カテゴリ:映画版「事件記者」シリーズ( 8 )

「事件記者」「事件記者 真昼の恐怖」

山崎徳次郎「事件記者」
 阿佐ヶ谷にて。「事件記者 BUN-YA SPIRITS」レイト特集。59年、日活、54分。
 シリーズ第1作。
 東京日報の相沢<へいへい>キャップ(永井智雄)のもとに沢本忠雄、中央日々報の浦瀬<バッキャロー!>キャップ(高城淳一)のもとに山田吾一が、それぞれ新人記者として、配置される。10作に渡る日活版「事件記者」シリーズの、始まり。
 二枚目好青年の沢本(当時日活期待の若手、あまりにさわやか過ぎて?若手のまま、終わったか)と、食い意地の張った三枚目・吾一の好対照。
 品川駅で、関西から帰郷したばかりのヤクザの組長が、拳銃で撃たれた。実は、その際に問題のかばんも奪われたのだが、中身は大量の白い粉。このことは、警察には黙っている、病院の組長。
 組長を撃って、その隙にカバンを奪うふたり組み。
 これが宍戸錠と、野呂圭介。
 なんと、以後の日活アクションとは真逆に、野呂がガンマン、宍戸が、スキ狙いでカバンをちょろまかす役割。
 初期のみにありえた、意外で、新鮮な役回り。心もち、野呂がアニキ風を吹かせているのも、後の日活アクションを散々見続けた目には、なんとも新鮮で、可笑しい。
 ただしクレジットは、宍戸が三枚看板の一角で、野呂が大部屋のその他大勢の扱い。役回りでは対等以上だが、これがスタア候補と日活子飼い大部屋の差。
 一時間以内のタイトさで、小事件サスペンスは、簡単にできる。このTVサイズの物語を、何とか90分に引き伸ばすために、才能のない監督と脚本家は、たいへん苦労して、観客は観客で、水増しされた凡作を、退屈をこらえて、見続ける。そういうお互いの苦労(笑)が、逆によくわかる、引き締まったサスペンス小作だ。 

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山崎徳次郎「事件記者 真昼の恐怖」
 阿佐ヶ谷にて。「事件記者 BUN-YA SPIRITS」レイト特集。59年、日活、52分。
 シリーズ第2作。
 とても警視庁詰め事件記者の仕事とは思えないが、夏枯れの記事不足を補うため?新人の沢本忠雄記者が、写真部とともに、江ノ島の海岸めぐり。水着のカップルや、キスするアベックを、盗み撮り。まるで写真週刊誌波の三流取材だが、それをいいことに、映画は海岸の水着男女を撮りまくる。
 三流映画として、正しい。その海岸描写の、カメラワークも含めての、映画的楽しさ。
 さてそこで「貧血」で倒れ、死亡した若い娘から、話は、転がっていく。違法売血ビジネスの闇。
 以下、お定まりの展開だが、フォーマットをきっちり守って、上映時間分は、きっちり楽しませてくれるのは、言うまでもない。

★事件記者 真昼の恐怖|Movie Walker★

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by mukashinoeiga | 2014-02-09 13:18 | 映画版「事件記者」シリーズ | Trackback | Comments(0)

「事件記者 時限爆弾」「事件記者 狙われた十代」

山崎徳次郎「事件記者 時限爆弾」
 阿佐ヶ谷にて。「事件記者 BUN-YA SPIRITS」レイト特集。60年、日活、49分。
 シリーズ第7作。東京湾で、貨物船が、謎の眼帯男により、爆破沈没した。
 この特撮シーンが、この当時としては、迫力のリアル。水周りの船舶特撮は、後年の円谷特撮でも、ちゃちくて、アラが目立つのだが、やはりミニチュア特撮は、白黒に限る。
 おなじみの事件記者の面々が、被害企業に取材をかけて、警察に先行するのか、でも結局並行するのか。
 伊那ちゃんこと滝田裕介の、一連の結婚エピソードも、「解決」してくると、記者の個人エピもなくなり、山田吾一も新人ではなくなり、新人ネタもつき、作っているほうも、見ているこっちも、マンネリとなってくる。
 事件を垂れ込む女スリ・楠侑子の、はじけっぷりがナイス。

★事件記者 時限爆弾|Movie Walker★
 このMovie Walkerでは、女スリから電話で垂れ込みを受けたのは、ムラチョウこと村田刑事部長となっているが、映画では、ウメチョウこと梅原(田?)部長刑事(深水吉衛)だったような? そもそもこの第7・8作に、あの渋い名物デカ長ムラチョウは出ていない。

山崎徳次郎「事件記者 狙われた十代」
阿佐ヶ谷にて。「事件記者 BUN-YA SPIRITS」レイト特集。60年、日活、47分。
 シリーズ第8作。ハイティーン・グループの、公道バイクレースが、巻き起こす事件。
 といっても、ハイティーンを演じる俳優たちが、どう見ても二十代にしか、見えない。ちょっと薄ら寒い、キャスティング。まあ、バイクを乗りこなせる役者をかき集めたら、こうなったということか。
 しかも、当時のバイカー・ファッションが、いまから見たら、若々しさのない、おっさんスタイル。とても、不良ヤングには、見えず。
 日活本流の裕次郎路線の、最先端風俗の衣装、美術を、導入すべきところを、日活傍流の、地味シブおっさんスタッフのみで、細々淡々と作ったと思しい。
 もっともティーンの深夜遊びを、裏で操るのは、ヤクザ崩れの草薙幸二郎。その情婦に、四角い顔の小園蓉子。ティーンを食い物にする裏町のプロデューサー、出自がわかりやすいキャスティングで。
 このちまちまとしたシリーズに、前作の時限爆弾事件などという「大物」より、こういう「小物」の事件のほうがあうことは、言うまでもない。
 記事枯れの日に、こういう「ちんけ」なひき逃げが、あっただけでもマシか。へいへい、学生がひき殺された、ちんけなひき逃げで、明日の朝刊(アサカン)は、お茶を濁しましょ、ああ、今夜こそは、派手な殺しがねーかなー、と、相変わらず、「事件が飯の種」、殺された被害者を、明るく冗談にして待望する事件記者たち。

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by mukashinoeiga | 2014-02-06 10:04 | 映画版「事件記者」シリーズ | Trackback | Comments(0)

「事件記者 仮面の脅迫」「事件記者 姿なき狙撃者」

山崎徳次郎「事件記者 仮面の脅迫」
 阿佐ヶ谷にて。「事件記者 BUN-YA SPIRITS」レイト特集。59年、日活、57分。
 シリーズ第3作。1/24(金)まで上映中。
 新聞には避けられない、誤報・冤罪モンダイを扱うが、新聞社が、いかに誤報謝罪記事を小さくしようとしているか、そのあからさまな独善性を暴きつつ、しかしそこはブン屋の物語だから、この「冤罪」が実は、仕組まれたものだ、というツイストを効かせ、背負い投げ的鮮やかさ。
 そのお詫び記事を大きくしろ、というのには、前例がないと完全拒否しておきながら、ラジオで社会部デスク清水将夫らが、呼びかけ。宣伝車も都内に走らせる。
 大掛かりな取り繕い策を展開する、本末転倒ぶり。力点の置き方が、明らかに、違うだろという。
 悪い病院事務局長を演じる垂水悟郎の、白黒画面に生える、渋さよ。そのマスクと声。
 その愛人兼悪の片割れの、橘侑子も、絶美。顔があまりにハデハデ美人なので、わが国では、悪女・妖婦専門にならざるを得ない美貌。
 相変わらず多くの新聞記者、刑事たちを裁き、中篇に収める手腕は、見事。伊那ちゃん(滝田裕介)今回は婚約者とデート中も、ラジオニュースを耳に挟むや、彼女を置き去りにして現場急行。

◎例によって、以下に、詳しいあらすじ、スタッフ、キャストが載っていて、助かる。
★事件記者 仮面の脅迫|Movie Walker★

山崎徳次郎「事件記者 姿なき狙撃者」
 阿佐ヶ谷にて。「事件記者 BUN-YA SPIRITS」レイト特集。59年、日活、51分。
 シリーズ第4作。1/24(金)まで上映中。
 高級アパート「大森スカイハイツ」に押し込み強盗の、若いアベック強盗。しかしスカイハイツというようなネーミングセンス、いまも昔も変わらんのう。
 大森の高級アパートと、犯人たちが仮の宿の、蒲田の二段ベッドのドヤ。対比が効いている。
 その高級なほうに、囲われているのが南風夕子。囲い主が、深江章喜、日活常連悪役の珍しいキスシーンあり。
 南風夕子、その後急速にオバサン化する彼女が、なんと意外なことに、目の覚める美貌。女優メイクのさえたこと。
おばさん化に伴い、すっぴんメイクに徹していたものか。完全武装?フルメイクと、すっぴんメイクでは、かなりの差があるタイプと、見た(笑)。
 深江章喜、珍しくラヴシーンのある普通人の役か、と思わせて、実は小ヤクザの組長、南風のアパートに隠していた前科(マエ)もちの拳銃を、宝石類と一緒にアベック強盗に、盗まれてしまうが、もちろん警察には、何もとられなかった、というしかない。
 アベックの女のみ捕まり、残された幼稚男は、幼稚な方法で警察を脅かすしかない。ここから話は、転がっていく。
 動揺する幼稚男は、思わず電話で、菅(スガ)ちゃん(相変わらずさわやか好青年の沢本忠雄)に電話で悲鳴を上げるが、そこで沢本の言うのは、
「俺を信じてくれ。いや、新聞を信じてくれ」
 いま、新聞を信じるのは、誰もいない。時代やねえ。もっとも、その割には当方、毎日読んではいるが(笑)。
 幼稚男が身を寄せるあいまい居酒屋の、下衆なおかみに田中筆子。これも、例によって、いいなあ。
 なお、多摩川の遊園地の飛行塔、塔からつるされた擬似飛行機がくるくる回る、今はないアミューズメント遊具。そこに乗って話し合う犯人と、沢本。その撮影がたいへん美しい。
 もっともこの乗り物、安全柵などほとんどなく、ちょっとよろめいただけで空中に転落しそう。いまならありえない、ワイルドさ。

 相変わらず多くの新聞記者、刑事たちを裁き、中篇に収める手腕は、見事。渋い脇役俳優たちの、なんとも味のある演技とマスク。前作でゲスト出演的に登場した、所轄サツ周り専門の高原駿雄、今回は警視庁記者クラブ詰めのレギュラーに昇格。
 さらに、安心の味を追加した。
 なお、高原駿雄、つい最近見たばかりの山田洋次「虹をつかむ男」では、ほとんどせりふのない、存在感の薄い田中裕子の老父役。しかし、その死によって、田中裕子の運命を、決定的に変えてしまう役だった。
 伊那ちゃん(滝田裕介)今回は婚約者、キャップの永井智雄ともに、仲人への挨拶に行くはずが、例によって現場のはしごで遅れに遅れ、婚約者はぷんぷん。

◎以下のあらすじでは、犯人をハイティーンと称しているが、映画の指名手配コールでは、21歳と。しかし、性格も犯行も幼いことには、変わりない。
★事件記者 姿なき狙撃者|Movie Walker★

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by mukashinoeiga | 2014-01-22 12:47 | 映画版「事件記者」シリーズ | Trackback | Comments(0)

山崎徳次郎「事件記者 影なき侵入者」

 阿佐ヶ谷にて。「記者物語-ペンに懸ける」特集。62年、日活。
 フォーマットはいよいよ崩れ、禁断の領域(!)に踏み込んでくる。
 発端。各社の記者たちが、呉越同舟で、印旛沼に行き、鴨撃ちを楽しんでいると、ドザエモン発見、すわ、殺しか、という。その報を受けて、桜田記者クラブのメンメンも、色めき立つ。

 お話変わって、「丸福金融」のある支店の、支店長、男性社員、女性社員の三人に、同じ脅迫状が、届く。この三人、一年前に、電車内のスリ逮捕に協力した、お手柄、ということで、当時新聞報道された。この新聞には、お手柄の三人の住所氏名がばっちり載っていたため、スリが出所後、お礼参りという図式で。
 これにびびった、男性社員が、酔っ払った上、記者クラブに怒鳴り込んでくる。「お前たち新聞が、住所氏名を載せるから、お礼参りされるんだ」と。
 おりしも、その夜、支店長が、何物かに殺害される。
 こりゃあ、新聞が引き起こした事件か、われわれ記者にも責任アリかも、と、各社共同戦線で、取材も、一致して行う協定を結ぶ。

 つまり、これまで、各社抜きつ抜かれつ、わが社独自のスクープを狙い、ましてや、自分とこの新聞だけが、特落ちなんて、大恥だ、と競争してきた、記者クラブの面々が呉越同舟! 
 しかも部長刑事と、記者が一緒に深夜の金融会社事務所を訪ね、支店長の死体を発見する。つまり、記者と警察も、完全一体化!
 もちろんドラマだから、冒頭のドザエモンと、支店長殺しは結びつくのだが、それ以上に、抜きつ抜かれつのライヴァル紙の各社が協力し、警察と記者も一体化! 記者クラブの馴れ合いも、きわまれり?
 もはや、事件記者と警察の垣根は崩れ、なあなあ状態。
 たしかに、ともに事件の真相を追う、という新聞記者も、警察の刑事も、似たようなことをしていたら、馴れ合っちゃうよなあ、と。でも、それは、新聞記者としては、明らかに、一線を越えた、というところだろう。警察批判なんて、ハナから、出来なくなってしまう。
 本作は日活「事件記者」シリーズ第10作目にして、最終話。マンネリになって、フォーマットは、自然に、崩れていく。なお、のちに松竹で「新・事件記者」シリーズも、始まるのだが。

 永井智雄はじめ、各社の面々、警察、事件の被害者たちと、相変わらず、地味な脇役俳優たちの、渋い演技は、相変わらずで、楽しい。特に部長刑事役の俳優は鈴木清順「ツィゴイネルワイゼン」藤田敏八の声に劇似で、その声を聞くたびに、何とはなしにうれしい。
 このシリーズ、NHKのドラマから出発しているのに、記者も、犯人も、山崎パンの新発売のレーズンパンや、強力ワカモトやら、風邪薬やらを、実名で推奨、愛用する。ドラマ内タイアップCM多数。馬鹿馬鹿しくて、受ける。民間は、なにやら、せわしないのお(笑)。
 人の不幸を舌なめずりで報道し、実名記載で、さらに事件を生み出す、その自覚に欠ける新聞記者たち、本当に無自覚なのが、今の視点で見て、もはや爆笑の領域ではある。ドラマ自体は、こじんまりとまとまった良作なのではあるが。
◎追記◎「映画流れ者」にて、Heroさんから、ご指摘いただきました。「新・事件記者」シリーズは、松竹ではなく、東宝系東京映画でした。監督が松竹の人なので、勘違いしました。訂正します。なお、ついでに言えば、ラピュタ阿佐ヶ谷では、3/25から、東京映画の大特集あり。未見作をひろって、見ようかな、と。

◎追記◎
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by mukashinoeiga | 2012-03-18 09:13 | 映画版「事件記者」シリーズ | Trackback | Comments(0)

山崎徳次郎「事件記者 拳銃貸します」

 阿佐ヶ谷にて。「記者物語-ペンに懸ける」特集。62年、日活。
 シリーズ第9作。ランニングタイムも、50分台から、67分に、ビミョーに伸びて、やや、大作感?
 やけになった、違法白タク稼業のチンピラふたり組みが、夜の屋台で、ぐちぐち。
 おばさん一人の、屋台。
 いっそ、この屋台、襲っちゃおうか。ふたりが身を乗り出したところで、屋台のおばさんは、なんと意外にも、拳銃を取り出す(笑)。あんたら、甘いで。
 あんたら、今夜12時までに、一万でヒストル貸すよ、強盗でも何でも好きにしな。
 ちんぴら、被害者にまっしぐら。前作は、郵便局だったが、今夜は質屋だぜ。
 つまり、犯罪者、犯罪用拳銃供給者の、大人の事情に多少なりとも時間を割き、時間が延びた分、非・事件記者描写が、増えたのか。しかし、フォーマットを崩し始めたということは、マンネリと同意語なわけで。
 屋台のオバサンに、大部屋の新井麗子をフィーチャー。地味な役者を、犯人側でフィーチャーする手法は、現代のTV「相棒」にもつながる、おなじみの手で。

◎追記◎
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by mukashinoeiga | 2012-03-17 01:01 | 映画版「事件記者」シリーズ | Trackback | Comments(0)

山崎徳次郎「事件記者 深夜の目撃者」

 阿佐ヶ谷にて。「記者物語-ペンに懸ける」特集。59年、日活。
 NHKTV大ヒット・ドラマ「事件記者」の映画化シリーズ第六作目。
 この特集では、
「事件記者」「事件記者 真昼の恐怖」「事件記者 仮面の脅迫」「事件記者 姿なき狙撃者」の第一~第四作は、見られず。
 第五作「事件記者 影なき男」は、見たが、それなりの出来。短いので、見られるけど。
 以上全て、50分台の中編、白黒シネスコ、監督山崎徳次郎、59年の作、6作が一年間に公開されたようで、まさしく、TVサイズのスケールというべきか。
 本作は、犯人役として野呂圭介をフィーチャー。日活アクション映画の名物大部屋俳優、たいていは、1・2分のみの出演で、弱いヤツにはデカい態度をとり、裕次郎などに出会うと、瞬時に叩きのめされるチンピラ専門。鈴木清順映画に限り、きわめて重要な脇役としてひょうきんなコメディ・パートで重用され、清順映画のひとつのアイコンとなった。のち、TVドッキリカメラで<プラカードを持った出落ち男>として、注目されるのは、別の話。
 その、野呂がたてた、郵便局強盗の、計画が、馬鹿馬鹿しく、チミツ。
 相棒のイケメン青年に、中野の郵便局住み込みの娘と、デートさせるところから、計画が動きだす。なお、この郵便局は、ちいさな個人経営の局、二階に局員の娘ふたり、一階の奥座敷に、青年局員が、起居をともにしている。
 イケメンは、娘にショートケーキを、渡す。イケメンには、12個のショートケーキ全てに睡眠薬を仕込んであると、説明。住み込みの全員に睡眠薬ケーキを食わせ、熟睡した深夜に、郵便局に忍び込もうという寸法。
 イケメン君は、ケーキを今日食わなかったら、とか、全員食わなかったら、意味ないだろうという、スルドい突っ込み。頼りない計画だよな。
 しかも、野呂、プレゼント渡し役のイケメンには黙っていたが、入れたのは実は睡眠薬ではなくて、致死量以上の青酸カリ。こりゃ、強盗というより、三人に12個のケーキだから、当時のことだから、近所やお客におすそ分けしたら、大量殺人じゃないか(笑)。強盗としては、コストパフォーマンス悪すぎだろ。
 そして実際(笑)。
 プレゼントをもらった娘は、地元駅のバス乗り場のベンチで、同僚女性と駄弁っているうちに、ベンチにケーキを忘れてしまう! それを拾い食いしたタクシー運転手が、青酸カリ死で、事件が動き出す。
 結局計画がおじゃんなのを知らないまま、野呂とイケメンは、深夜の局を襲撃。物音に起きてきた青年局員を刺殺。
 いかにも粗暴そうなノロケイの役なのに、妙にチミツ過ぎる計画、しかし実際は、アナだらけの、甘すぎプランのハチミツさ。
 では、あるのだが、なんせ532分のランニングタイムだから、きわめて小気味よく見れてしまう。結果快作。レギュラー人の役者たち、チームワークも含めて、みな、素晴らしい。

 毒殺と郵便局強盗致死が同時に発生して、警察と、事件記者たちは、大騒ぎ。この記者たちは、警視庁記者クラブ、その名も桜田クラブの面々。現代では、記者クラブなるものの弊害のみが知られるが、このドラマでは、警察と新聞の美しき連帯が、大真面目で賞賛され、持ちつ持たれつ。他人の不幸、事件被害者の不幸を、記者クラブで、和気アイアイと駄弁りながら深夜でも待ち、いざ事件が起きると、目を輝かせて、現場に赴く。社会の木鐸なんていいながら、ハイエナみたいな、新聞記者の生態。それが、全面的に肯定されているのが、時代だよねえ。

◎追記◎
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◎追記◎
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by mukashinoeiga | 2012-03-09 00:24 | 映画版「事件記者」シリーズ | Trackback | Comments(0)

井上和男「新・事件記者 大都会の罠」

 神保町にて。「映画少年の夢」特集。66年・東宝。
 当時の人気TVドラマの、映画化第1弾。上映順が逆だったので、先に見た、映画化第2弾の井上和男「新・事件記者 殺意の丘」がよかったので、期待して見たら、つまらない凡作でした。
 清涼飲料、その名も「Qポン」の、宣伝ショーで配られた見本品に、毒が入れられ、集団食中毒。さらに、より毒の強いQポンで死亡事件も。死んだ娘の妹に、大空真弓。取材に通ううちに、親身に相談に乗る、三上真一郎記者。
 まあ、Qポンの会社の社長が、金子信雄なので、おのずと、犯人は、わかってしまうのが、痛いところ。後半は、いささか、荒唐無稽な追跡劇になり、<リアリズム>は消えて、つまらない映画に、なっていく。
 なお、本シリーズ音楽は、TV以来のスタッフで、渡辺岳夫。先ごろ亡くなったナベタケ音楽は、ジャズを基調にした、軽快なBGM。脇役辞典的には、隣家の若水ヤエ子が、いつもながら、グッド。

●追記●おお、そうだ。毎度毎度テキトーに書き流しているので、いつも、肝心なことを書き逃す。この凡作の、唯一のキモも、書き逃すとこでした。
 事件解決後、警視庁記者クラブに、大空真弓が、お世話になりました、とお土産の菓子持参でやってくる。いや、記者の皆さんが、被害者遺族にお世話したかどうかは、はなはだ疑わしいが、たぶん、大空としては、その記者のなかの三上青年に、ピンポイントだろう。残りの記者連は口実で。
 ちなみに三上真一郎、その立ち位置の感じからして、TV版のレギュラーではなく、映画化に際して、恋愛要員として、追加されたのではないか、という、オリジナルTVドラマを知らぬ身で、推測。しかし、この頃のTVドラマは、もう、永久に、見れないのだろうか。
 東宝映画ながら、監督も三上も松竹がらみ。その他レギュラーも含め、映画会社的には、各社混合の脇役たち。この脇役中心の混成部隊が、TVドラマに成功をもたらしたのだろう。
 そうそう、この映画のキモ。大空は記者たちに取り囲まれ、ちやほや。ところが、各社に次々入電。新たな事件の発生。
 みんな、急いで、出て行く。肝心の三上も、率先して取材に。
 無人の記者クラブで、大空真弓は微妙にほほ笑み、やがて、去っていく。そこで、エンド。
 ああ、この、ビターなエンドが、決まらない。決まらないところが、凡庸な井上バンの限界なのだろう。これが、たとえば、鈴木英夫ならね。

◎追記◎
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by mukashinoeiga | 2010-07-22 21:29 | 映画版「事件記者」シリーズ | Trackback | Comments(0)

井上和男「新・事件記者 殺意の丘」

 神保町にて。「映画少年の夢」特集。66年・東宝。
 当時の人気TVドラマの、映画化第2弾。これが意外といい。
 小味な小佳作。松竹出身の、井上和男としても、ぼくが見た中で、一番の出来か。
 冒頭、漫才のWけんじが、ペンキ屋にふんし、だべりながら、一軒家の別荘の屋根にペンキを塗る、というか、単に、だべってる(笑)、この家のよからぬ評判の主人のことなど。しかし、ペンキ屋の知らないことは、この家の中で、主人を含め、三組六人のカップルが、謎のガス中毒死を遂げているのだ。事故か、事件か。
 いまや悪評しかない、記者クラブ制度、警視庁の記者クラブでは、A社の永井智雄キャップに電話。他社も聞き耳を立てる。
永井キャップ「いやあ、田舎から急に親戚が六人上京してね、家内には、とりあえずビールを買っておけ、と言っておいたよ」 しかしA社のスタッフには、急がず騒がず、暇話。
 続いてB社のキャップにも電話。「イヤー、うちにも六人の親戚が来てねー」と、いやみ。
 残る他社は、うちには何で電話がないんだ、とざわつき始める。
 やがて、A社B社は、社旗はためく専用車で現場に急行。残る他社は、おろおろしながら、「あの車を追え」。
 かくて、別荘での六人殺し?事故?の、取材合戦が、始まる。
 現地に通信員がいる社は、早速地元旅館に、現地本部兼宿舎を立ち上げる。通信員がいない社は、旅館を確保できず、連れ込み旅館で、男の記者が一緒のベッドとなる。
 元は、本社づとめ、かの226事件のスクープもある、わけあり記者・芦田伸介が、いまは、しがない地元通信員。すばやく、町のバーから、別荘に例の六人を運んだ、タクシー運転手二人を確保。重要証人として、警察が探し回っているのに、独占取材をしたいがために、旅館にかくまう。いや、これ厳密に言えば、公務執行妨害だろう? しかし、シブかっこいい芦田伸介の、さまになっていることよ。
 取材記者に、原保美、滝田祐介、園井啓介、昔好きでした朴訥山田吾一、それに、必ず「~じゃよ」という老人・大森義夫、刑事に藤岡重慶、など。みんな、当時のTVでおなじみの面々。それ以外の、今は、見当もつかない、脇役役者も、なにげに、いい。
 ちょっとしか出てこない、記者たちが常連の居酒屋女将・坪内美詠子、喫茶店マスター清水元も、TVのレギュラーか。記者モノに出てくる喫茶店マスターは、モチロン、元記者であるのは、お約束(刑事モノに出てくる、喫茶店マスターは、必ず、元デカだ)。清水元は、いつも少ししか出てこないが、出てくれば、必ず、うれしい。いや、この映画には、そういう人たちばっかりが、出てくるのよ。
  先ほどの運転手たち二人が、やはり、怪しい、ということになる。富田仲次郎と、福田豊士だ。いやあ、このふたりも、見てるだけで、いいのよ。とくに富田仲次郎が、こんなにフィーチャーされてる、それだけで、うれしくなる。山本薩夫などの左翼映画で、無実系の善人役をやることも多い福田豊士が、しっかり怪しい(笑)のが、楽しい。
 福田の妻に、井上バン監督も、松竹以来の、瞳麗子。おそらく、彼女の代表作。
 つまり、結局、これはガス栓を操作した殺人なのだが、その被害者のうち、不明だった一人をA社が特定する。新聞の見出しに、でかでかと、「不明者は三国人の保険外交員」と、出る。その娘・松尾嘉代(おそらくはたち前)が、「新聞に母親が三国人と書かれて、あたしたち姉妹は、就職を断られた」と抗議。「確かに、母は三国人でした。でも、新聞に、大きく書かれて、あたしたちの人生は」。
 自分の記事のせいで人生が狂った。悩む原保美記者。そこに、不意に響く、チンドン屋の音楽。井上バン監督としても、小津の宣伝マンである彼が、実は成瀬ライクである?という、すぐれたシーンで。
 わけあり芦田の娘に、大空真弓。なかなかいいんだよね。やはり、彼女は、松竹に行ったほうがいい女優だったよね。
 このほか、警察署長永田靖、刑事・梅津栄、稲葉義夫、松本克平、殺された伊沢一郎、その妻三戸部スエ、保険会社・浜田寅彦、人質になる菅井きん教師、まるで脇役事典みたいな映画だ。
しかし、記者クラブの面々、自分では取材もせず、将棋囲碁で暇をつぶしながら、ひたすら電話待ち、って、暇な記者さんよなあ。

◎追記◎
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by mukashinoeiga | 2010-07-21 23:38 | 映画版「事件記者」シリーズ | Trackback | Comments(0)