カテゴリ:マキノ残侠伝 雅弘仁義( 18 )

マキノ雅弘「日本客侠伝 花と龍」

 京橋にて。「生誕100年 木下忠司の映画音楽」特集。69年、東映京都。
 何度目かの再見。
 何度見ても、藤純子の絶美よ。
 女ツボ振り師にして、入れ墨師。自分の肩に入れ墨を自分で彫った、という超むちゃぶり設定が、おそらく二十代前半の藤にあてがわれ、それをまた信じさせてしまうという、マキノも無茶なら、藤純子も無茶(笑)。
 二十代前半にして、この凄惨なまでの(同時に、母性的なまでの)色気というのは、なんということだろうか。
 
49 日本侠客伝 花と龍(112分・35mm・カラー)(フィルムセンターHPより)
2016年5月13日3:00 PM@大ホール 2016年5月31日7:00 PM@大ホール
1969(東映京都)(音)木下忠司(監)マキノ雅弘(原)火野葦平(脚)棚田吾郎(撮)飯村雅彦(美)藤田博(出)髙倉健、星由里子、二谷英明、藤純子、若山富三郎、津川雅彦、山本麟一、水島道太郎、小松方正、髙橋とよ
シリーズ9作目。火野葦平の自伝的小説「花と龍」を原作とし、明治末期の北九州を舞台に、沖仲士の玉井金五郎(高倉)が鉄火肌のマン(星)と所帯を持って組も構え、敵対する組を倒すまでを描く。音楽は、金五郎の小気味よい活躍とともに、任侠映画の情をしっとりと謳いあげている。

 まさしく、男は健さん、女は藤純子。そう、断定せざるを得ない。
 というところで、この女侠客は、藤純子にジャストフィット、藤純子以外のキャスティングは、考えられない、と藤純子なのだが、では、健さんの恋女房は、だれがやる? ということで。
 本来なら健さんの相方は、絶対の藤純子なのだが、あいにく藤は、別の、この、女侠客だ。使えない。
 当時の東映としては、佐久間良子、三田佳子、大原麗子。うーん。この中では、勝気な恋女房役は大原麗子で見てみたかった気もするが、ちょっと線が細すぎか。肉体労働は一日で脱落する感じか(笑)。
 ということで、健さんの恋女房役には、東宝のお嬢さん女優・星由里子を起用。意外なキャスティングだが、少なくとも肉体労働は大原麗子より、耐えられそうだ(笑)。なんとか、合格点。
 でも、こんなにかわいいホシユリなら、悪親分・天津敏あたりに、付け狙われそうなもんだが。

 男は健さん、役名が玉井金五郎。ニックネームは、もちろんタマキンだ(笑)。
 ホシユリの役名は、マン。なんだか、絵にかいたような根源的な名前だが。
 本作は、もちろん火野葦平原作(未読)による、実父母の物語だが、親の名前が、タマキン&マンでは、悪ガキにはやし立てられるのではないか。それとも北九州では、あれは、ボボといったのか。よく、わかりません。

 のちに、タマキン健さんは、若松にいられなくなって、対岸の戸畑に、行くのだが、これが一生の別れのような雰囲気で語られるが、のちに健さんは一人で、一時間舟をこいで、若松に行く距離で、この一生の別れ設定は、おかしくはないか。
 もっとも当時は、ほぼ無休の労働者だから、時代的には、そうだったのか。ここら辺は、若干、無理押しの設定で。

 火野葦平原作(未読)による、若松ゴンゾ・サーガの一篇で、何度も映画化されているが、今回の女親分・島村ギンは、高橋とよ。
 たぶん原作がそうだったのだろうが、ホシユリの義姉・三島ゆり子と、裏切り者・小松方正(歪み顔がグッド)が、ともに足が悪い。モデルがそうだったのだろう、特に物語上の意味はないようだが、当時の過酷な労働状況をあらわしているのか。

 なお、本作で唯一気に入らない点は、最後に健さんが、ホシユリに、「この三年間の結婚生活で、お前は一度も笑わなかったが、今夜だけは、笑って見送ってくれ」というのだが、笑顔美人のホシユリに、なんという。
 木下忠司の音楽は、エモーショナルで、マキノに、よく合う。

 本作にジャストフィットするモノは、見つけられなかったが。
侠客列伝「予告篇」

東映「緋牡丹博徒」花と龍/高倉健

これを自彫りするって(笑)。

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by mukashinoeiga | 2016-05-26 11:56 | マキノ残侠伝 雅弘仁義 | Trackback | Comments(0)

マキノ雅弘「日本侠客伝 雷門の決斗」

 京橋にて。「特集・逝ける映画人を偲んで 2013-2014」特集。66年、東映東京。高倉健、野上龍雄、井上昭文の追悼による上映。再見。
 うーん、「日本侠客伝」シリーズとしても、マキノ・健・純子トリオのものとしても、いまいちコクもキレもない。
 それなりに楽しめるものの、スーパー「日本侠客伝」でもないし、スーパーマキノでも、スーパー健さんでも純子でもない。
 見ている間中思ったのは、健さんも純子も出番が少ない。何か掛け持ち出演していて、そのついでに作らされた感じ。
 当然水増ししなければならないので、助演陣の出番が、健さん、純子と変わることなく増量され、もはや集団劇の趣き。
 健、純子が、埋没している。本来なら、ありえない。
 とはいえ、表情美人の純子は、相変わらず輝いている。

e0178641_2121166.png日本侠客伝 雷門の決斗(99分, 35mm, カラー) 1966 (東映京都)<フィルムセンターHPより>
(脚)野上龍雄 (出)髙倉健(平松信太郎)、井上昭文(栄作) (監)マキノ雅弘 (脚)笠原和夫 (撮)山岸長樹 (美)川島泰三 (音)斎藤一郎 (出)島田正吾、村田英雄、藤山寛美、藤純子、長門裕之、水島道太郎、待田京介、ロミ・山田、宮城千賀子、内田朝雄
シリーズ5作目。浅草六区の興行権をめぐる抗争を描く。堅気の興行会社をおこしたものの敵対する勢力の卑劣な手段に屈して自殺した先代(内田)を継いだ二代目・信太郎(高倉)もまた執拗な嫌がらせにあい…。耐える男「健さん」の典型的作品の一つ。野上龍雄にとっては、シリーズ3作目の担当作品。

 もちろん、普通には楽しめる。
 あるいは、浅草六区の芸能界が舞台というのが、生ぬるさの原因で、マキノ的侠客伝ワールドと、水と油だったか。
 斬った張ったは、野暮な世界だからか。

 人気芸人役ロミ山田が、現代の某女芸人を美人にした顔つきで、ちょっと抵抗感(笑)。
 井上昭文って、ヤクザ役以外見たことないな(笑)。
 相変わらず敵側代貸しの、天津敏の面がまえの分厚さに、うれしくなる。
 島田正吾の、濃い、クサイ芝居の意外にさっぱり感(笑)。
 
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by mukashinoeiga | 2015-09-01 21:21 | マキノ残侠伝 雅弘仁義 | Trackback | Comments(0)

マキノ雅弘「人形佐七捕物帖 めくら狼」

 神保町にて。「横溝正史と謎解き映画の快楽」特集。55年、滝村プロ、配給東宝。
 うーん、ビミョーだ(笑)。と言うか、マキノにしては、あまりに凡作駄作。しまりなし。

人形佐七捕物帖 めくら狼 <神保町シアターHPより>
S30('55)/滝村プロ/白黒/スタンダード/1時間41分
■監督:マキノ雅弘■原作:横溝正史『人形佐七捕物帳』■脚本:毛利三四郎■撮影:三村明■音楽:紙恭輔■美術:清水喜代志■出演:小泉博、田崎潤、志村喬、水島道太郎、瑳峨三智子、進藤英太郎、新珠三千代
五大捕物帳の一つに数えられる横溝の人気シリーズの映画化。美男の岡っ引き・佐七(小泉)は手裏剣による連続殺人事件の謎を追う。『次郎長三国志』の直後、マキノ一家勢揃いの賑々しさも楽しい快作ながら、なぜか上映機会が少ないレアな一本。
*本作の表題に、現在一般的に用いられない表現が含まれていますが、製作された当時の社会的認識によるものです。作品を当時のまま再現するため、表題を変更することなく上映いたしますことをご理解ください。

 という、神保町の紹介を読むと、本作はタイトルのせいで上映の機会が少ない、とミスリードされてしまうだろうが、上映の機会が少ないのは、本作があまりに駄作なせいと見た(笑)。
 マキノにしては、あまりのとっちらかりっぷりに、ワタシは、何度も何度も失神しました(笑)。
 おそらく情のひとマキノには、理詰めのミステリは、一向に興味がないのだろう。
 理詰めったって、たかだかお江戸の捕物帖だ。擬似ミステリというべき、理詰めの真似事の真似事みたいなもんだが、それでも情より、論理の結構を優先するミステリに、マキノの感性が呼応しないのは、致し方なし?

 小泉佐七とその恋女房・瑳峨三智子の夫婦ドラマ、佐七の子分、本郷秀雄&田中春男(例によってお江戸が舞台なのに関西弁)コンビの、つまらないコント会話、野良犬を連れて歩き回る水島道太郎の素浪人、伊藤晴雨みたいなあぶな絵師・石黒達也、女曲芸・新珠三千代の、ストーリーが、すべて、かみ合わない。凡の庸。
 両替商・志村喬が殺されても、その番頭が進藤英太郎なら、何のミステリですらない(笑)。
 ただし絵のフンイキは最高で、横溝怪奇趣味は横溢。さすが撮影:三村明。
 凡庸以下の、投げているとしか思われない、マキノ演出のみ不可。
 ただし、R・テンプルとクレジットされる、女曲芸師、たどたどしい素人な台詞回しは別にして、その柔軟な身のこなし、曲芸は、きわめて映画的。
 冒頭、まだ若くてその顔がいまだ不安定な新珠三千代と、進藤英太郎の会話を、盗み聞いている、からだをくねくねさせる準備運動のままの彼女は、素晴らしい。
 このR・テンプル(といいつつ顔は東洋人)に「影響」されて、小泉佐七、聞き込みの相手の前でぐっと、寝そべったりは、グッドなマキノ演出だが。ただし、つっころばし演技の小泉博は、曲が、ない。
  恋女房・瑳峨三智子も、意外や以外、実はマキノ的曲が、ない。
 本作では、例外的に、マキノこそ映画的めくら狼な(笑)。残念。
◎追記◎常々ぼくの疑問は、カラーワイドの東映時代劇全盛期に、マキノ作品が少ない印象があるところだ。そのあとに東映任侠モノでは、大活躍なのに。
 もちろん他社に出張、というか、いろいろ契約関係が複雑多岐な方であり、義理と人情に縛り縛られ、映画各社を渡り歩いた、日本映画史上最強(笑)の流れ者でもあった方だから、時代劇全盛のころは、東映ではなかったという大人の事情もありそうだ。
 しかし本作の駄作ぶりを見るにつけ、東映時代劇の大部分は捕物帖の印象があるので、ことにヒーローもの、アイドルものは、そう。あとはお家騒動とか、旅がらすモノとか、過去の因縁の復讐モノとが、ぱらっぱら。
 で、アルならば、マキノ、あいつは捕物帖だけは、ダメだ、と周囲も自分も思っていたのではないか。
 で、アル、と、するならば、東映ファンとしても、マキノファンとしても、駄作が減ったことになり、実に幸いというところか。
 また、伊藤晴雨的あぶな絵師・石黒達也が、女を縛り付け、鎖で巻き、という団鬼六的SMの、アブな絵を描くのだが、そのモデルとなるのが、軟体の曲芸師R・テンプル。無理な体勢を取らされ、苦悶の被虐に耐える女、という設定に、軟体曲芸師を当てる発想は、マキノ、とことんヘンタイがわかってないな(笑)。

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by mukashinoeiga | 2015-03-22 04:28 | マキノ残侠伝 雅弘仁義 | Trackback | Comments(0)

カテゴリに「マキノ残侠伝 雅弘仁義」追加

 カテゴリに「マキノ残侠伝 雅弘仁義」追加しました。
 といっても、マキノ映画のメインとなる、核心となる映画については、当ブログを始める前に、大体見ており、当ブログには記載されていないのは、忸怩たる思いであります(笑)。今後、再見して、追加したいとは、思っておりまする。ご容赦。

なお清水宏マキノ溝口ほか「必勝歌」 については、清水宏カテゴリにありますので、そちらを参照していただければ、と思います。 

★マキノ雅弘フィルモグラフィー/日本映画データベース★ 

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by mukashinoeiga | 2015-03-19 22:50 | マキノ残侠伝 雅弘仁義 | Trackback | Comments(0)

健さん、マキノ、天津敏

 というわけで、天津敏動画を探したら、やはり、驚くほど、少ないのね。

悪役たち

2012/11/12 に公開 関山耕司、 岩城力也、三重街 恒二、天津敏...。悪役が悪役らしかった時代。

 黒井和男、司会者、せっかくのマキノの発言、さえぎるなよ(笑)。ところで、冒頭フッテージの天津敏は、なんだか関山耕司の悪事にはらはらしている、善人そうな役じゃないか。子役は、この当時の東映だから、真田広之か?(未確認)

【ビートたけし】 高倉健の魅力を語る「ヤクザも改心させてしまったほど、男女問わず惚れてしまう、真摯で優しい人だった」


高倉健さん×軽部真一支配人インタビュー「日曜邦画劇場スペシャル」日本映画専門チャンネル


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by mukashinoeiga | 2015-03-17 00:02 | マキノ残侠伝 雅弘仁義 | Trackback | Comments(0)

マキノ雅弘「昭和残侠伝 死んで貰います」「同・血染の唐獅子」

 池袋にて。「さらば健さん! 銀幕に刻んだ男の生き様 追悼 高倉健 第二部・東映編」特集。70年と67年、東映京都。
 旧の昔から、文芸坐の日替わり上映のせいで、日が悪いと未見作が見れず、既見作ばかり見る羽目になる(笑)。まあ、で、あれば、行かなければ、いいのだが、マキノ、健さん、純子となれば、いかざるをえまいて(笑)。
 「死んで貰います」は、時間の都合上、日比谷図書館の上映会に駆けつけるため、三分の二ほど見て退場しようと、思っていたのだが、そういう山城新伍のようなハンチクは、健さんの三白眼が許すはずもなく(笑)とうとう最後まで、見てしまいました。
 モチロン何度見ても、楽しかった。

e0178641_2323975.jpgマキノ雅弘「昭和残侠伝 血染の唐獅子」
 プロデューサーの娘(藤純子)やら弟の嫁(宮城千賀子)やら甥っ子(津川雅彦)やら使っても、みんないいのだから、自分の嫁・宮本信子を使いまわした、バカ監督とは、比較にならない(笑)。
 日本人好みの王道パターンで、男・健さん、女・純子、カタキながらアッパレ・天津敏と、そろえば、もうマキノの掌のなかにあり。池部良も含めて、まさに奇跡のコラボだよなあ。うっとり。

 悪の親分を演じることも多い水島道太郎が、今回は、健さんの年上の腹心を演じて、母・清川虹子との、ショーもないコントを演じることさえ、愛らしい。まあ、笑えないんだけど(笑)。でも、その、笑えなさが、とても、いとおしい。ほのぼの。
 松竹由来の牧紀子(マキノという字を隠している)が、健さんに殉じる芸者を演じている。彼女は、その後、東映で活躍していないのかな。

 弱肉強食の、なんでもありの、「中国化(=実は西洋的近代化)した近代日本」を体現した、河津清三郎=天津敏(名前からして中国的)と、江戸時代的感性を引きづる、加藤嘉親分=健さん=池部良=藤純子、この二組のどちらが、より日本人好みなのかは、明らか。
 いやあ、もちろん、「面の皮の厚さ」日本一の河津清三郎&天津敏コンビの、素晴らしさ!

e0178641_2325572.jpgマキノ雅弘「昭和残侠伝 死んで貰います」
 池部良と健さんのカラミは、何度見ても、泣ける。高倉健と藤純子のラヴストーリーというより、これは健さんと池部良のラヴストーリーなのだ。
 恩人・加藤嘉の息子・健さんを、心ならずも殴ってしまう、その日本人的葛藤に、泣けてしまう。

 しかし藤純子も、侮れない。まさに、なる三角形。絶品。
 その、あでやかな水色の着物の印象とともに、絶対に記憶に残る女優。
 山本麟一に、必死で抵抗する藤純子。この場面で、健さんは、まったく寡黙に佇んで、藤純子の危機を、助けようとしない。おかしいでしょ、な場面なのだが、つまり、ここは藤純子の圧倒的見せ場、役者・健さんが、役者・藤純子の見せ場を邪魔しちゃいけない、という芸能のロンリゆえに、健さんは藤純子を、救わない、邪魔しないのだ。
 まさに、絵に描いたような世話場の、美しさ。
 義母・荒木道子による異母兄妹・永原和子(とってもかわいらしく、この後活躍しなかったのか、不思議)の遺児、健さんにとっては甥っ子に当たる小学生に下沢(真田)広之、ただし記憶に残る子役っぷりではない。
 なお、本作における悪の親分には、諸角啓二郎。ちょい役のワキ役として、いろいろな映画に、むかしっから登場。ラスボス役者としては軽量かなあ、と思っていたら、その口調、ちょっとワルな顔立ち、見ているうらに絶品で。グッド。
 やはりマキノ的な絶品。

★昭和残侠伝 死んで貰います-みんなのシネマレビュー★
★昭和残侠伝 血染の唐獅子-みんなのシネマレビュー★
 本作を語ると、なぜか(笑)みんな、アツくなるなあ(笑)。

★「昭和残侠伝」珠玉のワンパターン–salitoté(さりとて)歩きながら考える、大人の道草WEBマガジン★
 女の側から見た高倉健論、昭和残侠伝論として秀逸で。
◎追記◎男が惚れる男の大吟醸・高倉健の味/なにもかもが息苦しいほど美しい。つねに「選択肢のない人生」に羽交い締めに身をよじり/男の眼から見れば確かにしびれる、男が惚れる男っぷり。とはいえ、現実の女の眼からすれば、あんたは即身仏のミイラかと、信じられない「欲のなさ」が先に立つ/そんな高倉健の何がいいのか、若い時分はさっぱりわからなかったが、今なら妙にわかる/もはや様式美の世界にまで極められた秀次郎のパターンを見ると、日本人はビジョンや戦略云々より「筋を通す」ことに必死になった方がどうもいいような気がする。
 など、「珠玉」の言葉が、連なる。
 なお◎追記◎ついでに言えば、以下のユーチューブ「昭和残侠伝 血染の唐獅子」予告の、藤純子の絣の着物は、あまりに地味すぎ、今回見た映画では、彼女こんな着物着ていなかったような?記憶。まあ、ぼくの勘違いかもしれませんが、日本映画ではNGフィルムの予告への流用はよくあること。
 あるいはあまりに地味な衣装の為、本編では再撮影になった可能性も? また、ひるひなかの道端での世話場は、地味衣装とともに、マキノの趣味とは思えず、ためしに助監督に撮らせた(マキノには、よくあることと思う)ものを、本編では使わず、予告に流用した可能性も? まあ、勘違いの可能性も大ですが。
◎再追記◎マキノの世話場は、たとえば、人気のない材木置き場の物陰、しかも夜とかで、けっして昼日中ではないイメージがある。あるいは男女ふたりきりの部屋の中とかのイメージ。
 昼日中の街場の道であれば、マキノ的群集のわっしょいわっしょいの場であって、それを男女の世話場に設定するのは、マキノ的隠微さとは、違う気がする。この予告のシーンは、どう見ても非マキノ的であり、藤純子の着物も、違和感がある。

 また、悪の親分には、いつも数シーンしか出てこない超脇役・諸角啓二郎が、大抜擢され、カンロク不足かと思ったら、意外といいのだ。そのマスク、その声、いかにも小ずるそうな小親分。グッド。ただし、大悪党のガラでもなく、単なる小悪党。絵に描いた小悪がラスボスゆえ、その部分では本作、イマイチ弱いのだが、上記豪華俳優陣に、マキノのサプライズキャスト、利いた。


昭和残侠伝 死んで貰います(予告編)

昭和残侠伝 血染の唐獅子(予告編)


唐獅子牡丹/高倉 健

チエミの唐獅子牡丹


【高倉健:俳優人生】”仁侠映画”が一番魅力的!「健さんから意外な言葉も。。。」(浜村淳)

◎追記◎下記コメント欄ケンさんオススメの、桂三枝 「背なで老いてる唐獅子牡丹」で、ございます。

◎追記◎下記コメント欄ケンさんのつながりで
桂三枝「ゴルフ夜明け前」


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by mukashinoeiga | 2015-02-26 01:29 | マキノ残侠伝 雅弘仁義 | Trackback | Comments(58)

マキノ雅弘「八州遊侠伝 男の盃」

 池袋にて。「日本映画のヒロインvol.13 映画デビュー50周年 富司純子」特集。63年、東映。
 本作は、藤純子東映デヴュー作。マキノ雅弘が撮影前、藤純子を預かって、三ヶ月も所作等を教えての、スクリーン・デヴュー。
 しかし、精一杯がんばっているのだけれど、後年の、目の覚めるような、あざやかな、女の脂の乗り切った、流麗なまでのマキノ流藤純子演技は、いまだ完成していない。どこかが、不自然。違和感。若さのせいか、なんとなく不自然さが前面に出てしまう。
 マキノ的女の所作が、なんとなく、ぎこちない。それをおぎなって?若さゆえの、かわいさはあるのだが。
 相手役も悪いのか。
 その後のマキノ映画には、ほとんど?まったく?呼ばれない、千葉真一。
 明朗快活な持ち味の、スポーティーそのものの千葉真一は、いわゆる、日本的湿り気、マキノ的情緒とは、まったく無縁の、ナイスガイ。それはそれで大変好ましいのだが、マキノお得意の、高倉健、鶴田浩二などの、日本的情緒は、まったく欠いている。こんなチバシン相手では、後年の藤純子でも、すべるだろう。ましてや、デヴュー作での、なれないなかで(笑)。

 ところで、この映画、ほんとは、片岡千恵蔵が主演。ただ、流れモノの旅人ヤクザの役としては、年をとり過ぎていて、あまりに精彩がない。
 そもそも、若いころからして、すでに「重厚」だったので、戦前はともかく、戦後からして、股旅物は、似合うタイプでは、ない。あまりに、ミスキャスト。
 生き別れのおとっつあん・志村喬と千恵蔵、しかもマキノなんて、戦前からのおなじみのコラボだが、そこに、チバシン、藤純子と、若い世代を投入、という意図は、わかるのだが、千恵蔵の旅人は、老朽化ミスキャストの時代錯誤だし、チバシンは、あまりに現代的過ぎ、藤純子は幼すぎる。
 マキノとしても、生彩を欠いた一本ということだろう。
 居あい抜きの先生・水島道太郎、テキヤ・堺駿二が、実は・・・・という、落ちも、とってつけたようで。
 本特集のマキノ「侠骨一代」その他の絶品と、比べるまでもなく、凡作とわかる。 

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by mukashinoeiga | 2013-04-12 01:41 | マキノ残侠伝 雅弘仁義 | Trackback | Comments(0)

マキノ雅弘「此村大吉」

 京橋にて。「よみがえる日本映画vol.4 大映篇-映画保存のための特別事業費による」特集。54年、大映京都。
 同じ年に、「美しき鷹」大映東京と、本作を大映京都にて。忙しいことよのう。しかし「美しき鷹」以上に、本作は<通常マキノ>では、ない。
 映画の流れがごつごつして、最初のうちは、シーンごとに登場人物たちが次々入れ替わり、多層的な展開。脚本・マキノとしては、映画娯楽職人として、いつものシンプルな、ひとりのヒーローの時代劇、あるいはひとつの集団の時代劇とは違う、ものを目指したのだろうか。いつもの、娯楽映画的単純さを、かなり意図して、欠いている。
 貧乏旗本・鶴田浩二が主役だが、登場は、かなり、遅い。「ヒーロー」の意図的な遅延。
 そして、ツルコウ、河津清三郎、田中春夫らの貧乏旗本グループは、幕府の老朽化・劣化した施策を批判する老思索家(おそらく陽明学者)の、支援者。ここにも、「江戸時代」と、来るべき「中国化した明治」の対立がある(バカの一つ覚え)。
 ここで、ツルコウは、黒味がちな和傘を水平に、半ば開いて、半ばつぼめながら、突進する。
 これを当時の女歌舞伎役者・中村時蔵(南悠子(宝塚))がまねをして「仮名手本忠臣蔵」の五段目、悪党の定九郎にりクリエイトした演技で、評判をとる。いたんだねえ、昔は。女歌舞伎役者。
 この和傘を前方水平につぼめつつ開いた突進は、つい最近神保町で見た、小石栄一「ひばりのべらんめえ芸者」でも、舞踊で美空ひばりが再現。また、歌舞いたアクションで知られる鈴木清順「刺青一代」でも、高橋英樹が継承している。歌舞伎由来の、きわめて日本的アクションなのだ。
 その、起源となるオリジナル、ツルコウ→それを舞台で再現した女歌舞伎役者、その舞台が人気を呼ぶと、ツルコウの仇の金持ち旗本・徳大寺伸が、ツルコウの人気をねたんで、その舞台を中止させようとする。 すると、それに逆らって、なんと、オリジナルのツルコウが、舞台で自身の元になったアクションを再現して、対抗する。なんという、メタ・フィクションの連鎖か。
 しかし、その、メタ・フィクションの連鎖を、処理し切れなかったのか、処理したくなかったのか、本作におけるマキノの演出・編集は、明らかに、滑らかさを欠き、無骨なまでに、繋がらない。奇妙なまでの実験性と思われる、ゆえんで。
 久慈あさみが、ほのかにツルコウに想いを寄せる「将軍の娘」を演じて、よい。この宝塚出身の女優さん、実は、あんまり好きではなかったのだが(何で人気があるのか、ヨクワカラナイ不思議な女優さん)、この「将軍の娘」として、周りを威圧するS的キャラがぴったり。さすが宝塚男役出身だけあって、S的キャラが似合う似合う。美しい。
 ちなみに、宝塚娘役・轟夕紀子を、一時は妻にし(この二人の息子が、安室奈美恵から満島ひかりまでの数多くの女性タレントを輩出した沖縄アクターズ・スクールの主催者)、宝塚男役の久慈あさみや越路吹雪を重用したことを思えば、マキノ映画の、少女趣味への親近性は、明らかではあるまいか。そう、仲間由起恵など沖縄出身女優が、全く色気のイの字も感じさせないほどの、共通性が、感じられるほどの、きわめて奇妙な類似性。あるいは、男騒ぎの映画といわれもする、マキノ映画の、実は少女趣味への、親近性。
 またもや、妄想か(笑)。
◎追記◎藤純子の名付け親にしにしては、彼女の代表作「緋牡丹博徒」シリーズを、あれは、女のアクションとしては、違うから、 と、当然参加してもよいシリーズを袖にした、マキノの、心性・嗜好も興味深い。

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by mukashinoeiga | 2012-05-07 00:23 | マキノ残侠伝 雅弘仁義 | Trackback | Comments(0)

マキノ雅弘「美しき鷹」

 京橋にて。「よみがえる日本映画vol.4 大映篇-映画保存のための特別事業費による」特集。54年、大映東京。
 今回の特集で、マキノ映画は、本作と「此村大吉」の2本上映。この2本とも、通常マキノといえば思い浮かぶ、時代劇・任侠モノとは、いささか趣向が変わっている。不思議なマキノ映画な2本だ。
 通常は、娯楽に徹した人情劇の、時代物だったり、任侠モノだったりの、職人芸に徹するのだが。「美しき鷹」も「此村大吉」も、妙に実験性が感じられる異色のもの。あきらかに<通常のマキノ>から逸脱しているのが、逆に面白い。
 2作とも、脚本はマキノ雅弘単独表記(本作原案は小国英雄)。ということは、通常のマキノ娯楽映画の常として、既成の脚本を、マキノ自身が徹底的にいじり倒して、自家薬籠のものにする改ざん作業が、ないわけだろう。つまり、逆にいえば、こちらのほうに、<映画職人>に徹していない、<ナマのマキノ>が、あるのかもしれない? 奇妙な実験性?は、そこから来ているのか。<通常業務>でない、マキノ。

 明治半ばの函館。その港町に、青函連絡船がやってくる。船長は、若原雅夫。戦中戦後の、大映二枚目スタアの彼だが、この映画では(松竹)と、クレジット。移籍してのち、古巣への里帰り出演というところか。この函館の、真ん中に流れるどぶ川の両側に並ぶ娼館、商店街が、スタジオ内のセットに再現されている。連絡船、港周り、それに続くどぶ側沿いの商店、このセットを見ているだけで楽しい。
 別のマキノ映画(題名失念)のセットでも、中央に川があり、橋が架かり、川の周りに家があり、そこで展開するアクションという、楽しいセット的趣向があったが、本作もそれに匹敵する。しかも大映美術陣のセット造形は、例によって、楽しい。完璧なスモール・ワールドの統一感。

 明治半ばの函館。<中国化された明治>は、究極の自己責任・自由経済主義社会。何らのセーフティネットもないので、貧しい男は鉱山に叩き売られ、貧しい女は、その男どもの性欲処理装置として女郎に、ともにタコ部屋暮らし。
 逃げ出す自由すらなく、男も女も仕事が出来なくなれば、即ホームレス。與那覇潤(当ブログ最近のバカの一つ覚え)によれば「明治日本の状況を知りたければ、現代中国を見よ。現代中国の有様を知りたければ、明治日本を思え」とのことだが。
 若原雅夫船長は、ボースン(甲板長、水夫長の意)森健二ら船員たちとともに、あえやかな因縁の、娼婦たか子(越路吹雪)の<足抜け>をたくらむ。この男たちが、娼館を目指して無言でマチを歩くさまは、まるでジョニー・トーの香港アクションみたいなクールさ。素晴らしい。
 そして、この男たちの移動っぷりのクールさこそ、<通常マキノ>には、ありえざるもの。<通常マキノ>では、わっしょいわっしょいと、お祭り騒ぎで、その他群集を巻き込んでの移動となる。
 <通常マキノ>のお祭り騒ぎというのも、きわめて映画的で好きなのだが、ぼくが食わず嫌いの「次郎長三国志」シリーズの、お祭り騒ぎがなぜ、好かないのか、クールな本作を見て、すとんと、わかった。
 腑に落ちました。
 だってだってだって「次郎長三国志」のお祭りは、男騒ぎのお祭りじゃないんだもんー(笑)。なんかぁ、妙にべたべたしていてー、おトイレ、一緒に行きましょうのー、女の子騒ぎのねちっこさ、感じるんだもーン「次郎長三国志」わぁ(笑)。
 かつての左翼諸君の至言「連帯を求めて孤立を恐れず」。これなのよ、これ。ふつうのマキノ映画、及び本作「美しき鷹」、さらにはジョニー・トー映画は、そうなのよ。ところが「次郎長三国志」シリーズのべたべたは、「孤立を恐れて連帯を求める」の感があって、気色悪かったのだなー。「次郎長三国志」シリーズの次郎長一家は、実は女の子集団なのであった。まるで宝塚歌劇団の、男騒ぎ。そりゃあ、違和感ありまくりだあね。
 <通常マキノ>をお好みではない方(たとえば、キネマ洋装店店主)は、おそらく同時に<日本人の最大公約数的好み>?である<江戸時代>が、好きでない可能性がある? あるいは、マキノ雅弘「次郎長三国志」シリーズを傑作だという方(たとえば、渋谷シネマヴェーラ)は、宝塚ファンの可能性がある?
 うーん、すでに酔眼的愚考か。すいがんせん。

 港町商店街セットを使い倒した作劇、不思議ちゃん・越路吹雪の、歌を何曲か、その使い方は、越路の歌のうまさとは別に、なんだか、うまく繋がらない感じがあるが、ここら辺がマキノらしい、<娯楽映画としての俗情との結託>なのか、あるいは<異化効果>なのか、そのあいまいな融合なのか、ヨクワカラナイ。
 しかし、肝心の越路が、<足抜き>を拒否して、若い津島恵子に、脱出を、譲る。別に譲らなくてもいいシチュなのに。脳内お花畑な展開も、歌で補強。ヨクワカラナイが、さすがな感もあり(?)。
 しかし、この、イマイチ、娯楽映画として決まらないラストも、マキノとしてはちと異色。ああ「仇討崇禅寺馬場」という後味の悪い映画も、ありました。
 なお、本作の真のラストは、船上の若原に「俺はこれから、主義者として逮捕されるんだ」と宣言する、地元新聞記者・田崎潤。今と違って、新聞記者は「正義の人」というイメージの時代がありました。

 この町を取り仕切る河津清三郎の、せりふなき子分に、後に日活の名物脇役となった、榎木兵衛の顔があり。
◎追記◎タコ部屋ぐらしの女郎はタコ女郎と呼ばれ、同じく鉱夫はタコ人足、彼ら彼女らが働けなくなると、即ホームレスでタコ崩れと称される。エグ過ぎるネーミング。そのタコ崩れの一人が、ホームレス仲間に、有り金全部を配り、「皆さん、お世話になりました」と、無一文で女郎屋に登楼。つまり人生最後の花というのか、無銭淫食としゃれ込んだのか。このタコ崩れを、しかし陰惨になることなく演じた田中春夫の顔の、なんと、すばらしいことか。普段はお調子者や三枚目を演じることの多い田中春夫の、顔に、惚れ惚れ。

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by mukashinoeiga | 2012-05-04 23:13 | マキノ残侠伝 雅弘仁義 | Trackback | Comments(0)

マキノ雅弘「女組長」

 渋谷にて。「次郎長三国志&マキノレアもの傑作選!」特集。70年、大映。
 マキノ雅弘「赤城の血祭」の、同時上映ゆえの、再見作。しかし、記憶力が、異常に弱い(笑)ぼくが再見しても、細部をはっきりくっきり覚えているのは、さすが、マキノ。 
 明治の頃の新橋駅、その駅前の、やや外れたあたりを大オープンに組んで、汽車は出せないものの、ちんちん電車も走る、末期大映としては、まあ、破格のオープンセット。
 まあ、その市電も、あまり早く走れないいいわけに、たびたび葬列や、火事場騒ぎで、徐行運転、ないし停止。ここら辺は、演出の見せどころか。

 江戸以来の名物・町火消し、ゐ組の頭が殺された。あとに残る、平泉征、成田三樹夫などの若者ばかりで、いささか頼りない。後見役の佐野周二も、め組の頭だから、イマイチ、片手間で。
 ここで頼りになるのは、オトコ顔・江波杏子、死んだ頭の娘。といっても、十三の年から、山田五十鈴に預けられ、今では、立派な芸者稼業、火消しの、ひの字くらいしか、知らない。
 ゐ組の頭、江波の父を殺したのは、悪徳ヤクザ・水島道太郎、悪徳代議士・金子信雄(今でいえば、小沢一郎のイメージ)と、結託して、新橋駅の鉄道貨物の荷役、駅拡張の土木関係を、ゐ組から奪い、独占契約をしようという。マキノ的典型的な、新興悪徳ヤクザと、旧弊本格ヤクザの、拮抗。
 そこへ、殺された親分の娘が、芸者という新機軸。いや、マキノ的には、ちっとも新機軸ではなく、これが、マキノ気力充実の、東映60年代の、男・高倉健、女・藤純子の、コンビなら、絶品の傑作に、なっただろう。
 しかし、おそらくマキノの映画的気力も衰え、東映とは違う、江波、成田らの、大映男女俳優独特のクールなティストは、やはり、マキノには、あわなかったか。
 しかも、高倉健に当たる流れ者ヒーローに、なんと、佐藤允。佐藤允と、その愛人(江波の先輩芸者)は水野久美(関係ないが、最初の漢字変換は水の汲み、これもダジャレネーミング?)、ともに東宝系だが、クレジットに、<山田五十鈴(東宝)>のように、東宝のカッコつかず。山田五十鈴は、舞台の関係で、東宝専属という形で重視されていたが、佐藤允、水野久美クラスだと、この時期、東宝専属を外されていたのね。
 つまり、東映の、健さん、純子にこそ、ベスト・マッチングな、この時期のマキノが、大映・江波、成田、平泉、もと東宝・佐藤、水野、もと松竹・佐野、らの、ビミョーにマキノと違うティストの、あるいは、映画文化が異なる役者を、まあ、ぼちぼちと、まとめている。
 そういうマキノの頼りは、悪役としても絶対の安定感・盟友水島道太郎! いつもはどもりの三枚目などをマキノにフラレることの多い、超身内・津川雅彦が、箱屋(いわば、芸者のマネージャー)ながら、きりりとした二枚目。このふたりの、超絶安定感こそ、マキノのしるし。
 いつもおなじみ、マキノ調と、マキノならざる部分が、混在する。
 大映最後の大作映画の輝きと、下降するマキノ演出の、時代的クロスが、交差する。
 ただし、江波杏子のヒロイン、佐藤允のヒーロー、なんか、ずっこけるんだよなー。ビミョーであるがゆえに、マキノ的快の、よって来るところが、ひしひしわかる。
 
 しかし、人間、年をへると、顔は大幅に変わるが、声は、あまり、変わらない。なのに、平泉征、この当時の低い声が、近年物まねされる平泉の声、おもいきし違うじゃない。

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by mukashinoeiga | 2012-02-24 23:25 | マキノ残侠伝 雅弘仁義 | Trackback | Comments(0)