2010年 06月 03日 ( 1 )

森崎東「喜劇 男は愛嬌」

 神保町にて。「喜劇映画パラダイス」特集。70年・松竹大船。
 ああ、やっぱり、森崎東は、いいなあ。
 とにかく、やはり、渥美清の、声・歌・しゃべり・表情・その言動の全てを見ているだけで、映画の快楽。あの、いい声で歌うし、しゃべるし、動くし。晩年の、寅さん専門役者になっちゃった渥美清ではなくて、とにかく生きのいい渥美清だけで、もう、感動してしまう。渥美清生搾り、一番搾り。
 そして、ヒロイン・倍賞美津子。これまた、生きがよくて、ぴちぴちしている。ここ十数年、もうずいぶん長い間、倍賞美津子は、なにか、干からびたような、疲れたような、生きの悪い演技しか見ていない気がするが、その原点は、こんなピッチピッチ、躍動という言葉そのものの存在だったのだ。ほかに例を見ないような、素晴らしい、はつらつさ。
 桁外れな渥美清の、弟は、地味~な、寺尾聰。父親譲りの、ザ・素朴な青年を好演。ほんとにかわいい。
 顔のアップになると、まゆ毛とまゆ毛のあいだ、鼻の上に、うっすらとまゆ毛のあと。つまり、寺尾聰のまゆ毛は、ほんらい太く一本につながっているのだ。後年、その気配を、露とも感じないのは、メイクか、脱毛処理か。
 倍賞の父に、浜村純。とにかく迷惑かけっぱなしの渥美を、「この疫病神が!」、と。しかし、渥美も指摘するとおり、目玉ひん剥き、顔の筋、首の筋立てまくりの、すさまじい形相の浜村純のほうが、立派に疫病神の顔。ああ、この顔も、また、素晴らしい。
 コミカルな二枚目風の財津一郎、頭をさっと振って、髪をなびかせる、二枚目風のギャグ、何度も何度も、しつこいくらい繰り返す。場内の女性たちに、受けてるなあ。いいぞいいぞ。やはり、八波むと志といい、お笑い芸人も、二枚目系が、女性には、受けるのか。
 ひっじょーに、さみしいーっ。これも、毎度のキメながら、笑わせる。
 なお、神保町シアター作成の、詳細配役表が、この映画の場合は、明らかにずさん。
 まず、簡略な配役表示のはずの特集チラシに載っている、浜村純・左とん平も、載っていない。さらに、宍戸錠、田中邦衛、という、わりと重要なキャスティングすら、載っていない。
 特に、宍戸は、日活時代の他社出演というのは、珍しいと思う。まあ、ゲバゲバ人気?による、他社出演かと思うが、コメディ映画の宍戸錠は、まあ大根だよね。鈴木清順映画以上に、居心地が悪そう(笑)。
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by mukashinoeiga | 2010-06-03 23:05 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(0)