、ずるいよね(笑)。
 映画は、いかにも明朗な日活青春映画の典型。戦後民主主義のホームルーム主義といいますか、石坂洋次郎的明るく楽しい家庭=民主的ホームルーム志向といいますか、娘の吉永も、親の下元勉も、対等に議論。お見合い相手・平田大三郎とも、明朗かつ真摯に、将来を語り合う。こういう役に、若い吉永は、ぴったり。

 ただし、ホームルームの学級委員長を、三十代になっても、四十代になっても、五十代になっても、六十代になっても、続けていることこそが、女優・吉永小百合の痛々しいところで。十代、せいぜいはたち前半までの「特権」「特性」を、永遠に志向することの悲劇。あるいは、老女の厚化粧といっていいか。いい大人の女性の主演作で、なおかつ「学級委員長」のおめがねにかなう題材を選び続けて、凡作の山をきずき上げる。まあ、映画的にはダメでも、何とか彼女なりにトップ女優の位置を維持しているのだから、彼女本人としては、オーケーな女優人生なのか。

 そういうその後の「よどみ」を、一切感じさせない、最後の時期の、最適な時期の、吉永の絶対の魅力が満載なのが、本作だ。
 蛇足ながら、日活で、クールな色悪ひとすじだった、小高雄二が、なにをどう間違えたのか、役柄を広げようとしたのか、関西の売れないコメディアンだか、放送作家だかの役で。気色悪いクネクネ男の、これまで聞いたことのない気色悪いニセ関西弁。珍としか言いようがないが、その笑えなさは最高。あまりに気色悪くて、ウケる。
 美術(坂口武玄)が、ちょっとキムタケ美術の片鱗の、さらに片鱗を見せるのが、ちょと楽しい。

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by mukashinoeiga | 2012-07-18 09:36 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(0)

加藤泰「明治侠客伝 三代目襲名」

 池袋にて。「検証日本映画Vol.10 加藤泰 あるいは屹立する情念」特集。66年・東映京都。
e0178641_947797.jpg 二本立て上映のあと、桜町弘子トークショーがあるためか、池袋新文芸坐は、満席。トーク時は、超満席。
 本作の上映、イマイチピントが甘い。加藤泰特有のメリハリのある焦点深度、メインの人物たちにピントくっきりあてて、その後景の人物たちを、よりぼかす加藤泰映画にとっては、ピントの甘い映写は致命的。いや、どんな映画でも、そうなのだが。

 一家の二代目・嵐勘寿郎が夫婦そろって祭り見物。おだやかないい表情。
 それへ、三下・汐路章が、大勢の祭り見物客の間を縫って、間合いを詰めてくる。こちらは、ウロンな凶状顔。
 案の定、汐路がアラカンの背中をドスで刺す。加藤泰映画、汐路章で幕が開く。
 アラカンが怪我がもとで死ぬ。三代目を襲名するのは、誰が見ても、「誠実なヤクザ」鶴田浩二だが。ひとり異を唱えるのは、二代目のバカ息子「ボンボン」津川雅彦。
 そして、一家そのものの消滅をもくろむ、自称「俺はヤクザは嫌いだ」自称「青年実業家」大木実と、「ヤクザは嫌い」なはずの大木の手下格の、安倍徹「やくざの親分」。
 これに芸者・藤純子(鶴田と相思相愛ながら、安倍徹に身請けされてしまう)、芸者・桜町弘子(津川に惚れているとだます、実は大木の女)、毎度コミカルながら、今回はなぜかかっこいい「旅人」藤山寛美、「いいほうの顔役」丹波哲郎、などがからみ、いつもの東映仁侠映画を彩っていく。

 ドラマは、抜き差しならないまでに、東映仁侠映画の定番を、典型として、つむいでいく。
 文字通り、義理と人情(恋情)の板ばさみに苦しむツルコウ。怪我で寝たきりの老親分アラカン。いわば「江戸時代」そのものの、旧弊なやくざたち。
 ぱりっとした洋装で決める、近代的な、つまりは「中国化された明治」の、義理や人情なんだそれ、冷酷実力主義者の大木実。
 立派な洋館に住み、愛娘は頭におリボン・ハカマの「ハイカラさん」スタイルの女学生、近代的でありつつ、義理と人情も忘れない、和洋折衷大親分・丹波。ピストルもドスも、どっちもいける旅人・寛美。このふたりもは、「中国化された明治」より「江戸時代」の側につく。

 ウーン、だが、イマイチ、心に響かないぞ。あまりに、典型過ぎるのか。
 ツルコウと、藤純子が、相思相愛の純愛って。ツルコウ50代か、藤純子、まだはたちそこそこの、まだ幼い顔で。絵ヅラ的に、抱き合う二人は、ちょっと無理がないか。まあ、恋敵が安倍徹(笑)だからねー。
 年代的、絵柄的には、ツルコウ/桜町、津川/藤純で、いいのでは。しかし、イキオイのある新進女優・「東映仁侠映画の華」藤純と、見る影もなく消滅した「東映時代劇」時代のお姫様女優・桜町では、待遇に差も出るのも、仕方なしか。
 加藤泰映画と、なぜか相性抜群の桜町が、加藤泰の初期構想では、ヒロインであった、それを東映仁侠映画最強プロデューサーにして、藤純子実父の、俊藤浩滋が、「おいおい、もう桜町じゃねーよ、客を呼べるヒロインは、純子だろー」ということなのではないか。そのリベンジ?が、本作の翌年の、低予算白黒映画桜町単独主演加藤泰「骨までしゃぶる」では、ないか、と妄想。本作は、もちろんカラー。

◎追記◎どうやら、上記記述には重大な誤解があるようです。下記コメント欄でktoy3さんにご指摘を受けました。詳しくは下記コメント欄をご覧ください。申し訳ない。

 なお桜町弘子トークでは、本作撮影中、加藤泰と「鶴田のお兄様」が、反目対立、ついには「鶴田のお兄様」が、子分もろとも、スタジオから、出て行ったという。
 桜町によれば、どんなスタアでも、何回も何回も稽古を繰り帰す加藤。稽古の繰り返しに、スタアも、エキストラに毛が生えた三下俳優でも、差をつけなかったらしい。
 東映仁侠映画でスタアになったツルコウが、面倒な稽古は弟子にスタンドインさせて、自分は楽するのが、東映スタアのしきたりと、加藤式スパルタを嫌ったせいとか。「鶴田のお兄様」、映画ほどには、耐える男ではなかったのね。まあ、当たり前だけど。結局、俊藤浩滋が仲に入って、加藤・ツルコウを手打ちさせ、撮影再開と。さすが、仁侠映画の父だけのことはあり。

 だから、なのか、最初からの趣向なのか。
 鶴田が、寛美形見のピストルと日本刀を持って、たった一人の討ち入り。蒸気鉄道の列車の屋根に乗って、近づく。
 線路沿いのせまっくるしい小屋に、なぜか大木実、安倍徹、子分たちが、すし詰めで、討ち入りを、待っている。
 列車の屋根から跳躍、イキオイで窓を突き破り、小屋になだれ込む鶴田。そしてなぜか、最初に、大木実を、突き刺す。
 あまりに、簡単すぎて、思わず、笑ってしまった。
 ふつうの東映仁侠映画では、健さんなどが、悪い親分の屋敷に殴りこみ。広い屋敷内をさんざん移動して、さんざん子分たちを斬って斬って切りまくり、最後に、やっと親分を、討ち果たすのが、定番中の定番では。
 いきなり最初に親分、刺殺、ショートカットのしすぎだろう、ツルコウ。

 もっとも。
 体制的には、実行犯グループの組・安倍徹親分、それを裏で操る黒幕・大木実という構図なのだ、が。システム上は、黒幕の大木がラスボスなのだ、が。
 ラスボス・大木が死に、しかし、安倍徹は、線路沿いに、逃げていく。それを追うツルコウ。安倍が逃げ帰った自宅で、囲われている藤純の前で、ツルコウは安倍を刺す。義理の上では、大木がラスボスだが、人情(恋情)の上では、安倍がラスボスだったのだ。
 ウーン。この辺のあいまいな複雑?さが、純情一本どっこの東映仁侠映画には、複雑すぎたのか?
 義理と人情と男伊達の三位一体、目指す仇はただ一人、この討ち入りジャマするヤツは、どんなヤツでも、かかって来い、と、たった一人の討ち入り、こそが、純正品東映仁侠映画の心意気ではなかったか。
 本作、キネ旬選定仁侠映画ベストワンとのことだが、残念な雑味あり。なぜ、マキノ雅弘/高倉健/藤純子映画が、仁侠映画ベストワンに、ならない? あまりに傑作が多くて、票が分散したのか。うーん。

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by mukashinoeiga | 2012-07-15 09:15 | 加藤泰突撃せよ炎のごとく | Trackback | Comments(4)

加藤泰「骨までしゃぶる」桜町弘子久保菜穂子夏八木勲宮園純子三原葉子

 池袋にて。「検証日本映画Vol.10 加藤泰 あるいは屹立する情念」特集。66年・東映京都。
 二本立て上映のあと、桜町弘子トークショーがあるためか、池袋新文芸坐は、ほぼ満席。
 東映は。男性スタア中心の映画が、多かった。女優は、添え物扱い、華やぎ要員という映画も、多数あった。その中でも、桜町は、女優陣の二番手、三番手扱いのことが多い。
 その桜町ゆいいつの完全主演作が本作だ。先月のラピュタ阿佐ヶ谷の「桜町弘子」特集でトップバッターで上映されたさい、おそらく製作当時はこの映画の完成品を見ることなく、約45年後にはじめてラピュタで見たら、自分の名前が大きくクレジットされていたので。びっくりしたのだという。それで、上映中、何回も見に行ったらしい。
 おそらく、本人としては、最初のクレジットに、たとえば、

 桜町弘子
 久保菜穂子
 宮園純子 

 夏八木勲(新人) 

と、連記されているのだろうと、思っていたようだ。いつものように。
 それが、堂々「桜町弘子」と単独表記の一枚看板。居並ぶスタアのなかで、二番手、三番手、たまに、男性スタアさんの相手役であったとしても、一枚看板の主演スタアのあと、二枚目に筆頭であっても、連記されがちだった彼女の、人生唯一の一枚看板。
 それが桜町と相性抜群の監督・加藤泰であることが、うれしい。

e0178641_843295.jpg さて、本作は、時は明治、15才見当の、貧農の娘・桜町が、女衒・汐路章によって100円で売られてしまうところから始まる。
 これまた加藤泰映画に重用された汐路章によって、幕が落とされる。汐路は、女郎屋主人・三島雅夫に、娘を、131円ナニガシで売り渡して、31円の儲けか(含む、旅費などの経費)。
 それまで白いコメの飯などほとんど喰ったことのない桜町、女郎屋で出されたご馳走、うな丼弁当に感激する。もっとも、このうな丼も、結局は、桜町の借金に付け加えられてあるのだが。
 最初は、こんな好待遇、生まれてはじめて、と女郎稼業に邁進する彼女だが、すべて経費に回され、前借(借金)は、働けば働くほど、へることなく、むしろ増えていく。
 桜町は、徐々に、主人・三島、女将・三原葉子に、立て付くようになっていく。
 暗くなりがちな話にユーモアを交え、コミカル演技を得意とする天然・桜町の、楽しさ素晴らしさ。明治的雰囲気を直接知る最後の世代であろう、加藤泰初めとするスタッフ・ワーク。素晴らしい。

 新人・夏八木とのからみが、何回やってもNG。とうとう昼休憩で中断。桜町と夏八木は、おひる時間の間も、ふたりで練習したという。「お昼抜きで稽古したのは、たった一度、この映画だけの経験でした」と、お嬢さん女優だった桜町は、語る。昼休憩後、得意然と加藤泰らスタッフをスタジオで迎えた桜町ふたりに、フフン、と加藤泰。ほめてもらえるかと思っていたのに、とお嬢さん女優は、回顧する。練習のせいかどうか、その後は一発オーケーだったとのこと。
 なお、相手役はどんなのがいい?と加藤泰に聞かれた桜町、「普段はジャガイモみたいな顔でも、笑うと、白い歯の笑顔が美しい人」と答え、その結果連れてこられた新人が、夏八木勲だったという。どんぴしゃ。そう答えた桜町も桜町なら(東映男性スタアには、あまりいないタイプ。しいて言えば、桜町との共演が多かった大友柳太郎くらいか)、夏八木を連れてきた加藤泰も加藤泰だ。
 その夏八木勲、デヴュー時から、例の豪快さ。
 東映ヒロイン映画としては例外的に(たいてい悲恋に終わる)、ハッピーエンドなのが、うれしい。それが、陽性な桜町的でもあり。
◎追記◎懐の賄賂金を覗き見る桜町、あごがぷっくら膨れて、とても女優とは思えないような不用心なブス顔になるのは、桜町弘子ならでは(笑)。

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by mukashinoeiga | 2012-07-12 06:32 | 加藤泰突撃せよ炎のごとく | Trackback | Comments(0)