<   2010年 10月 ( 29 )   > この月の画像一覧

若尾文子という女優

 神保町の若尾文子特集で、未見のものでは島耕二「瀧の白糸」をのぞいて、見ることが出来た。
 大映のこととて、しかも若尾だから、水準作でも、面白かった。今回特集された作品だけではなく、平均作に、若尾が出演することによって、実力以上の見ごたえになったものも多いと思う。
 ある意味、監督の存在以上に、映画の場を支配している女優なのだと思う。映画は監督のもの、俳優は素材を提供するだけ、という物言いが、あるが、若尾主演映画の場合は、映画は若尾文子のもの、という感想をもてる、稀有な女優なのだろう。
 その独特の声、しぐさ、妖しい笑顔、まさに<ご婦人は理不尽>そのものの、無茶ぶり。
 最近も、ソフトバンクのCMで、<お父さん犬>の母親として登場し、<息子>より若い、松田翔太と再婚宣言する、という無茶ぶりを、たおやかに演じている。
 こんな、無茶ぶりを、しれっとして演じられる女優は、そうそういないだろう。若尾文子が「卍」「不倫」「しとやかな獣」「清作の妻」「女系家族」で、絶妙に演じる<不思議な男女関係の契約>、そのいけしゃあしゃあとした提出ぶりをも思わせ、見ていて微苦笑が絶えない演技ぶりだ。
 CMでも<<お父さん犬>をのぞいては、上戸彩ほかの家族は、早くも若尾に洗脳されたか、賛成のようだし。例によって、若尾は、孫娘・上戸彩ほかに、それぞれ単独攻撃、一対一では、また別の顔と声付きを見せて、各個撃破、みんな自分になびかせたのだろうか(笑)。
 映画の場を支配する若尾文子にとって、白戸家の場を支配することなど、朝飯前なのだろう。
 増村保造「濡れた二人」で、北大路欣也青年をとりこにさせた若尾だから、いずれは<お父さん犬>(声が北大路)も、陥落は、近い、ということか。
 ちなみに、ソフトバンクCMは、日本人が見ても楽しいCMだが、韓国人が見ると、また別の面白さで、爆笑が絶えないという。
 日本人男性役には、韓国人がさげすみの対象とする、犬、黒人が当てられ、正々堂々と、日本人蔑視が楽しめるらしい。また、韓国人にとって長幼・上下関係が重要なので、<年下のおじいちゃん><年下の父>など、まさしく、やはり日本人は、犬畜生だ、と面白いだろう。しかもその若者が、韓国系日本人である痛快。韓国人青年が、上から目線で、日本人中年犬に、命令する愉快さ。
 閑話休題。
 若尾文子独特の無茶ぶり、「清作の妻」の、あんなことこんなことされても、おとなしく若尾に従う夫・田村高広の、洗脳されっぷりを見ると、詐欺師というより、宗教家、催眠術使いとも思える、若尾は、れっきとしたトリックスタアなのではないか。
 若いころ、永田雅一に、「若尾文子は、高嶺の花ではなくて、低嶺の花の魅力」と言われた若尾だが、年を経るにしたがって、みなが、かしこまって仰ぎ見る、真の高嶺の花になりおおせた女優ではないだろうか。
 もちろん、一人一人に相対した場合は、にこっと笑って、男にも女にも(精神的に)しなだれかかって、あのつややかな声で、とうとう自分の言いなりにさせてしまうわけだ。
 誰が名づけたのか、新藤兼人か川島雄三か、そう、まさしく「しとやかな獣」!


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by mukashinoeiga | 2010-10-31 08:10 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(0)

吉田喜重「告白的女優論」

 京橋にて。「映画監督五十年 吉田喜重」特集。71年、現代映画社。
 自身も、スタア女優である、浅丘ルリ子、岡田茉莉子、有馬稲子が、スタア女優の役を演じる。
 スタア女優の役を演じることで、彼女たちの演技がどんどんくさくなっているのが、笑いどころか。
 ルリ子パートは、元同級生の赤座美代子が、付き人格。かつて、関係していた映画監督(木村功)と、赤座が、デキている。
 赤座とルリ子は、ともに高校時代、教師の川津祐介に、クロロホルムをかがされたことがある(笑)。最初に赤座がクロロホルム、
 あ、自分ではなく、川津は赤座を選んだのか、赤座が犯されるのか、とルリ子。ところが川津は「何で、一人で来なかったのだ」と、ルリ子を責める。つまり、ルリ子が目当てで、一緒にいては邪魔な赤座に、眠ってもらったわけだが。これに混乱した?ルリ子は、自ら進んで、クロロホルムを、かぎにいく。
 コントか。
 しかし、吉田喜重映画は、あくまで、デッド・シリアス。笑いのわの字もない。
 茉莉子パートは、女優志願の若い娘・太地喜和子が、内弟子格。大地は、茉莉子の元夫と、なにやら怪しい。茉莉子自身は、精神科医・菅貫太郎と、つい出来てしまう。
 有馬パートは、専属デザイナー・久保まづるかと、仲がいいんだか悪いんだか。自殺狂で、男と心中未遂を繰り返し、そのつど相手の男を死なせ、じぶんだけ、いつも、助かっている。久保まづるかは、結果的に有馬の婚約者を、盗ってしまう。ていうか、たぶん、微妙に個性的な舞台女優なんだろうけど、まずるかって、なに。
 で、この三人の、スタア女優の、オフの姿、過去に囚われた性的心理が、描かれるのだ、が・・・・。
 これが、はっきし、言って、つまんねー映画なんだよ、なーんの、面白味も、ない。
 例によって、松竹ヌーヴェルヴァーグの人たちは、ホント、企画は、いいのよ。企画はいいんだけど、いかせんせん、脚本(吉田喜重、山田正弘)が悪い。演出が悪い。
 女優三人が、女優を演じる。
 知的にも、性的にも、そしてもちろん、映画的にも、なんとも面白い企画なんだよね。
 それを、外すのかよ、吉田喜重。
 お前、おかしいだろ。
 たぶん、大映定食番組の監督の、誰が撮っても、面白い映画になる企画なんだよ。
 それ、はずす。
 おかしいだろ、吉田喜重。
 浅丘ルリ子は、往年のキュートさから、魔女ティストに変貌するちょうど中間、ふっくらから、がりがりへの、途中。微妙な、よさ。岡田茉莉子は、はなやかな表情の豊かさ。
 有馬稲子は、おそらく繊細な役を演じるには、鈍重すぎた。表情が、まるきり死んでいる。表情の筋肉が死んでいる。おそらく真面目な人なんだろう、シリアスに悩む役で、顔の表情にメリハリをつけてはいけないというように、考えているのだろう。
 女優なんだから、いかにシリアスな役でも、華やかさは必要、ということを一番わかっているのが、ルリ子、次に茉莉子、そんなことまるきり考えていないのが、稲子。表情が鈍なのは、スタア女優では、ないんだから。そこら辺が、わかっていない。
 とはいえ、吉田演出は、女優三人を統御出来ているとは、とてもいえない。
だいいち、この三人の識別が、微細な違いはありつつ、メリハリに欠ける脚本、演出で、違いがさしてない。
 女優といえば、ヌード。必然性あるヌードを期待する観客に応えるべく・・・・。
 ルリ子のみ、後姿すっぽんぽん。でも、なんか骨ばっていて、ダメだよなあ。女性ヌードに必要な(?)肉の余裕(笑)というものが、欲しい。残りふたりは脱がず、まあこの時期の、茉莉子、稲子に脱がれても、というものがあるが、そのかわし、本作の二軍級、大地喜和子、赤座美代子、久保まづるか、はすっぽんぽんに。
 覚悟たりんだろ。吉田喜重。無名・新人女優は脱がせて、なぜ、茉莉子、稲子は脱がせんのだ。
 まあ、そのおかげで、その後は、うわばみ大悪魔女優となった、大地の、かれんな小悪魔時代、見せてもらいました。いや、いいなあ。
 赤座美代子も、捨てがたいお色気あり。
 つまり、主演三人の仲では、ルリ子のみかろうじて<70年代の映画女優の覚悟>がある。時代の新風潮として、大物女優も<必然性があれば脱ぐ>ということだ。茉莉子、稲子は、<70年代の映画女優の覚悟>なんか、たぶん、さらさらないだろう。そういう女優たちは、映画から消え、舞台のほうへ列を連ねていくだろう。
 男たちは、この映画ではみんな、刺身の妻だが、エキセントリックな女優・岡田茉莉子に、いいように小突き回される役の三国連太郎は、ちょっと。
 つまり、エキセントリックな茉莉子に振り回される三国の立ち居地は、当然エキセンならざる普通人たらざるを得ない。ところが三国自身も、エキセンな人物を演じることで鳴らした奇優でありまして。
 エキセンを禁じられたエキセン三国の、シマらないことシマらないこと。打開策として三国は、かろうじて、コミカルに演じようとしているかに、見受けられるのだが、もちろんデッド・シリアスな吉田喜重は、かるみは、きっぱりと許さず、三国の演技は、本作ではまるきり、浮いてしまう。
 映画監督・木村功は、かるみを欠いた、棒演技。 「山びこ学校」を見て以来、この人は、底の浅い朴訥青年以外の演技が、出来ないのではないか、と疑っている(笑)。吉田喜重が、「女優論」という映画を作り、映画監督を登場人物にするなら、スタア女優のヒモとみなされる映画監督、ぐらい出したらどうか。
 そう、この映画はなんら「告白的」でも女優「論」でもない。
 工藤栄一「十三人の刺客」でも寺山修司「田園に死す」でも、生彩があった菅貫太郎も、なんだかなあ。
 そもそも、ほとんどオフタイムの女優を描いてどうするのだ。単なる、ものめずらしい職業の女たちが、そこに、うろうろしているだけではないか(一部、撮影シーンもあるが、どうせなら一本の映画の撮影の描写に徹すれば、日本の「アメリカの夜」になりえたかもしれないのに)。
 けっきょく、吉田喜重映画にいえるのは、くそ真面目に徹するには、やはりそれなりの才能が必要なのに、単に才能抜きのくそ真面目で、でも岡田茉莉子というスタア女優を確保しているので、なんとなく、映画が、出来てしまう。
 なお吉田喜重「水で書かれた物語」でも、気になったことだが(笑)。
 ベッドシーン、男に胸などを舐められているときの浅丘ルリ子が、やはり目を見開いていて、なおかつ、
「誰かに、見られているわ」と、妄想めいたことを口走る。これは、実は、映画撮影の一環で、彼女はそういうせりふを言っているシーンとわかるのだが、それにしても、こんなに喚き続けていても、黙々と舐めている男が哀れ?(笑) 
 そう、スタア女優のベッドシーンのお作法というものが、わかってくる。AV女優なら、眼をつぶっていてもいいが、スタア女優さんの演技では、やはり目を開けて、口も開けて、演技しなければ、主導権を、男にとられてしまうということか。


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by mukashinoeiga | 2010-10-29 23:05 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(0)

吉田喜重「水で書かれた物語」

 京橋にて。「映画監督五十年 吉田喜重」特集。65年、中日映画社、配給日活。
 いやあ、浅丘ルリ子が、めちゃくちゃかわいい。
 幼い童顔に、大人の色気の絶妙なブレンド、最強ですな。W主演(というより、ややメイン)岡田茉莉子も、一番色っぽいときか。
 母ひとり子ひとりの入川保則は、浅丘ルリ子と婚約、積極的に迫る彼女に対して、性的に消極的だ。「あたしを愛してないの」といわれ、困惑する。
 ルリ子の同級生が芸者になっていて、こちらには、積極的な、ふとん・イン。
 実は、入川の美しい母・岡田茉莉子が、実業家・山形勲と、世をはばかる、割りない仲。逢瀬を重ねている。その山形の実の娘が、ルリ子。
 美しい母の、愛人の、娘。だから、立たないのね(笑)。
 原作・石坂洋次郎。
 120分の映画だが、最近見慣れている大映定食番組監督の水準作(平均作)に比べれば、はるかにすかすか。大映以下、大映以上、という最近のぼくの映画評価基準から言えば、もちろん大映以下だ。
 特に、クライマックスで、突如として、幻想シーンというか、イメージ・シーンに、なるのね。
 ああ、だめだよ、吉田君。
 クライマックスで、いきなり、現実的シーンから、幻想シーンに変質する映画は、結構多いが溝口健二「雨月物語」鈴木清順「刺青一代」ほかの諸作しか、成功していない。
 現実から、幻想へ。その飛躍には、創造力の、力強いキックオフが必要なのだが、いかんせん、吉田喜重には、それが、欠けている。
 ここで示されるのは、ルリ子より、母・岡田茉莉子のほうが、入川にとって、強い性的対象であるという事実なのだが、それがいい悪いはともかく、単なる幻想シーンで暗示/明示するなんて、卑怯にもほどがある。しかも、幻想というには、あまりに凡庸で、成功していない。
 結局、松竹ヌーヴェルヴァーグの面々は、眼高手低。キャッチーな企画を立ち上げるプロデュース能力はすばらしいが、いかんせん演出力には、疑問が。
 ぼくは、夢見ているのだけれど。
 大島渚、篠田正浩、吉田喜重、このひとたちが、ジョージ・ルーカスみたいに、自分の監督能力に冷静に見切りをつけ、プロデューサーに徹していったら、どれほど、日本映画は、その豊穣さを、増していったか、と。この三人が、より、優れた演出力の監督たちを、プロデュースしていったら、たぶん、多くの傑作・快作が、生まれただろう。
 まあ、まさに、水で書かれた物語、なんですけどね。

 浅丘ルリ子が、夫・入川と、間男と、それぞれ、キスシーン、ベッドシーン。
 キスしながら、浅丘は、目を半開き。
 こういうシーンでの、日本映画のクリシェ、女性は目を閉じる、を見慣れている目には、実に新鮮。
 そういうシチュで、ルリ子は、目を閉じない習慣なのか。
 そういうシチュで、目を閉じないほうが、美しく見える、という女優の判断なのか。
 監督の指示なのか。
 ただ、時代ゆえか、ベッドシーンは、かなり少なく、それ以上判断できない。
 2シーしか出てこない、茉莉子の夫・岸田森、水準的演技だと思うが、「イヤー、やっぱり岸田森は、かっこいいですよー」との、岸田森ファンの声。
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by mukashinoeiga | 2010-10-26 23:16 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(0)

吉田喜重「血は渇いてる」

 京橋にて。「映画監督五十年 吉田喜重」特集。60年、松竹大船。
 首切りに抗議して、社長の前で、拳銃による自殺未遂の佐田啓二。この話題の人を、保険のCMタレントに起用して、保険会社は、キャンペーンをヒットさせる。
 素人をCMタレントに起用して、企業広告の巨大キャンペーン、その光と影を強烈に描く。
 増村保造「巨人と玩具」58年・大映東京、という大快作があったが、同工異曲の作といってもいい、しかし、本作は、増村作品に、はるかに劣る。あるいは、パクリかとも、推測できるが。いや、単なる、言いがかりだけどね。
 最近、大映ばっかり見ているので(笑)大映定食番組監督の、こじんまりコンパクトかつ濃密かつ凡庸かつ大胆な大映エンターティンメント、でも、なんかヘンな感触、というところに映画の評価基準があるので(笑)、その基準でいうと、この映画は、87分は、長すぎて、退屈。
 もし、大映定食監督がこの脚本を扱ったら、せいぜい30分ぐらいで済ませて、なに、次、どんな急展開があるの?と、脚本家をせっつくだろう。本作は脚本も吉田。
 まあ、監督第2作の、撮影所新人監督(当然撮影所のコードにがんじがらめになりがちだとは思う)が、松竹メロドラマに、ずぶずぶなのは、わかるが、やはり戦後松竹のダメな部分が、出ていると思う。
 それは、強引に一言で言うと、生ぬるい、ということだ。
 いかに、新人監督が悪ぶっても、お坊ちゃま体質が、透けて見える。
 アクションも、せりふも、シチュエーションも、なんとも生ぬるく、毒も薬もあったものではない。
 戦前松竹メロ/ホームドラマが、あんなに楽しく、親和性に満ちた世界を構築していたのに、それをそのまま戦後に引き継いでいくうちに、くさった。
 いわゆる松竹ヌーヴェルヴァーグといわれる、大島渚、篠田正浩は、その、枯れて朽ちた松竹メロに、ずぶずぶに囚われた中から、監督として出発した。私見では、その松竹メソッドに反発しつつ、しかし彼らの映画的教養の基本には、おそらくそれしかなかっただろうから、そこから逃れるにも、もがき苦しむしかなかったし、とうとう逃れ切れなかった。
 映画を散見する限り、彼らが、完全に、松竹メロの泥沼から、逃れたとは、とうてい、思えない。
 おそらく、吉田喜重も、そうなんだろうと思う。
 古い皮袋に新しい酒を。その試みは、中途半端なものに終わってしまった。
 三上真一郎と芳村真理が、ダンスするシーン、フロア・シンガーが歌うシーンの、つまりストーリーが絡まないシーンの、演出・編集にセンスを感じるが、それ以外は、退屈。
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by mukashinoeiga | 2010-10-25 23:35 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(0)

森一生「鉄砲伝来記」

 神保町にて。「みつめていたい!若尾文子」特集。68年、大映京都。
 種子島に漂流したポルトガル船。
 乗っていたのは、ポルトガル人ピントオと、中国人通詞(戸浦六宏)。いわゆる種子島と呼ばれた、火縄銃を、その地の領主にプレゼント。領主は、刀鍛冶・東野英治郎に、研究して、複製を作れ、と命じる。
 かくて東野英治郎の、見たこともない武器を、見本一丁を参考に、作る苦労話が、メインに。東野英治郎が主演格という珍しさ。
 まず、日本刀の作り方がていねいに描かれ、そのあとの鉄砲作りも、ていねいに描かれる。ここら辺のきまじめぶりが、好ましい。
 若尾文子は、その娘。ピントオといい仲になる。ピントオを演じるのは、当時TVドラマ「コンバット」で、人気だったとか言うリック・ジェースン。ま、魅力あるイケメンですな。
 で、ふたりの「ショーグン」ライクな、異国の恋が展開するが、もちろん大映映画ゆえ、堅実かつ適確な描写。
 ふたりの恋の顛末と、やがて火縄銃が、戦国の世を制すまでの、絵解きの二本立て。
 それなりに面白いが、ま、そこそこ。こういう、大作風の構えの映画だと、平常運転の大映の地味さが、裏目に出てしまうところか。
 戦国時代の町場のオープンセットなどは、見事。
 運命に翻弄される女、などというのは、若尾には、ちょっと、合わないのかな。


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by mukashinoeiga | 2010-10-24 22:38 | 大映京都学校 森一生佐 | Trackback | Comments(0)

富本壮吉「夜の罠」

 神保町にて。「みつめていたい!若尾文子」特集。67年、大映東京。
 夫・高橋昌也の愛人が、アパートで殺され、夫は警察に逮捕される。
 妻・若尾文子は、とりあえず夫の浮気は不問にし、夫の無実をあかすべく探索を始める。
 もちろん、ここで、妻なりの葛藤、夫への批判などを描いていたら、とても86分という、大映プログラム・ピクチャアの最適タイムで収まらない。そして、大映のすごいところは、結果として、とても86分という実上映時間を感じさせない、濃密な映画時間を、観客に与えてしまうところ。繰り返すが、いまどきの映画作家が、この題材を描いたら、絶対に2時間を超え、しかも、薄い水割り感しか与えないほうが多いだろう。
 ただの奥様のはずなのに、シロウトの物怖じもなく、証人を求めて、愛人の落ちぶれたもと夫(成瀬昌彦)を山谷に尋ね、もぐりの怪しげな堕胎医(南原宏治)、洒脱なサラリーマン(船越英二)、ヤク取引のボス(早川雄三)に、単独捜査をかける。危機また危機も、めげずに、がんばる、クールな女。
 普段の、やまとなでしこ・若尾文子らしからぬ、がんばりで、それもそのはず、原作は、コーネル・ウールリッチ。「黒い天使」たぶん未読か。なんと、このクールさは、翻案モノでしたね。
 山谷の描写は、この当時のメジャー・スタア映画としては、かなりのリアルな撮影だと思う。セットに移ってからも、大映美術陣による、ドヤ内部の描写は、さすがの一言。
 人気の若尾主演映画とはいえ、完全カラー化に移行する前の、サスペンス・ミステリーは、やっぱり、モノクロだぜ、とフンイキ重視で、ローテクなはずのモノクロに固執するのも、考えてみれば、いい時代だよなあ。当時のほうが選択肢が多かった、といえるのだ。
 モノクロだと、こういうサスペンスは、何割か、色気を増す。色を抜いてこその、映画的色気。比較的凡庸な富本壮吉でさえ、こんな意欲的な映画を、量産体制のなかで、作りうる、贅沢さ。いまなら、よっぽどのことがないと、題材に合うから、モノクロ、なんて、贅沢な選択肢は、考えにくいものなあ。 
 いつも、和風ファム・ファタール、ねとねとっと、粘りつく悪女を演じることの多い、この時期の若尾文子が、きりりとした美貌で、事件の奥を探る。
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by mukashinoeiga | 2010-10-23 22:44 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(0)

2002年・映画への旅

●日本映画
1 とらばいゆ 
2 突入せよ! あさま山荘事件 
3 宣戦布告 
4 千年女優 
5 なごり雪 
6 害虫
7 WXIII 機動警察パトレイバー
8 クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦
9 ロックンロールミシン
10 リターナー
次 ミスター・ルーキー

 この年は、はっきり言って、ぼく的には、不作。
 そのなかでは、なにやら小津「お茶漬の味」を目指して、やっぱりロメールになった1とか、いまこそ見てもらいたい、北朝鮮のゲリラ部隊が、日本を<侵略>する3とかが、たぶん、色あせない快作だと思う。OLD映画ファンとしては、4に、にやり。原節子あたりをイメージしたような、<日本映画の大女優>という発想がうれしい。現代版「夢見るように眠りたい」か。  
 
監  督 大谷健太郎(1)
主演男優 長島一茂(次) この人こそ、第二の裕次郎に、なりえたポテンシャルが、あった
主演女優 宮崎あおい(6)
助演男優 名前がしかとは出てこないが、2に何人かいたと思う
助演女優 浅丘ルリ子(木曜組曲)
新  人 小西真奈美(阿弥陀堂だより)
 
●外国映画
1 マルホランド・ドライブ
2 ドニー・ダーコ
3 8人の女たち
4 少林サッカー 
5 素敵な歌と舟はゆく
6 快盗ブラック・タイガー
7 愛の世紀
8 インソムニア
9 ブラッド・ワーク
10 ヘドウィグ・アンド・アグリーインチ
次 ジェヴォーダンの獣
  
監  督 デヴィッド・リンチ
主演男優 アル・パチーノ(8)
主演女優 (3)の8人の女優たち
助演男優 
助演女優 (1)の、ナオミ・ワッツでないほう
新  人

 アル・パチーノの声が、好きなんだよね。外国映画は、なかなか豊作で。

●日本映画
玩具修理者 DEAD OR ALIVE FINAL 仄暗い水の底から カタクリ家の幸福  助太刀屋助六 Laundry ランドリー 害虫 とらばいゆ ミスター・ルーキー 荒ぶる魂たち WXIII 機動警察パトレイバー クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦 KT  突入せよ! あさま山荘事件 白い船  UNloved  模倣犯 笑う蛙 猫の恩返し 海は見ていた 釣りバカ日誌13 ハマちゃん危機一髪! リターナー 千年女優
なごり雪 ロックンロールミシン  阿弥陀堂だより 宣戦布告 SABU  Dolls 木曜組曲 トリック劇場版 恋に唄えば♪ たそがれ清兵衛 AIKI ゴジラ×メカゴジラ

●外国映画
素敵な歌と舟はゆく ハートブレイカー オーシャンズ11 ジェヴォーダンの獣  WASABI  マルホランド・ドライブ ヘドウィグ・アンド・アグリーインチ モンスターズ・インク ロード・オブ・ザ・リング
 007ダイ・アナザー・デイ シッピング・ニュース 愛の世紀 スパイダーマン パニック・ルーム 少林サッカー 快盗ブラック・タイガー ウィンドトーカーズ オースティン・パワーズ ゴールドメンバー
 ドニー・ダーコ インソムニア サイン  ジャスティス ロード・トゥ・パーディション 容疑者 ザ・リング ジョンQ -最後の決断- 8人の女たち マイノリティ・リポート ブラッド・ワーク K-19  
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by mukashinoeiga | 2010-10-23 22:42 | ベストテン | Trackback | Comments(0)

田中重雄「実は熟したり」

 神保町にて。「みつめていたい!若尾文子」特集。59年、大映東京。
 BG若尾文子は、幼なじみといっていい川崎敬三が好き。でも、会うと、喧嘩したり、幼なじみだけに、あまりにさばさばした会話しかできない、という、まあ、ラブコメとしては、定番ですな。
 親(見明凡太郎、村瀬幸子)の手前、見合いを繰り返すが、川崎のことが頭から抜けず、その見合い相手は、次々と、同僚女子に「配給」。今日も同僚女性の結婚式に出席するが、その新郎はもともと、若尾の見合い相手。
 いかにも、源氏鶏太サラリーマン小説が原作。つまり、サラリーマンは、転勤なり配置換えなりで、代変え可能な、いわば組織の歯車。どうように、サラリーマン男女の結婚も、代変え可能。見合い相手を「配給」して、友の結婚相手に、直すことも可能だし、そもそも、仲人おばさん沢村貞子は、若尾の見合いが成功すれば、仲人100組目達成と、張り切る。
 仲人おばさんは、いわば、結婚人事部長として、さまざまな組み合わせに執心する。
 そもそも、この映画の時点で、源氏鶏太的視点、大映娯楽ドラマ的視点、ともに、若い娘、若い男には、<恋愛の自由>は、存在しない。ほぼ初対面から、「ぼくは、君に立候補する」と、結婚宣言。
 つまり、たぶん、タテマエだとも思うが、この時代の<設定>としては、<まずは、友達から、始めて>とか<なんとなく、付き合う>というのは、目の敵。
 好きになったら、とにかく、まず、結婚。しかも親の意思が、健全な家庭では、絶対の力を持つ。
 以下、完全な、ネタバレになるが、 
 結局、ビリング上位の川崎が若尾と結ばれず、新スタア・友田輝を若尾が選ぶような、結末。しかし、この新スタアに、何のスタア・オーラもないので、観客には、不満が残る。
 ビリング下位のものが、ヒロインと結ばれるのは、大映ならでは。
 また、若尾の兄に、田宮二郎。小さな小さな役で、これでは、スタア・オーラばりばりの田宮が、腐るのも、無理はない。
 ただ、単に<喫茶店のありかを聞かれる>だけの、役に、左ト全。ナイス。
 色っぽいバーのマダムといえば、この人、角梨枝子。本特集で、ぼくが見る映画に、ほぼ出ている。しかも、全部、色っぽい、バーのマダム役(笑)。
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by mukashinoeiga | 2010-10-21 23:57 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(0)

本多猪四郎「宇宙大怪獣ドゴラ」円谷英二特撮

 三原橋にて。「俳優・夏木陽介 風の中を走る!」特集。64年、東宝。
 怪獣映画ファンではないので、このタイトルは、初めて聞いた。
 それもそのはず、いわゆる正統派東宝怪獣映画から、かなり外れた、異色作なのだ。
 もちろん監督は本多猪四郎だし、特技監督は円谷英二だ。
 映画の半分が、怪獣映画。残り半分が、それと関係してるような、してないような、ふつうのドラマ? つまり、河津清三郎、天本英世、若林映子らの、ダイアモンド強奪犯と、それを阻止せんとする外事警察・夏木陽介の攻防、これにダン・ユマなる、怪しげな外人が絡む、というもの。
 これは面白い試みだ。
 まあ、この映画自体はさして成功作とはいえないので、おそらくマニア以外には、知られていないのだろうが。
 たとえば、ふつうの東宝ドラマ、成瀬あたりに、怪獣が、絡んだり。成瀬映画の常連スタッフたちが「ゴジラ」第一作に起用されていて、けっしてありえない話でもない。
 三益愛子「お母さん、やっぱり養老院に入るよ。だから、お前は、再婚をおし」
 原節子「いいえ、お母さんを、怪獣がうろつきまわっているときに、ひとりには、できませんわ」
 三益愛子「なあに、ゴジラの一匹や、二匹、ちっとも、怖くなんかありませんよ」
 地響き。
 小林桂樹(ラーメン屋の厨房で)「で、出たあ、ゴジラがでたぁ」
 ゴジラが街を、荒らしまわりつつ、一家に迫る。
 高峰秀子「お母さま、お逃げにならないと」
 森雅之「そ、そうとも、母さん」
 高峰秀子「あ、あなたもですよ、あなたもそんなに悠長に、お座りになっていては、ゴジラに、踏み潰されますわよ」
 森雅之「い、いや、ぼくも、そうしたいのは山々なんだがね。あいにく、腰が・・・・」
 団令子「あら、お兄さん、腰が抜けたの。間抜けねえ」
 森雅之「黙りなさい」
 三益愛子「なんです。こんな時に、兄弟げんかなんて。ああ、情けない」

 題して、「娘・妻・母・ゴジラ」
 いや、このあいだも、本屋で、ある本を見て、爆笑したもので。
 「プライドと偏見とゾンビ」。 
 かの有名な、高尚ラブコメ、映画にも何度もなっている名作「プライドと偏見」(旧名「高慢と偏見」高慢というのも、いまからすれば、やや誤訳でしたね)の、原文はそのままに使って、残り半分に、実はこの時代は、ゾンビも跋扈していて、主人公姉妹は、婚活だけでなく、ゾンビ退治にも、力を使っていました、という爆笑編。
 何でも、キーラ・ナイトレイに、いまから数年前の最新版「プライドと偏見」の役を取られた、ナタリー・ポートマンが、映画化権を取ったとか、取らないとか。
 あまりに「出落ち」すぎて、読む気もなかったが、アメリカあたりでは、かなり話題になったものの、翻訳で。
 いやあ、これからのこの手(一発芸という面もあるが)、著作権が切れた過去の名作で、やりたい放題というのは、あるんじゃないか。原文そのまま、原画そのままを使って。
 「七人の侍VS大魔神」とか。
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by mukashinoeiga | 2010-10-20 09:21 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(0)

2001年・映画への旅

●日本映画
1 回路 
2 ココニイルコト  
3 EUREKA 
4 ピストルオペラ 
5 クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲 
6 アヴァロン 
7 ターン 
8 千と千尋の神隠し 
9 ウォーターボーイズ 
10 DISTANCE
次 赤い橋の下のぬるい水

監  督 黒沢清(1)
主演男優 堺雅人(2)
主演女優 江角マキコ(4) 
助演男優 平幹二郎(4)
助演女優
新  人 宮崎あおい(3) 韓英恵 (4)

 振り返ってみれば、意外にも、豊作の一年。堺雅人、宮崎あおい、妻夫木聰など、十年後の日本映画を活性化させる新人を、出してもいる。韓英恵のみ、「悪人」の、小さな役なのは、ちと、おしい。
 アクション・スタアとしての江角マキコは、もっと活躍するべきだった。

●外国映画
1 花様年華 
2 アメリ 
3 ギャラクシー・クエスト 
4 トラフィック 
5 天使のくれた時間 
6 メメント 
7 イルマーレ 
8 アンブレイカブル 
9 オー・ブラザー! 
10 ハンニバル  
次 リベラ・メ

監  督 ジャン・ピエール・ジュネ(3)
主演男優
主演女優 オドレイ・トトゥ(3)
助演男優
助演女優
新  人

 記録ではなく、記憶のみに頼っているので、穴は、なかなか埋まらない。順位も、見直すたびに、変わる始末。我ながら、当てにならない。

●日本映画
EUREKA アヴァロン 風花 溺れる魚 回路 サトラレ 連弾 日本の黒い夏─冤罪 クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲 東京マリーゴールド DISTANCE ダブル・デセプション共犯者 みんなのいえ 天国から来た男たち ココニイルコト 千と千尋の神隠し 釣りバカ日誌12 史上最大の有給休暇 ウォーターボーイズ 陰陽師 Go! ターン ピストルオペラ 赤い橋の下のぬるい水 かあちゃん 光の雨
ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃 修羅雪姫 殺し屋1

●外国映画
ギャラクシー・クエスト オータム イン ニューヨーク  アンブレイカブル ツバル スイート・ムーンライト ハイ・フィデリティ ユリョン  東京攻略 ギター弾きの恋  あの頃ペニー・レインと ハンニバル  ザ・セル 山の郵便配達 トラフィック セシル・B/ザ・シネマ・ウォーズ JSA 花様年華 天使のくれた時間 ポエトリー、セックス A.I. こころの湯 チェブラーシカ 恋戦。 OKINAWA Rendez-vous イルマーレ
ブロウ ラッシュアワー2 オー・ブラザー! おいしい生活 ソードフィッシュ アメリ リベラ・メ
メメント フォロウィング スパイ・ゲーム 耳に残るは君の歌声
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by mukashinoeiga | 2010-10-20 09:18 | ベストテン | Trackback | Comments(0)