カテゴリ:旧作日本映画感想文( 521 )

市川崑「青春怪談」三橋達也北原三枝山村聡轟夕起子嵯峨三智子芦川いづみ

新東宝日活競作の結果は!? 55年、日活。
 神保町にて「女優は踊る―素敵な「ダンス」のある映画」特集。
e0178641_23432722.jpg 同じ原作を、同時に競作。いかにも映画に勢いがあった時代の、しかも著作権独占なんて、現代的野暮なんぞ考えもしなかった、粋といえば粋だし、いい加減といえばいい加減な、時代の産物で。
 もはや映画界にはそんな力はないので、TVで有名ベストセラーを競作してもらいたいが、まあTVも力が落ちているし、何よりも独占権を重視するからなあ。
 ぼくの「青春怪談」歴?は、

 かなり昔に日活版鑑賞。ほとんど記憶にない。
 つい先月渋谷にて新東宝版阿部豊「青春怪談」を鑑賞。快作なり。感想駄文済み。
 今日日活版を再見。
 今回、あまりに直近で見たので、どうしても、同じ原作、同じ話ゆえ、ぼくにとっての後発である日活版が、減点気味に見てしまう。あ、こんなことじゃ、競作なんて、おススメできないか(笑)。

3. 青春怪談 (神保町シアターHPより)
S30('55)/日活/白黒/スタンダード/1時間54分
■監督:市川崑■原作:獅子文六■脚本:和田夏十■撮影:峰重義■音楽:黛敏郎■美術:中村公彦■出演:三橋達也、北原三枝、山村聡、轟夕起子、山根寿子、嵯峨三智子、北林谷栄、芦川いづみ
男勝りのバレリーナ志望・千春(北原)と、風変りな実業家・慎一(三橋)は、互いを認め合う現代的なカップル。ところが縁談話を機に、不可解な事件が起こり始め…。最高に洒落た都会派群像劇。千春を慕う美少女役・芦川の怪演も見物。*デジタル上映

 さて、

     日活版   新東宝版
奥村千春・北原三枝  安西郷子
父鉄也・・山村聡   上原謙
宇都宮慎一三橋達也  宇津井健
母蝶子・・轟夕起子  高峰三枝子 (松竹)
船越トミ・山根寿子  越路吹雪 (東宝)
筆駒・・・瑳峨三智子 筑紫あけみ
藤谷新子・芦川いづみ 江畑絢子
芦野良子・三戸部スエ 千明みゆき
奥村敬也・千田是也
阿久沢・・滝沢修   若月輝夫(建築デザイナー)
小鎌田・・宇野重吉
奥村家の婆や北林谷栄 浦辺粂子 (大映)
品川ミエ子玉松ワカナ 三原葉子
バーテン・宮原徳平  丹波哲郎
刑事   高品格
記念館受付小田切みき 冬木京三
パチンコ屋の職人三島謙

 北原三枝VS安西郷子、山村聡VS上原謙、三橋達也VS宇津井健、轟夕起子VS高峰三枝子 、山根寿子VS越路吹雪、北林谷栄VS浦辺粂子、玉松ワカナVS三原葉子、宮原徳平VS丹波哲郎、滝沢修VS若月輝夫・・・・以上すべてで、前者日活版より、後者新東宝版のほうが、グッドであることが、今回ぼくの確認したこと。
 北原三枝VS安西郷子 実際にマニッシュな役としては、北原のほうが適役。ただ、男顔が強調されたコワイ演技の北原は、あまりに適役過ぎて、見ていて楽しくない(笑)。エンターティンメント重視の柔らかさに収めた、安西のほうが、見ていて楽しいのよ。
 山村聡VS上原謙 重厚山村と、かるみのある二枚目半の上原、見ていて楽しいのは後者。
 三橋達也VS宇津井健 これまた典型的古典的二枚目の三橋と、天然のカロミの宇津井、見ていて楽しいのは後者。
 轟夕起子VS高峰三枝子 理が勝ったインテリ女優轟が、天然の感性の少女然としたオンナを演じるので、 見ていて180パーセントのわざとらしさしか、感じられない。頭で、異質な役を演じてますね、という。
 そこへ行くと、高峰は天性の主演女優なので、しらっと、無意識過剰を演じうる。この差は、明らか。
 山根寿子VS越路吹雪 軽見ゼロの朝鮮人ライクな演技の山根にはうんざり、越路の軽見の演技に、エンタメの本質を見る。
 北林谷栄VS浦辺粂子、玉松ワカナVS三原葉子、宮原徳平VS丹波哲郎、滝沢修VS若月輝夫も、同様。明らかにおかまの建築家を演じる滝沢修は(いまの視点で見て)全くの中途半端。無名の役者に負けている。宮原徳平は、全く普通の男として演技しているが、丹波哲郎は明らかにおかまチック。この話の趣旨に合っている。市川日活版では「なのよ」などと女言葉を三橋は連発しているが、それは三橋だけ、彼と北原以外、一切の性的混乱はなく、明らかに新東宝版のほうが、より現代的。
 本来コミカルであるべき素材に、新時代の性的混乱にほんとに混乱して、なんだか重々しく対応しかできなかった市川(まあ所詮はアニメ上がり(笑))=日活(のちにもお子様向け青春映画を量産した)と、阿部ジャッキー(コメディーだったら、性的混乱なら、なんでもありのハリウッドで修行)=新東宝(純情青春映画は似合わないけれど、大人の事情映画を量産した)との差は、明らかか。

 ぼく的には後出しじゃんけん的に見たので、明らかに日活版は不利。その点を差っ引いても、日活市川版は、映画としても、つまらないかなあ。コメディとしても、風俗ドラマとしても、重くて不利。
 怪談というタイトルに引きずられ、音楽もサスペンス調な日活版、下記ユーチューブのフッテージを見ても、この冒頭シーン、どう見てもホラー映画のマッド・サイエンティストの感あり。
 要はハリウッドお得意の性的混乱コメディ、スクリューボールコメディであるべきなのに。完全に成功してはいないものの、阿部ジャッキーは、そこんとこは、きっちり抑えている。
 ただダンス教師役・三戸部スエは、なんとなく好感が持てて、グッドよ。

青春怪談


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by mukashinoeiga | 2017-04-05 23:49 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(2)

野田幸男「不良街」松方弘樹菅原文太谷隼人山城新伍有吉ひとみ

いまいちヌルいハンパなコメディ調やくざモノ。72年、東映
e0178641_17233216.jpg 池袋にて「追悼 松方弘樹 演じた! 作った! 撮った! 映画をこよなく愛した最後のスター」特集。
 そもそも親父の方は大好きなのだが、ぼくにはどうも、松方の良さが、ワカラナイ。
 新人の頃は、チャラチャラとした若造で、まあ、アイドル的といっていえないこともない程度。本作のころの青年期は、まあどうでもいい感じで、ぼくのセンサーには、引っかからない。
 実録路線のころの、文太、欣也、弘樹は、言ってみれば勃起した男根のようなぬめりテカリがあり、閉口する。まあ、男が勃起した男根を見て、興奮はしませんわな(笑)。

不良街 (レッツエンジョイ東京HPより)
監督:野田幸男
出演:松方弘樹/谷隼人/山城新伍/有吉ひとみ/津々井まり/水島道太郎/安部徹
製作年:1972 配給:東映
5年前、大柴組の幹部を殺して刑務所入りした伊吹信次が出所した。高層ビルがひしめく新宿の町の変貌に信次は目を見張った。5年の間に暴力団の地図は大きく変り、組も解散し縄張り内にはチンピラがのさばっていた。信次は生きるために自力でのし上っていくより他に方法はなかった。かつての弟分勇に会った信次は、ひとまずその根城に身を置くことにした。
東映にカムバックした松方弘樹の主演作。脚本は『セックス喜劇 鼻血ブー』の山本英明と松本功。監督は『不良番長 口から出まかせ』の野田幸男。撮影は『未亡人殺しの帝王』の山沢義一がそれぞれ担当。(キネマ旬報映画データベースより抜粋)

 もう一つ、コメディアンとしての山城新伍にも、ひかれない。長いセリフの中に、たまに、アドリブなんだろうが、卑怯なくすぐりがあって、つい笑ってしまうのだが、あくまで例外。
 谷隼人も、無駄にイケメンだが、それだけ。恋愛ドラマに主演できないようなイケメンは、はっきり言おう、存在自体が、無駄(笑)。
 こんな頼りない主演グループを、水島道太郎、安部徹が、引き締める安定感。
 なお特別出演で、文太が、松方の兄貴分。ちょっとの出番かと思ったら、最後は松方と殴り込み。東映お得意の「お前ひとりは、死なせはしないぜ」だが、文太に池部良の貫禄があるでなし。
e0178641_104921.jpg ヒロインに、これまた珍しい、当時のTV女優の有吉ひとみ。若いのに落ち着いて、若いなりのお色気もなく、いかにもTVらしい無難な女優が、映画の水に合うわけもなく、ただ可愛いだけで。一応ヒロインなのに、上記ポスターに写真が載っていない!
起用したけど、東映のお客には受けないよね、という冷徹な営業判断か(笑)。

 こういうシマラない役者たちに加え、純愛、エロ、コメディ、アクション、人情、すべてぷっこめばいいんだろ的な、いい加減で不良な映画屋さんの、幕の内弁当、いろんな食材をパーツ的に組み合わせて、一丁上がり。でも、全部冷凍もの食材だよね、という。

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by mukashinoeiga | 2017-03-28 17:26 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(2)

山本嘉次郎「春の戯れ」高峰秀子宇野重吉徳川夢声三島雅夫江川宇礼雄飯田蝶子

いやアこれは凄いっ! 49年、映画芸術協会=新東宝、配給・東宝。
e0178641_22503649.jpg 阿佐ヶ谷にて「松山善三・高峰秀子?夫婦で歩んだ映画人生」特集。
 いや、映画はとうの昔にフィルムセンターで見たのだけれど、ネットに挙がっているポスターがすごい。
 このイラスト、なんとも、いまでも通用するようなレヴェル。約70年前とは、信じられない。
 新東宝映画としても、東宝映画としても、珍しい
 わたせせいぞうのバッタものといっても、可笑しくない。イラストレーターは誰だ。
 ただしタイトルの「戯」のロゴが、なんだかすかすかしていて、気持ちよくないな。

春の戯れ (ラピュタ阿佐ヶ谷HPより)
1949年(S24)/映画芸術協会、新東宝/白黒/108分 ○東京国立近代美術館フィルムセンター所蔵作品c国際放映
■監督・脚本:山本嘉次郎/撮影:山崎一雄/美術:松山崇/音楽:早坂文雄
■出演:高峰秀子、宇野重吉、徳川夢声、三島雅夫、江川宇礼雄、飯田蝶子、鳥羽陽之助、一の宮あつ子
海の彼方に憧れて恋をふりきり船出する若者と、彼との想い出を胸にしまい商家の旦那に嫁ぐ娘──。マルセル・パニョルの名作『マリウス』を翻案した港町ロマン。ファニー役お花を高峰秀子が好演し、大人の女優として太鼓判を押された。

e0178641_2254167.jpg このポスターのモデル?となった、いつもは痩せているウノジュウだが、このスチールでは、ほほぷっくりのウノジュウ(笑)。

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by mukashinoeiga | 2017-03-26 22:54 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(4)

工藤栄一「やくざGメン 明治暗黒街」松方弘樹千葉真一近衛十四郎月形龍之介久保菜穂子小川知子

クールスタイリッシュな快作。65年、東映。
 池袋にて「追悼 松方弘樹 演じた! 作った! 撮った! 映画をこよなく愛した最後のスター」特集。
 明治時代の映画なのに、なぜかご機嫌なモタンジャズ(典型的バッタもんの津島利章)が全編に流れ、それはそれで楽しいのだが、なぜに明治に、とは思う(笑)。
 「やくざGメン」という、いわゆる角書きがタイトルについているが、実際のフィルム上のタイトルに、それはついていなかったと、思う。いや、実際はついていたのを、見逃したのかもしれませんが、おそらく「明治暗黒街」として完成して、しかし営業的には地味だから「やくざGメン」と、つけたのかもしれぬ。
 しっかし「やくざGメン」とは、モダンジャズに続き、明治的ではないぞ(笑)。
 さすがいい加減な東映や。だが映画は軽快で。


e0178641_141689.jpgやくざGメン 明治暗黒街 (レッツエンジョイ東京HPより)
監督:工藤栄一
出演:松方弘樹/月形龍之介/小川知子/千葉真一
製作年:1965 配給:東映
明治三十四年。日本は露国との開戦をひかえ、政府と軍部は奉天に情報機関を設けるべく、資金として莫大な金塊を用意したが、郵送の途中、何者かに奪われてしまった。警視庁では藤川部長を主任に活動を開始したが、捜査は暗礁に乗りあげ、この捜査から警視庁内部にスパイがいて大きな組織が背後にあるらしいと推測されたがその正体は不明であった。ただ郵送車襲撃に暴力団の人間が加わっているらしいことが、わかっただけだった。
「明治侠客伝 三代目襲名」でコンビの村尾昭と鈴木則文がシナリオを執筆、「大殺陣」の工藤栄一が監督したアクションもの。撮影は「蝶々雄二の夫婦善哉」の鈴木重平。

 かつて80年代に「野獣刑事」「ヨコハマBJブルース」「逃がれの街」と、一種の工藤栄一再ブームという形になり、盛り上がったが、この3作、スタイリッシュでクールな工藤流ハードボイルドと、当時もてはやされたが、じっさい公開時に見て、ああ、なんだか、盛り過ぎだなあ、と。それなりにいいが、でも大したことないじゃん、とがっかりしたものだ。
 それに比べて、本作の快作ぶりよ。
 クールもしつこいと、クールじゃなくなるのよ。タイリッシュも、度が過ぎると、田舎じみて、が入る。

 東映の義理と人情の仁侠/やくざ映画の、湿っぽさ(もちろん、それも大好きなのだが)とは、完全に隔絶したクールさが、この映画にはある。
 東映仁侠映画の名物脇役の天津敏が、本作でもやくざのボスなのだが、本作での天津敏は、体脂肪率を絞りに絞ったというか、限りなく湿度ゼロの悪役を演じ、新鮮だ。
 いつもの分厚さとは違う、妙なクールさ。新鮮な天津敏。
 渋い月形龍之介を脇役に配したら、その映画は文句なく光り輝く。その典型例。
 そして悪の黒幕に近衛十四郎。まあ父子対決を演出したのだろうが、ただ単に父子共演しただけでは、いささかギミックに欠けるのではないか。
 近衛十四郎の黒猫の演出はグッド。
 久保菜穂子は、天津敏と近衛十四郎の二股の悪女を演じて、絶品…と、言いたいところだが、工藤栄一は、女優の扱いが下手だからなあ(笑)。まあ水準。しかし久保菜穂子は、こういう路線でいいなあ。
 小川知子も硬すぎで。まあ、ハードボイルドな工藤には、清純派は、こんな扱いか。
 なお「警察内部に裏切り者がいる」という設定で、刑事の一人に菅貫太郎、って、そりゃ卑怯やないかい(笑)。

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by mukashinoeiga | 2017-03-25 01:10 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(0)

瑞穂春海「すれすれ」川口浩弓恵子川崎敬三春川ますみ宮川和子

期待外れの大凡作。60年、大映東京。
e0178641_2348866.jpg 神保町にて「生誕百五十年記念 文学を映画で愉しむ-夏目漱石と日本の文豪たち」特集。
 ハンカチ・タクシー(どうやら白タクのことらしい)という、なんだか確実性のない仕事で、それなりに日銭を稼ぐ川口浩と川崎敬三。
 ということで、イロイロな客との、細切れのエピソードが、団子状態で、展開する。
 このエピソードの、ほとんどが、詰まらない。ぬるい脚本に、だるい演出。

7. すれすれ (神保町シアターHPより)
S35('60)/大映東京/白黒/シネスコ/1時間31分
■監督:瑞穂春海■原作:吉行淳之介■脚本:長瀬喜伴、瑞穂春海■撮影:秋野友宏■音楽:池野成■美術:高橋康一■出演:川口浩、弓恵子、川崎敬三、宮川和子、三宅邦子、岸田今日子、東野英治郎
『原色の街』『砂の上の植物群』など、モダンな作風で人気だった吉行淳之介の同名小説を映画化。ドン・ファンだった亡き父に憧れながらも、もぐりのタクシーで生計を立てる冴えない男の恋愛修行。川口と川崎のコミカルな絡みは絶品!

 とはいえ、上の春川ますみは、かわいすぎないか。奇跡の一枚。
 川口浩が、春川とやっちゃって、春川が、「ねえ定期券買ってー。六か月分」と連呼するのが、可笑しい。川口は「せいぜい三か月分」と、値切るのも、可笑しい。
 逆に宮川和子を、川口が「結構いい女」というのは、納得いかないなあ(笑)。
 弓恵子は、潮万太郎の娘ということだが、逆に宮川和子のほうが、潮万太郎にクリソツで、ぼくはいつも宮川和子を見ると、ウシマンさんを思い出して、萎えてしまう(笑)。

 まだまだ若い川口浩は、笑顔がさわやかではない。後年のほうがさわやかって、どういうこと。
 白タクの川口、川崎が目星を付ける、歩道にたたずむ女たちの一人として、江波杏子が、10秒ほどのエキストラ。
 なお、この日は「すれすれ」を見て渋谷へ。感想駄文済みの「色事は俺にまかせろ」「地獄」。色事師(を志向する川口と、色事師そのものの上原)と、おまけに「地獄」という奇妙な因縁で。

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by mukashinoeiga | 2017-03-19 23:52 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(2)

松林宗恵「天國(天国)はどこだ」津島恵子沼田曜一木村功原知佐子金田正一

なんじゃあこりゃあ。56年、新東宝。
 渋谷にて「玉石混淆!? 秘宝発掘! 新東宝のディープな世界」特集。
 ひどさもひどし。
 例えば某ツイッターでは、

####@#### 5時間5時間前
松林宗恵『天國はどこだ』。泥酔した木村功が、沼田曜一に悪態をついた後、左隣の津島恵子にしなだれかかり、甘ったれた口調で弱音を吐いて膝に顔をうずめる、さりげないパンによる長回しは演出・撮影が一体化した名人芸。お化け煙突が見える干潟ロケが見事な傑作。

と、絶賛だが、映画弱者のぼくなど、ついぞ名人芸、見事さを感知できなかった。改めて、我が身の無知ぶりを知らされる羽目になった。

e0178641_5205717.jpg『天國はどこだ(デジタル)』1956年 (渋谷シネマヴェーラHPより)
監督:松林宗恵
出演:津島恵子、沼田曜一、木村功、原知佐子、阿蘇孝子、加藤嘉、金田正一(国鉄スワローズ)、町田行彦(国鉄スワローズ)、西村晃
暴力団に支配される東京湾の部落。医師の古沢は、保育園の昌子先生と共に変革に立ち上がる。そんな時、昌子の恋人の健が出所して…。無気力な大人、懐にナイフを忍ばせる小学生、馬券売りに駆り出される保育園児と、貧乏部落の殺伐描写に背筋も凍る。「俺にはこんなことしか…!」暴力しか知らずに育った健の叫びが心に痛い社会派ドラマ。c国際放映

 ちなみに今更ながら気づいたが、シネマヴェーラのHPには、チラシに乗っている、製作会社、上映時間、白黒かカラーか、脚本撮影等のスタッフ表記が、ない。
 そのままコピペすれば済むのに、ネットを馬鹿にしているのか
 限定された紙面のチラシより、情報量は膨大であることが可能なネットで、手を抜くって、どういうこと。
 さらに言えば、過去上映作品のページには、タイトルのみで、その他の情報が一切ない。終わった上映だから、労力は使いません、って朝日新聞か(笑)。
 他の名画座とは違い、無気力かつ根暗な声で、上映前案内をして、観客の意欲をそぐアナウンスといい、異様な映画館といってもいいだろう(笑)。

 で、本作だが。
 まず茫然自失なのは、ダブル主演の一人、木村功が、並み居るやくざたちをぼんぼん打ちのめす怪力男だということ。
 ひごろ、ひ弱な文系ダメ男を演じることの多い木村が、やくざ役というのが、すでに可笑しいのだが、だれ一人かなわない怪力のケンカ上等男というのが、もうダメなのよ(笑)。
 しかもクローズアップされれば、瞳に星(まあ、照明なんだけど)の、美青年仕様。いったいどうして、この木村功を、ケンカ上等男に設定しえたのか。
 もっとも、対立するやくざたちも、組長・加藤嘉、代貸・織本順吉、兄貴分・西村晃と、どう見てもやくざに見えない面々。
 ほぼ全員新劇VS新劇の、いかにも非力そうな(笑)やくざたち。これでは、木村功に毎度毎度叩きのめされるのも無理ない面々。
 ことに織本順吉など、何回も何回も、出会うたびごとに、木村に叩きのめされ、これでどうやって、組幹部としての体面、保てるのか。保てないだろう。
 兄貴分の西村晃も、毎度木村にいいようにボコられて、下っ端への示しもつかない状態。
 
 で、やくざとしての木村功も、????状態。
 どこの組にも属さない、一匹狼。何の後ろ盾も子分も親分もいない。これに、一応組織化している、加藤嘉組長のやくざ組織は、手も足も出せない。
 これが組長が、加藤嘉ではなく、天津敏か遠藤辰郎だったら、集団による闇討ち、恋人・津島恵子の略奪人質化など、木村をぎゃふんといわせる手はいっぱいあったろう。手ぬるすぎるぞ加藤嘉。
 というか、一匹狼の、流れ者でもない地域密着型の木村功が、厳密な意味で「やくざ」とカテゴライズできるのか(笑)という問題もある。
 ばくち、ケンカ、商店からのみかじめ料取得など、堅気ではないが、地域の子供らの面倒を見、住民への差別をとがめる、たぶん在日系のお兄ちゃん。
 現代ならば、シバキ隊などにかかわるようなハンチク野郎。

 東映仁侠/ヤクザ映画を見慣れたぼくたちからすれば、それ以前の、左翼リベラルな、いかにもお花畑映画で。これを見事、傑作という神経が、まるで理解できまへん。

 ただ、一点、誤解しないでいただきたいのは、名画座の使命とは、傑作も駄作も、ひとしく等価に上映すること。こんな駄作凡作を上映してくれてありがとう、という感謝の気持ちしか、ないことは、強調しても強調しすぎることはないだろう。
 それが歴史的価値というものだ。
 ただし、新作ロードショーなら、駄作は、許さないよ(笑)。作ったヤツは、馬鹿、とののしるよ(笑)。木村功みたいに、のしちゃうぞ(笑)。
 なお、原知佐子が、田原知佐子という本名でデヴュー作。大変愛らしいが、デヴュー作が売春婦というのも、新人女優としてはちょっと、優遇されていないかな、と。
 なお、男の子の名前はみんなパトリックだそうだが、本作での木村功は、ケンさん。ヒーローやくざの名前はみんな健さんなんだね(笑)。ちなみに本特集の企画者はシモケンさん(笑)。

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by mukashinoeiga | 2017-03-19 05:26 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(2)

中川信夫「地獄」天知茂沼田曜一三ツ矢歌子

前半快作、後半大凡作。60年、新東宝。
 渋谷にて「玉石混淆!? 秘宝発掘! 新東宝のディープな世界」特集。
 未見作の同時上映として、何度目かの再見。世評に反して、うーん、あんまり評価できないなあ。

e0178641_231335.jpg『地獄(デジタル)』公開:1960年 (渋谷シネマヴェーラHPより)
監督:中川信夫
出演:天知茂、沼田曜一、中村虎彦、宮田文子、三ツ矢歌子、林寛、徳大寺君枝、山下明子、大友純、三ツ矢歌子、大谷友彦、宮浩一、新宮寺寛、泉田洋志、津路清子、小野彰子、石川冷、山川朔太郎、嵐寛寿郎
不幸続きの大学生・四郎と周りの因果な人たちが死んで地獄行きとなる前半から、後半の地獄巡りへと物語は続く。特に父・剛造の皮剥ぎの刑は骨や内臓が剥き出しになるエグさで、そんな阿鼻叫喚の中を「許して下さい」と彷徨う四郎が哀れにも可笑しい。中川信夫が意図した和製『ファウスト』とエログロ路線がないまぜになった本作は、新東宝の解散寸前に咲いた仇花的傑作カルト映画だ!

 まず前半。
 中川信夫「東海道四谷怪談」は、鈴木清順映画の祖型だと思った。
 本作には、寺山修司映画の祖型を感じる。田舎の描写、田舎の老人ホーム、これには、明らかな、寺山ライクなティストを強烈に感じる。
 大の大人の天知、沼田の学生服姿、沼田のカットんだ演技にも、寺山の影響を感じる。
 中川信夫を通じて、鈴木清順、寺山修司にいたる、アヴァンギャルド日本映画の脈絡。

 なお、後半だが、某ツイッターに共感(以下引用)。

シネマヴェーラの新東宝特集、中川信夫の地獄を観るのは4度目ですから、結構細部を覚えていて、既に知っているという安心感からか、ちと油断すると睡魔に襲われ、何度か寝落ちしましたが、目覚める度にアングルの凝った画面や意表をつく編集が出てきて、中川の構図感覚・編集感覚に感心させられます。(以上引用終わり。文字変色は引用者たる当ブログによる)

 いやー、ぼくも何度見ても、後半の地獄シーン見て、寝ちゃうんですよ(笑)。
 つまり、ぼくにとって、後半の地獄シーンは、退屈な描写で。
 それとも、この地獄描写は、ぼくにとって、あまりに心地よすぎて、寝ちゃうのかな。地獄こそ、ぼくの本性か(笑)。
 おそらく超マジメな中川信夫が、どう見てもクレイジーな地獄描写をすることの齟齬。真面目な中川が、クレイジーな地獄描写をするから、みんな寝落ちしちゃうんだよ(笑)。
 たぶん石井輝男か鈴木清順なら、あるいは鈴木則文なら、面白く見られただろう。
 寺山修司でも、ダメだったかな。いや、ダメながら、見てみたいな寺山版地獄(笑)。

e0178641_326842.jpg なお中川の構図感覚・編集感覚ということであれば、吊り橋を上から見下ろすショットは、CG全盛の今なら簡単にパソコン上で「偽造」できるが、当時は、本当に吊り橋以上の撮影位置を確保しなければならず、これは相当苦労したのではないかと、推察。
 執念の素晴らしいショットだった。

 一人二役の三ツ矢歌子、大変愛らしいが、まじめな中川ゆえ、一人二役の意味がない。ここはやはり、石井、清順、寺山で見たかった。
 沼田曜一の、特異な演技はもっと注目されてしかるべきだろう。

【語り】屁たれ嫁こ 梅津幸三氏
2012/05/24 に公開 演題:屁たれ嫁こ 作:沼田曜一
語り:梅津幸三(劇団やまなみ)動画製作:ハロー山梨 YaYaYa TV
http://www.yayaya.co.jp/

 
【語り】山んば 梅津幸三氏
2012/05/24 に公開 演題:山んば 作:沼田曜一
語り:梅津幸三(劇団やまなみ)動画製作:ハロー山梨 YaYaYa TV

 
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by mukashinoeiga | 2017-03-16 23:02 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(2)

阿部豊「青春怪談」宇津井健安西郷子上原謙高峰三枝子

なかなか面白いラヴコメだが。55年、新東宝。
 渋谷にて「玉石混淆!? 秘宝発掘! 新東宝のディープな世界」特集。
 おばさんになっても可愛い、おばキュート(笑)な高峰三枝子と、軽いコメディ演技も何のそのの美中年・上原謙の、美中年カップル。
 戦前松竹メロの花形同志であり、のちのフルムーンコンビ。
 ただ上原が宇津井を評して「あんまり美青年すぎる。美貌の男なんてろくなもんじゃない」(大意)というのは、小笑いしたが、楽屋落ち演出としては、ちょっと芸がなさすぎかな。
 こちらは通常のラヴコメというか、日本的スクリューボールコメディとして、割かしサクサク流れていくが、問題は、その息子娘世代の宇津井健と安西郷子カップルだ。
 こちらは、ラヴコメとしてひたすら「停滞」していく。

e0178641_2272768.jpg『青春怪談(デジタル)』公開:1955年 (渋谷シネマヴェーラHPより)
監督:阿部豊
出演:上原謙、高峰三枝子、宇津井健、安西郷子、越路吹雪、丹波哲郎、三原葉子
母と暮らす合理主義者の慎一と父と暮らすバレリーナの千春。二人は親同士を再婚させようと…。獅子文六の原作を日活と新東宝が映画化競作。轟夕起子の怪演が凄い市川崑版に比べ、ポップなテイストの阿部豊版では、上原謙・高峰三枝子のシニア・カップルをよりフィーチャー。おかまのバーテン・丹波哲郎、メタボなバレリーナ・三原葉子ら脇役陣にも注目。c国際放映

 戦後新風俗としての男女逆転劇。その風俗コメディぶりは、戦後昭和というより、いささか平成の現代を先取りしすぎているきらいもあるが。獅子文六フライングのし過ぎという。
 男の方の宇津井健は、当時のベンチャービジネス?パチンコ屋を経営する傍ら、母子家庭で、料理一切、家政万端を賄う、スーパー男子。女子力も男子力もともに兼ね備えたスーパージャイアンツ(笑)。
 このレヴェルなら、通いのお手伝いさんも必要かと思うが、まあそこは省略。
 問題は、短髪も可憐な安西郷子だ。
 男っぽい豪快さ、「お姉さま」と慕うガールフレンドもあり、実は自分は男なんじゃないか、と自分のアイデンティティーに違和感を持つ。
 本来なら、宇津井健と結婚すべきなんだろうが、年下の女の子も大好き。そこで、いろいろもやもや。ちゃんと、ラヴコメとして着地できない。
 これは、相当新しい展開なのでは、ないか。
 それを、現代に相当先行して、1950年代に、やってしまった、先取り感覚。
 現代であったら「性同一性障害」で一発回答、解決済みな案件なのだが、いかんせんその一発回答ワードがないことの、悲劇。
 やはり同じくストーカーという一発回答ワードがない時代は、ストーカー行為に対する対応も何も出来なかった、その言葉が出来た途端、当事者の苦しみが、ある程度ではあろうが、理解されるようになったのだ。

 「性同一性障害」という一発回答ワードがないばかりに、タイトルにいうように、「怪談」と言わざるを得ない。当時これが、通常感覚レヴェルで、通常のラヴコメに落とし込めなかったがために、こちらは通常の「上原謙・高峰三枝子のシニア・カップルをよりフィーチャー」ということではないのかな。
 そういう視点で見れば、年上とはいえ、年下の宇津井健にぐいぐい迫る、爬虫類顔の越路吹雪とか、おかま風のバーテン丹波哲郎とか、さらにおかまっぽい建築デザイナーとか、これは先駆的な映画として、ゲイ&レズビアン映画祭で参考上映してしかるべきかとも思う。

 なお安西郷子が、父にそもそも「あたしに千春なんて男みたいな名前を付けるから」なんてセリフがあるが。確かに松山千春なんてのもあるけれど、現代のぼくたちの感覚では、充分に女性的な名前かと思う。この時代感覚の違いも面白い。
 ということは、最初「千春」は男性的な名前として認知されていたが、使用漢字や語感から女性的な名前になっていったということだろうか。
 「貴様」や「お前(御前)」が、使われていくうちに敬称から蔑称に変化したようなものか。「貴様」という敬称的漢字が使われているのに、蔑称になったのは、語感ゆえか。

 なお日活市川崑版同題作は、はるかかなたに見たので、もはや記憶のかなただが、

青春怪談


 成瀬巳喜男「山の音」で父子役だった、山村總&上原謙が同じ役というのも何かの因縁だが、山村にはやはり上原の若々しさが決定的にないなあ。
 もっとも、この時代にあっては、上原&高峰の年に似合わない若々しさのほうが、異常だったのか。現代から見れば、上原&高峰のほうが違和感がないのかもしれない。

     日活版   新東宝版
奥村千春・北原三枝  安西郷子
父鉄也・・山村聡   上原謙
宇都宮慎一三橋達也  宇津井健
母蝶子・・轟夕起子  高峰三枝子 (松竹)
船越トミ・山根寿子  越路吹雪 (東宝)
筆駒・・・瑳峨三智子 筑紫あけみ
藤谷新子・芦川いづみ 江畑絢子
芦野良子・三戸部スエ 千明みゆき
奥村敬也・千田是也
阿久沢・・滝沢修
小鎌田・・宇野重吉
奥村家の婆や北林谷栄 浦辺粂子 (大映)
品川ミエ子玉松ワカナ 三原葉子
バーテン・宮原徳平  丹波哲郎
刑事   高品格
記念館受付小田切みき 冬木京三
パチンコ屋の職人三島謙

e0178641_2284485.jpg 総じて日活版のほうが豪華だが、父子、母子は、新東宝版のほうがナイスキャストか。
 ちょっと日活版の父子には、若さがない感じ?
 いや、日活版のほうが記憶のかなただから、無茶な判定だが、父子は軽快度、母は若さ、娘はヘンタイ度(この当時は怪談度、今の視点で見れば現代度ですか)で新東宝の勝ちか。
 こうなると各社競作、リメイク比較の特集を期待したいが、まああまりにマニアックすぎて客は来ないか。
 例えば神保町シアターでA版、阿佐ヶ谷ラピュタでB版を同時開催、という夢のコラボ企画はどうか。この場合2本立ての渋谷は、逆にやや不利で。

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by mukashinoeiga | 2017-03-07 02:41 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(6)

小西通雄「可愛いくて凄い女」緑魔子問題(笑)

それなりに面白い、ルーティンワークのプログラムピクチャア。66年、東映東京。阿佐ヶ谷にて「ピカレスク スクリーンで味わう〈悪〉の愉しみ」特集。
 冒頭ぼんやり見ていたので(笑)いまいち絶対の確信はないのだが、まず最初に、
可愛い女
 と、タイトルが出て、共通する字はそのまま、
可愛いくて凄い女
 と、変化したように思う。
e0178641_645099.jpg なにゆえ確信がないかというと、実はあんまり緑魔子に興味がなくて、ぼーっと、見ていたせいか、と。
 所詮女性の好みなんて、ひとさまざまで、ある人が見ればキュートでも、他の人から見れば、何だブスじゃないか、と。
 痩せてる方が好き、いや太った方だ、と人間の好みのセンサー千差万別で。
 絶対的美人(それでさえ、好みじゃない、という輩は、絶対にいる)を、のぞいて、角度美人、雰囲気美人、フェロモン美人、ジャンル美人(例えば、小説家にしては、美人なほう、とか、まあ希少価値ですかね)、奇跡の一枚美人、さまざま。
 で、緑魔子は、表情美人、確かに表情によっては、なんとか可愛い、と。
 しかも、当時としては、かなり大胆なオンナの本音を体現できる、アングラ系女優にしては、実際キュートなほうだし、汚れ役をいとわない若手女優としては、かなり貴重な存在なのは、明らか。

 でも、好みじゃないんだよねえ(笑)。

e0178641_6454132.jpg可愛いくて凄い女ニュープリント (ラピュタ阿佐ヶ谷HPより)
1966年(S41)/東映東京/白黒/81分
■監督:小西通雄/脚本:舟橋和郎、池田雄一/撮影:山沢義一/美術:森幹男/音楽:八木正生
■出演:緑魔子、天知茂、城野ゆき、浦辺粂子、今井健二、大村文武、園佳也子、国景子、大坂志郎、山本緑、須賀良
緑魔子の個性と特異なテーマで人気を呼んだ“おんな番外地”シリーズの第三作目。キュート&コケティッシュな魅力が全開!天知茂との共演で、ドライに人生を楽しむ若い女スリを明るく演じている。ニュープリント上映。

 緑魔子、浦辺粂子、園佳也子は、無所で知り合ったスリ仲間。緑魔子のセフレにして、スリの師匠・天知茂の指導よろしく、宝石店詐欺に出世?
 しかし、後半は美人局のやくざ・今井健二が、緑のマンション隣の夫婦を脅迫するという全く別の話になり、まあ、テキトーな展開。
 いかにも、プログラムピクチャアらしいお気楽さと受けとるか、いい加減と受け取るか、まあぼくは前者だけど、まあ正直どうでもいいっちゃどうでもよい。
 天地茂は、いつものワンパターンなニヒル男。
 今井健二は、口のあたりに特徴のある顔なのに、くわえたばこで延々緑をいたぶるシーンでは、タバコで口が隠れて、特徴が消え、損してるんでないかい。
 また今井の手下が、浦辺粂子をどつきまわすのは、見ていていい気分のものではないな。事務所の机に浦辺粂子を押しつけ、お尻ペンペンには、唖然(笑)。

 ちなみにぼくが見た回は開映後数分ほど「カモとねぎ」のフィルムが誤って、流れた。館側が気づき、改めて本作が上映。
 ちらりとでも別の映画が垣間見え、ぼくは、どうってことなかったが、終映後、ラピュタは、この回の全員に招待券を配布。まあ、そこまでのことではないとは思うが。明らかに過剰行為だと思うが、一応受け取った(笑)。

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by mukashinoeiga | 2017-02-05 06:46 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(0)

野口博志「昼下りの暴力」中途半端な凡作

 中途半端な凡作だが。59年、日活。阿佐ヶ谷にて「ピカレスク スクリーンで味わう〈悪〉の愉しみ」特集。
 中途半端な凡作だと思うが、見た後、ネットで検索してみたら「ダントツ」「隠れた傑作」という、ぼくとは真逆な評価が大勢のようで、いまさらながらぼくの映画感覚のダメさが、再確認された(泣)。
 では、なぜ、ぼくが凡作と感じ、ある種の人たちが、「ダントツ」「隠れた傑作」と感じたのか。ぼくなりに、考えてみた。

e0178641_1244769.jpg昼下りの暴力 (ラピュタ阿佐ヶ谷HPより)
1959年(S34)/日活/白黒/82分
■監督:野口博志/脚本:秋元隆太、柳瀬観/撮影:永塚一栄/美術:小池一美/音楽:山本直純
■出演:川地民夫、筑波久子、水島道太郎、宍戸錠、稲垣美穂子、菅井一郎、弘松三郎、深江章喜、長尾敏之助、雪丘恵介、伊藤寿章
ボスを欺き、悪の泥沼に落ちこんだヤクザが血みどろの末路を辿る──。非情な兄貴分・水島道太郎、ファムファタールの筑波久子、不気味な殺し屋・宍戸錠。裏切りに次ぐ裏切りが、美しいモノクロ画面に繰り広げられる。

 きわめて奇妙な映画である。
 言ってみれば、日活無国籍アクションと、フィルムノワールの、異種格闘技戦、ないしは、ハイブリットなミックス、あるいは、そのいいとこどり、そしてしばしば、いいとこどりというのは、たいてい失敗するのですね。
 ある意味突き抜けた日活無国籍アクション(言ってみればアメリカナイズされたアクション映画への接近)へと至る過程の中で、フィルムノワール(フランス映画的なある意味「中途半端な」人間ドラマ的サスペンス)へ色目を使い、しかしそれは、明らかにベクトルが違うもののハイブリットを目指したがゆえの、失敗というべきか。
 日活無国籍アクションへと至る胚芽を内包しつつ、別系統にも欲目を出した、いわば、人類にいたる道とは枝分かれした、ネアンデータル人な映画かと。
 突き抜けた日活無国籍アクションとは相性の悪い「文学的」な設定、物語の、違和感。その「違和感」に、中途半端な映画的インテリが、ダントツとか、隠れた傑作とか、感じちゃううのでは、ないかと(笑)。
 いや、映画が好きでありつつ、映画的感覚の乏しいアタシの戯言と、ご笑覧あれ。
 
ラピュタ解説のいう、美しいモノクロ画面という永塚一栄の映像は、今回残念ながら、心に響かなかった。木村大作よりは美しいが、しかし木村大作よりいいということは、何の勲章にもなるまい。
 ダメな時の宍戸錠の例にもれず、今回の宍戸錠は、ひたすら気持ち悪かった。宍戸錠の、素の気持ち悪さを感じさせる日活アクションは、その時点でアウトだろう。
 筑波久子のファムファタールぶりは、今回も中途半端に、生かされなかった。
 川地民夫はいいが、この映画のティストで、最後に生き延びるのは、違うように思う。娯楽映画への妥協として、主人公が、生き延びた。こういうのは、明らかに、士道不覚悟だろう。
 こんな甘い結末で、「隠れた傑作」などと、言ってはいけなかろう。

 なお、水島道太郎に関していえば、ぼくはみちたろうと読むと思っていたのだが、山田宏一のマキノ本を改めて読んでみたら、どうたろう、と読むとのこと。
しかし、どうたろう、というのは、どうだろう(笑)。
 ぼくは、これからも、水島道太郎を、みずしまみちたろうと、読んていくことだろう。

★Movie Walker★に、タイトル検索で詳細な作品情報あり。簡単な作品解説、あらすじ紹介(企画書レヴェルの初期情報の孫引きゆえ、しばしば実際とは違うが)。

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by mukashinoeiga | 2017-01-27 01:23 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(7)