<   2011年 07月 ( 23 )   > この月の画像一覧

ムルナウ「サンライズ」

 渋谷にて。「映画史上の名作番外編 サイレント小特集3」特集。27年、アメリカ。
 ルビッチ同様、ドイツ映画界からアメリカに呼ばれた、最先端監督F.W.ムルナウによる、ヒューマン・ドラマ。80年前とは思えぬ、素晴らしき映像の展開。
 村の純朴な農民青年が、都会から帰ってきた浮薄な(都会ずれした)モダンガアルに誘惑される、「あたしと都会に逃げましょう。都会で面白おかしく青春を謳歌するのよ」、ついては邪魔になるのは、赤ん坊を生んだばかりの男の妻。「あんなの、あんた、殺しちゃいなさいよ」
 かくて、男は湖にボートを繰り出し、妻を乗せ、溺死を装い殺そうとする。男の村は、そもそも湖をボートで対岸に渡り、路面電車に乗って、都会に行く、という設定。
 夫の殺意に気付き、おびえまくる妻。ここで、妻の哀れさに、改心して、妻への殺意がうせる夫。
 だって、おびえる妻を演じるのは、当代きっての可憐な、ジャネット・ゲイナーだもの。あの「第七天国」の可憐なヒロイン。この時代のサイレント女優は、また、恐怖におびえてパニくる演技がうまいうまい。
 か弱い、可憐さを売りに出来た時代。時代が下って、こんにちのハリウッドでは、か弱さを売りにする女優は絶無。ま、それはそれで正しいことで。
 この映画のすばらしさは、しかし、こんな生ぬるいドラマにあるのではなくて、その映像の革新性。
 ハリウッド資本と、ヨーロッパ的感性の合体。
 湖も、農村も、えんえんと続く路面電車(田舎から都会まで)も、都会のビル群も、遊園地も、全て映画のためのセットだという。
 農村などのオープン・セットは、よくあること。しかし、都会のビル群、路面電車の駅(といっても、路面電車の駅など、いわゆる中央分離帯的なものだが)を中心にした広場数ブロック分の再現というのは。実際見てみると、たしかに構図的にはコンパクトにまとめられているけれど、ロケでも充分か、と。
 いっぽう遊園地は、フィックスの画面で、客の群れ、空中を回転する乗り物、小さな店、後方の花火連発、がきわめてコンパクトにまとまった画面の濃密さ。街のビル群も遊園地も、構図の中にすっきりまとまっている。
 それはそれですばらしいのだが、そして、渋谷シネマヴェーラのチラシの説明によれば、「世界一美しい映画」と、フランソワ・トリポンが語ったというのだが、いやー、

1 モダンガアルに誘惑されたからといって、簡単に愛妻を殺そうとし、愛妻のおびえを見て、簡単に改心するなんて、なんてイージー、アメリカンなドラマ。
2 全てセットのこの映画を見て、こんなセットの予定調和なら、街に繰り出したロケ映像なら、もっといいんじゃないか、と。
 偽りのロケ映像(しかし実際はセット)の結果、生々しさが定着するはずなのに、何か妙にコンパクトに、ちまちまとまとまった映像が、そんなに美しいか、とも思うが。温室やビニールハウスのコンパクトさか。

 しかしトリポンたちフランス・ヌーヴェルヴァーグが目指したのは、撮影所を出よう、街に出よう、だった。
 撮影所を捨てたわけではない、撮影所のシステムはすでに崩壊していたか、トリポンやゴダールには、撮影所には開かれていなかったからだ。ビル群の街のセットかなんて、アメリカ資本のみがなしえたんだろうけど、しかしこれが美しい映像か、なんか息苦しいぞ。
 田園風景の中を走る路面電車、その仲の主人公たち、とってもいい映像なんだけど、これが、もっと低条件でも、実際の電車を使った<ロケ映像>だったら、もっと<すがすがしい、ゆるい空気> が流れたんじゃないだろうか、とか、いやこの映像でも、充分すがすがしいぞ、とか。  
 完璧を目指して、完璧なセットなんだけど、

1 でも、その完璧さは、息苦しくない?
2 でも、その完璧なセットで、こんな、くずドラマ?


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by mukashinoeiga | 2011-07-31 23:41 | 旧作外国映画感想文 | Trackback | Comments(0)

仲間由紀恵モンダイ

 なぜ仲間由紀恵は、あんなに美人なのに、<オンナを感じない>のか。
 いわゆるフェロモンがないのだろうか、みんなが言うように。
 TV「トリック」シリーズの、コミカル演技をのぞいて、あまり、いい女優さんだなあ、と思わないのも事実だ。なんか妙につるつるっしていて、のど越しはいいのだが、パンチ(ふるっ)がない。
 もっとも、TVは「トリック」の彼女しか見ていないので、まあ、よくわからないといった程度ですが。
 彼女は、沖縄出身というのは、知っている。そうか、南国系?は、お色気なんて、微妙なニュアンス?とは縁がないのか?
 ということで、沖縄出身の女性芸能人・タレントを検索してみた。検索にはいっぱいひっかかるが、ぼくが知っている人は少ない。これは、ぼくがあまりTV芸能系?に詳しくないせいだが。
 あるサイトによると、

新垣結衣:那覇市
国仲涼子:那覇市
黒木メイサ:名護市
仲間由紀恵:浦添市
満島ひかり(元Folder・元Folder5):鹿児島生まれ、沖縄育ち
山田優:沖縄市
安室奈美恵:那覇市
南沙織:嘉手納町
Kiroro:中頭郡読谷村
知花くらら:那覇市

 これくらいが、ぼくがかろうじて知っている沖縄出身女性タレントだろう。
 アイドル系かわいい系が多いのかな。
 でも、かわいいし、きれいだけれど、これ、見事に、フェロモン無縁系じゃない?
 本来、お色気ありそう?系なはずの、黒木メイサも、満島ひかりも、見事に、フェロモンゼロ系?じゃあありませんか。国仲涼子なんて、はかなげ系?なのに、色気ゼロ。知花くららも、ミス・ワールド・コンテスト出身らしく?大雑把で、ニュアンス少なし。
 なんだか、みんな、歌って踊ってダンスして(笑)系元気少女ではあるのだが。沖縄アクターズスクール系の、ダンシング・ガールが多いのか。
 沖縄アクターズスクールは、確かマキノ雅弘の息子が経営していたはずなのに、マキノの<ニュアンス>は、引き継がなかったのか。
 もっとも、母が轟夕起子という、ガハハ系?元祖ダンシング・ガール(戦前は宝塚)だからなあ。父マキノより、母トドロキのDNAを、濃く受け継いだのか。いや、轟夕起子は、好きな女優なんですけどね。
 沖縄は、セクシーゼロ系地帯なのか。オンナのカロリーゼロ系か。
 南国のせいか。それとも、沖縄にめったやたらと多いときく、左翼性?のせいか?(笑)
 左翼は、セクシーさとか、ニュアンスとか、微妙な感情の間合いを否定しますからね(笑)。
 あるいは、あらゆる意味(歴史的・地理的)で中国に近いせいか。中国もまた、ニュアンスとか、微妙な感情の間合いを否定しますからね(笑)。これらの複合技で、沖縄出身タレントには、フェロモンがないのか(笑)。
 いや、偏見ではなくて、素朴な疑問で。


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by mukashinoeiga | 2011-07-29 22:32 | うわごと | Trackback(1) | Comments(0)

求む、感想、アドバイス

 こんばんは。
 当ブログへの感想、ご意見、アドバイスが、ありましたら、ぜひ、お願いします。
 特に最近、劇的に(笑) アクセス数が減っておりますので。
 ま、あんまり、増えようもないブログですが(泣)。

                                     昔の映画

 あ、あと、おすすめの映画系ブログがありましたら、ご紹介ください。
 ぼくがよくいくのは今、そこにある映画はさておき(笑)、帳場の山下さん、Heroのつぶやき、ぴくちゃあ通信、キネマ洋装店(最近は、ツィッターくらいしか更新しなくなっちゃって>笑)、Songs for 4 seasons(最近は、映画系の話がまったくないのが、チョとさびしい)くらいかな。
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by mukashinoeiga | 2011-07-27 20:45 | 業務連絡 | Trackback | Comments(4)

澤田幸弘「反逆のメロディー」

 三原橋にて。「梶芽衣子スタイル その魅力にはまる」特集。70年、日活。ダイニチ配給。
 特集は梶芽衣子のはずなのに、梶芽衣子より、原田芳雄・追悼の文字が大きい劇場前告知。それもそのはず、この時期の梶は助演で、本日の二本立ては原田芳雄の主演作。その劇場告知には、原田がシネパトス劇場前で、スタッフと肩を組む写真もあり。
 この二本はもちろん前に見ている。
 話は変わるが、今回廃刊になった「ぴあ」を、本当にン年ぶりに買いました、最終号。へたしたら二十年ぶり?くらいに買ったかも知れない。
 かつて、田舎に住んでいたモノとしては、田舎では絶対見られない映画を、見たくて見たくて、月に一回か二回か<日帰り上京>しておりました。その頃は「ぴあ」だけが頼りで。そういう<ぴあだけが頼り>の頃に見たのが、この二本を始めとした、日活アクション、日活ニューアクション、日活ロマンポルノ、その他各社のもの、でした。
 「ぴあ」に関しては、あとでまとめて書くとして、そう「反逆のメロディー」。
 ぼくは茨城出身なのですが、この映画、鹿島ほぼオールロケの映画だったんですね。<陸の孤島>の、すさんだ、寒々しい、港、砂浜、まばらな町の中、が画面に定着している。格闘シーンのスナック近辺は、鹿島実景と、当時末期の日活パーマネント・オープンセットの混合か。古臭い米屋(夜のシーンなので閉店してるが)が、問題のスナックの近所にあるなんて、絶対オープンセットではありえない、<実景ロケ>ゆえでしょう。
 この「反逆のメロディー」と柳町光男「さらば愛しき大地」との二本立ても見てみたい。鹿島、ほとんど、変わってないっしょ。ゆいいつの違いは、「さらば」以降の鹿島に外国人女性の多いことか。
 <ジーパンはぐれやくざ>原田芳雄の、圧倒的素晴らしさ。サングラスで決めているが、サングラスを外すと、野太い眉に優しそうな目。ドンくさいじゃん、素顔(笑)。
 梶芽衣子は、<キチガイ犬ヤクザ>地井武男の、妻の役。スーパークール。スーパーホットな地井もいい。
 しかし、ふつう、スーパークールと、スーパーホットが、夫婦になるかい(笑)。
 その地井が肩入れする、<孤狼ヤクザ>に、藤竜也。寒い港で、うつむいて、しょぼんと、子犬を抱く(!)サングラスの男、あまりに決まりすぎてマンガみたいな爆笑度。しょぼんとして、子犬を抱くしょぼくれ男に、藤竜也以上に似合うオトコがいるだろうか。卑怯すぎるぞ(笑)。
 しかもこの子犬が、松竹あたりなら、ころころ丸い和風雑種犬で済ませそうなところ、いかにも血統書付きそうな、すっきり美形な洋犬の子犬。いかにも、鹿島の<地元重要人物>あたりが「犬が必要? おう、わしが貸しちゃる」といってきたような感じで。はぐれ犬・藤に似つかわしいはぐれ犬でなくて、ちゃんと首輪・リードつきなのが、おかしい。
 原田の義兄(原田は妾腹の子)・梅野泰靖の妻に、富士真奈美。この人ももっと活躍してしかるべき美人女優なのだが。彼女と、原田が、鹿島の港の桟橋を、そぞろ歩いて、語り合う。ああ、日活。
 この冨士が喫茶店で生バンドに演奏させた。北浦警察署・マル暴刑事青木義郎が「著作権法違反(容疑で逮捕!)」、ちょっと体が触れた組員も「公務執行妨害(容疑で逮捕!)」かっこいいぞ青木義郎。
 この青木刑事、カウンターを飛び越え、車も飛び越え、おまえはメル<マッドマックス>ギブソンか。
 いや、青木だけでなく、原田も、その弟分格の佐藤蛾次郎も、若さゆえ、いろいろなものを飛び越える。柵も車もカウンターも飛び越える、こういうトンチキなやつが、日本映画から消えて、久しい。下手したら、ハリウッドでも、ないか。だからこそのオーストリア映画「マッドマックス」だったか。
 「男はつらいよ」の蛾次郎しか知らない向きには、この映画の、ヤングな蛾次郎は衝撃的だろう。
 曽根晴美、深江章喜、いいなあ。ああ、悪い冷酷な親分は、須賀不二男で。
 澤田の師匠格・鈴木清順「東京流れ者」で、後期小津組常連・北竜二を悪い親分にしたように、やはり後期小津組常連・須賀不二夫を悪の親分にした。しかも、この映画、原田芳雄が、大阪~鹿島を流れる流れ者ヤクザで。鈴木組助監督・澤田らしいいろいろな目配せ。快作。


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by mukashinoeiga | 2011-07-27 00:20 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(0)

エイゼンシュテイン「十月」

 渋谷にて。「映画史上の名作番外編 サイレント小特集4」特集。28年、ソ連。
 80年前のものとは思われない、素晴らしさ。いまさらぼくが言うのも、なんですが。
 1917年の10月革命で、レーニンらボルシュビキが、旧政権を打倒、ここに共産主義ソ連を打ち立てた、その10年後に、その民衆蜂起を描いた映画を作る。
 言うは簡単だが、凡庸な人間がこれを作ると、たいていは現政府各方面に配慮した、詰まらん、平凡な映画と相成ろう。ところがソ連政府が指名したのが、この男、セルゲイ・エイゼンシュテインだ。 
 ロケはおそらく史実どおりの場所で、最大規模の大エキストラ、ボルシュビキ側は、レーニンはじめ最大限にご本人がご本人の役を再現していたと思しい。そう見える。おそらく一民衆として参加した人たちも、この再現映像に自らの役で、多く参加したのではないか。究極のイヴェント映画でもあるのか。レーニンなどの<完成された顔>にはない、民衆たちの荒々しい顔の素晴らしさ。
 特に大型の勝鬨橋のような、開閉橋のシーンの、馬、少女、橋のあらわな構造は白眉。笑いどころは、婦人防衛隊か。
 このスケール感が、まず圧倒的。とにかく、首都ペテルスブルク(だよね)の、旧皇帝宮殿を占拠した現政権官邸を中心とした、あらゆる場所で、あらゆる民衆が、いくつもいくつものエピソードを重ねていき、その多重並行描写が、かのモンタージュを必然のものとしていく。
 その圧倒的モンタージュ、その編集が、革命の興奮を、伝えていく。はるか後年のソ連映画のいくつかが、スケール感を重厚さに置き換えていくのとは正反対に、活力に満ちた若々しさ、民衆蜂起のエネルギー。
 やはり<革命第一世代>の凄みか。<オリジナル>な共産革命のパワー。
  後年、それらを<模倣した国々>、ご本家ソ連さえも、その<オリジナル>の、<悪夢のようなパロディー>と化していくのは、ご承知の通り。


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by mukashinoeiga | 2011-07-26 09:36 | 旧作外国映画感想文 | Trackback | Comments(0)

ルビッチ「山の王者」

 渋谷にて。「映画史上の名作番外編 サイレント小特集3」特集。29年、アメリカ。
 <艶笑喜劇の帝王>エルンスト・ルビッチが、艶笑の部分を封印?した、悲恋もの。
 スイスの猟師ジョン・バリモア(ドリュー・バリモアの祖父ですな)は、牧師の姪カルミラ・ホルンと相思相愛。スイスを長らく占領していた駐留フランス軍が撤退したので、村を挙げてのお祭り。
 しこたまビールを飲みすぎたバリモアは、ホルン嬢に迫る。お堅いホルン嬢は、これを拒否。結婚前は貞節を守らなくちゃ。で、性欲の捌け口に悶々したあげく、前から、バリモア君にセマっていた積極娘モナ・リコ嬢とやってしまう。
 で、当時は、狭い村のこととて、やっちゃった以上は、相思相愛のホルン嬢をあきらめて、モナ・リコ嬢をメトらねばならぬ。
 かくて失恋の悲嘆にくれるホルン嬢も、前からのしつこい求婚者と、結婚せざるをえないハメに。
 ここに、相思相愛のふたりが生木を引き裂かれるように、狭い村で、お互い気に染まぬ相手と、結婚しているという。
 これが後年の、ルビッチ艶笑喜劇なら、二組のカップルをめぐる鞘当て、とてつもないゴージャスかつ軽快なセックス・コメディーとなるのだが、あいにくルビッチもまだ若い?、悲恋物となってしまう。
 しかも、原題は、エターナル・ラヴだよ、エターナル・ラヴ。艶笑喜劇のルビッチなら、ギャグ以外に使いようもない、このタイトルを、マジに表現。ルビッチオヤジも、まだ純情なりし頃か。 
 そしてルビッチといえば、ドア。どんなバカでも、ルビッチを見れば、ドアが、ドアが、と言及するので、こちとらも恥ずかしくて言いたくないのだが、ほんとに、ルビッチ、ドアが好きだよねえ。
 ふつうなら、ダサくてもっさりした、お決まりの描写が何十秒か続くところを、数秒間ドアを映しただけで、すっきり解決、とてつもなくおしゃれですっきりした展開になる。これが何回もあるのだから。
 ドアを、クローズ・アップしても楽しいんだから、ルビッチ、もうドアにもとまらない、ので。
 喜劇を封印したといっても、フランス駐留軍退却記念村祭りの描写の軽快さ、楽しさ、小粋さは、やはりさすが。
 この年代のサイレント映画は、たといハリウッドとといえども、主演女優はかなり微妙。今の基準から見れば、え、これが主演女優?てくらい魅力に欠けるのがありがちだが、ホルン嬢、リコ嬢ともに、今の基準で見てもオーケー。いけます。ただ、リコ嬢は、ハリウッド・サイレントの女優にありがち?な、顔を前に突き出した、いわゆる猫背タイプ。当時そういう姿態が当たり前だったのか、それとも恋敵キャラの<刻印された、紋切りパターン>だったのか。
 ジョン・バリモアも、かなりこゆいソース顔だが(ま、当たり前ですけど)、なかなかいい。
 あと、山の描写として、雪崩の表現が見事。ミニチュア(雪山に落下する大きな岩)>おそらく、本当の雪崩の実景(爆薬で仕掛けた作為だろう)>その実景と、主役スタアふたりの合成画面>実際に雪を上から降らせた上に、主役コンビにふんしたスタントマンたちが雪に埋まる実写。
 この連携が見事。当時の解像度が低い白黒フィルムに見合った、見事な特撮ぶり。クレジットには登場しない、名もなきスタッフたちのテクは、数十年後の日米の特撮スタッフを、はるかに超える実力で。
 やはり特撮は、白黒に限る。カラー以降、いま現在の特撮では、一目で、ああ、これは特撮だと、わかってしまう。解像度の低かった頃の白黒映像では、よくできた特撮は、そのあわいが判断できないくらいで。
 この特集で、あと数回の上映あり。オススメ。


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by mukashinoeiga | 2011-07-25 01:13 | ルビルビルビッチ淑女超特急 | Trackback | Comments(2)

大映京都学校・森一生佐

 今回、フィルムセンターの「生誕百年 映画監督・森一生」特集を、何本か見て、つたない感想を、まとめてみました。
 タイトルの<大映京都学校>は、森一生も監督した市川雷蔵主演「陸軍中野学校」シリーズ(「陸軍中野学校 雲一号指令」(1966) なかなかの快作)に由来するものですが、語感がぜんぜん違うので、まあ、駄洒落としても、わからないでしょうね。無理やりです。苦しまぎれ。すいません。
 今回の特集も、すでに見ている、代表作「薄桜記」などは、スルー。もっとも、「薄桜記」も素晴らしい快作ですが、若干ほめられすぎな感じも(笑)。耽美なのに、少女趣味。それ、方向、違うでしょ、という。
 結局、森一生は、大映スクール(流派)を、もっとも忠実に体現した、プログラム・ピクチャア職人なのでしょう。突出した傑作もなく、きちんきちんと楽しませてくれる娯楽番組を量産した大映職人。
 もっとも、百数十本以上を量産した職人監督の、実は一割強しか見ていないのだから、何をいわんや、全て見るのは無理一生、隠れた傑作も、あるかもしれません。
 一生かけても、森一生(もりかずお)の全作品は見れないのですから、何をかいわんや、ですな。
 ということで、以下の作品の感想を駄文しています。

「ある殺し屋」67年、大映京都
「怪談 蚊喰鳥」61年、大映京都
「あばれ鳶」56年、大映京都
「狙われた女」48年、大映京都
「次郎長富士」59年、大映京都
「若き日の信長」59年、大映京都
「朱雀門」57年、大映京都
「わたしの名は情婦」49年、大映京都
「大阪町人」42年、大映京都
「祐天吉松[不完全]」37年、新興キネマ京都
「旅籠屋騒動[『お伊勢詣り』改題]」39年、新興キネマ京都
「槍おどり五十三次」特集。46年、大映京都
「鉄砲伝来記」68年、大映京都


 これから森一生の作品を見るごとに、随時追加していく予定です。


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●近日公開予定●
川島あり川島雄三映画の正体
おゲイさん乾杯木下恵介映画の正体
愛と清順の駄目出し鈴木清順映画の正体
彼と彼女と取りマキ~ノたちマキノ雅弘映画の正体
大魔剣三隅研次映画の正体
危険な英夫鈴木英夫映画の正体
ますますムラムラの悶獣増村保造映画の正体
妄想の器橋本忍映画の正体
Vシネの花道90年代最強伝説三池崇史映画の正体
しぃみず学園清水宏映画の正体
溝口賛歌(けんじぃ)溝口健二映画の正体
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by mukashinoeiga | 2011-07-22 22:42 | 大映京都学校 森一生佐 | Trackback | Comments(0)

青柳信雄「お父さんはお人好し 家に五男七女あり」

 阿佐ヶ谷にて。<映画の都タカラヅカ・宝塚映画製作所黄金の日々>特集。58年、宝塚映画、配給・東宝。
 映画は、ふつうのプログラム・ピクチャアだけれど、その<出自>は、要注目。もともとの原作ラジオドラマで、アチャコの奥さん役に、浪花千栄子が抜擢キャスティング、しかし、浪花千栄子は、当時、どん底で。落ちぶれて、どこぞで逼塞していたらしい。
 まず、どこにいるのか、探すところから、始まったという。やっと見つけて、ラジオドラマを始めたら、これが大ヒット。浪花千栄子、全国区人気のきっかけになったという。
 大阪の、町場の、果物店兼焼きいも屋。この店の焼き芋は、板状にスライスしたものを、安価で売っていたようだ。子供たちのおやつ。
 その店のオヤジが、阿茶太郎ことアチャコ。奥さんが浪花千栄子。上はもう、嫁に片付いた年長組から、
まだ小学生の娘息子まで。
 お年頃の娘に、タマミチこと環三千世。かわいい。彼女の、結婚問題と、弟・山田彰の、お金持ちのお嬢様・安西郷子との、恋愛ものがたりを軸に、展開する。
 今回の特集でも、のちに上映する続編の青柳信雄「お父さんはお人好し 花嫁善哉」は、前に見ていて(やっぱり、ラピュタでか)、狭い我が家に、新たな花嫁との新婚スペースを確保する、改装がありましたなあ。
お金持ちの家(両親が老父・キンゴローと、若い母・。藤間紫)から、いきなり、大家族集団の、下層生活。でも、ヨメ安西郷子は、にこにこ。うーん、まあ、ハッピーエンドの娯楽版ですからね。
 アチャコ、浪花千栄子、抜群の安定感。あまりに安定しすぎていて、かえって物足りない?くらいで。贅沢な悩みか。
 まあ、まあ、無難なプログラム・ピクチャアに、それ以上のものを求めていても、とも思うが。
 アチャコは不動のぼやき芸を展開するが、浪花千栄子のスーパー演技は、このあとを待たなければ、ならない。


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by mukashinoeiga | 2011-07-20 23:29 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(0)

森一生「ある殺し屋」

 京橋にて。「生誕百年 映画監督・森一生」特集。67年、大映京都。
 森一生の三大傑作の一本。といっても、森一生自体、プログラム・ピクチャアの職人なので、せいぜい、<よく出来たプログラム・ピクチャアの快作>に<過ぎない>のだが、で、こういう快作は、大映にも、日活にも新東宝にも東映、東宝にも、あった。
 本作ももう、何度見たかわからないが、ついでに、見て、やっぱり面白い。
 <よくある、一定水準以上の達成>なのだが、これが、代表作になる、という職人技こそ、森一生。そこのところをわきまえつつ、しかし、これは、やはり快作ですね。
 どういうところが快作というと、主演・市川雷蔵の魅力全開。クールで、ニヒルでスタイリッシュ、ストイックな、殺し屋。
 その雷蔵を<よく見せる>にはどうしたらいいのか、と<スタア映画>の要諦に忠実にのっとった、プログラム・ピクチャア。時代劇の雷蔵もいいのだが、現代劇の雷蔵もいい、しかし現代劇の雷蔵は、地味であればあるほどよい、ということで、街場の居酒屋のオヤジ、という地味なことこの上もない<世を忍ぶ仮の姿>を用意。
 そこには、十代半ばの、地味で薄幸そうな少女・小林幸子が、ひとり小女(こおんな)としているような、そっけない居酒屋で。いかにも愛想のなさそうな雷蔵店主と、これまた、娘としても、固さバリバリの、地味少女・小林幸子。ああ、こういう居酒屋もいいなあ(笑)。
 この、ある意味、酒飲みにとっては、地味なジミーな楽園に、ヒモ・仙波丈太郎から逃れた、フーテン娘・野川由美子が紛れ込み・・・・この野川が、やっぱり、いいんだわ。
 脚本が増村保造&石松愛弘。男たちのハードボイルド・サスペンスに、妙に野川をからませる、その増村の手際が、屈折していればいるほど、おかしい。
 そして、アノ野太い声、一切動じない態度の、成田三樹夫、アノ野太い声、アノでかい態度で、雷蔵の<弟分>として絶妙にアシスト。妙に、弟分らしい演技なのが、おかしい。
 やくざの親分・小池朝雄も、迫力あり。その小池と対抗する政商(今でいう孫正義見たいなもんか)の、若い愛人、渚まゆみも、台詞が少ない分、きれいきれいで。



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by mukashinoeiga | 2011-07-18 23:34 | 大映京都学校 森一生佐 | Trackback | Comments(0)

森一生「怪談 蚊喰鳥」

 京橋にて。「生誕百年 映画監督・森一生」特集。61年、大映京都。
 森一生の、隠れた傑作。再見しても、その面白さ素晴らしさは、まったく色あせない。
 フィルムセンターのスケジュール表に、森の傑作は「吐く嘔気」もとい「薄桜記」「不知火検校」「ある殺し屋」の3本とあるが、実にこれも、あなどれない。かの3本と同等か、それ以上?
e0178641_247312.jpg 「怪談 蚊喰鳥」などというと、「蚊喰鳥」なる怪鳥が活躍するホラーかと思うが、出てくるのは人間だけ。だいいち蚊を食う鳥なら、人間にとっては、益鳥?だろう。「蚊喰鳥」とは、どうやら、こうもりのことらしいが、でも、そのこうもりも、映画には出てこない。出てくるのは、人間だけ。
 色と欲に絡めとられた人間たちばかり。
 江戸時代。常盤津の師匠・中田康子、それに群がる(笑)按摩兄弟(船越英二・二役)、ボンボンの遊び人(小林勝彦)。男たちが蚊で、群がる男たちを食いまくる、中田康子が、蚊喰い鳥なのか。
 とにかく、やっぱり、船越英二が絶品。中田康子に恋焦がれるあまり死んじまった兄按摩、そのきまじめさ、兄を言い訳に中田に近づく、図太い弟按摩、この弟が、すごんだあとは、へらへら誤りに来る多重キャラ野郎、しかもきまじめなあまり、ユウレイになった兄も演じわけ、まさにオールザット船越、凄み、愛嬌、傲慢、低姿勢、あらゆる人間の業を演じ、まあまあ、目の快楽。船越、すごすぎる。絶品、以外の賛辞が、思い浮かばない。
 それを受ける中田康子。東宝ではイマイチだったが、大映に移って、この快演。色っぽくて、あだっぽくて、はなやか。裏でいろいろ考えている、悪女。この中田が、季節は夏とて、蚊帳を吊って、うとうとお昼寝の図。
 その蚊帳の中に、男たちを、次々、連れ込む。白黒シネマスコープの画面に、蚊帳、その蚊帳に男をくわえ込む中田の色っぽさ。この絵も素晴らしい。
 このふたりがとにかく素晴らしく、しかも、怪談独特のけれんみの演出も素晴らしい。怪談ホラーの頂点とも言うべき描写。とにかく、弟船越が映るたびに爆笑、兄船越が映るたびに、ぞぞぞーッ。きちっと怖がらせて、背筋を寒くする、素朴だが、理屈抜きの怖さ。やっぱり、ホラーに白黒は、似合ってるわ。
 そして限定された、小寺の裏の墓地、そこにしつらえられた古井戸、そのさらにうにらに当たる、常盤津の師匠の、家。このセットも素晴らしい(美術・西岡善信)。
 やはり怪談ホラー、怪談ユーモアの頂点とも言うべき、傑作。
 そして78分のタイム・コスト・パフォーマンス。これもいかにも大映。短くても、濃密。無駄に長くて、まったく怖くないどこぞの「怪談」なんて、問題外。森一生と、大映のよさ、船越の素晴らしさが、渾然一体となった。


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by mukashinoeiga | 2011-07-17 22:36 | 大映京都学校 森一生佐 | Trackback | Comments(0)