大林宣彦「日本殉情伝 おかしなふたり」竹内力三浦友和永島敏行南果歩

意欲作だがパクリ炸裂!の、奇妙さ。
 池袋にて「新作『花筐/HANAGATAMI』完成記念! ワンダーランドの映画作家 大林宣彦映画祭2017」特集。88年、アートリンクス、ピー・エス・シー。
e0178641_1139329.jpg なおタイトルには、みっつめのサブタイトル「ものくるほしきひとびとの群」が付く。ところがウィキペディアによれば、正式タイトルは『日本殉情伝 おかしなふたり ものくるほしきひとびとの群 夕子悲しむ』とのこと。夕子はヒロイン南果歩の役名。
 いかにも大林的過剰さだが、ちなみにウィキペディアの本映画説明には、面白いエピソードてんこ盛り。ゼヒ一覧をおススメしたい。

大林宣彦「日本殉情伝 おかしなふたり」 (Movie Walker HPより)
88年 配給:アートリンクス 製作協力 ピー・エス・シー
少年・山倉修(7歳)は体が弱く、将来は大好きな汽車に乗ることを夢みていた。それから18年が経ち、優しかった母も亡くなり、山倉は旅人となってある海辺の町にいた。そこでゴツイ男・室田幸男と知り合う。金貸しの彼は変な発明ばかりしている山倉に投資しては、いつも失敗していた。ある日、成田和美が室田の事務所を訪ねた。二人は幼馴染みで14歳の頃、夕子という7歳の少女と一緒によく遊んでいた。(以下略)
監督大林宣彦 製作山本又一朗 脚本剣持亘 、小倉洋二 、薩谷和夫 、大林宣彦
撮影長野重一 音楽KAN 美術薩谷和夫 編集大林宣彦
竹内力 三浦友和 永島敏行 南果歩 原泉 正力愛子 浅川奈月 大泉滉 浦辺粂子 坊屋三郎 内藤陳 広瀬正一 加藤嘉大前均 加藤春哉 小林のり一 栩野幸知 峰岸徹 尾美としのり 宮城千賀子 水島道太郎(以上引用終わり)

 まず本作を見てアッと驚くのは、本作がデヴュー竹内力の美青年ぶりと、その圧倒的お茶目な三枚目ぶりだろう。この愛らしさが、いかに窯変して、現在のコワモテ路線になり果てた(笑)のか、興味深い。
e0178641_11401123.jpg 次の驚きは、大林が商業映画という枠が外されると、いかに暴走するか、というもの。ウィキペディアによれば、本作は中森明菜主演作の併映として、東宝本番線に乗せる映画として企画されたが、明菜が降板、本作の企画もつぶれたが、山本又一朗が予算を減額すれば、俺がポケットマネー出して作れるよ、と自主製作。いやア男は、かくありたいものですな(笑)。大林も「映画を途中でやめてしまうことは、ひとの人生を変えてしまうことだ」と中止にはせず、配給も公開も未定のまま予算を3分の2に縮小して製作された、とのこと。ということは、明菜は人の人生を変えたわけだ(笑)。
 ほとんど自主映画のノリで。
 しかし、そういう意欲作なのに、本作はあまりにパクリが、異様なまでに多すぎる(笑)。これは、いかがなものか。

 むろん尾道を舞台にしてアグファカラーというのは、パクリとは違う。オマージュだろう。そもそも小津安「東京物語」は、ネガ焼失による、ポジ起こしの劣悪白黒映画だし、ああ松竹も「東京物語」を、厚田雄春&大林監修でデジタルリマスター&なんちゃってアグファカラー化すれば、話題になったのかもしれないのに、惜しいことをしたなあ。もっとも松竹は、確か大林宣彦「ふたり」 の、初日監督舞台挨拶の満員状態の営業日報などを削りに削って、ピー・エス・シーへの歩合を減らしたことがバレバレで、それで大林はメジャー映画会社から撤退して、地方と連携した自主路線に、いったらしい。
 メジャーアイドル路線で輝く大林映画の側面もあるのだから、松竹の罪は重い。
 さらに島耕二「上海帰りのリル」、および主演・水島道太郎へのオマージュ。これもパクリでは、ない。
 では、本作のパクリ大炸裂とは、何か。

 それは鈴木清順「東京流れ者」「けんかえれじい」「刺青一代」「関東無宿」「肉体の門」「野獣の青春」等々からの「引用」がてんこ盛りなのだ。
 とくに「けんかえれじい」からの引用が顕著だ。延々場所を移動して(尾道市内延々場所を変え)喧嘩しまくる三浦と永島は、高橋英樹と会津中学生のそれを想起させ、男二人が同時に窓を突き破って外に飛び出したり、その事務所で男たちがしゃべっている最中に、その口元のアップをインサートしたり、そういえば冒頭永島が立って簡易ピアノを引くのも、アヤシイ(笑)。
 三浦や永島が原色のスーツを着ているのも、ウィキペディアでは<原作はやまさき十三、さだやす圭の漫画『おかしな2人』で、原色を強調した衣装などにコミック色が残るが>とあるが、ぼくの偏見からしたら「東京流れ者」「肉体の門」の影響かもしれない。
 なお永島の衣装は、スーツというより、ぼくには的確な名称は浮かばないが、原色のド派手な人民服?、詰め襟があることもあり、高橋英樹の旧制中学の学生服を想起しもする。

 老侠客といったテイの峰岸徹は、着流し、番傘を使ったド派手な身振りから、「刺青一代」の高橋英樹、および彼に番傘を渡す老侠客を想起する。
 映画館のスクリーンに、水島道太郎のなんちゃって「上海帰りのリル」が映される前で、原泉と宮城千賀子の立ち回り。通常スクリーンの前で動き回ったら映写効果を阻害してスクリーンに影が出まくりだが、そうならない。ということは、これは「野獣の青春」の、スクリーン裏の乱闘の「引用」か、と(笑)。
 三浦、永島の事務所は、広い窓のすぐ外を電車が走る、おそらく尾道に実在した物をロケした、きわめて印象的な建物ロケだろうが、「関東無宿」で松原智恵子ら女子高生のすぐ後ろを走る電車たちを想起させる、といったら、これは贔屓の引き倒しレヴェルか(笑)。
 共同脚本の一人に美術監督を入れるというのも、清順ごっこか。
 そういえば、オマージュを捧げられる水島道太郎は、初期清順映画の主演スタアでもあった。
 やりたい放題の自主映画で、この隠しようもない清順愛(笑)は、もはや言い逃れ出来ないレヴェルだろう。

 その他雑感。
 当時はアイドル女優の南果歩、いま見るとビミョーにブスっぽい。
 少年時代の子役はもっさりした子の、「ごつい男」三浦と、少年時代の子役はピアノも弾ける優等生風の永島とは、ちょっとイメージ違うぞ。
 大林は基本的に感性が子供なので、ギャグは全くの不発。児戯。同じく感性が子供なので、政治感覚は福島瑞穂などパヨク界隈と同じお花畑。近年反戦志向が高い映画をつくっているが、大人のリアルポリテックスを完全無視した、みずほらと同様なお子様ランチの反戦仕様。
 鈴木清順より、むしろお子様ランチ仲間の黒沢がお似合いだろう。

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by mukashinoeiga | 2017-09-17 11:41 | いつか見た時をかける大林宣彦 | Trackback | Comments(0)

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