カテゴリ:今井正 青い左傾山脈( 17 )

今井正「泣いてたまるか/兄と妹」渥美清原田芳雄

水準的な快作TVドラマ。千葉テレビにて。67年、国際放映/TBS。
 昔は家に帰ると、電気TVパソコンを即電源を入れていたのだが、最近はTVは、ほとんど点けないなあ。パソコンは電源消してないし。
 でも最近は例外的に、水曜日にTVをつけてる。
 8時に千葉テレビ「泣いてたまるか」(最近知った)9時にテレ朝「相棒」10時に日テレ「地味にすごい校閲ガール」11時にテレ朝「有吉マツ子の怒り新党」(これは昔から)、と連続で。

 先週の「泣いてたまるか」は、脚本家城巳代治で、監督今井正という、豪華メンバー。
 まあ、豪華メンバーといえば豪華メンバーなのだが、ルーティンで軽くこなしたアルバイトともいえる。

e0178641_13224731.jpg泣いてたまるか(第55回)兄と妹 (テレビドラマデータベースHPより)
キー局TBS放送曜日・時間日 20:00-20:56放送期間1967/10/01
演出(監督:今井正)(助監督:榎本冨士夫)
プロデューサ高島幸夫、茨常則
脚本 家城巳代治 音楽 木下 忠司
主題歌 渥美清「泣いてたまるか」(作詞:良池まもる、作曲:木下 忠司)(ク…
出演 渥美清、岩崎加根子、原田芳男(原田芳雄)、寺田路恵(寺田路…
解説正平は早くに両親を亡くし、妹の直子を男手一つで育ててきた。正平の夢は直子を「一流企業」の社員に嫁がせることだったが。

 今回の渥美は16で、立て続けに両親を亡くし、小学生の妹と取り残された、奮闘努力の男。
 町工場で旋盤工として生計を立て、妹を大学にやろうと、両親の墓前に誓うが、まあ夜間高校に通わせるのがせいぜいだった。
 その妹・寺田路恵も別の町工場の事務、渥美はこの妹に、丸の内勤務の「一流会社サラリーマン」中野誠也とのお見合いを画策する。
 しかし、兄の思惑と違い、妹は同僚の工員・原田芳雄と、恋仲で。渥美は不安定な町工場の旋盤工なので、妹には安定したサラリーマン一択だと、迫っている。
 
 まず、目を引いたのは、渥美の工場の旋盤工たちは全員、通勤時はネクタイスーツ姿に着替えていることだ。
 今井正ら戦後左翼映画に出てくる労働者は、いわゆる菜葉服や普段着で通勤していたことが多いと思うが、まあ本気のホンペン映画ではリアリズムだが、TVでは、少しおしゃれしようということか。
 それとも当時の党の方針は、労働者の生活意識向上運動の一環として、通勤時にはスーツネクタイ着用推進運動なんてものがあって、今井や家城は、その党の方針に従っただけなのか。
 パルタイ星人(笑)は、よく党の方針をコロコロ変えるので、ワカラナイ。

 ということで狭い家にふたり暮らしの兄と妹は大ゲンカし、お前とはもう二度と口を利かない、ええいいわ、ということになり、二人は無言の朝食。
 このふたりの無言のやり取りを、渥美清の絶品のサイレント演技で魅せる。
 素晴らしい。
 そして後年、不貞腐れたクサい演技で、一世を風靡した(さらに後年松田優作という亜流も生む)原田芳雄が、なんと、率直そのままの好青年を、演じる!
 この一点で、これは珍作といってもいいかもしれないが(笑)。
 その好青年ぶりストレート演技が、サマになっているんだかなっていないんだか。新鮮っちゃ新鮮で、微苦笑とともに原田の演技を見ているので、あった(笑)。
 寺田路恵とともに工員仲間で合唱コンクールに出演する原田は、まさしく民青青年そのもので。歌って踊って恋をして共産党に入りましょう的な。
 なお原田芳雄の同僚で、原田と寺田が勤務中に会話しているのに、茶々を入れるのが蟹江敬三。
 うーん、今井正や家城巳代治にとっては、単なるアルバイト仕事にとどまらず、党の方針に従った若手党員確保のイメージ戦略の一環だったのか(笑)。
 恐るべし左翼、TBS、共産党。国際放映といえば、共産党主導の東宝争議と袂を分かった新東宝の流れを汲むものと理解しているが、違ったか。

 さらに言えば渥美が常連で通う居酒屋「ちどり」の看板娘に、岩崎加根子。実は渥美は彼女に惚れていて常連化の図。しかし岩崎は、看板娘にしては、ちと固いなあ。
 こんなお堅そうな岩崎に通い詰めるなんて(笑)。
 その居酒屋の親父に浜田寅彦、寺田や原田や中野など、渥美を除いては、新劇系(つまり左翼系)で固めたキャスティングか。
 
泣いてたまるか


おまけで、
玉置浩二 - 男はつらいよ

 こういうのもいいね。

★Movie Walker★に、タイトル検索で詳細な作品情報あり。簡単な作品解説、あらすじ紹介(企画書レヴェルの初期情報の孫引きゆえ、しばしば実際とは違うが)。

★新・今、そこにある映画★日本映画・外国映画の、新作感想兄弟ブログ。なお、現在は当ブログに吸収合併。過去ログは残してあります。
★映画流れ者★当ブログへのメモ帳、その他諸々

★人気ブログランキング・日本映画★
にほんブログ村 映画ブログ 名作・なつかし映画へ
★にほんブログ村・名作なつかし映画★

★にほんブログ村日本映画(邦画)★
[PR]

by mukashinoeiga | 2016-12-28 13:26 | 今井正 青い左傾山脈 | Trackback | Comments(2)

今井正:青い左傾山脈を追加

 「今井正:青い左傾山脈」を、右柱下のカテゴリに追加しました。主要な代表作は、過去に見ているため、まあ、ずさんな特集ですが、これから随時追加していく予定。
 8月下旬から、レトロスペクティヴと、次のドキュメンタリ新作が新宿K's cinemaで上映されることを、受けてのものです。

『薩チャン 正ちゃん~戦後民主的独立プロ奮闘記~』特報動画

e0178641_20504477.jpg1950年代から60年代にかけて、大手映画会社に属さない独立プロの監督たちが、次­々と名作を世に送り出した「独立プロ映画黄金時代」がありました。その全盛期に活躍し­た山本薩夫監督と今井正監督を中心に、いち時代を築いた監督とスタッフたちの軌跡を、­当時を知る関係者にインタビューし、その中に登場する映画の一部シーンや、写真、資料­映像などを織り(引用終わり)

 なお、吉村公三郎・今井正・山本薩夫「愛すればこそ」の、オムニバス作品については、便宜上、同時新設しました山本薩夫:傷だらけの左傾山河というカテゴリに入れています。これは山本パートのタイトルが全体のタイトルにもなっているためです。

★Movie Walker★に、タイトル検索で詳細な作品情報あり。簡単な作品解説、あらすじ紹介(企画書レヴェルの初期情報の孫引きゆえ、しばしば実際とは違うが)。 

★新・今、そこにある映画★日本映画・外国映画の、新作感想兄弟ブログ。
★映画流れ者★当ブログへの感想・質問・指導・いちゃ問はこちらへ

★人気ブログランキング・日本映画★
にほんブログ村 映画ブログ 名作・なつかし映画へ
★にほんブログ村・名作なつかし映画★
[PR]

by mukashinoeiga | 2015-06-05 20:51 | 今井正 青い左傾山脈 | Trackback | Comments(0)

今井正「仇討」

 京橋にて。「生誕百年 映画監督 今井正」特集。64年、東映京都。脚本・橋本忍。
 下級武士・中村錦之助が、些細な口論から、すこし上級侍・神山繁と対立し、果たし状をもらい、これを討ち果たす。
 さらに、神山の弟・丹波哲郎も、その仇討ちを挑んで、錦之助に返り討ち。
 なあなあで、丸く、かつ抑圧的に、納めようとした、家老・三津田健、その部下たち藩官僚、三島雅夫、田中春夫、は、これでは、顔が立たない。かくて、「正式な作法」に、のっとった「仇討ち」を「演出」する。
 討たれるのは、もちろん錦之助、「討つ」のは、兄ふたりを錦之助に殺された、三男・石立鉄男。後年のずうずうしい石立とは別人のように、錦之助は兄と慕う友達だし、陰惨な仇討ちにもメソメソと泣く、弱い、年少の男の子を好演。
 錦之助は、兄・河原崎長一郎の、家としての体面と、面目を保つため、石立鉄男に、討たれようとする。先祖伝来の名刀を、石でワル研ぎして、歯をぼろぼろにして、仇討ちで、殺されようとする。
 しかし、石立少年には、山本麟一ら、六人の助っ人(この一人に蜷川幸雄がいるらしいが、例によって役者としては、地味なヤツなので、判別できず)。卑怯なり、相手が石立鉄男少年のみなら、おとなしく討たれてやったものを。かくて、助っ人や石立、そして、藩重役に対する大立ち回り。体制派官僚の、ことを丸く納めて、穏便に治めよう、と言う思惑が、主人公を狂わせていく。
 「ことを丸く治めようとする」日本的政治配慮が、すべて裏目に廻り、陰惨な惨事へとなっていく。まるで、今の尖閣、竹島問題を見ているようではないか。
 ぼくは、若い頃の錦之助の、ナチュラルな魅力が好きだ。さわやかで、つつましくて、低温で、クールで、まるで、若い、子猫のような。
 年をとり、クサい芝居の、(名前改め)ヨロキンは、もうダメ。萬屋錦之助、変化ありすぎやで。
 本作では、後年の、クサくて、あざとい演技のヘンリンが、かな~り出ている。どす黒い顔のメイクからして、もう、錦之助ではない、ヨロキンの兆候。
 しかし今井正の、反体制映画の数々を見て、いつも思うのは、同じ共産党作家、山本薩夫が撮っていれば、いかに、映画的豊穣さに満ちた快作が、生まれていたか、ということ。
 明朗快活な青春讃歌「青い山脈」系をのぞいて、すべてを山本薩夫が、撮っていれば。どれほど豊饒な左翼娯楽映画になっていたか、と。
 やはり、正しいだけじゃ、ダメなのよ、

★新・今、そこにある映画★日本映画・外国映画の、新作感想兄弟ブログ。
★映画流れ者★当ブログへの感想・質問・指導・いちゃ問はこちらへ

★人気ブログランキング・日本映画★
↑↓クリックしていただければ、ランクが上がります(笑)。
にほんブログ村 映画ブログ 名作・なつかし映画へ
★にほんブログ村・名作なつかし映画★
[PR]

by mukashinoeiga | 2012-08-29 00:06 | 今井正 青い左傾山脈 | Trackback | Comments(0)

今井正「婉という女」

 京橋にて。「生誕百年 映画監督 今井正」特集。71年、ほるぷ映画。
e0178641_22221764.jpg 岩下志麻が、凛とした女を演じる。江戸時代の土佐藩。
 前の家老が非情に有能かつ、謹厳な藩政を行った。灌漑事業などが成功し、藩財政は豊かになったが、反対派や、その有能ゆえの妬みも多かった。
 その家老の死後、遺族は、その反対派たちによって、人里離れた山中の、一つ屋に、一家全員が軟禁、幽閉されて、40年。家老未亡人、家老の妾、このふたりと家老の間に生まれた男女の子供たちは、八人か。
 ここら辺がほとんど説明紹介もなく、ドラマが展開して、ちょっと人物関係がつかみにくい。若い男女にかんしては、家老の遺児だとわかるのだが、年配の女性は、本妻なんだか、妾なんだか、下女なんだか、早い展開についていけず、だれだかよくわからないまま、ドラマに目を凝らすしかない。
 また、子供たちも、本妻の子なんだか、妾の子なんだか、ほぼ同等の描写なので、区別がつかず。これに輪をかけて、母娘もお互い相手を「~様」と敬語で呼び合い、姉妹も同様。言葉使いでの区別も出来ない。
 不親切なんだろうが、市川崑の横溝ミステリなら、だれが誰だか紹介する必要はあろうが、まあ、人間ドラマとしては、仕方ないことか。今井正演出は、人物整理が下手、ないしは、関心がない。

e0178641_22231750.jpg というのも、ドラマの中心は、だんだん、三女・岩下志麻に、絞られていくからだ。
 不当にも、40年間幽閉された一家のドラマなのではない。まだ幼児のときに家族とともに囚われ、四十女として、初めて、世に出て行く女のドラマに、収束していく。

 40年間の幽閉。考えるまでもなく、これはアウンサン・スーチーの場合より、ひどい。というのも、申し訳ない話だが。しかし、若い男女は、家から一歩も出られず、青年期になると、性欲の旺盛な時期になるも、対象は、目の前の、兄と妹、あるいは生みの母しか、いないことになる。
 長女は、婚家から、引き連れだされ、夫や乳飲み子と生き別れのまま、幽閉され、数年で自害。ある兄(河原崎長一郎)は、次女・楠侑子や、妾だった母・佐々木すみ江にまで、手を出す。他人がいない、出合えないのだから、仕方がないといえば仕方がない。しかし、まさか、犯されて、身悶える佐々木すみ江を見るとは、思わなかった(笑)。
 妹・志麻に迫られて、それでも、堅く操を守る兄に、緒方拳(笑)って。のちの鬼畜系俳優・緒方なら、真っ先に美形の妹に喰らいつくだろうに。ま、あだしごとはさておき。

 岩下志麻は、たいへん、美しい。上から目線で、もと家老の娘として、はした侍を一喝する、凛とした役には最適。
 ただ、緒方拳や、まだ若さでギンギンの北大路欣也などを想って、妄想夢にふけるシーン。身もだえ、あえぎ顔になるのだが、木で鼻をくくったような、義務感?丸出しのあえぎ顔とでも言いますか。エロいシーンに挑戦しても、で岩下はそういうシーンによく挑戦しがちなのだが、いつもコントみたいなあえぎ顔なんだよねー。あえぎ顔、下手すぎや。

 余談。今回ぼくの見た席から、同列で数席はなれたところに、サラリーマン風の男。上映開始ぎりぎりに、その男の隣に、ばあちゃんが駆け込み着席。するととたんに、ばあちゃん、男を罵倒し始める。
「あんた、あんたのとなりだったのね」「やめてよ、あんたのせいで、映画の気が散るんだから」「やめてね。ホントに」と、しつこく罵倒する。男は反論せず、静かに、耐えるのみ。
 特にうるさいようには、見えないが?
 結局、さんざん男を罵倒したあげく、ばあちゃんは、一つ後ろの列に移動。後ろの列の隣客には、ぎりぎりの移動をわびている。
 で、上映が始まったら、男はちいさなメモ帳を取り出し、筆記にかかる。ああ、ばあちゃんの言ってたのは、これかあ! 上映中のメモがき、ペンの音、ページをめくる音、ノートの白い光沢、となりでこれをやられたら、そりゃあー、映画には集中できないわナー。
 フイルムセンターでは飲食禁止。上映前にペットボトルを飲んでいたら、警備員に注意された。前に、やはり今井正の映画を見る前に、ペットボトルを飲んでいたら、いかにも左翼臭の強そうな(笑)観客から注意された。
 上映前の水分補給に、何の問題があるのか、ぼくにはよく理解できない。
 であるならば、上映中のメモ行為は、もっと、いかんだろう。数は少ないけど、タマにいる。目障り、耳障りだ。
 なに? フィルムセンターには、研究者も来る? 研究者なら、頭に叩き込め。ま、いまどきの映画研究者は、DVDで見て、映画館には、来ないらしいが。
 男は、メモがきは最初だけで、後は放棄の模様。そりゃ、そうだろう。暗闇で、映画の展開を目や耳で追いつつメモなんて、プロの速記者じゃなきゃ無理。今まで見たメモ書き野郎も、大体、途中放棄が多かった。
 「ふつうの字」しか書けない野郎には、はなから無理。そもそも普通に見ているだけでも、前述のように、情報量が多くて、追いつけないのを、それを速記文字でなくメモする、しかも暗闇でなんて、完全に無理、シロウトには。

 さらに余談。結局メモ書き男は、途中放棄いたって、静か。その男を罵倒して、席替えババアは、映画の後半は、手に持っていたビニール買い物袋をがさがさ、ごそごそ、てめえのほうが、五月蝿いだろ(笑)。コントや。
 おまけに、きれいなプリントなのだが、フィルムセンターの上映ピントが、最初と最後に、甘い。その甘さに、フィルムセンター映写技師は、気付かず。いや、ピント自体は合っているのだが、フィルムに潤滑油を過剰塗布なのか、あるいはレンズに曇りか。
 こういうときは、受付スタッフにいちばん近い席の客が注意しに行くしかないのだが(フィルムセンターの場合は最後列)誰も行かない。みんな、ボケてるなあ、と思って、黙って、見ている。
◎追記◎2015年にも、レンズ焼けと思われるピンボケ映写が多発した。フィルムセンターは、レンズ劣化にまったく無痛覚なのだろうか。

★新・今、そこにある映画★日本映画・外国映画の、新作感想兄弟ブログ。
★映画流れ者★当ブログへの感想・質問・指導・いちゃ問はこちらへ

★人気ブログランキング・日本映画★
↑↓クリックしていただければ、ランクが上がります(笑)。
にほんブログ村 映画ブログ 名作・なつかし映画へ
★にほんブログ村・名作なつかし映画★
[PR]

by mukashinoeiga | 2012-08-26 10:49 | 今井正 青い左傾山脈 | Trackback | Comments(0)

今井正/原功「太陽を射るもの」

 京橋にて。「生誕百年 映画監督 今井正」特集、参考上映。61年、現代ぷろだくしょん。
 最初は退屈だった。ほぼ無名な俳優たちの、地味な、ドキュメント調の映画(ドキュメント調なのは、漁のシーンのみ。ドラマ部分は、ふつうの感じ)。しかし、おそらく全登場俳優でいちばん顔が知られている、多々良純がチョイ役で出てきたあたりから、俄然面白くなる。結果快作。素晴らしい。あと1回の上映。16ミリ。

 本作の監督は原功。今井正は監修。単なる名前貸しなのか、それともある程度のサポートを、若い監督に与えたのか。同じ海洋&青春ものの、快作今井正「あれが港の灯だ」に通じる、パワー演出。
 伊東の漁港・温泉歓楽街、焼津の遠洋漁業基地の港が舞台。そして、海洋でのリアルな描写が、素晴らしい。じっちゃん操縦士が、オープンカーみたいに、操縦室の天窓から、半身からだを出して、足でからから操縦ハンドルを回すショットなんて、いいなあ。いかにも職人、いかにもプロフェッショナル。このじいちゃんも、主人公の老父役も、高杉祐三子の父親実業家役の、無名俳優たちも素晴らしい。なんという豊穣な無名俳優たち。
 主人公塚本信夫、その弟・平田大三郎もグッド。のちに日活で、地味な活躍の平田と、多々良純くらいしか、知っている俳優がいないというのも、すさまじい?が、みんな、いいんだよね。
 そして、若きヒロインたち、柏木優子、高杉祐三子も、チャーミング。特に素晴らしい柏木優子は、検索してみたら、つい最近見た板谷紀之「女子大学生 私は勝負する」で「露口の妹役も、きわめて現代的な愛らしさ。だれだ。」と、書いた女優さんらしい。両作とも、グッド。
 あらゆる意味で、今後再映される可能性は少ない。万難を排しても(笑)、見るべきだ。あるいは、フィルムセンター、恒例のアンコール上映すべきか。しかし、フィルムセンターのアンコール特集は、無名作には、厳しいからナー。特に、本作は、単なる参考上映だし。

★新・今、そこにある映画★日本映画・外国映画の、新作感想兄弟ブログ。
★映画流れ者★当ブログへの感想・質問・指導・いちゃ問はこちらへ

★人気ブログランキング・日本映画★
↑↓クリックしていただければ、ランクが上がります(笑)。
にほんブログ村 映画ブログ 名作・なつかし映画へ
★にほんブログ村・名作なつかし映画★
[PR]

by mukashinoeiga | 2012-08-20 22:50 | 今井正 青い左傾山脈 | Trackback | Comments(0)

今井正「望樓の決死隊」

 京橋にて。「生誕百年 映画監督 今井正」特集。43年、東宝。
 最初に、戦時中の映画らしく「撃ちてし止まむ」と、戦時標語が出る。
 当時の、満州との国境を警備する、朝鮮国境警備隊の活躍を描く。高田稔(絶品)を隊長とする、日本人警察官たち、それに数人の朝鮮人警官も入り、国境を守る。とはいっても、当時の朝鮮人は、「日本人同様の扱い」という「立場」だった。
 国境を侵犯して、押し寄せてくるのは、映画では「野盗・馬賊の類い」、しかしして、その「歴史的実態」は、中国・朝鮮混合のパルチザンの類いなのかもしれない、というのが左翼諸君の「見解」なのだろう。しかし、パルチザンといえども、食料、必需品、時には女も「現地調達」するわけだから、野盗・馬賊の類いとの、差別化は、難しかろう。
 クライマックスは、わらわらと押し寄せる騎馬軍団を迎え撃つ、砦の警察官たち。そう、まるで、西部劇のインディアン軍団VS白人軍団の、戦いを、大いに参照して、描かれた今井正版西部劇だ。
 こういう娯楽映画を作らせると、東宝も、今井正も、うまい。今井正は、何より、きわめてまっとうな、娯楽映画の名人なのだ。一般的には、男騒ぎの映画のヒト、と思われている黒沢明が、戦時中は、銃後の女の子集団のなんチャラかんチャラでお茶を濁していた(「いちばん美しく」)実は、きわめて「女の子」体質であることは、当ブログ「黒沢明映画の正体」を、お読みあれ。もし、黒沢が、こういう西部劇を撮っていたら、というかなわぬ夢を、想起させる出来なのだ。

 閑話休題。しかし、敵馬賊の圧倒的人数は、砦を守る警察官の比ではない。高田稔は、妻・原節子に、いざというときのために、銃を渡す。「覚悟は、できております」と原節子。本隊に出張中の若い警察官の妻は、乳飲み子を負ぶいながら、出張前の夫から、銃を渡されていることを、原節に伝える。殉職した朝鮮人警官の、若い妹は、朝鮮人青年に「いざとなったら、先に私を撃ってくださいね」と、言う。彼女は亡兄や青年の援助で、医大を卒業、将来は医者を志す身だが、今は砦で負傷した警官・国境の村の朝鮮人たちの、傷の手当てを、原節とともに、している。
 原節も、凛とした若妻役で、光る。不幸にも、戦時中にヒロイン女優としての、若さの頂点を迎えた女優のなかで、原節子のみが、輝いていたのではなかろうか。
 ラストは、本隊出張中の若き警官が援軍をひき連れて、ラスト・ミニッツ・レスキュー。お約束。ただし、騎兵隊ならぬ、トラックの荷台に警官を満載して。
 戦い終わって、殉職した(というより、もはや、戦死だろう)5・6名の警官たちの葬儀。白布の台の上に並べられた、白木の箱。そのうしろに遺影写真があるのは、数名。ないのも数名。こちらは、朝鮮人警官なのかもしれない。その、一瞬の、リアル。
 とにかく、国境「警備」といいながら、警察の職務の範囲を超えている、軍人の仕事だろう。手榴弾や、ライフルの仕事なんだから。高田稔という、ナンパな?お父さんの役しか、見てないような気がする人だが、その険しい顔の表情も素晴らしい、凛とした男。原節も、いい。
 
★新・今、そこにある映画★日本映画・外国映画の、新作感想兄弟ブログ。
★映画流れ者★当ブログへの感想・質問・指導・いちゃ問はこちらへ

★人気ブログランキング・日本映画★
↑↓クリックしていただければ、ランクが上がります(笑)。
にほんブログ村 映画ブログ 名作・なつかし映画へ
★にほんブログ村・名作なつかし映画★
[PR]

by mukashinoeiga | 2012-07-22 05:36 | 今井正 青い左傾山脈 | Trackback | Comments(0)

今井正「民衆の敵」

 京橋にて。「生誕百年 映画監督 今井正」特集。46年、東宝。
 イマセイ、戦後第一作とのことだが。凡作。
 戦時中、軍人や「戦争を食い物にしている」軍需産業経営者を対象にした、高級秘密クラブ。都内の空襲もあるというご時世にもかかわらず、高級食材、高級洋酒、高級ホステスで、酒食やら酒色なぞを、高級洋館にて提供している。そんなの、あったのか。うーむ。
 その、雇われマダム(主役には、ちょっと地味な花柳小菊)、いわば悪の組織の側にいるのだが、誠実な男(藤田進)に、感化されて、「正しい側」に、目覚めるという。しかも、花柳は、母ひとり子ひとりで育ち、母とともに自分を捨てた男(志村喬)が、この高級クラブの実質的権力者の財閥の長である、という。
 「占領軍の民間情報教育局から撮るように会社が命じられていた民主主義映画の一本」とのこと。そういう教条主義(藤田進は、身分の低い徴用工から、戦後軍閥が逃走して、軍需工場は壊滅、組合を立ち上げ、工員一体となった農業肥料工場に生まれ変わり、その会社代表みたいな立場に、みんなから、推される)の、組合賛歌みたいなヒーロー物語に、花柳のメロドラマが、からむ。

 前に感想を書いた今井正「由起子」もそうだが、たぶん、イマセイ、「メロドラマ」が苦手。メロメロ、メソメソしたドラマは、体質に合わないに違いない。
「青い山脈」みたいな「明朗ドラマ」こそ、イマセイで。だから、純朴朴訥藤田部分は、ともかく、メロメロ花柳部分は、どうも、ノれない。
 たぶん、本作は、イマセイより、山本薩夫が撮ったら、もっと面白かったに違いない。同じ左翼作家でも、山本薩夫なら、メロメロはおろか、ドロドロ、ぐちゃぐちゃも、大得意なんだからね。ドロドロを描いてすら、爽快な映画を作る人だから。
 しかし「民主主義映画」、命じられて、撮るべきものか(笑)。まあ、GHQも、左翼お花畑の組だからねー。
 第一回毎日映画コンクール監督賞、キネ旬6位、って、いかに当時映画の絶対数が少なく、まあ、それなりにしっかりした作りとはいえ。毎度おなじみの、左翼の下駄をはかせたか。
 なお、東京大空襲シーン(GHQに遠慮した、遠望のみ)の、円谷英二特撮は、やはりグッド。今ほどクリアではない映像の、白黒での特撮は、リアルに見えて、いい。

★新・今、そこにある映画★日本映画・外国映画の、新作感想兄弟ブログ。
★映画流れ者★当ブログへの感想・質問・指導・いちゃ問はこちらへ

★人気ブログランキング・日本映画★
↑↓クリックしていただければ、ランクが上がります(笑)。
にほんブログ村 映画ブログ 名作・なつかし映画へ
★にほんブログ村・名作なつかし映画★
[PR]

by mukashinoeiga | 2012-07-22 05:33 | 今井正 青い左傾山脈 | Trackback | Comments(0)

今井正「あれが港の灯だ」

 京橋にて。「生誕百年 映画監督 今井正」特集。61年、東映東京。あと1回の上映。
 いかにも今井映画らしい<政治と青春>快作。原作・脚本は水木洋子。
 タイトルが、超有名映画のパクリというところから、わかる通り?、テーマ?は、かの<捏造ひとすじ半万年>の国だ。韓国のでっち上げ数あるうちの、もっとも悪質なもののひとつ、かの初代大統領時代、勝手にでっち上げた、いわゆる李承晩ライン
 海に勝手に線を引き、このラインを越えて、韓国側で漁をしているものを密猟者扱いし、日本人漁民船に、勝手に銃撃、勝手に船没収、勝手に漁民を拉致して、数年に及ぶ裁判沙汰。その過程で拷問虐待、数年後日本に返されても、半病人の有様。もちろん、丸腰の舟を銃撃されて、死者多数。 
 さらに、韓国は自分ででっち上げた<ゲームの規則>(それ自体が国際法違反、人道に対する罪なのに)を、守ることすらできない。ラインの日本側にも勝手に<越境>して、日本船を銃撃、殺傷、拿捕。拉致。元々でっち上げのラインだから、それを守るべき正当性すらないといわんばかりに。
 この公海上の、いわば国立海賊船、彼らがバンバン銃撃してくるのに、日本側カウンター・パートナーの海上保安庁は、銃撃なし。韓国側の銃撃に、その側面を見せつつ、韓国国立海賊船の前を横切って、身を挺して、日本船を守るしかないのだ。
 韓国側ははっきり、戦争を仕掛けているのも同然。戦う事を禁じられた戦後日本が、手も足も出せないことを承知の上で。なんという卑劣か。

 という状況(政治・戦争)で、僚船・第二日乃丸、その乗組員を韓国に取られ、死者も出しながら、また再編して、出漁する第一日乃丸(船名が、ナイス)。船長が山村總というのが、にんまり。
 山村は趣味の釣りが高じて、釣りドキュメント映画(フィルムは行方不明らしいが、ぜひ見たいもの)まで監督・製作してしまった。「本職」の漁民を演じる、興奮?も推測される好演。
 その船に乗り込む若い衆(青春)に江原真二郎。彼は実は、在日で、日本人に擬態している。擬態しつつ、日本人・外国人のボクシング戦TV中継では、ごく自然に日本人ボクサーを応援。対韓国国立海賊船との戦いでは、素晴らしい働きをする。
 でも、女相手の(だから、私的な、非公式な)会話では、ひそかに韓国側を擁護。優秀な日本船・日本人漁民に、ボロ舟・粗末な漁猟技術の韓国は、そのままでは、太刀打ちできない。だから、李承晩ラインなるものを捏造してまで、日本船を殺傷、略奪拿捕、拉致するのだ、と。盗人にも、一分の利か。そういいつつ、それでも高みの側の日本に擬態している矛盾。
 その矛盾も含めての、政治と青春像を、今井正は、ぐいぐい描いていく。

 友達に誘われるがまま、夜の街に繰り出した江原は、成り行きで女を買う。その女・岸田今日子は、最初から「あなた、北、南、とっち?」と直球勝負。「日本人たませても、同胞なら、すぐわかるよ」
 この岸田今日子が、また不思議な女優で、本作でもどの映画でも、日常会話・しぐさは、きわめて独特なセクシーさ。ところがことを及ぶシーンとか、ベッドシーンになると、とたんにフェロモンがウサン霧消。日本一のやらずぼったくり女優だ。

 彼らが目撃する、北朝鮮帰国事業で、帰国する一家の、送別行進。これも<北は地上の楽園>と、でっち上げ捏造で、同胞と世界を欺いたもの。北も南も、どっちもどっちの、さすが<捏造ひとすじ半万年>だ。

 新人とクレジットされる、幼馴染・高津住男、船友・岡本四郎、江原を慕う果物屋の娘・安田千永子が、実に好演。高津以外は、その後、見かけないが、安定した今井演出の好演技。
 江原が在日と知れたあとも、日本人船友たちは、難なく受け入れる。ここら辺も、何だかなあの、日本的あいまいさ。
 もちろん、当然(笑)、朴訥すぎる差別主義者・山本麟一、つるっぱげの小笠原章二郎あたりは、けちをつけるのだが。
◎追記◎今年刊行された「今井正映画読本」本作紹介の項に、「当時の日本には韓国を思いやる感覚はなかった」。なに、この現在の視点から、過去を断罪するような上から目線は。
もちろんこの言葉は、当時日本の漁業技術が優秀すぎて、韓国漁民は、力負けしていた、という文に続くものだが、だからといって、韓国国立海賊船の、殺傷テロをしていい、といういいわけには、ならんだろう。当時、韓国は貧しかった、かもしれんが、日本人も、日本の漁民も貧しかったのだ。
 そんなに思いやりが大事なら、韓国の日本人漁民への、銃撃、殺傷、虎の子の漁船没収拿捕、拉致拷問の、どこに思いやりが、あるのか。
 日本の優秀な漁猟技術は、悪い弱肉強食で、丸腰の日本人漁民への、銃撃、殺傷、虎の子の漁船没収拿捕、拉致拷問は、いい弱肉強食なのか。左翼人権派の典型的ダブル・スタンダードでは、ないか。
 韓国への思いやりがない!という理由で、殺傷テロの被害者を貶め、殺傷テロの加害者を擁護する。今に至る、左翼脳内お花畑のいつもの手口だ。
◎再追記◎当時の日本には韓国を思いやる感覚はなかった」と、わざわざ、当時は、と限定しているということは、「現在の日本には韓国を思いやる感覚はある」ということか(笑)。韓国・北朝鮮に、日本人が犠牲を払ってでも、さまざまなサーヴィスをしている、という「感覚」はあるのね、左翼には。もう、笑うしかないよね。
 今井正自身は、右・左に対して、可能な限り公正であろうとした「感覚」があるかに思うが、今井ファンの左翼諸君の中には、どうしようもないのが、いるんだなあ。

◎追記◎2013/02/02に公開 予告篇:「あれが港の灯だ」キネ旬ベストテン(1961年)7位監督:今井正

 なぜ、中国・台湾人、その他は、出自を隠さずにいたのに、朝鮮人のみが出自を隠したのか。そこらへんが「不思議」でならない。


★新・今、そこにある映画★日本映画・外国映画の、新作感想兄弟ブログ。
★映画流れ者★当ブログへの感想・質問・指導・いちゃ問はこちらへ

★人気ブログランキング・日本映画★
↑↓クリックしていただければ、ランクが上がります(笑)。
にほんブログ村 映画ブログ 名作・なつかし映画へ
★にほんブログ村・名作なつかし映画★
[PR]

by mukashinoeiga | 2012-07-05 02:49 | 今井正 青い左傾山脈 | Trackback | Comments(0)

今井正「由起子」

 京橋にて。「生誕百年 映画監督 今井正」特集。55年、中央映画。あと2回の上映。
 フィルムセンターのチラシによれば、中央映画作品となっているが、クレジットのいちばん最初に企画(プロデューサーという意味か)で、2名連記。右のプロデューサーには(聖林映画)、左のプロデューサーには(中央映画)と、それぞれクレジット。ちなみに、カンパニー・ロゴは、出ていない。
 正確には、聖林映画/中央映画ということになるはずなのだが、明らかにバッタモノのプロダクション聖林映画は、フィルムセンターによって、無視された形か。
 なお、クレジットといえば、出演者のその他大勢組の中に、大塚道子、吉行和子の名があり。大塚道子(なぜかあまり映画に出演していない大塚道子の代表作は鈴木英夫「その場所に女ありて」幹事長という役名のヴェテラン・タイピスト。なお、幹事長というあだ名は、今ならお局様か)は、ヒロイン津島恵子の伯母・村瀬幸子のふたりの娘、その姉が大塚道子。女学生で若い娘というには、いかにも不遜な面構えな、大塚道子(笑)。
 台詞の少ない、顔が思春期太りの、その妹が、吉行和子か。たぶん、かなりの確率でそうだとは思うが、確信までには至らず。99.9パーセント(笑)。同じ回を見ていたぴくちゃあ氏によれば、気付かなかったけれど、もしそうなら、正式デヴュー前の出演か、とのこと。

 そういうトリヴィアは、ともかく、映画自体は、やや、今井正が不得意なメロドラマ。
 メロドラマとは、不条理なまでの、情念の、反理性的カオス。そんなの、左巻きの共産党・今井正の受け入れざるところだろう。
 平均的左巻きの、辞書に、情という言葉は、まず、ないんだからねー。情なんていう<ローカル・ルール>は、左巻きにとっては、アウト・オブ・眼中な、封建主義の遺物に過ぎないわけで。
 津島恵子が、思いつめた表情で、十和田湖・奥入瀬の渓流に、足を入れ、ずんずん(ずぶずぶ)歩んでいく。居合わせた画家・宇野重吉に助けられるのだが、この彼女が冬服のセーラー服。てっきり回想シーンのみかと思ったら、実際は映画の7割ほどは、セーラー服で通す。ま、無理やり、あっておる。
 原田真人「わが母の記」(兄弟ブログ「新・今そこにある映画」で感想駄文)でも、既婚バツイチの宮崎あおいが、女子中学生役を、無理やりやっていて、有無を言わせなかったが(笑)本作の津島恵子も、無理やりオーケー(笑)。
 この津島恵子が、相手に、つよくつよく出られてしまうと、みずからの身を自然に引いてしまうタイプ。
 木村功の父・加藤嘉しかり、ウノジュウしかり。こんな程度の、気の弱さが、不幸なシチュを招く程度では、メロドラマとしても、力が弱い。微弱メロ。
 メロドラマって、所詮こんなもんだろ、と、メロドラマを半ばバカにしながら、アタマで作った、そんな感じ。はいはい、オンナが不幸になるには、親の無理解、社会の不条理、貧困、格差、差別、ま、そんなとこだろ、ようは社会を改革せねば、弱い女の不幸は、なくならないんだな、なんて左巻きな発想が透けて見える?、とは、言い過ぎか。
 津島恵子が想いを寄せる木村功。男のずるさと、好ましさの、融合という、いつもながらの木村功がグッド。でも、木村と津島、この気弱い同士が結ばれても、また、それはそれで不幸なのかなー、と。

 独立プロダクションにしては、妙に気を入れた、浅草繁華街オープンセットが見所。津島の元同級生の、浅草レヴューガール(木村の元カノ)関千恵子が、いいんだけど、出番少なすぎ。残念。

★新・今、そこにある映画★日本映画・外国映画の、新作感想兄弟ブログ。
★映画流れ者★当ブログへの感想・質問・指導・いちゃ問はこちらへ

★人気ブログランキング・日本映画★
↑↓クリックしていただければ、ランクが上がります(笑)。
にほんブログ村 映画ブログ 名作・なつかし映画へ
★にほんブログ村・名作なつかし映画★
[PR]

by mukashinoeiga | 2012-05-19 20:32 | 今井正 青い左傾山脈 | Trackback | Comments(0)

今井正「怒りの海」

 京橋にて。「生誕百年 映画監督 今井正」特集。44年、東宝。あと2回の上映。
 戦後は共産党映画監督として名高い、今井正の、戦時中の国策映画。
 ワシントン軍縮会議などで、大正・昭和の二度にわたって、海軍の軍艦の軍縮を強制される。日本は英米の6割。具体的には、建造中の軍艦は、建造中止。既製艦は、出来たばかりの新艦も含めて、自軍による爆撃・魚雷で、海底に沈める(特撮は、もちろん円谷英二か。グッド。クレジットを見落とした)。
 その、自分たちの作った新艦を沈めなければならない、海軍軍人たちの切なさが、泣かせる。見ているこちらも、泪目。泣かせどころをきちんと作る、今井演出の、たしかさ。
 そういう状況にもかかわらず、海軍の軍艦を設計するセクションでは、5000トン級の艦が規制されるなら、3000トン級の艦に、5000トン級の能力を持たせればいいのだ、と戦後にも続く、日本の技術者の発想なのが、これも泣かせる。
 とにかく小さく作って、安定感と戦闘能力は保持・ないし増強する。その代わり、艦員の居住快適性は、無視される方向に。ありがちなことだろう。

 その設計局の長・平賀譲中将を、大河内伝次郎が主演。その半生の設計屋生活を、はまり役な好演。素晴らしい。仕事上は一徹な技術屋、家庭では滋味ある頑固オヤジ。娘に原節子、母に村田知英子。
 時代劇でのクセのあるエロキューションを押さえて、バンツマもそうだが、時代劇プロパーのスタアが、たまにやる現代劇の演技、いいんだよなあ。
 まあ、技術屋の話だから、地味なことは地味なのだが、その範囲内でエンターティンメントへの目配りもあり、見せる。 
 しかし戦後左翼作家であり、ファンに左翼諸君も多い(今井正を語り継ぐ会の、ぼくが知っている関係者は、共産党員さん、いい人なんですけどね)、今井正としては、封印したい戦中映画か。
 まるで、自国軍艦を次々海に沈めるかのように(笑)封印された過去作というわけでもあるまいが。しかし、封印されるには惜しい良作で。
 ちなみに與那覇潤によれば、戦時軍国主義の統制経済、国家総動員体制は、社会主義そのものということだから、共産党諸君も、戦時時局映画にも、もっと暖かい仲間意識(!?)を、持ってもらいたいところだ(笑)。この特集でも、語り継ぐ会の皆さんたちや、今井ファンが、戦前映画を、オフリミットしないことを望む(ペコリ)。映画として、面白いのだから。

★新・今、そこにある映画★日本映画・外国映画の、新作感想兄弟ブログ。
★映画流れ者★当ブログへの感想・質問・指導・いちゃ問はこちらへ

★人気ブログランキング・日本映画★
↑↓クリックしていただければ、ランクが上がります(笑)。
にほんブログ村 映画ブログ 名作・なつかし映画へ
★にほんブログ村・名作なつかし映画★
[PR]

by mukashinoeiga | 2012-05-14 23:07 | 今井正 青い左傾山脈 | Trackback | Comments(0)