2016年 01月 13日 ( 1 )

三隅研次「大菩薩峠」「大菩薩峠 竜神の巻」

 京橋にて。「映画監督 三隅研次」特集。ともに60年、大映京都。
 雷蔵版「大菩薩峠」の、第一部と第二部の上映。完結篇の第三部は、監督が森一生に替わっているので、今回は上映なし。って、殺生な(笑)。三隅と森の違いを参照すべく、参考作としてなぜ上映しない。
 しかし、この三隅二作、傑作とはいわないが、異様な快作である。
 三隅であり、雷蔵であることから、「眠狂四郎」シリーズとの親近性も感じられるが、時によいこともする狂四郎とちがう、甘さのない眠狂四郎といったような味わいも。

e0178641_0592425.png大菩薩峠(106分・35mm・カラー) <フィルムセンターHPより>
1960(大映京都)(監)三隅研次(原)中里介山(脚)衣笠貞之助(撮)今井ひろし(美)内藤昭(音)鈴木静一(出)市川雷藏、山本富士子、本郷功次郎、中村玉緒、島田正吾、菅原謙二、根上淳、笠智衆、丹羽又三郎、見明凡太朗、阿井美千子、真塩洋一
これまで大河内伝次郎と片岡千恵蔵が演じてきた虚無的な剣士・机龍之助に、雷蔵が挑んだ3部作の第1作。剣の強さを追い求め、女の操を奪いながら人斬りを続け、次第に精神の均衡を崩していく龍之助という人物の具現化は、三隅と雷蔵両者のキャリアにとって重要な転機となった。

 峠で巡礼の老人を辻斬り。中村玉緒を拉致させ、犯す。こういう悪党を主人公にした映画が、なぜ作られ続けたのか。東映などの「明るく清く正しいヒーロー」像だけでは、やはり、飽き足らない、そういうピカレスクロマン志向か。
 一貫して「大人の味」の大映が、 「眠狂四郎」シリーズとともに、このダーティーヒーローに目をつけたのも、むべなるかな。「眠」「机」と、珍しい一字苗字も、共通している。
 クールビューティな雷蔵も、このような酷薄美剣士にマッチ。
 ネコの目美人、その婀娜な流し目は、清純派ビッチというべき中村玉緒の専売特許というもので。かくて、雷蔵がサゲチンなのか、玉緒がサゲマンなのか、このふたりが結びつくと、どんどん負のスパイラルに陥っての、
e0178641_0595668.jpg大菩薩峠 竜神の巻(90分・35mm・カラー) <フィルムセンターHPより>
1960(大映京都)(監)三隅研次(原)中里介山(脚)衣笠貞之助(撮)今井ひろし(美)内藤昭(音)齊藤一郎(出)市川雷藏、山本富士子、本郷功次郎、中村玉緒、片山明彦、小堀阿吉雄、近藤美惠子、藤原礼子、見明凡太朗、石黒達也、嵐三右ヱ門
シリーズ第2作。龍之助は、伊賀上野で天誅組と出会い同行するが、幕府軍に追い詰められる中で爆薬のために失明してしまう。竜神村へと1人逃れ、一層自身の心の闇に囚われていく龍之助の前に、彼を慕うお豊(中村)、そして彼に兄と兄嫁を殺され復讐心に燃える宇津木兵馬(本郷)が現れる…。

 何の毒に迷ったのか、相変わらず狂気の美剣士・雷蔵。主人公なのに、物語を混沌とさせるばかり。
 ここで、物語を転がすのは、雷蔵の妻(死亡)と、瓜二つの娘・中村玉緒に横恋慕の、片山明彦。
 よわっちいくせに、女程度なら簡単に犯せる、という究極のダメ男。こんな片山に簡単に殺される山賊男・須賀不二男の、オマヌケよ。
 また、運命を翻弄されっぱなしの、巡礼娘の成れの果て・山本富士子。

 主人公の机龍之介は、ホントウに何にもしない、ただただ人を斬るばかり。なのに、周囲の男女の運命は、変転していく。究極のサゲチン男。おそるべし机龍之介。
 なお、三隅映画の常にして、映像は、ホントウに流麗。一個の美術品なり。

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by mukashinoeiga | 2016-01-13 01:01 | 三隅剣児女なみだ川と大魔剣 | Trackback | Comments(0)