2016年 01月 04日 ( 1 )

ヒッチコック「暗殺者の家」

 渋谷にて。「シネマヴェーラ渋谷10周年記念1 映画史上の名作14」特集。34年、イギリス。
 昨年末のシネ納めの一本。冒頭からしばらく、ピントが甘い。タダでさえ経年劣化の16ミリフィルムなのに、ピントが甘いとは最悪。画面ボケボケ。
 映写技師は気づきもせず、大勢の観客は、羊のように従順に傍観している。
 しょうがないので、場内を出て、受付譲に通報。すぐに、改善されたが、こういうことは、前にもあった。
 35ミリフィルムは、みなさんご存知のとおり、フィルムの両側に、ヒトコマあたり4つの穴があり、比較的しっかりと「カム」されている、ところが16ミリフィルムは、ヒトコマあたり1つの穴が片側にあるのみ。
 特に経年劣化して、ペナペナになった16ミリフィルムは、要監視対象。絶えずピンボケする可能性のある危険物件。
 歴代ヴェーラ映写技師の、怠慢は否定したいが、イマドキこんな古色蒼然の16ミリフィルムをかけようという映画館もまれだからねー。そこは、覚悟を持って、映写してもらわないと。
 さて、フィルムも、古色蒼然だが、映画自体も、古色蒼然。

e0178641_5551084.jpg『暗殺者の家 The Man Who Knew Too Much(16mm)』
監督:アルフレッド・ヒッチコック 公開:1934年
主演:レスリー・バンクス、エドナ・ベスト、ピーター・ローレ、ピエール・フレネ、ノヴァ・ピルブーム
ピーター・ローレの不気味な悪役ぶりと、クライマックスのアルバート・ホールでの銃撃戦が見どころの、ヒッチコック英国時代の佳作。後にハリウッドで、ヒッチコック自ら『知りすぎていた男』としてリメイクした。

 映画は、エロティック映画、サスペンス、ホラーの順で古びていく。サイレント映画も、まさに、そう。
 絶えず刺激の強度が更新されていくので(まあ、それも、今では、頭打ち)よほどの傑作でもなければ、昔の映画は低刺激。
 コメディ、アクション、人間ドラマなどは、比較的古びない。SFは、ファンタジーから、カルト的ファンタジーに移行し、スベった設定も、ギャグとして、愛玩されよう。
 時代劇、ファンタジーは、もとより古色蒼然の「衣」を帯びているので、比較的、古びようがない。

 で、ヒッチコックだ。
 ぼくには、もうかなり前から、そう、かつての映画ファンが必ず持っていたという例の、トリポン「ヒッチコック/トリュフォー 映画術」が、出たころかなあ、そのあとかなあ。
 ぼくもたいへん楽しく読んだ同書だが、ある映画ファン女性の述懐に大爆笑。
「ボーイフレンド(たち)の部屋に行くと、必ずあるんだよね、あのデカい本が」
 まあ、あのサイズですから、目立つんですよね。閑話休題。

 あの本は刺激的で面白くても、そうはいっても、ヒッチコックの賞味期限て、もう、切れているんじゃね?と、思っていた。
 最晩年の、遺作なんてものも、かなり時代からずれた、時代に取り残された、のんびりした凡作で。

 本作も、すでに、そう。ロウティーンの娘が誘拐されているのに、父親は、なんだか、余裕ブッコいている。なんだか、ゲームをしているかのように、余裕ある探索。
 これが英国風ユーモアなんだろうけど、とても娘が誘拐されている父親には、見えない。
 一方、悪の組織のボス、ピーター・ローレだが、本来冷酷な笑いを浮かべているべきシーンで、どう見ても失笑している、そこらへんのおっさんにしか見えない。顔もなんとなく、関西芸人風だし(笑)。
 悪のボスというより、単なる変質者。当時は不気味な顔(というヴェーラの説明だが)というが、今では喜劇顔にしか、見えず。
 セルフリメイク作品は、それなりに楽しめるので、修正されていると思う。
 アメリカにわたってのちの充実期のヒッチコックは、まるでドラァグクイーンのようにゴージャスなサスペンスを、次々と生み出していく。
 初期英国期の本作は、いささか化粧が足りなかった、というべきか。

★Movie Walker★に、タイトル検索で詳細な作品情報あり。簡単な作品解説、あらすじ紹介(企画書レヴェルの初期情報の孫引きゆえ、しばしば実際とは違うが)。
 本作はあります。戦前作だが、ヒッチコックというブランドネームのせいか。

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by mukashinoeiga | 2016-01-04 05:57 | 旧作外国映画感想文 | Trackback | Comments(5)