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杉江敏男「続・天下泰平」

 阿佐ヶ谷にて。「昭和の大流行作家 源氏太の映画アルバム 日々哀歓」特集。55年、東宝。

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by mukashinoeiga | 2011-02-25 00:28 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(0)

筧正典「大安吉日」

 阿佐ヶ谷にて。「昭和の大流行作家 源氏鶏太の映画アルバム 日々哀歓」特集。57年、東宝。
 たぶん、8割方は見ている映画だな、と思いつつ、でもチラシの写真に見覚えなく?、あえて?チャレンジしたら、やっぱり、見ていた映画。
 小林桂樹の、快演もよろしく、映画は多少もっさりしているものの、軽快に見ていたら、ちとだらついた展開で後半あたりで睡魔に襲われ、やはり主役の快演だけでは、映画は持たないのだ。気付いてみれば、小林は大会社の社長になっており、どういう経緯で、というのが、2度見ても、わからない(笑)。ただし、これは、ぼくのせい。
 すれっからしの小悪党との、チラシの説明だが、源氏鶏太のほのぼのワールドでは、ちょいと裏事情に通じた、チョイ悪オヤジ程度。小悪党とさえ、程遠い。
 岡田茉莉子が達者な演技ながら、下手したら、淡路恵子、河内桃子に継ぐ、第三ヒロインの扱い。まあ、本当は三人とも、同列、後半は岡田が、抜け出すんですけどね。
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by mukashinoeiga | 2011-02-23 22:42 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(0)

瑞穂春海「見事な娘」

 阿佐ヶ谷にて。「昭和の大流行作家 源氏鶏太の映画アルバム 日々哀歓」特集。56年、東宝。
 微妙な既視感あり。たぶん、いにしえの浅草東宝オールナイト当たりで見たものか。しかし、まったく未見作同様楽しめる、ぼくの記憶力。
 明朗ビジネス・ガール(BG、これは売春婦という意味だということで、OLに改変された)司葉子。
 同僚BGの妊娠、相手の金持ち男(伊豆肇)に交渉にいく司。これが、女を人間扱いしない卑劣菅。もとい、卑劣漢。というところで、卑劣兄の、弟・小泉博と出会う。こいつは、兄と違い、さわやか好青年。
 小泉の両親に、斎藤達雄・吉川満子。このふたりが、詫びを入れに司葉子の家に行くと、司の父は笠智衆。ああ、戦前松竹ホームドラマ・ファンからしたら、斎藤・吉川・笠のならびに、感慨深い。戦後の東宝映画に、戦前松竹の遺産あり。もう、安心感以外の何物でもないよね。
 振られ役・小林桂樹にも、味があり。抜群の安定感。
 長い小説を、めちゃくちゃダイジェストしたんだと思うが、ああ、やっぱり、源氏鶏太の、生ぬるさが、いいなあ。
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by mukashinoeiga | 2011-02-21 23:57 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(0)

成沢昌茂「四畳半物語 娼婦しの」

 神保町にて。「文豪と女優と エロスの風景」特集。66年、東映京都。
 永井荷風「四畳半襖の下張」が原作。といっても、主演の三田佳子が、あんなこともこんなこともするわけではない。時代の制約もあるし、監督も、溝口健二を師匠と仰ぐ、成沢だし(本特集にも代表作「裸体」あり)。
 まあ師匠ほどに、キビしい映画ではないが、つまり、ある甘さがあるのだ。ま、溝口くらい、甘さのない映画を作る人は数少ないから、それも当然か。
 気がつけば、やはり全てのショットが、長回し。最初の、荒れ果てた屋敷を舐めるところから始まり、たとえば、明け方の娼家、三田と客の会話から、キャメラが横移動すると、離れの障子が開いて、野川由美子が顔を見せる。野川の後ろには、野川のお初をいただいた進藤英太郎が寝ており、しかし野川が進藤を揺すると、死んでいる。なんと、腹上死。発狂したごとく庭に飛び出す野川(ここで再び横移動)、野川にびっくりする三田と客。
 あるいは、三田と野川が延々長芝居。そこへ、三田のヒモ・露口茂が顔を出しひと騒動、野川が部屋を出て、今度は三田と露口の長芝居、これが全て、ワンシーン=ワンショット。役者も、見ているほうも、緊張するが、全編、こうだと、まあ、見ているほうは、話の流れなんか、どうでもよくなる、そういう欠点がある。
 師匠・溝口の長回しや、クレーン・ショットは。キャメラの動きに淫しすぎることはなく、話の流れを、映像が邪魔しなかった。本作は、流麗なキャメラの移動、画面の端を、小さく横切る通行人など、画面の構図にも、淫したところがあり、監督や撮影のドヤ顔が浮かんでしまうところがある。
 よくできてはいるが、「たいへん、よくできました」という、花丸を頂戴する程度の、レヴェル。
 溝口の、流れるようなキャメラ・テクには、まったく、テクに淫した所がない。奇跡的にすばらしいのだが、その甘さのなさが、ぼくが溝口映画を敬して遠ざける原因でもあるのだから、こまったものや。小津や成瀬の映画は何べんも見るが、溝口は、一回見て、素晴らしい、でもニ回は、見ないのね。
 長回しを徹底した相米慎二は、とうとう物語を破戒し、物語なんかどうでもよくなるくらいに、映像を優先した(●追加●映像と瞬間のパッションですね)。
 それも、それで、よかった。成沢長回しは、溝口と相米の中間。どっちつかずというところがある。
 少ししか出ないが、いやたらしいスケベオヤジの進藤、その妻の浦辺粂子、たっぷり見せ場の小暮実千代、この小暮のせりふのいちいちが、最高。華ある色香が、小暮の隠れた代表作か。これまた少ししか出ないが、なんと遠藤辰雄が、三流の色役者。絶妙の臭さで、笑いを取る。こういう、溝口ゆかりの役者たちの良さが、でも、溝口エピゴーネンの、証しで。
 なお「四畳半襖の下張」がらみの記事で、「淫した」なんて言葉を多用するから、グーグルなどの検索ページで、緑の丸にレ点の「検査した、問題のないサイト」から、丸にクエスチョン・マークの「検査していないサイト」に移行しちゃうんだろーなー(笑)。忍者アクセス解析結果のリストには「裸」や「ヌード」の文字ばっかりだし(笑)。
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by mukashinoeiga | 2011-02-20 08:26 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(0)

「キネマ洋装店」VS「平成21年度補正予算特別事業費」VS源氏鶏太

 銀座シネパトス、大森キネカが、名画座宣言をして、都内の名画座は、ますます混戦模様?
 もっとも、一般ロードショー館としては、かなり弱小な2館が、名画座宣言をしたのは、スリム化して、より経営効率化をはかりたい、いわば苦肉の策なんだろうけれど。新作ロードショーなら、製作会社やらが、ン百万からン千万、ン億円のの宣伝費をかけなければいけないが、名画座なら、まあ、スケジュール表のチラシだけ(でも、ないが)で済むし、フィルム料は、週数万単位だ。
 で、いわば、その結果かどうか、名画座激戦とも言うべきことになったのかどうか、特にこの3月は、すごいことに。
神保町シアター<女優とモード 美の競演>3月5日(土)~4月1日(金)
 「キネマ洋装店」店主が企画協力しただけあって、とにかく作品の一本一本に、外れがない。たいていの特集上映には、これどうよ、というような、見る前から駄作の予感が数作あるのだが、この特集に(広義の)外れなし。 これはすごいことなんよ。さすが、「キネマ洋装店」店主が「渾身の」企画というだけは、ある。
 全作品が、傑作快作注目作。見て損のない率、過去最高。さすが、渾身。
 OLD映画ファンで、この中に未見作があれば、直ちに見るべし。ただ、すれっからしのぼくとしては、数本を除いて、既見作。個人的には、残念。OLD映画ファン初心者・中級者には、最適。
●ラピュタ阿佐ヶ谷<昭和の大流行作家 源氏鶏太の映画アルバム 日々哀歓>2月13日(日)~3月25日(金)
 いや、これも、全作、にこにこ、ほのぼの、ほっこり。
 今は、失われた、サラリーマンもの、ホームドラマもの、いっぱい。エロもグロもひとかけらもない、あるのは、日本の家族、会社、恋人たち、友達、酒場、そこにいるやさしい人々、時に、よこしまな奴ら、そのほのぼのコメディー。これまた、OLD映画ファン初心者・中級者には、最適。
 正義は正義、こすっからいヤツはこすっからいヤツ、キャラがはっきり色分けされていて、その点でも、娯楽味満点。「三丁目の夕日」がお好きなら、よりリアルで、より好ましい、「三丁目の夕日」が味わえる。 
 かつて、ン十年前の若いころ、そのころでも、すでに古臭い、源氏鶏太、石坂洋次郎、山手樹一郎、などの、BC級の娯楽作家を、図書館や古本などで愛読しておりました。反時代的なC級読書家としては、石坂洋次郎に続く源氏鶏太の映画化特集ほど、うれしいものはない。かつて、ラピュタのある特集で、気付いてみれば、それは源氏鶏太原作ばっかりでは、ないの、そう思ったら、ラピュタも、うすうすそう思ったのだろう。ゆえの、今回の特集か。 
 とにかく、にこにこ、ほのぼの、ほっこりの、映画を見たいなら、この特集は、そのもの。
●新文芸坐<追悼 高峰秀子>3月3日(木)~16日(水)
 これも、全て面白いが、残念ながら、ぼくは全部、見ている。
 未見の方がいれば、全作おすすめ。
●渋谷シネマヴェーラ<五所平之助>2月19日(土)~3月11日(金)
●渋谷シネマヴェーラ<ジョニー・トーとゆかいな仲間たち>3月12日(土)~4月1日(金)
 この2番組も、最強。この中に未見作があれば、直ちに見るべし。
 五所平は、数本をのぞいて、既見。ジョートーは、その逆か。ここまでカヴァー?は、出来るか。無理だろ。
 というのも、
●フィルムセンター<よみがえる日本映画~映画保存のための特別事業費による>3月1日(火)~3月27日(日)
 平成21年度補正予算から、332作品のプリントを新たにコレクションに追加、そのうちの28本を、一般にお披露目しようという。まあ、民主党政権なら、早速事業仕分けされそうな、映画ファン・研究者以外、まったくお国のお役に立たない税金の使い方だが、日本を抜きさって世界第2位の経済大国に、いまだに、これからも、ODAを差し上げちゃおうという、売国税金拠出よりは、何ぼか、うれしい。
 当然、28本中、数本をのぞいては、未見作。3月は、ここをメインに通いたい。いつになく、スケジュール表をにらめっこ。有給含め、もっとも効率的に、多くの作品を見るには。6・7パターンの日程をシュミレーション(笑)。ベストスケジュールを決めました(バカ)。いや、完全を期して休みを入れることも可能なのだが、それだと毎日京橋に通うことになり、それじゃ、仕事と同じジャン。それに、どうにも食指が動かぬものもないわけじゃなし。ぼく的には、ぶらりと立ち寄ったら、たまたま見たい映画がやっている、というのが理想なんだからさ。ぎりぎりの妥協で。
 というわけで、3月は、京橋をメインに、時間が開けば、その他の未見作を、見る予定だが。

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by mukashinoeiga | 2011-02-19 22:39 | うわごと | Trackback | Comments(0)

コスタ=ガヴラス「斧」

 京橋にて。「現代フランス映画の肖像 ユニフランス寄贈フィルム・コレクションより」特集。04年、コンスタン・コスタ=ガヴラス監督。
 その昔「Z」「戒厳令」「告白」(特に「Z」は、抜群に面白かった!)など、骨太な政治サスペンスなどの大快作で、ぼくたちを興奮させてくれた<フランスの山本薩夫>コスタ=ガヴラス、その後、アメリカに、<出向>し「ミュージック・ボックス」「ミッシング」など、いささか失速して、がっかりさせた。今は、フランスに戻っているようで、この小ぶりのサスペンス快作で、久々に見ましたねコスタ=ガヴラス。
 せこい話なのよ。昔のガヴラス映画に比べればね。
 製紙業界のエリートが、リストラで首。求職にチャレンジするも、2年間不発。で、求職ライヴァルたちを次々殺せば、チャンスは格段に増えるのでは、ということで、アマチュアの殺し屋は右往左往、同業の求職者を次々殺していく、そのサスペンス。
 亡父の遺産、軍隊時代の旧式銃で、次々殺しまくる。撃つたびに、反動で肩を痛めるアマチュアっぷりだが、なぜか犯行は成功しまくり。殺すために忍び込んだ家で、対象者が意外といい奴、酒を勧められたり。一緒に飲んだり。コミカルな味も、楽しい。
 まあ、落ちは、ちょっとひねりが足りない(一番予想される落ち、求職成功のとたんに逮捕は、とりあえず回避されているが)、けれど、小味なサスペンスは、さすが。
 ただ、フィルムセンターのチラシ解説で、主人公は、名高い喜劇俳優(ジャック・レモンに、くりいむしちゅー有田を足して2で割った感じ)起用とのことだが、さほどコメディ味は成功していない。
 主人公の妻に、見た顔だと思えば、この特集の「彼女の人生の役割」カリン・ヴィアールか。なかなか、好感度。
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by mukashinoeiga | 2011-02-16 22:41 | 旧作外国映画感想文 | Trackback | Comments(0)

深川栄洋「洋菓子店コアンドル」

 この新作、ぼく的には、早くも、本年度ベストワン決定!(はやっ)
 ま、本年度はあと10ヶ月もあるので、暫定ベストワンですかね。
 感想らしきものは<今、そこにある映画>に書きましたが、公開初週というのに、ぼくの見に行った回は、ガラガラ。当然、打ち切り対象だろうけど、だからこそ、明日でも明後日でも、心ある映画ファンには、駆けつけて欲しい。
 いやー、蒼井優の天才女優ぶり、その迫力、久しぶりに堪能しました。すげーよ。
 鈴木英夫「その場所に女ありて」の現代版かと。
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by mukashinoeiga | 2011-02-15 00:20 | 業務連絡 | Trackback | Comments(0)

コルノー「畏れ慄いて」

 京橋にて。「現代フランス映画の肖像 ユニフランス寄贈フィルム・コレクションより」特集。02年、アラン・コルノー監督。
 オール日本ロケのフランス映画。ヒロインをのぞいて出演者は全員日本人(ごく一部に怪しげな日本語があるが、これはフランスに帰ってからの、アフレコが、あったのか)。ヒロイン、シルヴィ・テステュは本作でセザール賞最優秀女優賞、カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭最優秀女優賞、ルイ・リュミエール賞最優秀女優賞、エトワール・ドール賞主演女優賞を受賞、確かに好演している。
 日本人出演者(比較的名が知られているのは諏訪太郎くらいか)も、全員なかなかの快演。出演陣に関しては、見ていて、なかなか気持ちいいのだが(笑)。
 日本の企業に勤める西洋人、ただし、この日本企業の描写が、大バカで、でたらめ、日本人としては苦笑せざるを得ない珍描写が続くが、しかし、いわゆる国辱映画とも違う、単に製作側の認識不足か、おバカ映画を作ろうとして、ずっこけたのか。フランス映画のコメディ感覚は、あんまり、ぼくには、笑えないからなあ。たぶん、フランス映画は、コメディ、あんまり、うまくないよね。しかし、あんまり悪口いう気がないのは、すべての出演者の好演と、ほのぼの感。いや、日本人としても、見て、損のない、好感度。凡庸な作品の、凡庸ゆえの好感度。

 平日に見に行ったら、日本がらみなのに日本未公開の映画のせいか、即満席。開場早々に、入場不可の観客が続出していたようだ。来週の日曜、2/20の最終上映は、お早めに見に行かれることをおすすめする。 これも小ホールでの上映ゆえだが、フィルムセンターも官僚気質が抜け出せないようで、最終日くらい、大ホールに移せるかどうか(笑)。
 主人公は日本で生まれ5歳まで日本にいたベルギー人。大学卒業後、「故郷」の日本に戻りたくて、「弓共商事」(名前から類推すると住友か)に、通訳として職を得る。 
 ところが通訳の仕事はない、通訳以外の仕事も、ない。
 しょうがなく、日本OLの仕事の定番、お茶くみ。あ、この映画、アメリー・ノートンの自伝的小説の映画化なのだが、時代設定は1990年なんですね。
 あるとき、重要なお得意様たちがやってきた会議室に、お茶をサーヴ。ところが、ヒロインのお茶出しに取引先グループは、激怒(笑)、映画を見ていたぼくは順番を抜かされてお茶をもらえなかった重役が激怒したかと思ったら、なんと、ヒロインが日本語で「どうぞ」といってお茶を出したのが、いけなかったらしい(なんで)。日本人たちは、お茶出しが外国人なのに、ちゃんと日本語がわかるのに、怒ったらしい。ここら辺が、よく、わからない。珍映画の珍映画たるゆえん。
 ちなみに、お茶のカップは、日本企業なのに、どう見ても、フランス仕様? 小さいし。
 次に、経理の仕事、これも使えないので、最後に●●の仕事、と彼女はどんどん通訳から、離れた仕事をさせられていく。●●の仕事なんて、ふつうに考えれば、外注の別会社の仕事だろうに。これ以外にも、日本企業の仕事の描写は、全部、でたらめ。一平社員の仕事を奪ったからって、副社長が、怒鳴るか。謎だ。
 役者たちは、みんな、いい。悪役の副社長にすら、好感を、もっだぞ(笑)。ただ、映画は、でたらめ(笑)。
 だいたい、異国にひとり住む女を描写するのに、私生活描写がまったくないのは、おかしすぎないか。出てくるのは会社と、渋谷の駅前交差点(外国人は、あの、当たり前の交差点に、なぜか、興味深々なのは、いたって不思議。昔、ぼくの数メートル先を歩いていたサラリーマン風の男が、前に来た女性の胸をいきなりわしづかみにし、女性が、ぎゃっと叫んだ、男はすばやく立ち去った、以外は、ごくふつうの交差点なんだが)の通勤風景のみ。
 私生活を描かないフランス映画というのも珍品だろ。これこそ、日本への「差別」か。

 主演のシルヴィ・テステュは、フランス映画でたびたび見る顔だ、と思って調べてみたら、フィルモグラフィーでぼくが見たのは、ギャスパー・ノエ「カルネ」、ジョニー・トー「冷たい雨に撃て、約束の銃弾を」くらい。
 そのほかにも、ビヨンド・サイレンス(オリジナル)、点子ちゃんとアントン、発禁本-SADE、家路、迷宮の女、エディット・ピアフ愛の讃歌、サガン 悲しみよ こんにちは、などの有名どころにも出ているらしいが、ぼくは未見。なのに、この顔の既視感は? 「カルネ」の軽い役って、まさか、あの主演の少女では、ないということか。
 しかし、テステュがおなじみの顔に思えるのはなぜ。
 「西洋人」にしては、おどおどした顔が似合う。日本でさんざん、いぢめられる役に、この被虐感バリバリの顔は、最適か。シルヴィ・テステュは、直属上司・辻かおりより、背が低く、この日本人上司を、時にはおどおどと、見上げている。「西洋」が、対日本で、自信をなくしていた時期の映画で。
 この、東洋人におどおど、へいこら追従する西洋人というのも、あまり、見たことがない図か。マニア(何のマニア)には、たまらん図かもしれんが、マニアならぬぼくは、この珍品さかげんに、ただただ不思議。
 ちょうどバブル期の日本に、こびた感じか。そういうおフランスも、今は、中国にコビコビ。そういう意味では、わかりやすいなフランス。
●追記●1990年の設定らしく、オフィスにあるパソコンは、あの、昔の、分厚い、ディスクトップ。なつかしい。しかし、諏訪太郎や辻かおりが使う、画面を見せさずるを得ないものは、90年には存在しないだろう、タイトなノート・パソコン。ここら辺がずさんだなあ。それに、コピー機のあやふやさを指摘するシーンは、リコーが見たらビックりだろ。渋谷の駅前を歩いて通勤のヒロイン、会社はどこなんだ。というのも、野暮か。
しかし、ヒロインや、脇役陣が、かわいいので、許す(笑)。いや、ほんとにこの映画の登場人物はかわいいのよ。
 フランスが、アメリカ、日本、中国と、その時々の、勢いある国に、こびるのは、わかった(笑)。
●さらに追記●映画の途中で、おなじみの曲が、いきなり流れる。「戦場のメリークリスマス」のテーマ曲。と、画面には、軍服の坂本龍一とデヴィッド・ボウイが登場。「戦メリ」フッテージの引用。
シルヴィ・テステュ「戦場のメリークリスマスは見ましたか?」
辻かおり「見たわ」
テステュ「あなたと私の関係は、坂本龍一とデヴィッド・ボウイの関係に似ていると思う」
辻「あなたは、ボウイに似ていないわ」
テステュ「もちろん。メタファーとして言っているの」
 ま、ちょっと、違うと思うが(笑)。


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by mukashinoeiga | 2011-02-13 19:54 | 旧作外国映画感想文 | Trackback | Comments(0)

荒井美三雄「処女の刺青」

 渋谷にて。「妄執、異形の人々 5」特集。76年、東映。
 東映任侠/ヤクザ映画自体の、スピンオフ企画とも言うべき、ドキュメンタリー。
 体に刺青を入れる人たち、彫り師たち、のドキュメントだが、冒頭、東映仁侠映画の健さん、藤純子などの、自社フッテージから、入るのが、うれしい。
 全編にわたって、ざくざく、しゃっしゃっ、すぷすぷ、いやいやなんとも文字化出来ない微妙な、皮膚に刺青用の特殊針が突き刺さる音が続く。背中に、股間に、突き刺さる針。滲む血。塗られて行く絵。
 ただしタイトルには偽りあり。処女に、刺青入れるシーンがあるのかと、思うじゃないですか。
 この業界では「いまだ刺青が入っていない皮膚(の人)」を「処女肌」というそうで、別に「男を知らない女性」の意味ではないというのだ! こりゃ、詐欺じゃありませんか!(笑) 東映も民主党だなあ。
 やっと見つけた「処女肌」の女性の体に絵を描く彫り師。ところが実態は、彫り師自身の妻らしく、いささかヤラセっぽい。登場する「作品」さんたちは、水商売、テキ屋、いわゆる香具師ですな、など。
 なんと、やくざ屋さんの「作品」は登場しない。自粛なのか、他粛なのか、まあ、ここに本物を出すのは、東映といえども、まずいということなのか。
 ナレーター兼インタヴュアーに花柳幻舟。この人、踊りの人であっても、語りはシロウト丸出しの、訓練されていないしゃべり方が、ウザすぎ。インタヴューはともかく、ナレーションは、聞いている方が苦痛で。
 映画自体も、関係各方面に遠慮したような、ぎこちないつくり。何よりも、作り手に、刺青に淫した印象がまったくなく、かといって、突き放した冷徹さもなく、中途半端。

 シネマヴェーラの映写は、ここでもピント甘し。基本的に合ってはいるのだが、おそらくプリント劣化に伴う、一部ペナペナ化(あるいは、フィルムに塗られた潤滑油の劣化か)をまったく無視しているので、結果かなりの時間、画面がボケるハメに。
 新作ニュープリントなら、最初にピントを合わせて、あとはほったらかしでも、行けるのだが、旧作の劣化プリントは、上映中、映写技師が見守っていて、そのつど微調整しなければならない。そのレヴェルのプリントといえる。あるいは古い油をふき取り、新たに塗るとか。
 まあ、言うは安く、人件費削減の折、難しいことなんですが。だだ、渋谷シネマヴェーラは、毎日毎日新たな番組を上映しているに等しいシステム。珍映画を求めて(それはそれでファンにはうれしい)劣化フィルムをつかまされる割合も多いだろう。だからといって、それなりの料金を取って上映するのだから、上映の多くの部分をぼけた状態なのは、よろしくない。シネマヴェーラには、旧作プリントを上映する資格も、覚悟も、ない。
 ぼくが見る限り、比較的、そういうことの少ないだろうほかの名画座に、ご相談されては、いかが。
 デジタル素材の媒体は劣化しないという。それはそれで本当かと思うが、フィルムは、必ず劣化する。上映を一回すれば、それだけで、プリントはそれなりに劣化する。まるで、生きものであるかのように、フィルムは劣化する。
 情緒的に言えば、フィルムは「情報」ではなく「情念」を「写して」いるがゆえに、まるで生きものであるかのように、経年劣化する。デジタル素材は「情念」ではなく、「情報信号」を「映して」いるゆえに、「情報信号の中身」自体は、暫時価値を軽減するけれど、「情報信号」自体は、経年劣化しない。ま、自分でも、なにを言ってるのか、わからんけれども(笑)。
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by mukashinoeiga | 2011-02-08 23:24 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(0)

レディース・デイ

 2ちゃんねるで、ぼくが住んでいる千葉県がらみの、<【千葉】「男女平等」という言葉が消えた 県の男女共同参画計画案 市民団体や法曹団体などから見直しを求める声>というスレを読んでいたら、男尊女卑(笑)の2ちゃんらしく、女性優遇のほうがモンダイだろう、ということで、

  合理的な理由無く男女で料金差をつけるのは全国で禁止したらいいよ。
  映画なんて男女で価格差が発生する理由なんて何も無いじゃないか。

などという発言がありました。ほんとは、2ちゃんに書き込めばいいんでしょうけど、昔々、2ちゃんに書こうとして、何度も何度もアタックしたところ、クッキーがどうのこうのと、書き込めず、挫折したものですから(笑)、まあパソコン情弱と、笑ってやってください。んで、ここに書きます。
 地方の元映画館勤務者として、昔、うちでもレディース・デイやっていました。その経験から言うのですが、お客さんのほうから見れば、映画を安く見られる日、で映画館側から見れば、営業的に、半額の日に普段の2倍のお客が来て、やっととんとん、できれば3倍4倍5倍来てくれなきゃ、半額の日なんて、やってらんねーよ、というところ。
 で、レディース・デイには、女性のお客さんは、学生ならクラスメイトと、会社員なら同僚たちと、グループで来てくれるんですね。ここまでならダンデイ(と称して、男性半額デイを設けた映画館もありました)でも、ありうるでしょう。今は学生が昔ほど映画を見なくなったので、学生の部分はないでしょうけど。
 女性は、それだけでなく、お母さんとや、姉や妹とや、おばあちゃんとや、一緒に来てくれるわけです。
 男性の皆さん、男性半額デイがあったとして、それは平日なんですが、いや平日でなくても、
「親父ー、一緒に『相棒2』見にいこーぜー。すげーヒットしてるんだよ」
「兄キー、一緒に『アンストッパブル』見にいこーぜー。すげーおもしれーんだよ」
 そう誘って、連れて来れますか。家族で、3人4人で、行きますか。
 少なくとも、ぼくは、そうでないなあ。今は、映画館勤務ではないので、男性も半額で見られる映画の日にも行きますが、まあ、あんまり見ませんね、家族で見に来ている男というものは。
(もちろん、地方と東京中心部では、傾向が違いますが) 

  合理的な理由無く男女で料金差をつけるのは全国で禁止したらいいよ。
  映画なんて男女で価格差が発生する理由なんて何も無いじゃないか。

 「合理的な理由」は、「立派」にあるんです。
 ぼくは映画のことしか知りませんが、ほかの業態での女性優待も、似たような傾向があるのでは。
 たとえば、電車の男性専用車があったとして、ぼくはそれに乗るだろうか。<フツーの電車>に、乗るのでは、ないかと(笑)。
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by mukashinoeiga | 2011-02-07 22:28 | うわごと | Trackback | Comments(0)