<   2010年 01月 ( 14 )   > この月の画像一覧

大島渚「天草四郎時貞」大川橋蔵

 京橋にて。「映画監督 大島渚」特集。62年、東映京都。
e0178641_21421177.jpg 大島唯一の東映作品。時代劇はこれと「御法度」くらいか(例の「忍者武芸帖」は未見)。
 島原の、キリシタン農民たちが、キリシタン弾圧と、苛酷な年貢米取立て、に耐え切れず民衆蜂起して、悪代官たちを襲う話。なのだが、これがおそらく、百人が見たら、百人とも欲求不満におちいるだろう作品。カタルシスがない。
 大川橋蔵の天草四郎らが、民衆蜂起の方法論、そもそも暴力は是か非かの、論争ばかりにかまけで、一向に蜂起しないし、したらしたで、またまた、これでいいのか、と議論する。語るに堕ちる、というか、語るしすぎて、カタルシスが、ない。
 農民たちというより、反安保の60年代学生運動そのものだね。農民の重鎮、花沢徳衛なんて、戦っている最中に、やっぱり暴力はいくない、なんて民コロ虫そのまんま。あ、今どき民コロ虫っつってもわからないか。民青のことね。て、民青ももうわからないか。だいいち、変換の候補にすらないし。今風に言えば・・・・山田洋次よ。
 主人公・天草四郎は、まだまだ蜂起の利あらず、もっと大衆の中から怒涛のようなうねりが生まれるまで、時節を待たねばと、もう待てない、我慢できない、という河原崎長一郎青年たちを押さえに抑える。そして、戦いが始まると、いろいろ方法論というか、戦術をぐだぐだ。結局、この人には、しょうがないことだけど、戦略がない。戦術しかない。そういう人が率いる蜂起軍が、結局自滅するのは歴史の必然なんだろうけど、戦いの最中に、戦術のアレかコレかをぐだぐだされても、盛り下がるばかり。
 だいいち、天下の東映スタア、水も滴る大川橋蔵に、悩む男、というのが、からきし似合わない。こういう役を甘いスタアさんに振っちゃダメだろ、大島渚。そして、一緒に悩む友人に大友柳太郎、って、大友柳太郎を、悩ましても、ダメだろ。さらに、これまた女々しく悩みに悩む絵師に、三国連太郎って、くだらない悩みなんてすっ飛ばしそうな三人に、苦悩する役って、むちゃくちゃや。
 そして、大川橋蔵には、いいなづけの純情キリシタン娘(三国の娘で、新人の立川さゆり)と恋仲であり、同時に親友・大友の妻(やはりたいへん可愛らしい丘さとみ)とも幼馴染であり、実はこちらのほうにもならぬ恋。でも、この二股愛も、クラシックな純情美男スタア橋蔵には似合わず。事態を混乱させはしても、複雑な心理ってのが、この東映では、お呼びでない、のだ。
 そして、松竹出身の大島渚には、やはり戦いの修羅場が、描けない。大島は知性では武闘派だが、肉体的にはお稚児さん派で。
 当時の東映時代劇にも、無理。意識は、一応現代、というか60年代なりの現代で、一応苦悩する近代知性なのだが、肉体の現場が追いついていない。無理からぬことながら、いわゆる眼高手低の時代。かくて映画は、盛り下がりに盛り下がる。
 なお、武闘派農民の一人が、やたら印象的。あの独特の声が、そうだ、大島の60年「日本の夜と霧」で、これまた印象的に、延々と党派的演説を垂れ流し続けた吉沢京夫というひとではないか。「日本の夜と霧」より演技は格段に進歩している。もっとも、延々たる演説口調というのは、普通の会話にも垣間見れるのが、笑える。
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by mukashinoeiga | 2010-01-31 06:10 | 大島の渚に寄せる新波かな | Trackback | Comments(5)

大島渚「無理心中 日本の夏」

 京橋にて。「映画監督 大島渚」特集。67年、創造社=松竹。
 ある種の映画的才能を欠いた者が、頭でお勉強して、ボクだって出来るもん、と作った<不条理前衛映画>。渚、さるまね。
 多分、どんどん先鋭化していったゴダールや、その他ヌーヴェルバーグに追いつきたい一心だとは思うが。もう、旧態依然の娯楽映画には戻れないもんね、じゃあとことん先鋭化しよう、しかし身についた娯楽映画のさびはそうそう落とせるものではなく、ましてや古巣の松竹配給となれば、ちゃんと娯楽も意識しろよ、という釘の一本や二本は打たれていると思しい。前衛でありつつ、後衛にも配慮、な~に、ちょろいちょろい、と思ったか大島渚。
 それでも、天然が入っていれば、まだ苦笑くらいは出来るものを(本当に本当に卑近な例:M・ナイト・シャラマン)、ガチガチのガリ勉野郎の大島なものだから、笑いの入る余地もない。ココ、笑うとこだよね、というとこで、ことごとく笑いのツボを外す。さあ、笑おう、というところで、急変化のしかめっ面、という大島渚本人のキャラそのままで。
 娯楽のツボは、まずセックス要素だ、とばかり<新宿のスナックを徘徊する「フーテン族」の桜井啓子をヒロインに抜擢>(フィルムセンターのチラシ)、巨乳ちゃんのバストをちらちらさせれば、お客も喜ぶだろうと、いまどきならAV女優になりそうな、何だ単なるおでぶちゃんか、でもよく見れば可愛かったりして、演技もまあまあ、というところをキャスティングするセンスも(やや)抜群で。
 佐藤慶、小松方正、戸浦六宏、そして殿山泰司、この当時なぜか前衛風映画にやたらと顔を出す観世栄夫、などいつもの大島組常連親父たちに、例によって<大真面目なちゃらいキャラ>を演じさせる。でも、娯楽的配慮としては、むさい親父だけでは、どうも、ということで、今回の<「御法度」の松田龍平>には、田村正和。この田村が意外と、いい。当時松竹では<弱弱しくも、軽薄な好青年>という役柄ばかりだった彼が、珍しく小悪魔的美貌のちょい悪青年。悪魔的微笑が美しい。これが、本来の正しい(青少年期の)田村正和でしょう、と思わせるものがある。そして、どの映画でも、むさくるしい暑苦しいダメ親父専門役者の、殿山がみょーに凛々しい、肉感的なハードボイルド役の漢(おとこ)役。う~ん、大島、オトコへの執着は、さすが「戦メリ」「御法度」の監督だけはある。
 ただ、狙撃犯のアメリカ人青年は、ちょっと大島の好みじゃないだろ。そこまで用意が出来なかったのか。ここのパートのみ、M・ナイト・シャラマンやETを思わせる。が、笑いは、取れない。残念。
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by mukashinoeiga | 2010-01-29 00:07 | 大島の渚に寄せる新波かな | Trackback | Comments(3)

大島渚「夏の妹」

 京橋にて。「映画監督 大島渚」特集。72年、創造社=ATG。
e0178641_233721.jpg 当時の青少年たちの時代のアイコン=アイドルだった、栗田ひろみ主演。
ぼくも少年漫画誌などのグラビアで見た記憶がある。いま見ても、長い黒髪、ぷっくらとした顔立ち、つぶらな瞳、その大きな目をまん丸に見開いて、おしゃま!に、悪びれず!に大人たちに伍して行く姿は、まさに絵に描いたようなアイドル女優として最強でありますね。舞台が沖縄ということもあり、南国をイメージしたかのようなひらひらの衣装で。
 不思議の国ならぬ、大人の国に迷い込んだアリス。もちろん、その<ゆるい大人の事情の国>を構成するのは、いつもの大島組常連の、小山明子、佐藤慶、小松方正、戸浦六宏、そして殿山泰司だ。この、こわもてのおじさんたちに、敢然と?伍して行く栗田ひろみは、立派だ(笑)。あまりに、絵に描いたアイドル演技が、かわいくも、ウザくすらあるけれども(笑)。そして、この栗田ひろみを、沖縄(=大人の国)案内するのは、メフィストフェレス殿山と、青春小僧石橋正次。この、絵に書いた青春映画の石橋と、絵に描いたようなアイドル映画の栗田が、<ゆるい大人の事情>の国を、さまよう。すばらしい。
 思うに、大島渚にさしたる映画的才能はない。大島に許されていたのは、当時枯渇していた<ジャンル映画>を、ほんの少し、ずらして、もちろん、それは脱構築というべきレヴェルではないにしろ、その、ずれのなかに、ある種の活路を見出そうという、かそけき希望だったのだ。<ゆるい大人の事情の国>(かつては隆盛を誇りつつ、もはや誰にも相手にされなくなった<松竹メロドラマ>の大島的再構成)と、典型的アイドル映画・栗田ひろみと典型的青春映画・石橋小僧との、緩やかな、止揚。
e0178641_23373655.jpg 大人が勝つわけでもなく、アイドルと青春が勝つわけでもない、その、緩やかな止揚。
多分、これこそ、「戦場のメリークリスマス」「御法度」にまで到る、大島渚の正体なのだ。
 しかし、りりィ、だよ。
栗田ひろみの父・小松方正の再婚相手。栗田ひろみのピアノ教師から、その父に見初められて再婚する予定の<婚約者>。この<婚約者>という、<予定された身分>てのも、いかにも(古風な)松竹メロドラマ、いかにも(新規な)大島渚、だよなあ、と思うけれど。たぶんりりィは、欧米系とのハーフなんだと見えるのだが、まだ20代半ばと思われるりりィは、ハーフなのにいかにも幼い顔立ち、そして、なんだか疲れきっている表情、ああ、なんか、好みだなあ(笑)。
童顔ハーフ顔で、人生に疲れている、これ、絵にかいた元気アイドル栗田ひろみと並ぶと、こっちもまた最強じゃん(笑)。いや、何が、最強なんだか、俺(笑)。
 栗田ひろみ以上に、りりィは、沖縄の人の影薄い観光地にたたずむ、ディスカバー・ジャパンCM状態。そう、これは、栗田ひろみ大アイドル映画であると同時に、りりィ大アイドル映画なのだ。「戦メリ」の、デヴィッド・ボウイ=たけしに引けを取らない、りりィ=栗田ひろみの大アイドル映画。そうか、「戦メリ」「御法度」は、実は「夏の妹」の男版だったのか!(笑)
 栗田ひろみは、未来の義母・りりィに愛憎半ば。「このくそばばあ」と、本人の前ではなく、隠れて罵倒する。「ロボコン」長澤まさみもそうだが、年長の同性をくそばばあと罵倒して、許される、可愛らしいのは、十代半ばの女の子に限られる。これがはたち超えたら、しゃれにはならない。ああ、最強のアイドル映画だなあ「夏の妹」は。「ロボコン」もね。
 そして、小松方正だよ、小松方正。大島組常連にして、娘が美少女・栗田ひろみ、婚約者が栗田ひろみと同格かそれ以上の(笑)りりィ、という両手に花状態の、信じられないほどの二枚目役だ。「日陰の娘」で、あの香川京子と相思相愛になるという、空前絶後の中村伸郎にも匹敵する、一世一代の役だろう。この小松方正が、いつにもましてヘン(笑)。
 もともと、小松方正は、あの小さ過ぎるカナツボ眼が、どんな笑顔のときも決して、目は笑っていない。喜怒哀楽全てが同じ表情といっていい(笑)。まるで、腹話術使いが抱いている、妙に老成しきった人形の少年そのものなのが、小松方正なのだ。その小松方正が、完璧に腹話術人形そのものに化身してしまったのが、この映画。その表情、そのしぐさの、蜜蝋感。生きながらして、木彫りの人形感。てらてらと光った、蝋人形でもあり、木彫りの人形である。恐ろしい。素晴らしい。

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by mukashinoeiga | 2010-01-26 23:47 | 大島の渚に寄せる新波かな | Trackback | Comments(0)

大島渚「白昼の通り魔」

 京橋にて。「映画監督 大島渚」特集。66年、創造社。
 佐藤慶が連続殺人・強姦魔になって世間を騒がす。その妻に小山明子、刑事に渡辺文雄、友人に戸浦六宏など。つまり、いつもの大島組。
 これがめちゃくちゃつまらない。99分の映画なんだけど、確実に一時間は長すぎる。
 フィルムセンターのチラシにいわく、「戦後の闇の暗喩が・・・・写し出される」。馬鹿言うな。この映画のどこに、<戦後の闇の暗喩>がある。この闇雲な馬鹿映画のどこに<戦後の闇の暗喩>もしくは<直喩>があるか。あるならはっきり例示しろ。
 さらにチラシにいわく、「大島作品のなかでは最も細かいカットの編集で構成された1本」、確かに。もっとも細かいかどうかはしらないが、かなり緻密にショットを積み重ねている。
 でも、それが、ことごとくつまらないのね。たとえば、タイトル「白昼の通り魔」が、間を置いて二度、出る。これがまったく、面白くないのね。もし、大島が真の映画的才能を持った映画作家なら、タイトル二度出すんだぜ、すごい面白いことじゃないか、ということになるのだが・・・・結果は、しょぼん。
 あ、二度、出ましたね、でも、それが何か、という程度。
 あと、同じようなショットの繰り返し。たとえば、シネスコ画面右から、会話する小山明子と川口小枝が、画面を横切って、左に消えていく。これを何回か繰り返す。ああ、確かにこのテクを抜群に面白く援用した映画作家はいましたね。でも、大島は、はっきり言って、そのテクは、仏作って魂入れず。まったく、面白くない。映画的才能を持たない映画作家が、それなりに新規なテクを繰り出しても、まったく面白い映画にはならない。無残なり「白昼の通り魔」。

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by mukashinoeiga | 2010-01-25 22:49 | 大島の渚に寄せる新波かな | Trackback | Comments(0)

大島渚「小さな冒険旅行」

 京橋にて。「映画監督 大島渚」特集。63年、日生劇場映画部。
 60分の中篇、カラーだがかなり退色していて、青と若干の黄色が残る、退色をのぞけば結構きれいなプリント。赤系は完全になし。ほとんどサイレントだが、音楽、効果音、若干の別録のセリフがはいる。
 小さな男の子が、一人で街中に飛び出して、都電に乗ったり(車掌が加藤嘉)、修学旅行のバスに紛れ込んだり(付き添い教師が小松方正)、へんてこな爺さん(左ト全)とたわむれ?たり、まあタイトルどおりの小さな冒険旅行をつづった、偽ドキュメント風スケッチ。
 まあ、これがつまらない。60分中、45分くらいは長すぎる。このての、ちょこまかした男の子を街中に放り込んで、あとはいろいろな風景、大人たち子供たち、いろいろなイヴェントがある・・・・っていう、まあシネマ・ヴェリテって言うんですか、ちょっとした映画的才能があれば、たいていはニコニコして見れるものが出来るはずのものなんだよ。それが、この退屈ぶり。大島に映画的才能がまるでないことが、この小品からばれてしまう。唯一笑ったのが、冒頭クレジット<幼児指導 佐々木守>、幼児指導する前に監督指導しなさいね。
 企画・日本生命、製作・日生劇場映画部、原案・石原慎太郎、って、製作意図がまったく読めない珍作。また出てくる大島組常連、小山明子は別にして、佐藤慶、小松方正、戸浦六宏、渡辺文雄、浜村純、その他多数の賛助出演俳優の顔がみんな怖すぎる(笑)。幼児と一緒に映っていたら、みんな変質者か誘拐犯にしか見えない手合いばかり。彼らの意図的な大アップ連発は、大島の、多分こんな幼児映画撮るなんて、という悪意の現われに違いないが。
 あまりに退屈な映画なので、このあとに同時上映の、
大島渚「ユンボギの日記」65年、創造社。
 は、見ずに退場する。既見だし、これまた25分の短編ながら、18分ほど長すぎる退屈作。動画ではなく、スナップ写真の連写スライド・ショーだが、この分数の短編で観客の退屈を誘うのだから、大島恐るべしで。
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by mukashinoeiga | 2010-01-25 00:32 | 大島の渚に寄せる新波かな | Trackback | Comments(0)

09新作・旧作映画混合ベストテン

 というわけで、<今、そこにある映画>に09日本映画と外国映画のベストテン、<昔の映画を見ています>に09年に見た旧作映画のベストテンを挙げたが、さらにそれを全部混ぜ合わせてベストテンを作ってみるとどうなるのか。まあほとんど意味ありませんね(笑)。究極の自己満足。
 今回選び直すに際して、
1 新作と旧作でイーストウッド監督が3本ランクインしていたが、作品の出来いかんにかかわらず、一本のみを残して、対象とする。また旧作で石田民三監督も2本だが、これも泣きの涙で1本に。
2 下克上を認める。要するに気分しだいということですね(笑)。
 という基準を課して、後は気分で選びました。というか、選ぶ基準が自分でも、もう、わけわからん(笑)。

1 フィッシュ・ストーリー
2 チェイサー
3 サマーウォーズ 
4 96時間
5 クヒオ大佐
6 グラン・トリノ
7 わが至上の愛 アストレとセラドン 
8 南極料理人
9 アドレナリン:ハイ・ボルテージ
10 チョコレート・ファイター
次点 ディア・ドクター 

 この新作ベストテンから、同傾向で昔もいい映画があったよねー、というのを気分しだいで、抜く。

1 フィッシュ・ストーリー
3 サマーウォーズ 
5 クヒオ大佐
6 グラン・トリノ
7 わが至上の愛 アストレとセラドン 
8 南極料理人

 おお。とりあえず、ジャンル映画の良作は消しやすいな。で、次の旧作ベストテン、

1 山村總「鹿島灘の女」59年・東映
2 石田民三「むかしの歌」39年、東宝京都
3 石田民三「花ちりぬ」38年、東宝
4 中川信夫「風雲急なり大阪城 真田十勇士総進軍」57年、新東宝
5 ゲオルク・スラウツァー「バニシング」88年
6 久松静児「丼池(どぶいけ)」63年・宝塚映画
7 清水宏「女医の記録」41年、松竹大船
8 千葉泰樹「杉狂の催眠術」38年、日活多摩川
9 イーストウッド「愛のそよ風」73年
10 谷口千吉「カモとネギ」

 ここから、いま見ても(より)斬新であろう映画を残す。民三も一本、消えてもらう(泣)。

1 山村總「鹿島灘の女」59年・東映
3 石田民三「花ちりぬ」38年、東宝
4 中川信夫「風雲急なり大阪城 真田十勇士総進軍」57年、新東宝
5 ゲオルク・スラウツァー「バニシング」88年
9 イーストウッド「愛のそよ風」73年

 で、ここで、やっと新旧混合となる。もちろんイーストウッドも1本消すが、こちらは現役作家なので、なんとなく気楽に消せる(笑)。

1 中村義洋「フィッシュ・ストーリー」
2 山村總「鹿島灘の女」59年・東映
3 石田民三「花ちりぬ」38年、東宝
4 ロメール「わが至上の愛 アストレとセラドン」
5 ゲオルク・スラウツァー「バニシング」88年
6 中川信夫「風雲急なり大阪城 真田十勇士総進軍」57年、新東宝
7 吉田大八「クヒオ大佐」
8 イーストウッド「愛のそよ風」73年 
9 細田守「サマーウォーズ」
10 沖田修一「南極料理人」

 かくして、何の意味もないベストテン完成。多分一時間後に選んだら、また違っているでしょう。

主演男優賞 堺雅人(7・10・「ジェネラル・ルージュの凱旋」)
主演女優賞 田中絹代(京橋特集上映で見せた多彩な女優人生に対して)
助演男優賞 河村黎吉(京橋特集上映で見せた多くの演技に対して)
助演女優賞 葛城文子(京橋特集上映で見せた多くの演技に対して)
監 督 賞 エリック・ロメール(4)
脚 本 賞 森本薫(3)
映 像 賞 中川信夫(6)
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by mukashinoeiga | 2010-01-24 03:40 | ベストテン | Trackback | Comments(0)

09旧作映画ベストテン

 というわけで、<今、そこ>に09日本映画と外国映画のベストテンを書いたが、たまたま09年に上映され、たまたまぼくが見た旧作映画のベストテンも。さらにあいまいとしたものですねえ。

1 山村總「鹿島灘の女」
 神保町にて。「観光バスの行かない町」特集。59年・東映。
2 石田民三「むかしの歌」
 神保町にて。「昭和の原風景~太田和彦『シネマ大吟醸』より」特集。
 39年、東宝京都。
3 石田民三「花ちりぬ」
 京橋にて。「映画の教室2009」特集。38年、東宝。
4 中川信夫「風雲急なり大阪城 真田十勇士総進軍」
 阿佐ヶ谷にて。「CINEMA×忍法帖」特集。57年、新東宝。
5 ゲオルク・スラウツァー「バニシング」
 京橋にて。「日本オランダ年 2008-2009 オランダ映画祭2009」特集より。88年。
6 久松静児「丼池(どぶいけ)」
 神保町にて。「昭和の庶民史・久松静児の世界」特集。63年・宝塚映画。
7 清水宏「女医の記録」
 京橋にて。「生誕百年 映画女優 田中絹代」大特集。41年、松竹大船。
8 千葉泰樹「杉狂の催眠術」
 京橋にて。「発掘された映画たち2009」の「バン・コレクション2」より。
 38年、日活多摩川・67分
9 イーストウッド「愛のそよ風」
 DVDにて。
10 谷口千吉「カモとネギ」
 「男優・森雅之」特集、神保町にて。68年、東宝。

次点 山中貞雄《パラパラ漫画アニメ》
 京橋にて。「生誕百年 映画監督 山中貞雄」小特集。
   渋谷実「南風」
 京橋にて。「生誕百年 映画女優 田中絹代」大特集。39年、松竹大船。
   川島雄三「昨日と明日の間」
 池袋にて。「芸能生活70年 淡島千景の歩み」特集。54年・松竹。
   清水宏「母のおもかげ」
 池袋にて。「芸能生活70年 淡島千景の歩み」特集。59年・大映。
   高橋治「七人の刑事 女を探がせ」
 阿佐ヶ谷にて。「昭和警察物語・銀幕に吠えろ」特集。63年・松竹大船。
   田中重雄「東京おにぎり娘」
 阿佐ヶ谷にて。「昭和の銀幕に輝くヒロイン51・若尾文子」モーニング特集。61年・大映東京。

主演男優賞 佐分利信(7他多数)
主演女優賞 田中絹代(7他多数) 
助演男優賞 河村黎吉(次点「南風」他多数)
助演女優賞 葛城文子(次点「南風」他多数)
監 督 賞 山村總(1)
脚 本 賞 特になし
映 像 賞 中川信夫(4)

 各映画については、当ブログに全て寸評あり。神保町と京橋にはお世話になりました。がんばれ阿佐ヶ谷。なお、池袋や渋谷にはあまり行ってませんねえ。
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by mukashinoeiga | 2010-01-22 16:33 | ベストテン | Trackback | Comments(0)

エリック・ロメールが本名じゃないなんてはじめて知った

 昨年、最新作の「我が至上の愛~アストレとセラドン~」と、その前作の「三重スパイ」を見た、エリック・ロメールが89歳で亡くなったという。「我が至上の愛~アストレとセラドン~」公開時に監督引退を表明していたようだが、やはり体調が優れなかったのだろうか。逆に引退を表明したから、体調が悪化したのかもしれない。そこら辺はわからないが。露命をつないでも、ロメールにはもっと生きていて、新作を作ってほしかった。残念。
 今回の訃報で本名がジャンマリ・モーリス・シェレールと別にあることを知った。映画監督とはフシギなもので、俳優や作家が芸名、ペンネームありまくりなのに、なぜか本名が多い。ぼくが知っている日本映画の監督で本名と違うのは、鈴木清順(清太郎)、岡本喜八(喜八郎)など、と数が少ない。外国映画についてはよく知らないが。ロメールも含めて<芸名>を付ける監督は、好きな率が極めて高いのも面白い。
 デヴュー作の「獅子座」からして、面白かった。若い男が一夜パリをうろつく話で。友人の一人としてゴダールも出演している。ちなみに、ロメール訃報記事の見出しに<ヌーヴェルバーグの旗手>というのがあったが、ロメールののほほんさでは、旗手は似合わまい。
 「モンソーのパン屋の女の子」は、記憶のかなただが、「モード家の一夜」はよかった。女の家に一泊するだけの話。「 クレールの膝」「愛の昼下がり」「飛行士の妻」「海辺のポーリーヌ」「満月の夜」「緑の光線 」「友だちの恋人」「春のソナタ」その他は、もはや記憶のなかでごっちゃになって、確かに見たのだが、分別がつかない。ぼくのスポンジな記憶力の中で、ロメール映画というカタマリと化している。
 「木と市長と文化会館/または七つの偶然」はよかったなあ。
 「グレースと公爵」「我が至上の愛~アストレとセラドン~」は、コスチューム・プレイなのに、まったくロメールそのものだった。よかった。
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by mukashinoeiga | 2010-01-13 21:55 | 旧作外国映画感想文 | Trackback | Comments(0)

大島渚「愛と希望の街」

 京橋にて。「映画監督 大島渚」特集。59年、松竹大船。
 既見作で、見たいわけではなかったのだが、6分の「明日の太陽」を見るためには、そのオマケの本作がついてくる。途中で出てもよいのだが、オマケは思い切らない方針なので(てか、そんな方針あったのか?!)続けて見る。
 かつての印象より、案外面白かった。子役たちがうまい。主役の<鳩を売る少年>が良い。藤川弘志という名前らしいのだが、それから活躍したのか。すべき逸材のように思える。
 その妹になる女の子にも、幼いながら目力がある。子役らしからぬ子役として扱う大島の眼力。ヒロインに当たる富永ユキ、同年の野村「どんと行こうぜ」で、柄に合ったガラッパチ娘、「明日の太陽」でも野太い声でアメリカン・ポップスを歌う歌手の出身らしい。なかなか面白いキャラだ。「どんと行こうぜ」では高橋貞二の妹、本作では渡辺文雄の妹、いかにもメタボな体にふさわしい兄たちだ。
 同じく「明日の太陽」で新進松竹スタアとして紹介された千之赫子も、主役の子の担任教師役として出演。彼女は、主役の男の子以上に、貧しい自分たちと、金持ちの渡辺文雄・ユキ兄妹との、板ばさみに悩むことになるだろう。
 前に見たときは、何でこんなつまらない映画が評価されたのかイマイチ納得できなかったが、あらためて見ると、その戦略性がわかるようになっていた。食わず嫌いはいけないということかな。
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by mukashinoeiga | 2010-01-11 22:48 | 大島の渚に寄せる新波かな | Trackback | Comments(0)

大島渚「明日の太陽」

 京橋にて。「映画監督 大島渚」特集。59年、松竹大船。
 たった6分の超短編。それもそのはず、十朱幸代、山本豊三、桑野みゆき、杉浦直樹、九条映子、川津裕介、津川雅彦、など当時の松竹新人スタア十数人を紹介する、今でいえば番宣。ひとり頭数十秒で紹介を済ませるのだから、もうセンスの勝負。というか、はっきり行って出たとこ勝負。もうすぐ監督やらせるかんね、の意欲ある新人さんにしか任せられないし、任せられたほうも、ただただ困惑する限り。
 しかも、どう見ても、こいつスタアのオーラないだろ、という奴でも、持ち上げなきゃいけないのだから、つらいやね。事実、松本錦四郎はじめ五~六人の松竹京都時代劇の二枚目・お姫様女優は、今一人も残ってはいまい。死屍累々。いかに戦後の松竹京都がダメだったかがわかる。
 でも、大船のほうの現代劇の連中は結構残ってますよね。山本豊三は残らなかったのがフシギなくらいのさわやかさんで。九条映子は寺山修司の裏方になった。
 進行役は、まだぷっくらと少女肥りした十朱幸代、お姉さんお兄さんの新人たちを紹介する段取り。彼女自身の紹介に、<テレビから映画の世界にやってきました>のキャプションが大々的に書かれる。ということは、映画出身じゃなくて、TV上がりの娘なのね、という偏見も見えたりして。でも、こうやって紹介された新人てのは、大体大成しないよね。という偏見。
 しかし、この50年前の<番宣>は、そのスタッフを含めて(撮影・川又昂、編集・音楽などなど)クレジットが残されている。今のTVや映画の番宣のスタッフ・クレジットは、はたして50年後もちゃんとわかっているだろうか。
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by mukashinoeiga | 2010-01-08 22:08 | 大島の渚に寄せる新波かな | Trackback | Comments(0)