村山新治「尼寺博徒」野川由美子伊吹吾郎加藤治子渡辺やよい安部徹渡辺文雄曽我廼家明蝶伴淳三郎

単なるやっつけ仕事の凡庸なプログラムピクチャア。こういうので追悼される加藤治子も、うれしいんだか何だか。
 ただし加藤治子じたいは出番は少ないものの、いつもの、抜群の安定感。
 京橋にて「特集・逝ける映画人を偲んで 2015-2016」。71年、東映東京。

e0178641_0473583.jpg31尼寺博徒(86分・35mm・カラー) (フィルムセンターHPより)
1971(東映東京)(出)加藤治子(慈照)(監)村山新治(脚)大和久守正(撮)中島芳男(美)江野慎一(音)津島利章(出)野川由美子、伊吹吾郎、橘ますみ、後藤ルミ、渡辺やよい、應蘭芳、安部徹、渡辺文雄、曽我廼家明蝶、伴淳三郎
『警視庁物語』シリーズ等で知られる村山新治による女性任侠もの。尼寺に入った元胴師(野川)が、寺を食いつぶそうとするやくざを前に立ち上がる。加藤治子は尼寺の庵主・慈照を演じ、成熟した女性のエロティシズムを垣間見せる。ニュープリントでの上映。(文字変色が追悼対象の方)

 野川由美子は、やくざな父・バンジュン(冒頭の迫力はなかなか)に壺振り師として英才教育を受けて、しかし賭場での修羅の果てに尼さんになる、という無理やりな展開。はじめに尼ありき、どうしてもヒロインは博徒であり、しかも尼さんになるんだ、という説得力ゼロの強引な展開。
 プログラムピクチャア企画の、起承転結強引三題噺(あれもこれもの幕の内弁当)の、行き当たりばったり転倒展開。
 企画を統括する岡田茂も大蔵貢もいないと、こうなるという典型。まあ時代も違うのだろうが、いまの岡田祐介東映社長に、岡田茂の半分の企画力があれば、いまの東映にもヒット作は増えていたかも。まあ詮無い話だ。
 尼寺といえば、定番のレズ描写だが、まったくおざなりだし。一応お決まりの定食ですから具材最低限用意しました、といったレヴェル。

e0178641_0523157.jpg 野川由美子も、その魅力を生かしきれない映画に出ることの不幸。
 この映画自体は東映だが、彼女つながり、あるいは加藤治子つながり(笑)でいえば、もしこの映画を、大映に里帰りのキムタケとともに、鈴木清順が撮っていれば、どれほど奇態な、絢爛豪華な映画になっていたことか、と夢想するが、やはりそれは夢想に過ぎないか(笑)。
 まあ、大映はその種の冒険はしないタチだが、落ち目の70年代大映とはいえ、大映美術=キムタケ=清順のコラボも、一度は、見てみたかった(笑)。
 追悼特集ゆえの、しょせん詮無い老いの繰り言で、ございます。

 男くさいのに、実はおねえと噂の伊吹吾郎と、凛々しい野川由美子のキスシーン。野川が伊吹の後頭部を抱き寄せる完全野川リード、これには、ちょっと笑っちゃいました。

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by mukashinoeiga | 2017-08-25 00:48 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(2)

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Commented by 御邪魔ビンラディン at 2017-09-03 01:18 x
これは、藤純子の引退をひかえ、次はどんな路線を敷いて行こうかと、順列組み合わせ的に、いろんなシチュエーションのポスト藤純子企画の試行錯誤の中で作られた一本で、一種のテスト版ですね。たしかに傑作とはいえないけれども、小沢茂弘あたりがノラないで撮った場合よりは面白い。難点は、脚本の練り方不足、悪役の悪さの描写不足で、安部徹も曽我廼家明蝶も渡辺文雄も白木マリも、「御約束で悪役だから悪いヤツなのだ」ということになってしまっているけれど、映画の描写の上では、極悪非道というほどには見えないんですな。
もっとも、この映画の水準であれば、江波杏子の女賭博師シリーズと同じような具合にシリーズ化すれば、野川由美子の魅力で引っ張って行くことで、何本目かに化ける作品が出てくる可能性もあったとは思いますが、それができないのは、ヒロインを尼寺の尼僧という特殊すぎるシチュエーションに置いてしまったからで、これでは残念ながら、続篇の作りようがない。
Commented by mukashinoeiga at 2017-09-05 05:02
村山新治「尼寺博徒」へのコメント、御邪魔ビンラディンさん、ども。

>難点は、脚本の練り方不足、悪役の悪さの描写不足

 たとえば父親ははるかかなたの網走の刑務所病院でなく、もっと身近な病院に入院させるべきでしたね。
 伴淳の死をみとった伊吹吾郎がその足ですぐに野川由美子の危機を救うべく駆けつけるご都合主義は、回避できたはず(笑)。娯楽映画の女性ヒロインとしては、電話越しという間抜けなオヤジの死の見取りではなく、きっちり死をみとり、その足で修羅場に赴くべき。
 また、これほど小悪党ばかり寄り集まった映画も珍しい(笑)。いくら小悪党の安部を斬っても爽快感まるでなし。ましてや渡辺自殺、白木悲劇のヒロイン化、明蝶おとがめなし、娯楽映画のツボ外しまくり。
 設定も女博徒と尼僧の、究極同士の二本立ては、やはり増村か清順かテリー石井か、いずれにしても異能の人じゃなくちゃ手におえない無理設定で。

 シリーズ化は可能だったはず。尼寺に限らず全国の寺を訪ね歩き、寺社周りの悪を切る。ただしいろいろな宗教界のタヴーに本気で切りこまなくては、面白くなりませんな。むしろ既成宗教は所詮小悪党、新興宗教に切り込めば大ヒット間違いなし? 例えば信濃町にある末寺が某巨大組織ににいじめられるとか。その際のラスボスは(笑)…金子信雄で。  昔の映画
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