2010年 06月 11日 ( 1 )

山本薩夫「にっぽん泥棒物語」

 神保町にて。「喜劇映画パラダイス」特集。65年・東映東京。
 破蔵師、つまり土蔵破りの泥棒集団を束ねる、三国連太郎。当時のことだから、米俵やら、着物やらを盗みまくる。その三国が、土蔵破りに失敗した、その深夜、漆黒の闇の鉄道線路を歩いていく九人の男たちを目撃する。 
 そして、翌未明、列車が脱線、死者がでる。線路の軌道レールが剥がされていて、脱線したのだ。当時流行りの国鉄テロ。しかし、逮捕されたのは三人の小柄な男たちと、連動する組合員たち(相も変わらず、ザ・良心派リベラル野郎に鈴木瑞穂ら)。もっと大柄な九人の、訛りのない非・地元民だから、この三人と、その仲間たちは、冤罪だ、と、三国には、わかる。しかし、それを公にくちにすると、同時に土蔵破りの悪事がばれて、やっと手に入れた、いまは平和な、佐久間良子とその子との家庭が崩壊してしまう。佐久間良子は、やっぱり、めちゃくちゃ可愛いので、この気持ちは、当然ね。 
 しかし、盗人にも五分の良心、三国は、真実を裁判の場で弁護側証人として明らかにする。加藤嘉、千葉真一!ら、良心派弁護士、室田日出男!ら、良心派新聞記者に、詰め寄られた結果だ。
 たいへん面白いが、はたしてこれは喜劇か。堅苦しい裁判の場で、ざっくばらんな、あけすけな、本音の証言をすることで、場内(映画の中での裁判所でも、映画の外でのわれわれ観客も)の笑いを誘う。卑怯ちゃ卑怯だし、さすがヤマサツ、とも思う。三国、快調。
 スーパー扇情監督ヤマサツの、イージー・リスニングな小快作。
 深刻な社会問題を扱って、骨太なエンターティンメントにしてしまう、ヤマサツ・メソッドは、その後の日本映画、世界映画には、現われていないということ。
 共産党左翼のヤマサツなのに、左翼、または左翼シンパの連中を描くと、とたんに、うすっぺらい人物ばかり、というところも相変わらず。まあ、左翼の皆さんは、本当に、ぺらい方々ばかりなので、これは、まあ、リアリズムなんでしょうが。
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by mukashinoeiga | 2010-06-11 23:21 | 山本薩夫傷だらけの左傾山河 | Trackback | Comments(0)