カテゴリ:三隅剣児女なみだ川と大魔剣( 21 )

三隅研次「兇状流れドス」「新女賭博師 壷ぐれ肌」

 京橋にて。「映画監督 三隅研次」特集。70、71年、大映京都。
 この特集で、再見、再再見の三隅ばかり見てくると、作品自体はたいへん楽しいのだが、だんだんむなしくなる(笑)。
 まあ、それは三隅のせいではなくて、こちらの都合なのだが。
 で、初見の三隅2本。
 わくわくしながら、見たら、それなりに面白いものの、がっくし。70年代特有?のがっかり日本映画感が、漂う。
 主演者としては、まあまあ合格点だが、はっきり言おう。50、60年代の日本映画なら、絶対に主役を張れないような、せいぜい二番手、三番手のスタアが主役を張る残念感。オーラが、まるで違うのね。
 スタアのオーラのなさゆえか。
 60年代までは有効だった娯楽映画の作法のあれやこれやが、70年代では手垢にまみれてしまったということか。
 もちろんその、お作法は、ついには80年代では誰にも見向きもされもせず、ついには消滅してしまうのだが。

e0178641_222258.png41兇状流れドス(83分・35mm・カラー) <フィルムセンターHPより>
1970(大映京都)(監)三隅研次(脚)直居欽哉(撮)武田千吉郎(美)上里忠男(音)小杉太一郎(出)松方弘樹、川津祐介、真木沙織、戸浦六宏、亀石征一郎、石山健二郎、川崎あかね、新條多久美、田中三津子、熱田洋子、伊達岳志、木村元、水上保広
流れ者(松方)が、乱暴な男たちから女(真木)を救ったことを契機に、ヤクザの勢力抗争にまきこまれる。雷蔵亡き後、東映から借りた主演俳優、松方弘樹の快活さを活かした作品。倒産前の厳しい財政事情の中、簡素なセット主体の構成や、霧を充満させたシーンなど工夫を凝らし、風俗も丁寧に描いている。


 まあ本人にもそれなりに美質もあり、親の代からなじみの東映で若手スタアの一角、松方。
 男女ともごく少数を除いて、スタア払底の大映が、特に70年代ともなると、主演を張れるスタアにも不足がち。
 つれてこられた松方を見て、大映スタッフは、
「こんなアンちゃんが、主演かい」と、鼻白らんだことだろう。
 確かに若くて、愛嬌があって、でも、こんなアンちゃんが、大勢のヤクザをバッタバッタと、ひとりでなぎ倒す主演が、勤まるのか、と。
 確かに軽量。
 そして大映リアリズムが、雷蔵なりカツシンにあったスタアオーラ(彼らなら敵をバッタバッタとなぎ倒すだけのオーラが、あった)を、感じないなら、松方は、大映カラーのなかで、浮いてしまうだろう。
 しかも、そういう、若くて、かっこよくて、しかも、めったやたらと強いなんてのを、もう誰も信じられない時代にも、なってゆく。
 霧の港町といえば、日活の代名詞だ(笑)。
 霧にまみれた港町での、男と女の出会い。つまり、東映から借りてきた若手スタアを使って、大映がやろうとしたのは、なんと日活無国籍の再生なのだ。
 何たるごった煮。都合のいいいいとこ取りは、絶対に失敗する。
 大・東・日の娯楽映画総力戦?を、図らずも計った形だが、そして霧をめったやたらと振りまいて、もはや背景が見えないレヴェル。背景を作りこまない分、美術費が浮くと、ナイスアイディアであり、フンイキも、でる、という算段か。
 しかし、背景がほのかに見える程度が、霧のロマンだろう。
 若手女優も多数投入するが、少数の例外を除いて、大映はもともと女優が、弱い。存在感が、一般美人並みを、次々登場させてもねえ。
 逃げていく松方を、汽車のなかで花札でカモる老練な詐欺師・伊達岳志に、大映の松方に対する皮肉を感じるのは、ぼくだけだろうか(笑)。


新女賭博師 壷ぐれ肌(79分・35mm・カラー) <フィルムセンターHPより>
1971(大映京都)(監)三隅研次(脚)高岩肇(撮)梶谷俊男(美)加藤茂(音)鏑木創(出)江波杏子、本郷功次郎、安田道代、渡辺文雄、水上保広、川崎あかね、早川雄三、伊達三郎、森章二、西川ヒノデ、伊吹新吾
江波杏子主演の「女賭博師」シリーズ第17作。前作から一年のブランクを経て「新」と銘打ち、ダイニチ映配から配給されたが、本作が最終作となった。昇り竜のお銀(江波)が、惚れた渡世人(本郷)とともに仇の組との大勝負に立ち向かう。江波と安田の女賭博師同士の勝負と立ち回りが見所となっている。


 こちらは自前の大映若手、江波杏子、安田道代のダブル主演だが。
 そもそも60年代後半にあっては、ちょい役専門の準大部屋扱いの江波を、ぼくは一度もいいと思ったことがない。何よりも、ごつい爬虫類系の顔が、怖い(笑)。男なら、悪役専門の顔だろう。
 チンピラ娘専門?の、安田道代は、年を取って良くなったタイプ。若手時代は、あんまり、よくない。
 こういうふたりがダブル主演でも、ちっとも映画は、弾まない。
 若い女が、大勢の男たちをバッタバッタも、大映リアリズムに合わない。きゃしゃな娘が、大勢をなぎ倒す、というのは、日本映画に通底する伝統美みたいなものだが、それを支えるリアリティが、この二人には、ない。

 かくて、大映も、三隅も、時代の流行から、静かに、消えていく。
 なお、終映後、ぼくの前を歩く観客が、しみじみ「壷振りか」と、つぶやくが、まぎらわしいタイトルに、ナニを期待していたのか(笑)。
 ちなみに見る大映映画、見る大映映画、すべてに出ている感がある伊達三郎、その出演本数って、いったい(笑)。
 日本映画データベースによれば、三郎で133本、岳志で6本だが、少なくとも200本は越えているのではないか。
 どこかに彼のフィルモグラフィは、ないものか。いや、ただ、本数だけを、知りたい訳で(笑)。
 それとも日本映画出演最多ランキングとかあるのかな。

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by mukashinoeiga | 2016-04-17 22:02 | 三隅剣児女なみだ川と大魔剣 | Trackback | Comments(2)

三隅研次「鬼の棲む館」

 京橋にて。「映画監督 三隅研次」特集。69年、大映京都。
 何度目かの再見だが、何度見ても「製作意図」が読めない(笑)。
 まあ、単純に考えて、脚本・新藤兼人、撮影・宮川一夫の布陣からして、ミゾケン重厚映画の夢よもう一度、ということなのだろうが。しかしその役目が重厚な軽匠・三隅に務まるとも思えないが。
 また、面白いのかつまらないのかも、何度見ても一向に判別できない(笑)。ということは、つまらないということだと思うが、そこまでも断定できかねる(笑)アイマイさ、というか雑味。
 まあ、はっきり、つまらないともいえない、絶品さも垣間見れる。
 木立ちの合間を縫って、歩く高峰、アラタマの絶品映像も、宮川してやったりか、というと、そうも、言い切れんのだが(笑)。うーむ。
 日活、東宝とわたってきたアラタマが、まるで別人のような絶品さ。清楚系ビッチ?を水を得た魚のように、振り切って快演す。こんなアラタマ見たことない。アラタマって彼女の未開発な領域の可能性に呆然とする。
 川島は、若尾を女にして見せます、と大映「女は二度生まれる」で言ったが、アラタマも「女にして」ほしかった(笑)。
 通常の三隅映画、通常の大映なら、この役は、中村玉緒で決まりだろう。それ以外ない絶品のどストライク。
 しかし、玉緒はすでにカツシンの女房、新鮮味がほしいというか、カツシンと玉緒が夫婦役なら、楽屋落ち以外の何者でもない、というところか。
 しかし、そこで、なぜアラタマが、アラタマって召還されたのか。うーん。不思議だ。

e0178641_1745712.png39鬼の棲む館(76分・35mm・カラー) <フィルムセンターHPより>
1969(大映京都)(監)三隅研次(原)谷崎潤一郎(脚)新藤兼人(撮)宮川一夫(美)内藤昭(音)伊福部昭(出)勝新太郎、髙峰秀子、新珠三千代、佐藤慶、五味龍太郎、木村元、伊達岳志、黒木現、上原寛二、松田剛武、森内一夫、美山普八、馬場勝義
谷崎潤一郎の戯曲「無明と愛染」の翻案。南北朝時代、情人(新珠)と荒れ寺でただれた生活を送る盗賊(勝)のもとへ、妻(高峰)が訪れる。やがて高野山の上人(佐藤)も入り乱れて、嫉妬と誘惑の黒々とした人間絵巻が繰り広げられる。

 東宝時代のアラタマって、はっきりいってどうでもいい役を、どうでもいい平凡な演技でやり過ごす、という印象しかないのだが。そこそこ清楚、そこそこセクシー。はっきり言って、どうでもいい女優のひとりとしか、ぼくには、思われない。
 おそらく大映女優だったら、もっと光り輝く、ビッチな悪女とか、出来たに違いない。映画会社との相性からいったら、大映専属であるべきだった、と本作のアラタマを見て、アラタマって、そう思う。
 それとも単に、当時の専属女優が、他社作品に借り出されると、いつもと違う役柄で、新鮮に飛び跳ねることが出来るという通例なのだろうか。専属する会社の映画に出演するのは、下品な言葉で言うと、義理マンだが、浮気の新鮮さ、ということか知らん。
 しかしそうであっても、専属女優の他社出演を、もっと見たかった。
 日活お花畑アイドル・吉永小百合が、大映で若尾ばりのセクシー演技をするとか(笑)。

 さて。
 軽快に跳躍するごとくカツシンの今カノを演じるアラタマだが、打って変わって低迷演技の、カツシン元カノ・高峰秀子の、問題にならない凡演は、どうだろう。
 むしろ生彩を欠いたデコちゃん、というのも、はじめて見るような気がする。
 なじみの薄い大映、初顔合わせの三隅、宮川ともほとんど初仕事か。
 何年前か、高峰秀子のインタヴュー記事を読んだら、
「二度と共演したくない相手役」という話題になり、「言わなくても、誰だかわかるでしょう」という、それこそイヤミな、答えで、たいへん気になるのだが、インタヴュアーの義娘は、わかるかもしれんが、こちとらは、わからん(笑)。
 で、勝手に本作のカツシンあたりを想定しているわけだ。
 三隅に限ら座頭市あたりでは、自由闊達な演技のカツシンも、本作では、なんだか、しゃっちょこばった、棒演技。これは文芸映画、というところで、勝手が違ったか。
 俺も雷蔵みたいに、ゲージツ映画に出たいんじゃー、とごねて、しかし、勝手が違ったか。そういう連想。
 荒れ寺に、今カノ、元カノ同居という設定なら、義一脚本、川島演出、で、よかったんじゃね、と無理難題(笑)。

 佐藤慶演じる旅の僧が、若いころ、アラタマに欲情し、その夫を斬り殺した。これを反省?して、俗世間と縁を切り僧侶に、なった。その彼が旅の途中、偶然にもこの荒れ寺に一夜の宿を請い、アラタマと再会。アラタマのたくらみというか、姦計により関係を持ってしまった。聖が俗に負けたわけだが。
 しかし、もともと、この男は俗人だったし、俗そのものの役を演じ続けたサトケイには、この役は不適ではなかったか。言っても詮無いことながら、この役を真に演じきれるのは、雷蔵をおいて、ほかになかったのではないか。
 冒頭、いきなり殺される落ち武者に、五味龍太郎、伊達岳志
 美術は相変わらず絶品だが、「羅生門」「雨月物語」あたりに比べると、してやったり感というか、無駄にでしゃばっているように感じるのは、スガメか。

鬼の棲む館(昭和44年) - プレビュー / Devil's Temple(1969) - Preview


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by mukashinoeiga | 2016-03-23 17:46 | 三隅剣児女なみだ川と大魔剣 | Trackback | Comments(4)

三隅研次「桜の代紋」若山富三郎

京橋にて。「映画監督 三隅研次」特集。73年、勝プロダクション、配給・東宝。
 明るく楽しい東宝が、低迷期。他社でヤクザ映画が当たっているなら、なりふり構わず企画を、パクる。
 かくて、勝プロで、実兄のワカトミが、製作・原作・主演の快作の一丁上がり。
 ワカトミの役名が奥村って、ワカトミ・カツシン兄弟の本名やないけ、われ(笑)。
 ちなみに本名は奥村勝(まさる)。弟・奥村利夫の芸名・勝は、兄の名前に由来するのだろうか。ああ、兄弟の父・杵屋勝東治からですかね。

 やりたい放題のこの映画の監督を任されたのは、兄弟ともにゆかりの三隅研次だ。
 勝オーナーやワカトミから、「先生、よろしゅう」と依頼された三隅、ビビルどころか、ワカトミのやりたい放題をアシスト。グッド。
 土曜の4時とはいえ、ほぼ満席に近いのはなぜ。こんな(現在から見たら)地味な映画なのに。
 終映で何人かが拍手。関係者か。
 それとも、ラストのワカトミ名セリフ「控訴でっか。しまへん。わし、警察官ですから」ゆえか。私も、思わずぐっと、来ました(笑)。

e0178641_19222496.jpg49桜の代紋(89分・35mm・カラー) <フィルムセンターHPより>
1973(勝プロ)(監)三隅研次(原・出)若山富三郎(脚)石松愛弘(撮)森田富士郎(美)下石坂成典(音)村井邦彦(出)松尾嘉代、関口宏、渡辺文雄、大滝秀治、小林昭二、大木実、石橋蓮司、真山知子、東三千
関西一の暴力団の犯罪をベテラン刑事(若山)が追及するが、関係者は次々と消され、家族にも魔手が伸びる…。大阪の街を鋭利に切り撮った森田富士郎など元大映京都のスタッフとともに、若山富三郎の持ち味と勝プロの自由度を存分に活かした実験的な映像表現に満ちた、三隅後年の代表作。

 上記解説どおり、映像ギミックの数々が、素晴らしい。
 特にロケーション撮影での、極端なクローズアップの連続。
 これはおそらく、時代劇監督として、特権的なまでに素晴らしい大映美術陣の手になる、セット撮影、三隅の場合は特に、抽象的なまでに研ぎ澄まされた、無駄の一切ないセットのその美しさ、そこでの完璧な美術ワークに慣れた三隅には、現代の繁華街は、雑味が多すぎた、ということだと思う。
 もちろん大映全盛期であっても、この現代の繁華街をオープンセットで、再現することは不可能。
 かくてロケーションと相成るわけだが、三隅の目からしては、全景丸々映しては、主役が埋没する、あるいは、やはり雑味が多すぎる。
 かくての、極端な俳優クローズアップ。
 さらに、俳優や情景を直接映さず、鏡、車のボディ、バーの鏡板のカウンターボード、水面などに反射した絵を多用。また、人々のあいだに挟まれた、極端に狭い中に俳優の顔の断片のみ見せる。
 これらが、効果的にハードボイルド感を高揚させている。

e0178641_19231277.jpg これらの映像ギミックが、おそらくのちの、勝新太郎監督「警視-k」などの原点なんだろうが、職人・三隅のそれが、あくまでドラマを効果的に進める映像テクであったのに対して、シロウト監督・カツシンのそれは、ドラマを破壊する、よく言えば映像至上主義、悪く言えばオナニー的垂れ流し、自分さえ快楽を得られれば、ドラマの崩壊などお構いなし、といったところだろうか。
 まあ、三隅の超絶職人技を、素人が、安直に真似てはいけません、という落ちで。
 
 ワカトミ先生、散々ぶん殴られるリンチで、吹っ飛ばされ。ぶっ飛ばされるのだが、その転ばされ方が威勢よすぎ(笑)。明らかに、元気のよい、威勢のいい横転ぶりアクションに微苦笑。
 大木実が「おおきに」というのは、笑った。
 ワカトミが、容疑者・石橋蓮司を、警察柔道場で、バンバンしごくのは、三池崇史「新宿黒社会 チャイナ・マフィア戦争」をも連想され、隅と池の親近性も。三池映画の常連に石橋蓮司、というのも納得で。
 男の役者は、刑事もヤクザも、みんないい。
 この時期の東宝ヤクザモノでの、不敵な顔の親分・大滝秀治もいい。あまりにクールすぎて、本家東映での活躍がないのが、惜しまれる。

昭和48年 桜の代紋 OPテーマ 作曲・村井邦彦


ドリフ全員集合ゲスト 若山富三郎


ドリフの全員集合ゲスト 田宮二郎 三船敏郎


どっきりカメラ安岡力也若山富三郎山城新伍ヤクザ最新配信NEXT)

 当ブログに貼り付けるのは、二度目だが(笑)。大木実も出ていることだし。

柳沢慎吾大爆笑トーク 「若山富三郎」

 爆笑。最初に出てくるワカトミの写真が、カツシンと区別つかず(笑)。

若山富三郎を激怒させた柳沢慎吾

 話芸の連鎖(笑)。監督の松尾昭典は、ワカトミのイッコ上という指摘が、ニコニコ動画であったが、大卒の松尾より、十代から芸能界入りしていたと思しいワカトミが、芸能界では格上。それが芸能界の倫理なのだ。

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by mukashinoeiga | 2016-03-08 19:38 | 三隅剣児女なみだ川と大魔剣 | Trackback | Comments(0)

三隅研次「女系家族」京マチ若尾田宮雁治郎

 京橋にて。「映画監督 三隅研次」特集。63年、大映京都。
 もう何度目かの鑑賞か、相変わらず、グッド。
 充実した撮影・宮川、大映美術陣、演出三隅の、圧倒的素晴らしさ。
 そして、京マチ子、若尾文子、田宮二郎、中村鴈治郎の絶品。
 田宮も含めた、その美貌、その人間的ないやらしい面、欲望と小細工、圧倒的な演技合戦、素晴らしい。

e0178641_1814517.jpg17女系家族(111分・35mm・カラー) <フィルムセンターHPより>
1963(大映京都)(監)三隅研次(原)山崎豊子(脚)依田義賢(撮)宮川一夫(美)内藤昭(音)斎藤一郎(出)京マチ子、若尾文子、田宮二郎、中村鴈治郎、高田美和、鳳八千代、浪花千栄子、北林谷栄、高桐真、遠藤辰雄、深見泰三、浅野進治郎
原作小説は山崎豊子の得意とする「(大阪)船場もの」の1つで、急死した商店主の莫大な遺産をめぐり、3人の娘と親族、番頭そして愛人が私利私欲をさらけ出しながら相争う。京、若尾、田宮ら華のある俳優陣に芸達者なベテランを配した、撮影所スター映画の醍醐味が堪能できる一篇。


e0178641_18184744.jpg 脚本・依田義賢、撮影・宮川一夫とのカラミでいえば、アイソもコソもないミゾケン映画と比べて、何たる愛嬌フクフクな作りか。
 新人・若尾文子を、ミゾケンの依頼で、浪花千栄子宅に住み込ませて、所作を習わせた、かつての師弟関係、このふたりの「本宅伺い」対決に、わくわく(笑)。
 年齢設定は32才だが、それより若そうな若尾の、おさない顔立ちの妖艶さ。童顔で、妖艶なんて、若尾にしか、出来ない。
 ただ、まあ、全員悪党欲の塊の割には、次女・鳳八千代の婿だけが、なんだか誠実そうで、まあ、演じている無名役者が、そういう雰囲気をかもし出しているせいか、彼までが嫁を裏切っては尺が伸びるという判断か。
 ただ、こうまで人間の色と欲を描いて、ひとりだけ無傷というのは、画竜点睛を欠くといいますか。
 このメンツで、三隅で「細雪」なんてのも、見たかったなあ。さしずめ市川版で石坂浩二の役が、田宮か。

若尾文子 つえ姿で半世紀ぶりに映画館舞台あいさつ

いや、これヤバい(笑)。当ブログに載ったからには、速攻消される可能性も(笑)。
女系家族 昭和38年

 1時間04分あたり、田宮と京の高まりとともに、急に窓の外が明るくなる(夜が明けたというところか)、その急変ぶりに、清順との近親性が。
◎追記◎↑やはり、消されましたな(笑)。

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by mukashinoeiga | 2016-03-06 18:19 | 三隅剣児女なみだ川と大魔剣 | Trackback | Comments(7)

三隅研次「酔いどれ博士」「とむらい師たち」

 京橋にて。「映画監督 三隅研次」特集。66、68年、大映京都。
 カツシン主演の、コメディ調の2本。
 アクション風味人情劇と、ブラックコメディ調。
 カツシンと三隅の性格を考え合わせると、前者が快調であり、後者が失速気味なのは、まあ、ご承知のとおりか。

e0178641_16462363.jpg29酔いどれ博士(82分・35mm・カラー) <フィルムセンターHPより>
1966(大映京都)(監)三隅研次(脚)新藤兼人(撮)森田富士郎(美)内藤昭(音)小杉太一郎(出)勝新太郎、江波杏子、小林哲子、小林幸子、林千鶴、東野英治郎、殿山泰司、ミヤコ蝶々、平泉征、千波丈太郎、藤岡琢也、浜村純、田武謙三、上田忠好
勝が無頼の無免許医師を生き生きと演じた人情アクション。医療によって貧しい民衆を助けるという『赤ひげ』(1965、黒澤明)的な物語だが、前科持ちで酒と博打が好きな元医師という勝らしい主人公に仕上がっている。本作の好評を受け、同じ年に続けて『続・酔いどれ博士』『酔いどれ波止場』(共に監督は井上昭)が作られた。


 平泉征、千波丈太郎、酒井修ら当時の若手が所属するチンピラグループの名前が、えびかに団。
 まあ、そういうおふざけネーミングに徹するかというと、大人の大映、大人のカツシン、大人の三隅ゆえ、そこまでは、はじけない。
 子役時代の小林幸子が、貧乏と病気と二段構えの不幸、その幸薄い少女を、少しずつ治していく人情話でもある。
 のちの演歌の女王も、子供の頃も、いかにも薄幸そうな表情で。彼女もカツシンや雷蔵のプログラムピクチャア映画の子役に限定されていて、不幸。
 たとえば「警察日記」や「野麦峠」タイプの映画に出ていたら、泣かせる子役として、注目を浴びたかも知れぬ。 
 ミヤコ蝶々やらの関西系とも相性よろしく、豪快カツシンの、人情、アクションモノとして、グッド。

e0178641_16465851.jpg36とむらい師たち(89分・35mm・カラー) <フィルムセンターHPより>
1968(大映京都)(監)三隅研次(原)野坂昭如(脚)藤本義一(撮)宮川一夫(美)内藤昭(音)鏑木創(出)勝新太郎、伊藤雄之助、藤村有弘、藤岡琢也、財津一郎、西岡慶子、多賀勝、酒井修、田武謙三、若宮忠三郎、遠藤辰雄、北村英三、伊達三郎
野坂昭如の同名小説を映画化。既成の葬儀会社に対する義憤から、国際葬儀協会(略して国葬)という組織を始めた男(勝)の破天荒な行動を描いたコメディ。男は大阪万博に対抗して葬儀博覧会の開催までするが、その先には予想外の破局が待っていた。現代風刺劇に取り組んだ、三隅の異色作。


 原作野坂、脚本義一の、二段構えも、そして、おそらく西岡慶子ら多数の関西喜劇陣投入(当時の彼らについて詳しくないが、そういう印象でした)と、三隅、カツシンは、水と油か、1たす1たす1が、3はおろか、2にもならず、というところか。
 まして、三隅、カツシンに加えて、撮影は重厚宮川だ。シュールかつブラックなコメディが成立する、メンツとは、到底思えぬ。清順か石井輝男か中川信夫あたりの得意技か知らん。
 しかし、ある種の映像派である三隅が、同じ映像主体の発想をする、清順、石井、中川との縁辺性を感じさせた、という発想もある。
e0178641_1647368.jpg 終映後、観客二人の会話を漏れ聞くと、「少し間延びしていて、寝てしまいました」と。
 いやぼくも、かなり、うつらうつらした(笑)。
 89分の映画で、あの三隅に、間延びした映画が、あったのだ!
 どんなプログラムピクチャアのジャンル映画でも、緊密な映画を作り続けた三隅にも、シマリのない映画もあったのね、という発見ですな(笑)。
 おそらく職人の三隅、伝統芸能のカツシンという、奇妙なユーモアを扱うには、もっとも不適な面々であったか。
 ただし、伊藤雄之助、藤村有弘らの、とぼけた味わいは、かなりのモノで。すばらしい。
 なお、万博の建設予定地での撮影、万博予告の看板と、万博イメージが強調され、ついには、万博に対抗する葬博と、アンチ万博の色濃い時代性も、珍味

「とむらい師たち」 Tomuraishi Tachi (1968年) 予告篇

 例によって、ホンペンでは、見たこともないフッテージがいくつか。
 特に、ラスト水爆後の廃墟をさまようカツシン、本編では、すすだらけではない、普通の顔。だって、投下後しばらく地中にいたのだから、爆風の煤などつきようがない、という設定だ。ということは、少なくとも2パターンで撮影したようで、そういう工夫が、垣間見える。

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by mukashinoeiga | 2016-03-06 16:49 | 三隅剣児女なみだ川と大魔剣 | Trackback | Comments(4)

三隅研次「なみだ川」

 京橋にて。「映画監督 三隅研次」特集。67年、大映京都。
 これまで何回か見ていて、今回見て、やはり快作傑作。
 藤村志保、やはり、素晴らしい。代表作というべき。
 藤村志保と三隅のコラボ、絶品はいくつもあり、今回は見れなかったが、 「斬る」「古都憂愁 姉いもうと」なども、絶の品。

e0178641_0465593.png34なみだ川(79分・35mm・カラー) <フィルムセンターHPより>
1967(大映京都)(監)三隅研次(原)山本周五郎(脚)依田義賢(撮)牧浦地志(美)内藤昭(音)小杉太一郎(出)藤村志保、若柳菊、細川俊之、戸浦六宏、藤原釜足、安部徹、玉川良一、塩崎純男、春本泰男、水原浩一、町田博子、本間文子、花布辰男
三隅・依田の演出脚本コンビで、藤村志保と若柳菊(のちの菊ひろ子・奈月ひろ子)が姉妹を演じる文芸物の第2弾。今回も藤村演じる姉は妹の結婚に気をもむが、おっちょこちょいなのでロマンティック・コメディ的な展開も。三隅は悪役を根っからの悪人としては描かず、作品世界に繊細なニュアンスを与えている

e0178641_0512887.png 何度も見ているだけに、今回は細部にも注目した。
 オープンセットの、道向こうの二階家の屋上に着物が干してあり、青空。
 もはや、とてもオープンセットとは思えず、リアル江戸時代
 志保と細川俊之がはじめて結ばれる川沿いの二階家の、絶景。
 その他その他、なんと素晴らしい。絶品の大映美術。
 ただし本作の唯一の欠点は、妹役の新人女優が、あまりの一本調子の、あまりに固すぎる演技。
 全然味わいなし。うーん。

e0178641_0523382.png しかし、全体は、笑わせ、泣かせての、絶品の人情劇!
なお上記解説だが、兄・戸浦六宏は、貧しい庶民のために、時の政府にたてつく、いまで言うシールズみたいな若者。しかし妹たちから大金を奪おうとする。
 左翼的主張のためなら、貧しい妹たちのなけなしの金を奪ってもかまわない、という左翼擁護のフィルムセンターの立場は、あまりにあくどすぎるぞ(笑)。
 しかも姉は小唄の師匠、妹は御大家の娘の嫁入り衣装のお針子、という特権階級の御用を承る庶民というベタな設定に、左翼インテリ(笑)フィルムセンター諸君が、反応したというのも、面白い(笑)。

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by mukashinoeiga | 2016-02-28 23:59 | 三隅剣児女なみだ川と大魔剣 | Trackback | Comments(4)

三隅研次「座頭市血煙り街道」

 京橋にて。「映画監督 三隅研次」特集。67年、大映京都。
 絶品のカツシンと、豪快近衛十四郎。
 そのクライマックスに向けて、娯楽映画の王道をひたはしる。
 ふたりの対決場面の音楽は、なんだかゴジラっぽくて、笑えるが、音楽はもちろん伊福部昭だ(笑)。

e0178641_11502922.png35座頭市血煙り街道(86分・35mm・カラー) <フィルムセンターHPより>
1967(大映京都)(監)三隅研次(原)子母沢寛(脚)笠原良三(撮)牧浦地志(美)下石坂成典(音)伊福部昭(出)勝新太郎、近衛十四郎、髙田美和、朝丘雪路、坪内ミキ子、中尾ミエ、伊藤孝雄、小池朝雄、磯村みどり、松村達雄、小沢栄太郎
シリーズ第17作。旅の途中で病に倒れた女から、その男児を託された市。実は、この子の父は禁制品を使った悪事に利用されていたのだった。勝の要望で出演した近衛十四郎が、素性不詳の浪人役で市に匹敵する存在感を見せる。三隅の演出が、晩秋の季節感を際立たせている。

 コミカル演技と迫力演技と、融通無碍なカツシンもカツシンなら、いきなり中尾ミエに歌わせたり、その前はカツシンも主題歌。高みに立った巨匠にはならない(なれない、のかもしれないが)三隅演出も、ユーズームゲなり。
 目が見えないから、段差に転んでみせ、それを奇貨として、地面に寝ながら、敵の足を振り斬る。
 近衛に押されて、木柵で倒れながら、近衛を仕込みで突き斬る。
 ドンクササ丸出しの、アクションの素晴らしさ。
 眉毛を切られて、顔にお絵かきの田武謙三も、相変わらずグッド。

座頭市 勝新 VS 近衛十四郎


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 なべおさみは、壺振りの半三ではなく、トンマな大工。座頭市に、してやられる。

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by mukashinoeiga | 2016-02-14 11:47 | 三隅剣児女なみだ川と大魔剣 | Trackback | Comments(0)

三隅研次「鼠小僧次郎吉」

 京橋にて。「映画監督 三隅研次」特集。65年、大映京都。
 プロクラム・ピクチャアとして、ウェルメイドな快作。
 大映ならではの、重厚美術・映像と、三隅のある種の張ったり演出の冴え。

e0178641_941335.jpg24鼠小僧次郎吉(76分・35mm・カラー) <フィルムセンターHPより>
1965(大映京都)(監)三隅研次(原)大佛次郎(脚)新藤兼人(撮)牧浦地志(美)内藤昭(音)鏑木創(出)林与一、姿美千子、長谷川待子、神田隆、工藤堅太郎、藤村志保、伊藤孝雄、須賀不二男、浜村純、香川良介、明星雅子、伊達三郎、千波丈太郎
NHK大河ドラマ「赤穂浪士」(1964)の堀田隼人役でスターとなった林与一が、お馴染み鼠小僧と浪人の2役に扮して映画初主演。世直し人助けをする中でやくざの親分・梵字の安五郎(神田)から恨みを買い、これと対決する。蛸壺的に密集した崖下の貧民窟のセットが秀逸。

 スタア時代劇映画にありがちな、一人二役映画のひとつ。
 わざわざ東宝から借りてきた新スタアが、ねずみ小僧だってぇ。肝心の時に頬被りして、美男のお顔が隠れるじゃねえか。しかも屋根から屋根に移ったり、盗賊だからナイトシーンが多く、夜でロングショットの立ち回りなら、スタントマンで充分だ。
 林与一、見せ場ねえじゃねえか。

 いっほうミーチャンハーチャンの娘っ子は、あら、今度の映画の与一っチャンは、ねずみ小僧の役だってー? ねずみって、被り物で、半分顔が見えないじゃないー。やだあ。切符代、半分損じゃない。今回は、見るの、よそうかなあ。

 なら、もうひとつ、ねずみを助ける浪人役を出して、たっぷりお顔を、拝ませましょう。
 かくての一人二役。大映も林与一もミーちゃんも、ウィンウィンの三方一両お得。
 こういう苦肉の策だから、作劇上何の必然性もない、一人二役。同じ顔のふたりと遭遇しても、「お二人、顔がそっくりですねえ。もしかして双子?」なんて、誰も言わない。しらんぷり。
 実は、生き別れの兄弟、なんて苦し紛れも、堂々、出さない。
 仕掛け、工夫、エクスキューズが、ひとつ。
 後半、浪人のほうの林与一を助けんと、姿美千子が、口に含み綿、服に体型増量のためのクッションを入れて、顔も不細工な化粧して、変装する。相思相愛の林与一も、気づかない?変装振り。これまた、一人二役、ね、変じゃないでしょ?との、エクスキューズも、見えたり。

 この映画、両方の林与一を捕縛するシーンが、楽しい。
 歩く与一。その前方で、わらじの紐をかがんで治す商人風。
 歩く与一。その後方から声をかけてくる町人風。
 その声に気をとられると、すかさず前の商人風が襲い掛かる。周りの何人かも、襲い掛かる。
 そのタイミングの、心地よさ。

 エクスキューズその2。
 浪人与一と、ねずみ与一が、座敷で、長く語り合う。ふたりの顔が同じなので、自分VS自分の、ひとり「ふたり語り」が強調され、ちと、異様な光景。
 ここのダブル与一合成が、異様なまでにクリアで、継ぎ目がまったく見当たらない。おそらく現代のCGでも、こうはうまくはいくまいという神業。
 怪獣映画のブルーバック合成など、継ぎ目丸わかりの日本映画なのに、なぜこんなにカンペキな合成が。スパシーボ。
 まあ、ミーちゃんも、同一画面に二人も与一で、鼻血ブーであろうか。
 まあ、もっとも、おじさんには、美顔与一よりも、老十手持ちの浜村純の、メンタマ見開いての凝視、ランランと言うか、ギャンギャンの目線のほうが、受けたりもするのだが。

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 ねずみの世を忍ぶ仮の姿の小間物問屋の、小僧は、白木みのるというには、大部大人びた(笑)少年に、変更されている。

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by mukashinoeiga | 2016-02-04 09:05 | 三隅剣児女なみだ川と大魔剣 | Trackback | Comments(0)

三隅研次「婦系図」

 京橋にて。「映画監督 三隅研次」特集。62年、大映京都。
 三隅流女性映画、快作の一本。あと1回の上映。
 ただし、雷蔵・万里昌代のカップルの話より、サイドストーリーの、木暮実千代・三條魔子おやこの話に、この映画化は5回というが、どの映画を見ても、つい泣いてしまう。再見の本作でも、ついついもらい泣き。

e0178641_8405569.jpg婦系図(99分・35mm・カラー) <フィルムセンターHPより>
1962(大映京都)(監)三隅研次(原)泉鏡花(脚)依田義賢(撮)武田千吉郎(美)内藤昭(音)伊福部昭(出)市川雷藏、万里昌代、船越英二、三條魔子、水戸光子、木暮実千代、千田是也、片山明彦、伊達三郎、石黒達也、藤原礼子、近江輝子
身分違いの恋を綴った「婦系図」の5度目の映画化。新東宝で「グラマー女優」として活躍していた万里昌代は、同社倒産後に大映へと移籍し、本作のお蔦役の好演によって新派/時代劇女優としての資質を開花させた。また本作は三隅が依田義賢と初めて組んだ作品でもあり、2人は以後も女性映画の名作を生み出していく。

 雷蔵・万里昌代パートの欠点は、恩ある先生との心理的三角関係が、もたらす緊張、意地の張り合いが、通俗心理としても、異常?心理としても、説得力に欠ける点にあるのだろう。
 ようは、気まぐれ暴君の、無理無体が、悲劇の原因なのだが、その無茶振りを、千田是也は、好演している。自分の気まぐれな振る舞いが、いかに他人に影響を及ばすか、まったく無頓着な暴君。
 そして、頭はよいが、スリ出身なのに、ストリート・ワイズに欠ける雷蔵。
 芸者としての粋、おんなとしての意地、つまり明治的ヤンキーの突っ張り主義、それが極めて情緒的な自己犠牲志向と結びついて、万里昌代も雷蔵も、甘美な陶酔の毒に浸っているかのように、見える。
 いわば、このカップルは、ふたりながら、完結した自己世界に閉じこもったジャンキーなのだ。ぼくには、そのように見える。

 いっぽう、世間知マスター(笑)木暮実千代は、生まれてすぐ手放した娘と、再会する。
 純真無垢な三條魔子は、その事実を、知らない。
 いわば世間の垢を知り尽くした女が、世間の穢れなどほとんど知らない初心な娘と、遭遇する。
 純真無垢な娘の、知らない者の強みを天然で発した、そのいちいちの振る舞いに、ただひたすらおろおろするしかない知りすぎた女の、呆然。これが、泣かずに、いられようか。

 そう万里昌代の悲劇は、中途半端さに、あったのか。中途半端に世間を知っていて、しかもまだ、純情さが、ある。
 この中途パンパが、始末に悪い。イッちゃなんだが、もっと小ずるく立ち回って、ストリートワイズに欠ける雷蔵を適時リードしてやれば、また展開は変わっていたかもしれない。姉さん女房になれば、よかったのだ。
 まあ、それでは、紅涙を絞る悲恋悲劇には、ならないか。

 さて本作では、原作改変により、水戸光子・片山明彦親子が登場。息子の嫁にと、三條魔子に御執心。この、小ずるい親子が、それなりの罰を受けるのに、弟子カップルを悲劇に叩き込んだ恩師・千田是也が、何のきずひとつ負わないのは、片手落ちであろう。
 そこが、このドラマの、弱いところ。

 なお、未来の嫁候補をあさりに、この親子、良家の子女が通う、女学校に授業参観(笑)、浅ましく娘たちをねめ回して、三條魔子に白羽の矢。
 で、魔子の学友エキストラの中に、ひとり目立つ顔、これがどう見ても藤村志保にしか、見えない。
 藤村志保といえば、
1.1962.04.06 破戒  大映京都  ... お志保
2.1962.07.01 斬る  大映京都  ... 山口藤子
3.1962.07.15 鯨神  大映東京  ... エイ
4.1962.08.12 長脇差忠臣蔵  大映京都
5.1962.09.01 青葉城の鬼  大映京都  ... 三沢はつ
6.1962.12.01 忍びの者  大映京都  ... マキ
7.1963.01.03 新選組始末記  大映京都  ... 志満 (以上、日本映画データベース)

 デヴュー作「破戒」をはじめ、この年には実質7本の映画を撮影している、この年の新人女優だ。いっぽう本作は、1962年2月21日公開とのこと。一種のスクリーンテスト的な、あるいは小手調べ的な、エキストラ起用なのか。
 三隅は気に入ったのかどうか、それとも大映京都イチオシの新人女優として使わされたのか、不明だが、「斬る」 「青葉城の鬼」「新選組始末記」と、最多3本も起用。特に「斬る」の冒頭を独占する藤村志保のすばらしさ。また、同作には、万里昌代も。

 感想駄文済みの三隅「大菩薩峠」でも、卑怯な小ずるい男を好演した片山が、本作でも小狡さ発揮。父・島耕二も、若き日に小ずるい小悪党色魔を好演していたが、さすが、親子、といっていいものか(笑)。
 水戸光子の不吉な娘に、藤原礼子。出てきたとたんに、その無表情が、不吉そのもの。藤原礼子といえば、代表作は、感想駄文済みの増村保造「爛(ただれ)」か。田宮二郎をトコトン追い詰める藤原の怪獣ぶりは、忘れられない。
 こういう不吉顔の女優を、それなりに遇しているのが、大人の大映たるゆえんで。

三隅研次監督『婦系図』 お蔦と主税の別れ


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by mukashinoeiga | 2016-01-24 08:41 | 三隅剣児女なみだ川と大魔剣 | Trackback | Comments(3)

三隅研次「巨人 大隈重信」再見

 京橋にて。「映画監督 三隅研次」特集。63年、大映東京。
 一年前に神保町で見た際に、感想駄文★三隅研次「巨人 大隈重信」★を書き、さらに★隠れた傑作「巨人 大隈重信」に、しびれよ!★で、アジったが、今回再見して、もっと書きたくなったので、この「最高」作を「再考」します(笑)。
<以下、ネタバレあり>
1/31(日)に、もう一度上映があるので、未見の人は読んじゃだめよ(笑)。
e0178641_443158.png 巨人 大隈重信(103分・35mm・白黒) <フィルムセンターHPより>
1963(大映東京)(監)三隅研次(脚)八尋不二(撮)小林節雄(美)間野重雄(音)斉藤一郎(出)宇津井健、坪内ミキ子、三條江梨子、藤巻潤、船越英二、内藤武敏、小池朝雄、神山繁、北原義郎、千波丈太郎、岡田真澄、本郷功次郎、髙松英郎、根上淳、石黒達也
大隈重信生誕125周年記念作品。明治元年から明治35年(東京専門学校20周年、早稲田大学開校)までが語られる。大隈役は早大出身の宇津井健。会話演出主体だが、二度の大隈暗殺未遂シーンでは印象的なアクション演出が見られる。剣をふるって大隈を助ける畑剛造役は石黒達也。

 なお、本作が、いかに隠れた傑作かというと、ウィキペディアの大隅の項の、

関連作品[編集]映画
日本暗殺秘録(1969年、日本、役者:矢那木邦二郎)
商魂一代 天下の暴れん坊(1970年、日本、役者:芥川比呂志)

に、一目瞭然。どう見ても一番重要、かつタイトルロール、かつ傑作が、ガン無視状態(笑)。

 本作は、史実に基本的にはモトづきつつ、しかし、その細部は、当然ながら、かなりフィクションと想像される。

大隈の下には伊藤博文や井上馨といった若手官僚が集まり、木戸孝允とも結んで近代国家の早期建設を謳って大久保利通らを牽制した。当時、伊藤や井上らが集って政治談義にふけった大隈の私邸をさして「築地梁山泊」と称した。(以上、ウィキペディアより)

 仲の良かった伊藤、井上らと、国会開設などの夢を語っているうちは、よかったが、だんだん政治の本丸に取り込まれるに連れ、かつての同志にも裏切られ、下野したり、しかし井上の後任で外相になったり、早稲田開校式では、伊藤の祝辞を受けたり、昨日の友は今日の敵、昨日の敵は今日の友を繰り返す、政界アラベスク。
 それを、快活に恬然と受け入れる、ウツケン大隅の、好ましさ。
 実際は、ドロドロの政治的魔界を、これは宇津井健主演だからと、明朗に乗り切る三隅の手腕。
 これが、大映京都、仮にサゲチン(失礼&笑)雷蔵が、大隅を演じたら、どれほどダークかつニヒルな「政界裏話」になったかと思うと(笑)。三隅なら、やりかねんよ(笑)。
 雷蔵が大隈なら、その夫人は中村玉緒、母は目黒幸子(ないし浦部粂子、陰険版沢村貞子)、伊藤井上は、見明凡太郎、伊達三郎か。陰謀渦巻く、うーん、ダークや。

 ことに井上馨なんて、無類の女漁り、貪官汚吏的イメージがあるが、好漢・藤巻潤が演じることで、さわやかさ200パーアップ。
 複雑怪奇、権力権勢のドロドロ血液が、さらさらに、これぞウツケン効果か。
 さらさらも、ドロドロも、思いのままの三隅。スパシーボ。

 本作には、明治政界のさまざまな有名人が登場するが、ある時期以降の大作日本映画に必ず採用される字幕による人物紹介が、一切ない。
 しかも、大隈以外の有名政治家なども、一切苗字のみが、語られる。伊藤、井上、山県、西郷。
「伊藤さん、西郷さんが、お見えになりました」と、案内。普通西郷といえば、あの兄のほうかと思いきや、実は弟・西郷従道だったりする。
 ウツケン大隈とにこやかに談笑する船越英二。まだ、名乗らないので、誰の役かは、わからない。そこへ若者たちが来て、「先生、先生」という。しばらくして、「福沢先生」と、わかる。
 これが、現代の映画なら、説明過剰なまでに、
 「慶応義塾塾長 福沢諭吉」と字幕が出て、
学生たちも「先生、先生」とは言わずに、「福沢先生」「福沢先生」と、言うに違いない。
 岡田真澄演じるアーネスト・サトウも、アーネスト・サトウというフルネームでこそ、カレの存在感を示せると思うのに、ただのサトウだけ(笑)。

 この、こつこつとした、下の名前などの省略が、大映ならではの、三隅ならではの、ランニングタイムの短縮に繋がっているのだと、思う。
 そして、大山健二だ(笑)。Movie Walkerの、本作項目では、医官、としてクレジット。
 しかし、一回目の神保町では、見逃した。あの、目立つ、おなじみの顔なのに。
 今回はじめてご覧になったお邪魔ビンラディンさんも、見逃したようだが、2回目のぼくは、さすがに、目視しました(笑)。
 医官というからには、あそこのシーン、つまり、爆弾を投げられて臥せっている大隈を取り囲む大勢の人のなかにいるに、違いない、と当たりをつけて、そのシーンで、話の筋は無視して、人々の顔をねめ回していたら(笑)、いました。画面中央、やや右寄りの白衣の大山健二が。
 戦前松竹では、三枚目スタアとして、大活躍、戦後大映では、出番は毎度少ないながら、きわめて印象的な脇役の大山健二が、たった十秒弱、ワン・オブ・ゼムとして、ぼんやり顔を見せるだけ、とは、考えにくい。
 おそらく、セリフも二言、三言は、あったに、違いない。じゃなきゃ、単なるエキストラで十分、大山健二を呼ぶまでもない。
 おそらく脚本では、大山の出番は、あった。撮影も、実際に、された。
 しかし、全部、カット。なぜ。もちろん、ランニングタイムをカットしなければならない、大映なり三隅の事情。映画のシマリを、ヨクするために。

 ここで、面白いインタヴューが、ある。大映の編集者の証言が、三隅好きには、たまらない。
★コラム『日本映画の玉(ギョク)』谷口登司夫が語る三隅研次 Text by 木全公彦★
 三隅は、谷口の編集が、長過ぎる、キレキレ、と絶えず言っていたらしい。
 たとえば、谷口は、三隅の「座頭市」で、街道を画面奥までエンエン歩いていくカツシンの後姿を、長く長く残す編集をすると、三隅は、長い、切れ、という。
 この後姿のカツシンがいいのに、と渋る谷口に、なおも切れ、という。だったら、こんなに長く撮影してくるなよ、と、心の中で、少し切れた谷口。
 ああ、70、80分で終わる三隅映画の「完全版」が、見たい(笑)。

 さて、下野していた大隈に、かつて山県有朋(高松英郎)とともに、大隈を蹴落とした黒田清隆(小池朝雄)が、訪ねて来て、頭を下げる。 「いろいろ対立はあったが、おいどんの内閣の外務大臣になって、不平等条約を改正してくれ」と。 (実際は、伊藤内閣の外務大臣を、続く黒田内閣でも引き継いだらしい)
 当時、「不平等条約」を改正できない内閣に対し、国民の不満は、大変なものだった一方、それに比例して、政府批判の言論人・大隈の人気は大変なものであった。
 ところが、大隈が、条約のほとんどの改正に成功するも、国内で外国人犯罪者を裁くために、裁判官判事に、外国人を登用する、としたために、可愛さあまって憎さ百倍の、売国奴呼ばわり(笑)。
 大隈の反論は、
1 世界中のすべての国の対外条約で、百パーセント満足なものは、ありえない。何らかの妥協が必要。
2 多少の妥協によって、不平等条約が、全体として改正出来るなら、それを良しとせねばならない。
3 しかも外国人が日本で裁判官になれるのは、まず彼が日本国籍を取得してのちのことで、それなら彼は立派な日本人だ。(当時お雇い外国人は多数いても、わざわざ日本国籍を取得する心理的ハードルはかなり高い)

 こう、大隅は、国民からの売国奴呼ばわりに、反論するのであるが、この光景は、つい最近も、見られるもので、この映画、なかなか、古びていないなあ、と(笑)。

【反日韓国】日韓合意絶対反対、明日、官邸前緊急抗議活動へ起て![桜H27/12/28]

慰安婦問題での日韓合意を糾弾する国民大行進2016/1/10デモ前

【2016/1/10】慰安婦問題での日韓合意を糾弾する国民大行進2


★映画監督 三隅研次 | 東京国立近代美術館フィルムセンター★
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 なお、どうでもいいことだが、上記貪官汚吏が、自動変換されないのでネット検索したら、正式には「たんかんおり」という読みで、ぼくの知っている「どんかんおり」は俗読みらしい。しかしタンカンでは、なんだか、淡々としたいい人みたいで、ドンカンの貪欲そうで、薄汚そうで、そう、貪じたいは、タンともドンとも読む、らしいが、語感から、ドンに変化した、ようだ。

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by mukashinoeiga | 2016-01-18 11:02 | 三隅剣児女なみだ川と大魔剣 | Trackback | Comments(4)